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シナリオ詳細

<YcarnationS>疾風怒濤、砂鯨大隊猛進撃!

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●部隊指揮官は君だ!
 大地を踏みつけ、這うように猛進する巨大な砂鯨。
 砂鯨の背に聳え立つは強固な教会。人呼んで強襲移動教会ホエールチャペル。
 今回の行く先は――滅びたはずの『砂の都』。
 立ち塞がるは百の大軍。
 猛攻をくぐり抜け、砂鯨を都へと突入させるのだ!

 時は古代。ラサ傭兵商人連合と深緑アルティオ=エルムの間に大いなる壁があった頃。
 ある恋とその終わりによって二つの国家が友好関係を結び、その過程でひとつの都が滅び去った。
 幾千の砂に埋もれ、人々の記憶からも忘れ去られ、眠精の歌にのみ唄い残されたかの土地――通称『砂の都』。
 かつて奴隷売買で栄えたこの都市が、強大な魔種であり『砂の魔女』カノンと共に姿を現わした。
 カノンの洗脳によって動員された大量のハーモニアと、カノンに付き従う邪教『楽園の東側』。
 かつての都が再興し深緑ラサ間の勢力圏を築いたならば、滅びのアーク急増による世界滅亡への加速のみならず、これまで結ばれていた森と砂の関係も、古に隠れた恋の糸も、全てが断ち切られてしまうだろう。
「私たちは行かねばなりません。
 これ以上悲しむ子供たちが生まれないために。
 子供たちが銃をとらず生きていける世界のために。
 奴隷国家『砂の都』の台頭など、許すわけにはいきませんわ」
 教本を手に立つウサギ獣種のシスターメラン。
「ラサの自由は仁なる自由。どんな過去があったからって、弱者を虐げて好き放題なんてさせないよ」
 教本を手に立つネコ獣種のティーチャーアリコ。
 彼女たちの足下には教会。砂鯨の背に建つ教会。
 その周囲には、無数の傭兵団。
「今こそ連合の名の下に団結し――砂の都を討つ!」

●壮大なる露払い
 砂の都に続く道はおびただしい防衛戦力によって守られている。
 深く砂に埋もれていた古代の武器を手に、したハーモニアたちや、カノンに服従した傭兵たち。そしてここを死に場所と決めた邪教徒たち。
「この全てを丁寧に相手してたんじゃ兵が何人いても足りないよ。
 そこで私たち。強襲移動教会ホエールチャペルを中心とした複合傭兵部隊による強行突入で門と道を開かせる。
 主戦力を都に送り出すための、グレートな露払いだよ!」
 アリコはあなたに向け、パッと両手を開いて見せた。
「みんなに依頼したいのはこのホエールチャペルの防衛……というか、防衛部隊の指揮と扇動かな。
 約10部隊がホエールチャペルの随伴護衛にあたっているけど、彼らを統制するためには先頭に立って戦う『希望の象徴』が必要なの。
 それが、君たちってわけ」
「自覚しておられますか? 私たち界隈の人間にとって魔種を打ち破ったローレット・イレギュラーズはヒーローなのです。
 我々を扇動し、先導し、勝利への道を切り開いてくださいな」

 ミッションそのものは単純である。
 このホエールチャペルを扇状に囲むようにして十部隊を展開。
 それぞれの部隊の指揮官として、イレギュラーズがひとりずつ配置される。
 ホエールチャペルは砂の都にそびえる巨大な門めがけて突き進むが、それを破壊せんと攻め込んでくる『砂の都』軍からホエールチャペルという移動拠点を防衛。
 門まで到着したら門番として配置された敵精鋭戦力とぶつかるべく、こちらも少数精鋭で戦いを挑むのだ。
「門の前まで来たら、十部隊は道を確保するための作戦に切り替えますわ。
 牽制と確保は彼らに任せて、皆様は敵精鋭部隊との戦闘に集中してくださいませ」
「私たち傭兵団の役目はホエールチャペルを門まで届けることであると同時に、君たちっていう重要な精鋭戦力を門にぶつけることでもあるってワケ。
 要は君たちなんだからね。頼んだよ?」
 オオン――と大きく吠えるホエールチャペル。
 砂の都が、見えてくる。

