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シナリオ詳細

砂上の強盗サーファーを討伐せよ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 傭兵……ラサ傭兵商会連合は、現状、幻想種連続拉致事件と奴隷販売による事件の対応に追われている。
 直接の事件の解決の為、奴隷商人を取り締まったり、奴隷とされた幻想種達を解放したり。また、それに伴って深緑の幻想種達と会談を重ねて対応の協議とやることが多い。
 傭兵達もまたそちらへと多数が動いていることもあり、通常起きる事件に対処できぬ状況が続く。
 この混乱に乗じて強盗を働くなど、盗賊が活発に活動を始めているのだ。

 傭兵内のとある砂漠。
 行商を行うキャラバンなどが行き交う場所。
 それだけでなく、オアシスを中心とした集落があり、砂漠の中で人々が力強く生きている。
 そんな彼らが現状悩まされているのは、時折やってくる盗賊団。
 砂賊団『スピリット』を名乗る強盗達は、砂の中に生きる砂鮫や砂イルカと共にサーフボードに乗ってやってきて、素早く集落の物品を奪って逃げ去っていくのだという。
 キャラバンもまた強襲してくる彼らに、交易品を多数奪われてしまっているようだ。
 普段であれば、傭兵達が十分対処できる事案ではあるが、何せザントマンを始めとした事件が国内を賑わせている状況。
 なかなか助けを求める事もできず、集落民達はほとほと困り果ててしまっていたのだった。


 ラサ某所の集落。
 そこでローレットから派遣されてきたイレギュラーズ達を待っていたのは、2人の海種の少女、『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)と『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)だった。
「センパイ達、お疲れ様っす!」
「強盗討伐に来ていただいたのですね。助かります」
 彼女達は笑顔を見せ、やってきた一行を歓迎する。
 とはいえ、状況はそれほどよろしくもないらしい。
 2人は挨拶もそこそこに、今回の依頼について説明を始めた。

 現場は、傭兵内の砂漠。
 どうやら、かなり広範囲で事件は起きているらしい。
「砂賊団『スピリット』を名乗る強盗達は、砂の中を泳ぐ動物達の助けを得ながら、砂上を走り回っているようです」
 ただ、現状の被害状況から出現場所はある程度の割り出しができている。
「相手が完全な状態だと、手が付けられないっす。だから、砂の動物を休ませているタイミングを狙うっす」
 そして、団員達が砂の動物達を休ませ、機動力がやや落ちているタイミングを見計らって襲う形だ。
「強盗はサーフボードに乗って、砂漠の斜面を駆け回っているようですね」
 それでも、彼らは地の利を生かせる場所に滞在しており、油断はない。
 ただ、その場所はイレギュラーズにとっても、決して不利というわけではない。
「折角だから、センパイ達もサーフィンをしながら、仕掛けてみてはどうっすか?」
 そこで、リヴィエールがそんな提案をしてみせた。
 仮にサーフボードを持たずとも、パサジール・ルメスであれば行商用のサーフボードがあり、貸し出してくれる。
 相手は自分達の優位を疑ってはいない。それだけ砂上のサーフィングに自信があるのだろう。
 だから、こちらもサーフィンをしながら仕掛けると、相手の裏をかくことができる。
「ただ、相手の得意分野で仕掛けることになります」
 一方で、アクアベルが冷静な意見を口にする。
 裏をかいて奇襲するのがいいが、態勢を立て直せば相手が勢いづく可能性も高い。
 しっかりと準備して、討伐に当たりたい。

「何かあれば、あたし達もお手伝いするっす」
「さすがにサーフィンはお役に立てませんが、手数が欲しいことがありましたら、言ってくださいね」
 リヴィエールは馬車でサーフボードの運搬も当たってくれるし、同行するアクアベルも雑務面で手伝いをしてくれる。
 他にも、何かあれば遠慮なく頼むと良いだろう。
 ともあれ、イレギュラーズ達は砂上のサーフィン対決、もとい、砂賊団討伐へと赴くことになるのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 今回はご依頼、ありがとうございます!
 初のリクエストシナリオ、精一杯頑張らせていただきます!

