シナリオ詳細
イレギュラーズ・アドバイザリー:天義改革実行
オープニング
『ファンドマネージャー』新田 寛治(p3p005073)は困っていた。
「おかしい……弊社でこの投資を取り纏めるつもりなど全くなかったのですが……」
彼が幾人かの特異運命座標らとともに天義の街グレゴリアの再興プランを提示したのはつい先日のこと。どんなに小さな罪をも見逃さず処罰することこそ人々の幸福に繋がると信じる保守派と、伝統に背いてでも新たな幸福を作り出すことこそ人々を罪から遠ざけると信じる革新派の反目に対して寛治の提案した手法とは、現在の貧困が不正義を、不正義が貧困を生む負のサイクルを断ち切り、富が正義を、正義が富を生む正のサイクルに変えるためのものだった。
復興用の債権を幅広く売り出して、それを資本として産業が復興した後に利益を債権者へと還元する。
そんな理想的な経済活動を持続的に行なうためには、保守派に改革実行の意義を納得させた後も幅を利かせるこの街の旧来的な価値観自体が、大きな障害となることは明らかであろう。なので提案だけして保守派を納得させたらとっとととんずら、というのが寛治の理想だったのかもしれないが……ここで皆様、よーく考えてほしい。
提案者が金を出す気のない債権を、一体どこの誰が買ってくれると?
そんなわけで寛治率いるヘッジファンド『PPP, Ltd』は今、グレゴリア行政府からの有形無形の圧力に従わざるを得ず、自ら提案した復興投資債の引受業務を担当させられていた。問題は、コネクションを総動員したのが災いして獲得してしまった大量の出資が、このまま街の復興が滞れば不良債権になってしまうことだけじゃない……最悪、PPP, Ltdは投資詐欺を働いたと見なされかねず、グレゴリア司教の手によって不正義認定を下され活動を大幅に制限されてしまう可能性さえもある!
もしもそのことが原因で既存顧客にまで警戒感が広がって、一斉資金引き上げに繋がるようなことがあったなら……?
「破産しそうです助けてください(グレゴリア復興の第二幕、始めましょう)」
グレゴリア再興を起案した面々を再び集めて開かれた会合は、真っ青な顔をした寛治の、建前を押し退けて転び出た本音から始まった。
- イレギュラーズ・アドバイザリー:天義改革実行完了
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- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2019年09月25日 22時40分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●不協和音の足音
再びグレゴリアを訪れた特異運命座標らを迎えたものは、以前訪れた時と比べて随分と活気に満ち溢れた街だった。
通り脇の小教会からは聖歌が聞こえ、裏路地にうずくまる子供たちでさえも、土気色だった顔が幾分張りに満ちていたように見える。彼らにパンと毛布を配っていたのはひとりの行商人であり、着る服こそ薄汚れたままながらも希望に満ちた、穏やかな表情を浮かべているのが見える。
「新田さん、いつの間にここまでの投資を……」
この街に復興の兆しが芽生えていることを実感したならば、『信仰者』コーデリア・ハーグリーブス(p3p006255)の顔には驚きと感心が浮かぶばかりだった。いまだ、魔種教団の残党らはこの街の各地に潜んでいるという……それへの対処が彼女の今回の目的であるが、どうやら彼女はそれだけに注力すればよいように見える。
……にもかかわらず、『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)の顔は街に入る前よりもよっぽど青ざめた様子だった。
「とんでもない……これは『バラ撒き』というやつですよ……」
寛治が復興債発行により集めた(集めさせられた)資金を、おそらくグレゴリア上層部は何も考えず、漫然と困窮した人々へと放出しているに違いなかった。彼らには、投資と寄付の区別がついていない。これでは復興するものも復興できず、PPP,Ltd.はただただ業績悪化を辿るのみ!
