PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ひかりの輪舞曲

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●Phantom Nightのその裏で

 ――ゆめ? うつつ? ううん、ここは”さかいめ”。
 ヒトの仔たちよ、僕らの姿が見えるかな?

 年に一度の楽しい夜がやってきた!
 こんなたのしいおばけのよるを、たのしまないなんてきっとうそ!

 さぁさヒトの仔たちよ、踊っておくれ!
 僕と、私と――きみと、あなたと!



 『鬼火たちがやってくるわ』
 『鬼火たちが夜にすがたをあらわすの』
 『鬼火たち、きっと寂しいのよ』

「鬼火たち――?」
 友人である精霊達とお喋りしていた『夜鷹』エーリカ・マルトリッツ(p3p000117)はそんな話を耳にする。
「なにか悪さをするヤツなのか?」
「ううん、光の精霊、彷徨う魂――ウィル・オ・ウィスプだそうなんだけど……」
 『濃紺に煌めく星』ラノール・メルカノワ(p3p000045)の疑問に首を横に振って答えるエーリカは、精霊達に聞いた話を続ける。
 なんでも沢山のウィル・オ・ウィスプがFairyTail Of Phantomの騒ぎに紛れてやってくるのだとか。
「歌って、踊ってと強請ってくるそう……」
「ふむ、それは困った精霊達のようだな」
 話を聞いていた『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)苦笑する。隣に寄り添う『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)も話を聞いて思案する。
「普段は無害だけどこの日ばかりはやんちゃに騒ぐ精霊達、か。戦って大人しくさせて良いそうだけど……」
「うん、精霊達に死の概念はないから……戦って発散させれば落ち着くと思うの」
 エーリカの言葉に『Calm Bringer』ルチアーノ・グレコ(p3p004260)と『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)が顔を見合わせて何だか楽しそうと笑い合う。
「ファントムナイトの夜に精霊と一緒にダンスだなんて、素敵かも。そう思わないルーク?」
「確かに幻想的かもね。でも羽目を外しすぎて怪我しないようにねポー」
 同じように話を聞いていた『瑞花』アイラ(p3p006523)も隣に並ぶ瑠璃色の少年――『揺蕩う瑠璃』ラピス(p3p007373)へと笑いかけて、
「ファントムナイトですし仮装したら良いのでしょうか? どんなカッコがいいでしょうね?」
「どんな格好でもきっと似合うと思うよ。でもせっかくだから、合わせてみようか?」
 それを聞いていたポテトも手を合わせて賛成する。
「楽しそうだね。リゲル私達も、なにか合わせてみないか?」
「あ、それならルーク私達もやろう!」
「なんだか賑やかになりそうだ」「まったくだね」
 盛り上がる面々を見ながら、エーリカはラノールの袖を引いた。気づいたラノールは微笑んで囁いた。
「……俺達もなにか合わせようか?」
「……うん」
 ファントムナイトのその裏で、恋人達と精霊達の愉快で楽しい華やかな輪舞曲が奏でられそうです。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 シナリオリクエストありがとうございました。
 ちょっと遅くなってしまいましたが、ファントムナイトに起きた出来事です。
 恋人と共に精霊達との輪舞曲に臨みましょう。

●達成条件
 全員笑顔で、歌って、踊って、精霊達を発散させる。

●情報確度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は起きません。

●このシナリオについて
 ファンタムナイトの騒ぎに乗じて、境界より出でるウィル・オ・ウィスプを満足させるお話です。
 精霊達は普段は無害ですが、この日ばかりは自分達も楽しみたいと、やんちゃに戯れてきます。放っておけば、色々と問題が出てきてしまうでしょう(自然発火とか、霊傷が出来たりとか)。
 それらを回避するために、精霊達と戦って気を鎮め発散させましょう。
 ただし、ただ武器を振り回すだけでは精霊達を満足させることは出来ないでしょう。
 精霊達は『歌って!』『踊って!』と口々に強請ってきています。その願いを叶えましょう。

