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シナリオ詳細

その砂はさながら壁のごとく
その砂はさながら壁のごとく

完了

参加者 : 8 人

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オープニング


『深緑に住まう幻想種』の拉致事件が最近に至って確認されている。
 イレギュラーズ達が調査に乗り出した結果によると、深緑の隣国、ラサに『奴隷』として流されている様だ。
 深緑は元々他国とあまり関わらない閉鎖的な国家であるが、ラサは例外的に緩やかな同盟を結んでいる繋がりがある。
 これをご破算にするような行いをラサがする……とは思えないが、奴隷として流れているのもまた事実だ。
 深緑のリュミエ、ラサのディルクは両国の関係にヒビが入りかねないこの事態を放ってはおけない。
 両国に跨る問題、またラサから更に他国に奴隷が流れているという幅広い状況故に、どこにでも介入できるローレットにお鉢が回ってきた。
 現状、イレギュラーズ達は彼らからの依頼を受け、幻想種の救出やこの事態を起こしている者の存在を追っている状況にある。

 そんな中、傭兵、ラサではこんな事件も併発している。
 なんでも、砂のような性質をもつモンスターが発生しており、住民達を困らせているという。
 とある街でも、ある日突然発生した砂の魔物達が街の入り口を封鎖するように現れており、動かずに鎮座した状態なのだとか。
 さながら、それらは砂の壁を思わせる。
 だが、近づくと動き出し、外敵を排除しようと動くから厄介極まりない。
 住民達がただ生活する分には、街の範囲で動くのに支障はない。
 ただ、外との行き来を塞がれてしまえば、物流に影響が出始めてしまう。
 行商人も街に入れず立往生している為、注文している商品が届かず、住民達にも徐々に影響が出始める。
 事態を重く見た住民達は、この討伐をローレットへと依頼することにしたのである。


 幻想ローレットにもこの状況は届いており、依頼書として壁に貼り出されている。
「最近、深緑、傭兵に集中して事件が起きていますね……」
 『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)がこの状況を憂いている。
 幻想種の拉致事件は特に懸念される事態であり、深緑、傭兵の2国間の関係にも大きな亀裂を発生しかねぬ状況なのだ。
「ただ、どうやらこれと合わせて、別の事件も発生しているようです」
 なんでも、傭兵の各地で『砂』の特性を持つモンスターが発生しているのだという。
 これらの及ぼす被害は様々だが、いずれも住民の頭痛の種となっているのは間違いない。
 アクアベルの話によると、街の入り口に砂の魔物が壁のように並んでいるところがあるのだそうだ。
「街の住人がただ生活するだけなら大きな影響はありませんが、街の流通などに大きなダメージを与えています」
 この状況もあって、住民達からSOSが出ている。
 傭兵達は現状、幻想種の拉致事件などにも動いており、イレギュラーズに依頼が回されてきた形だ。
 アクアベルは自らが見た予知と合わせ、その情報を記した紙を渡して。
「どうか、この町の人達を助けてあげてください」
 最後に彼女は頭を下げ、イレギュラーズ達へと事態の収拾を願うのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 傭兵において、『砂』の特性を持つモンスターの出現が確認されております。
 今回は群れを成して現れますので、その全ての討伐を願います。