「頼もーう! 復興を超えた、発展への投資。これが復興計画のコンセプトです」
領主の館に乗り込んで早々机に資料を叩きつけた寛治の眼光は、領主に小さな悲鳴を上げさせたのだった。
●復興計画
『「復興財源」を「公共投資」
「内需拡大」と「雇用創出」』
『「4つの施策」を軸に
人口増と労働の「高付加価値化」』
『より豊かなグレゴリアへ!』
カラフルなフォントとモーションエフェクトを多用したプレゼン資料で指導者層の心を鷲掴みにし、予算決定権を丸ごと彼らから奪うことから寛治の仕事は始まった。
「グレゴリアの財政基盤の健全化。それはステークホルダー全員の目標なのです」
何にも増して必要なのは、全員が同一のビジョンを共有すること。この機に、改めてそれを成し遂げねばならぬ。
「そのための道筋をつけることができたなら、復興投資債の信用は上がります。利回りの確度は向上し流動性リスクは低下。そうすれば投資家も、グレゴリアも、私も三方良しです」
寛治が力説する世界とは……そう、全ては富が正義を、正義が富を生む正のサイクルを実現した未来! 祖国の未来を守るため、街を、そしてそこに暮らす人々を幸福にするためにそれが必要だというのなら、『天義の希望』リゲル=アークライト(p3p000442)もまたその身をもって、「4つの施策」の実証のため力を尽くそうじゃないか。
●治安維持
寛治の圧に押し切られた上層部による活動承認という後押しは、リゲルの聖騎士団での仕事にとって、随分な追い風になってくれていた。
「リゲル=アークライトと申します。本日は、この街の自警団と聖騎士団の間で上手く棲み分けできるよう提言に参りました」
「領主殿より我らが不在の間に自警団が設立されたとは聞いておりましたが、よもやアークライト卿が関わっていらしたとは」
リゲルが右手を差し出したなら、聖騎士団長スノウシルバー卿は驚いて、慌ててそれを握るのだった。
「不在の間に民に負担を掛けたこと、我らは皆面目が立たぬと嘆いております……しかし一方で民が我々の真似事をしていると知り、中には我らの聖務を穢されたと憤る者があることもまた事実でした。卿にとりなしをいただけるのであれば、これほど心強いことはない」
「それもまた、街を守りたいという願いから来るもののはず」
リゲルは、憤る騎士らを否定はしない。それもまた彼らの誇りであり、誇り高き剣こそ彼らの強みであるからだ。
その強みを活かし、他の強みを持つ者と団結する――それができたからこそローレットは、魔種ベアトリーチェさえ退けたのだ。この街で最も良くそれを知る者は、その偉業を間近で目の当たりにした聖騎士団自身であろう。さすれば、しばらく自警団が担当してきた害獣駆除と犯罪への初動対応をそのままに、誇り高き剣はより神の威光を必要とする分野に広く使われる……それは両者にとって決して受け入れられぬ取り決めにあらず。
……しかし一方、コーデリアが考えねばならなかったのは、両者が共闘することで得た力強い治安維持機構を以って、いかに魔種教団の残党に対処するかであった。
「皆様にも手を貸していただきたいとは思いますが……まずは、どのような対応をすべきかを、全体で統一しなければなりません」
集まった聖騎士団と自警団の代表者に対し、彼女はこう説いてみせていた。
「彼らが、いまだこの街で活動しているのは確かです。ですが、かといってひとり残らず草の根を分けて探し出す、とすると人を動かすためのコストも掛かりすぎますし、そもそも何人いるかもわかりません」
けれども彼女の言葉を遮って、聖騎士のひとりが立ち上がると抗弁するのだった。
「ならば、あると判っている悪を見過ごせと言うのか! 自警団の皆々様も不安で眠れぬであろう!」
対して……コーデリアはしかし、首を振る。
「あまり大々的にやりすぎると、民衆が彼らに対する憎悪を募らせすぎかねないでしょう。彼らはより団結し、教団の再建を企んで……一層の不安に繋がってしまいます」
無論、実害が出さぬよう、監視の目は必要となるだろう。事を起こす兆候が見られたならば、その時は捕縛すればよい。
が……密かに隠れ住むならそうするがいい。そうすれば寛治の提案の2つめ、刑務所に関する実験と合わせ、大きな成果を挙げるに違いなかった――。
●不正義と更生
『六枚羽の騎士』カイト・C・ロストレイン(p3p007200)の名において願われた釈放の請願は、政敵らにロストレインの叛意を疑わせるものであるのと同時、捕えられた元魔種教徒らにとっての福音でもあった。
この国で、反転した父を持つ騎士への風当たりは決して弱くはない。国王にして教皇シェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世による直々の名誉回復令が下された今も――いや今だからこそ――永遠に罪を赦されぬ苦痛を、恐怖を知っている。
無論、他者を煽動し、殺し、その罪を悔い改めぬ者まで救えとは言わぬ。しかし、心の拠り所なきことが理由で魔種にさえ縋らねばならなかった者たちさえもを、この国は断罪せねばならぬのか?
