PandoraPartyProject

シナリオ詳細

悪しき鎖を解き放て

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 かえりたい。
 帰りたい。
 家へ。深緑へ。

 私たちを、返して。


「仕事だよ」
 依頼書を持ってきた『黒猫の』ショウ(p3n000005)は集まったイレギュラーズをぐるりと見渡した。
「最近騒がれているから、もう知ってるかもしれないが……深緑の件だ」
 大樹ファルカウを中心とし、緑に囲まれた彼の国には幻想種──長耳で長命な種族が多く生活している。ラサを例外として、他国とはやや閉鎖的な傾向を持つ国だ。
 そんな深緑で、近頃幻想種の拉致事件が巷を騒がせていた。
「この事件に関する調査結果……も、知っているかもしれないね。
 深緑で囚われた幻想種たちは、ラサへと流れされている」
 どこか閉鎖的な深緑にとって、唯一の同盟関係を結んだ相手であるラサ。深緑との関係を破綻させるような真似をラサがするとも思えないが、幻想種がラサへ運ばれていることは『動かしようのない事実』である。
「ラサまで運ばれると奴隷として買われたり、商人同士の売買によって更に他の国へと流されているみたいだね」
 ぱらぱらと羊皮紙をめくるショウ。そこには幻想種の発見された場所、通ったと思しきルートなどが数多く記述されているようだが──その終末点に丸がついている、すなわちローレットで救出できたものはまだ良い。けれど途中で途切れてしまったルートも少なくはないようだ。
「商人なんて星の数ほどもいる……は、言い過ぎかな。まあ少なくはないし、特にラサは商人たちが集まりやすいからね。
 いずれにせよ、追える情報は追ってるよ」
 そっちはもう少し待ってて、と告げたショウは混沌の地図を広げた。
「まだ拉致事件の被害は増えているからね。少しでも被害を増やさないようにするには──」
 ここだ、とペン先で示されたのはラサにほど近い深緑──国境付近。
「ラサから更に他国へ広がっていくというなら、その前に叩けばいいのさ。皆にはこの辺りで待ち伏せ、奴隷商人に拉致された幻想種を救出してほしい」
 少し前から、この場所を馬車が出入りしているのだという。深緑からラサへ向かうことは、通常であれば変哲も無いのだが。
「怒鳴り声を聞いた、って情報が上がってきてるんだ」
 怒鳴る1人と、よくよく耳を澄ませばすすり泣くような声。それが馬車の動く音に紛れて聞こえてきたのだと、そう告げた幻想種がいたらしい。
「皆が遭遇した時点ではグレーだが、気をつけてみれば不自然な点はいくらでも上がるはずだよ。そこを突かれて敵意を向けてくるようなら──黒だ」
 例えば、商人の様子。
 例えば、馬車の外装。
 通常の商人との差異を見つけ出し、看破。幻想種を救出することが今回のオーダーだ。

GMコメント

●成功条件
 囚われた幻想種の救出

●情報精度
 当シナリオの情報精度はBです。
 依頼人、情報屋の言葉に間違いはありませんが、不明点もあります。

●フィールド
 森の中。夕暮れの視界が悪い時間を狙って国境を越えようとする馬車が通ります。
 周囲に何か気を使わなければいけないものはありませんが、道から逸れると木々が視界を邪魔することでしょう。

●エネミー
・商人×2
 幻想種をラサへ連れて行こうとしている商人たち。しかし、自らの身のためなら卑怯な手も躊躇なく使うことでしょう。
 護身用の遠距離武具を所持しています。護衛よりは弱いです。

・護衛×8
 馬車の周囲を交代で護衛する男たち。護衛対象(商人、幻想種)へ進もうとすると阻むことを優先するでしょう。
 近接武器を所持しており、やり手です。剣が4人、槍が2人、斧が2人。
 いずれも防御技術に優れており、この内数名は必殺付与の攻撃を持っています。