GMコメント

 このシナリオは大隊戦闘シナリオです。
 皆さんはそれぞれ部隊指揮官となって先頭に立ち、この戦いを勝利に導くのです。

 プレイングおよびリプレイは【部隊編成】パートと【大隊戦闘】パート、そしてクライマックスの【精鋭戦闘】パートに分かれます。
 それぞれ必要なプレイングフックが異なるので、説明をよくよんでご参加ください。
(※官位が与えられるわけではありませんが、便宜上指揮官という言葉を使っています)


■【部隊編成】パート
 皆さん1PCに対して10~20人程度の傭兵団がまるごと配属されます。
 このとき、どんなタイプの傭兵団を配属してほしいかの希望を事前に出すことができ、配属された部隊に対し作戦前に自己紹介をしたり演説をしたりという時間が与えられています。
 皆さんはそれぞれ、自分に配属して欲しい部隊傾向をプレイングに書いてください。100~150字程度に収まるととても良いです。(全員のスペックを細かく指定しようとすると絶対にプレイングがパンクするのでやめましょう)

 作戦前の自由時間では、教会内外で部隊の皆に自己紹介をして仲良くなったり、演説をして士気を高めたり、自分なりの方法で打ち解けてみたりしましょう。
 指示伝達が早くなったり戦闘効率があがったりします。

※このとき、仲のいい傭兵団がいるなら名指しで呼んでみてもいいでしょう。(シナリオ的に)来るのが難しい人たちでない限り割と駆けつけてくれるかもしれません。

■【大隊戦闘】パート
 砂の都の周辺には防衛戦力が大量に配置されており、その中を突破しなければなりません。
 ホエールチャペルを丸ごと突破させることが出来れば味方への補給や配置がしやすくなり、この戦いを有利に運ぶことができるはずです。

 ホエールチャペルは都へむけて一直線に突き進みます。
 皆さんは部隊を率いて敵軍と戦い、ホエールチャペルへ近づけさせないようにしましょう。
 ホエールチャペルへ攻撃されるとダメージが蓄積し、ホエールチャペルというか砂鯨がリタイアしてしまうと依頼が失敗となります。

 部隊のメンバーはそれぞれに仮想プレイングが割り当てられ個別にちゃんと戦うようになっています。
 指揮官である皆さんは彼らをとりまとめるための指示を出し、そして時には自らも戦うことで部隊を導くことになります。
(指揮内容は200字程度にまとまっているととても良いです。個別に指示を出したりあらゆるパターンを想定しはじめると必ずパンクするので気をつけましょう)

■【精鋭戦闘】パート
 門までたどり着くことが出来たら、指揮官である皆さんだけを集めて門番の部隊たちと戦います。
 これまでホエールチャペルを守ってくれた部下たちは皆さんおよび門周辺を守る形で再配置されるため、この戦いに参加することはできません。

 ここでのバトルは10人の敵部隊と皆さんPC10名が真っ正面から戦うことになります。
 門番たちの情報は少ないですが、全体的にバランスのとれたチームであることは確かなようです。
 皆さんの個性をフルに活かし、敵部隊を殲滅しましょう。
 ここまでプレイングのリソースを残していたなら、充分に個性と強みを発揮するプレイングがぶつけられる筈です。

  • <YcarnationS>疾風怒濤、砂鯨大隊猛進撃!Lv:15以上完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別EX
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2019年11月03日 22時40分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
巡離 リンネ(p3p000412)
魂の牧童
主人=公(p3p000578)
ハム子
八田 悠(p3p000687)
祖なる現身
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
天才になれなかった女
ニル=エルサリス(p3p002400)
ダークネス クイーン(p3p002874)
悪の秘密結社『XXX』総統
アベル(p3p003719)
未来偏差
ジェック・アーロン(p3p004755)
お姉チャン
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
魔風の主

