シナリオ詳細
<冥刻のエクリプス>救護キャンプを守り切れ!
オープニング
●『天義』の聖レオナルド教会からの救援依頼
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、いつになく焦っていた。
『天義』の聖都は戦争状態であり、情報屋達の活動も大変忙しくなっているのだ。
彼女は、集めたイレギュラーズに向かって、以下の情報を確認する所から話を始める。
「現在、聖都フォン・ルーベルグが荒れてしまっている事はご存知なのですよね?……ええ、そうなのです。黒幕のベアトリーチェと手下達が月光人形をアンテナにしてクリミナル・オファーをばらまいたのですね。それによって作られた多数の狂人達が聖都を滅茶苦茶にしているのです。このまま放置しておくと、暴動が利用されて聖都が陥落し、『滅びのアーク』が激増する事はもはや時間の問題なのですよ」
緊張の面持ちで新米情報屋は話を続ける。
「そこで、皆さんの出番なのですよ。ボクが今回、皆さんにお願いしたい事とは、聖都にある聖レオナルド教会で行われる救護キャンプのお手伝いなのです。現地に着いたら、教会の人達とすぐに合流して、救護活動に加わって欲しいのです。後で天義聖騎士団から援軍が来ますので、それまで先発隊の皆さんで何とか持ちこたえてもらいたいのです」
なるほど、そういう依頼か。
だが、市街戦が激しい中、どんな救護活動をするのか?
「……はい、救護活動は大きく分けて3つあるのです。まず、治療班。負傷者を治療して欲しいのです。次に、搬送班。負傷者を搬送して治療班へ届けるのです。それと、警備班。救護キャンプの教会周辺を警備して守るのです。なお、市街戦で荒れている所での仕事となりますので、暴徒にはくれぐれもお気をつけくださいなのです」
そして、その危険な救護活動は、いつまで続けるのか?
「……最後に、申し上げにくい事なのですが、具体的な時刻を指定して『いつまで』とは何とも言いがたいのです。情勢は荒れていますので、『いつまで』とは約束できませんが、そんなに遅くはならないはずだと思うのです。後から来る援軍と合流できたら、交代して帰って頂いても問題はないのです」
●イレギュラーズ先発隊の到着
先発隊であるあなた達は、市街戦が激しい中を何とか通り抜けて、聖レオナルド教会に昼前には到着する。
ユリーカから聞いていた通り、暴徒の荒れ具合が半端なかった。
平穏だった聖都は所々で街が破壊され、人々は狂いながら互いを殺し合っている。
あなた達自身、救護キャンプの教会にたどり着くまでに何回襲われた事だろうか。
教会からは指導者の神父が、待ち望んでいたとばかりに挨拶に来る。
「おお……! あなた方がローレットの情報屋さんが言っていたイレギュラーズですか? この度は、救援に来て頂き誠にありがとうございます。ご存知の通り、現在、聖都は戦争状態です。私達がいるこの教会周辺はまだマシな方でしょう。ですが、現状でも多数の負傷者が出ていて、対応に追われています。早速で申し訳ありませんが、3つの班に分かれて救護活動を手伝って頂けないでしょうか?」
イレギュラーズ先発隊による救護活動が始まる。
あなた達は、どの班で、どうやって助けてくれるのだろうか?
