シナリオ詳細
のんだくれしかいない依頼!
オープニング
●酒を飲みながら見よう!
「「かーーーんぱーーーーーーい!!!!」」
金属のカップを高らかに打ち合わせるアーリア・スピリッツ (p3p004400)とモリス・ド・ヴォードリエ。
明日零時に行なわれる今年のヴォードリエワイン解禁にむけ、味見という名の酒盛りが行なわれていた。
ローレットの酒好きでおなじみアーリアを筆頭に八人のイレギュラーズが集まり……ええと……あの……なんでいるんだ?
「なんでいるのかしらぁ? 私たち」
「さあ? まあなんでもいいじゃあないか! 僕は僕のワインが好き! 君たちは僕のワインが好き! それだけで僕たちがここに居る理由になるのさ!」
「たしかにーーーーーーー!!」
酔っ払いたちに理屈を求めてはいけない。
とても厳密にいうとセキュリティ目的のナントカっていう依頼を受けて集まった筈だが、ワイン樽と大量の瓶をひいて現われたモリスによって場は完全に酒盛り会場と化し、誰もここに来た理由を思い出せないという始末であった。
「うぅ~ん……それにしてもぉ……このおさけおいしいですわぁ」
顔を赤くして瓶にほおずりするヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ (p3p001837)。
「飲めば飲むほど気持ちがぽかぽかしてくるよねぇー」
同じく瓶にほおずりするソア (p3p007025)。
二人はオクトーバーフェスかなってくらいの格好をしていた。なぜしていたのかはもう誰も覚えていない。これビールじゃなくてワインだろなんてもはや誰もつっこまない。
「当然。ヴォードリエのブドウ畑は黄金園と呼ばれていてね、年に一度解禁の日が近づくと、ワインを飲む者に祝福を与えるのさ」
「ふゅくふく?」
「にゃんの?」
「……なんだったかな? まあいいじゃあないか! ワインが美味しい! 僕が美しい! それに勝る幸福はない!」
「「たしかにーーーーーーーー!!」」
酔っ払いたちに理屈は通じない。
「へへへフォルダが熱くなるなぁうへへ」
カーリングかなってくらいかがんだ姿勢からソアたちを舐め撮りするウィズィ ニャ ラァム (p3p007371)。
くるりと振り返るヴァレーリヤとソア。
「なにしてますのぉ?」
「……」
ウィズィニャラァムはすっくと立ち上がり、なんかイケメンフェイスで前髪をかき上げた。
「野鳥観察、かな」
「そっかー」
ほっこり笑うソア。
酔っ払いに理屈は通じない。
その一方では、マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス (p3p002007)、伏見 行人 (p3p000858)、新田 寛治 (p3p005073)の男三人衆がヴォードリエワインをまじまじと試飲していた。
「10年に1度の当たり年だね」
「確かに品質は昨年より良いですね」
「出来は上々で申し分の無い仕上がりだ」
「もしかしたら100年に1度の出来かも。近年に無い出来だよ」
「香りが強く中々の出来栄えですし」
「柔らかく果実味が豊かで上質な味わいがある」
「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味もね」
「今年は天候が良かった為、昨年並みの仕上がり。爽やかでバランスが良いと思います」
「そうとにかく出来が良く、豊満で絹のように滑らかな味わいなんだ」
「糖度と酸度のバランスが良く、軽やかでフルーティーな仕上がりとも言える」
「エレガントで味わい深く、とてもバランスがよいとも思いませんか」
「今世紀で最高の出来としよう!」
「豊満で朗らか、絹のようにしなやか。しかもフレッシュで輝かしい!」
「理想的な条件の下、すばらしいヴィンテージへの期待高まりますね!」
これらのワードの共通点、みんなならわかるよね!
そしてこの三人の頭がどうなっちゃってるのかも、わかるよね!
そう。酔っ払いに理屈は通じないのだ!
