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シナリオ詳細

春だ! グルメだ! タケノコライガーだ!
春だ! グルメだ! タケノコライガーだ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●春スペシャルは頭に『春だ!』とつく
 ふつふつと湯気をふく土鍋。
 わずかに浮く蓋。
 広がる香りに頷き、男は厚い布を手に土鍋の蓋を開いた。
 わっと広がる湯気が通り抜けたなら、椎茸蓮根人参胡麻、そして刻んだタケノコがどっさりと広がっていた。
 木のしゃもじでかき分けてみると、それらのダシをよく吸って色づいた白米が炊きあがり、ほくほくといい湯気を出す。
 男は三本指を小皿代わりに出し、すくった米をそこへ乗せた。
 まだ熱い。
 しかし良い香りだ。
 口元に寄せて吸い込むと、一息にほおばった。
 口の中に広がる椎茸をはじめとするダシの風味と、炊いたばかりの米のほろほろとした感触。
 その中に確かな存在感を放つ、タケノコ。
 噛むとこりっとした歯ごたえと共に、特有のほんわりとした味わいが口いっぱいに広がることだろう。
「……美味」
 グルメで知られる幻想貴族ヒューゲルは、目を細めてうっとりと幸せに浸っていた。

●ただのタケノコであれだけ美味いなら、すごいタケノコなら……!?
「タケノコライガーをご存じか」
 畳敷きの和室。
 幻想にはあまり沢山ないタイプの部屋に、幻想貴族ヒューゲルはあぐらをかいて座っていた。
 並んだ座布団は彼を含め十枚。
 そのひとつはヒューゲル、もうひとつは『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。そして残るはあなたと仲間のイレギュラーズたちのものである。
 全員は囲炉裏をかこうようにして車座になっていた。
「知っているのです。たしかこの季節になるとドンドコ山でとれる希少食材なのです!」
 ボク情報屋ですから! と高く手を上げるユリーカ。
 ヒューゲルはこっくりと頷き、ちょんと小さく伸びた髭を指でなぞった。
「並のタケノコ農家では歯が立たぬ、一本とらえるだけでも一苦労というあのタケノコライガーである」
「土の中を掘り進み、見る者を翻弄するかのごとくあっちに出たりこっちに出たりするすっごく素早いタケノコライガーですね!」
 ここまで話をすれば、もはや深く語るまでもない。
「それを……入手してくればいい、のですね?」
「然様」
 ヒューゲルは真剣きわまる表情で、深く、そして強く頷いた。

 タケノコライガーはグルメならば知っている希少食材のひとつだ。
 春になるとドンドコ山に発生しはじめ、一般的なタケノコ同様土からにょきっと生えてはいるが、捕まえようとするとヒュンッと引っ込んで地中を掘り進み、まるで翻弄するかのように別の所に飛び出すという性質を持っている。
「ただ追いかけて引っこ抜くだけじゃダメなのです。
 素早く襲いかかる係。飛び出す先をある程度予測して出てきたところを捕まえる係……といった具合に最低でも二人組は必要になるのです。
 とってきて欲しい数もそれなりに多いので、八人全員で固まらずに、何組かに分かれてとりに入るのがよいのですよっ」
 だが、貴族ヒューゲル氏も言っていたように並のタケノコ農家では歯が立たない。
 今時の農家はゴブリンより強いと言われるくらい鍛えられているが、そんな彼らをもってしても(?)負けてしまうくらい、タケノコライガーは強いのだ。
 強い!
 そう!
 戦闘要素が、あるのだ!
「タケノコライガーはただ逃げるだけじゃつかまっちゃうと察した時、仲間を呼び寄せて戦い始めるのです。
 タケノコライガーの瞬発力と爆発力はすさまじくて、大抵の場合はつかまえるよりも早く爆発しちゃうと言われているのです」
 この依頼内容は大きく分けて『タケノコを探す』『タケノコを捕まえる』『よってきたタケノコたちと戦う』の三段階に分かれると言っていいだろう。
「もし沢山捕まえてくることができたなら、ヒューゲルさんがそのタケノコでタケノコご飯をごちそうしてくれるそうなのです。
 がんばりましょう! ましょう!」
 なんだかんだ自分も一緒に食べられると思っているユリーカは、目をキラッキラさせて言った。彼女は別の仕事があるので食べられないことを、本人はまだ気づいていない。

