シナリオ詳細
砂の蛇道
オープニング
●砂蛇発生
『傭兵』と『深緑』のとある中間地点には、キャラバンや行商が通るルートがある。
沙漠の道だが、岩場なんかも所々にある蛇道であり、少し通りにくかったりもする。
でも漠然と沙漠を進むよりは、この蛇道を通る方がわかりやすいし、近道でもある。
その手の商売をする者達の間では主要なルートの一つだったりするのだ。
ある日、パカダクラ達をぱっぱかと率いて、『パサジール・ルメス』の民が通る。
国家間を移動して荷物を届ける仕事もしているキャラバンだ。
『傭兵』と『深緑』の間で物資の輸送もしていて、本日もその仕事をしていたのだが……。
「シャー!!」
キャラバンが通行中に突然、砂色の蛇達が突っ込んで来た!
パカダクラのワゴンは、急ブレーキを切って、蛇道をくねくねと逃げるが……。
「シャー、シャー!!」
今度は砂色の大蛇がぐるぐると回転して砂嵐を起こす!
パカダクラやキャラバンの者達は悲鳴を上げながらパニック状態だ。
岩場にどがん、どがん、とワゴン部分が衝突して壊れてしまった。
「あらら? 魔物共が悪さしたっすね? あれは砂蛇っすか!?」
パカダクラのワゴンから出て来たのは『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)だ。ちなみに彼女はここのキャラバン出身の情報屋で愛称をリヴィという。
砂蛇は悪戯でもしていたつもりか、キャラバンを走行不能にしたらどこかへ行ってしまった。リヴィ達は、ほっと胸を撫で下ろして、壊れた2台のワゴンから4頭のパカダクラ達を解放する。そして、物資を回収して、パカダクラにそれぞれが騎乗した。
「仕方ないっすから、今日は来た道を帰るっす。先方には後であたしの方から遅延を連絡しておくっす。でも、このまま砂蛇を放置しておく訳にもいかないっすね。あたしらだけじゃなくて、他のキャラバンや行商もこの道は使うっすから……」
●砂蛇討伐の依頼
あなた達は今日、『傭兵』のとあるオアシスに来ていた。
だが、どうにも騒がしい……。
周辺の人達に聞き込むとこんな答えが返って来た。
最近、沙漠で魔物の発生が突然増えているようだ。
しかも同時期に幻想種の誘拐があったり、奴隷商人が暗躍していたりもする。
これら全てに相関関係があるのかはわからないが、今、何かと噂になっている。
色々と話を聞いていたら、パサジール・ルメスのリヴィと出くわした。
リヴィは、とても困った様子でいる。
「あっ! イレギュラーズじゃないっすか? 丁度いい所に来たっす! 今、魔物で問題が起きているっすけれど、依頼を受ける気はないっすか!?」
ひとまず話を聞いてみる事にした。
もしかしたら、例の噂とも関係があるかもしれない……。
話を聞いた所、『傭兵』と『深緑』の間を運行するキャラバンや行商達が、魔物に困らされているとの事だ。とある重要な蛇道で通行に邪魔な蛇の魔物が出たようで……。
「……と、いう訳っすね! 要は、砂蛇の討伐をお願いしたいっす。砂蛇はその名の通り、砂地での戦いを得意とする厄介な魔物っす。沙漠での戦闘は足場も悪いっすから、十分に注意して戦って欲しいっす」
邪魔な砂蛇さえ駆除できれば、キャラバンや行商はとても助かる。
キャラバンや行商が運ぶ物資を待っている『傭兵』や『深緑』の人達も助かるという事だ。
皆さんが砂蛇を討伐する事は大勢の人達の笑顔に繋がる事だろう。
- 砂の蛇道完了
- GM名ヤガ・ガラス
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年08月25日 22時40分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●準備
沙漠の大空を鷹が翼を広げて飛んでいた。
鷹は鋭い視覚を発揮して、砂蛇の居場所と大きな岩場を発見する。
「聞く限り、ロケーションは最悪、砂蛇はそれを物ともしないそうです。しかも、偵察した所、敵の数はこちらの倍以上。戦況は、控えめに言っても劣悪の一言ですが……これを覆してこそのイレギュラーズです。さて、あの大きな岩場まで移動しましょうか?」
鷹がそう話したのではなく、話者は『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)だ。
彼女がファミリア―の鷹を使役して偵察した結果を仲間達に伝えたのだ。
「同意見ですね。僕の方はエネミーサーチを使った上に看破しましたけれど、どうやらあの大きな岩場を少し過ぎた辺りに砂蛇が多いかも?」