軽くカオスと化しつつある現場で、ポテト=アークライト (p3p000294)はひとりだけシラフでバーベキュー台でお肉を焼いていた。
「そうか。今年は私の『旦那』が二十歳になるんだな……そうしたら、このワインを一緒に飲みたい」
「「わかるーーーーーーー!!」」
酔っ払いは感情に正直。
男も女も貴族も関係なくグラスと瓶を掲げ、ポテトへと殺到していく。
「その時は是非呼んでね!」
「いや最初は二人だけのほうがいいんじゃ」
「暖炉に照らされるソファで二人きりでグラスを合わせる二人の様子をお願いします。私はギフトにより描写不要です」
「めでたーーーーーーーーい!」
「あっみなさんお待ちになって! もうそろそろ零時になりますわ!」
「解禁か!?」
「解禁だね!?」
「解禁だわぁ!」
「「待て待て待てぇーい!」」
ずらりと並ぶ男たち。いかにも『俺たち盗賊ですよ』って格好をした彼らは、一斉に酒瓶を振り上げるポーズをとった。
「俺たち!」
「「お酒大好き盗賊団!!」」
それが名前なのかとか。
いつのまにそこにいたのかとか。
そんなこともう誰もつっこまない。
酔っ払いに! 理屈は! 通じないのだ!!
「高級ワインで知られる最新のヴォードリエワイン……俺たちによこしてもらおうか!」
「まさか……解禁直後に独占して転売するつもりかしらぁ?」
酒瓶を振り上げて身構えるアーリア。
ヴァレーリヤやソアたちも酒瓶やグラスを振り上げ、ウィズィニャラァムもふんぬといって樽を振りかざした。
対する盗賊は。
「ククク、決まってるぜェ――」
「「俺たちが全部呑みたいんだよォ!!!!」」
「「わかるーーーーーーーー!!」」
グラスをテーブルにどーんと置いて突っ伏す男たち(新田、マカライト、行人)。
「待ってくれ、そういう分けにはいかないぞ」
バッとマントを靡かせ、間に割り込むモリス・ド・ヴォードリエ。
幻想南方貴族ヴォードリエ家総領主。威厳を持ってワインの瓶を突きつけた。
「今年のワインは僕の顔がプリントされた初回限定版ボトルが販売されるのだ! こればっかりは僕が自分で売りたい!!!!」
「「わかるーーーーーーー!!」」
ワインをラッパ飲みしていた盗賊たちが叫んだ。
お互いなぜ敵に同意してるのかとか。
もう誰もつっこまない。
酔っ払いは!!!!!
理屈が!!!!!!!
通じないのだ!!!!
「けど、ワインを……その、あれされると困るから……ええと、な、なんだったかな。頭がぼんやりしてきた……」
自分以外酔っ払いしかいない空間で軽く場酔いしはじめたポテト。
そんなポテトの脳裏に、ふとあるワードが浮かんだ。
「ハッ、戦わなくちゃ!」
「「たしかに!!」」
一斉に立ち上がり、ワインの瓶を振りかざす男たち。女たち。盗賊たち。
いまここに、酔っ払いVS酔っ払いのへべれけバトルが勃発した!!!!!!
- のんだくれしかいない依頼!完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2019年11月22日 22時30分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●酒を用意しろ。プルタブは開けたか? 瓶のコルクは? コップになみなみと満たしたか? オーケー、始めようぜ! 一度きりのカーニバルだ!
「「かんぱーーーーーーーーーーーーい!!」」
『雷精』ソア(p3p007025)とお酒大好き盗賊とモリスが乾杯していた。
これは戦う依頼だっただろとか、なぜ三者完全に和解しちゃっているのかとか、もう誰も突っ込まなかった。
そう。
酔っぱらいに。
理屈は!
通じないのだ!!
皆もそのうち分かるよ。小さい居酒屋で適当に飲んでると隣から急に会話に入ってくるおっさんとか頻繁にいるから。
なんか垣根がなくなるよね、ああいう場。
「ふふっ……うふふっ……しってるよ?
おいしいおさけをのむと人間はなんかむずかしいこと言いだすんだよね。
あまくてすっぱくてしぶくてまろやかでおもくてかるいみたいな。
たいせつなものにことばをつくすのはとてもステキなこと、
ボクもこのおいしいおさけをどうにかひょうげんできないかなあ?
ガブガブ……んんっ……おいしぃぃい!」
瓶を逆さにしてがぶ飲みしてから、ソアは盗賊の頭をヘッドロック気味に掴んだ。
「んぷっ……ぷはははっ……あはははははっ!!!!
おいしいってなにさ、ひとことじゃない、もうとうぞくぅ!!!!
ああ、おかしい……わらってせいでおなかがすいちゃった!
