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シナリオ詳細

ゴールドラッシュ・アンド・ビーチ!
ゴールドラッシュ・アンド・ビーチ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●俺たちにはゴールドが足りない
「おら!!!!!!!!! ゴールド稼ぐわよ!!!!!!! 臓物売ったり褌一丁になったり怪しい薬飲んだり犯罪の片棒を担いだりするのよ!!!!!!」
「おちつくのです。世の中にはもっとまともなバイトいくらでもあるのです」
 夏の暑さゆえだろうか。
 狂乱して『脱ぐの!? 脱げばいいの!?』て言い出した雨宮 利香 (p3p001254)をクーア・ミューゼル (p3p003529)が必死に羽交い締めしていた。
「離して! 道連れにするわよ!」
「この流れで聞くと恐怖しかないのです」
 普段の割と純情可憐な利香さんはどこいったのですか! とかいいながら首の後ろを手刀でガッてやるクーア。言われてみれば口調もえらいブレていた。
 倒れた利香を囲み、ヨハナ・ゲールマン・ハラタ (p3p000638)と夜乃 幻 (p3p000824)がなんとも言えない表情をしていた。
「利香さん、この夏はいつになくぶん回してましたもんね」
「遅かれ早かれ壊れるとは思っておりました」
「そういうもの……なの……?」
 アイリス・アベリア・ソードゥサロモン (p3p006749)が明日は我が身かという顔で利香を見下ろした。
「あれを見るのです」
「あの惨状を見ても同じことが言えるでしょうか?」
 ヨハナと幻が同時に指さした先には、『りかちゃんのごみばこ☆』て書かれたゴミ収集センター用の大型コンテナがあった。
 知らない棒とか骨とか誰かのパンツとかがごっそりつまったコンテナは、夏の夜が見せた幻かそれとも欲望の遺産か。
 アイリスはうわぁって言って顔を背けた。
「けれど、そろそろ手っ取り早いアルバイトを探したいっていうのも事実、だね」
 ゴミ箱の中身をまとめて闇市業者のひとに転売しつつ、伏見 行人 (p3p000858)が皆を振り返った。
「まさか……と、思うが……」
 エクスマリア=カリブルヌス (p3p000787)が無表情のまま頭髪をざわざわってさせた。このなんともいえない感情の発露。エクスマリアならではのやつである。
 エクスマリアは暫くざわざわさせた後、頭髪をR18の形(?)にして顔をあげた。
「えっちなやつか」
「えっちなやつじゃないよ」
 即否定してあげる優しい行人である。
 ビニールマットを手になんか決死の顔をする白 薔薇 (p3p005503)。
「妹たちのためなら……」
「やめて? ねえ、誰? こんな純朴な子にこんな魔道のアイテム持たせたの」
「何言ってるんですか今からやるバイトには必須のアイテムじゃないですか!」
 ローションめいたアイテムを手にカッと目を見開くヨハナ。
「確かに……必要、だよね……」
 アイリスも何か思い詰めたような顔をしてえらく露出度のたけー布を握りしめていた。
「そうですわ、私たちが今回選んだバイト、とは……!」
 白薔薇が、ビニールマットを小脇に抱えて一枚のバイトチラシを振りかざした。
 内容は! そう!

 『リゾートビーチのアルバイト募集』

●ものには需要というものがある
 そんなこんなで海洋のビーチへやってきた七人と1棺桶。
 棺桶を引っ張っていたアイリスは麦わら帽子の下にかいた汗を手首でぬぐった。
「ここが……コンテストビーチ」
「説明しよう」
 涼しげな短パンとパーカー姿で現われた行人が、ビーチを前に仲間たちへと振り返ってみせた。
「皆も知っての通りここはイレギュラーズ夏の水着コンテストが行なわれたビーチだ。
 俺たちは勿論のこと、世界のあちこちから観客が押し寄せたり敵が出たりで大忙しだったのは記憶に新しいところだけど、その影響かビーチを利用する客がとんでもなく増えてしまったらしいんだ」
「私たちはそのヘルプスタッフ、ということですわねぇ」
 とかいいながら早速砂地にビニールのマットを敷いてパラソルを設置していく白薔薇。そばにいたエクスマリアが頭髪をごわんごわん動かしてパラソル設置を手伝っていた。
「しかし、具体的には何をすればいいんだ」
 設営作業をしながら見回してみると、ビーチには色々なスタッフがいるように見えた。
 たとえば『うみのいえ』と呼ばれる飲食店の販売ブースの調理担当者や配膳担当者。
 ビーチでの窃盗や大小のトラブルを解決するビーチセーバー。
 見たところ、その全てが人手不足であるようだった。
 なかなかに扇情的な水着姿であえてポーズをとってみせる幻。
「なるほど。つまり僕たちは己の適正や好みと照らし合わせて好きなポジションに補充人員として就けばよいという話でございますね」
「なるほどー……あれ待ってくださいヨハナたちが持ち込んだビニールマットと日焼け止めローションいらなくないですか!?」
 折角用意したのに! と言いながら手にてろーってやるヨハナ。
「逆になぜ必要だと思ったのか聞きたいのです」
 全身をすっぽり覆った格好でヨハナをガン見するクーア。<○><○>みたいな顔でガン見していた。
 すると棺桶からガタンと蓋が外れ、中から利香がにゅにゅにゅっと出てきた。
「話は聞かせて貰いました! つまり……脱げばいいんですね! クーア、一緒にやりましょう!」
「ザ・グレイテスト嫌なのです」
「水着回といえばハプニングがお約束でしょう!?」
「そんなお約束はないのです」
 露出は事務所NGなのですといって口の前で指バッテンを作ると、クーアは再び利香の首をガッやって棺桶にしまいなおした。
「利香さんのポジションは適当に決めておくのです。皆さんは早い者勝ちで……」
 はい、せーの。

