シナリオ詳細
野生開放、コンバルク・コング!
オープニング
●ラド・バウA級闘士、コンバルク・コング――リングイン!!
激震と歓声。ラド・バウ闘技場の観客席を埋める人、人、人!
ゼシュテル鉄帝国の目玉ともいえるこの闘技場を熱狂させる試合が、今から始まろうとしていた。
『さあ本日の目玉となります大試合!
皆さんもお待ちかねのことでしょう。
闘争本能の化身! 野生の王者!
A級闘士! コンバルグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ! コオォォォォォングッ!!』
「ウホァーーーーーーー! ホワァーーーーー!!」
入場ゲートが開くまでも無く殴り飛ばし、大地を激震させる激しいナックルウォークで現われる鎧のゴリラ。
彼こそがラド・バウの頂点を争うA級闘士のひとり、コンバルグ・コングである!
観客席の殆どは彼のファンらしく、『KONG』という文字と吠えるコンバルクの顔がプリントされたTシャツを着る男女が目立ち、子供たちに至っては吠えるコンバルグのマスクをすっぽりと被ってプラスチック製のコンバルグアームをがちがちと高く打ち鳴らしている。
どれもラド・バウや近所の売店で販売しているファングッズだ。
重厚な武者鎧めいたアーマーに身を包み、屈強で巨大なボディを惜しげも無く晒すコンバルグ。
「ウホホ、ウホホ! ウッホウッホ! ウッホゴリラ!」
あなたはそんな試合を観客席から眺めていた。
チケット代は情報屋のオゴリであり、KONGデザインバケツのポップコーンとコーラつきのだいぶ待遇のいい座席である。
情報屋はテディという名前で、KONG印のサンバイザーを被ってコンバルクの頭を開いて手を突っ込むようなデザインバケツからポップコーンを掴んでもぐもぐやっていた。
「コンバルク・コング。あんたも知ってるんじゃないのか?
鉄帝じゃあ有名なファイターなんだが……つっても、軍事や侵略にてんで興味がねーお人だからな。死ぬほど強えが、見かけるのはもっぱら闘技場さ。
闘技場に通ってラド・バウチップスを買いあさってるような奴じゃなきゃあ、知らないかもしれん」
あなたはコンバルグを知っていてもいいし、知らなくてもいい。
ただ彼が今回の『依頼』に欠かせない人物であることは確かであり、そして今回のことをきっかけにより深く知ることになるのもまた、間違いないだろう。
●オープニングスペシャルマッチ
試合が終わり、イレギュラーズたちはテディと共に近くのファーストフード店に入っていた。
「今度『甲子』という地方闘技場でウィンターシーズンが開幕するんだが、そのオープニングセレモニーにコンバルグ・コングが選ばれた。
内容は一般客とのお遊戯ファイト……の筈だったんだが……」
「ウホァー! ホガガガガガ!!!!」
野外で咆哮が聞こえた。
と同時に爆発と、金属の拉げる音がした。
なにごとかと振り返ってみると、店の外を潰れた馬車がサッカーボールのごとく転がり、暴れ牛が回転しながら吹き飛んでいく。
超高速で配達中のピザ屋バイクが何かに激突し、そのまま回転しながら吹き飛んでいった。
それらすべて、たった一人の人間が移動したことによっておこった出来事である。
しかも。
「ウワー! 『KONG』だ! すっげー! でかい!」
「今日も馬車吹っ飛ばしてる!」
「俺の馬車がー! 縁起いいなあー!」
住民たちがやけにその破壊行為に好意的だった。
「道、わからん! オレ、迷うの、キライ!」
ファーストフード店のドアを引っぺがし、周囲のテーブルをひっくり返しながらやってくる男。
彼こそ、噂のコンバルグ・コングである。
「彼に手加減とか……できると思うか?」
依頼内容はシンプル。
オープニングイベントでコンバルグ・コングと戦うことである。
「コンバルグはこの通り圧倒的なパワーで相手を粉砕するファイターだ。
彼とエキシビジョンとして短時間だけ数人がかりで戦って貰う。
まあなに……A級闘士を肌で感じるチャンスなんてのはそう滅多にないからな。アトラクション気分でめいっぱいぶつかってみてくれ」
「ハンバーガー! 100個! いま! 喰う!」