 と言うわけで以下の要点を押さえ精霊達との輪舞曲に臨みましょう。

 ■仮装する!
 どんな仮装でも構いません。自由です。恋人とコンセプトを合わせるとポイント高いです。

 ■歌う!
 どんな歌でも構いません。恋人と合わせてもよし、全員で一つの歌を唄っても良しです。

 ■踊る!
 どんな踊りでも(ry)。情熱的なのも、軽やかに楽しいものでも、なんなら手を繋いでくるくる回るだけでもオッケーです。

 ■戦う!
 以上を踏まえつつ、ウィル・オ・ウィスプにアタックしましょう。仮装からイメージできる戦い方でもいいですし、歌をそのまま攻撃にしてみても良いですし、踊りに攻撃を仕込んでも良いです。なんなら攻撃を行わないで、精霊達と歌って踊れるアイドル対決してもよいです。兎に角楽しみましょう。
 
●舞台について
 幻想の森林地帯にある村が舞台となります。
 ファントムナイトのお祭り中なので、夜でもやや明るめです。
 雑貨等だいたいのものは揃えられます。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • ひかりの輪舞曲完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月24日 22時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラノール・メルカノワ(p3p000045)
夜のとなり
エーリカ・メルカノワ(p3p000117)
夜のいろ
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
アイラ・ディアグレイス(p3p006523)
生命の蝶
ラピス・ディアグレイス(p3p007373)
瑠璃の光