GMコメント

 ご用命ありがとうございます。黒筆墨汁です。
 皆さんは手っ取り早いアルバイト先としてリゾートビーチのアルバイトを始めました。
 とはいえアルバイト期間中ずっと描写するわけにゃいかないので、慣れてきた頃の一日を切り取るかたちでリプレイには描写していきます。

■アルバイト選び
 『うみのいえ』『ビーチセーバー』のうちどちらかを選んでバイトを始めてください。
 色々やってみたい気持ちはわかるけど一つだけにしてくれるとお姉さんうれしいな。
 それぞれ別個に解説していきます。

■うみのいえ
 ビーチには沢山のお客さんがやってきます。
 うみのいえに必要なスタッフは料理担当、給仕担当、宣伝担当、その他なんか居ると嬉しい人……の四種類の役職で回ります。最低でも『料理』と『給仕』がいればOKです。
 常にお客が沢山いるので、料理が上手にできたり沢山ひとをさばけたり割と愛嬌が良かったりするとグッドです。
 日常的な描写とは別に、以下のようなトラブルも起きる筈なので対処方法を考えておきましょう。

・トラブル:ならず者の出現
 トムアイランドビーチは小島につくられた観光ビーチです。
 しかし敢行客が沢山くることから犯罪も絶えず、窃盗事件も多発しています。ビーチ客はともかく、うみのいえを標的にした売上金窃盗は問題になっています。
 また店にイチャモンをつけて賠償金をせしめようとするワルい客モドキも発生するようで、現われたならキッツイ対応が必要になるでしょう。

■ビーチセーバー
 ビーチを守るビーチセーバー。
 沢山の人がくるってことは沢山のトラブルがおきるということです。
 浅瀬でおぼれそう担ってるひとを素早く助けたり、置き引き窃盗犯を捕まえたり、ビーチでアンハッピーパウダーを密売してる奴をぶん殴ったりと大忙しの仕事です。
 そんな中でもマジなトラブルが船上火災。

・トラブル:船上火災対策
 もし船上で火災が起きたなら、定期的に島周辺を巡回している使役鳥ネットワークが発見、通報する仕組みになっています。
 燃えている船までは限られたジェットスキーを用いて進むため2~4人までしか急行できません。(自分の足や羽根では遅いのです)
 現場は漏れたオイルが引火しており、海面で燃え上がる炎に船が囲まれ船内にも火災が広がった状態になっています。
 要救助者を運び出したり、船内に取り残された人を救い出したりといったアクションが求められるでしょう。
 どのみちビーチまで運び終えれば専属の医者が適切な医療処置をするのでご安心ください。

  • ゴールドラッシュ・アンド・ビーチ!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年08月19日 22時20分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)
自称未来人
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
雨宮 利香(p3p001254)
雨宿りの
クーア・ミューゼル(p3p003529)
こげねこ
白 薔薇(p3p005503)
純潔
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
黒鴉の花姫

リプレイ

●フューチャーオンザビーチ!
「サマーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
 ばんざい姿勢で膝折ジャンプして見せる『自称未来人』ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)。
「燃える太陽っ!輝く砂浜っ!囁く海っ!ギンギラギンにさりげないほどサマーっ!
 そんなシーズンに皆さんと一緒にアルバイトですよっ!テンアゲですよっ!
 ヨハナ、一度でいいから友達みたいなことをして夏を過ごしたかったんですよねっ!
 大宇宙クッキンダムマイスター・ヨハナ――料理を遂行しますよーっ!」