- <冥刻のエクリプス>救護キャンプを守り切れ!完了
- GM名ヤガ・ガラス
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年07月08日 22時40分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●事前
「ミミ達、ローレットが来たからにはもー大丈夫なのです、多分きっとメイビー! さあさあ、人助けを始めるですよ、1人でも多く、なのです!」
救護キャンプに颯爽と現れた『もふもふバイト長』ミミ・エンクィスト(p3p000656)が、ばばん、とそう宣言する。
明るいムードに包まれたものの、『Joker』城火 綾花(p3p007140)は苦い表情をしている。
「援軍が来る時間が分からないってのも少し困った話だね。あたし達で対処するにも限界があるだろうし……。『援軍が来るまで耐えられるか?』にコイントスを賭けてみようかな? さぁて、どちらの神が笑うんだろうね?」
綾花は、「当たり」であれば「裏」だと心の中で宣言し、コインを空へトスする。
結果は……「裏」だった。
なお、これは予知ではないので、おまじないみたいな物だが。
『木漏れ日の妖精』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)は緊張した面持ちだ。
(私は警備班に決まりましたが、あまり戦闘は得意ではありません。ですが、負傷者を増やさないためにも暴徒は止めなくてはなりません)
固くなっている彼女の元に、『ツンデレ魔女』ミラーカ・マギノ(p3p005124)がやって来て、はい、これ、と猫を渡す。
「きゃあああ! モフモフ!! モフ猫です!!」
興奮している所悪いが、ミラーカが補足する。
「その猫、あたしがウィッチクラフトした使い魔ね。その猫とあたしのテレパスの両方を組み合わせれば、あたし達搬送班とあなた達警備班の連絡手段になるわ」
モフモフ大好きリディアが使用方法を誤るといけないので、ミラーカはミミに改めて渡した。
現地入り直後だが、搬送班は事前に軽く調査をする。
『煌雷竜』アルペストゥス(p3p000029)は、四足でのしのしと歩きながら、首を伸ばして周囲を見渡している……。
そして、ガァアウッ! と鳴いて、空高く飛び上がった。
上空から下方を見渡し、搬送班の行動範囲を確認する。
「……グルルル……」
ふむ、なるほど、と要救助者の大まかな位置を確認できた後、彼は教会へ戻って来た。
同じ班の『蒼焔のVirtuose』ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)も現地に着くや否や敵勢の位置確認に取り掛かる。
ヨタカはサーチ能力を半径100mに展開して、敵意が剥き出しの者達の位置をざっと捉える。
かなりの数だ。100人は超えているだろうか。
それでもヨタカは怯まない。
(今、一国の命の灯が……消えかかっている……。原罪の呼び声により狂気を帯びた者も多く……現場は混乱している……。聖都の各地で我ら同胞が必死に戦っている……そして助けを求める人がいる……。皆が命を紡いでいるのだ……その人々に手を差し伸べ助ける事で……俺達もまた、命を紡ごう……)
教会内部へ入ると、既に戦場は始まっていた。
多数の負傷者が収容されていて、苦しそうにしている者も多い。
『毎夜の蝶』十六女 綾女(p3p003203)は、ふぅ、とため息をつく。
「直接戦闘とはまた違った一つの戦場よね。まあ、及ぶ限りの手を尽くしましょ」
彼女はなるべく教会出入り口付近を治療場とするべく陣取った。
外の班で怪我をして来た者達にもすぐに対応ができるように、と。
同じ班の『白鴉のラプンツェル』エヴァンジェリン・エードラム(p3p007244)は教会中心部で祈りを捧げていた。
(気休め……だと思うけど、結界という祈りで、皆さんに、加護を……。わたしも一応、医者の娘。聞きかじりの、知識……で、ガンバルゾー。おー)
●治療班
綾女はまず比較的軽症な男性負傷者を集めた。
そして癒しの光を浴びせ、軽症の男達はみるみると回復していく。