レジカウンターを拳で粉砕し、キッチンに直接はいってハンバーガーを10個ずつ手づかみで食い始めるコンバルグ。
その様子を笑って写メしながら囲む店員たち。
テディはその様子を軽くスルーしながら、イレギュラーズたちに依頼書を手渡した。
「ファイトは鉄帝の華だ。そいつを全身で満喫できるぜ。
しかも終わったらコンバルグが焼き肉奢ってくれるらしいからよ。楽しんでくれ!」
- 野生開放、コンバルク・コング!完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年11月21日 22時35分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●祭りにゴリラはつきもの
「KONGだー!」
「サインください!」
3mほどの巨体がどしどしと地面を揺らして歩くたび、5mほどの間隔を開けて人だかりが動いていく。
というのも、この巨大ゴリラ――ラドバウA級闘士コンバルグ・コング(p3n000122)がそれほど鉄帝で有名であり、そして彼がちょっと移動するだけでそのへんの馬車やらスチーム自販機やら魔導バイクやらが踏んづけた空き缶みたいにひしゃげていくのを知っているからだ。
コングはそんな彼らに応え、携帯した大筆で『KONG』というサインを相手の服に書き付けながら進んでいく。
今日は、そんな彼とのお祭りマッチが開催されるということだ。
野球で言う始球式みたいなものだろう。
鉄帝のスターであるA級闘士と魔種を倒したローレットによるマッチは、さぞかし人が入るだろう。
「HAHAHA、良いじゃねえか! 好きだぜ、オーディエンスのいる闘いは!」
そんなファイトスポーツの空気をよく知る男、『人類最古の兵器』郷田 貴道(p3p000401)は笑ってコングのあとをついていく。
その横を、ポップコーン片手に歩く『イギョウノショウジョ』実験体37号(p3p002277)。
彼女のだいぶ変わったシルエットも、この場ではまるで普通の少女である。
「ワタシも、いつか、この手足を活かして、パワフルに戦いたい。
だから、コングとの試合はすごくいい機会になると思う」
大きくした手を開いて、ぐっと拳を握ってみる。
「後は、観てくれている人、楽しませて、盛り上がる!」
「その意気だ! HAHAHA!」
「つうか、まさかA級の胸を借りられるとはね。あの手の連中は一線交えるだけでも貴重だからな」
『ラド・バウD級闘士』シラス(p3p004421)はニヤリと笑ってコングの背中を見た。
ラド・バウには彼の他に何人かのA級闘士がおり、パルス・パッションなんかもその一人だ。
彼らの戦闘能力は国の財産であり、彼らとマジに戦うには自分もA級になるか、それ相応の大金を積むかでもしないとならない。
もっというと、彼らは『S級』に手をかけた人間たちであり、つまりは皇帝の地位にそれだけ近づいた人間であることを示している。
そしてS級となると個人戦略兵器扱いを受け始めるので、戦う戦わない以前の問題になる。こうしてお祭りで戦えているうちに戦っておけるのは、かなりラッキーな話なのだ。
シラスは売店で買ったコングキャンディ(コングの腕の形をした棒付きキャンディ)をなめながら振り返った。
「で、今日は4対1でいいんだって?」
「1人ならあっという間に負けると思いますが、4人ならどうなるか楽しみですね。
まあ今回はプロレスって事だから連携はほどほどに好きにやる事になりそうだけど、負けるにしても面白い戦いが出来るように頑張ろうと思います」
露天に売られる沢山のプリントTシャツを眺めながら、『悲劇を断つ冴え』風巻・威降(p3p004719)はしみじみと語った。
「プロレス? そうかプロレスだったね……じゃあ、やっぱり脱げばいいんだよね!?」
早業で上半身だけいきなり脱ぐ『満月の緋狐』ヴォルペ(p3p007135)。
「間違ってないけど間違ってますね」
一方、『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)は祭りの喧騒の中を仲間に混じって歩いていた。
