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シナリオ詳細

怪盗代行業 集団人体実験の阻止依頼
怪盗代行業 集団人体実験の阻止依頼

完了

参加者 : 8 人

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オープニング

●悪の博士と集団人体実験
 その昔、二重人格の博士の物語があった。
 普段は立派な博士だが心の中に怪人の人格も隠し持っている人物の物語だ。
 今回、ご紹介するトオル・サエギリ博士は、いわゆる二重人格そのものではない。
 ただ、「表向き」の顔と「裏向き」の顔に大きなギャップがあるという人物だ。

「表向き」には、彼は『練達』における生物学研究の権威の一人である。
「三塔主」程の大物ではないが、現在の『練達』の生物学研究の一角を担う大家だ。
 元いた世界でもトップレベルの大学で研究をしていた世界的権威であった。
 しかも研究者として有能なだけではなく孤児院や貧民街を支援する人道的な活動もしていた。
 誰もが彼を疑わない。彼は頭脳面でも人間面でも大変に優秀である事を。

「裏向き」には、彼は『練達』におけるマッドサイエンスの権威の一人でもある。
「三塔主」から隠れ忍び、現在の『練達』で様々な悪しき研究を取り扱っている悪党だ。
 元いた世界でも同じような事をしていたが、一度も逮捕される事や潰される事もなく生き延びていた。
 研究者としての有能さや権威を使い、孤児院や貧民街で人体実験をする事もよくあった。
 誰もが彼を恐れる。彼は頭脳面でも人間面でも最悪の悪魔であるからだ。

 天網恢恢疎(てんもうかいかいそ)にして漏らさず、悪事はいつかばれる。
『練達』で活動している義賊の怪盗ブラッドに目を付けられたのだ。
 サエギリ博士が企んでいた研究計画とは……。
 とある貧民街に悪性細菌をばら撒く集団人体実験の開催だ。
 もし研究が実行されたら罪のない多数の貧民が苦しみながら死んでいく事だろう。
 怪盗はサエギリ博士の悪事を阻止する為、研究所へ予告状を出す。
『あなたが近々予定している集団人体実験の研究とあなたの命を盗みます』
 予告状を受けて、サエギリ博士は心中穏やかではなかった。
 まさか「三塔主」や当局に通報する事なんてできない。
 博士は冷たく笑い手下に命じた。
「生意気な怪盗だね? 私を誰だと思っているのかな? この虫を消してくれ」
 その後、怪盗ブラッドは返り討ちに遭い、文字通り消され、身元不明の死体が上がった。

●怪盗代行業でもやらないかい?
 あなた達は『黒猫の』ショウ(p3n000005)によってローレットのギルドに集められた。
 今日のショウはどこか浮かない顔をしている。
 厳しい依頼でも頼もうとしているのだろうか?
「早速だけれど、『練達』のサエギリ博士という人物を知っているかい?」
 あなた達の中には知っている者もいれば知らない者もいた。
「『表向き』の顔は生物学研究の権威であり人道的な活動支援をする人物だ。だが、『裏向き』の顔は極悪非道のマッドサイエンティストだね……」
 なんとなく、大変そうな依頼になりそうだが、あなた達は話の続きを聞いてみる。
「先日、怪盗ブラッドらしき人物が殺されたという件が情報屋界隈では話題に上がっている。そしてこの怪盗を殺したのがサエギリ博士の勢力ではないか、との噂もあるんだ……」
 話を聞く所、サエギリ博士は貧民街で集団人体実験を計画していたらしい。
 それを察知した怪盗が予告状を出して挑戦した所、逆に殺されたという話か。
「そこで、だ。キミ達、怪盗の代行業なんてやらないかい? キミ達には怪盗ブラッドのふりをして博士の秘密の研究所に侵入して貰いたいんだ。侵入したら例の研究データと実物(悪性細菌)を盗んで欲しい。サエギリ博士に関しては暗殺してくれ。研究だけを盗んでも、あの博士の事だから何かしらの手段で集団人体実験の類をまたやろうとするだろうからね……」
 ところで、この依頼は誰からの依頼だろうか? 貧民街から? ローレットから?
「いや、実は今回の依頼は、怪盗ブラッドからの依頼なんだよ。もし、自分に万が一の事があったら誰かに怪盗を代行して貰いたいとの遺言をオレが預かっていてね……。現に彼が殺された訳だから、依頼が発生してしまったという展開だね。なお怪盗ブラッドが今回のスケープゴートになってくれるからキミ達が罪に問われる事はないよう手配するよ」