さらに性的魅力も輝かせて、一人ひとりに手を握って甘く語り掛ける。
「ねえ、お願いできないかしら? もちろん外に出ろなんて言わないわ。あなたに何かあったら大変だもの」
綾女のお願いとは……。
彼女の周りに患者を配置して欲しい。
治療が終わった人は奥へと負傷者を運んで貰いたい。
窓や裏口へのバリケードの構築。
教会関係者のお手伝い。
この4点を頼むと、男達は輝いた笑顔で「お任せ下さい!」とやる気満々だ。
一方、エヴァンジェリンは頭の羽をぴこぴこと羽ばたかせて天井付近まで飛んでいた。
高い所から見渡す事で、容体が悪化した負傷者を一目で把握する為だ。
酷くうめいている人達を見つけて、ぱたぱたと降りて行く。
「大丈夫?」
エヴァンジェリンは、苦しそうにお腹を押さえている人に癒しの魔術を施術する。
どうやらお腹を刺されたようで、未だに痛いらしい。
施術後、少し楽な表情になった負傷者の手を握って語り掛ける。
「辛い……と、思う。けど、永遠、続く、痛み……は、ない。わたしも、あなたに、寄り添うから」
負傷者は次々と運び込まれて来た。
主力として活動している綾女とエヴァンジェリンには休む暇さえない。
比較的軽症な者達が集団で連れて来られると……。
「今、シェルピアで対処するわ。さあ、そこに並んでね。動ける人は、後で手伝いをしてくれるかしら?」
時には負傷して意識がない暴徒まで運ばれて来て……。
「え? 暴徒まで? 少し隔離した場所で収容してくれるかしら?」
急を要する程の人達が運ばれて来たら……。
「出血と骨折が酷いわね? メガ・ヒールですぐ対処するわ」
教会内部にいる重傷者が痛みの恐怖で震えていたら……。
「この症状にはブレイクフィアーね。痛みに対する恐怖もこれでなくなるわ」
もう綾女はてんてこ舞いだ。
それでも一切文句も泣き言も言わず、必死に治療に当たり続けている。
ホーリーメイガスの名は伊達ではない。
ぴこぴことエヴァンジェリンがやって来て、紙コップを手渡した。
「はい、ハーブティー。そろそろ、休憩……入れたら?」
綾女が周囲を見渡すと、頑張った甲斐があったのか、最初の頃よりも改善されていた。教会の者達も休憩を取っている。隅には給水コーナーまでできていた。
「そうね……。お茶をありがとう。では、少しだけ休むわ」
2人は、休憩時間は瞑想に当てて、行動力の回復に努めた。
休憩後も綾女は献身的に救護活動を手伝った。
患者の手を握って励ましたり、不安を取り除く為に話し掛けたりもする。
震えている子の肩を抱きかかえて綾女は励ます。
「もう大丈夫よ、怖くないわ。ほら、少し眠ってらっしゃい。怖いのはすぐなくなるからね」
その子が眠るのを確認すると、綾女はほっと一息つけた。
だが、安心できたのも束の間……。
「ぎゃはは! 死ね死ね死ね!」
収容していた暴徒の1人が目を覚ましたのだ。
ナイフをぶんぶん振り回して、教会の人達を脅していた。
さすがに綾女も焦って、すぐに駆け出して助けに入る。
「こら! 大人しくなさい!」
綾女は携帯している本を武器にして暴徒に対峙するが、実は白兵戦向きではない。
男がナイフで突っ込んで来る!
「きゃあー!」
その瞬間、どこか遠くから、光を発するロープが出現し、暴徒に巻き付いて動きを止めた。
「ふぅ、間に合った……。これ、最終手段、マジックロープ」
間一髪の所でエヴァンジェリンから神秘攻撃の援護が入り助かった。
その後、隔離されて寝ている暴徒達も皆、ロープでぐるぐる巻きにされた。
●搬送班
ヨタカは搬送開始と同時にストラディバリウスを楽しそうに弾き始める。
天性のギフトに彩られた勇壮なマーチ曲が響き渡る。
戦場の音楽家の登場により友軍の士気が高揚したようだ。
アルペストゥスは教会前で倒れている者達を咥えたり、抱えたり、乗せたりして、とっとこと運んで行く。時には倒れて動けない暴徒も回収した。
いくら彼が巨体でも倒れている者達全てを運べない。
だから教会の搬送班の人達にもテキパキと指示を出す。
彼の尾はピクトグラムにもなるのだ。
そこを右!
回れ左!
真っ直ぐに負傷者あり!
ミラーカは竜のようには運べない。
そこで式神メイドが召喚で登場!