リプレイ

●鬼火を誘って
 ファントムナイトのその夜に、誘われ出でたる鬼火達。
 悪意は無くとも放っておけば、人には迷惑かかるものだ。ならばと話を聞きつけたイレギュラーズは、ファントムナイトに相応しい装いで、鬼火達を誘いにやってきた。
「みんな、みんなでておいで。
 ここはさかいめ。ヒトも精霊も、みんながしあわせになれる夜」
 金色の月桂樹の冠を揺らし、真白い布を棚引かせ、夜の村を歩くのは『夜鷹』エーリカ・マルトリッツ(p3p000117)。傍らにはキトンと呼ばれる衣服を身に纏い、銀の月桂樹の冠を被った『星の精』――『濃紺に煌めく星』ラノール・メルカノワ(p3p000045)が連れ添い歩く。
「鬼さんこちら。ほら寄っておいで、楽しい楽しい夜の始まりだ」
 ラノールの手拍子に釣られて、鬼火達が寄ってくる。驚く村人達にエーリカは微笑みかけて、
「これから星が降りてくるの。
 やけどしないように、おうちのそばでみていてね。そうすれば、わたしたちが、この村にさいわいをはこぶから」
 と、お菓子を配り歩く。
 エーリカ達とは別の場所でも、イレギュラーズは練り歩いている。村の東を歩くのは優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)と『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)の夫妻だ。
「ファントムナイトの魔法は不思議がいっぱいだな。
 でも、せっかくだから私たちも楽しませて貰おうか」
「ああ、勿論さ。美しき私の王妃よ」
 魔王の仮装に身を包んだリゲルが恭しく魔王の妃であるポテトの手の甲に口づけをする。互いの仮装姿に少し照れくさく微笑みながら、肩を寄せ合い村の広場へと向けて行進する。
 鬼火達もそんな二人の後を追いかけて、愉快な魔王軍の行進を演出する。
 南には『Calm Bringer』ルチアーノ・グレコ(p3p004260)と『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)が並んで歩く。
 魔女の装いのノースポールが使い魔の黒猫に扮するルチアーノに微笑みかけて、
「ふふっ、黒猫のルークはとっても可愛いなぁ♪」
 と笑えば、ルチアーノが、
「こんなお化けになるのなら、ファントムナイトも悪くはないね。
 勿論一番可愛いのは、ポーだけどね」
 と悪戯気味に上目遣いで笑いかける。
 そんなルチアーノの表情に思わず胸を高鳴らせて、頬を染めたノースポールは、
「こ、今夜はね。とびっきり楽しくなれる魔法をかけるよ!」
 と、指先をくるくると回して、軌跡を光らせる。
 鬼火達は誘われるように軌跡の後を追い、二人と共に村の広場へと向かう。
 村の西では二つの青が手を取り合い見つめ合っていた。
「空の青? ちがう。じゃあ、海の青? これも、ちがう。
 ボクの知らない青色のあなたに、深い海の底で、恋に落ちたの」
 恋をつぶやくのは『瑞花』アイラ(p3p006523)だ。視線の先、瑠璃色の髪を揺らす『揺蕩う瑠璃』ラピス(p3p007373)にニコリと微笑んだ。
「なんて、ふふ。はろいん、ぽいかなって。どうだった?
 人魚姫のおはなしの続き。陸の上でもう一度。王子様と恋をするの」
 ハニカミ顔で言うアイラに、ラピスも微笑み返して真摯に言葉を返す。
「瑠璃とも、青玉とも違う、美しく澄んだ蒼の君。
 近しい色でも違う色。しかしだからこそ、僕も君に惹かれたのだろう」
 演じるように言うけれど、その言葉は嘘偽り無い本心だ。
「人魚姫と出逢った王子はその恋を忘れる事は出来ない。
 そう。これはきっと、皆が望んだハッピーエンド」
 魔法の夜に二人きり。人魚姫と王子の秘密の逢瀬を鬼火達も見守って。
「とりっく・おあ・とりーと! ですよ、ラピス。
 甘いのも、悪戯も。どっちだって、キミなら歓迎、です」
「甘いものか、悪戯か? それなら――」
 ラピスは思う。アイラには悪戯の方が可愛い反応が見れるかな、と。
 だからそっと額に優しく口づけを。
「……っ、もう!」
 頬を熱く染め上げて、アイラはお返しにラピスの頬にキスをした。そして背伸びしたまま上目遣いにラピスを見つめて言うのだ。
「他の子のこと見ちゃ、だめ!
 女の子、キミの事見てたから。キミはボクだけの王子様、でしょう?」
「余所見なんて、してないって。素敵だな、と思ったのは本当だけれど。
 僕の瑠璃に映るお姫様は君だけだよ」
 熱い視線を繰り交わし、二人は手を取り歩き出す。
 向かうは広場、村の中心だ。
 ファントムナイトに鬼火達がゆらゆらり。夜闇を照らしてゆらゆらり。
 楽しくはしゃぐ、輪舞曲が始まった。