 24時間後。

 焼け焦げた砂の円。その中心に、片腕と片足を失った持ったヨハナがひとり乾いた笑いを浮かべていた。
「もって……いかれた……! ……大宇宙赤斑吸血アルパカの……錬成を試みた……だけなのに……!」
 かたわらでは鎧に魂を定着させたブラザーヨハナが『ニーサン』とか言ってるし、目の前には腕が六本ある怪物がうねうねしてるし。
「こんな……はずでは……」
 デケデケデケデケきーみのてっd

●ラッシュアンドビーチ! 『うみのいえ』編
「ハッ! 今の夢は一体!? 予知夢!?」
 棺桶からガバッと起き上がったヨハナ。
 ビキニの上にエプロンを着て軽くいかがわしくなった『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)が、ヨハナのそばで振り返る。
「まったくもう、棺桶で寝るなんて非常識よ。私はチラシ配りしてくるから、給仕を頼める? 細かいことは白ちゃんに聞いてね」
「ヨハナが接客やるんですか? まーいいですけど」
 ふあーとあくびするヨハナを、『純潔』白 薔薇(p3p005503)が優しく出迎えた。
「『うみのいえ』のお仕事が始まりますわ。さ、給仕のエプロンをとうぞ」
 水着の上にエプロンを着た白はにこやかに笑うと、『黒鴉の花姫』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)と一緒にとてとてとキッチンスペースへと入っていった。
 元々家庭的で妹たちの面倒をよく見ていたであろう白。料理とマルチタスクはお手の物だ。
 ヨハナも行かねば! といって伝票片手にフロアスペースへ突撃。
「ッェァロスィミスゥー! スタァロンォケシマスカァ! ァランドロンフザイデシタァー!」
 ガッと振り返るヨハナ。
「ヤキソバイッチョー! カツカレーイッチョー!」
「精一杯作りますわ~」
 あらゆる料理を同時に作るという白の美しい手際によって一切の停滞無くキッチンは回り、無駄に気合いだけはあるヨハナによって料理が行き渡っていく。
 利香はと言えば、店舗のすぐそばを通りかかる観光客へチラシを配って回っていた。
 流れる汗を手の甲でぬぐい、つよい日差しを見上げる利香。
「ここは体力で勝負よ。店を回してくれてる白ちゃんとヨハナちゃんの分まで、いっぱいお客さん呼ばないと……呼ばないと……」
 利香の目がどよーんと暗くなった。
「呼ばないと、宿がつぶれるわ」

 そんな店に、ある日――!

「「じゃまするぜーぃ!」」
 イルカ海種のチンピラ二人組が煙草をポイ捨てしながら入ってきた。
「誰にことわってこんな店開――」
「イルカが攻めてきたぞー!!」
 ヨハナが『あ゛あ゛!?』といいながら人間魚雷で突っ込んだ。
 まてそいつはお前の関係者キャラじゃねえ。
「ヨハナの胸がえぐれたのもお前のせいか! お前のせいかー!」
 ぬおーといいながらチンピラを吹っ飛ばしていくヨハン。
 そんな様子を横目に、頭に『チンピラis俺』というタトゥーをいれたスキンヘッド男が立ち上がった。
「この店じゃあ客に暴力を振るうのかァ? こんなまずい焼きそば作りやがって、腹壊したぜ! オトシマエを――」
 ヒュン、という音をたてて白が背後に現われた。
 肩に置かれる手。
「食べ物は粗末にしてはいけませんと、お母様に教わらなかったんですの!?(お客様こまります)」
 本音と建て前が逆だった。
「無駄になった分、あなたに食材になって頂きましょうか!(このたびは誠に失礼いたしました)」
 振りかざす、ザ・包丁。
 『チンピラis俺』は襟首を掴まれたまま、うそやんと呟きながら店の裏へと引きずられていった。
 裏。つってもビニールシートをはさんだ一枚裏である。
 そこで何が待ち受けているのかといえば。
「こんな美人の前で乱暴しようだなんて…魂取られたいのかしら、いひひ♪」
 指をこきこき鳴らし、チンピラの頭をバスケットボールみたく掴み上げる利香がいた。
 まずい店入っちゃったなと確信するチンピラ。
 利香は上唇を小さく舐めると、片目を大きく見開いた。
 そしてエプロンの胸元に指をかけて覗き込ませるように顔を近づけると。
「ねーえ、ちょぉっとだけ、私のお手伝いしてくれないかしら?」
 まって。エロい意味じゃないから。通報するのやめて。