 暗殺に窃盗……。いわゆる悪依頼が今回の仕事だ。
 汚れ仕事となるが、誰かが権威の悪しき博士を倒さねばなるまい。
 怪盗となって集団人体実験の実現を阻止して欲しい。

GMコメント

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『練達』における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

●目標
 サエギリ博士を暗殺する。
(証拠を残さない為、可能な限り皆殺しにする)
 サエギリ博士の研究データと実物(悪性細菌)を押さえて集団人体実験を阻止する。
(研究データと実物は破棄しても公表してもかまわない)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●ロケーション
『練達』首都ビル街のとあるビル地下にある秘密の研究所に乗り込みます。
 ビルには無関係の店舗が沢山入っていて、地下に研究所が広がっています。
 研究所の地下奥に今回の問題となる研究データと実物が隠されています。

●敵
 サエギリ博士×1人
 今回の貧民街集団人体実験計画の主導者です。研究所のボスでもあります。
 年配のウォーカーで、生物兵器が得意なだけあり武器もそれ系です。
 前衛向きではないマッドサイエンティストのタイプです。
 初期位置は研究所の地下奥にいます。
 戦闘方法は以下。
・爆発試験管(A):火力のある試験管を投げて爆発させます。物近単ダメージ。BS火炎。識別。
・フラスコの悪夢(A):BS詰め込んだ生物兵器のフラスコが炸裂します。物近範ダメージ。BS毒、痺れ、窒息、足止、出血、狂気。識別。
・私は悪くない(A):博士が言い訳をして全力で逃げます。部下達を犠牲にしてでもひたすら逃げ道を確保します。
・生物系BS対抗注射(P):事前に打った注射で毒系、痺れ系、麻痺系、混乱系のBS無効。

 ボディガード×1人
 サエギリ博士が雇ったボディガードです。屈強な男のウォーカーです。
 警備員達のボスでもあります。
 前衛向きのファイター系です。EXFとEXAが高め。
 初期位置では博士の近くにいますが姿が見えません。
 戦闘方法は以下。
・戦闘術(A):色々なタイプの格闘攻撃をします。物至単ダメージ。
・銃術(A):銃撃攻撃をします。物中単ダメージ。
・必殺の一撃(A):戦闘術か銃術の必殺技を放ちます。物近単ダメージ。CT高。必殺。
・トリック(A):奇術的な仕掛けで注意をそらします。物近範。ダメージなし。識別。
・博士を逃がす(P):サエギリ博士が「私は悪くない(A)」を発動したら博士を庇うなり助けるなりします。
・生物系BS対抗注射(P):事前に打った注射で毒系、痺れ系、麻痺系、混乱系のBS無効。

 警備員×20人
 サエギリ博士が雇った警備員達です。数がいますがボディガードに比べると弱いです。
 各所に散らばって警備体制を敷いています。
 研究所の出入り口や制御室にもいます。
 戦闘方法は以下。
・格闘(A):格闘攻撃をします。物至単ダメージ。
・集団戦術(A):近場にいる警備員と連携して集団で攻めて来ます。
・トラップ操作(A):近場にあるトラップを有効活用します。
・博士を逃がす(P):サエギリ博士が「私は悪くない(A)」を発動したら博士を庇うなり助けるなりします。

 研究員×10人
 サエギリ博士の手下の研究者達です。今回登場する中では最弱です。
 研究所内の各所で何か怪しい事を研究しています。戦闘向きではありません。
 戦闘方法は以下。
・格闘(A):格闘攻撃をします。物至単ダメージ。
・博士を逃がす(P):サエギリ博士が「私は悪くない(A)」を発動したら博士を庇うなり助けるなりします。