ヘヴィスラッシュ:物単近。攻撃力を上乗せした1撃です。【乱れ】
護衛の意識:2人纏めてかばう、ブロックが可能です。
号令:神自域。号令を発し、すべきことを明確にします。BS回復50。

●救助目標
・幻想種×6
 深緑に住まう幻想種の女性たち。鎖で手足を縛られ、繋がれています。鎖は自力で破ることは難しいですが、武器を用いればそこまで難しくありません。
 初対面では怯えられるでしょう。

●注意
 夕暮れ時、護衛を伴った馬車だからといって件の奴隷商人とは限りません。
 しっかりと見極め、黒と判断してから戦闘態勢をとってください。

●ご挨拶
 愁と申します。また騒がしくなってきましたね。
 今回の成功目標は『救助』です。罷り間違って救助対象を殺されないよう、お気をつけ下さい。
 ご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

  • 悪しき鎖を解き放て完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年09月12日 22時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ロザリエル・インヘルト(p3p000015)
至高の薔薇
キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
楔 アカツキ(p3p001209)
踏み出す一歩
フレイ・カミイ(p3p001369)
タツミ・ロック・ストレージ(p3p007185)
空気読め太郎
フィール・ティル・レイストーム(p3p007311)
特異運命座標

リプレイ

●白か、黒か
「ローレットよ! 止まってちょうだい!」
 『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)の言葉に1台の馬車が止まる。御者台に腰掛けていた商人が怪訝そうな目でイレギュラーズたちを見た。
「ここで何かあったのか?」
「最近、幻想種の誘拐事件が多発してるからな。申し訳ねえけど検問に協力して貰えないか?」
 商人に顔の利く『空気読め太郎』タツミ・ロック・ストレージ(p3p007185)がそう告げると「なるほど」と商人は頷いて。
「中も見てもらって構わないが、商品には触れないでくれよ」
「ああ、わかった」
 馬車の中へと乗り込む『アニキ!』サンディ・カルタ(p3p000438)。けれど本気で中を物色するわけではなく、検問をしたというフリで外へ出る。
(護衛なしなら確率ゼロだからな)
 件の商人は護衛を連れているという。人身売買をしているのだ、護衛がいて当然だろうが──逆にそれが目印ともなる。
「協力ありがとな」
 タツミが礼にと、商人の真っ当さを保証する内容を記した羊皮紙を渡した。どれだけ効力を持つかわからないが、タツミにもいくらか顔を知る商人はいる。そういった者に見せれば、今後の交渉も多少は違ってくるかもしれない。
 そうしてまた、次の馬車を待つ。
 通過して去っていった馬車の後方、茂みには潜むいくつかの影。
(胸糞悪いと感じるのは、俺がこの世界に染まってきたという事なのかもな)
 視線を落とし、束の間瞑目した『軋む守り人』楔 アカツキ(p3p001209)。その胸中には混沌を訪れたばかりの時とは変化が起きていて。
(ただ目的を達成するだけでは、今後も同じ事を繰り返すだけだ)
 此度の依頼が遂行されようと、それではまた事件が起きることだろう。つまり今回は彼女らを助け、かつ商人を逃さず捕まえる必要がある。
 一方、フレイ・カミイ(p3p001369)の助言に従い見つかりやすい場所を避けながら、『盗賊ゴブリン』キドー(p3p000244)は別の茂みに隠れていた。
(全く、ヤな世の中だねえ。嘆かわしいったらないよ)
 ──なんて、ゴブリンがこんな事言ったら世も末というやつだ。
「おい緑、ファミリアーで検問班と情報共有してんだろうな?」
 緑とフレイが称したキドーは「勿論よ」と言うように親指を立てて見せて。ならば良いとフレイはしっかり茂みに潜り込む。その服は樹液で葉が貼り付き、一見すれば汚れているようにも思えるが。
(服が汚れるのはむかつくが、俺の女共を逃がすのはもっとむかつくからここは我慢だ……我慢……)
 そう、ここは忍耐の時である。フレイの女──正確には俺の女候補──を勝手に攫った相手を、護衛共々ぶちのめしてやるのだ。