GMコメント

【オーダー】
 タケノコライガーをいっぱい狩る(狩りすぎには注意)

 OPで説明したように、タケノコを探す、捕まえる、寄ってきた連中と戦うの三段階をこなしていくことでタケノコライガーを集めることができます。
 ですが希少種ですので一匹残らず刈り尽くそうぜってなつもりでいくと色んな人から怒られるので、適度に捕まえましょう。

【タケノコさがし】
 山に入ってタケノコを探します。
 このとき、2~3人組に分かれておいてください。好きな人と組むんでもOKですが、後のことを考えると多少戦力バランスを整えておくとよいでしょう。
 コツがないでもないんですが、年によって出てくる場所が違ったりするので、どっかのプロに聞いたりせずに自力で歩き回ってさがすのが結局、ベターな手段だったりします。
 また木々に隠れていたりするので、空から探すのはよしときましょう。まあ見えない。
 割と役に立つのは目のよさや土地勘や、探索能力あたりになるでしょう。

【タケノコをつかまえる】
 がっといく係とバッとつかまえる係に分かれます。
 このときどっちがどっちでもいいというか、要は息を合わせるのが大事なので、影響するのは技能というより人間的な相性とかそういうのだったりします。
 最悪初対面の全然しらんひとでもそれなりに繰り返せばうまくいくようになるので、深く考えずにノリでいきましょう。
 この手段で捕まえたタケノコライガーはガクッと意識を失って普通のタケノコみたく二度と動かなくなるので、安全にゲットできます。
 厳密に言うと『仲間を呼ぶ』という動作はすごくエネルギーを使うため大体死ぬのです。

【タケノコと戦う】
 タケノコライガーは仲間を呼ぶ。集まったタケノコライガーたちが次々に襲いかかってくるでしょう。
 彼らは反応がとても高く、自爆攻撃を仕掛けてきます。
 要するに素早く飛びついて爆発するという攻撃方法です。
 爆発してしまったら身がのこらないため、タケノコとして回収できません。
 これより早く動いて倒すか、いっそ防御しまくってやり過ごすかしましょう。
 このパートでは防御や回復の動作や描写が多くなるため、特別に『防御のしかた』や『回復のしかた』を詳しく書くことで判定ボーナスを付与します。
 刀できんきん打ち払うとか、巨大な盾を翳すとか、ポーズをとると謎バリアが張られるとかそういうのです。そういうのを楽しんでいきましょう。

【タケノコを食う】
 順調に沢山とることができたらタケノコご飯をごちそうして貰えます。
 単純にうめー食い物なのでもふもふ食べましょう。
 それはそれとして一緒に料理がしたかったり、別のタケノコ料理を作りたくなったらプレイングに書き足してください。
 レシピとかは全部知ってるものとします。(文字数エグいので)

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 春だ! グルメだ! タケノコライガーだ!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年05月19日 21時45分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
空歌う笛の音
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
ウォリア(p3p001789)
終焉の騎士
クーア・ミューゼル(p3p003529)
こげねこ
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
折れ羽の鴉
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽
リーリア・フィルデマージュ(p3p006942)
アルク・テンペリオン(p3p007030)
今はただの氷精