●目的
 砂漠を行く砂賊団『スピリット』の討伐。

●敵……砂賊団『スピリット』
◎イヴァン
 『スピリット』リーダー。20代男性、人間種。
 日に焼けて引き締まった体を持つ男です。

・サーフブレイド……(P)物中貫・移
・円月刀……(P)物近単・連・移
・ダイブクラッシュ……(P)物遠単・物無・ブレイク
・サンドスプラッシュ……(P)神近列・窒息
・一斉掃射……(P)神遠範・流血・崩れ・足止・溜1
(威力は残る団員の数に比例します)

○団員7人
 いずれもサーフボードに乗って砂上を駆けるごろつき達。
 ライフル散弾銃や機関銃を撃ちながら動き回るだけでなく、
 すれ違いざまに長剣や曲刀で切りかかってきます。

○砂鮫×1体
○砂イルカ×4体
 スピリットに飼われている動物達。本来はもう少し数がいるようですが、現状体を休めているようです。
 時に砂鮫がリーダーを、砂イルカが団員を引っ張り勢いをつけるなど連携してきます。
 それだけでなく、個別に体当たり、食らいつきで攻撃してくることがあります。

●NPC
 リヴィエール・ルメス(p3n000038)
 アクアベル・カルローネ(p3n000045)
 要望があれば登場しますが、基本戦闘には参加しません。
 サーフボードの運搬、事後の着替え、飲料水の運搬など、何か雑務面などで手数が要り様でしたら、皆様をお助けいたします。

●状況
 斜面のある砂漠を中心として活動する砂賊団を懲らしめていただければと思います。
 基本は砂の上を移動しながら、近づいてくるイレギュラーズへと攻撃を仕掛けてきます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 砂上の強盗サーファーを討伐せよ!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年10月27日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
ロゼット=テイ(p3p004150)
砂漠に燈る智恵
緋道 佐那(p3p005064)
緋道を歩む者
一条 佐里(p3p007118)
砂上に座す
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌

リプレイ


 ラサ国内某所の砂漠。
 そこに、馬車と合わせて移動する一団の姿があった。
「さてさて……、何ともまぁ。何処にでも賊は沸くものね?」
 流れるような黒い髪に真っ赤な瞳の少女、『緋道を歩む者』緋道 佐那(p3p005064)が張り切る。
「砂上サーファーの砂賊……ね」
 この依頼の窓口となった、儚げで大人しそうな印象の『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325)が改めて呟く。
 今回は『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)からの依頼ではあるが、彼女も数人を伴い馬車を引き、サーフボードの運搬などでメンバーを後方支援する。
「砂サーファー、ですか……。逃げ足の素早そうな奴らですね……」
 大きなナイフを獲物とする引き締まった体の金髪女性、『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)がそんな印象を口にし、懸念を示す。
「砂賊とは、面白いな」
 一方で、強面で筋肉質な眼鏡男性、『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)は笑みを浮かべる。
 海洋マフィアのジョージだが、砂漠にサーフボードを持ち込むという発想はしたことがなかったとのこと。
「行商用にも持っているのなら、存外、普及した文化だろうか」
 別世界では、一部で砂サーフィンを楽しむ人はいるという。
 ならば、混沌でも、砂の上を滑る人はいるのだろう。
「スノーボードならやった事ありますけど、砂の上はさすがにないですね……」
 異能の力をなくした右腕を持つ女性、『銀の腕』一条 佐里(p3p007118)が告げる。サーフィン経験はないそうだが、スノボはボード上でバランスをとるのが難しいのだとか。
「砂でサーフィンか……、おかしな話だが、それが罷り通るのがこの世界らしい」
 ぼさぼさ頭にカチューシャ、眼鏡着用の青年、『付与の魔術師』回言 世界(p3p007315)も語る。
 混沌とは別に2つの異世界を知る彼も初めての経験だそうだが、精霊に手伝ってもらうことで何とかなるだろうと考えていた。
「なんかあれだよな、そーゆーレースとかあってもいいのにな」
 赤茶の髪の少年、『アニキ!』サンディ・カルタ(p3p000438)はあと何周と、水着の美女がアナウンスする光景を想像しかけて、言葉を止める。
「……いや、真面目に依頼やるか」
 ラサは現状、大変な時期だ。
 あまり暴れられるのは、上も困るだろうとラサ出身の佐那は語る。
「……故郷のために、一肌脱ぐとしましょうか」
 そんな仲間達の話を聞いていたラサ出身、猫科獣種の『月の旅人』ロゼット=テイ(p3p004150)。
 眠たげな眼差しの彼女は、暴力を生業としている者達を圧倒できる力はないと自覚している。
 旅人という存在の認知はさほど深まっていないロゼットだが、現状の自分は彼らと同じ存在なのだと考えていたらしい。
「なかなか変わった賊だけれど……、悪さをするなら……とことん懲らしめてあげましょ!」
 そう意気込むエルスことErstineを見つめ、ロゼットは少しだけ不安を抱く。
 相手は人間とあって、Erstineが主張する不殺作戦に理想として理解は示すが。
(酷く苦い結果に終わり、エルスの心に傷が残らなければいいけど)
 そんな危惧も抱きつつ、ロゼットは仲間についていくのである。