(A級てどのくらい凄いのだろうか……と思って参加したが、Dランクで既にやばいとイレギュラーズの間でもっぱらのうわさ何だな。これはもしかして死に急いでしまったか? いくら手加減してくれるとは言え俺は一応非戦員の鍛冶屋だからな。どれだけ耐えられることやら……)
「そういえばラド・バウのA級闘士ってオールドワンばっかりじゃないんだね」
露天に売られているブロマイドを手に取り、『堕天使ハ舞イ降リタ』ニーニア・リーカー(p3p002058)がしげしげと眺めた。
言われてみればという話ではないが、ザーバや皇帝がオールドワンであったり、鉄帝北部の過酷な地域で暮らせるオールドワンが国民の多数を占めていたりするからといってラド・バウのトップランカーまでオールドワンだらけというわけではないらしい。
事実、ビッツやパルスといった面々がトップランカーの多種属性を証明している。本当に強さこそが権力であり、そこに種族は関係ないという鉄帝のシンプルさが現れていた。
ニーニアはコングのブロマイドを『せっかくだから』と一枚買ってポケットに入れた。
「相手は格上! この機会に色々と経験させてもらおう!」
「経験するのはいいが……一撃でパンドラがぶっ壊れるのでは?」
『分の悪い賭けは嫌いじゃない』リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)は片眉を上げ、皮肉げに言った。
「まあ、なに、勝てるとは思わんが、全力で行かせてもらおう!」
闘技場に花火があがる。
開会式が始まるのだ。
●ザッツ、エキシビジョン
「さあ皆さん世紀の対決です! ラド・バウA級闘士コンバルグ・コング! バーサス、ローレットドリームチーム!」
拍手と歓声とブブゼラ音に囲まれて、威降は口の片端だけで笑った。
「大した人気ですね……これがコングさんの人気ってことなんでしょうか? それとも……」
世界はいま、ローレットに注目している。
これまで世界最大の脅威であり回避不能の滅びを、奇跡と希望によって打ち破ったローレット。鉄帝のみならずどの世界も漫然と抱えている不安や恐れの中に、彼らの光を見ているのかもしれない。
威降にはそんな空気が、なにとはなしに感じられた。
「なら、期待には応えないと――」
ヒュン、と姿がかき消える。
正面で両腕を地につけるように構えていたコングは、微動だにしない。
一方の威降は。
「風巻流小太刀――奥伝の一、颶風穿」
突如として背後に回った威降がコングの背に三連続の突きを繰り出していく。
「ウホウ……」
が、コングはまるでたいしたダメージを受けていないかのように振り返り、赤い目をギラリと光らせた。
振り上がる拳。
直感する死。
「おっとお!?」
威降を無理やり横から突き飛ばすようにして、ヴォルペが攻撃に割り込んだ。
上半身を脱ぎ捨てたヴォルペがオーラフィールドを展開しながらガード姿勢をとる。
「かかっておいで。おにーさんが受け止――うおお!?」
「ボアアアアア!!」
コングの振り向きパンチがヴォルペに直撃。ヴォルペは激しい縦回転をかけながら飛んでいき、闘技場の壁を破壊。そのまま観客席を幾度もバウンドしながら飛んでいく。
「し、死ぬかと思った。けど何度でも立ち上がればカッコ――」
血を吐き、立ち上がろうと上半身を起こした瞬間、自分の真上に跳躍しているコングの姿が目に入った。
爆発、としか言いようのない衝撃が走る。
ヴォルペをとんでもない状態にした後で、コングは振り返り、こちらへと歩いてきた。
攻撃を受け止めるとか、盾になるとか、もはやそういうレベルの話ではなかった。
言ってみれば、台風の日にこうもり傘をさすようなものだ。
ニーニアは赤い便箋を取り出し扇状に開くと、それを一斉に投擲した。
「A級闘士の力を体験できるチャンス。楽しませてもらうよ!」
手紙から召喚されたデッドレッドレターの剣士がコングの背後と正面にそれぞれ現れ、高速の斬撃を叩き込んでいく。
「女の意地をみせるよ!」
更にニーニアは『棒の手紙』を掲げ、無数の木の棒を召喚。幾重にもこじれた呪いが一斉にコングへと襲いかかっていく。
血を流し呼吸を止め痺れをもたらす、常人では立っていることも難しいような呪いがコングに染み込んでいく。
まるで制御棒が差し込まれた爆弾の如く立つコング。