●トラップ
 研究所内では以下のようなトラップがあります。避けるなり、壊すなり、逆利用するなりしましょう。
・警報装置:各所に仕掛けられています。怪しい物を感知すると大きな音を出します。
・監視カメラ:各所に仕掛けられています。放置すると動きがばれます。
・シャッター:部屋と部屋、あるいは通路を大きなシャッターで区切り通行妨害をします。
・警備ロボ:各所に仕掛けられています。通行妨害や簡単な攻撃をしてきます。

●GMより
 突然ですが、皆さんは研究所を襲撃した事はありますか?
 いやいや、僕だってリアルではありません。
 今回はマッドサイエンティストの悪しき計画を潰す為に研究所を襲撃します。
 義賊系のお話って研究所襲撃とかするから面白いですよね。

  • 怪盗代行業 集団人体実験の阻止依頼完了
  • GM名ヤガ・ガラス
  • 種別通常(悪)
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年10月15日 22時50分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃
極楽院 ことほぎ(p3p002087)
瓦礫の魔女
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
ニエル・ラピュリゼル(p3p002443)
性的倒錯快楽主義者
リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
分の悪い賭けは嫌いじゃない
梯・芒(p3p004532)
実験的殺人者
チェルシー・ミストルフィン(p3p007243)
魅惑の魔剣
七五三掛・纒(p3p007530)
戦嫌い

リプレイ

●侵入
 喧騒に包まれたとある夜のビル街地下。
 そこへ白衣に身を包んだ眼つきの鋭い男が訪れた。
「俺は監視カメラの修理を頼まれた者でな。実物を見せて貰えるか?」
 警備員は疑問を抱く事なく許可する。
 男は監視カメラを手際よく取り外すと一気に叩き壊した。
 慌てる警備員の方も首関節を捻じ曲げて瞬殺する。
 彼の正体は怪盗紳士『戦嫌い』七五三掛・纒(p3p007530)だ。
(人体実験、か。混沌の小勢力に過ぎない祖国の鳳圏でも実験をしていたという話を聞いていたが……人の命は、他者が弄んでいいものではない。俺はそういう輩を排除する為であれば、進んで悪名を負う事すら構わない)
「おっと、危ないよ」
 纒の背後から飛び出て、即座に警備ロボを凶悪な標識で叩き壊したのは『実験的殺人者』梯・芒(p3p004532)だ。
 機械音を立てて崩れる警備ロボだった物を見つめて芒はふと思う。
(ストレートに悪い奴の殺害依頼は久方振りなんだよ。遺言でもしもの時の保険を掛ける怪盗とかマジメ君だねぇ)
 突入前にリアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)は背を正して深呼吸をする。
「どうしたと? いやな、人の育ち故郷で変な研究して迷惑かけている奴がまたおると思うと気が滅入るのでな……」
 ため息も出るリアナルであったが、『魅惑の魔剣』チェルシー・ミストルフィン(p3p007243)も頷いて同意する。
「細菌実験とかヤバい奴がいたものね。愛のない責めに苦しむ人たちの気持ちが分からないのかしら? Sの風上にも置けない奴ね。私の魔剣が血を求めてるわ!」
 SとMの問題か否かは置いておくが、『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)も研究者として気にはなる依頼のようだ。もっとも……。
「科学者の研究成果には惹かれるものもあるが、兵器関係は興味がなくてね」
 それはそうとゼフィラは愛しのゴリパンジーを紹介する。
「突入後、『突破班』と『尋問班』の2手に分かれるよね? 私と同行しない『尋問班』の人にこのファミリアーを貸しておこう。ふふ、可愛いだろう? 欲しいと言ってもやらないぞ?」
 代表してチェルシーが愛玩ファミリアーを大事に受け取った。
「さてと、任務開始と行こうぜ?」
『死を齎す黒刃』シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)は仲間達に力強く呼び掛ける。
 ところで、心中では依頼主であった怪盗に儚い同情も抱いていた。
(なぁ、怪盗ブラッド? アンタは貧民街の人々を救おうと、行動に出たんだよな? 怪盗は人から盗みを働くモノだ。世間体で言えば確かに『悪』かもしれねぇ。だが、アンタがやろうとした事はきっと『正義』だったよ」
 突入と同時に、物色するかのような眼差しを周囲に向けているのは『瓦礫の魔女』極楽院 ことほぎ(p3p002087)だ。
(何かしら横流しすりゃ金になりそー! 問題はオレにゃ何が有用なデータかわかんねーことだが)
 物色に熱心な人物はもう1人いる。『性的倒錯快楽主義者』ニエル・ラピュリゼル(p3p002443)もだ。
(研究成果の横取り……なんて出来たら素晴らしいわねぇ?)