 砂漠は常に風が吹き、時折砂嵐が吹き荒れる。
 それらの影響でできた斜面の一つに滞在している砂賊団を捕らえる為、イレギュラーズ達もまたサーフボードに乗って対抗する作戦をとる。
 予め、一行は砂漠の小さな斜面で練習をしていたが、付け焼き刃の域は出ない。
「サーフィン自体初めて見たけれど……、乗りこなしてみせるわ!」
 Erstineは気合を入れるが、果たしてどこまでやることができるか。
 最悪、やっぱりダメだったと憎まれ役を買って出ようと考えるロゼット。
 あまり足が良くない彼女だが、顔面でずざざーと転んでしまいながらも彼女なりに努力して乗りこなそうとしていた。
「ふふ、折角ですから、楽しまないとね?」
 こちらも砂サーフィン初経験の佐那だが、持ち前の身体能力でうまくバランスをとる。
「しかしまぁ、なるほど」
 佐里も一通り、砂サーフィンを体験して鑑みる。
 砂地は普通に歩けば足を取られるほど地盤が緩く、塀も作りづらい。
「奪う場所に執着しなければ、有効な手ではありますね」
 対策を取り切る前ならやりたい放題だと、佐里は得心する。
 ただ、これを最大限活かせるのはやはり斜面。
 コツをつかめば平地でも行けるが、やはり敵のように砂上に適した動物の助けや、スキル利用が欲しいところだ。

 一行は程なく、とある斜面で砂鮫、砂イルカといった動物達を従えた砂賊の一団が休息をとっているのを発見する。
「砂賊団……スピリットと言ったかしら。あの賊達を討伐しましょう」
「人数も多いけれど……、全員不殺を目標にするくらいはいいでしょ?」
 佐那に同意する、Erstineの方針は先程もあったが、砂賊の生存捕縛。
 彼らの操る動物達は意見が分かれているので保留だが、いずれにせよ『スピリット』のリーダー、イヴァンを捕らえれば止まる筈だ。
(エルスティーネ嬢の拘りは、甘さとも取れるが、彼女の価値観なのだろう)
 ジョージはそれを実行できるだけの手札があるなら、無下にする必要もないと考え、仲間に合わせて不殺スキルを用意する。
「目標は全員の捕縛。帰りは大荷物になりそうだな」
 捕縛後の移送準備の為、ジョージの依頼を受けた『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)がすでに、別の馬車を出してもらえるよう近場の町へと向かっていた。
 己の生命力を犠牲にした世界が神子饗宴で仲間を強化し、さらに、彼はバラードを歌って皆の異常耐性を高める。
「さーて、それじゃいくぜ」
 そうした支援を受けたサンディがまず、敵の引きつけに当たるべく、サーフボードで飛び出していく。
 突然現れたイレギュラーズに、砂賊団も気づいたようで。
「敵襲だ、迎撃しろ!!」
 リーダー、イヴァンの掛け声を受けて動き出す団員達。
 うまくサンディに引きつけられたのを確認し、他メンバーも動き出して。
「さあ──Step on it!! 蹴散らしますよ!!」
 ウィズィは一気に勢いをつけ、砂賊団へと接近していくのである。