リプレイ

●春を逃すな!
「山はタケノコ、山だってタケノコなのです!」
 急にそんなこと言った『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)に、リーリア・フィルデマージュ(p3p006942)が二度見で振り返った。
「ん、え、なんて?」
「タケノコなのです!」
 両目をカッと見開き瞳孔までもを開いたクーアに、リーリアは『う、うん』と曖昧に頷いた。
 紹介が遅れたがここは幻想の森。グルメ貴族ヒューゲルの依頼で希少食材タケノコライガーを手に入れるべく、彼女たちはドンドコ山へと訪れていた。
「噂に聞く高級食材タケノコライガー、料理人の一人として是非とも手に入れたいねっ」
 タケノコライガーは旬が短く収穫できる時期もまた短い上に、物理的に抵抗してくるため収穫難易度の高い食材なのである。
『爆発する卵を攻撃に転用して来る鶏のモンスターは昔戦ったが……。
 自爆特攻とはこの世界の生物も随分と覚悟が決まっているな……』
 うむ、覚悟……。といって目元の炎のような鎧模様をぼんやりと輝かせる『終焉の騎士』ウォリア(p3p001789)。
 捕まえるのが難しいイコールうまいというわけではないが、今回の食材は難易度に相応しいうまさがグルメ貴族ヒューゲルによって保証されていた。
 意欲も出ようものである。
「たのしみだね、たけのこ!」
 『空歌う笛の音』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)がばっさばっさと翼を羽ばたかせ。
「たのしみですね、たけのこ!」
 『小さな太陽』藤堂 夕(p3p006645)もばっさばっさと無い翼を羽ばたかせていた。
「たけのこといえば、鶏そぼろだよな!」
 『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)もばっさばっさと翼をはばたかせた。
「とり……」
「そぼろ……」
 同時に振り返るアクセルと夕。
「俺は鶏じゃねえぞ!」
 一般的かはしらないが、割と見かけるスカイウェザージョークである。
 似たところでディープシーがシーフードを見かけるとやるが、たまにデリケートな話題なときがあるのでセンシティブさが若干異なるという。
 さておき。
「タケノコご飯楽しみだよな!」
「「たのしみ!!」」
 カイトとアクセル、そして夕はばっさばっさやってテンションを上げ合っていた。
 なんだろうあの楽しそうなコミュニケーション……という目で彼らの様子をじっと観察する『暗鬼夜行』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)。
 コミュ力の化身みたいな夕がもつリアルスキル的なものである。
 ちなみにこのばさばさはミラーリング効果といって自分と同じような仕草をする人に好意をもつという心理学的の効果で、接客業などで意図的に用いられることがある。
 咲耶もコホンと咳払いをして話に混ざってみた。
「かの有名なタケノコは一度食べてみたいと思うていた所でござる」
「タケノコはじめてか!」
「初めてはやっぱりご飯がいいよね!」
「お刺身とかどうですか」
「スペシャルー」
「さ、然様でござるか!」
 咲耶も若干ばさばさのポーズをまねて見た。
「これは拙者も一肌脱ぐしかあるまいな!」
「「あるまいな!」」

●タケノコをさがす。そして殺す(つかまえる)。
 うっそうとした竹林。
 ともすれば距離感すらうしなわれそうな竹林の中を、アクセルはゆっくりと進んでいく。
「タケノコってことは地面からはえてるんだよね。まって。生えてるというか……歩くんだよね?」
「の、筈ですね……?」
 夕はタケノコがよっこいしょと立ち上がって全力ダッシュするさまを想像して顔を曇らせた。
『どうやって移動するかは、たしかに聞いていなかったな……』
 ウォリアはゆっくりと呼吸をして、竹の香りを吸い込んだ。
 竹独特の香りが鼻を抜け、胸に染み、そしてゆっくりとはき出されていく。ウォリアに鼻とか肺とかあるのかどうかはこのさいおいとくとして。
 そんなウォリアの嗅覚に、青々しい香りがわずかにひっかかった。
『これはまさか――八時方向だ!』
「はちじ――斜め後ろか!」
 素早く後ろを向くアクセル。目を細め、竹林の中をちらっと動く物体を補足した。
「見つけた。追いかけよう! 感情をとらえておいて!」
「らじゃりました!」
 夕はこちらに気づいて逃げるタケノコライガーの感情と位置を補足すると、アクセルたちとは別々の方向へと散って走り出した。
 一直線に追えば追いつけない動物でも囲むように追い詰めれば捕まえられる。狩りの基本である。
「やっほーーーーーーーー!!」
 夕はあえて大声をだしてタケノコライガーにプレッシャーをかけると、たき火に薪をくべるように感情を沸き立たせ、位置を見失わないようにしていた。
 そうして追い立てられたタケノコを、別方向から回り込んだウォリアがダイブ。
 ジャンプしてよけるタケノコライガーを、さらなるダイブをしたアクセルがキャッチした。
「つかまえた!」
「ピギーーーー!!」
 タケノコライガーはくたっと力尽きたが、その代わりに周囲の土から無数のタケノコライガーが飛び出してきた。
 麻袋にタケノコライガーを突っ込み、2メートルの高さへと飛び上がるアクセル。
 さあ、戦闘の始まりだ!