索敵を手伝っていたのは浮遊するメルトリリス(p3p007295)だ。
(『深緑』と『傭兵』を結んでいるものを、故意に壊そうとしている気配がある。彼らの仲をそんなに悪くしたいのでしょうか? 調べてみる価値はあるかも)
こんな事をふと思い、メルトリリスは砂蛇退治に参加したそうだ。
大きな岩場まで着くと、キャラバンのワゴンを安全な所へ停車させ、準備の続きをする。
『勇者の使命』アラン・アークライト(p3p000365)は砂地に降りて対策を始めた。
「とにかく、足場の安定が第一だ。地面を攻撃して地ならししてから、足場一面に氷でも張って備えるか?」
この質問には『愛の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)が答える。
「ですね。不安定な沙漠の上で戦うのは少し厳しいです。この氷の魔力があるストラップを足元に置いて、冷却効果を強めるかもしれないポーションも混ぜましょう。それで氷の足場を作りますか?」
だが、地面を攻撃すると砂埃が上がるので、万が一、敵に遭遇した場合、奇襲されるかもしれない。また、このストラップだけでは氷を張れるだけの魔力はなく、ポーションの効果も元が冷却専用ではないので上手くいかないかもしれない。
それで結局、相談した所……。
「よし、岩場の岩を切り崩すぞ!」
アランは大剣の斬撃で大きな岩を切り落として足場を作った。
「なるほどですね!」
ユーリエも続いて神秘の鎖を操り、落ちた岩の場所を調整する。
(準備が大変な分、厄介な魔物でしょうね。ここは私たちで頑張らないと!)
アランが岩を崩す作業を横で見ていたメルトリリスがぼやく。
「てか暑いですね。アラン先輩、太陽に命じて温度下げてってできないんですか?」
「できるわけねえだろう? お前も手が空いているなら手伝え!」
アランは楽しそうに後輩を指導しつつ、岩を斬る手も休めず、心の中ではこう思った。
(『深緑』がザワザワしている時に、俺たちは蛇退治か……。ま、仕事は仕事だ。……それに『先輩』の仕事を見せつけるいいチャンスかもな)
岩を斬って足場を作る作業には人手がいる。
『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)は大鎌そのものなので、そのまま岩切作業を手伝う。黙々と作業しながら鍛冶屋の大鎌はこんな事を考えていた。
(砂の魔物、サンドマン……。本当に砂関連ばっかだな……ここ最近の依頼……砂の魔種でもいるのかな? なんにせよ倒さないとな……砂系の魔物を少しでも多く倒せば治安もちょっとは良くなるはずだ)
岩を斬る作業は力がいるが、非力な『お前のようなアリスがいるか』蟻巣虻 舞妃蓮(p3p006901)は神秘攻撃を駆使して岩切作業をしていた。隣で作業をしているサイズに絡む。
「久々の故きょ……いや、なんでもない。アリスだ。砂蛇退治とあらば手を貸さない理由はない。岩切作業なんて、たやすい。アリスだからな」
「……そうか?」
『悪の秘密結社『XXX』総統』ダークネス クイーン(p3p002874)はキャラバンに頼んである物を用意して貰っていた。
「そう、それである、蛍光塗料の入った水風船! ボス戦で使う予定であるからな」
今日のダークネスは準備が念入りだ。他にも、ゴーグルを被ってスカーフを口元に巻く事で砂埃を防でいる。UV殺しでお肌のへダメージ軽減も完璧だ。
説明しよう! 総統は美を保つ為ならば手を抜かないのだ!
ワゴンから出た彼女は、まだ見えぬ敵勢に向かってびしっと指をさす。
「奴隷商人騒ぎで忙しいというのに更には砂蛇まで出る始末! これが奴らの手引きならば捨て置けぬな! よかろう! このダークネスクイーン! 悪の名の下に誅してくれよう!」
『特異運命座標』エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)は仲間の許可を取った上、ジェットパックで飛行しながら大岩の高台を目指していた。
(砂埃による動作不良が心配ですわねぇ。熱もわたくし共無機物にとっては天敵ですし。劣悪な環境でもちゃんと動作するところをお見せしたいのですが)
大岩のやや平らなてっぺんまで登ると、今度は鷹の使い魔や火の精霊を駆使して敵勢の配置を改めて確認する。エリザベスの瞳がきらりと光る。狙撃する気満々だ。
●前半戦
岩切作業が終わって一息つく間もなく砂蛇の大群が現れた!