●ひかりの輪舞曲
 ぱち、ぱち。ぱち、ぱち。
 村の広場へと辿り着いたエーリカが、手拍子を行えば、釣られて鬼火達もゆらゆら揺れる。
「こわくないから、みんなも一緒に」
 様子を伺う村人達に微笑みかけて、跳ねるようなリズムでぱち、ぱちと。
「続々と集まってきたな。そろそろ頃合いだ」
 他方より鬼火を集めてきた仲間を見つけ、ラノールがエーリカへと手を伸ばす。用意された音楽が賑やかに奏で始めた。
「それじゃ一曲踊ろうか」
「……うん」
 手を取るエーリカは緩やかに足を踏み出し、軽やかにステップを踏む。ゆっくり一歩ずつ確かな足取りで。
(あなたはわたしのみちしるべ。それは確かな星のひかり)
 周囲に楽しげに揺れる鬼火達を見やりながら、エーリカはラノールとの確かな結びつきを感じた。
「こうして光の中を回っていると、まるで月と星が空をぐるぐる回るようだ」
「わたしが月で、ラノールが星。まわりの鬼火たちも輝いて……まるでほんとうに星の海を泳いでいるみたい」
 確かな星のひかりを感じながら、エーリカは思う。
(みんなと……あなたと、この夜を愛したい)
 そんな想いをラノールも感じ取って、月の光を導くように、エーリカをエスコートしていった。
「素敵なダンスだな。私達も負けていられないぞ。
 みんなの歌に合わせて一曲踊っていただけますか? 私の魔王様」
 ラノールとエーリカのダンスを見ていたポテトが、恭しくお辞儀をし、リゲルへと声を掛ける。
「喜んで。では手をどうぞ、私の王妃よ」
 そんな演技に二人は笑い合って、手を固く握り合う。
 好きに歌を奏で、好きに合わせて踊る。
 格式ばったダンス論などお構いなしの、自由で、原初的なダンス。けれど、そこにこそ本質的、本能的な意味があり、そしてそれをポテトは懐かしく思った。
「こんな自由なダンス、元居た世界での精霊たちのダンスを思い出すな。
 リゲルには少し踊りにくいかな?」
「踊りにくいだなんてとんでもない。
 格式に拘らない自由なダンスこそ生き生きと踊れるというものさ!」
 固く手を握り合ったまま、リゲルは器用に片手で剣を振るう。光輝く剣閃の煌めきが、星の海に軌跡を描いて、流れ星のように見る者を魅了する。
 鬼火達もそんなリゲルとポテトの動きに魅了され、一つ、また一つと満足気に光を揺らした。
 広場の上空ではルチアーノの手を取って、ノースポールが白雪の翼を広げて飛行していた。鬼火達も二人を追うように空に広がり光を揺らす。
「……僕達も鬼火になったみたいだね?」
「本当だね! 仲良くふわふわ、私達も鬼火みたい」
「ねえ、一緒にくるくる回ろうよ!」
「うんっ! 星空の舞踏を始めよう!」
 魔女と使い魔を中心に、光が回る。くるくるくるくる、星が巡る。
「歌はね、とっておきのがあるんだ――『さまふぇす!』で作詞したあの歌を歌おうよ!」
「あの時の歌!? じゃあ、ちょっと変えようか!」
 それは幻想アイドルののイベントで飛び入り参加したときに作った『ふわふわ♪マシュマロ』の替え歌だ。

 ♪ふさふさしっぽが とっても可愛い!
 ♪お菓子のようで お菓子じゃない
 ♪黒くてふわふわ さわやか笑顔 僕はルチアーノ 黒猫だよ(にゃーん)

 明るく楽しく笑顔の二人が歌い上げれば、鬼火達も嬉しそうに光を明滅させる。
「鬼火達も、もっと踊りたくなってこない?
 今日は特別な夜なんだ、僕達と一緒に、思い切りはしゃごう!」
「そうだねっ。こんなに不思議な夜は、忘れられないよ!」
 ルチアーノとノースポールの二人がくっついたり離れたり、広場の空で見事なダンスを見せる。二人に合わせるように鬼火達もまるで踊るように夜空を彩った。

 広場へと向かう道をゆっくりと歌い歩くアイラとラピスの二人。
「ボクらと一緒に、うたっておどりませんか?」
 二人へと戯れてくる鬼火達にアイラが手を差し伸べる。喜ぶように鬼火が揺れる。
 そんなアイラと鬼火を見て、ラピスが内より湧き上がった感情を言葉と歌へと変える。

 深き海、暗き海、触れ得ぬその場所で踊るきみ
 揺蕩う灯火、光の精、ゆめまぼろしと舞うきみに恋い焦がれ
 我が声よ届けと僕は歌う
 彼方にありし姫君よ
 どうか魔法の限り、共に――

