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シナリオ詳細

小さなその手を握り返して
小さなその手を握り返して

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 それは一瞬で起きた悲劇。
 勤めを終えた聖女が馬車に乗るために移動していた僅かな距離。
 10mにも満たないその距離を歩く間に聖女は攫われた。
 声を出す暇もなく、護衛が剣を抜く暇もなく。
 聖女を攫ったのが、聖女が信頼していた護衛の一人だったから。
「姫様!」
 残された護衛がすぐに聖女を追おうとするが、足となる馬は連れていかれた。
 それでも彼は必至になって追いかける。
 聖女と、聖女を攫った護衛が向かった先には森がある。
 その森に逃げ込むつもりなのだろう。
 だけど森に行くまでには途中で川がある。
 馬で通れる橋に行くには大回りしなければいけない。
 そして森の中にいる精霊たちは聖女の友達だ。
 きっと聖女の事を守ってくれる。
 だけど相手が何人いるか分からない。
 自分一人で聖女を無事に助け出せる自信はない。
 それでも、今足を止めるわけには行かない。
 誰か手を貸してくれる人と出会えることを願いながら、聖女の後を追うのだ。


「聖女が攫われて、それを助けに護衛が追いかけているの。お仕事だからって言うのもあるかもしれないけど、凄いと思わない?」
 小さくポルックスが首を傾げ、本を差し出す。
「でも、聖女を見つけ出して、守って、敵を倒してとなると人手が足りないみたい。手伝ってあげてくれない?」
 幸い聖女が何かされる前には到着するようだ。
「彼は敵の人数を把握していないけど、敵は全員で五人ね。貴方たちだけで倒しても良いけど、元護衛は彼に倒して貰うのが良いかもしれないわ」
 敵を倒せば後は彼が何とかしてくれる。
 囚われのお姫様を助けるその手伝い、手を貸してくれないだろうか?

NMコメント

 偶には格好良いお話も! と言うことで、攫われた聖女を助け出すお手伝いをしていただけませんか?

●目的
敵をすべて倒して聖女を助け出す

●場所
 人の来ない森の中。
 聖女が囚われているのは小さな小屋の中。

●敵
 別の国に聖女を売り払おうとしている集団。
 それなりに強いが、あくまでそれなりに。きちんと鍛えている人に比べれば弱い。
 全員接近戦に秀でている。魔法が使えない、遠距離向けの武器を使えないとも言う。
 唯一元護衛だけは鍛えているが護衛に比べたら弱い。
 見張りは外に二人。残り三人は小屋の中で暇にしている。

●護衛
 聖女を守っていた青年。名前はフォルス。
 魔法に適正はないが、その分剣技を磨いて聖女の護衛になった。
 元護衛とはあまり仲は良くなかった。

●聖女
 癒しの力を持つ聖女。
 聖女になったばかりで日々勉強中。

●その他
 聖女は薬で眠らされているので抵抗したり邪魔したりはしません。
 森の中では聖女のいる小屋まで精霊たちが案内してくれます。

 ほのぼの低めの戦闘多めになると思いますが、よろしくお願いします。

  • 小さなその手を握り返して完了
  • NM名ゆーき
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月09日 22時45分
  • 参加人数 4/4人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

アラン・アークライト(p3p000365)
勇者の使命
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
かくて我、此処に在り
メルトリリス(p3p007295)
聖少女
回言 世界(p3p007315)
付与の魔術師

リプレイ

●大切な存在を取り戻すために
「本当に……姫様を助けるために手を貸してくれるのか……?」
 例え仲は良くなかったとしても、元は共に聖女を守っていた仲間に裏切られたフォルスは、急に現れたイレギュラーズを信用することが出来なかった。
「普通は急に現れた奴が手を貸すなんて言っても信じられないだろうし、アンタの懸念は最もだと思う。でも、俺たちは聖女をどうこうするつもりはない」
 『かくて我、此処に在り』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)が肩を竦める横で、『勇者の使命』アラン・アークライト(p3p000365)は顔をしかめた。
「聖女……か。嫌な感じだ。あいつを思い出す。でも、だからこそ、今はこいつを守らなきゃな」
 聖女という言葉に顔をしかめるアランとは対照的に、『付与の魔術師』回言 世界(p3p007315)は聖女の存在に疑問を抱いているようだ。
「聖女様ってのはそんなに価値のある存在なのかね」
「姫様は聖女となったばかりで出来ることは少ないが、少なくとも私にとってはかけがえのない大切な存在だ」
 絞り出すようなフォルスの言葉に、世界はフォルスを見た。
「ともかく、俺たちは人攫いの悪役をぶっ倒して聖女様とやらを助けだす手伝いをするだけだ。助け出した後は任せたぜ」
 やることが単純なのは楽で良いなと呟くと、ちらほらと見える精霊たちに声をかける。
 精霊たちは聖女を助けるためだと聞いて、張り切ってフォルスたちを案内し始めた。