 砂賊団『スピリット』を強襲するイレギュラーズ達。
「金品の行方や仲間が散り散りになっていたりしたら、自白させないと。……戦闘不能までは攻めるけれどね?」
 そんなErstineの案もあり、一行は出来る限り砂賊を叩き、スムーズに敵を捕らえる作戦をとる。
 先んじて飛び出していたサンディは、立ち回り目標をメインとサブに分けて設定していた。
 最優先は敵、とりわけ砂賊のメンバー達の引きつけ。
 砂上を縦横無尽に動くと思われる敵の刃や銃弾で仲間が消耗するのを防ぎ、かつ逃走させぬこと。あとはじり貧になる前に終わらせたい。
「ローレット、皆のアニキ、サンディだ!」
 胸を張って斜面を斜めに疾走し、敵の引きつけに当たるサンディはこの場の砂賊達へと名乗りを上げる。
「「んだぁ、コラ!?」」
 彼の挑発に乗り、近づいてくる団員達は時折、砂の中にいる鮫やイルカの力を借りつつスピードをつけ、サンディへと切りかかり、銃を掃射してくる。
「一条 佐里です」
 タイミング的に引きつけができなかった敵は、続く佐里が名乗りを上げて。
「俺達のシマで、舐めやがって……」
 イヴァンは彼女を注視し動く。
 そうまでして、敵を抑えたいのは、イヴァンを中心とした団員の一斉掃射を懸念した為だ。
「単純に数が多いのは不利ですからね」
 彼女は防御集中しつつ、一旦、仲間の攻撃を待つ。
 砂上戦に合わせた戦法に切り替えた佐那。
 仲間達は団員優先で数を減らそうとしていたが、佐那は先に、近場の砂イルカを火炎で包み込む。
「賊達の足に成り得るでしょうし、手早く倒してしまいたいわね……」
 佐那はできる限り機動力を奪うべく、動物達が砂中を動くのに必須なヒレを狙っていた。
 そこで、抑えの2人に攻撃を集中させる団員達目がけ、ウィズィが突っ込む。
 80mほどサーフィンで駆け下りたウィズィは、勢いそのままに身体を大きく回転させて。
「おぉおおっ!! らあああ!」
 サーフボードごと回転するウィズィは手にする装飾のナイフ「ハーロヴィット」をぶん投げ、敵を威圧する。
「ぶべえええっ!!」
 1人の団員がウィズィのナイフをもろに食らい、派手に転倒する。
 それだけでなく、ウィズィのスキルの影響で足元は泥沼状態となっており、そいつはしばらく起き上がれそうにはなかった。
 さらに、世界が砂を操ることのできる大地の精霊を探して。
「すまない、協力を頼む」
 精霊疎通による世界の呼びかけに応じた精霊は快く、受けてくれてくれる。
 目的は2つ。1つは、この後の戦闘における砂賊団の妨害だ。
「おわっ!」
「ぐおおおっ!?」
 サーフボードの真下から砂を巻き上げることで、敵の態勢を崩しにかかってくれる。
「いくら砂上のサーフィンに慣れてるといっても、予期せぬ事態には対応しづらいだろう」
 ホームグラウンドだからって乗っている調子ごと、世界はサーフボードに乗る敵を砂の上へと落としていく。
 無事だった団員は砂鮫や砂イルカの助けを借り、疾走してくる。
「来い。海洋流のボードの使い方を教えてやる」
 砂鮫を衝術で飛ばしたジョージは、連携を乱した団員達へと向かってくるよう促す。
「野郎……!」
 砂上を疾走する団員は銃を突きつけ、弾丸をバラ撒いてくる。
 ジョージは海と砂漠の勝手の違いに多少戸惑いながらも、砂上を飛んで。
「負けるわけにはいかんな」
 飛行種のジョージには翼がある。
 その翼でバランスをとり、彼は無法の流儀で敵に拳を打ち込み、敵の態勢を崩してボードから落下させていった。
「上手くいってる」
 そんな仲間達の手並みにロゼットはびっくりしつつも、他メンバーに比べれば遅い動きで砂の上を移動し、近場に迫ってきた敵へと「焦燥破刃」で魔力を纏わせた一撃を叩き込む。
 団員を一撃で追い込んだこともあり、ロゼットはすぐさま武器を外して拳での応戦に切り替える。
 世界が一行のメイン回復役となっているが、彼はそれ以外にも色々と動いており忙しい。
 抑え役となるサンディや佐里の疲弊も小さくはない。
 出来る限り仲間の負担を増やさぬようにと、ロゼットは回復要望をせず、敵対処を進めていた。
 さて、Erstineは仲間に抑えられていたリーダー、イヴァンを狙う。
 見事な波乗りならぬ砂乗りで起伏を乗り越え、彼女は敵の円月刀によって噴き出す血飛沫で刀を作り出し、日に焼けたイヴァンの体を切り裂く。
「ぐぬ……」
 砂の動物達を休め、万全の状態ではなかったとはいえ。
 自らのホームであるはずの砂の上でこれだけの劣勢を強いられ、イヴァンは歯噛みしてしまうのである。


