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シナリオ詳細

暴れ狂う牛の群れ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●幻想種達からの依頼
 深緑、アルティオ=エルム。
 大陸西部にある迷宮森林。そこにある大樹ファルカウを中心とした幻想種達の国だ。
 自然と一体化して世界と結びつくという独特の文化、魔術的繁栄を築いてきた者達。
 冒険者、ローレット所属のイレギュラーズと、幻想種でも外に出る者もいるが、基本的には異種をあまり歓迎しない気風が深緑にはある。
 とはいえ、排他的というわけではなく、自分達の価値観、ルールを重んじる者であれば、むしろ友好的な種族だ。

 そんな地域にも縄張りを広げようと、魔物の影が伸びてくることがある。
 幻想種達は自警団を編成してこの迎撃に当たるのだが、基本的に穏やかな民であり、練度が高いとはお世辞にも言い難い。
 多くは、近場の傭兵……ラサ傭兵商会連合へと問題解決を依頼することが多いようだ。
 ラサの傭兵達も飯のタネとなることあって、幻想種達に助力することも珍しくはない。
 ただ、傭兵達は混沌のあちらこちらへと依頼に駆り出されることもしばしばあり、すぐに対応できぬこともある。
 最近は、幻想のローレットが協力してくれることも増えた為、幻想種達がイレギュラーズへと依頼を行う頻度も高まってきていた。

●森に近づく魔物牛達
 幻想、ローレットに新緑から届いたのは、こんな依頼だ。
「新緑の外れで、魔物牛の活動が確認されたようです」
 仲介してイレギュラーズ達へと依頼を斡旋する『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)の話によると……。
 新緑の森の外で、魔物牛達が獲物を求めて疾走している集団があるという。
 その数は、20体ほど。
 魔物牛どもは森を目指して一直線に走ってきており、森を荒らすことが危険視されている。
 基本、牛は草食だ。
 魔物牛どもが森へと入ってきたならば、木々は倒され、片っ端から草を食べられて土は踏み固められてしまう。
 そうなれば、豊かな森は瞬く間にその領域を狭める恐れすらある。
 だからこそ、この集団を幻想種達も危険視しているのだろう。
「幻想種の方々の依頼としては、森に入る手前に防衛線を張って、この魔物牛を討伐してほしいとことですね」
 基本的に、牛達の大きさは2~3mほど。だが、中には1体、群れを統率する全長5mほどのボスがいる。
 そいつは嘶きながら餌場を求め、配下を引き連れてその近辺を駆け回っているようだ。
「とはいえ、討伐さえすれば、皆さんで美味しくいただくことができる相手ではあります」
 火事が懸念される為、森から少し離れてから、討伐した牛達のお肉を捌いてバーベキュー。
 予め、調理用具などを持参し、野菜なども合わせて用意しておけば、きっとお腹一杯食べることができることだろう。
 それを聞いて、テンションが高まるイレギュラーズもちらほらといたようだ。
「ともあれ、森を荒らす魔物牛の討伐を。どうぞ、よろしくお願いいたします」
 そんなメンバーの姿をアクアベルは微笑ましげに見つめ、改めて彼らへと願うのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 たまにはあまり戦略を重視せず、個々でひたすら敵と戦うことのできるシナリオをとお届けします。
 とはいえ、油断できぬ相手ではありますので、気は抜かれませんよう願います。
 また、シナリオ相談日数は短めとなっておりますので、あらかじめご了承願います。

●敵……魔物
◎魔物牛×20頭ほど
〇ボス×1体
 全長5mもある化け物牛。
 その突撃を受ければ、あっさりと突き飛ばされ、
 力なきものはそれだけで命を失いかねません。
 また、スキルを使う能力もあるようです
・力を高める……(A)神自・溜1・物攻+、神攻+
・嘶き……(A)神中域・ショック
・鼻息……(A)神遠単・足止
・突撃・強……(A)物遠貫・飛・万能
・暴れ回る……(A)物中域・乱れ