●敵……魔物×12体
◎砂熊(すなぐま)×1体
 全長3mほどの熊を象った砂の魔物です。

・ベアハッグ……(A)物至単・苦鳴・必殺
・突進……(A)物中単・ブレイク
・かみつき……(A)物近単・HP吸収・流血
・砂ブレス……(A)神中扇・足止・暗闇

◎砂眼(さがん)×3体
 直径1m程度。
 砂でできた大きな瞳を象った魔物です。

・凝視……(A)神中単・不吉・怒り
・破壊光線……(A)神中貫・防無
・石化睨み……(A)神遠単・万能・石化
・精神無効……(P)精神無効

◎ネクベト(砂娘)×8体
 身長1.5mほど。砂でできた人型の怪物です。
 さほど特徴のない敵で、ひっかき、かみつきの他、肉弾戦を仕掛けてくるようです。

●状況
 街の出入り口を塞ぐように魔物が発生しており、行商人や旅人が街に入れず、街の物資の流通に影響が出始めております。
 近づくと襲い掛かってくるようですので、この一隊の撃破を願います。
 基本的に街に入らぬように、また、立往生している行商人達へと向かわぬように応戦、討伐に当たれば問題ありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • その砂はさながら壁のごとく完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年08月31日 22時40分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヒィロ=エヒト(p3p002503)
ぷろふぇっしょなる!
ロゼット=テイ(p3p004150)
月光
美咲・マクスウェル(p3p005192)
見敵必殺
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
未知の語り部
ルチア・アフラニア(p3p006865)
斜陽
一条 佐里(p3p007118)
銀の腕
アリア・テリア(p3p007129)
幸福を知った者
ファレル(p3p007300)
修行中

リプレイ


 ラサ某所。
 イレギュラーズ一行は魔物討伐の為、とある街へと向かう。
「砂の魔物かぁ」
 オレンジ色の長髪、大きな瞳の少年、『修行中』ファレル(p3p007300)が何気なく声に出す。
「町の入口を塞ぐっていったら、ゴーレムでしょうに。わかってないなぁ」
 セミロングの黒髪、『見敵必殺』美咲・マクスウェル(p3p005192)は今回の魔物に関してそんなコメントをする。
「身体も砂で出来てるなら、食べられないのかなぁ」
 ファレルは最後まで、もしかしたら食べられるかもしれないと思い悩んでいたようだが、それはさておき
「同胞の拉致も大事件だけど、こちらも不思議だね」
 深緑住まいの幻想種、『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)が一連の事件について考える。
「どちらも『砂』だから、恐らく繋がっているのだろうけど……。目的がさっぱり分からないな」
 そんなウィリアムの言葉も耳にして、金髪もふもふ狐の獣種、『夢見る狐子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)が同行の女性に尋ねる。
「ねぇ美咲さん、街の入口を塞いでるだけって、なんか普通じゃないよね?」
 人を襲ったり、街を破壊したりする魔物へのイメージをヒィロは語って。
「その砂の魔物ってなんか、人為的な感じがしない?」
「人為的、作為的な魔物の動き……そうだね。ヒィロさんの推測には、全面的に同意かな」
 ヒィロに呼び止められた美咲は我に返り、言葉を返す。
 何かしら、たどっていく手がかりが見つかるとよいのだが……。

 遠方に見えてくる街の周辺には、いくつかのキャラバンや行商人の馬車が足止めを食らって立ち往生していた。
「やっぱり、正常な物流がせき止められてるなあ」
 ラサで渡りをしている猫科の獣種女性、『月の旅人』ロゼット=テイ(p3p004150)が嘆息する。
 これをやられると砂漠の民は弱いと、ロゼットは断言して。
「貿易以外になんも強みないもん。生活保護してくれる支配者もいないしなあ」
 ラサの人々にとってはある意味で、一番の嫌がらせとも言える状況かもしれない。
「砂漠にとって、交易は命を繋ぐもの。蓄えが減ってくれば疲弊します」
 眼鏡着用、茶色の長髪の女性、『銀の腕』一条 佐里(p3p007118)も、早く解決しなければと意欲を見せる。
「直接は人を襲わず流通を遮断するように動くなんて、戦略的というか……ちょっとこの程度の魔物だと考えられないわよね」
 赤髪ポニーテールのスレンダー少女、『斜陽』ルチア・アフラニア(p3p006865)は、この事件の背後にもっと高位の存在がいるのは間違いないだろうと踏んでいるようだ。
 ともあて、難しいことは得意な人にとウィリアムは思考を止めて。
「今は目の前で困っている人の為に、この邪魔者を片付けるとしようかな」
「うん! とにかく、迷惑かけてる魔物みたいだし、頑張って倒そう」
 ファレルも仲間に同意し、気合を入れる。
「街の人達がひもじい思いしてたら可哀想だもん。頑張ろーね!」
 ヒィロもまた仲間達へとにこやかに語りながらも、砂の魔物達の対処を開始するのである。


