PandoraPartyProject

シナリオ詳細

傍迷惑な魔種のナンパ師

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●さらなる魔種の来訪
 幻想のとある街。
 そこは、小規模ながらも、様々な施設が集まっており、周辺から人々が集まるちょっとした歓楽街である。
 この地は以前、ライラという名の魔種によって実質的な支配下に落ちていた。
 街に留まるライラは気ままに街を渡り歩いて過ごし、人々を魅了していた。
 この街の人々も、ライラに対してはむしろ率先して支配を求めていた感すらある。それだけ、彼女はこの街では好意的に立ち回っていたのだろう。
 そんな街へと、ふらふらと現れた幻想種と思われる男。
「お嬢さん、ボクとお茶しないかい?」
 褐色の肌を持つそいつは整った顔立ちこそしてはいたが、いかにもナンパな態度と、底知れぬ冷めた雰囲気がどうにも受けがよろしくない。
 そいつは街の若い女性を口説こうとしていたが、ことごとく断られていたようだ。
 だが、全く気にする素振りのない男は、今度はおばさんへと声を掛ける。
 そのおばさんもまた嫌そうに顔を引きつらせ、ナンパはお断りと先に否定すると、男は口笛を吹かしてから別の質問をする。
「なあ、ライラってやつの墓がどこにあるのか、教えてくれ」

 嫌がる街の人から強引に場所を聞き、男は墓場までやってくる。
 そいつはそれまでのナンパなナリを顰め、真面目な態度で墓に花を供え、さらに持ってきた果実酒を墓へと浴びせかけようとした。
 しかし、そこへ飛んできた鴉が一直線に飛んできて、男を邪魔する。
 腕を弾かれた男は酒の入った小瓶を飛ばされてしまい、酒は乾いた音を立てて割れ、地面に酒がこぼれてしまう。
「へっ、意地でも俺の誘いは受けないってか」
 その様子を鼻で笑った男は、墓に向けて語り出す。
 男の名前は、アマート・ガルベリーニ。
 かなり前に『原罪の呼び声』の影響を受けて反転、魔種となった男だ。
 純種だった頃はどうだったかはわからないが、魔種となり果ててからは欲望のままに各地を転々として女性を口説き回っている。
 ただ、アマートはどうも溢れ出るオーラや挙動などに不快感を抱かれ、拒絶されることが多いらしい。
「ライラ……ボクが本気になったのは、君だけなんだよ」
 どうやら、アマートはライラにかなりご執心だったらしく、事あるたびに彼女へと接触し、最終的には彼女の自宅付近にまで現れていたようだ。
 それが原因となり、ライラは狂気に囚われて反転。魔種となり果ててしまった。
 ライラは抵抗しようとして、自らの手にナイフを突き刺したのだが、アマートが強引に彼女をかどわかそうとしたようである。
「大人しく、ボクについてくれば、こんなことにならなかったのに……」
 しゃがみ込み、墓を見つめるアマート。
 そいつの態度に心底嫌悪感を抱く街の人々は、ライラを守る為にとこの魔種の討伐をローレット達に依頼しに向かっていくのだった。