リプレイ

●大地激震
「やろーども、準備はいいかお!」
 おう! という雄々しい声と共に拳を突き上げる傭兵団。
 彼らを指揮するのはローレット・イレギュラーズのひとりニル=エルサリス(p3p002400)。
 これまで幾度となく魔種の大事件に触れ、戦い抜いてきた猛者である。
「あんたが指揮するってんなら文句はねえ」
「実力だけで言っても申し分ねえしな」
「魔種をぶん殴るこのチャンス、ニル殿とご一緒できるなら光栄ですな」
「やろーども! 魔種だの邪教だのこまけぇことはどうでもええんだお!!」
 ニルはDSCの構えをとると、獣のように吠えた。
「やることはただ一つ、敵を倒して名声を勝ち取ることなんだぬ!!」
 ニル小隊の例に漏れず、ローレットは『魔種を滅ぼせる戦力』としてラサではかねてより有名だった。
 サソリ残党掃討における合同作戦よりも更に密に連携した今回の作戦に、各傭兵団は沸いていた。
 中でも傭兵騎士団インペリアルクロスは。
「セララーーーーーー!」
「セララチャーーーーン!」
 内輪とサイリウムを振り回し、椅子の上でぱたぱた手を振るセララに熱狂していた。
「キミ達はボクが選んだ精鋭中の精鋭だ! キミ達は強い! このラサの運命を背負えるほどに!」
「「セ゛ラ゛ラ゛ーーーーー!!」」
「例え魔種であろうと、キミ達は絶対に勝利する! そしてラサの英雄になるんだ!」
「「あ゛ーーーーー!」」
「キミ達は傭兵だが、この戦いを経て英雄になる。行くぞ! 魔法騎士セララに続けー!」
「「おおおおおおおお!!」」
 モチベーションは最大。コンディションも最高であった。
 ローレットにはスター選手は沢山いて、セララのような古参メンバーもそのうちに数えられる。
 それこそ幻想の端っこでゴブリンや盗賊を棒で殴っていた頃から活動していた面々の多くが、今回の『砂鯨大隊』指揮官に任命されていた。
 『魂の牧童』巡離 リンネ(p3p000412)も、そんなスター指揮官のひとりである。
(個人戦力としてはともかく、集団戦は比較的得意なほうだからねー。まあ精々お仕事させて貰うとしようね)
 綺麗に整列した傭兵団1415混成部隊。いわゆるタンクヒーラーと砲手を基本とした支援部隊である。
(味方の部隊が崩れた時に立て直しを行うまでの時間を稼ぎながら回復を行なうのがこの小隊の基本姿勢。サポートそのものは私で十分だしね、正直)
 強力な味方強化能力と範囲回復によって短~中期戦闘を一気に畳みかけるのがリンネ個人の基本スタイルである。
 そんな彼女の特性をより強固に活かすべく、長期戦および大規模集団戦闘に対応させたのが今回の小隊と言えるだろう。
 一方で、『祖なる現身』八田 悠(p3p000687)もまた己の個性を活かすための部隊編成を行なっていた。
 ほぼ永久に打ち続けられるメガヒールと、反射・吸収・超再生によってトータルファイターへ反則級のメタを打てる悠。
「悠殿、お変わりないようで。いや……前よりも不条理が増したようですな」
「そっちは、顔ぶれがだいぶ変わったね?」
 悠の前に整列しているのは白銀の鎧を纏った天義の騎士団である。
「あれから色々ありましたからな。ですが悠殿の一大事、駆けつけない理由がございません」
「うん……」
 悠は頷き、そして振り返った。
 大きな教会の一室。
 窓の外にはどこまでも続く砂漠。
 景色が流れて行くのは、ここが移動強襲教会ホエールチャペルの中だからである。
「僕らの仕事は勝つことじゃない、勝たせることだ」
「分かっております。あの時も、今も」
 敵は強大。
 扉は強固。
 こちらの戦力は寄せ集め。
 で、あるからして。
「後は、駆け上がるだけだね?」