〇子分×20体
 全長2~3m程度。
 基本的にはボスに従って突っ走ります。
 強さは一様ではなく、
 中にはボスほどでなくとも突出した強化個体も混じっているようです。
・力を高める……(A)神自・溜1・物攻+、神攻+
・角……(A)物近単・ブレイク
・突撃……(A)物遠貫・飛

●状況
 現場は深緑の外れの平原。
 森へと突撃しようとしてくる魔物牛の群れの討伐を願います。
 幻想種の人々は森を荒らされるのを嫌う為、できる限り、木々に被害が無いよう戦っていただきますよう願います。
 事後は、牛のお肉を召し上がることも可能です。
 森の外で野菜を持ち込んで、バーベキューをするのもよいでしょう。火事にはくれぐれもご注意くださいね。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 暴れ狂う牛の群れ完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年05月08日 22時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
ニーニア・リーカー(p3p002058)
辻ポストガール
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
セシリア・アーデット(p3p002242)
治癒士
リナリナ(p3p006258)
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹

リプレイ

●魔物牛の群れに備えて
 深緑の外れ。
 森の手前で、ローレットから派遣されてきたイレギュラーズ達が戦闘準備を整えるべく作業を行っている。
「さて、今回の仕事は森を襲う暴れ牛を倒す事だ」
 別世界にて任侠の世界で生きてきた『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)が言うように、今回は森へと突っ走ってくる魔物牛の掃討依頼だ。
 男気を背負う義弘は今回、梟の翼をもつ飛行種の『一夜限りの怪盗団』ニーニア・リーカー(p3p002058)の作戦に協力して平原に落とし穴を掘っている。
「出来れば、森に入る前に倒しちゃいたいからね」
 集団で駆けてくる牛達の足止めの為に、ニーニアはやや浅めに穴を掘っていく。
 その分、数が欲しいという彼女の意向もあり、青髪の少女『疾風蒼嵐』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)や、深緑に住まう幻想種『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)も手伝いを行っていた。
 接敵まで今しばらく時間はありそうだが、念の為にとウィリアムはファミリアーを飛ばして牛達の動きを探っていた。
「牛肉の目的、森食い荒らすこと!」
 そう叫ぶ『原始力』リナリナ(p3p006258)も、穴掘りに協力する。
「当然、このままだと森の前に陣取るリナリナ達。牛肉にひかれる! 足止め大事!」
 彼女がもはや、牛達を肉扱いしてしまっているのはさておき。
「穴掘る! アナホル! 頑張る! 頑張る!」
 リナリナは仲間達の作戦に感心しつつ、時折、牛肉……もとい、魔物牛達がやってくる方向を見ながら、アトは作業時間の問題とひたすら穴を掘る。
 なお、掘った穴はニーニアの意向で、バーベキューを行った後で生ごみを入れて埋める予定だ。
「土の養分にもなってくれるはずだしね」
 事後のことも想定して作戦を考えるニーニア。
「あと、ご褒美に牛肉を! タダで! いっぱい食べれるかもしれないしね」
 ご褒美を考えれば、気合も高まろうというものだ。
「しかしお肉か……これだけ動き回っていい物食べてたら、きっと美味しいんだろうな……」
 清楚な見た目の少女、『治癒士』セシリア・アーデット(p3p002242)は穴掘りには参加していないが、事後の料理の為の手伝いを行っている。
 主としてクッキングに当たるのは、巨漢の豚人間の姿をした旅人、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)だ。
 森に潜ませる力持ちの軍馬『HMKLB-PM』に調味料と調理器具を積み込んでおり、ゴリョウは森で下ごしらえを行っている。
「1体でも、森に入らせないようにしなきゃいけねぇからな」
 この穴で牛の親分が嵌まるならばよし、子分どもが嵌まっても足止めになると義弘は語る。
 穴への誘導、仲間達との連携は必要になるだろう。
「ひとつ、気合い入れて頑張るとしようか」
 もうひと踏ん張りと、魔物牛が接近するまでの僅かな間、義弘は穴を掘り広げていくのである。