 壁の様に並び、動かぬ砂の魔物達。
 大柄な砂熊、不気味に浮かぶ砂眼。そして、人の姿をとる砂娘……ネクベト達だ。
 そいつらは、近づかなければ襲ってこないようである。
「しかし、見事に『砂』だなあ」
 音を愛する銀髪の精霊種、『幸福を知った者』アリア・テリア(p3p007129)はこれから倒すべき敵の姿を見て、まずは周囲の人々の安全の確保を仲間達へと皆に促す。
「今から討伐に入るよ」
「戦場はある程度移るものなので、結構距離を取ってください」
 ウィリアム、佐里が行商人達へと声をかける。
 ローレットの到着に、彼らも助かったと安堵の表情を見せていた。
 ヒィロは行商人達がある程度距離をとったのを確認したところで、砂の魔物達を何とかしようと見渡す。
「んー、魔物が砂なら、水とか風とかでさらさらーっと流せそうだけど……」
 そこどきなとアニキ風吹かせてもダメだよねと、ヒィロは小さく笑う。
「こいつら、額にemethって書いてない?」
 あるなら、「e」を消すだけで動かなくなるから、楽でいいのだけれどと独り言をいうルチアだったが。
「……さすがないか」
 そんな投げやりな態度のルチアに、美咲はゴーレムを想像していたのが自分だけでなかったことに気づいて微笑しつつ。
「ともあれ、まずは殲滅ね」
 一行の作戦としては、砂熊に抑えをつけ、砂眼を優先撃破という方針だ。
「砂娘は優先度を下げたいけど……ただの頭数と思うのも、よくない感じがするなぁ」
 一方で、アリアはこの魔物達をどうすれば効率的に解決できるのかとギフトを使って聞いてみる。
「うーん、この手の敵の場合、どこかに核となるものがあると思うんだけどなあ……」
 コアのようなものがあれば、欠片でもいいから持ち帰りたいと考えるアリア。
「何かしらの手掛かりになりそうだし!」
 それを期待しながらも、アリアは仲間と共に魔物達へと接敵していくのだった。