「さあ、あたしに代わって負傷者を運んでよね」
銀髪金眼の大人びたメイドはこくりと頷き、負傷者を運ぶ。
時には出血過多な者等もいて、ミラーカが癒しの術で簡易治療を施した後、メイドに運んで貰った。
教会前では警備班達も活動しているので、今の所、仲間が暴徒にやられたりはしていない。
翼を羽ばたかせるアルペストゥスの背にミラーカが乗って移動する。
なお式神は、移動中はしまってある。
ヨタカも翼があるので竜の後について共に飛行移動だ。
事前に2人の調査から判明した危険地帯へと向かった。
危険地帯では、既に激しい乱闘が起きていた。
「皆、やめろよ……こんな事……!」
ヨタカがマジックロープを放ち、暴徒の1人の行動を奪うと、ドミノ倒しで彼らが倒れた。それでも彼に向かって来る者達には衝撃の術を放ち吹き飛ばしていく。
(彼らは暴徒であるが……元は善良なる一般市民だ……。手荒な真似はしたくないが……)
「グガァアッ!」
アルペストゥスが走り、暴徒からの暴行の盾となり、一般人達を守る。
その一方で魔弾を吠えて攻勢にも出る。
「教会前方直進の大きな広場で乱闘があるわ。今、多数の暴徒達が教会へ向かったわ! 気を付けて!」
ミラーカは猫&テレパスの連絡を欠かさず、すぐに指示を出した。
殴り掛かって来る暴徒には不殺の術で黙らせた。
「くっ……。まずいな……!」
増え続ける暴徒の波に押され、ヨタカが仲間達を見失ってしまった。
目の前では少年が大人に鉄パイプで殴られていた。
「おい……よせよ……!」
ヨタカがマジックロープを即座に生成してぶん投げると、大人の男は絡められて倒れた。
だが、少年も殴り掛かって来たのだ!
「ごめんよ……」
ヨタカは少年を殴って倒した後、背中に抱えた。
「少し、意識が乱れていたかもしれない……。でも大丈夫……俺が、いや……特異運命座標の『俺達』が助けるから……」
もしかしたら戦闘後、意識が戻るかもしれない……。
そんな期待を抱えて教会まで運ぶ事にしたのだが……。
ぐさりっ……!
少年は手元にナイフを忍ばせていた。
鋭利な刃物がヨタカの背中を抉った。
「えっ……!?」
その場で倒れ込んだヨタカを少年はめった刺しにして血に染める。
ヨタカはパンドラの欠片が弾けて意識が戻ると、衝撃の術を即座に撃ち込んだ。
「はぁ、はぁ……。なかなか、厳しい、ね……。だが、俺は……不器用な奴なんだ……。君を……助けたいんだ……」
搬送班の2人と逸れてしまった。
しかも周辺が暴徒だらけの箇所に流れて来てしまった。
焦るアルペストゥスだが、怯む事なく破壊のルーンを撃ち込む。
「グルルル……。ガァアウッ!!」
暴徒が多数いるとある箇所を起点にして雹の神秘攻撃が巻き散らかる。
暴徒達はうめき声を上げながら倒れた。
暴徒は次々と現れるので、全てを相手にする訳にもいかない。
竜は空へ向かって跳躍して羽ばたく。
上空からであれば、逸れた2人を見つける事もできるだろう。
あ、あれは!?
倒れているヨタカと少年を発見するや否や、現場へ急降下する。
「グラァウ……?」
状況の詳細はわからない。だが、倒れている2人を教会へ運ぼう……。
「もう最悪! お願いだからすぐに来て!」
同じ班の人とは逸れたミラーカだが、警備班への連絡は何とか繋ぐ事ができた。
今、場所を教えたのでミミ達がすぐに来てくれるはずだ……。
警備班が来るまで現場待機だが暴徒は沸いてくる。
ミラーカは涙目で、神秘攻撃を使い分けて撃ち続けながらも祈っていた。
「赦しは乞わない。魔女だもの。恨んでくれて構わない。でも切り捨てた分、救える命ぐらいは絶対に救ってみせる。そうじゃなきゃ……嘘でしょ、そんなの」
不本意にも暴徒達が屍へと変わっていく。
倒れてうめいている暴徒から「助けて……」と聞こえた。
(全員救うなんて言えない。だけど運命を天に任せるなんて、割り切れない。1人でも多くの人を救わなくて、何が神託の特異運命座標だってのよ!)
ミラーカは決意して、倒れている暴徒に話し掛ける。
助けて、と繰り返すので、少しでも楽になるように癒しの術を施した。
そして、必死に訴える。
「神が何を望まれてるかなんて知らないけど! 生きたい、傷つけたくない、と望みなさい! 呼び声なんて振り払いなさい! 絶対助けるから!」
びりびり!