●魔物牛、疾走!
 程なくして、地鳴りが聞こえて来たことで、メンバー達は前方に砂煙を立てた何かが走ってくることに気づく。
「牛肉! 牛肉! 牛肉がいっぱい!」
 それを見て、リナリナが喜びの声を上げる。
 だが、数と勢いに任せて平原を走る牛の群れはなかなかに圧巻だ。
 この深緑の森で育ったウィリアムは普段であれば、森へようこそと動物達を迎え入れるところなのだが。
「……あの勢いは困るなぁ。うーん……残念」
「うわー、結構な数だ……。下手したら、袋叩きだな……」
 大鎌を持った妖精といった見た目の『隠名の妖精鎌』サイズ(p3p000319)も相手の勢いに戸惑いを隠せない。
 依頼を受けた当初、サイズはバリケードを築くことも考えたが、幸い仲間達が穴を掘ってくれている。
「……頑張って、ここで止めないとな……」
「微力だけど、お手伝いするよ。さて頑張って行こうかな!」
 仲間達から敵出現の知らせを受け、セシリアが依頼に集中と森から出てくる。
 ただ、目の前の牛の集団の勢いには、彼女もまた気圧されていたようで。
「ありゃ……、これは大変。魔物牛が森に被害を与える前に何とかしないとね」
 仲間が築いた防衛線で、セシリアは敵を迎え撃つ。
「ぶはははっ、木々の保全は幻想種にとっては死活問題だろうからなぁ」
 これも弱肉強食の理ってヤツだと、同じく森から出てきたゴリョウは豪快に笑い、届く範囲で森の木々に保護結界を張り巡らせる。
 ウモオオオオオォォォオオ!!
 そうしている間にも、牛達はこちらに近づいてくる。
 その行為は、牛達にとって生きる術を求めてのことなのだろうとシャルレィスも察するが、森を荒らされるわけにはいかない。
 シャルレィスが蒼い刀身を持つ片手半剣『烈風』を構えると、ウィリアムもその身に宿す高位術式を発動させて。
「「悪いけど、ここで止めさせてもらうよ」」
 彼女達は仲間達と共に、牛達の掃討へと当たり始めるのである。