「ならば……俺の狙いは手下だ!」
サイズは浮遊しながらも氷のバリアをまとい突撃する。
襲い掛かって来る砂蛇の牙を回避し、防御し、魔術を展開する。
砂蛇達の足元で血色の炎陣が練成され、無数の業炎の刃が奴らを切り刻んでいく!
悲鳴を上げるものの、致命傷を受けた訳ではない砂蛇達が逃げるが……。
「カムフラージュしても無駄だ。ほら、そこか……!!」
ぐさり、大鎌の一撃が砂蛇に追い打ちする。そう、サイズの神秘攻撃を受けた時、砂蛇達は出血した為、血痕を残しながら擬態したのだった。サイズは威力のある魔力撃で順次、仕留めに行く……。
前衛で戦うサイズの元に上空から呪い歌が飛んで来る。
ぎりぎりでサイズを避けて、砂蛇達が被爆する。
おや? 仲間割れを始めたぞ?
いや、違う……呪いで魅了された者達が暴れているらしい。
大岩の高台ではエリザベスが歌い、射程距離ぎりぎりにいる砂蛇達を狙撃していたのだ。
「電子の海から、現れて~♪ わたくしは蒼い♪ 呪われた♪ 死体~♪」
曲名はディスペアー・ブルーVer.エリザベスである。
初撃は猛攻だったせいか、砂蛇達が擬態を始める。
鎖を振り回して戦っていたユーリエは、対戦していた敵達の姿が消えてはっとする。
「そうであれば……!!」
鷹のファミリア―が上空へ放たれる。
鷹は温度視覚を発揮して、蛇の擬態の色を発見する。
使い魔と視覚が繋がっているユーリエには今、蛇の位置が見える!
「そこ!!」
ユーリエの鎖に巻き殺されて蛇が1匹倒れた。
だが、敵勢は他でもまた同じ技を繰り返すが……。
「舞妃蓮さん! 敵の居場所を教えますので一緒に叩いて下さい!」
ユーリエは岩場を移動ぴょんぴょん移動しながら仲間に敵の居場所を教える。
「助言をありがとう、ユーリエ。ふむ、そこか。アリス、参る!」
髪色を愉快な桃色に変えた舞妃蓮は浮遊しながら不吉な理不尽魔法で蛇を屠った。
雑魚の数がとにかく多いので、舞妃蓮は火力で押し切る。
時々、がぶりと噛まれたり、下からぐさり、とやられたりするがめげずに……。
「私はかよわいアリスだが、耐久力はそれなりにあるのでな」
鶫は金之弓箭で壊して整えた岩の足場から狙撃していた。
眼力を強化させ、愛用の重火器を構え、霊子を装填して、砲撃を炸裂させる。
後衛の位置にいる彼女のやる事は、前中衛で戦う味方の死角狙撃だ。
弱った蛇から順番に着実に仕留めていく。
ここの位置ならば敵の射程攻撃は届くはずはないが……。
凄まじい砂埃が地中から上がり、どかん、と砂蛇がついに攻めて来た!
奇声を上げて、砂蛇が鶫に襲い掛かる。
「きゃあ!」
ふいを突かれて、一撃を受けてしまったものの、敵の攻撃パターンは読めた。
砂を掘り進む音、そして砂潜り攻撃独特の音がある事を覚えた。
次の奇襲では、ユーリエと舞妃蓮がいる辺りを狙って来るようだ!
「気を付けて! 下から来ます!」
鶫の掛け声で彼女達は敵襲に気付き、難なく回避できて返り討ちにできた。
その後も鶫は、頃合いを見て、黒犬の呪視で行動力をも吸収回復する。
足場と行動力の両方を確実に確保しつつ、ビーム攻撃を主力に据えて敵勢を薙ぎ払った。
友軍がボスから強襲されずに済んだのはダークネス達のお陰かもしれない。
彼女は開戦と同時にボス付近まで走り、ボスに向かって例の水風船を投げつけた。
ぴちゃ、ぴちゃ、と当たると中からカラフルな色の蛍光塗料が弾ける。
一瞬、怯んだボスは砂へ潜って逃げたが、移動はそこまで難儀ではなかったようだ。
でもカラフルな色が付いたので、敵を視認しやすくなった。
「そこか! 逃がすまい! 必滅奥義・世界征服砲!」
ダークネスの両手から暗黒のオーラが滾り、極太のビームが地面を狙い撃つ!