 さて、邪魔な砂の魔物達の壁を破壊すべく、イレギュラーズ達は近づいていく。
「とりあえず、あの一番でっかくて一番強そうなの、ボクがもらうよー!」
 喜び勇んで、ヒィロは魔物の中でも一番大きなクマの姿をした魔物……砂熊へと突撃し、噴き出す自身の闘魂をぶつけていく。
「かかってきなよ! ボクが相手だ!」
 素直にそれに気づいた砂熊は本物よろしく「グバアアァァ」と吠え、こちらへと近づいてくる。
「熊の邪魔をするよっ!」
 アリアも、ヒィロばかりに負担を負わせられないと、この場で絶望の海を歌う。
 すぐに動いた熊には効果が及ばなかったが、砂娘達が魅了されて同士討ちを始めていた。
 数いる砂娘達以上に、3体いる丸い球体の砂眼達へと他メンバー達は意識を強く向ける。
 破壊光線を発してくる他、こちらを睨みつけて石にしようとしてくるから手早く討伐したい相手だ。
「さあ、かかってきなよ」
 ロゼットは砂眼達に呼びかけて気を引こうとする。
 現状、熊も娘達も気を払っていないこともあってか、砂眼達はロゼットを睨みつけようとしてくる。感情を煽ることは難しいようだが、一応は注意を向けることができた形だ。
 だが、出来るだけ怒り状態にして、相手に近づきたい状況ではある。
「破壊光線で集中されると危険かなと」
 こちらの防御を貫通してくる光線は脅威。うまく立ち回りながら対処をとロゼットは考えていた。
 そのロゼットのメイン回復には、ルチアが当たる。
 序盤は皆の傷も浅い為、彼女は調和の力を賦活の力に変えて振りまく。
「水の用意ができれば、楽に戦えたのでしょうけれど……」
 ルチアは回復スキルを行使しながら呟く。
 今回の相手は砂の特性を持つとあって、実際、水の用意をしようとしていたメンバーも仲間にはいる。
 しかしながら、イレギュラーズ達は作戦としてそれを取り入れることはしなかった。それだけの量の水を確保できないと踏んだからだろう。
 ならばこそ、持久戦でそれぞれ個別に叩いていく。回復役のルチアとしては全力で彼らを支えていくのみだ。
 その間に、半数のメンバー達が厄介な砂眼達の駆除に当たる。
「防御を無視する破壊光線は怖いもんね」
 ファレルもそのスキルを脅威に感じ、能力阻害の簡易封印を施そうとしていく。
 だが、抵抗力もかなり高く、ファレルはなかなか砂眼達へと封印を施すことができない。
「そういえば、あんな推測があったね」
 事前に話し合っている最中、美咲は凍らせて砕くのが有効かもと誰かが言っていたことを思い出し、破壊のルーン『H・ハガル』を空中へと描いて敵陣を凍りつかせていく。
 次の瞬間、砂眼達が体を凍らせてしまうのを、美咲は超視力で見逃さない。物理的な魔法は効果がある印象だ。
 ウィリアムも連なる雷撃を放射し、敵陣を焼き払おうとしていく。
 仲間を巻き込むことなく、雷は大きくうねって砂娘を巻き込みながら砂眼の体力を削っていく。

 戦いが進む中、砂眼を相手にするメンバー達が順調に攻めていて。
「今度こそ、ピューピルシール!」
 ファレルの発していたピューピルシールが砂眼1体を封印してしまったのだ。
 だが、他2体の攻撃は続いており、抑えに当たるロゼットは体のあちらこちらを石とされ、厳しい状況が続く。
 そんな睨んでくる敵に、美咲は何か刺激されたようで。
「私の前で『睨む攻撃』とか、格の違いを見せてやりたくなるってもんよ」
 虹色虹彩を持つ彼女は、殺意を込めた視線で相手を射抜き、強い衝撃を与えていく。
 そのうちの1体の体が崩れそうなのを確認した佐里。
 砂眼の貫通攻撃や砂熊の砂ブレスを警戒し、仲間から距離をとった上で風上に立つよう意識していた佐里はすぐにそいつへと近づき、敵の動きの先を読んだ先に赤を纏った斬撃を食らわせて。
 体力の尽きたその砂眼は体を崩し、地面の砂と同化していったのだった。