●突破班
 突破班は制御室を目指して行軍する。
 最前衛に立つはシュバルツだ。
 己の残影を鋭利な刃物に変えて警備員を一撃で屠る。
「悪ぃな。俺らも仕事なんだ」
 続くは罠解除の名人であるゼフィラだ。
 天性の眼力による比較術で壁や床の仕掛けを見破っていく。
「さてさて、探索は私の領分だ。張り切るとしようか」
 一方で、警報装置や監視カメラを優先的に破壊するのは纒だ。
 持ち前のスペクター能力のお陰で罠は彼を感知する事ができずその隙を突く。
「俺を捕らえる事はできまい」
 倒すべき警備員や破壊すべき罠に打ち漏らしはないだろうか。
 芒は探偵術から逆算して死角となる敵や罠を丁寧に確実に仕留めていく。
「一瞬でも見逃さないよ」
 それでも行軍は360度万能の角度から進んでいる訳ではない。
 時には、後方の距離が空いた所から警備員に見つかる事もある。
「お? 不意打ちは受け付けんよ?」
 最後尾を歩むリアナルが魔格闘の一撃で尖兵を地に這わした。

 とある十字路で警備員達が集まって話していた。
 監視カメラや警報器には十分に気を付けていたがこれだけの進撃だ。
「ここは俺に任せてくれ」
 纒には現状を突破する考えがあるらしい。
 彼は困った様子を装い警備員達に話し掛ける。
「俺はここの研究員だが騒がしいな? どうした?」
「研究員の方ですか? 実は侵入者がいるようで」
 纒は顎に手を当てて考えるふりをする。
「俺を制御室まで案内してくれないか? これは博士からの伝言でもある」
「本当ですか? 後ろの人達は?」
 背後に控えているゼフィラとリアナルを指して聞く。
「例の実験の協力者達だ。時間がない。急いでくれ」
 警備員は纒の存在に疑問を覚えて確認手段に出る。
「IDカードを見せて下さい」
「それなら……俺の目を見てくれないか?」
 纒の眼球を覗き込む警備員は紅の魔眼に囚われて意識が朦朧となる。
「は、い……。制御室は、こちらで……」
 それを見ていた2人の警備員が異議を申し立てる。
「おい、おかしいぞ!」
「気付いた頃には遅せぇんだよ」
 壁にめり込んで隠れていたシュバルツが漆黒の刃で警備員の喉を貫く。
「終わりだよ」
 逃げ出そうとするもう1人には芒が脱兎の如く飛び掛かり烏の如く喉を掻き切った。
 催眠状態にある警備員は、そのまま纒達を制御室へ案内する……。