 幾台かの馬車が通過を許され、そして。
「──止まって頂戴!」
 レジーナの声に止まった1台の馬車。御者台にいた商人があからさまに嫌そうな顔をして「急いでいるんだが」と告げる。護衛も張り詰めた空気を出していて──その役目からすれば当然かもしれないが──落ち着かない。
「そう時間は取らせないわ」
「やめてくれ、急いでいると言っているだろう」
「ボクからも、お願いします……!」
 馬車の中からもう1人、商人らしき男が出てくる。そちらへ懇願するのはハーモニアの少年、『特異運命座標』フィール・ティル・レイストーム(p3p007311)だ。幻想種の出現によるものか、それとも儚き雰囲気を纏うがゆえか。出てきた商人の目つきが多少軟化する。
「ふむ……君は?」
「ボクの仲間が攫われるなんて、見過ごせなくて。みんなに協力してもらってるんです」
 そうかそうかと商人は頷き、しかしその答えがYESに変わることはない。
 バサバサと不吉に、黒いカラスが空へ飛び立っていく。それと同時──いや、わずかに早かったか。
 商人の馬車を引いていた馬が赤に沈む。生死など問うまでもないだろう。顔が引きつった商人たちの足元に、コロンコロンと何かが転がった。
「げへへ、サッサと終わらせて一杯やろうぜ。なあ?」
「うわっ!!」
 手榴弾に逃げ惑う商人たち。アカツキが追撃しようと言うところに護衛が立ちはだかる。
(やはりか)
 護衛の妨害は避けられない。それはすでに予想し、わかりきったこと。彼らを妨害するようにタツミの武器より竜巻が起こる。
 それらから抜け出した護衛の1人はレジーナに剣を向けた。急所を庇うように体をひねって、レジーナはその男に微笑みを浮かべてみせる。
「我(わたし)のお相手をしてくれるの? 嬉しいわね。
 では──これはほんの挨拶代わり」
 少女の体から2振りの魔剣が出でる。まるで臓物から出しているような光景に、男は小さく悲鳴をあげた。
 そう、ローレットだとこの少女は言っていた。あそこにはイレギュラーズと呼ばれる者たち──異世界から呼び出されし人ならざるモノも多く在籍する場所。
 この少女もまた然り。武器・道具の集合体である彼女は、いくら丸腰に見えようと多数の武器を秘めている。
「今日こそ俺が白馬の王子だ……!」
 サンディは味方の盾にならんと戦場を駆ける。その内では人助けセンサーがきっちりと反応していて。
 数台の馬車が通ったとはいえ、森だ。人がそんなに多いわけでもない。助けの声は確実に馬車の中から発せられるものだった。
 馬車と商人を庇うべく近づこうとした護衛は、しかし風を切る音を聞いて振り返った。光の矢が蛇のようにうねり、護衛の体へ巻きついていく。
「もう1度……!」
 先ほどの儚き雰囲気を一転させ、光の弓を持ったフィールが矢をつがえた。素早く射られたそれは別の護衛を絡めとらんと、真っ直ぐに飛んでいく。
 手薄になった馬車の背後へと『至高の薔薇』ロザリエル・インヘルト(p3p000015)は駆け寄り、そのままの勢いで馬車へ飛び込んだ。その物音に小さく怯える声と、動きに伴ってじゃらりと鎖が鳴る。
 だがしかし、宥めている暇はない。宥めるつもりもない。
「さあ、鎖ぶち壊しちゃいましょ。じっとしてないと色々刺さるわよ」
 早速、と暴樹の棘剣を手にするロザリエル。幻想種たちは知らぬ者の登場と、その発言に困惑していたが──。
「これでよしっと。はい次、そこの人間」
 困惑で動かないのを良いことに、さくさくと鎖をぶった切ったロザリエル。馬車の入り口はアカツキが中を背にするように立ち、外敵の侵入を許さない。それらの行為によって、幻想種たちを攫った者の仲間でないことは認識したようだ。
 馬車の外から聞こえる剣戟、怒号。それらを耳にしながら、とうとう最後の1人が自由の身となる。
「あ、ありがとうございます……?」
「まだよ。このままじゃまたあの人間たちに連れて行かれるわ。有り難くも至高の薔薇の慈悲を讃え、ついでになるべく自分で歩いて離れてなさい!」
 ロザリエルはそう高らかに告げると、馬車を飛び出し戦場へと舞い降りた。