おにくとってこよ! ぽてとーーーーーー!」
「今揚がったぞ! まったく、外にまでフライヤーを持ってくるなんて貴族は大胆だな」
軽く場酔いしつつある『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)。
フライヤーからあのなに、ポテトをテレレッテレレッて揚げる網のやつ。あれを引っ張り上げてキッチンペーパーで油をさっと吸い取ると、大皿にあけて細長いタイプのフライドポテトとスライスタイプのフィッシュフライを三国志みてーな盛り付け方してテーブルにドンと置いた。
「お酒には揚げ物が合うよな」
「「わかるーーーーーーーー!!」」
フライを頬張ってコロンビアポーズをとるソア、盗賊、モリス。
味方と敵と依頼人が同時に自分の唐揚げ食ってるさまを眺め続けて正気でいられるやつはそういない。ポテトもポテトですでに場に酔っていた。
「でもいいのかな……今回の目的ってヴォードリエワインを守ることだったような……」
ちらりとテーブルに置かれたワインを見る。モリスのドヤ顔がプリントされた愉快なワインボトルが、すでに空だった。
おまえ今からこれ売るんとちゃうんか。
「あぶぶ……あるぇ、ボクどうしてこんなにおさけのんでるんだっけ? まあいっかあ! ねーとうぞくぅ!」
ソアが盗賊の頭を胸に抱いてビリビリをかましていた。
あーこれ見たことある。昔のアニメでやってたの見たことある。しびれるたびにスケルトンが出るあのやつ。
「まったくも。ほら、お水だぞ」
「おみずぅー」
ポテトの出してきたお水をぐびぐびするソア。
けどスーパーアンコールがスーパーアルコールに空目するくらいの状況なので、あんまり気分は変わらないようだった。酔っぱらいは水飲んでも酔っ払いであった。
「おまえら、見ろ」
『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)がワインの空き瓶をテーブルにどーんして身を乗り出した。
「あれ。アレみろ」
「酒飲みたるものぉ!! きよく! ただしく! うつくしく! のむ!!
つまりあなたたちはぁ……おねーさんがおしおきよぉ!!」
酒で顔を赤くした『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)がテーブルに直接座って足を組み、そばの盗賊を引っ張って頭を片腕に抱いて試飲ストローで頭をぐりぐりやっていた。
「「………………」」
その様子を、順番待ちでもするみたいに座してじっと見つめるウィズィニャラァムと盗賊たち。
「いえいえお気になさらず」
「どうぞ続けて続けて」
「ふふーん」
アーリアは顎を上げ、首を傾げ、垂れたワインカラーの髪をかきあげてみせた。
「どんなぴんなっぷがほしいか! 言ってごらんなさぁい! さぁ!」
「「いいんですか!?」」
やったぜー! といって飛び上がるウィズィニャラァムと盗賊と新田ファンド。
「メガネぇ! ファンドもってこいファンドぉ!」
「マナーが」
絵師のリクエストリンクをタップ。
「人を」
(あなたの想像する最もエロいアーリアおねえさんのシチュ)をリク文に書く。
「作る」
全額ぶっこんでリクエストを送る。
『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)は『勝利の宴です』といってコップを天に掲げた。
「今しばらくまてばぶどう畑で木のテーブルに腰掛け酒瓶を空にするえらく性的なアーリアさんを全世界がおがむことができます」
「「勝利だーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
甘寧一番乗り! の動きで酒瓶を振り回しながら椅子にテーブルに足をかけるウィズィニャラァム。
「イッキコーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!」
両手の親指、小指、人差し指を立てて身体をのけぞらせる新田。
「「盗賊のォー!?」」
「「チョットイイトコ」」
「「見てみたい!」」
コップでがぶ飲みする盗賊。
その横で新田は丼にワインをあけてから近くのゴリラを引き寄せた。
「おいおまえ! おまえ誰だ、スミーか!?」
「ウホ?」
「いいから飲め、飲んでけ! 今なら三国一、いやさ混沌一の良妻、ポテトさんの料理も付いてくるぞ! がはは!」
軽くキャラブレしながら丼イッキをさせる新田。
「はいはい、どんぶり天国! どんぶりてんごく!」
「「ヘイヘイヘイヘーイ!!」」
「あら、ばれーりやちゃん、のみましょー」