 砂賊団の長所は機動力だ。
 砂の動物を使い、砂漠という地形を最大限に生かして相手を強襲するのが彼らのスタイル。
 だが、イレギュラーズの強襲、名乗りによる挑発、メンバー達の効率的な攻撃に、世界が意思疎通した精霊の攻撃。
 その全てによって、砂賊団は劣勢に追い込まれる。
 動物達は動ける団員が減ったことで、個別に体当たり、食らいつき、イレギュラーズ達をサーフボードから落とそうとする。
 とりわけ、サンディは狙われやすく、攻撃が集中していた。
 うまく仲間達が団員を抑えてくれていることもあり、サンディは砂イルカへと必殺槍を突き出し、完全に仕留めてしまう。
 回復支援には世界がつき、調和の力で癒やしに当たりながらも、強化が解けぬようにとスキルを使う。
 また、彼は精霊に指示を出し、立て直しかかった団員の突き飛ばしと忙しない。
 それだけでなく、佐里は攻撃態勢を立て直そうとうする団員目がけて蹴りかかり、砂の上へと沈めてしまう。
 ある程度、動ける団員の数が減ったところで、佐里は砂賊達へと呼びかける。
「武器とサーフボードを捨ててください」
 佐里もここまで抑えに当たっており、体にはかなりの切り傷と銃痕を受けていた。
 しかし、砂賊達の被害の方が大きいのは一目瞭然。なにせ、ローレット勢は1人も倒れていないのだ。
「こちらに殺す気がない以上、奮戦も投降も結果は同じです」
 砂賊とて、無駄なことはしたくないだろうと判断しての佐里の呼びかけだったが、彼らはそれを是とはしない。
「うるさい! やれ、やってしまえ!」
 消耗してはいるが、イヴァンは団員に徹底抗戦するよう呼びかけ、自らもサーフボードで直接イレギュラーズに切りかかる。
 だが、仲間がイヴァンを抑える間に、佐那が元気な団員を見定めて踏み込み、双刀の片割れ『黒魔』を一閃させて。
(下手に炎で燃やしたのが致命傷になっても困るからね)
 そう佐那は配慮も見せる一方、かなりのダメージを受けた団員は速度を落として苦しそうに呻く。
 そこへ、ジョージがすれ違いざまに拳を叩き込み、ボードごと横転させて倒していった。
「まだ、やるのか?」
 イヴァンへと問いかけるジョージ。
 もはや戦える団員は残っておらず、動物達が主に従って果敢に攻めてくるのみだ。
「く……」
 イヴァンは砂鮫に頼み、離脱をはかる。
「この私と追いかけっこですか!?」
 だが、ウィズィがすぐさま機動力を活かし、敵の進行方向へと回り込んでしまう。
 さらに、精霊達が世界の2つ目の目的を実行する。
 精霊はアリジゴクのごとく、イヴァン達がイレギュラーズ達へと吸い寄せられるように砂を動かしてくれ、敵の逃走を阻止に回ってくれた。
 その砂を巻き上げるようにサンディもやってきて、イヴァンへと浴びせかけて。
「ほら、どうした? もっとやろうぜ」
「うおおおおおおっ!!」
 ほぼ退路を断たれた形のイヴァン。
 攻め手をことごとく崩された彼は理性を失い、円月刀で切りかかってくるが、もはややぶれかぶれといった状況。
 イヴァンがもっと冷静であったなら砂の動物達へと指示し、砂を纏っての突撃やサーフボードで急に反転して砂を撒き散らす戦法もあり、もっと善戦できたかもしれない。
 イレギュラーズ達は個々に食らいついてくる鮫やイルカは放置し、一気にイヴァンを追い込む。
 ロゼットが拳で殴り掛かってその上体を揺らがせば、Erstineが氷の旋風を浴びせかけて、敵の体を大きく吹き飛ばす。
 それでも、イヴァンは態勢を崩すことなく、サーフボードで着地するのだから、さすがと言うべきだろう。
 しかし、その傍には先回りしたウィズィがおり、気魄で敵を見据え、敵を圧倒しようとする。
「さあ、観念してください!」
「ぐ……!」
 砂漠での戦いであれば、イヴァンは何者も負けぬ自信があった。
 だが、それ以上にイレギュラーズ達は場数を踏んでいた。
「繰り返します。武器とサーフボードを捨てて投降を」
「ちっ……」
 潔さは求めていなかった佐里だったが、さすがにイヴァンも観念し、指笛で残る動物達の戦闘状態を解除する。
 そして、自らボードから降り、両手を上げたのだった。