 オオン、と高く吠える砂鯨。
 信じがたいことだが巨大な鯨が砂を泳ぎ、さぶさぶと砂の都めがけて走っている。
 その様子を、軍馬に跨がった『ハム子』主人=公(p3p000578)が振り返るように見上げた。
 彼のあとに続くのはラサでも腕利きの騎馬隊である。
「ボクは幻想と天義で魔種との決戦に参加してた。
 その経験から言わせてもらえば、やることは何も変わらないよ。
 それぞれ自分のやるべき事をやるんだ、
 あとは自分がなんのために戦うのかをしっかりと心に決めておけばいい」
 小隊の面々に呼びかけると、頭をすっぽり覆う鎧の下で傭兵たちがこっくりと頷いた。
「さあ、砂の民の自由な魂のために。行こう!」
 砂鯨の斜め前へつくようにして展開を始める公小隊。
 その前方へ出た漆黒の馬ラムレイ。『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は、同じく騎馬部隊を後ろに展開させた。
「小隊長、あなたは以前ローレットで騎馬隊を指揮して『蹄鉄聖歌』と呼ばれたことがあったとか?」
「そう、ね」
 なんだか昔話に思えるわ。
 イーリンはそう呟くと召喚した旗を高く掲げた。
「こういう職業柄、私は未来を奪って生きてきた。
 そして勝ち取った以上、どう扱うか、与えるかも自由――そうよ、私達は与えるために勝ち取る」
 頷いた小隊員たち。そのうちの一人が言った。
「小隊長、あれを聞かせてくださいよ」
 言われて、イーリンは片眉を上げた。
「「『神がそれを望まれる!』」」

 砂鯨の横を駆け抜ける馬車。
 馬車というか、『XXX』のエンブレムが輝く移動玉座。
 そこに腰掛けた『悪の秘密結社『XXX』総統』ダークネス クイーン(p3p002874)こそ――。
「説明しよう! この私秘密結社XXX(トリプルクロス)隊員第一号の知らないうちに急に増えていた隊員が結集しこうしてXXX第一小隊が結成されたのです!」
「然様!」
 立ち上がるダークネスクイーン。
「我こそは悪の秘密結社『XXX』(トリプルクロス)総統! ダークネスクイーンである!」
「「総統万歳!!」」
「「XXX万歳!!」」
 周りに居るのはわりとつい最近出会ったラサの傭兵団である。
 が、全員XXX戦闘員バッジを装着したので今はみんな戦闘員である……という説明をしたら全員わりとノリノリでやってくれた。
 本人たちもちょっとやりたかったらしい。
「総統、敵部隊が見えてきましたよ!」
「うむ!」
 その時、ホエールチャペルに備えられた鐘が打ち鳴らされた。

 鐘のなるチャペル。椅子に座って小銃の点検を終えそろいのゴーグルとジェットパックを装備した子供たち。
 傭兵部隊LMF。
 ある作戦より部隊編成が行なわれ、そのまま固定されていた三つの部隊が、今回の作戦に選出された。
 『ひつじさん分隊』『こねこさん分隊』『いるかさん分隊』。彼らの人員を小隊規模に合併した新生小隊が、今回のメンバーである。
「バタバタ続いたこの騒動もいよいよ終わりが近づいて来たね。
 悲しい事もあったけれど、君達のおかげで乗り切れそうだ」
 ひつじさん分隊あらためウィリアム小隊の面々が立ち上がる。
 『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)は手を翳した。
「ありがとう砂の友。後もう少しだけ、力を貸してほしい」

 こねこさん分隊あらためアベル小隊。
 いるかさん分隊あらためジェック小隊。
「前は子供扱いをして、守ってあげなければ等と思ってすみません。
 今回は力を貸していただけないですか、仲間として」
 『未来偏差』アベル(p3p003719)の差し出した手を、かつて分隊長だった少女がぎゅっと握った。
「私たちのモットーは生きて帰ること。少年兵にしては変だけど、あなたはそれに寄り添ってくれた。私たちは知っています。あなたが強くて優しい人だって」
「…………優しくなんてありませんよ」
 アベルは目を細めた。
 友達の手すら取れなかった。
 遠い日の思い出を瞳のおくに沈めて、少女の手を握り返す。
「それに強くもありません。傭兵の皆さんはお姫様達を守る騎士の如く活躍を期待しますよ、ついでに俺も守ってください」
 肩をすくめて、笑顔を作って見せた。
 一方で、『ガスマスクガール』ジェック(p3p004755)はジェック小隊の子供たちに囲まれていた。
「キミ達は『マケなかった』。今回も同じだ。
 アタシから言うコトはひとつ……ただ、マケるな」
 ニッと笑って返す子供たち。
 そこへアリコがやってきて、使い捨てられるインスタントジェットパックをパスしてきた。
「ありがとうね。並み居る傭兵部隊のなかで、うちの子たちを選んでくれて」
「キケンに晒して、の間違いじゃないの?」
「あはは」
 アリコは苦笑して、後ろで同じような顔をするメランへと振り返った。
「今は『仕事が入って嬉しい』って所かな。あいにくこの世界、銃を投げ捨てるだけで莫大なお金がかかるみたい。銃を捨てるために銃を撃たなきゃいけないなんて、変な話だよね」
「ウン……でも、まあ、ワカるよ」
 ジェックはライフルを肩に担いでみせた。
「呼吸だって、タダじゃない」
 撃ち殺して手に入れたもので、明日を買うのだ。
 世界はきっと、そのくらいシンプルにできている。
 ゴウンゴウンと鐘が鳴り、強化ステンドグラスが開放された。
 吹き付ける暴風のその先に、大規模な幻想種部隊が展開している。
「行こうか」
 ジェックたちは小隊員を引き連れ、走り――大空めがけて飛び出した。