●ラッシュアンドビーチ! 『ビーチセーバー』編
「さて、こういった仕事は初めて、だが。
 まあ、ローレットでいつもしていることと、あまり変わらん、な。
 いつもどおり、手早く、確実に、容赦なく、だ」
 『夢終わらせる者』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)はなんか独特なストレッチをすると、監視台から海を観察。
 優れた視力や聴力でおぼれた人を察知すると、その場から直接飛び立った。
 頭髪を大きな翼に変えて羽ばたくと、おぼれた人物を頭髪を使って無理矢理引っ張り上げる。
 海上救助において、おぼれた人物を前から掴むとしがみつかれ一緒に沈んでしまうという。上から引っかけてつりあげるのは非常に理にかなった救助方法なのだ。
 そうやって人命救助をし、ばっさばっさと翼で羽ばたいて陸に戻っていくエクスマリア。
 その様子を、『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)は『頼もしいね』といって眺めていた。
「随分とマシなバイトにありつけたのは幸運だったね。
 俺以外はキレイだったり可愛かったりするからナンパには気を付けないとな」
「またまた……お上手でございますね」
 地道にビーチのゴミ拾いをしていた『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)が、背負い籠にトングでつかんだゴミをぽいっと放り入れていく。
「働かざるもの食うべからずとは、よく言ったもので御座います。
 (闇市に流れたパンツと奇術グッズを買うのに溶けた)お金を稼ぐべく……しっかり働きましょう」
「そうだね、うん……」
 行人はきょろきょろとあたりを見回していた。
「なにか?」
「いや、この辺りは一般的な下位精霊しかいないみたいだね」
「それだと、何か問題があるのでしょうか……?」
 行人は首をひねり、『俺のいた世界じゃもっと便利だったんだけどなあ』と呟いた。
「知ってるかい。下位精霊の知能は植物と変わらない。光を集めたり空気を循環させたり、壁にはりついたり……まあ、そんな植物程度のことしかやってくれないんだ。喧嘩になりそうなひとやおぼれた人を教えてもらったり、ビーチを巡回して情報を伝達してもらったりしようと思ったんだけど、この分だと難しいかな。人間と貝殻の区別もつかなそうだ」
「聞くほど、便利ではなさそうでございますね」
「結局、自分の足を使うのは一番確実ってことさ」
 行人はのんびりとした様子で言うと、『ほらあそこ』と言ってビーチの一角を指さした。
 どうやら喧嘩が起きているらしく、行人は彼らの仲裁をすべく割り込んでいった。
 行人のひょうひょうとした雰囲気と、意外と強い腕っ節。これならば、荒くれ者を相手にしても平気だろう。
 幻はそちらのトラブル対策を任せることにして、トンとこめかみに指を当てた。
 周囲でおきている感情を手探りしていく。
 特に犯罪に関わる罪悪感をサーチしていた。
「お、っと」
 目を開く幻。
 ビーチになんとなく並んだ男二人が、コインと白い粉の入った小瓶を交換しているのが見えた。
「失礼。ビーチセーバーでございます」
 幻は二人の後ろに立つと、逃げられないように両肩を掴んだ。

「みんな順調にやってるみたいなのです」
 『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)はメイド魔術で空を飛びながら、パトロールついでに幻や行人たちの手際を観察していた。
 すっげー余談だが媒体飛行は両手で持てる程度の道具に乗って飛行する技術であり、道具はだいたい装備品だといわれているので、順当に行くとクーアは両手で持つくらいデカい酒瓶に跨がって飛んでいることになる。
 優しくデッキブラシとかもっていたことにしてもいいが、酒瓶に跨がるクーアがかわいいのでそういうことにしておきたい。
「おや」
 クーアは高所を飛行しながら、遠い沖に目を細めた。
 炎の気配。それも荒ぶる炎。
 クーアは、そして行人は、気配につられて集まっていく炎の精霊たちの流れをそれぞれ察知した。
 ピピーピピーと、幻の肩で叫ぶ小鳥。
 ファミリアーの視界共有によって関節伝達したテレパス情報が、幻へと入力された。
『沖の船が燃えているのです。目視確認したエクスマリアさんがジェットスキーをよこしてくれるので、すぐそれに乗ってほしいのです』
「了解」
 幻は行人に合図を送り、すぐさまジェットスキーを二連結して駆けつけたエクスマリアと合流。
「いくぞ。場所は分かっている」
「急ぐのです」
 四人はそれぞれジェットスキーに乗り込み、火災の起きた船へと発進した。