(聖女は幸福を与える方……。他人の幸福を祈り、手を差し伸べる義務がある。でも聖女が幸福を望む時は、誰に頼ればいいの……)
 森の中を進みながら、『聖少女』メルトリリス(p3p007295)が心の中で自問自答する。
 だが、答えは目の前に。
(きっとあの聖女には、騎士様がいる)
 だから大丈夫だと、遠くに見えた粗末な小屋を見る。
「見張りは二人か。行くぜみんな。聖女様を助けに行くとしようぜ」
 アランとマカライトが剣を抜き、見張りの様子を確認する。その間に世界は精霊たちに聖女を守るように頼んだ。
『良いよ。あの子守るね!』
『あの子の心、キラキラ綺麗で優しくて大好き!』
『一緒に遊んでくれるしね!』
 張り切って聖女の元に向かう精霊を見送ると、マカライトがフォルスを見た。
「坊主、裏切り者のトドメは隙を見てお前がつけろ」
「そのつもりだ。あいつは必ずこの手で討つ」
 剣を握る手に力が籠る。
「騎士さま。あなたの忠誠にお力を」
 メルトリリスが騎士に跪き、マカライトががっしりとした巨躯と、所々に甲殻を備えた狼のような生き物ディンダロスに乗る。
「なら、お膳立ては任せろ! 行くぞ!」
 合図と共にディンダロスを走らせ、小屋の前に居た見張りを一人襲う。
「なんだ!?」
 突然の敵襲、それも見たことがない見るからに気性の荒い生き物相手に、もう一人男は武器を構える。
 こんな早くに追手が来るなんて思ってもいなかった。
 聖女の護衛をしていた男は、もう一人の護衛の足を奪ったと言っていた。走って追いかけてきたとしても、応援を呼べる筈がない。
「こんな所で屯とは、【狩り】の処理でもしていたか?」
 その言葉に、目の前に居る男が聖女を助けに来た存在だとわかる。
 精霊が守る聖域。そんな場所で狩りを行うなど、普通ならありえないのだから。
「くそったれが!」
 マラカイトに向かって剣を向けるが、怒りで平常心を失った男が向かったのはマラカイトではなくメルトリリス。
「聖女を守るのは勇者の務めなのかな、なら今日はメルトも勇者!」
 勇ましく立ち、名乗り口上で敵を引き付ける。
 外の騒動が聞こえたのか、中から三人の男たちが出てくる。二人は見張りと大差ない装備だが、一人だけ護衛と同じ鎧を着ている。
「グリュン!」
「まさかお前がここまで追って来るとはな。余程自分を寵愛してくれる聖女が大切らしいな」
 嘲笑うようなその態度に、グリュンが、元護衛がフォルスに対して負の感情を抱いているのが見て取れた。
(同じ聖女の護衛と言えど、色々あるのかな。でも、今はこいつらを倒すのが先か)
 入口に男たちが集まっているのを見て、世界の口から冷たく重い歌が紡がれる。希望も救いもない、深い絶望へと誘う歌に、男たちの目がどこか虚ろになる。
「今だよ」
「おぅ!」
 男たちの目が虚ろになった隙にアランがその内側に入り込み、大剣を旋回させる。世界の歌に囚われていた男たちは、抵抗する暇もなく倒れて行った。
 残っているのは三人。一番初めにマカライトが襲った相手と、途中で小屋の中から出てきた男。そしてグリュン。
「雑魚は俺たちに任せて、お前はそいつと決着つけな」
 苦無型の刃と、それに繋がったチェーンが男二人を貫く。
 一瞬何が起こったのか分からなかったようだが、マカライトがチェーンを引くと、どさりとその場に倒れた。
「案外弱かったね」
 念のためにと柔らかな光が世界から放たれ、負っていた傷が癒える。
「元々それなりって話だったからな」
 アレンとマカライトの攻撃によって倒れた男たちは、逃げられないように拘束する。
 死なない程度にと傷を塞ぎ、逃げられないように縛れば、後はフォルスがグリュンを倒すだけ。
 ガキン! と剣と剣がぶつかる音がして、同時に剣が弾かれる。
「何故だグリュン! 誉れ高き聖女の近衛が、何故このようなことを!」
「誉れ高き聖女の近衛? お前のような庶民を近衛にする聖女など、聖女ではない!」
 二人ともすぐに剣を構え直す。だが、その次の動きは対照的だった。洗練された剣技を繰り出すグリュンと、粗削りで、力技で剣を振るうフォルス。その動きが、グリュンの言葉が、全てを物語っていた。
「確かに俺は貴族じゃない。だけど、姫様への忠誠は……!」
「黙れ! やっと聖女に仕えることが出来たと思ったら、お前のような庶民がいる! これほどの侮辱があるか!!」
 今まで言えなかった感情が爆発し、溢れる。それはグリュンから冷静さを失わせ、剣筋も乱す。その分一撃一撃の重みが増し、フォルスは剣を握る手に力を入れ直す。
「だから、姫様を攫ったのか……?」
「そうだ。偽物の聖女など必要ない。だから欲しがっている奴に売ってやるんだ」
 歪んだ笑みに、ぎゅっと手を握り締めたのは誰か。
「……確かに姫様は私を優遇して下さった。それは、私が姫様の、イェーラの兄だからだ……!」
 絞り出すような声に、グリュンが理解出来なかったのか動きが鈍る。
「聖女の、兄……?」
 技術と力、違う物でも均衡した戦いだった。その中で片方の動きが鈍れば、その勝敗は考える暇もなく決まる。
「ぐぁっ!」
 フォルスの剣がグリュンの頭を打つ。その衝撃に、痛みに、グリュンは剣を落とした。
「俺の勝ちだ。大人しく、裁きを受けろ」
 アランはぶちかませと言っていたが、これで十分だった。
 聖女を、大切な妹を攫われた怒りはある。裏切られたことへの憤りもある。だけどここでこれ以上グリュンを害しても、今フォルスの気が晴れるだけ。
「……有難う。お陰で賊を捕らえることが出来た」
 世界から癒しを受けたフォルスが頭を下げると、全員がまだ終わっていないと首を振る。
 そう、聖女を助け出さないと終わらない。
 そっとドアに手をかければ、軋んだ音がしてドアが開く。
 出てくる直前まで飲んでいたのか、テーブルの上には酒瓶とトランプが散乱していた。
「今日の夜中には取引相手が来る予定だったみたいだね」
 テーブルの隅に置かれていた、聖女の売買条件が書かれた紙には聖女の取引は今から約2時間後の予定だったことにほっとしたように息を吐いた。
「間に合って何よりだ。真っ直ぐ救出に向かったのが良かったな」
 フォルスが足となる物を探しに戻っていたら、追いかけずに応援を呼びに行っていたら、フォルスがここに到着したころには、聖女はここでないどこかに売り払われていた筈だ。
 ほっと息を吐く世界だが、この部屋には聖女はいない。そうなると、奥の部屋か。
「イェーラ……」
 ドアを開けると、フォルスは安心したように聖女の名前を呼んだ。
 薬で眠らされているせいか目覚める様子はないが、小さく動く胸に、生きていることが見て取れる。
「良かった、無事で……!」
 眠る聖女を抱きしめ、フォルスは深い安堵の息を吐いた。