「そっちへ行ったぞクーア!」
「待つのです! 丸焼きにしてやるのです!」
「まだするな!」
 一方その頃。
 カイトとクーアは猛烈なスピードで竹林をかけぬけては逃げ出そうとするタケノコライガーをダイビングキャッチでつかまえていた。
「ニャーッ!」
 目をネコそのものにして飛びかかるクーア。
 ビクッとして回避しようとするタケノコライガーよりも早く、クーアはそのとんがりボディをキャッチ。
 ごろごろと地面を転がりながらタケノコライガーを抱きかかえた。
 その先をゆくタケノコライガーが友を見殺しにしてでも生き延びてやるみたいな覚悟で突っ走るが、クーアの頭上を高速飛行によって抜けたカイトが鷹めいた足でキャッチ。
「ピギッ!」
 短く声を上げたっきり動かなくなったタケノコライガーを麻袋に詰めると、カイトは周囲をぐるりと見回した。
「このチームは絶好調みたいだな。タケノコライガーが逃げるより速く捕まえられる」
「伊達にスピードスターやってないのです」
 ネコっけを出し過ぎたせいか手で顔をくいくい洗い始めるクーア。
 カイトもカイトで鷹っぽさを出し過ぎたせいか興奮気味に翼をばさばさやっている。
「けど油断するなよ。さっきの鳴き声につられてタケノコライガーたちが襲いかかってくる筈だ」
「心配ないのです」
 クーアはねこねこの構えでカイトの背をまもるように立つと、あちこちから聞こえるぼぼぼっというタケノコ飛び出し音に反応して飛びかかった。

 氷の鳥籠をさげ、竹林をゆっくりと歩くアルク。
 抜ける風の静かさと、どこか清らかな竹の香り。
 長く伸びた竹竿に日は隠れ、あたりは非日常的な薄暗さを作っていた。
「森の精霊は元気そうなんだけどな……」
「言うことは聞かせられないのでござるか?」
 一緒に歩いていた咲耶がちらりと振り返る。
「知能が低すぎて会話にならない感じかな。操作しようと思っても、こっちの命令を理解できないんだと思う」
「ふむ……」
 精霊の知能はピンキリで、小さいものはそのへんのタンポポくらいの知能しかないという。もうそれって知能とかのレベルじゃないのでは、と咲耶あたりは思う。
 いくところまでいくと自然と一体になるとか、そういう話なのだろうか。
 アルクが精霊をどのように感じ取ってどう接しているかは、割とアルク自身にしかわからぬことである。
「精霊との関わり方もひとそれぞれでござるからなあ……」
「そうなの?」
 あまり広い世界を知らないらしいアルク。咲耶が身近な例を出して説明してみた。
「例えば夕殿は精霊センパイにお願いするコミュ力の疎通でござる。クーア殿は性質的に近い現象や存在に共感させる感じ……らしいでござるよ?」
「らしいんだ……」
「らしいでござる」
 最後のほうがあやふやなのは、ちゃんと確認したわけじゃないからだが……さておき。
「拙者たちだけでも探せるというところを見せてやるでござる。美味しいご飯の為にタケノコ狩りにいざ参らん!」
 ビッと気合いを入れる咲耶の一方で、地面をがさがさかき分けていたリーリアが真剣な目で土をつまみ上げていた。
「タケノコ道ね」
「ん?」
「んっ?」
 急に獣道みたいなことを言い出したリーリアに、二人が同時に首を傾げた。
 手をはたいて頭をあげるリーリア。
「タケノコライガーは一般のタケノコとちがってよく動くけど、厳密には竹の一種なのね。よりよく繁殖する地域を見つけたり、外敵から逃れたりするのが目的の移動なんだけど、そのために身内の竹をわずかによけさせて自分たちが安全に通れる道を作ることがあるの。見て」
 リーリアに言われたとおり竹の根っこ近くを見てみると、不自然な数十センチ程度のくねりが見て取れた。
「タケノコライガーは周辺探索のための移動を数回繰り返して行なったあとは安全地帯に戻ってくるから、このタケノコ道で待ち構えれば捕まえられるってわけねっ」
「なるほど……」
「頭のいい捕まえ方だな……」
 こくこくと頷き、そして待つことしばし。
「ピ……ピギッ!?」
 道をよじよじと通ってきたタケノコライガーを、リーリアは網でさっとすくい上げるように捕まえてしまった。
「もう数匹通るわ。捕まえて!」
「了解でござる。いくでござるよアルク殿!」
「あ、ああ……!」
 ずびゃっと飛び出した咲耶に勢いに遅れるように、アルクもまたタケノコライガーを追って走り出した。