●深緑と、夕暮れ
「おい、やつら逃げてるじゃないか! 何やってる!」
 商人が吠える。その様にロザリエルは呆れの声を上げた。
「ちょっと違うとはいえ、同じ人間を攫って売り買いするのどうなのよ人間として」
 同族同士で争うなんて悲し過ぎる。それになにより──そういった暴虐は、人間より格上の生命体であるアルラウネなどに許される行為だ。
「ねえ、そうでしょう? だからいじめてあげる!」
 喜々としたロザリエルが荊の槍で敵を突く。咲き誇るのは敵の血に彩られた極彩の花。
「落ち着け! まやかしに騙されるな!」
 護衛の1人が声を上げ、周囲にいた仲間たちへ巻き付くロープを振りほどく。それでもフィールは素早い動きで彼らの動きを鈍らせにかかる。
 ふと、内の1人がロザリエルとアカツキの背後にいる幻想種たちを見た気がして──フィールは咄嗟にその身を躍らせる。動き出そうとした男がぎくりと固まった。
「ボクの同胞に酷い事しないでよ」
 立ちすくんだ一瞬の隙を、フレイは逃さない。その瞳には激情の炎が揺れるようで。
「よし殺す今すぐ殺す死ね!!!」
 ひとつ足で飛び上がり、鋭く敵を殴打した衝撃で元の位置へ着地する。その姿はまるで、赤き鳥のように。その姿に危険を感じたが故か、攻撃の矛先がフレイへ集まる。サンディはその様子を見て、風が吹くが如く彼の元へと走った。
「あらよっと!」
 キドーの投げる手榴弾の前に護衛の男が躍り出る。盾でしっかりとガードし、商人を背に庇って1撃も通さない構えだ。
(くく、それならそれで構わねえぜ)
 誰かを庇うのにはそれ相応に集中力がいるもの。おいそれと攻撃に転じる事はできない。対して商人も護衛から離れれば攻撃を受けることになるため、そう易々と幻想種たちの元へ行くこともできない。そうして互いの行動を制限させれば、あとは仲間が集中砲火するのみで。
「ぐっ」
「ふふ、美味しそうだったから──つい」
 護衛をつまみ食いしたロザリエルがくすくすと笑う。どことなく先ほどより元気に見えるのは気のせいだろうか?
「きっとお嬢さん方攫ってくる時は逆の立場だったんだろ? ねえどんな気持ち? ねえどんな気持ち?」
「この……っ!」
 明確なキドーの煽りに商人が顔を真っ赤にし、銃を発砲する。その間に躍り出たのはやはりサンディ、ひらりと緑の外套を翻らせて。彼の反撃に商人が顔を歪める。
「はっ。こんなもんじゃ俺は倒せねえよ」
「ならばこれでどうだ!」
 斧を持った男が振りかぶり、渾身の一撃をサンディへ叩きこむ。ざり、とサンディの体が後ろへ押された。
「っ……いいね、だがまだだ!」
 こいよと言うようにサンディは手招きして。勿論侮っているわけではないが──耐え忍べる者が攻撃を受けた方が良い。それはむしろ、敵の強さを認めるが故だ。
「うおおおお!」
 タツミが気合を入れるとともに、アーリーデイズで全盛期を思わせるところまで能力を跳ね上げる。
 ここで倒れてなんていられない。この自分が、倒れるわけにはいかない。
「商売に大事なのは信用だ。先人が繋げてきた鎖のようなそいつを、てめえらは悪事に使いやがった。人に理不尽を強いるお前らを俺は許さねえ!」
 渾身の力を込めて、赤きオーラを纏った刀を振り上げる。
「その手に握る悪の連鎖を──俺が絶つ!」
 縦一直線に、それを振り下ろす。その勢いと共に、飛ぶ斬撃が護衛の1人を飲みこんで地へ沈めた。
「くそ、くそ……っ」
 形勢不利と見て、ようやく商人が逃げ出す。幻想種を捕らえようと躍起になっていたようだが、その余裕ももうない。
「おいおい、自分だけ助かろうとするのは虫が良すぎるぜ!」
 タツミの声と共に、レジーナが倒した男の首根っこを掴んで敵へと放り投げる。先程串刺しにされたばかりのその体はだらりと弛緩して──生気が、ない。
 そこへ容赦なく爆彩華を叩きこみ、レジーナは残った敵を一瞥した。
「悪い事は言わないわ、降伏なさい。でなければ皆殺しよ?」
 そんな風に、と爆破された肉体の成れの果てを示す。護衛の男たちは顔を見合わせたが──意地悪く、そこから逃亡しようとする影があった。すかさずアカツキが接敵し、慈悲の一撃を叩きこむ。
「ぐっ……」
「逃げられると思うな」
 どさり、と意識を失った商人が倒れ込む。もう1人の商人は既に倒され、意識を飛ばしており。残った雇い主の片割れが逃亡しようとし、そして倒れたことにより護衛の男たちも武器から手を離した。