どがががん、と派手な音と砂埃を立てて、追撃したが、ボスは逃げ切ったようだ。
なお、周辺の味方とは離れていたので、友軍が砂埃で不利になる事はなかった。
逃走したボスは、次は、アランの元へ、どかん、と下から現れた!
彼は、かつての聖剣の技で蛇を焼き殺していた所、突然のボスとの対戦に突入した。
アランは、ちらりとだけ後方を見る。
(このまま中後衛の所へこいつが行っちまったらまずいな? だったら……!!)
「おい、てめぇ、俺と勝負しろ!」
異形の大剣を振りかざして大蛇に向かって行く。
ブロックする為だ。こいつをこれ以上、進ませる訳にはいかない!
無数の糸を操る踊りで敵を撃破していたメルトリリスも事態を察してすぐに飛んで駆けつけた。
「こら、蛇! 逃がさないんだから!」
2人で目を付けていれば、大蛇であろうとも、そうは逃げられまい。
アランが猛撃されて、ブロックから外れた大蛇が後退した時、メルトリリスは頑張る!
(アラン先輩、ちょっとだけ強くなったメルトリリスに期待してください!)
●後半戦
一体、どれだけの数の斬撃と呪文を敵に浴びせた事だろう?
サイズは最前線で何匹もの砂蛇を屠ったが、敵の数はそこまで減っていない?
(まさか増援? ……いや、カウントが間違っていたのか?)
そういえば、情報屋からの情報精度には不明点もあったが……。
だが、怯んでいる場合でもなく、サイズはパンドラの欠片を散らしながらも戦い続ける。
ついに……。砂蛇に囲まれてしまった。
(ちっ……。次の集中砲火を受けたら、俺は……!)
戦場に一寸の閃光が煌めき、砂蛇達を貫通しながら、烈火の一撃が通る。
サイズは一瞬「やられたか」と思ったが、この狙撃は大鎌を撃ち抜いた訳ではなく……。
遠方の岩場で鶫が大きく手を振っていた。そして、彼女が叫ぶ。
「焦らずに、確実に。敵の戦力を削いでいけば勝機はあります!」
鶫の援護射撃も加わり、そこにさらなる援軍が現れる。
「サイズよ、遅れてすまない。アリスだ。今、光を届けよう」
舞妃蓮がサイズの付近まで駆けつけると癒しの光が大鎌を包んだ。
ここに来るまで舞妃蓮もパンドラが弾け飛んだ。
道中で蛇に囲まれる事もあったが、鶫の援護で何度も切り抜けられたのだ。
さて、後はボスを除けば雑魚数匹を残す程度だ。
舞妃蓮は真面目の緑髪になり長杖を構え直して敵に向ける。
「では、最後のシメといくか」
妖精型がサイズをくるくると回して体勢を整える。
「そうだな……これで砂蛇は見納めとするか……」
鶫は金之弓箭で標的を狙い定め、虹彩が淡く光る。
「ラジャです」
神秘、斬撃、狙撃の3者で息を揃えて戦い、雑魚達は間もなくして全滅した。
***
サイズ達が雑魚の全滅に死力を尽くしていた時……。
砂蛇のボスが猛威を振るい暴れていた。
特に砂潜り攻撃が厄介だった。
これには対するアラン、メルトリリス、ダークネス、ユーリエが苦戦していたが……。
一方、高台にいるエリザベスは、次の一撃を放つ為のタイミングを計っていた。
ボスは体が大きい上にダークネスが付けた色彩のお陰で狙い易くもある。
ただ、暴れ回っているので、いまいち、狙い撃ちにくいのだ。
高台にいる彼女の意図を察したのはユーリエだった。
「すみません! ちょっと思う事があるので離脱します!」
後退したユーリエは使い魔の鷹を操作して大蛇の頭上を横切らせる。
攻撃を邪魔された大蛇はふと、鷹に注意が向くが……。
ずきゅぅん!