●魔物牛達の進行を止めろ!
 モオオオオオオオオオォォォオ!!
 続々と近づいてくる魔物牛達。
 先頭には全長5mもある化け物牛がおり、通常サイズ2~3m程の子分牛20頭を引き連れて突撃してくる。
「倒して、肉食べ放題!」
 リナリナは牛肉の進路の右側で待機しており、敵が落とし穴群の手前に来た段階で高くジャンプする。
 そして、彼女は地面に向かって急降下し、何もない地面を蹴りつけた。
 その衝撃で巻き起こる爆発に合わせ、彼女は落とし穴を発動させようとする。
 駆ける牛どもは構わず突っ込み、穴にハマっていた子分牛もいたようだ。
 だが、親分はその体格で強引に穴をすり抜け、駆けてくる。
 この為、サイズは素早く血で造られた呪いの陣を展開し、業炎を纏った呪われた血の鎌で敵陣を切り裂いていく。
 大鎌を手にするのは、サイズの製作者。本体はその大鎌だ。
 サイズはできる限り敵を纏めて焼き払い、その数を減らそうとしていく。
「森の中に入られる前に、親分格と群れを仕留めきらなきゃならねえな」
 義弘も仲間と連携を考えながらも、まずは、範囲攻撃。
 己の体を回転させることで暴風域を生み出し、牛達を蹴散らそうとする。
 ただ、牛達もやられてばかりではない。
 ンモオオオオオオォォォ……!
 穴から這い出ようと暴れる牛達。
 強引に突撃を行って穴から這い出てダッシュしてイレギュラーズ達に体当たりを繰り出し、さらに動けぬ者も角を振り回して暴れ続けている。
「森を荒らさせないためにも、ここでくい止めさせてもらうよ!」
 ニーニアは挨拶代わりにと、敵が比較的固まってところ目掛け、術式を放つ。
 組み上げられたそれは、瞬間的に高出力で冷却していく。
 ややアレンジが加えられているらしく、広範囲の牛達を冷たい空気へと閉ざし、凍り付かせていった。
 そして、子分牛が仲間達のスキルや落とし穴でもがいている最中、ゴリョウは一直線にボスへと向かう。
「おらァッ、デカブツ! デカい図体してながら豚一匹ブッ飛ばせねぇなんざ、気合足りてねぇんじゃねぇか!?」
 不動の構えをとる彼は力強く響く声を上げ、自らの存在感を示す。
 ブモオオオオオオォォ!!
 爛々と目を輝かせるボス牛は大きく嘶き、鼻息を荒くして突撃して来る。
 ボス牛の足止めはゴリョウの狙い通り。後は子分牛が逡巡してくれれば完璧だが……。
 ただ、足止めはされていても、子分牛達が攻撃をしないわけではない。
 力を高めてから放たれる突撃はかなりの威力。
 セシリアは主としてゴリョウの状態を見ながら、主に前に出て戦うメンバー達の癒やしに当たる。
 序盤は、彼女も敵の動きを止め、後衛に牛が行かぬよう考えて立ち回っていたようだ。
 この間、他メンバーは仲間と共に群れを挟撃するように移動する。
 仲間達の範囲攻撃で、子分牛どもは傷ついてきている。
 それでも、森を目指そうとする敵を見つければ、シャルレィスは『烈風』を操り、巴流剣術を披露する。
 ――疾き事風の如く、その爪痕は嵐の如く。
 相手の至近にまで迫ったシャルレィスは、疾風怒濤、苛烈なる斬撃を目の前の子分牛へと浴びせかけ、全身を血塗れにして倒してしまう。
 逆側からはウィリアムが多数目掛け、破壊のルーン『H・ハガル』を発動する。
「いくよ、皆、気を付けて」
 仲間達へと注意を促したウィリアムは術を発動させ、頭上から降り注ぐ、不可避の雹によって牛達の体を叩き潰していく。
 いくら魔物となり果てた牛でもこれには耐えきれず、次々に横倒しになって倒れ、力尽きていった。

●1頭たりとも撃ち漏らすことなく
 ウモオオオオオオォォ!!
 平原に響く牛の咆哮。
 それを指揮する化け物牛はゴリョウがメインに食い止めているが、1人で抑えるだけで厳しい相手。
 油断すれば、突き飛ばされてしまいかねない。相手の気が逸れれば、彼は強引に存在感を見せつけて気を引く。
 ニーニアがまた多数残る牛達の頭上へと投げつけたのは、切手の塊。
 それらは彼女の術式によって操作され、術式の及ぶ領域へと降り注ぐ。
 切手はぴったりと相手に張り付き、呼吸や動きを奪う。
 四肢を地面につける牛達はそれらをなかなか剥がすことができず、苦しむ。中には、それだけで卒倒してしまう個体もあったようだ。
 そうして、切手が張り付いて苦しむ敵にシャルレィスが迫る。
「森は絶対に荒らさせないよ!!」
 闘志を高め、刃を研ぎ澄ませた一太刀で彼女は目の前の子分牛へとトドメを刺していった。