●聖女の祝福
「皆様、本当に有難う御座いました」
 あの後、眠る聖女を連れて一行は安全な場所まで移動した。
 入れ替わりに、聖女売買に関わった者達を捕らえるグループが小屋に向かっているので、取引相手やグリュンたちは捕らえられるだろう。
 聖女は薬が切れるとすぐに目を覚まし、見ず知らずの人に囲まれていることに目を白黒させた。それでも事情を聴くとすぐに落ち着き、四人に向かって感謝の意を示した。
「それにしても……聖女がこんなに小さい子だなんて思わなかったな」
「癒しの力があるとわかったのが8歳になる前で、まだここにきて1年経っていませんから」
 言外にまだ8歳なのだと主張する姿は落ち着いているが、精一杯大人びた口調で話そうとしている姿は微笑ましい。
「姫様を助けていただき、本当に有難うございます」
 聖女の斜め後ろに立っているフォルスも頭を下げ、元気そうな聖女を見て微笑む。
「二度と、聖女さまの手を離してはなりませんよ」
 メルトリリスの言葉にフォルスは小さく、だけど力強く頷く。
「勿論です」
「お兄ちゃん……」
 嬉しいような、恥ずかしいような。そんな気持ちを隠しきれない聖女に、微笑ましい眼差しが集まる。
 だけど、微笑ましい時間はもうおしまい。
「そろそろお時間です」
 入口に控えていた護衛の言葉を聞いて、聖女は頷く。
「お礼にならないかもしれませんが、どうか皆様の旅路を祈らせてください」
 沢山の有難うを込めた祈りは、柔らかな淡い光となって降り注いだ。
「どうか、皆さまの旅路に良き風を」

成否

成功

状態異常

なし

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