乾いた電気音が響いた。
癒したはずの暴徒がスタンガンを隠し持っていてミラーカに当てたのだ。
「えっ……。嘘……?」
●警備班
警備の前半は上手くいっていた。
教会前で搬送班と協力し合い、周辺の暴徒を蹴散らす事にも問題はなかった。
時にはミミが倒れている人に簡易な治療をして搬送班に引き渡す事もあれば。
リディアが倒れている暴徒を運ぶ手伝いをした事もあった。
綾花が教会の搬送班を護衛した事は何度もあった事だろう。
案外、何とかなるかも、と警備班は楽観していた所もあったようだが……。
「ミラーカさんから連絡が入ったのです! 多数の暴徒達がこちらへ来るですよ!」
ミミは猫を通じたテレパスでそう受信した事を仲間達に告げる。
そう間もなくして、追加の暴徒達が教会へ押し寄せて来た。
「やる気ならぶっとばしてやるですよ、がるるっ!」
尻尾を逆立てたミミは悪漢を撃退する爆弾をぶん投げて、どかん、と暴徒にお見舞いする。
なお使い魔の猫はエプロンのポケットにいて守られている。
近くで戦闘しているリディアも不殺の術でばったばったと敵を倒していく。
基本、不殺の方針だが、いざという時の覚悟もある。
「はぁ、はぁ……。次々と暴徒が来ますね。皆さん、ご無事ですか?」
比較的後方で戦っている綾花は遠隔術式を放ち、前方にいる2人の死角を補う。
「そっちは大丈夫? あたしの方は倒したよ」
暴徒は十数人を超えていたが、警備班全体の戦力で十分に教会を守り切る事ができた。
教会前を攻めに来る暴徒の流れが止まった。
しかし安心してもいられない。
ミミの猫にミラーカからの救援信号が来たのだ。
「急ぎましょー! ミラーカさんがピンチなのです!」
現場に急ぐ途中に暴徒の団体がにやにやと笑って通行止めをして来た。
「行きなよ。あたしがこの場は引き受ける!」
綾花は2人を行かせて、自分だけ残ると毒霧発生を詠唱する。
「攻撃を当てるのも賭けだからね、できれば外したくないけどなぁ」
猛毒の黒い霧が暴徒達を強く包み、彼らは苦しみながら倒れていく。
綾花は暴徒を決して助けない。
「そりゃ、まぁ、心苦しいとこはあるけどさ……。目先の利益とリスクが釣り合わないんだよね。だから、利益を捨ててでも抱えているチップは守るべきだと思うんだ!」
もっとも暴徒は数が多く、倒しても数で押してくる。
攻防戦を繰り返す中、ついに綾花のパンドラの欠片が弾けた。
「笑うのは女神か、死神か、はたまた実力勝負か!」
彼女はここで生き残るのか、死ぬのか?
最後の賭けがなされた。
ミミとリディアが現場へ駆けつけるとミラーカが数人から殴られ、蹴られ、出血していた。
おそらく、パンドラすらも既に消耗し、復活しても意識がなくなるまで潰されたのだろう。
「こら、暴徒諸氏! 一般人系ビビリハート狼娘、参上なのです! 根性入れて頑張りに来たのですよっ!」
ミミが名乗って挑発する。
10人はいない数だが、暴徒の注目が皆、ミミに向かう。
雪崩るように襲い掛かって来た!
「きゃあー!」
ミミは当然、応戦する。バスケットを振り回し、ボムをぶん投げ。
リディアも当然、加勢する。青い衝撃波で敵を吹き飛ばしながら。
それでも、集団攻撃が悪い所に入り、ミミのパンドラの欠片が弾け飛んだ。
ミミはここぞと、ハイ・ポーションをぐびりと飲んで戦い続ける。
何とかして、その場の暴徒は倒した。
だが、ミラーカは既に重症でミミもリディアもそれなりに負傷している。
せめて仲間を呼べれば……。
「救援信号を出します。仲間の誰かは来てくれるはずでしょうから」
リディアはのろしを焚き、味方に居場所を知らせる。
そう何分もしない内にアルペストゥスの特急便が到着した。
教会前へ帰ると、頭に包帯を巻いた綾花が元気よく戦っていた。
ミミとリディアも綾女達から癒しの施術を受けるとすぐに教会前警備へ戦線復帰した。
***
時刻は夕刻に差し掛かる。
暴徒は数が退き、外の負傷者も数が減り、教会内部の人口が膨れ上がった。
皆、そろそろ限界だが、動ける者は治療を手伝うか、教会前で門番をしている。
アルペストゥスは教会の前で落ち着き丸くなっている。
大きな竜が門前にいれば、暴徒除けや援軍用の目印になる事だろう。
おや? あれは……!?