●強行突入作戦
 砂漠にそびえる砂の都。
 天を穿つかのように走る光の柱と密集する石の建造物。
 大規模兵力の流入を防ぐべく建造されたであろう石の壁が円形に並び、それらを守るために百人規模のカノン直下の幻想種部隊および傭兵部隊が展開。
 接近するホエールチャペルめがけて次々と砲撃を開始した。
 弧を描くミサイルやマジックエネルギーシェルたち。
 直撃をうければホエールチャペルとてただではすまない。都へ突入する部隊への物資支援と運搬がたたれてしまうことになるだろう。
 いわばこれは露払い。百人規模の、露払いである。
「セララ小隊、限定解除(アウェイクン)!」
 踏み込んだブーツが魔法の翼を広げ、走るセララを大空へと飛ばした。
 彼女に続いた傭兵騎士団も同じようにウィングシューズを展開して跳躍、滑空。
 飛来するマジックエネルギーシェルを切り裂きながら、セララは敵前衛部隊へと突入した。
「道を切り拓け!!」
 セララの剣にエネルギーがほとばしり、敵陣へと放たれる。
 と同時に、イーリンの髪が紫苑色へとかわり、瞳が赤く燃えた。
 飛来する無数の矢。
 イーリンをガードするように両サイドから回り込んだ騎兵隊が巨大な魔方陣壁を展開。槍をはじき飛ばしていく。
「小隊長、今です!」
「終わらせるわ、すぐに」
 旗に纏わせたオーラが激しい本流となって敵部隊へと放たれる。
 クロスしたエネルギーの波に敵傭兵部隊が吹き飛び、それを乗り越えて走る戦士たちが飛びかかった。
 セララ小隊の騎士たちが黄金の盾を構えて突撃。
 ミサイルのごとく突っ込んだ傭兵騎士団のガードによって押さえ込まれた兵士たちに、公小隊が勢いよく突っ込んでいった。
「いくよ皆! 足を止めないで!」
 軍馬の上から指示を飛ばし、ポータブルゲームマシンを握り込む。
 画面に表示されたいくつかのボタンをタップすると、公の周囲に半透明なSDアバターが出現。押さえ込みをかけている兵士たちへと襲いかかった。
 公小隊の騎兵たちがナイトランスによるチャージアタックで後に続き、敵傭兵部隊のガードを打ち破っていく。
 が、そこへ次々と打ち込まれる魔術砲撃。
 立て続けにおこる爆発は敵傭兵部隊をまるごと囮にするものであった。
 カノンの傘下に入ることで生き残りをはかった傭兵たちは、本当の意味でカノンに信用されていなかったということだろう。
 まとめて吹き飛ばされる公たち。
 が、馬から転げ落ちそうになった所を悠が引っ張り上げ、馬の背へと戻してやった。
「爆撃を切り抜ける必要がありそうだね。栄光騎士団――前へ」
 悠が風をおくるかのように手を翳すと、白銀の鎧を纏った騎士たちが盾を翳して突撃を開始。公小隊と合流した。
 次々とおこる魔術爆発をガードしながら、カウンターヒールによって爆撃の中を突き抜けていく。
 敵幻想種砲撃部隊は距離をとりつつ、魔術障壁を展開した部隊と前後を入れ替えた。
 これ以上の攻撃をさせないため、そしてあわよくばこちらの部隊を突破してホエールチャペルへの侵入を果たそうという意図だろう。
「知ったこっちゃねーお! ニル小隊、出るお!」
 インスタントジェットパックで激しく跳躍し、幻想種障壁部隊めがけてフリーフォールアタックをしかけるニル。
「クルねーちゃん直伝――怒りの鉄拳制裁!」
 重力と筋力をそのまま乗せてぶつけた拳が障壁を打ち破り、敵兵を地面にめりこませる。
「隊長が目に物見せたぞ! 後に続けェ!」
 続くニル小隊の傭兵たちも武器を放り投げて拳や蹴りを叩き込んでいく。
 ナイフやインパクトグローブを抜いて応戦にかかる敵障壁部隊。