 一方、砂熊と戦い続けるヒィロ。
 彼女はひたすら殴り合いを続け、敵が仲間達へと意識を向けぬようにし続けていた。
「どこを向いてるのさ、ボクはまだまだ元気だよ!」
「グバアアァァーー!!」
 砂でできた体躯を持ってはいたが、それ以外は本物のクマと同じような印象を受ける相手。
 アリアもサポートして、氷の鎖で砂熊の体を拘束しようとしてくれ、攻撃を受ける頻度も幾分か下がっていたようだ。
「……砂の塊なら、衝撃で崩れたりしないかなぁ」
 ヒィロは憎悪の爪牙を振るい続け、目の前の砂熊を蹂躙しようとする。
 その合間も、彼女は仲間に被害が及ばぬようにと位置取りを細かく調整して戦っていた。
 同じく、抑えに当たっていたロゼットが砂眼の気を引こうと攻撃していく。
 そんな彼女を、ルチアが癒やしに当たり続けるが、こちらは敵に睨まれた仲間の異常回復に忙しい。
「待っててね、今助けるわ」
 ルチアはすっと息を吸い、天使の歌声を響かせる。
 神聖なる救いの音色は、魔物達と戦う仲間達に力を与えていく。
 その回復の手があちらこちらにぶれることで、ロゼットは追い込まれ、冷静さを保ち続ける砂眼は彼女の体を破壊光線で撃ち抜いてしまう。
 ロゼットはパンドラの力に縋りながらもその身を起こし、苦しい立ち回りを強いられていたようだ。
 ただ、ファレルが砂眼達へと封印をと繰り返す状況の中、2体目の封印が成功すると、状況が好転してくる。
 乱戦状態になってくる中、美咲は砂眼に氷が有効だと分かっていながらもその戦法があまり現実的でないと考え、七色の魔眼で相手を睨み、衝撃を与えて1体を完全な砂と化していく。
 さらに、残る1体はウィリアムが仕掛け、能力を封印された砂眼に対して魔力と命を代償とした不可視の衝撃……破城天鎚(偽)を振り下ろし、その塊を完全に粉砕してしまう。
「これで、砂眼は片付いたね」
 ウィリアムはヒィロが抑える砂熊へと同じように破城天鎚(偽)を行使しようと動く。
 消耗も大きくなってくる状況で、残る砂娘達が取りついて殴り掛かってくるのが鬱陶しくもあるが、まずは砂熊を倒してしまいたいところ。
 佐里が先程砂眼に対してトドメの一撃とした赤い斬撃『閃赤敷設刻印』を浴びせかけることで、砂熊が混乱し始める。
「グ、グバアアアァ……?」
「皆さん、今です!」
 そんな佐里の呼びかけを受け、アリアもさらに攻撃を続けていく。
 とりわけ、再生能力は見られぬ砂の魔物達。
 砂の体とあって多少衝撃に強い感があるが、他の魔物達を見る限りにおいては普通のモンスターとはさほど大きな違いを感じることはできない。
「核がありそうだと思ったんだけれどな」
 アリアは仲間達が倒した敵も含めて見てはいたが、衝撃に強い故にタフさは感じる。
 砂の魔物達はラサにおいて量産に向いており、手軽に数が増やせるのは大きな利点と言えそうだが、少なくとも今いるこの魔物達にそれ以上の特徴は見出すことができない。
「なら、全力で行くまでだよ!」
 少なくとも、砂熊を撃破すれば、砂娘達の討伐はほぼ作業と化す。
 寄せ集めの戦力にしても、砂娘達はよほどの油断がなければ負けない相手だからだ。
 アリアは再度絶望の海を歌い、砂娘達を惑わせながらも、砂熊へのダメージを深めていく。
 美咲も相手が砂娘を吸収するといった行為を懸念していて。
「砂相手に泥仕合なんて……とか、言ってらんないわ」
 そういった動きは現状見られないが、用心するに越したことはない。
 さすがにヒィロの負担をこれ以上大きくできぬと、美咲は格闘術式によって砂熊を攻め立て、距離をとっていった。
 ルチアも、全力で攻め続けていたヒィロの気力を気遣って。
「ヒィロ、もう一息よ。頑張って!」
 圧倒的な声援を贈ることで、気力を補填していく。
 砂熊との殴り合いに興じていたヒィロ。
 一度、ロゼットが倒れかけていたことにも気を払ってはいたが、彼女は砂熊の抑えに注力し続けここまで来ていた。
 だったが、さすがに傷も深まってきていたこともあり、渾身の力で爪牙を振り回し、敵の体を傷つけていく。
 いくら傷を負わせてもその傷口から血は流れぬが、衝撃が大きくなれば、その体を維持できなくなるようで。
 大きな砂熊の体は突如として崩れ、物言わぬ砂の塊と化していったのだった。
「あとは……砂娘の数の多さも厄介だね」
 後は残る砂娘達を倒すだけ。
 メンバー達は後ひと踏ん張りとその駆除に力を振るう。
 試しにとロゼットは実験のような心持で、衝術を発する。
 ただ、やはり通常のモンスターと同じく吹っ飛びはするが、ダメージを与えねば倒せぬ相手には違いないようだ。
「やっぱり、水をかけた方がよかったのかな?」
 度々、議論になっていたファレルの一言。
 残念ながらそれを確認することができなかったが、実際、氷や雷の魔法は通用していたようだったし、一考の余地はありそうだ。
 そんな敵の耐性なども確認しつつ、メンバー達は残る砂娘達をただの砂へと化していく。
「これなら、無駄にはならないかな?」
 ある程度情報を得たことで、ファレルはうんうん頷き、崩壊した砂の壁を見下ろすのである。