●タケノコバトル
 垂直発射ミサイルを見たことはあるだろうか。
 空に向けて垂直に飛び出したミサイルが空中で直角に曲がりそのまま対象に向かって水平飛行する漫画みてーなミサイルである。
 タケノコライガーの攻撃方法はまさにそれであった。
 あたりの土から次々と飛び出しては回転をかけて水平方向へ転換。突っ込んでは自爆するというものである。
「うわわわわっ! 思ったよりやばい動きしてる!」
 アクセルは竹林をぐねぐねと飛行。
 左右を併走してくるタケノコライガーを交互にみてから防御姿勢。巻き起こった爆発から上昇飛行で逃れると、高所から風の魔力弾を乱射した。
『ここは任せろ……』
 ウォリアは咆哮をあげてタケノコライガーの群れへと突撃。
 高速で突っ込んでは爆発するタケノコライガーの自爆攻撃をクロスアーム防御で駆け抜けていく。
『夕、回復支援を頼む』
「らじゃりました!」
 夕は親指と小指を立てて受話器のように顔に当てると、召喚先の天使にコールした。
「あっ、どーもー。天使さん今いいですか? 仲間が自爆するタケノコの群れに突っ込んじゃって。あっはい垂直発射するタケノコなんです。そう旬だから……はい、はい、はーい。おねがいしまーす」
 そこまで言ったあと受話口(?)を手で押さえて振り返った。
「今来てくれるそうですー」
『今……?』
 とその時、竹林にミニバンサイズの救急車が停車した。
 がらっと後部座席から出てきた看護師がすすだらけのウォリアをあちこち見た後お薬の袋を手渡して帰って行った。
 去って行く方向を見つめるアクセルとウォリア。
「いつもああやって来るの?」
「流石に初めてかもです」

 一旦おさらいするが、タケノコライガーの特徴は高い反応値である。
 数値的に100の差がなければ確率的にみて先手を取ることは不可能では無いが、高ければ高いほどこちらが先手をとりやすいのは確かである。
 けど250の値は誰も求めてない。
「遅すぎるのです」
 瞬間的にクロックアップしたクーアは燃えさかる低級ネコ精霊を呼び出すと、地面から飛び上がったばかりのタケノコライガーたちを順番に指さしていった。
 タケノコライガーが自爆突撃をするよりも早く、ネコ精霊たちがとびついて次々に自爆。
 クーアはタケノコライガーたちに背を向け、巻き起こる爆発と爆風に髪を靡かせた。
「よし。残りはこっちに任せろ」
 カイトは翼を激しく羽ばたかせると、飛び上がり水平方向へ転換し始めたタケノコライガーたちを煽りながら真横を飛行していく。
 挑発にのったタケノコライガーたちを引き連れて天空へ飛び上がり、竹林の更に上空へと抜けた。
 追いついてきたタケノコライガーめがけて今度はクイックターンからの急降下をしかける。
 慌てて自爆したタケノコライガーたちの間を滑り抜け、カイトはずだんと大地に着地した。
 はるか上で次々と遅れた爆発をおこすタケノコライガーたち。