それが、どうしてこの国の目指す正義であると言えようか、と、説けるのは、おそらくはカイトだからであろう。無論、だからといって無罪放免にできないことは知っている……しかし彼らに必要なのは処刑の未来ではなくて、償いの機会であるはずなのだ。
「貴殿が陛下より賜った慈悲を、彼らにも分け与えたく思われるのは、なるほど正しきことでありましょうな」
カイトが訪れたこの街の老司法長官は、慈しみの眼差しを彼へと向けた。
「罪人にも慈悲深く接すれば、喜んで秘められた罪を告白し、赦しに報いようと奉仕さえしてくれる……しかし」
そこで長官は、悲しげに首を振ってみせたのだった。
「……実際には慈悲に感謝するような人々は、偶然から罪を犯してしまうことはあっても、自ら罪を犯そうとなどはせんのですよ。自ら罪を犯すような者は、善き人々の慈悲を嘲笑い、償うことなく逃れようとするでしょうな……卿がどうしてもと仰るのであれば罪が軽い者を卿にお預け致しますが、そのお優しさがいつか命取りにならぬよう、わたくしめは願っておりますぞ」
長官とて、決して意地悪をしているわけではないに違いなかった。悪意が善意に勝るようなことがあっては、今グレゴリアの街に満ちている復興機運は損なわれ、人々は悪への恐怖と憎悪に呑まれてしまいかねないことを彼は知っている。それはカイトも承知せぬわけでなく――しかし、だとしても彼は信念を貫かねばならぬ。それが、ロストレインとしての責務ゆえ。
幸いにも、彼には同志たちがいた。今頃『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)が、そのための準備を行なっていてくれるだろう。カイトの請願によって多少の自由を取り戻した囚人たちは聖騎士らに魔物の住処でもある森の中へと連れられてゆき――そしていつの間にか広く木々が切り倒されていた、奇妙な空間に目を奪われていた。
●刑務所建設
広場では、寛治の手配した職人たちが、それぞれの作業に就いている。それらはまだまだ始まったばかりではあるが、伐採された木々で掘っ立て小屋が作られて、そこに寝泊りする職人たちが山肌を削り手に入れた土を使って、暖炉やかまど、その他の設備を着々と作っている様子が囚人たちの目にも見てとれる。
するとその間を緩やかな足取りで渡り歩きながら作業の進捗を確かめていたひとりの女性――しかしその装いは凛々しい男装であった――が彼らの到着に気付いて振り向いて、帽子を取って軽く会釈してみせた。
「ここは、不幸な身の上ゆえ罪を犯さねばならなかった人々――まさしく、皆々様のような――のための、新しい“村”になるので御座います」
そう――“村”だ。罪人を幽閉する場でも、奉仕という名の強制労働を強いるための場でもない。刑務作業を通じて手に職を得て、その成果は自給自足の他に、交易を通じて賃金に換える刑務所を人里離れた場所に作るというのは、もはや村落ひとつを作り上げるに等しい仕事だ。
「ふん――そやつらが都合が悪くなれば魔種どもを崇めて、結局はそれも中途半端なままで神の威光の下に戻ってきた罪人どもか」
作業の手を止めてこちらを睨みつけた親方職人が、忌々しそうに顔を歪めた。
宥める幻。
「それでも親方は、この仕事を引き受けて下さったので御座いましょう?」
すると親方は険しい顔のまま、囚人たちに言って聞かせるのだ。
「無論、知って引き受けた仕事を投げ出すつもりなぞないわい。罪人だろうと魔種だろうと、学ぶ気があるなら好きに学ぶがいい。正式に職人ギルドに弟子入りできるくらいには育ててやろう……どこまで踏ん張れるのかは知らん、だが半端者扱いされたくなけりゃ、せいぜい最後まで遣り遂げることだ」
刑務所は作業場らしきものが作られていたほかは、囚人らが過ごすための監獄さえもが未完成だった。
その中で……彼らは職人らを助け、時には食事を賄うなどの労役に就く。たとえ逃げようにも周囲には森が広がっていて、そもそも逃げるより『聖騎士らの監督の下、職人ギルドが見習いと認める程度の技術を身につけた』とのお墨付きを得る方がよほど得になるのが第一弾の囚人たちだ。もっとも今後この“村”は、より重犯罪者の収容に耐えるよう、発展を続ける予定ではあるのだが。
そんな手厚い罪人保護は……一方で街の“良識ある人々”の目に、善人を救わず悪人をばかり救うとは何事か、と映る恐れがあった。