 ラピスの歌い上げる歌に合わせて、アイラが流麗な踊りを見せる。そして踊りに合わせて鬼火達に優しく放たれる魔力が、鬼火達の気持ちを昇華して天に還していく。
「水面煌めく海のいろを、星屑彩る夜のうたを、波のおとを――」
 王子の声を、人魚の舞を どうか見逃すことのないように。
 アイラの生み出した蝶を先頭に、人魚姫と王子の行進は続く。
 舞い歩くアイラを妨げぬように、見届けるように、ラピスは一歩引いてアイラと鬼火達の戯れを眺める。
 けれども、嗚呼、けれどもだ。
「――僕が彼女に恋をした。彼女こそが僕の姫君だ――」
 我慢出来ぬように、『静寂のバラード』の中にあっても、終いには声高に『名乗り上げる』
「精霊達よ、僕の姫を独占させはしないよ――僕の歌にも付き合って貰おう」
 そうして、更に情熱的に歌いながら二人は村の広場へと辿り着く。
 そこには仲間達が同じように歌い踊りながら待っていて、アイラとラピスの二人は顔を見合わせ微笑み合うと、その輪の中へと向かっていった。
 ひかりの巡る輪舞曲。
 イレギュラーズの持てなしは鬼火達を満足させてるものとなるのだった。

●甘い一時
「ふう……」
 一つ小さく息を吐いて、エーリカは腰を下ろした。
「疲れたかい?」
 ラノールが声を掛けると、エーリカはハニカんで答える。
「楽しいから、時間を忘れちゃうね……少し休憩」
 並んで腰を下ろすラノールに、エーリカは指さし愛おしそうに言葉を零す。
「重なる音、重なる声、重なるひかり――とてもまばゆくて、こんなにもいとおしい」
「ああ。人と精霊達との交流。こんな夜でなければ難しいだろうな」
 ラノールの言葉に、エーリカは頷いて、今日という日とやってきた鬼火達を微笑ましく眺めた。
 そこにポテトとリゲルが揃ってやってくる。
「踊りは思っていた以上に体力を使うな……少し休憩だ」
「ならお茶にしよう。二人もどうだい? 一緒に休憩としよう」
 リゲルの提案をエーリカ達は歓迎し、共に一時休憩を取ることにした。
「リゲルの淹れる紅茶は凄く美味しいぞ。それに、お茶請けも用意してきたんだ。
 おばけのムースに南瓜のプリン、スケルトンクッキーもあるぞ」
「わ、かわいいね。おばけのクッキーにしようかな」
「紅茶も良い香りだな。何の紅茶なんだ?」
 エーリカがクッキーを選んでいる横で、ラノールが紅茶を淹れるリゲルに尋ねる
「ブルーマロウのハーブティーだ。夜空色をした少し変わった紅茶なんだよ。
 ポテトのお菓子は格別に美味いんだ、さぁみんなで食べよう」
 お菓子を一口頬張れば、程よい甘さが口中に広がって――
「とっても美味しい」
「思わず幾つも食べてしまいそうになるな」
「ふふ、ありがとう。一杯用意したからな遠慮せずに食べてくれ」
 そんな四人を見つけたルチアーノとノースポールもやってくる。
「いっぱい動いたら疲れちゃった……と思ったらみんなも休憩してるんですね。一緒しちゃおうかな?」
「二人も遠慮せずに食べてくれ。アイラさん達も呼んでこよう」
 そうしてイレギュラーズの輪は四人から六人、そして八人へと変わる。
「ご主人様、大丈夫? 疲れてない? だっこする?」
 デキる使い魔である所のルチアーノがご主人様(ノースポール)に尋ねると、少し恥ずかしがりながらもノースポールは、
「えへへ。それじゃあ、使い魔さんのお言葉に甘えちゃう!」
 と、ルチアーノと身を寄せ合って、お菓子と紅茶を美味しく頂いた。
 それを横目に見ていたラピスが、
「アイラも、だっこする……?」
 と、尋ねると、アイラは赤面して答えた。
「さすがに、みんなの前は、恥ずかしいかもです……」
 そんな二人のやりとりを周りの仲間達は微笑ましく見守っていたり。
「歌を歌うのか? 歌は自信ないんだけど……娘とたまに歌う歌で良いか?」
 子供が好きそうな明るく楽しい曲か、子守唄ぐらいしか歌える曲がない、というポテトは、童謡のような曲を歌いながらぽんぽんと魔力を飛ばす。それは遊ぶようにも見えて、イレギュラーズは真似して鬼火達を擽るように魔力を飛ばす。
「リゲルはどんな歌を歌ってくれるんだ?」
「娘と歌う歌か……そうだなキラキラ星の歌はどうだい? 一緒に穏やかに歌おうじゃないか」
 そう言ってリゲルはキラキラ星の歌を歌い出す。すぐにイレギュラーズ達は合唱を初めて、歌で鬼火達を楽しませていった。
「夏や冬の星が有名だけれど、秋の夜空に光る星々も、美しいものなんだ。
 ウィスプ……君達も綺麗だね、心から輝いているように見える。
 今宵が心躍る素敵な夜だからだろうか」
 甘いお菓子に、美味しい紅茶。そして揺らめく光達。
 甘い一時と共に、夜はさらに更けていき、そして精霊達との別れの時が来る――