 制御室前では警備員による生体認証キーが必要だ。
 催眠状態の警備員が難なく扉を開けてくれた。
 制御パネルを動かしている警備員が纒達の登場に驚く。
「おい! 誰だ?」
 平静を装って纒が答える。
「俺はここの研究員だ。博士の指示で制御室の方を頼まれてな」
「本当か? IDカードを見せろ! それとお前、どうした?」
 纒といる警備員仲間は上の空みたいな顔だ。
「その件だが、俺と目を見て話さないか?」
「何か怪しいぞ? 騙され……」
 警備員が言葉を言い終える前に彼は喉元から事切れていた。
 芒の暗黒標識が獲物を刺殺したからである。
「制圧するぜ!」
 シュバルツの号令を差し止める声が扉の外から聞こえて来た。
「罠に掛かったな。制御室を狙うのは相場だ。お前らこそ制圧してやる!」
 扉の外にはいきり立つ警備員が勢ぞろいだ。数を集結させたのだろう。
 単体では弱くても、十人以上の規模で襲い掛かって来る敵勢の集団戦術は脅威だ。
 警棒を振り回して、拳や蹴りで圧倒して、全力で体当たりしてくる。
 しかも制御室は狭いのにこの人数での乱闘だ。
「くっ、この態勢では得意な攻撃が活かせない」
「な、なんと、芒さんピンチだよ?」
 最も不利だったのは纒と芒だ。
 いつもであれば広さと速さを駆使したヒット&アウェイで敵勢を葬った事だろう。
 だがその手が封じられ、防御力に不安があるメンツはげっそりと体力が削られていく。
 やがて、纒のパンドラの欠片が弾け飛び、芒は闘志を燃やして起き上がる。
 狭くて動きづらいのは敵も同じだ。
 シュバルツは警備員を排除しながら纒の手を引き、ゼフィラは警備員を弾き飛ばして芒の手を引いて、扉外まで逃げ切った。
「どうやらこの勝負、儂に分があったようじゃな?」
 部屋外にはリアナルが立ちはだかり、砲弾の嵐が猛烈な火力で圧倒し敵勢を撃ち殺した。
 時にこの攻撃も万能ではなく撃ち漏らしもいて、残敵が向かって来るものの……。
「さっきのお返しだね」
 芒が横切り、通ると同時に警備員は鮮血を上げる。
「礼には礼をな」
 纒は音速の殺人術で警備員を即座に死体へ変える。
 シュバルツが最後の1人を刃で切り裂くと制圧は終わった。
 ゼフィラは急いで制御パネルを操作して部屋周辺のシャッターを降ろす。
 これ以上の増援は困るからだ。
「さて、どうする?」
 シュバルツが仲間達に問い掛けると纒が即答した。
「俺はここに残って皆を援護するな」
 ゼフィラは五感の繋がっているゴリパンジーに連絡を入れる。
「あちら」でファミリアーは「丸」のポーズを取る。制御室制圧完了、の意だ。
「地下奥が目指すべき場所じゃが、どうやって行くのじゃろう?」
 不安そうなリアナルの疑問に芒が自信あり気に答えてくれた。
「制御パネルのモニターに地図があるよね? 纒先輩に誘導してもらうのはどうかな?」
 シュバルツが手を叩いた後、話を纏める。
「了解だ。各自回復した後、合流予定である地下奥まで行って博士を屠ろうぜ」

●尋問班
 最初の分岐後、この班は真っ直ぐに進むと運良く研究員を見つけた。
 何かの事情で急ぐ研究員の足元に突如、どす黒い悪意が神秘を散らした。
「イヤー手元が狂っちまったわ。何発で当たるかゲームでもやるか? ん?」
 ことほぎがわざとらしく微笑むと、ニエルの方は冷たく笑った。
「侵攻は尋問できる研究員のいる実験室が優先ですから。案内してくれるでしょう、ねぇ?」
「はい、ご案内します!」
 チェルシーはこの手の依頼に慣れた仲間の手際を観察して感心していた。
(へぇ、やるわね?)
 幸いにもその地点から実験室までは距離的に一直線ですぐだった。
 道中で警備員や警備ロボ等とも戦闘になる事はなく実験室へ進めた。
 チェルシーの魔力伝導線できつく巻かれている研究員が先に実験室へ入る。
 生体認証キーで開錠した後、3人が続いて入室すると他の研究員達がどよめいた。
 相手が感情を刺激されて何かの行動に出るよりも速く、ことほぎが疾走する。
 召喚された熱砂の精が重たい砂嵐を巻き起こして周囲の3人程を無惨にも殺害する。
「おっと、力加減ミスっちまった☆」
 これは本当の話である。まさか一撃で死ぬとは思っていなかったのだ。
 ニエルは、震えて立てなくなっている研究員に鋭いメスを突き付けて脅す。
「死にたくなければ次の全部を教えなさいねぇ? 博士の居場所、立入禁止区域、構造上空白の場所を」
 脅された研究員は泣きながら全て話した。場所を確認できた彼女はニヒルに笑う。
(研究成果や逃走経路がそこにあるに違いありませんから)
 情報を得た後、ニエルは無慈悲にも研究員の頸動脈を切って殺害した。
 一方、チェルシーは年配の研究主任らしき男と取っ組み合いになっていた。
「しつこいわね!」
 殺傷性は低いものの、威力ある術式で男を倒して威嚇する。
 倒れた研究主任はそのまま魔剣の糸できつく縛られて拘束されてしまった。
 ところでチェルシーの場合は「尋問」よりも「説得」を試してみた。
 チェルシーの天性の力が輝きを放ち、研究主任の心の奥深くを捕らえた。
「ねぇ、博士を罪から助けない? 私も無実の証明に力を貸すわ?」
 チェルシーと研究主任は相互に深い感情を通わした。
 やがて、主任は痛い所、弱い所、苦しい所を色々と探られて……。
「はい、仰る通りです。ご案内します」
 どうやら聞いた所、研究成果等はここの実験室よりもずっと奥の研究室にあるらしい。
 しかもその部屋には研究主任クラス以上の生体認証キーが必要との事。
 そして今、チェルシーの行動によってそのキーも手に入った。
 尋問を終えて片付けたことほぎが戻って来る。
「お? チェルシーでかしたなー。んじゃ、行くか!」
 ニエルの方は違う判断らしい。
「悪いけれど先に行ってくれますかねぇ? 私はちょいと寄る所がありますから」
 彼女は何か大事な事を掴んだらしい。
 ニエルは別行動になり、2人は研究成果の元へ急ぐ。
 と、その前にゴリパンジーからの連絡だ。
 愛らしきファミリアーは丸の字を体で描いた。
 記号の意味する所を知るチェルシーは笑顔で喜ぶ。
「制御室を制圧したようね! これでこちらも移動が安心だわ」
 その後、2人は研究所奥で研究成果の細菌箱と研究データのチップを見つけ回収した。