両腕を大きく掲げると、大地を殴りつけた。
その衝撃で跳躍。
回転。
ニーニアの真上へと飛ぶと、飛行によって回避したニーニアに地震の衝撃が走った。
空中にいながらにして、大地から吹き上がる振動が肉体をシェイクしたのだ。
残ったのは、仲間にかばわれる形で立っていた実験体37号のみ。
実験体37号は肥大化した腕でコングを掴み、強引なジャーマンスープレックスを叩き込んだ。
ズドンという音とともに土の大地にめり込むコング。
実験体37号は腕を地につけぐるんと姿勢を反転させると、地面に突き刺さったままのコングに猛烈なマシンガンパンチを叩き込んでいく。
叩き込み、叩き込み、叩き込み尽くした後に……腕がコングの足によって掴まれた。
まるで手のように長い指をした足。
コングは両手を地につけ身体をごろんと元の姿勢に戻すと、その勢いだけで実験体37号を転がしてしまった。
光る赤い目。
振り上がる拳。
コングそのものから発した熱量が膨れ上がり、合金グローブから白い煙となって吹き上がる。
実験体37号は次の瞬間自分が踏み潰したトマトみたいになるさまを直感し、とっさに腕を構え――たところで、試合終了のブザーが鳴った。
さて、休憩を挟んでの後半戦。
シラスは――。
(クエスチョン。それなら客の求めてるものは何だろう?
アンサー。話題のイレギュラーズすら蹴散らすコンバルグの超人ぶりだ)
ポケットから手を抜き、指をごきごきと鳴らして飛びかかるシラス。
全集中。呼吸を鋭くし、右手に込めた呪いの力をコングの顔面に思い切り叩き込む。
禍々しく青紫色をした呪術のスパークがコングを中心に走っていく。
観客の何人がコレに死を連想したことだろう。
と同時に、背後に回ってアイススフィアをかけたサイズがコングの背中に呪血鎖を連発。更に魔力撃を打ち込んでいく。
コングは顔面にシラスを貼り付けたまま振り返り、そしてサイズへ拳を振り上げた。
とっさに防御姿勢。
が、次の瞬間にサイズはじゃがいもみたいに大地に埋め込まれていた。
構えるまでは丸わかり。防御も回避もできるはずの隙。にもかかわらず、ひとが落ちるとわかっている雷を回避できないかのように、強引かつ高速にコングの拳は打ち込まれた。
事実、拳を振っただけなのにゴゴンという空気を切り裂く音がした。
「まるで怪獣だな。さては儂では勝てんな? ああ、そういうことなら」
ヘヴン・セブンスレイ。
メーヴィンは半身装着型練達式殲滅機導弓マナースターを構えた状態でコング側面へ回り込み、連続の攻撃を叩き込んでいく。
ぶっといフレシェットがコングに大量に打ち込まれ、常人であればすでに死んでいるような破壊が行われた。
が、コングは依然として立ち、そして激しく咆哮した。
「グオオオオオオオオオオ! ホアーーーーーーーー!!」
顔面に張り付いて呪いを叩き込んでいたシラスが、そして側面に立っていたリアナルまでもが、咆哮によっておこったエネルギーの波で吹き飛ばされる。
両手をあえてグーにして、鋼の鎧にドラミングを行うコング。
重い金属を激しく打ち鳴らす豪快な音に、観客たちが盛り上がる。
「HAHAHA……さすがだコング。さあ」
貴道はコングの前に立ち、ファイティングポーズをとった。
「約束通り、殴り合おうか」
「ウホ」
ドラミングをやめ、同じくファイティングポーズを取ってみせるコング。
貴道は目を見開き、たった一瞬だけ鬼のような本性をのぞかせ、まっすぐな拳を叩き込む。
コングの顔面に突き刺さる拳。
「なるだけ俺に付き合ってもらうぜ、せっかくの機会なんでな!」
コングはそれを頬で受け、クロスするように貴道に己の拳を叩き込んだ。
きりもみ回転して吹き飛び、闘技場の壁に叩きつけられる貴道。コングの宣伝するボディーソープの看板を破壊し、激しい音を響かせた。
一方のコングは頬を抑え、頭を抑え、くらくらと頭を振った後。どしんとその場に尻もちをついた。
「ローレット、ツヨイ。魔種倒す、ワカル。ミンナ、ローレット、讃えろ!」
ホワーと叫び、ドラミングを始めるコング。
観客たちはローレット・イレギュラーズの奮闘を讃え、拍手とコールを送った。
●A級の金で焼き肉を食おう!!!!