●街に拒絶されし魔種の討伐を
 幻想、ローレット。
 新たに掲示板へと貼られた魔種の討伐依頼。
 何気なくそれを眺めた『彷徨のナクシャトラ』暁蕾(p3p000647)が大きく目を見張る。
 その依頼は、過去に2度向かった街の人々からの依頼であり、魔種討伐の依頼だった。
(何か胸騒ぎがするのよね)
 彼女がその依頼の仲介人である『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)へと話を聞きに行くと。
「はい、どうやら、その魔種は生前のライラさんと接点があったことが分かっています」
 依頼を持ち掛けた街の人の話によると、そのアマートなる魔種は執拗にライラの墓の場所を尋ねてきていたという。
 どうやら、そいつはライラの死を聞きつけてこの街にやってきたようなのだが、どうにも住民達のアマートに対する心象が悪い。
 同じ魔種であるにもかかわらず、住民達はあっさりと討伐依頼をローレットへと出してきたことがその証拠だ。
 しかも、ライラを倒したローレットに、である。
「我に戻ってなお、ライラさんとの一時は、街の人達にとって夢のような一時だったようですね」
 とはいえ、ライラも魔種となっていた事実を受け止めていた住民達。
 ローレットに対し、自分達を救ってくれた上、魔種となり果てたライラをも救ってくれたと解釈している。
 住民の話を聞くに、ライラを魔種に陥れ、苦しめた張本人に違いないとのこと。
 ナンパな態度のアマートは、街を行く若い女性へと片っ端から声をかけ、そんな話を断片的に語ったのだそうだ。
 だからこそ、不快感を覚えた町の住民達は、これ以上ライラを汚されぬようにとローレットに依頼を出したのだろう。
「ともあれ、街の人が危険にさらされている状況には間違いありません」
 再び、街の住民を『原罪の呼び声』から守ってほしい。
 アクアベルは最後にそう告げ、説明を終えたのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 魔種となり果てた占い師の女性討伐依頼の後日談です。

●敵
○アマート・ガルベリーニ……怠惰の魔種
 ふらふらと人目を忍んで、あちらこちらを漂う元幻想種の青年。
 整った顔立ちですが、シニカルな笑みや態度がかなり不快感を抱かせます。
 各地の気に入った女性に声を掛け、執着していたようです。ライラもその1人と思われます。

 戦闘になれば、拳銃と体術を使って立ち回るようです。

・舞踏格闘術……(A)神近列・連・飛
・クイックドロウ……(A)物遠単・反
・ダンシングシュート……(A)物中範・乱れ・混乱
・オーラキャノン……(A)神超貫・万能
・虜の幻影……(P)毎ターン最初に2~4体の幻影が現れ、
 格闘、遠術などレンジに応じた単体攻撃で援護攻撃します。
 デコイになり、1撃で消滅。また、ターン毎に消えてしまいます。

●状況
 幻想のとある街、以前、ライラなる魔種が支配下に置いていた街です。現在、住民は正気に戻っております。
 まだ、アマートは町に滞在してふらふらとナンパを繰り返しておりますので、見つけ次第討伐を願います。
 どんな行動に出るか分かりませんので、突発的な行動にはくれぐれもご注意くださいませ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 なお、こちらは拙作、『享楽に浸る残忍な魔女』、『街が享楽へと沈みきる前に』の続編シナリオです。
 必須ではありませんが、お読みしていただくことで世界観や戦略が広がり、より楽しむことができるかと思います。

 以上です。それでは、よろしくお願いいたします。

  • 傍迷惑な魔種のナンパ師完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2019年04月30日 21時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

Lumilia=Sherwood(p3p000381)
優響の音色
サンディ・カルタ(p3p000438)
ラド・バウC級闘士
ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
暁蕾(p3p000647)
超弩級お節介
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
流麗花月
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
Ende-r-Kindheit
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽

リプレイ

●街に現れし新たな魔種
 依頼を受けたイレギュラーズ達は、幻想のとある街を訪れる。
「また魔種相手だね」
『他の者を堕落させる相手だ。遠慮せず叩き潰せ』
 3つの瞳2対の翼を背に生やす『穢翼の回復術師』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)が胸元の十字架に宿る神と話す。
「うん、全力で潰さないとね」
 そんなティア達が倒すべき魔種とは。
「所謂、女の敵というヤツか」
 白髪に猫耳、そして猫の尻尾を生やす『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が一言で今回の敵を表現する。
「どの世界にもいるものだな、この手の輩は」
 今回の討伐に当たり、透き通るような白い髪と白い肌が印象的な『白綾の音色』Lumilia=Sherwood(p3p000381)も報告書を見て、表情を険しくしていた。
「この男、実にはた迷惑……いえ、そのような言葉で片付けてはならない相手です」
 無差別に混沌内の女性に声をかけ、狂気に晒す男。
 多くの人々が巻き込まれる可能性を考えれば、ここで止めねばならない。
 狼の獣種である『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)は、前回の討伐には参加できなかったが、ライラと面識を持つ1人。
「死んだ彼女の名誉まで、汚す事はない」
 それに、当事者である『恩師の死を乗り越えて』暁蕾(p3p000647)には世話になっていることもあり、ジェイクは今回の手伝いを決めたらしい。
「ライラを魔種にしたのがアマートなら、そいつに死を持って償わせてやる」
「暁蕾さんの恩人が魔種になったってのは聞いたよ!」
 その関わりならばと、旅芸人に扮して盗賊ギルドの諜報員として活動も行う『寄り添う風』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)が一肌脱ぐとのことだ。
「これ以上、街の人達を呼び声の脅威に晒すわけにもいきません」
 すでに一度、魔種の脅威にさらされている街だ。
 だからこそ、黒い長髪のJK『圧倒的順応力』藤堂 夕(p3p006645)も、この街を助け出したいと考えていたようだ。
「俺はライラに対して義理立てもなにもあったもんじゃねーし、住民がやたら魔種慣れしてんのも釈然とはしねーんだが」
 暁蕾と共に2度の依頼に参加している赤茶色の髪の『アニキ!』サンディ・カルタ(p3p000438)はやや顔を顰めて頭をかきつつ、言葉を続ける。
「ま、折角救った街が今度はナンパ男の手に落ちてもあれだし。
誰かさんが刺し違えでもしたら目覚めも悪ぃし」
 しかたねえよなと嘆息し、参加するサンディ。
 ただ、今ではライラの遺品となった踊り子の衣装を纏う暁蕾は、またもこの街へと魔種の脅威が忍び寄ってきていることを憂いて。
「また魔種が現れ、感染と悲劇が広がろうとしているの?」
 ライラを死なせてしまったことを悲しむ彼女だが、今回現れる魔種の男、アマートを憎み切ることができずにいる。
 それというのは、この男もまた別の魔種による犠牲者の可能性があるからだ。