そこで……『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)による福祉政策だ。
「いいのか? こんな立派な建物を無償で貸し出してくれるだなんて」
「子供たちが何故既存の孤児院に入れぬか、知っているかね? 近頃では孤児院も苦しくて、孤児を探しにゆけずにいるのだよ」
商人は苦虫を噛み潰した顔で、そんな現実を教えてくれた。だから自ら院を訪れた子供を除いて、彼らは誰も救えない……かと言ってそんな彼らに無償で援助しつづけられるほど、商人とて余裕があるわけじゃない。
「……しかし、君たちは孤児院経営が、多少なりとも『ビジネス』として成り立つよう考えている……ならば私も使わぬ倉庫程度であれば、我が商会の名を冠したまま使って貰った方がいいように思えてね」
虫のいい賛同者もいたものだった。しかし、たとえ多少足元を見られてはいても、彼はおそらくこの街で、最もジェイクのやりたいこと――ただ孤児を教育するだけでなく、浮浪者らにも衣食住と職業訓練を与え、その成果を売り出し経営の足しにする――を理解する人間のひとりであろう。
依然として保守的な考えの者の多いこの街においては、ひとたび賎民に堕ちた者がいたならば、二度と戻れぬのが常であった。苦難が神の定めし運命であるならば、わざわざ神意に反して彼らを平民に戻し、商売敵を増やす必要はない……だがそれが今、未来の事業拡大を見据えた労働力確保という名の新たな正義のために、神殿のお墨付きで彼らを正当に雇いうるのだ!
「ああ、まずは今から半月の間に、貧民たちに仕事を仕込んでやってくれ。できれば刑務所の囚人らにもだ。
俺たちが確保した指導役を活用してほしい……その間俺は、ここに来れば寝床と飯と仕事があるってことを触れて回らなくちゃならねえからな」
これから半月もしたならば、街には貧民や罪人の手さえ借りねばならぬ大事業が始まるはずなのだ。そして、その“大事業”とは……。
●復興祈年祭
「……お祭り、なのだわよっ!」
『お節介焼き』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)の宣言は、集まった各方面の有力者たち……は、大きな拍手で迎えるられたのだった。
聖俗の垣根を越えた聖騎士団と自警団がすんなりと提携を受け容れたのも、刑務所や複合福祉施設の準備が急ピッチで進められたのも、全てはその先に、改革の成果をお披露目する場が迫っているという緊張あってのことだろう。今や、提案に過ぎなかった祭りは計画の段にある。華蓮が計画表に記した祭りの期間は、実に3日間……それほどの大々的な祭りの間、彼らはどんな困難であっても排除して、グレゴリアの街が、ひいては聖教国ネメシスが復興し、経済の面でも治安の面でも心配要らなくなったのだと国内外に示さねばならぬ。
「街の隅々まで網羅する大パレード、とは中々豪華ですなぁ……」
「大通り沿いの店々だけでなく、裏通りの店々にも恩恵がありそうです」
「しかし……それでは治安維持が大変そうだが、自警団の皆々様はいかがお考えか?」
「顔が利く奴らが話をつけに行ってる。裏通りには裏通りのやり方があるが、それにさえ文句言われなきゃ上手く行く」
互いが、活発に意見を出し合ってゆく。計画は細かに形になってゆき……その報酬は祭りの訪問者たちが生む、巨大な経済効果として返ってくるだろう。無論、お祭り騒ぎでこれまでの暗鬱な空気を全て吹き飛ばし、人々に笑顔と希望を与える効果も忘れてはならない……願わくば、その希望が孤児たちや罪人たちまで楽しませ、彼らの自信に繋がるように。観光資源となる以上に、華蓮が祭りに願うのはそれだ。
「パレードでは、私も祈祷や歌を披露するつもりだわっ! 司祭様や聖女様だけが主役になるのではなくて、私も、他の人も、誰でも主役になれるパレード……そんなものはこの国ではあまり見かけないけれど、これは不正義になるかしら?」
無論、答えはNO。むしろ、この街の新しい在り方そのものとさえ言える……だがそこで、聖騎士のひとりが発言の機会を求めたのだった。
「街中の警備は問題ないのだが、街道の警備に不安があるとの声が上がってきている」
●祈年祭に向けて