 無事に砂の魔物達を討伐して。
「とりあえず、一件落着かな?」
 一仕事終え、疲労感を覚えるヒィロ。栄養補給したくとも、砂じゃ食材にもならないと、食事できないことに不満げである。
 そんな彼らに、仲間の傷の手当てをしていたウィリアムが労いをとギフトで水を差しだす。
 行商人達も保存食や商品の果物などを差し出すと、2人は美味しそうに食べ始めていた。

 さらに、ウィリアムは念の為とファミリアを放ち、周囲の安全を確認した後に街へと入っていく。
 行商人達もイレギュラーズ達へと礼を告げ、目的の店などへと散っていく。それを確認し、街の人々にも笑顔と安堵の表情が浮かんでいた。
 しばらく物流が滞って難儀している商人をルチアは探して。
「何か困っているものはない? 必要なものがあれば仕入れてくるよ」
 用意していた水樽を積んだ馬車に出番がなかったそうで、ルチアは『HMKLB-PM』を走らせて近隣の都市まで出かけていく。
「後は……そうだね」
 閉じ込めるだけだったというこの状況が気になったウィリアムは、事件の前に変わったことがなかったかと確認していた。
 例えば、何か商売のことでトラブルがなかったか、怪しげな人物がいた……などだ。
 他にも、数人が街の人々と話を試みていた。
 とりわけ、砂の魔物登場まではそこまで大きないざこざはなかったようだが、街でザントマンなる人物を見たものはちらほらといたらしい。
「やっぱり、幻想種の奴隷……か」
 商売人や人々から話を聞いていたロゼット。
 やはり気になるのは幻想種の話。
 ちらほらとそれらを捕らえた奴隷商人の姿を目にしていたとのことだ。
「深緑に縁ある者が奴隷商売やらしないと生きていけない状態に陥れられているのでは、と考えたのだけれど……」
 砂のモンスターが魔法生物みたいだとロゼットは考えていたが、いまいちその論を確証する為の情報は得られない。
 ザントマンが幻想種であるのは、占いの結果や街の人々の話しから間違いないようだが……。
 そして、佐里。
「お疲れのところ、申し訳ないのですが……」
 彼女もまた人々達へと聞き込みを行い、今回の事件について聞いてみる。
 とりわけ、砂の魔物が現れた状況についてだ。
「周囲の状況、時間帯、空気や天候……何か手がかりがあればと思いまして」
 どうやら、ザントマンらしき人物が砂の魔物を連れていた証言もあるが、それ以外は特に目立った状況はなかったという。
 他の事件の状況もいくつかチェックしていたらしい佐里だが、このラサで砂の魔物が現れ、悪さしている状況以上にはなかなか共通点を見出すことができない。
 現状は予兆など、事件を未然に防ぐとはいかないようだ。
「何かの前触れでしかないのでしょうか?」
 いずれにせよ、そのザントマンなる人物をどうにかする他、この事態の解決はなさそうだと佐里は考え、ローレットに報告を持ち帰ることにしたのだった。

成否

成功

MVP

美咲・マクスウェル(p3p005192)
見敵必殺

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは戦闘で砂の魔物相手に活躍を見せたあなたへ。
この度は魔物討伐お疲れさまでした。
ゆっくりお休みくださいませ。

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