 牛退治は決して順調ではない。
 前線に出て、子分牛達へと片っ端から襲い掛かっていたリナリナ。
「リナリナ暴れる! るら~!!」
 絶好のタイミングと、リナリナは『掘り出し物』の剣を振り回して切りかかっていた。
 確かに力任せにねじ伏せられれば早かっただろうが、中にはしっかりと状況を見る牛もおり、前のめりに攻め来る彼女へと突撃を繰り出す。
 邪魔な敵を1体でも減らそうと考えるのは、牛も同じ。特に、強化個体ならなお考えるだろう。
 イレギュラーズ達の攻撃に耐えて力を溜めたそいつを中心とし、一斉にリナリナの体を角で貫いてから突撃する。
 突き飛ばされて地面を転がるリナリナは、ぐったりとうな垂れるように気を失ってしまった。
 次に牛が狙うは、その後ろにいたサイズだ。
「まずいね」
 突破される危険を感じたサイズは、攻め込んでくる牛を抑えに当たる。
 集中してから魔力を纏わせた大鎌で切りかかっていくが、真っ赤になる牛どもは一層興奮してサイズの体を角で貫く。
 さらに、荒ぶるままに突撃した強化牛がサイズの体を突き飛ばす。
 そいつは近場の落とし穴へとハマっていたが、地面をもんどりうつサイズは衝撃で体が動かず、意識を遮断してしまった。
 倒れる仲間がいる中、ゴリョウとボス牛の駆け引きは続く。
 ボス牛が抑えられていても、まっすぐ走るだけでない子分がいたのは誤算だったが、魔物となり果てたからこそ得た知恵もあるのだろう。
 さて、彼は力を高めるボス牛の一撃にも態勢を崩さず、どっしりと身構え続けて。
「いいぜ、力が弱まってきやがった」
 気を引き続けることで、ボス牛に何もさせずに済んでいるのはいいが、その分力を溜めた強烈な頭突きを幾度も受ける羽目になる。
 ゴリョウはそれでも、後方の仲間を信じてボス牛を抑え続ける。
 セシリアは彼の体力がある程度減ったと感じれば、自身の調和の力を賦活の力へと転化し、ゴリョウへと分け与える。
 また、戦いが長引けば、子分牛と対する他メンバー達もまた傷ついてくる。
 その為、セシリアは天使の福音をもってして、神聖なる救いを歌声に乗せて周囲で戦う仲間達の傷を癒やす。
 徐々に、前進しようとしてくる子分牛達。
 それを食い止めるべく、ウィリアムは無数の魔力弾を張りつつ牽制し、迸る一条の雷撃を放って牛達を地面へと沈めていく。
「一気に行くぜ」
 子分牛が倒れたことで、義弘はゴリョウのアシストの為、一気に攻め入る。
 体ごと突撃した彼は、屈強な自らの体で相手を薙ぎ倒そうとする。
 彼が見上げるような体躯を持つボス牛にも突撃すると、ようやくボス牛に異変が。
 ブモオオオォォォォ……。
 泡を吹いたそいつはつんのめるように前足を折り、崩れ去ってしまった。
 ボス牛が倒れれば、後は残党狩り。
 穴から出られずあえぐ牛へとシャルレィスが飛ぶ斬撃でトドメを刺すと、直後に絶望の海を歌うニーニアの声が残る子分達の体力を奪いつくしたのだった。