 力押しがメインのニル小隊では分が悪い……かに見えたが。
「はいはいリンネだよーみんなー」
 リンネが砂地を走りながら輪廻転鐘の杖を振りかざし、周辺領域を掌握する音を打ち鳴らした。
 ニルを含むニル小隊、およびリンネ小隊の面々が屈強なファイターと化し、恐ろしい勢いで大技を打ち込みまくっていく。
 防御を完全に捨てブーストのかかったニル小隊の勢いに、敵障壁部隊が壊滅。
 乗り越えるように突き進んでいく。
 が、壊滅を察した敵砲撃部隊は次々に広範囲にわたる破壊魔術を展開。
 それ以上突き進むことを許さなかった。
 一方で、リンネ小隊をはじめとする強固な前衛部隊を突破することができないと判断した幻想種部隊は両サイドに分かれるように展開。
 突き進むホエールチャペルを包み込むように、左右斜め後ろからの襲撃を開始した。
「さあ、この前に教えた通りにやれば問題ないですよこねこちゃん達、なんてね?」
 ホエールチャペルのサイドに設置された狙撃台へと展開したアベル小隊。
 ライフルを台に乗せ、軍馬に跨がる敵部隊のリーダーめがけて引き金を引く。
 アベルの撃った第一射が相手の頭蓋骨を打ち抜き、落馬を確認。
 範囲強化を担当していたスポッターの少年が『ヘッドショット』と声を上げた。
「今です、縫い付けましょう」
 スナイパーライフルを装備した狙撃少年兵たちが次々に発砲。回り込む機動力のある部隊を迎撃していく。
 が、すぐに敵部隊も狙撃に対応し始めた。
 耐久に優れたチームが展開し、ガードとヒールを駆使して狙撃による鋭いキルを防いでいく。
「ビスケットを針でつくのは愚かですね。こういうときは」
「うん。ビスケットハンマーが必要だ」
 ウィリアムは魔術詠唱を開始。インスタントジェットパックを起動したウィリアム小隊の面々が飛び出し、詠唱を阻害しようとする敵狙撃兵からの攻撃をガード。
 充分に時間を稼いだら、ウィリアムによるライトニングが炸裂した。
 範囲回復に対する範囲攻撃はメタをはられやすいが、強力な単体回復には範囲攻撃が有効である。
 ヒールロスを起こさせやすく、ダメージ量を確保しやすい。
 全体のHP総量を減らしカバーしにくい状態を作り、底が浅くなった個体をアベル小隊の狙撃によって狩るという寸法である。
 それと同じ作戦を、ジェック小隊もとっていた。
 ジェックはあえてインスタントジェットパックで跳躍し敵部隊の頭上をとると自由落下状態へとシフト。
「アタシはコッチ、君らはソッチ。背中はマカせたよ、いるかさん達」 
 頭上からライフルによる『爆撃』をしかけた。
 作戦前武器商人レーツェルマンより送られた五次元拡散弾頭が回転と共に射出される。発砲と共に可能性分岐遡行を起こして七十七個に増殖した弾頭が敵陣へと降り注いでいく。
 そこへジェック小隊の隊員たちによるアサルトライフル掃射。
 全体的に弱った敵部隊に対して、ダークネスクイーンのチャリオット(オープン馬車を人力で引っ張ったもの)が猛烈に突っ込んでいく。
「気張れ! 戦闘員達よ! ちびっ子達にかっこ悪い所は見せられぬぞ! 突入体勢!」
「「イエス! XXX!!」」
 全員の力を一つにして突進をしかけるダークネスクイーン小隊あらためXXX戦闘部隊。
 チャリオットの上に立ち上がったダークネスクイーンは試製決戦自在兵器『D.M.C』を抜刀。
「世界征服砲!!」
「「説明しよう! 世界征服砲とは悪の総統ダークネスクイーンの必滅奥義である! 全身のオーラを両手の間に極限まで集中させ、一気に開放し相手に放つ暗黒の極太ビームなのだ!」」