 だからこそ、この悲しみの連鎖を断ち切りたいと暁蕾は考えている。
 彼女は改めてこの場に駆け付けた仲間達を一人一人確認し、感謝の念を抱いて。
(みんなが力を貸してくれる。きっとできるはず)
 まずは、この街から脅威を取り去る。連鎖を断ち切るのは、その後だ。

●ナンパな魔種の誘き寄せ
 街の到着は、日が傾きかけた頃。
 そこで、夕が端的に作戦内容を口にする。
「魔種を、見つけて、人気のない場所に誘導して、シメる」
 非常にわかりやすい作戦だが、個々の動きは決して簡単ではない。
 過去の流れから、汰磨羈は住民から協力を得やすい状況だと判断し、仲間と共に話を聞くことにする。
「はい、ローレットから派遣されまして、ライラさんを魔手にした魔種の討伐を……」
 夕は住民達に自分達の目的を明かし、助力を願う。
 ライラには、好意的な住民達だ。彼女の名前を出すローレットならば、複雑な心境ながらも助力はしてくれる。
 また、汰磨羈が住民達から魔種がよく出没する場所を聞き、かつそこから近く、人気のない場所を教えてもらう。
「該当するのは……、墓場向かう街路です!」
 待機するメンバー達は、夕が見定めた場所で魔種を誘導し、戦闘できる準備を整える。
 まず、戦闘や感染の影響を受けないようにという暁蕾の気遣いもあり、メンバーはできる限り住民達へと外出せぬよう話す。
 ジェイクは待機地点で陣地構築を行い、周辺から木箱や瓦礫などを集めてバリケードを作り上げる。ティアもその手伝いに当たっていたようだ。
 ある程度準備が進んだところで、夕は街で漂う精霊達に直接聞きつつ感情探査も行って魔種の居場所を探る。
 町の住民は、魔種の男に不快な感情を抱いていた。
 また、魔種の情報から彼女は怠惰なる感情にも目星をつけて。
「あれ……かな」
 夕の情報を元にして、暁蕾とミルヴィが囮となって、魔種の引きつけに当たる。
 暁蕾は上空にファミリアーのカラスを飛ばして状況把握と仲間への連絡を任せ、自らは町を歩きつつ魔種が声をかけてくるのを待つ。
 念の為にとサンディが近くに隠れて追跡し、すぐに応戦できるよう構えていたようだ。
 同じく、囮役のミルヴィ。追跡役はLumiliaが請け負う。
「フルートの音色は、もしかすると離れた魔種の興味を惹くのに役立つかもしれません」
 場合によっては、用意した『白銀のフルート』を使うことも考えつつ、Lumiliaはミルヴィを追っていく。
 そのミルヴィが先に、軽薄そうな魔種の男を発見することとなる。
「お、お嬢さん、ちょっと付き合ってくれない?」
 耳が尖った元幻想種の青年、アマートのシニカルな笑いは実に不快感を覚える。
 ミルヴィはそれでもライラのファンだった女性を装い、アマートに接触していく。
「ほお、ライラと話したことあるのか」
「はい、暁蕾さん達は私にとって、安心できるお姉さまよ」
 すでに、Lumiliaが彼女のファミリアーであるネズミを仲間に伝達するよう遣いに出しているはず。別所で囮となる暁蕾達がそちらと合流するはずだ。
 仲間が待つ場所へと誘導しつつ、ミルヴィは魔種アマートの本心を探る。
「いい女だったよ。本当ならボクがずっと保護してあげたかった」
 その想いはかなり歪んではいたが、愛情は本物。
 ミルヴィはそれ自体は馬鹿にできないと考えていた。