●お肉お肉!
 全ての魔物牛を討伐したイレギュラーズ達。
 戦闘前に下ごしらえを行っていたゴリョウは、調理を行う場を森の外へと移す。
「牛を解体した事はねぇんだが……、専門家がいるのか?」
 肉を食べさせてもらえるのを楽しみにしながらも、義弘はそんなことを気にかける。
 だが、ゴリョウは牛達を自身専用の『百花調理用具』で鮮やかに肉を捌いていく。
「上質な鉄板位なら、予め鍛治スキルで自作したのがあるから使ってくれ」
 先の戦いで倒れたサイズだが、多少は肉の美味しさをアップさせてくれるはずと自作の鉄板を提供してくれる。
 ともあれ、ゴリョウは再度森に保護結界をかけて飛び火を防ぎ、一つずつ料理を作っていく。
 まずはシンプルに、塩胡椒の串焼き。
 こちらはブロック状にした肉を串に刺し、塩胡椒をかけて焼くだけのお手軽料理だ。
 調理の手伝いは料理が得意と自負するセシリアが自前の調理器具を使って行ってくれる。
 また、料理ができないというシャルレィスも、食器の準備などできる範囲でお手伝いを頑張ってくれていた。
 そして、ゴリョウは折角だからとサイズ作の鉄板を使い、バターをかけながら揚げ焼いていく。
「ううう、お肉のいい匂いがしてきてたまらない……っ!」
「ゴリョウさんおすすめのステーキ、すっごく楽しみー♪」
 鉄板からは、風味やジューシーさが増したステーキが。直接匂いを感じるセシリアやシャルレィスの期待も高まろうというものだ。
 また、作業の合間に、様子を見に来た幻想種達が野菜を差し入れてくれた。
 その野菜は、ウィリアムが皮むきなど手伝ってくれていた。
「これなら、料理にも幅が広がりそうだな」
 幸い、牛肉はちょっとやそっとではなくなる量ではない。
「牛なら、すき焼きにしてぇなあ」
 そんな義弘のリクエストに応え、ゴリョウは差し入れの野菜を使い、戦闘前に仕込んだ割下と合わせてすき焼きを作る。
 さすがにこの場で白滝を用意するのは難しかったが、それ以外はだいたい要望通りのすき焼きをゴリョウは作って見せた。
「ぶはははっ。さぁ、腹いっぱい食ってくれや!」
 ゴリョウの声に合わせ、メンバー達は早速出来上がった料理をいただくことにする。
「いっただきまーす! ……うわぁ、すごい! ホントにすっごくジューシー!!」
 シャルレィスはお肉を噛みしめ、恍惚とした顔を浮かべる。
 程よく焼けた肉は実に柔らかく、溢れんばかりの肉汁が口の中に広がり、さらなるお肉を求めたくなってしまう。
「ねえねえ、お代わりしても良い? とても一枚で止められないよ……っ!!」
 ――今日はとことん食べちゃうぞー♪
 上機嫌になって、パクパクと食べる手を動かし続けるシャルレィス。
 そばでは、リナリナも傷ついた分をしっかり補給しようとものすごい勢いでお肉を食らっていく。
「食材のお肉はタダで、ゴリョウさんの美味しい料理が食べれるなんて、なんて素敵な依頼」
 ニーニアもまた、このご飯タイムを待ちに待っていたようで。
「美味しく食べてその上、食事代が浮くって最高だよね~」
 ローレットのお仕事として食べることのできる役得感。
 イレギュラーズになってよかったと、お肉をはみはみするニーニアは頬を緩ませる。
 そんな仲間達の食事を、セシリアがサポート。
 ゴリョウが作る料理を運んだり、食べた食器を片づけたり、生ごみをニーニア提案の穴へと埋めたり。
 合間にセシリアも食べてはいたが、料理好きな彼女は仲間達が美味しそうに食べる姿を見ることに喜びを感じ、一層張り切っていたようだ。
 ウィリアムも美味しいお肉が並ぶ卓に、胃が大きくなったような既視感すら感じて。
「うん、串焼き美味しい。良い塩加減だ」
 狩った命は大事に頂くべきだと、ウィリアムは動けなくなるまで食べようとお肉を口へと運ぶ。
「ゴリョウは料理上手だよね。僕も何か得意料理があった方が良いかな?」
「ぶはははっ、ありがとよ! そうだな。未来の嫁さんに作れる料理でもありゃいいな!」
 ウィリアムの言葉に対し、豪快に笑って答えるゴリョウはまだまだ肉を焼いていく。
 少年に見えて、誰よりも齢を重ねているウィリアム。
 彼はふと、伴侶と過ごすことについてぼんやり考えていたようだ。
 色々な肉料理を口にしていた義弘だが、自らのリクエストしたすき焼きはしっかりと間食した様子。
「御馳走様、だ」
 十分美味しくいただいた彼は、手を合わせて食材となった牛に。そして、料理を作ったゴリョウに感謝の意を示す。
「人助けも出して、お腹もいっぱいになって一石二鳥だね」
 ニーニアは腹を満たし、満足そうに言葉を漏らすのだった。

成否

成功

MVP

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド

状態異常

なし

あとがき

リプレイ公開です。
MVPは戦闘、調理と幅広い活躍を見せたあなたへ。
今回は参加していただき、ありがとうございました!

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