●ドアノッカー
 ゲートめがけて突き進むホエールチャペルと、それを撃滅せんと襲いかかる幻想種部隊。
 熾烈な戦いは続き、ついにホエールチャペルはゲート手前までの接近を完了。
 巨大な砂鯨が門前で停止し、石壁を崩壊させんと勢いをつけはじめる。
「良くやった、戦闘員達 !後は我に任せておくが良い! 勝ったら皆で祝勝会をやるぞ! めっちゃ奮発するぞ!」
 ダークネスクイーンはチャリオットから飛び降り、ゲート手前を守る精鋭戦力へと突撃をかけた。
 部隊の戦力のうち約3~4割ほどをホエールチャペル内に撤退させた状態である。
 一方で砂の都防衛戦力は次々と増援が現われ、キリがない状態だ。
 ジェックは狙撃部隊の少女へ振り返り、そっと頭を撫でてやった。
「後ろはマカせた」
「了解しました。ご武運を、小隊長――いや、ジェックさん」
 ジェックは『ン』とだけ応えて、ライフル射撃姿勢。走りながらリロードを行ない、敵集団めがけて五次元拡散弾頭を連射した。
「総統!」
 戦闘員一号から放り投げられた瓶を、ダークネスクイーンはキャッチ。
 ラベルに『ギンギン打破』とか書いてある謎ドリンクを迷い無く飲み干すと、尽き書けていたエネルギーが急速に回復。
「最後にもう一発いくぞ――ファイナル世界征服砲!」
 ジェックの『砲撃』にあわせて剣を振り込み、極太ビームを発射した。
 カウンターヒールを仕掛ける幻想種と、それをカバーすべく障壁を展開する幻想種。
 ――ごと、打ち抜こうと飛び込むニル。
「や~っと小難しい部隊指揮から解放されたんだお。ほんじゃ、思いっきり暴れてやるんだぬ!!」
 おりゃーといって強引に拳を叩き込むニル。
 ありえないレベルの破壊力に障壁が砕け散り、防御担当の幻想種の鎧をも歪ませていく。
 高度な治癒でも簡単に取り返せない膨大なダメージである。
 そうしてこじ開けたガードを駆け抜けるように、公がアーリーデイズを発動。
 至近距離まで駆け寄り、魔力を纏った拳で敵ヒーラーを殴りつけた。
 加速型の公は長期戦において高い強さを発揮する。
「直撃をとった!」
 両サイドから同時に飛びかかってくる幻想種の剣士。
 公の腹と胸を剣が貫き、吹き上がる熱気と冷気が肉体を破壊していく。
 強化と回復のためにメガヒールと神子饗宴、そして魔神黙示録を展開しはじめる悠とリンネたち。
 リンネは大地に杖を突き立てると鐘を強く打ち鳴らし、周囲に特殊な波動を広げていった。
 鐘の音は公たち前衛戦闘メンバーの心へと響き、頭の中がサァっとクリアになっていく。
 敵の動きがよりハッキリと見えるようになる。
 さらには悠が公たちに自らの世界の一部を接続。
 傷や痛みや不自由といった概念を吸収し、自らの中で真っ二つに切り裂いてポジティブな感覚にして送り返す概念クレンジングをしかけていく。
 そこへ、次々と範囲攻撃魔法による集中砲火が浴びせられた。
 この作戦における精鋭同士の戦いには二つの要素がからんでいる。
 ひとつは、敵幻想種精鋭部隊が『温存された兵』であるということ。
 もうひとつは、こちらの手札がある程度観測されきった状態であり、APを含む消耗がある程度かさんだ状態であるということだ。
「そこがこの作戦の難しさ、か……」
 悠はこの一つ目の要素をそもそもの段階からクリアしていた。
 潤沢な再生および充填能力によってリソースを問題とせず、精鋭部隊との戦いに入った段階で既にフル充電であった。
 弱点があるとすれば基本的な耐久力の低さであり、それはリンネにも言えることである。
「輝く魔法とみんなの笑顔! 魔法騎士セララ参上!
 ラサと新緑の平和はボク達が守ってみせる!正義の剣を受けてみろ!」
 敵ヒーラーを切り捨てたセララ。その直後に敵の剣士に張り付かれる。
 このときセララたちの立てていた対精鋭部隊作戦は『敵のヒーラーを見つけ出して最初に倒す』であった。若干行動が後手に回りがちだが、初見でぶつかり合った場合の定石であり、鉄板ともいえる作戦である。
「まずいね、こじ開けないと」
 ウィリアムはセララやイーリンとぶつかった敵前衛の兵めがけて轟天鎚を発射。
 ダメージの確保と恍惚状態の付与をはかった。
「僕らの戦力は充分だ。前情報抜きでも精鋭部隊を打ち破れるほどのメンバーがそろってる。
 けど、情報のアドバンテージを握られ消耗の激しい状態を覆す作戦は……ちょっと立ててなかったかな」
 生まれるであろう隙を塞ぐ。ないしは弱みを強みに転換するといった作戦はあえてとらず、個々の特技をそのまま叩き付けるフリースタイルでの戦いになっていた。
 対して敵部隊は『最も凶悪かつ最初に退場させなければならない人員』であるところのリンネを最優先として、リンネに対し回復及び防御によるフォローを行なっていた悠と共に攻撃する作戦に出ていた。
「それでも……」
 アベルの目が、砂の塔を見た。