ふらんふらんしたアーリアが並べた盗賊に片っ端から酒瓶クラッシュあびせてる『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)のもとへやってきた。
酒瓶クラッシュっていうのはあれだよ。全員の頭に酒瓶叩きつけてかち割っていくっていう成人の儀式だよ。嘘だよ。
「どっせーい!」
「出ましたー! ヴァレーリヤ姉さんの十八番!」
「駆け出し時代の名人芸!」
「死者の果実が実をつける前にぃー!」
「「前にぃー!」」
きをつけの姿勢で川に頭から飛び込んでいくヴァレーリヤ。
波を描くかのように次々と飛び込んでいく盗賊たち。
「冷たくて気持ちいいれすわー! アーリアひゃんもいかがかしらー!」
川からばんざいして手をふるヴァレーリヤ。
流れてきた樽をキャッチしたかと思うとボッて音をたてて川から戻ってきた。
デスペラード撃ちの姿勢で樽を担ぎ、川辺に着地するヴァレーリヤ。
今日のヴァレーリヤさんインパクトのある絵ぇ多いな。
「アーリアしゃん樽ごと飲みましょう! 皆さん! 飲んでくれるらしいレスわよ!?」
「えっわたし」
「なんれすの。わらくしのお酒が飲めないって言うんれすの? やだやだやだ! わらくし、今日は貴方と一緒に飲みたいんれすのー!」
足にしがみついて両足をばたばたさせるヴァレーリヤ。
インパクトのある絵がとまんねえなこの人。
「の、飲みま――いだいいだい! 握力が鬼!? 鬼よぉ!」
へいパス! といって新田にヴァレーリヤを投擲。
ネクタイを緩めソファに腰掛け「光に透かすと透明感と光沢のある赤色が輝き、香りは瑞々しいイチゴが弾けるようで。口に含めば鮮やかな果実味がフレッシュに広がる……今年の出来栄えも上々のようですね」とか言っていた新田と知らないゴリラにヴァレーリヤ天空スピニングヴァルキリーが炸裂した。
どんな技かはしらないけどつよそう。ホビー玩具みたいな名前してる。
もはや地獄、いや天国の様相を呈していた。
『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)は右手に酒瓶、左手に酒瓶を持ち、左右にふーらふーらしながら顔に浴びるかのようにワインを飲みまくっていた。
「精霊たち……たのむよ」
「ええで」
酒瓶持った鼻の赤いジジイがニヒルに笑って親指を立てた。
「ここは我が一族のぶどう畑、守るは道理なり」
酒樽みたいな鎧兜をまとった小太りなおっさんが両手の親指を立てた。
二度見する行人。
「…………だれ?」
「知らんのか」
ジジイたちは急に個性豊かな十人くらいの酔っぱらいに増えると、一斉にポーズをとった。
「「我ら、ヴォードリエ先祖英霊チーム!」」
「なんだか思ったよりすごいのが来たなあ」
精霊つってんのに英霊来たぞ。
すげえ厳密な話をするとモリスが黄金園で解禁日にワインを飲むと与える祝福つーのがヴォードリエ一族が脈々と受け継いできた祖先のちからであり精霊化したかつての先祖たちが酔っ払いのちからを気まぐれに与えてくれるというものである。ほとんど行人のためのギミックである。
そんな彼らの力を受けた行人は、盗賊たちを前に目をキラリと光らせ……。
「抜栓時に立ち上る香りは穏やかなれど、ヴォードリエで作られている葡萄特有の穏やかな香り。葡萄を作る為に作り手が毎日畑へ出て心血を注いでいるのがこの時点で感じ取られ、期待感が否が応でも掻き立てられる。一度グラスへ注ぐと立ち上ってくる甘いバナナのようなしかし、しつこすぎないアロマ。光に透かすと、熟成年数の少なさからくる透明感は解禁したばかりという何よりの証拠足り得るだろう。それを一口飲み込むと、若干の渋みと酸味。しかしそれらは自分の体の内より立ち上るワインの香りで上質な果物を思わせるテイストへと変わっていく。二口、三口と飲み進めて行き、深呼吸をすると得も言われない幸福感に包まれる」
とんでもなく長いお酒のウンチクを早口で語れる力を身に着けた。
なんのためにやねん。
「飲まないか」
「「のむーーーーー!!」」
盗賊たちとヴォードリエ英霊と行人と知らないジジイはイエーイといって酒瓶をあけた。
場は地獄の、いや天国の様相を呈していた。
「あー、ったく。折角の解禁に水差しやがって。水割りワインは確かに美味いが今日はストレートの気分なんだよなぁ。覚悟しやがれコンチクショー、矢襖になる覚悟は出来てっかゴラァ!?」
ていいながら、顔を真赤にした『かくて我、此処に在り』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)が弓に酒瓶をつがえた。
オラァと言いながらワインボトルを飛ばしまくるマカライト。
ソラァと言いながらワインボトルで殴りまくるマカライト。
そのついでに無意味に飛んでいく例の触手生物。うらめしそうに見る目。