●消えゆく鬼火が幸せを運ぶ
 ファントムナイトの夜は更け、やがて宴は終わりの時を迎えようとしていた。
 鳴り止まない拍手の中、はしゃぎつかれた鬼火達をエーリカが優しく抱き留める。
「おやすみなさい、いいゆめを。
 ……だいじょうぶ。また、あえるよ」
 エーリカの言葉に反応するように、光が明滅する。一つ、また一つと仄かな明かりを残して消えて行く。
 エーリカの傍に立つラノールが、エーリカと微笑みあいながら精霊達へと言葉をかける。
「次は私達の家に来ると良い。
 君達精霊の事をよく分かってくれる少女と。
 少女を慕う他の精霊達と。
 少女の一番の理解者がそこで待っているから」
 ラノールの言葉に、エーリカは心が温かくなる。ラノールは武器を振るって鬼火達を天へと還していった。
「鬼火達が還っていくな……幻想的な光景だ。
 楽しいファントムナイトを有難う。また来年楽しみにしている」
 鬼火へと別れを告げたポテトが隣に寄り添うリゲルにそっと寄りかかる。そんなポテトの肩を抱きリゲルは同じように鬼火達を見送った。
「とても楽しかったよ。有難うな! 来年のこの季節も楽しみだ 」
 ノースポールとルチアーノも鬼火達を見送っている。
「毎日がファントムナイトならいいのに……というわけにもいかないかな。
 また遊びに来てね!」
 手を振るルチアーノと一緒に、ノースポールも手を振って空を仰いだ。
「綺麗だねルーク。 それにとっても楽しい時間だったよ」
「まだまだ遊べる元気がある?」
「うん。私達のファントムナイトは、まだまだ終わらないよ♪」
 アイラとラピスもまた、揃って鬼火達が消えゆく光景を眺めていた。
「素敵な夜をありがとう。とても楽しかったの」
 笑みを零したアイラにラピスも微笑んで、鬼火達に礼をする。
「経験した事の無い素敵な夜だった。ありがとう」
 そうして二人は顔を見合わせて、二人だけに聞こえるように囁いた。
「それからラピス。魔法がとけても、傍にいてくださいね」
「――此方こそ。魔法が無くとも、アイラにこそ傍に居て欲しいのだから」

 ファントムナイトの夜が明ける。
 ひかりの輪舞曲も一緒に終わるけれど、この時感じた幸せは、きっと何時までも忘れないものになるだろう。
 願わくば、また来年。鬼火達がやってくることを期待して――

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れ様でした。

 素敵なファントムナイトになったかと思います。

 ありがとうございました! またのご依頼お待ちしております!

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