門番中の綾花が立ち上がって大きく手を振る。
「おーい! こっちだよ!」
隣にいたミミとリディアも勢いよく立って大声を出して呼ぶ。
「こっちなのですよー、援軍さーん!」
「私達、イレギュラーズです! お待ちしていました!」
天義聖騎士団からの援軍がついに到着した。
これにて任務は無事に完了。
以降の事は、援軍が責任をもって引き受けるとの事。
この地区の救護キャンプが無事に守り切れた事により、戦況に好転の兆しが見えた。
了
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
この度はシナリオへのご参加ありがとうございました。
今回は、さすがに決戦シナリオ群の一角であるだけあって、厳しい戦いになりましたね。
それでも、それぞれの想いを貫き、その想いを信じて行動で示せた皆さんには改めて敬意を払います。
GMコメント
●目標
天義聖騎士団の援軍が来るまで、以下の条件を全て満たせば依頼達成。
1. 救護キャンプで負傷者の治療に協力する。
2. 救護キャンプで負傷者の搬送を手伝う。
3. 救護キャンプ周辺の警備をする。
備考:援軍は必ず来ますが、情勢が荒れている為、正確な到着時刻は不明です。ですが、翌日まで掛かる程の長時間ではありません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●ロケーション
『天義』の聖都の一角に位置する聖レオナルド教会周辺が今回の舞台です。
現在、聖都は内乱じみた状況であり、市街戦も激化しています。
街に根差した教会である聖レオナルド教会は、市街戦の負傷者を助ける救護キャンプ活動を行っています。
救援に来たイレギュラーズの皆さんには、救護キャンプ活動の手伝いをして頂きます。
●選択肢
以下、救護キャンプで出来る事の主な選択肢を3つ提示させて頂きます。
班が【A】、【B】、【C】と分かれていますので、班別に行動する事になります。
・【A】班 治療班
A班が主にやる事は、教会内部で実施されている負傷者の治療です。
次々と負傷者が運ばれて来ますので、教会の人達と連携を取り、手際よく負傷者を治療しましょう。
A班に特におススメなタイプは、回復スキルや回復アイテムの扱いに長けている人です。
・【B】班 搬送班
B班が主にやる事は、教会外部から内部への負傷者の搬送です。
教会外部付近で倒れていたりうずくまっていたりする負傷者を教会内部へ搬送して、治療班に引き渡しましょう。
B班に特におススメなタイプは、力持ちや体力に自信がある人です。
場合によっては、外部で戦闘する事もありえます。
・【C】班 警備班
C班が主にやる事は、教会外部周辺の警備です。
教会外部では多数の暴徒が暴れています。暴徒が誰かを負傷させていたら、これ以上、負傷者を増やさない為にも暴行を止める必要があります。暴徒が搬送班の邪魔をしたら搬送行動を守る必要があります。暴徒が教会内部まで攻めて来る前に撃退する必要もあります。
C班に特におススメなタイプは、戦闘や警備が得意な人です。
この班は、外部で戦闘する戦闘担当班でもあります。
●敵
登場する主な敵は、「原罪の呼び声でおかしくなった暴徒達」です。
人数は百人規模で、援軍到着まで延々と戦い続ける事になります。
襲って来る暴徒の生死は問いません。
『暴徒』×百人程度以上
元は『天義』の善良な一般人達。弱いですが、数がいます。
原罪の呼び声を聞いて正気を失い、好き勝手に暴れています。
戦闘方法は、デフォルト攻撃の至近、近距離、中距離の単体攻撃です。
武装している者もいますが、武器の扱いは素人です。
●GMより
決戦シナリオに、かー、かー、と皆さんを応援しに来ました、ヤガ・ガラスです。
ついに始まりましたね、『天義』の決戦シナリオ。
救護キャンプを無事に守り切るのじゃ!
Tweet