「なんだ? 今日はストライクチェーンの気分なんだが……どうもチェーンが軽いな」
縄にワインボトルつけてぐるんぐるん振り回すマカライト。
その後ろの川を流れていく盗賊たち。
足だけ出して一緒に流れていく新田とゴリラ。
ボクもーといって川に飛び込んで『スパーキング!』するソア。
巨大テーブルフォークとテーブルナイフを両手でぐるんぐるん回して『うわなんだこのナイフいつからあった!?』と二度見するウィズィニャラァム。
グラミー賞女優のモノマネをしながら歌うアーリア。
樽を担いで飲むヴァレーリヤ。
英霊に乗っ取られて盗賊たちに酒絡みし続ける行人。
「……なんだこの状況は」
ふと素に戻ったマカライトは場の混沌に気づいた。
いや、気づいたからどうって話じゃもうねえや。
「まぁ解禁日だしな! ちょっとハメ外しても大丈夫だわな!」
自分の中に折り合いをつけ、ひとりせかせかと料理をし続けるポテトへ振り返った。
「ポテト! 刺し身系の料理はあるか!?」
「マグロの刺身とカナッペと、あと大根のサラダかな」
「それをく――うっぷ!」
口元を抑えてうずくまるマカライトに、ポテトが駆け寄ってお水を手渡した。
「ほら、コレを飲むんだ」
「ありがとう……いい嫁になる。お前さんも夫に飲ませる時は気をつけとけ」
「彼は悪酔いするような……あ」
これまでやってきた夫のエキサイティングな実績(パンツを全身に装備して跳ねたり、聖鶏を揚げようとしたり)を思い出した。
マカライトは『心配いらない』と言って笑った。
「普段真面目なヤツほど溜め込んでるもんだ」
「そう。しかし酒は身体に溜め込んだ汚いものを吐き出させてくれるのです」
ネクタイを額に巻いて腹に『今日は描写不要じゃありません』と書いた新田がメガネをくいってやって現れた。
「普段仲良く慣れないひとと仲良くなったり、秘密を共有できたりするのさ」
色々乗っ取られてどじょうすくいの動きをしながら顔だけハンサムフェイスで笑う行人。
「お酒を覚えるということは、世界が広がるということですわ!」
「もちろんイイことばかりじゃないけど、付き合い方を知れば楽しいよ!」
「そうまさに人生の縮図!」
三人で組体操しながらニッコリ笑うヴァレーリヤ、ソア、ウィズィニャラァム。
「辛い現実や過去だって、お酒は苦味の中に美味しく溶かしてくれるわぁ。そうして進んだ人生の先に、思いも寄らないハッピーエンドがあるものよぉ」
ワイングラスをゆっくりと回しながら頬に手を当てる水着のアーリア in 11月のブドウ畑。
「……ははっ」
ポテトは困ったように笑って、そして空想した。
オトナになった自分たちが、ワイングラスを打ち合わせる光景。
楽しいことや辛いことをお酒に溶かして、バーカウンターに並ぶ風景。
生きることは辛いことだけれど、もしかしたら楽しいことなのかもしれない。
飲みすぎて吐いたり、バカやって翌朝後悔したりするのが人生だ。けれどそれは、いつも輝きと共にある。
「そうだな、きっと来年は……」
「そうとも!」
ワインボトル(子ども用の甘いぶどうジュース込み)を在庫分ぜんぶ持ってきたモリスが、『もう全部飲め!』といって親指を立てた。
「人生とワインは最高に素晴らしいぞ! 飲もう!」
「「イエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!」」
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
かんぱーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!
GMコメント
このシナリオはへべれけシナリオです。
是非酒飲んで酔っ払った状態でプレイングを書きましょう。
なんなら酔っ払った状態で相談もしましょう。
そしてリプレイができあがったらとっておいたお酒をみんなであけて飲みながら読もう!
乾杯ーーーーーーーーーー!!!!
■お酒大好き盗賊
おさけがだいすきなとうぞくです。
それいじょうでもそれいかでもないよ。
数はいっぱいだよ。なんか増えて見えるし数えらんないや。
■いらいないよう?
なんか、あの、あれ、なんでここにいるんだっけ?
たしかなんか、アレしろって言われたはず。
あっそうだ盗賊殴らなきゃ(瓶を片手に)
■お酒飲もう!!!!!!
戦闘? が終わったら呑もう! なぜなら今年のヴォードリエワインが解禁だから! 今世紀最高の仕上がりだから!
■アドリブ度(へべれけ)
ウェーーーーーーーイ!
乾杯ーーーーーーーーーーーーー!!!!
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