「今のではいけません。それでは予期せぬ強大な魔物が現れた際に、自警団の方々が危険に晒されてしまいます」
「ふむ……今のでも遅いとなると、待機体制に手を加えねばならぬな」
グレゴリアに繋がる街道のひとつで訓練を繰り返す自警団たちと聖騎士団の姿は、通りかかる人々に、さぞかし何事かと思わせたことだろう。
ゴブリンや狼らであれば、自警団だけでも排除はできる。けれども祭りを成功させるには、出現頻度こそ稀であっても、より脅威となる事態にも対処できねばならないだろう。
ひとたびこの件に関わった以上、そこまできっちりと面倒を見るのが『恩に報いる為に』ノエミ・ルネ・ルサージュ(p3p007196)の正義。いかに街道警備が自警団の仕事になったのだとしても……職業戦士でない彼らが傷つけば、彼らの家族を大いに悲しませることになるのだから。
「通報と出動は速やかに。一方で自警団は旅行者たちの誘導も確実に。聖騎士団が魔物の討伐だけに専念できるように……」
そうして訓練を繰り返している最中、ノエミはふと、ひとりの人物の姿を思い浮かべるのだった。
正義の騎士、ジルベール卿。
この改革の発端となった彼ならば、どのようにこの街を救おうとしたのだろうか? そして彼女の父が書く物語の登場人物にすぎないはずの騎士の正体は、はたして何者であるのだろうか?
ジルベール卿の存在は、新たな孤児院で笑顔を取り戻した孤児たちばかりか、聖騎士たちの間でも、いつしか復興祈年祭と関連付けられてゆくようになる。そのきっかけは実のところノエミ自身が人々にひそかに与えた示唆にすぎなかったのだが……ジルベール卿はグレゴリアの復興祈年祭の非公式な守護聖人として、ささやかな信仰へと発展してゆくのであろう。それは、彼が実在するか否かにかかわらず。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
かくしてグレゴリアの街は一丸となって、当初は「今後そういうことができたらいいね」の域を出なかった『復興祈年祭』に向かって、具体的な準備を進めています。
今回のリプレイでは十分な準備時間が取れていないと判定し、実際に祭りを開催するまで至ることはできませんでしたが、これから街の人々は、概ね皆様のプレイング内容通りに準備を進めてゆくことでしょう。
もっとも……今は彼らの団結は、半ば無理矢理纏まったような部分も散見はされます。しかし祭りが成功裏に終わるようならば、彼らはより結束を強めてくれることでしょう。
次回、『聖教国復興祈年祭』は、近日中にイベントシナリオとして公開する予定です。今回のリクエストにご参加になった皆様も、そうでない皆様も、是非とも新生するグレゴリアをお楽しみに!
GMコメント
おおゆうしゃよ! 一度関わったら最後、失敗しても不正義、失敗前に逃げても不正義認定される天義リスクを過小評価してしまうとはなさけない!
そんなわけでリクエストありがとうございました。今回ご参加の皆様に事の経緯を懇切丁寧にご説明する必要はないと思いますので、現在も残る大まかな課題のみお伝えします。全てに対応する必要はありませんが、なるべくどうにかしてあげるほうがいいでしょう。
・自警団関連
自警団の魔物討伐活動は軌道に乗ってきましたが、ようやく首都防衛から聖騎士団が戻ってきたことで活動範囲の競合が発生する可能性があります。問題になる前に上手く調整してあげてください。
・犯罪者の処罰関連
盗みくらいであればまだしも、一度は魔種を崇めるに至った元魔種教徒を社会復帰させることへの忌避感は、グレゴリア全体に遍在します。
負担をグレゴリア社会に負わすことなく犯罪者を更生できることを証明できれば、この風潮も和らぐでしょう。
・経済復興関連
PPP, Ltdの尊い犠牲のお蔭で、とりあえず予算はちょっとした規模の商会を立てられるくらいには集まっています。用途は皆様が決定して構いませんので、さあこいつを投資しましょう。
なお上記の更生施設の運営や、各種福祉施設の増設なども、この予算と投資利益の中から行なわねばなりません……優先度を決めて計画的に予算を組んであげてください。
では……皆様の健闘を祈ります。
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