高くて遠い所から見えない刃の衝撃が大蛇の一部を切り裂いた。
エリザベスだ。
彼女は高台で謎のポーズを取っていた。
ユーリエも謎のポーズで返した。
***
「ふふ、援護の一撃が見事に入ったようでございます。このままざくざくと倒してしまいましょう」
エリザベスが次の一手を構えると……。
背後から鋭い鳴き声が響き、エリザベスに牙の一撃が打ち込まれた。
「きゃあ! な、なんですの!?」
振り返るとそこには砂蛇が1匹いた。
戦場にいた1匹がここまで隠れて攻めて来たのか、増援か、わからないが……。
エリザベスは泣きそうになる。
「あ、襲われる役割は、わたくしは遠慮します。蛇に噛まれると命にかかわると、お医者様からドクターストップがかかっておりますので」
蛇は話を聞いてくれる訳がなく、大口を開けて飛び掛かって来た!
「あ、あらあああ!」
高台で足を滑らせたエリザベスは落下する!
(ま、まずいですわね! そうですわ、『こんな事もあろうかと!』)
ギフトが発動し、なぜかそこにクッションが出て来た。
いや、ショック吸収の物ならば、むしろ今、役に立つ!
高台から地上へ叩きつけられたものの、クッションが少しは役に立ち命はあるようだ。
しかし、そこに上空から砂蛇の追い打ちが……!
来たと思ったら、銀髪の吸血鬼が深き闇の一撃で砂蛇を迎え撃った。
「大丈夫ですか? 今、回復もしますね!」
主に足関節のメカ部分が壊れたエリザベスだったが、ユーリエ特製のポーションでこれ以上の消耗は防げたようだ。
吸血鬼は手首の鎖を警戒の黄色に光らせて砂蛇の刺客にとどめを刺す。
***
砂蛇のボスはいよいよ大技を発動する。
突然ぐるぐると回転して微かに痛い砂嵐を巻き起こした。
これには対する3人も、防御態勢が乱れ、視界が奪われ、息苦しさで行動力が奪われる。
しかも今の嵐で3人は防御の為に逃げ回り、位置的に散ってしまった。
「いや、むしろ好都合だ。このまま俺の嵐で迎え撃つ!」
アランは異形の大剣を旋回させ、自身を中心として暴風を巻き起こした。
「シャー!?」
これにはさすがのボスも効いたようだ。
同じように、防御態勢は乱れ、息苦しさで行動力が奪われる。
どうやら他人の嵐攻撃には免疫耐性がないらしい。
「アラン先輩! 無理はしないでください!」
嵐で撃ち合いをしていたアランの後ろにはメルトリリスが来た。
天へ祈る光でアランの体の不具合が改善されていく。
「2人とも下がれ! この場は我が任されよう!」
説明しよう! 総統は押されつつも悪のハートに火がついてやる気が満々なのだ!
「クイィィィン・ストラアアアシュー!!」
総統は今、ついに悪の華とも言えよう奥義を放つのだった!
暗黒のX斬りが大蛇をぶった切るのだ!
砂蛇のボスは苦しそうにぐるぐるしていたが、それでもまだ立っている。
直後に牙の強襲を仕掛けて、メルトリリスを襲い、連続でダークネスをも襲った。
強い一撃を受けて、2人とも体が自由に動かなくなる。パンドラも弾けた。
一方、アランは、ふ、と冷静に笑っていた。勇者の血が騒ぐからだ。
彼は今、猛烈に悪の大蛇を討伐したい気持ちに駆られている。
「肉を食われながら剣を振るう俺か、手下を失って追い詰められたお前か。どっちが先に死ぬか決めようぜ!」
アランは生と死の狭間にある必殺の猛撃で大蛇に襲い掛かる。
対する決死の大蛇もアランを紙一重で避けて、砂下から奇襲攻撃で食い掛る。
そして、牙で食われても戦い続けたアランの連続必殺斬撃の方が最後まで生き残った。
かつて砂蛇のボスだった魔物は、勇者の剣に倒され地に果てたのであった。
●戦果
激しい一戦だった。
ダークネスは、痛い体を押さえて何とか起き上がる。
「おや? あれは!?」
エリザベスがいたのとは別の高台に誰かがいたのだ!