「わー! すごーい!」
「すごーい! 腕がもう丸太!」
「ウホホウッホ! ウッホウッホ!!」
ニーニアとヴォルペがコングの両腕にぶら下がって軽くくるくる回されながら大通りをゆく。
それを通行人たちはいーないーなーといいながら眺め、子どもたちはぼくもわたしもといってコングのもとへ駆け寄った。
結果としてコングはプレスリージャケットのごとく両腕に大量に人をぶら下げたまま、ダブルバイセップス姿勢で大通りを闊歩するという有様になっていた。
そんな風景を眺めながら、サイズがへし折れた標識を修理している。
(こんな時まで働くのかとか言われそうだが……治せるのに壊れた物を放置しておくのは我慢できないからな。鍛冶屋と言うか武器としての本能と言えばいいのか……うむ……)
試合のあと、コングとあれだけガッツリ戦ったイレギュラーズは観客たちに褒め称えられ、あんたならウチでスターになれるよとファイターチームに勧誘されたり世界を目指さないかとレスリングジムに勧誘されたり子どもたちにサインをねだられたり美女に連絡先カードもらったりした。
このもみくちゃは日暮れまで続くのではと不安になったところで、コングがイレギュラーズたちを鷲掴みにして『肉、食う!』といって歩き出し……そして今に至るのだった。
「さて、肉だ肉! とりあえず儂はゴング殿や店長のおすすめを――」
焼肉店『喰らえ牛野郎』の扉を開けるとはい暴れ牛。
それをドロップキックや斧による斬撃て殴り倒す人々。
倒した牛から肉をとって提供する、ゴリラ。
「ウホッホウッホ」
「店長もゴリラ!?」
裏から割烹着を着て出てくるババアゴリラ。
「ホワッキャ!」
「母もゴリラ!?」
後ろから入ってくる常連客のゴリラとゴリラの夫婦。
「ウッホコーヒーとランチセット二つ」
「客もゴリラか!?」
「ウホ……」
コングがこっくりと頷くのを見て、メーヴィンは目から光を消した。
「あ、北国はゴリラが多いのかな、なるほど……サインもらえるかな? コング殿」
「ウホッホ!」
メーヴィンの服に直接墨汁でKONGと書きつけるコング。
すげー今更だが、コングという相性はコンバルグ・コングの頭と尻までを略したものらしい。ファミリーネームとかわらぬ。
「この恩はいずれ闘技場で返そう。今でこそ片手一捻りでやられるが、儂らはすぐに強くなる。その時は全力で避けさせるからな。絶対だ」
「オマエ、強くなる。オレ、マッテル」
どん、と肩を叩いて席につくコング。
貴道はその向かいに座った。
「次やる時はタイマンでやり合いたいもんだぜ、HAHAHA!」
「その時、マダ、来ない。けど、いずれ来る。オマエ、強くなる」
「ウホ!」
店長の宇宙怪獣デスゴリラ(本名)がどんぶりの白米を二人の前にドンと置いた。
一方で、暴れ牛(今から食う肉)を自力でドシャアって殴り倒しながら振り返るシラス。
「コンバルグはさあ、何で闘士になったの?