 討伐、投稿した砂賊団を捕らえたイレギュラーズ一行。
 そういえばと、Erstineが捕らえた砂賊達の命を奪わなかったことに思うことがある仲間達へと告げる。
「殺さない事が慈悲深い? ……本当にそうかしら?」
 彼らはこれからの人生の一部、罪を懺悔する時間に変わるのだと。
「一瞬で終わる死よりも苦痛ではないかしら?」
 その一言にイヴァンは些か悔しそうな表情をしつつも、観念したように溜息をついていた。
「苦しい戦いだったが、皆よく頑張ったな」
 慣れぬ砂地で、サーフィンをしながらの戦いを成功に導いた仲間達を世界が労う。
 メンバー達は互いの治療に当たりつつ、戦後処理を進める。
 この依頼の成功に、ロゼットは目を丸くしていて。
「……うむ」
 良く言えば堅実、悪く言うと心配症なロゼットは仲間達が気付かないよう、こっそりと喜んでいたようである。

 戦後処理に当たっては、メンバー達も色々と困った点もあったようで。
「こういう方々はまぁ、きっと他にも盗品を隠してる場所とか、他の仲間の存在もないとは言い切れないと思うのよね」
 そんなErstineの意見もあり、団員は皆、ラサ傭兵商会連合のトップ、ディルクに突き出すことにする。
「動物はどうしましょうね」
 佐里が気にしていたのは、生き残った砂鮫と砂イルカ達だ。
 盗賊の手伝い用に訓練されたそれらを野放しにするわけにもいかないからと佐里やErstineは命を絶っておくべきと主張する。
 一方、ジョージなどは動物に悪意はないと語り、意見が分かれる部分が出てしまう。
 この為、こちらも合わせてラサにその処遇を委ねることで、妥協案としていた。

 アクアベルが連れてきた馬車で、『スピリット』のメンバーを輸送する中、Erstineは楽しげに語る。
「それはそれとして、砂上サーフィンはなかなか愉快だったわね」
 もう少し乗れるようになりたいと語る彼女。
 またの機会を楽しみにしつつ、Erstineは仲間と共に砂漠から歩き去っていくのだった。

成否

成功

MVP

ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは機動力を生かして砂の上を存分に駆け回ったあなたへ。
初のリクエストシナリオ、楽しませていただきました。
本当にありがとうございました!

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