 燃えさかるクルーザー。漏れ出した油にまで引火し、船は炎に囲まれていた。
 船上でバーベキューでもしたかったのか、男女グループは半狂乱になって立ち上がっている。
「状況把握を開始するのです」
「ああ」
 ジェットスキーで接近し次第飛び立ち、船を斜め上から観察し始めるエクスマリアとクーア。
 エクスマリアは強力な視力で煙にまぎれた用救助者を発見。人数を大まかに把握すると、すぐそばを飛んでいたクーアに伝えた。
 クーアはクーアで幻たちにその情報を伝達。
 すぐさま船へと飛び移った幻と行人は、煙のまく船上で立ち上がっている人物を抱え上げた。
 海水にぬらしたマントで救助者を包み、いち早く離脱する幻。
「ここは俺の……いや、精霊たちの出番、かな」
 行人は精霊たちに呼びかけると、空気と熱の層を作って火災による呼吸困難を防いだ。
「まだ中にいるみたいだ。扉が歪んで開かない」
「了解なのです」
 船へおりたったクーア。一足遅れて降り立ったエクスマリアが頭髪をドアにくくりつけ、強引にパーツごと引っこ抜く。
 そうして頭髪を炎に強い性質にかえて編み上げると、カバー状にして翳した。
「行人とマリアで火が回るまでの時間を稼ぐ。クーア、頼むぞ」
「例え火の中家の中、なのです」
 クーアは恐れること無く炎の中へ飛び込むと、取り残された救助者を抱えて脱出。
 彼女たちはそのままジェットスキーへ飛び乗ると、燃えさかる船から離れていった。

●ビーチの平和と幸せを、そして金を
 夜のビーチは、昼間とはうってかわって静かだ。
 明かりがあるのは監視塔とうみのいえだけ。
 すっかり客のはけたうみのいえには、仕事を終えた行人たちが立ち寄っていた。
「今日も随分と働いたね。今日はお兄さんのおごりさ。たんと食べてくれ」
「無理をしなくてもいいですわ」
 白がくすくすと笑いながら、アイリスと一緒に料理を運んでくる。
 魚介焼きそばにイカ焼き、トウモロコシにカレー。定番料理だが、働いた後に出されるととんでもないごちそうに見えてくるものである。
「あまった食材でこしらえましたから、お代はいらないそうです。お言葉に甘えていただきましょう」
「おっ、やりますか? ヨハナの三分クッキングみせちゃいますか?」
 フライパン片手に謎の印を切り始めるヨハナ。
 行人は苦笑しつつ並べられた料理に手をつけた。
「それにしても。やってみると案外慣れるものだね。すっかりビーチセーバーが板に付いてきた」
「トラブルも起こりましたが……」
 幻はカレーライスにスプーンをつけ、ほっと肩の力を抜いた。
「幸い死者がでるようなこともなく、ビーチの安全は守られました」
「むしろ、人がいるのにトラブルがおきないほうがおかしいのです。それを守るのが私たちの仕事なのです」
「ほんと? 前の船上火災ってあんたの仕業じゃないでしょうね?」
 カレーに唐辛子粉末をかけていたクーアが、ぴたりと動きをとめた。
 汗の流れる横顔に、利香がジト目を近づける。
「……あんた」
「あっいやその今回は私じゃ無いのですお姉様ホントウナノデス!」
「まあ、そういうことにしておくわ」
 イカ焼きを手元でくるくるやりながら、エクスマリアがぼんやりと何かを考えていた。
「今日は、たしか、最終日だったな?」
「ですね」
「で、あれば……」
 エクスマリアは夢想した。
 明日水着姿になってビーチを満喫する自分。
 砂で大きな城を作り上げる自分。
 海辺を歩いて貝殻を拾う自分。
 トロピカルなドリンクをちゅるちゅるする自分。
「明日はビーチで遊ばないか」
「オッいいですね! 見せますか! ヨハナの悩殺水着を披露しちゃいますか!」
 お金もありますしね! といってコイン袋を掲げるヨハナ。
 そちらは……と振り返ると、利香も幻もクーアもそっぽをむいていた。
「あの……」
「聞かないでください」
「お金の使い道は、ほら、ね」
「パンツが私を呼んでいるんです」
 そんな彼女たちに肩をすくめ、行人と白は乾杯した。
「ま、お金は使うものだしね」
「みんなが幸せなら、それで充分ですわ」
 そうして夜は、ふけていく。
 手っ取り早くお金を稼ぎたかった者たちの夏は、まだ終わらない。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

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