 魔術弾が次々とアベルの肉体を貫いていく中で、アベルはしっかりと敵の頭にライフルの狙いをつけた。
 発砲。破裂する敵の頭部。
(メランちゃんの言う所の『人任せでは見れない世界』……砂の都の戦いはそのための一歩になるでしょう。そしてきっと、俺にも……)
 メランとアリコは、少年兵たちに『一緒に生きて欲しい』と願い、全てをかけて傭兵団を結成した。もしずっと昔に、そんな相手ができていたなら……。
「突き進まなければ。『砂の都』へ」
 飛来する魔術弾。狙いは自らの心臓部。
 アベルは大きく飛び込み前転をかけて魔術弾を回避すると、片膝立ちの姿勢から発砲。相手の右腕を破裂させた。
 やぶれかぶれに打ち込んでくるさらなる魔術弾。
 だがそれをイーリンの戦旗が打ち払う。
「城門を開けてもらうわ――!」
 燃え上がる光。
 飛び上がるセララと共に、イーリンの『グラディウス』が幻想種の魔術師と城門をまとめて貫いた。
 反撃のために杖を構える魔術師。
 が、セララがそれを許さない。
「もう一発――セララストラッシュ!」
 光をこめて繰り出されたセララの剣が、魔術師と城門をまとめて破壊しながら走って行く。
「止まれ。ここから先へ貴様ら不浄の者を通すわけには!」
「――」
 剣を構える幻想種へ一気に距離を詰めるイーリン。
 『紫苑の魔眼・不条<改>』でにらみ付けた瞬間、イーリンの肩を踏み台にして飛び上がったセララが大上段から剣を打ち込んだ。
 切り裂かれていく幻想種の剣士。
「門が開いた。突入ー!」
 セララたちはけが人を抱えつつ、砂の都へとなだれ込んでいく。

 ホエールチャペルが直接体当たりをしかけ、城門を周囲の壁ごと崩壊させていく。
 幻想種の防衛部隊はホエールチャペルを破壊して引きはがそうと襲いかかるが、そこへLMFをはじめとする防衛部隊が反撃。イーリンたちへの追撃をも阻んだ。
 すたんと着地し、道を切り開くための第二部隊を展開させ始めるメラン。
「ここから先は任せますわよ。『スペシャリスト』」
 背中を押されるようにして、イレギュラーズたちは砂の都内部を走って行く。
 目指すは都を復活させた『砂の魔女』カノン。そして、彼女に付き従う幻想種と『楽園の東側』たち。
 戦いのゆくえは、イレギュラーズたちにかかっている。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 砂の都の城門は破壊され、突入部隊への支援が可能となりました。
 戦いは、まだまだ続きます。

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