商人風の男の影が薄っすらと見えたが消えた。
「監視されていたのか? だが今は、深追いはできまいな」
ユーリエに介抱された後、エリザベスは肩を貸して貰い、仲間達の所へ戻る。
まだ頭が回る内に、ある事を伝えたかった。
「砂蛇の死骸は念の為調べて、人の手が入っていないか確認しておきたいですわね。これが人為的な騒ぎだと話が変わってきますわ」
これにはアランを治療していたメルトリリスが反応した。
「そうですね。敵の死骸は持ち帰った上で記録を取っておきましょう。月光人形は記憶に新しいですけれど、まさか今回は泥人形の魔物だなんて思いたくはないかな?」
後にローレットで調べた所、今回の砂蛇達は何者かに改造されていて、暴れるように仕向けられていた事が判明した。
だが、魔物自体は普通の魔物であり月光人形の類ではなかったようだ。
ともかく、これでキャラバンや行商は問題なくこのルートを使えるようになった。
了
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
この度はシナリオへのご参加ありがとうございました。
沙漠の狂暴魔物の砂蛇を相手にナイス・ファイトでした!
今後もザントマン達との戦いはしばらく続くと思われます。
来るべき戦いに備えて英気を養っておきましょう。
GMコメント
●目標
砂蛇20匹を討伐する。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●ロケーション
『傭兵』と『深緑』の中間地点に位置するとある沙漠地点が戦闘舞台です。
この地点は、キャラバンや行商のルートとしてもよく使われる場所です。
ですが、岩場が多くて蛇道な所もある為、一部通りにくい所もあります。
なお戦闘では足場が砂地ですので、命中・回避・反応・機動力に若干のマイナス補正が掛かります。
マイナス補正には「暑さ」という意味も一部含みますが、「暑さ」そのもののペナルティは特に明記しません。アクセント程度で描写はするかもしれません。
●敵
砂蛇(ボス)×1匹
沙漠に生息する蛇の魔物です。沙漠での戦いを得意とする蛇です。
姿は巨大なガラガラヘビ(大蛇)みたいで、砂に近い色をしています。
戦闘方法は以下。
・牙の一撃(A):牙で鋭い一撃を放ちます。物至単ダメージ。BS猛毒、麻痺。
・砂潜り攻撃(A):砂の中に潜り姿を消して奇襲攻撃を仕掛けます。物近単ダメージ。
・砂嵐(A):砂の嵐を起こします。物近域。低ダメージ。BS乱れ、暗闇、窒息。
・統率(A):手下の砂蛇達を指揮します。特レ。
・沙漠地形プラス補正(P):足場が砂地でもマイナス補正を受けません。その上、砂地で命中・回避・反応・機動力に若干のプラス補正が掛かります。
・砂嵐無効(P):砂嵐のスキルが効きません。
・毒麻痺無効(P):毒系や麻痺系のBSが効きません。
砂蛇(手下)×19匹
沙漠に生息する蛇の魔物です。沙漠での戦いを得意とする蛇です。
姿はガラガラヘビみたいで、砂に近い色をしています。
大きいですが、ボスに比べると小さいです。
ある程度の統率が取れた群れです。
戦闘方法は以下。
・牙の一撃(A):牙で鋭い一撃を放ちます。物至単ダメージ。BS毒、麻痺。
・砂潜り攻撃(A):砂の中に潜り姿を消して奇襲攻撃を仕掛けます。物近単ダメージ。
・カムフラージュ(A):蛇が暑くてさぼって……いや、周辺の砂の景色に溶け込みます。意図的にやめるかダメージを受けると姿を現します。
・沙漠地形プラス補正(P):足場が砂地でもマイナス補正を受けません。その上、砂地で命中・回避・反応・機動力に若干のプラス補正が掛かります。
・砂嵐無効(P):砂嵐のスキルが効きません。
・毒麻痺無効(P):毒系や麻痺系のBSが効きません。
●その他
NPCリヴィは、問題となる蛇道の地点まで皆さんをパカダクラで運んでくれます。
ですが、彼女は戦闘には参加しません。
また、「リプレイ」の描写は、問題となる地点で戦闘を開始する所から始まります。
●GMより
『傭兵』と『深緑』の間で何やら不穏な空気が漂っているようです。
色々あるようですが、なぜか砂系の魔物も同時多発しています。
そういう訳で、今回は砂蛇討伐をお願いします。
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