●決着、そして
「それで?」
「はっ、それ以外あるかよ」
 捕まった商人は、しかし中々に強情だった。幻想種を攫った理由としては、比較的良い値で売れるからとのことらしい。しかし、ここまで騒がれ始めた事件がそれだけとも思えない。
「やっぱ殺すか死ね」
「待て」
 殺気を向けるフレイをアカツキが押し留める。一瞬こちらにも殺気が向けられたが、再発を防ぐためだと告げればそれは収束した。
「ローレットまで連行すれば、然るべき場所で裁くだろう」
 引き渡す時に、情報を引き出してもらえないか交渉すれば良い。ここにいる誰よりも適任な存在がいれば、ローレットが繋いでくれるだろう。
「そうかよ。それじゃ俺は幻想種の女共とおしゃべりの時間だな!」
 肩を竦めて乗用馬を連れてこようとするフレイ──その声音が明るくなったのは、決して気のせいではない。
 馬のいなくなった馬車のそばでは、フィールが幻想種たちににっこり微笑みを浮かべていて。彼女らも、同じ種族とあってかどこか緊張がほぐれたようだ。
「私たち、帰れるの……?」
「うん、もう大丈夫」
「今から帰ったら門限破り確定だが、俺も謝ってやるからさ」
 帰ろうぜ、とタツミが笑う。フレイの馬が馬車に繋がれ、彼女らは馬車へ乗り込んだ。
「我(わたし)の馬車に積んでいたものよ。使って頂戴」
「えっでも」
「こういう時は甘えておくものよ。怪我はないかしら」
 毛布や水、食料を渡してレジーナは幻想種たちを見た。目立った怪我がないのは『商品』だったからか。
 空っぽになったレジーナの馬車には捕らえた者を乗せて。幻想種たちを乗せた馬車からはフレイの楽しげな声が響く。
「お礼は今度会った時にたっぷり貰うとしよう。俺様は楽しみを後に取っておく賢い男だからな!」
「まあ」
「考えておかなくちゃ」
 彼の言葉に幻想種たちはくすくすと笑みを浮かべて。

 彼女らが目指すは深緑という故郷。疲れてひと眠りしたら言おう──ただいま、を。

成否

成功

MVP

楔 アカツキ(p3p001209)
踏み出す一歩

状態異常

サンディ・カルタ(p3p000438)[重傷]
金庫破り

あとがき

 お疲れ様でした。
 皆様のおかげで幻想種たちは帰ることができたようです。

 守人である貴方へ。幻想種のためを思った立ち振る舞いに、MVPをお贈りします。

 またのご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

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