●合流
 纒の援護もあり両班は無事に研究所地下奥で合流を果たせた。
 地下奥の部屋にはサエギリ博士がただ1人、ぽつりと立っているが……。
「ふ、侵入者か? この私が直に手を下してあげよう」
 芒の類まれなる殺人鬼の直感がこれは罠だと見抜く。
 彼女は猛速度で駆け出して、道中で奪って来た照明を部屋の方々へ転がす。
 不規則な光源が各所で発生した事により、あらゆる所から不穏な影や反射が見えた。
 リアナルの野生の直感だって負けてはいない。
 芒が仕掛けた場所周辺に怒涛の鉄色の嵐を撃ち込んで制圧する。
 案の定、身を潜めていた警備員やボディガードがぞろぞろと出て来た。
 博士の罠は破られ、姿を現した敵軍と友軍の激突が今、始まる。

 芒は即座に戦況を俯瞰した後、誰の相手をするべきか考えていた。
 どういう訳だが、今日は警備員の人数が多いらしい。
 いや、これは、増援だ。情報精度には多少の穴があったか……。
「やれやれ、纏めて相手にしてやるね?」
 だが雑魚が何人であろうと芒の敵ではない。
 今こそ使えるのは最凶速度のヒット&アウェイだ。
 まるで兎のような俊足で敵に近づき、烏のように乱雑な勢いで敵を始末する。
 しかも逃げる殺人鬼に対して敵は機動力が違うのだから追う事すらできない。
 それでもまだ来るか、増援。
 今度は警備ロボが……いや、なぜか、警備員と戦っている。
 芒は即座に理解した。纒先輩の仕業だね。

「おらおら、掛かってこいよ用心棒。そんなんじゃ博士は守れねぇぜ?」
 シュバルツは開戦と同時に挑発して襲い掛かり、暗黒の刃をボディガードに叩き込む。
 屈強な黒服の男は両腕を盾にして残影の一撃を凌ぐ。
「ほら? こっちじゃよ」
 後方支援に控えたリアナルは、魔に彩られた灰色の矢で黒服を狙い撃つ。
 相手もその道で生きている手練れだ。
 凄まじき連打で、シュバルツに痛恨の拳を放ち、リアナルに必殺の銃撃を喰らわせる。
「ち、さすがにやるな。だが!」
 シュバルツは生命の力を加速させて体力を持ち直し反撃の刃を光らせる。
「そうか、ならば……」
 リアナルは死角の影からの狙撃に移行する。