 360度を取り囲まれた咲耶は、小太刀を逆手に握り込んだ。
「いざ、尋常に――」
 死角から迫るタケノコライガーを後ろ回し蹴りで落とすと、正面から飛来するタケノコライガーを刀による打ち払いで弾く。人体の構造からして棒状のものを逆手に持ち、視界斜め四隅の円を撫でるように降ると大体の打撃は受け流すことが出来るとされている。それゆえ逆手持ちは防御に秀で、複雑な突進をしかけるタケノコを相手にしたとてそれは例外ではない。
 咲耶はぐるぐると回りながら飛来するタケノコライガーたちを打ち落としていく。
 全弾残らず打ち返すと、離れた位置で次々に爆発。
 爆風に囲まれ圧迫されるが、駆けつけたアルクがライトヒールの治癒魔術を詠唱した。
「やけどは冷やすのが一番いいって聞いたな」
 氷の低級精霊を集めて咲耶の患部を冷やしていく。
 更に現われたタケノコライガーがアルクめがけて次々に殺到するが、爆発の中から発射したアースハンマーで未だ水平発射していないタケノコライガーを殴り飛ばしていく。
「なんとか先手をとれたわ。ラッキーね」
 地面から飛び出したばかりのタケノコライガーを剣でガッとたたき落とし、拾い上げるリーリア。
「タケノコライガーはすごく素早いモンスターよ。先手をとるのは難しいけど、出現位置を予測したり色々すれば捕まえやすい……とは聞いたけど。聞くのとやるのとではだいぶ違うわね。二人とも大丈夫」
 振り返ったリーリアに、アルクと咲耶はそれぞれ頷いて返した。
「けど、今回はだいぶやられたな。タケノコは俺がしまっておくから、暫く休ませてくれ」
 アルクはタケノコを収納すると、大きく息をついた。
 ぱちんと手を叩くリーリア。
「さて――」

●たけのこの美味しい季節になりました
 リーリアはぱちんと打ち合わせた手を開いた。
 所変わってここは山の麓。
 たき火を起こして調理道具を並べたリーリアは、早速といった具合でタケノコご飯を炊きあげていた。
「えっなにどういう手際なの。道具は? 調味料は? 塩や砂糖やお醤油は?」
 きょろきょろするアクセルに、リーリアがしゅっと手首をスナップさせた。
 手品のように指と指の間に握られた塩やこしょうや醤油のボトル。
「グリムアークの料理人をなめちゃあいけないわ」
「すごい」
「便利」
「今日のためにいるような人」
 思ったことをそのまま言うアクセルたちやアルクたち。
 ウォリアは何も言わないが、どうやら『便利だなあ』と思っているらしい。たぶん。
 飯ごうを開くと、ほっこりと炊きあがったタケノコご飯が詰まっている。
 軽くあくとを取ってはいるが、新鮮なタケノコライガーは収穫してすぐの段階ならあくもほとんど出ずそのまま囓って食べられるという。
 実際炊きあげたタケノコライガーの食感はしゃきしゃきとしていてやや甘く。タケノコ特有の香りとコクが強い一方でご飯に吸われた味が深く、心地よい後味を残した。
「タケノコ……まさかこれほどとは……」
 クーアがはっふはっふいいながらタケノコご飯をがっついている。
「まさか本当にお刺身でいけるとは思わなかったですよねー」
 ここでいうタケノコの刺身というのは五分ほどゆでたタケノコのことである。いくらタケノコライガーがまんまかじれるつっても限度があるので、まともに料理してみた次第である。
「水でしめて冷やしてから、わさび醤油でいくのです」
「まさかこれほどとは……っ」
 クーアがタケノコにとりつかれた人みたくなっていた。
 エプロンをして両手を腰に当てる夕。ほこらしげな夕である。
 この空気ならいけるかな、という顔でカイトが小さく手を上げた。
「なあなあ、魚とタケノコで煮物できねーか」
「「イエスアイキャン!!」」
 夕とリーリアが同時に振り返った。
 すごい余談だがこのときより早く出来たのは圧力鍋を出してきたリーリアであった。状況が限定されすぎるけどえらく便利である。
 しかし一方で、料理は早さが全てってわけでもない。
 楽しむこともまた、大事な要素である。
「そしてこうして集まって食べるのもまた料理の楽しみ……で御座るな」
 咲耶はタケノコの刺身を醤油につけて頬張ると、白ご飯をかっ込んだ。
 傍らに用意した味噌汁をすすり、小鳥のなく空を見上げてみる。
 暖かい春風が、肩を撫でて吹き抜けてゆく。

成否

成功

MVP

リーリア・フィルデマージュ(p3p006942)

状態異常

なし

あとがき

 ごちそうさまでした

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