ラド・バウ以外じゃ戦わないわけ?
まあ、兵士って柄じゃないだろうけど、怪物退治なんて頼られたりしない?」
「オレ、闘技場しか、ワカラナイ。他の戦い、ムズカシイ。キライ!」
「ムズカシイかー」
なんでも屋のローレットに所属し、元から色々と器用なシラスから見ると珍しいが、コングは闘技場に人生を捧げ、闘技場の中だけでその力を奮ってきた人間であるらしい。ソレ以外のことはてんでダメなのかもしれない。
山積みにされていく肉を片っ端から焼いては食っていく実験体37号。
「コング、どうやったらそんなに強くなれる?」
「戦う! 鍛える! 強くなる!」
「シンプルだなあ……」
「じゃあ俺からも質問、いいですか」
威降が焼き肉にタレをつけて食べながら言った。
「今まで戦ってきた中で一番思い出深い戦いはありますか?」
「…………」
コングはしばらく手を止めて黙ったあと、小さく首を振った。
「一番、ない。全部、カラダが覚えてる。今日のバトルも」
コングは噛みしめるように目をつぶると、人の頭くらいあるマンガ肉をかじり取った。
「いいバトルだった。オマエたち、もっと強くなる。なれ!」
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
今回の戦いはコングの歴史の一ページとして刻まれました。
いつかきっと、彼と対等なランクで、一対一で勝負をする日が来るでしょう。
その時は、あなたもA級です。
GMコメント
ついに登場A級闘士、コンバルグ・コング。通称KONG、または十倍暴れゴリラ。
8人係で彼と戦うイベントをぜひお楽しみください。
内容は『派手なプロレスを見せつける』のみ!
あと焼き肉! ゴリラの金で、焼き肉!
■オープニングイベント
地方闘技場開会式で『A級闘士とたたかってみよう!』というイベントが開催されます。
お相撲さんが秋場所イベントで来場者と遊ぶ感じをご想像下さい。
その対象者として皆さんが選ばれました。なにげにギャラも出ます。
形式は4体1を2セット。
皆さんは一旦四人組を作って、前半戦と後半戦に分かれてください。
このときメンバーの戦力バランスや前後衛等のバランスをとらなくてOKです。ロマンと好みでチームを組んでください。
■コンバルグ・コング(イベント仕様)
圧倒的パワーとタフネスで相手を粉砕するA級闘士。
強くて優しくてゴリラというイケメン三拍子のそろったファイターです。
細かいことを考えるのが苦手だがそれを補って余りあるパワーで全てを解決します。
普段から『オレ、ハンバーガー、喰う!』くらいの乱暴な言葉で喋りますが、戦闘となるともはや人語を忘れたんじゃないかってくらいウホウホ言いながら全てを粉砕します。
さて今回。手加減苦手そうなゴリラですが、基本的に他人に優しいのでイベントに向けてこちらが戦いやすいスキル構成やコンディションを整えてくれているようです。
とはいえ攻撃力はハンパなく、パンチで相手を吹っ飛ばしたり球体状になって全員轢いたりという派手なパワーファイトを見せてくれます。
また皆さんの攻撃は一通りかわすことなく受けてくれるようなので、この際こちらも派手にいきましょう。要するにプロレスです。
ターン数が短く設定されているので、勝敗がつく前に終了するはずです。
■焼き肉!
コンバルグの奢りで焼き肉を食べます。値段はふせますがすげー高級なやつです。
A級闘士だからかなんなのか、コンバルグはお金をいっぱい持っているようです。(普段からあちこち壊していますが全部イロつけて弁償しているので皆フツーに許しているみたいです)
店は『食らえ牛野郎』。超高級暴れ牛をその場で殴り倒して肉をとる(牛は根性で再生する)というどうかしてる店です。店長はゴリラです。ゴリ友達です。
好きな肉をオーダーしながらコンバルグと遊びましょう。
コンバルグは細かいこと考えられないですが基本的に他人に優しいので大体のことは応えてくれるはずです。
■■■アドリブ度■■■
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。
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