 博士は荒れる。試験管を投げては爆発させ、フラスコを投げては病原菌をばら撒いていた。
 前衛にはことほぎが対処する。
 華麗な蹴り技を駆使して博士を蹴っては、距離を取る。
 極悪女は最凶の一撃を今こそは、と狙っているのだ。
 中衛にはゼフィラが俊敏なフットワークの軽さを活かして駆け回る。
 博士の兵器攻撃を受ける度に仲間を回復させるか、あるいは反撃を撃ち込む。
 後衛のチェルシーは生命力奪取の術で博士を攻撃するが警備員や研究員が妨害する。
 ぎりぎりの戦力でじりじりと消耗していくが、ここで勝負。一斉に反撃だ。
「本気でヤっちまうからなー!」
 ことほぎの禍々しい悪意の魔弾が博士を襲う。
「さて、貴方の小言を聞く時間はないのでね。寝ていてくれると助かる」
 ゼフィラが召喚した魔雹が吹雪いて敵勢を凍え殺そうとする。
「怪盗の無念と共に果てなさい!」
 チェルシーの翼から射出する魔剣の一撃必殺が入る。
 どうやら、博士を庇って走って来た増援が盾になって死んだようだ。
 今の猛連撃で負傷した博士はとある錠剤を取り出して冷笑する。
「何かわかるかな? そう、悪性細菌だよ……」
 悪夢のフラスコに錠剤を落し、ますます際どい色になった液体が爆発しそうだ。
 博士が細菌フラスコをばら撒き牽制して逃走する。運悪く、チェルシーが被弾して……。
 ゼフィラが、シュバルツが、起死回生の勢いで彼女に治癒の術を施す。
 芒が、ことほぎが、複雑な非常通路に逃げる博士を決死で追い駆ける。
『皆、聞いてくれ。逃走ルートは全て遮断した、追い詰めよう!』
 纒のアナウンスが流れ、各所でシャッターや警備ロボが作動する。
「儂が相手じゃよ」
 迫る残党にリアナルが立ちはだかる。
 機動弓の強襲撃で逐次撃破するが、ボディガードは奇術を爆発させ突入。
 黒服による熾烈な連続必殺銃撃が火炎を噴く。
「させない」
 ゼフィラが前に出て庇い、痛恨の銃撃に撃たれてパンドラが弾け飛ぶ。
 ところが、なぜか黒服の腹に短い魔剣が刺さっていた。
「私は何ともなかったようね?」
 毒系や精神系に強いチェルシーには細菌が無効だったのだ。
 耐性のない者が受けていたら大惨事だった事だろう。
「隙だらけだぜ?」
 シュバルツの影が鋭利な漆黒で斬撃を浴びせる。
「終わりにしようか?」
 距離を取っていたゼフィラから破滅的な威力の魔術砲撃が撃ち込まれる。
 意表を突かれた黒服は討ち取られ、残党が降参した。

●始末
 博士は逃げ切りご満悦だったが、そこに人影が……。
「私は立入禁止区域や構造の空白地帯で何を見つけたのでしょうか? おそらく未公開の危険な劇物を沢山発見したのでしょう。さらに道を辿って行くとここ、非常口に出ましたねぇ。いやぁ、お待ちしていましたよぉ?」
 劇物入りの注射器を構えてニエルがじりじりと博士に近寄る。
「よ、よせ! それを捨てろ! 近寄るな!」
 ニエルはにっこりと不気味に笑う。
「折角なので、出来たら成果物で実験したいわねぇ? ワクチンとかもあったから、その効き目も確かめないとねぇ?」
 その後、捕われた博士は劇物注射とワクチン回復を繰り返されて苦悶の拷問を受ける。
 仲間達が駆けつけた頃には、博士はニエルの人体実験により狂死していた。
 皆で改めて相談した所、研究成果は全て破棄処分となった。

 了

成否

成功

MVP

七五三掛・纒(p3p007530)
戦嫌い

状態異常

なし

あとがき

この度はシナリオへのご参加ありがとうございました。

私にとって初めての悪属性依頼でしたが、楽しんで頂けたら幸いです。

ところで、悪属性依頼専門のGMって、BM(バッドマスター)って言うのでしょうかね?
(と、勝手に想像していたカラスGMでした)

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