 程なくして、人気のないところまでアマートを連れてきたミルヴィ。
 周囲の住民はすでに家に閉じこもり、出てくる様子はない。
 ミルヴィはファミリア―を通し、仲間達に合図し……思いっきり股間目掛けて蹴りかかる。
「……っと、驚かせる」
 だが、それは振り降ろされたアマートの腕で、受け止められてしまう。
 何せ、場所が場所だ。
 不自然に組み上げられたバリケードに、敵も警戒をしていたらしい。
 奇襲を防がれたミルヴィは、そのまま敵意をむき出して。
「気のないのに、ナンパなんてすんな! そもそも、自分が危険物って自覚を持ちやがれ!」
「なるほど、ローレットってやつか」
 すぐに、こちらの素性を察したアマートは、バリケードの裏にいたジェイクやティア達にも気づいていたようだ。
「さて、女の子誑かす悪い人は退治だよ」
 奇襲とはいかなかったが、戦場のお膳立ては十分とティアは敵と対する。
 一方で、アマートはやや不満げに、イレギュラーズ達を睨みつけて。
「そうか、なら少しお仕置きしないとね」
 口元を吊り上げ、そいつは自身の周りに女性の姿をした幻影を出現させたのだった。

●怠惰の魔種アマート
 見た目は、整った顔立ちをした幻想種の男といった印象のアマート。
 だが、そいつの笑いはどこか不快な印象を抱かせる。
「遅いね」
 敵は素早く近場のミルヴィ達目掛けて、軽やかに躍る。
 そいつは自らの周囲へと、3体の虜の幻影達を現してきた。
 後方のジェイクはバリケード越しから、アマートと幻影の姿を見極めようとしていた。
 ギフトを含め、自らの嗅覚を研ぎ澄ますジェイク。
 幻影は本体よりも色素が薄く、視覚でも判別できないことはないが、直感でそれを察することができる分、彼の対応は速い。
「コイツが本物だ!」
 ジェイクが仲間に指し示しつつ「アウローラ」を発砲させるが、敵の動きは速く、跳躍して避けて見せた。
 さらに、幻影が率先して前に出ることでその弾丸を浴び、姿を消してしまう。
「数を減らしておきたいな」
 至近距離から攻撃を仕掛けるサンディもジェイクの狙撃に合わせて、高速回転することで小さい竜巻を起こし、アマート達へと浴びせかけていく。
 ただ、幻影はデコイになるだけでなく、しっかりと回避することもあるのが面倒だ。
 そして、別の幻影が素早く動き、殴り掛かったり、魔弾を発したりしてアマートを援護してくる。
 そして、彼は近場のイレギュラーズ達目掛け、拳や蹴りによる連撃を浴びせかけてきた。
 軽やかに見える攻撃だが、一撃一撃は猛獣に襲われているかのような威力。さすがは魔種といったところだ。
「アンタもいい踊りするネっ。ちょっと付き合って頂戴な!」
 ミルヴィは軽やかなステップで剣舞を躍り、『黎明剣イシュラーク』で反撃を繰り出していく。
「あいにく、拘束されるのは嫌いでね」
 そっけなく告げる魔種の男は、さらりと躱してしまう。
 その言葉は、ライラへと語ったという愛すら疑わしさを感じさせる。
「………………」
 だが、今は戦いに集中をと、暁蕾は集中力を高めていく。
 そして、彼女は続けざまに魔力を放出していった。
 暁蕾のその一撃を受け止め、別の幻影が姿をかき消してしまう。
 幻影は回避能力の高い敵ではあるが、耐久力がほぼないに等しい敵だ。
「攻撃行くよ」
 回復に当たるティアも初手だけは攻撃に出て、敵陣へと殺傷の霧を展開していく。
 ティアの一撃で、残る幻影が消え去ってしまう。
 こうなれば、敵はアマートただ1人だ。
 そこで、前寄りに位置取るLumiliaは『白銀のフルート』の音色を響かせる。
 魔神を狩る魔神、人を友とした魔神の英雄譚『魔神殺しのバラッド』。
 強化の呪いが織り込まれた呪歌を、Lumiliaは自らの体力と引き換えに奏で、この場の仲間達に力を与えていく。
 さらに、彼女は短節の呪歌を行使することで無数の瑠璃色の光弾を飛ばし、アマートの弱体化を目指す。
「ここからは逆ナンパといこう。物理的にな」
 敵の猛攻を耐えきった汰磨羈は戦いの中で武人と化し、魔種を攻め立てる。
 まずは距離を詰めながら、仕掛ける汰磨羈。
 その攻撃方法は独特で、首に巻く制御装置と自身の周囲を漂う霊体があってこそ攻撃手段となる。
「私と突き合って貰おうか!」
 汰磨羈が意志を持って手足を振るうことで霊体が収束して光る刃となり、手足の攻撃に追随する形で敵を断つ。
 さらに、汰磨羈はそれに自らの厄狩闘流の技を合わせ、次元境界線を切り裂いて高次元からの一撃をアマートへと見舞う。
「変わった戦闘術だ。これは面倒だね」
 殴打を受け、さらに立ち回るアマートをアタッカーとなる夕が狙う。
 攻撃に集中していた夕が呼び出したのは、真っ赤で巨大な裁ち鋏。縁切りの神様が使う、縁切り鋏というものだ。
 もし、死ねばライラと一緒の場所にいられるとアマートが甘い考えを抱くようならば。
「神様に代わって、私がズバッと裁断です!」
 切りかかる刃に、傷を負って血を迸らせるアマートだったが。
「あいにく、死ぬ気はないんでね」
 不敵な笑みを浮かべた彼は4体もの幻影を周囲に現し、拳銃を素早く抜いて舞い踊りながら弾丸を飛ばしてくるのだった。

●虜の幻影を消し去りながら
 アマートはその軽い見た目に似合わぬ身体能力で、幻影と共にイレギュラーズ達を攻め立ててくる。
 幻影と本体の判別自体は難しくないが、それ以上に敵の回避能力が高く、その狙いを定めさせない。
 その上で、本体に命中しようとする攻撃をカバーしてくることがあり、毎ターン復活するのが実に厄介だ。

 仲間と共に、汰磨羈は幻影の消去へと率先して当たる。
 近づく彼女は霊力を瞬間的に炎翼のように噴射し、白銀の円弧を描いて攻撃を繰り出す。
 前線で攻撃する汰磨羈はアマートの目には煩わしく感じたらしく、勢い良く蹴りかかることで、彼女を強引に吹き飛ばす。
 飛ばされる最中、意識をパンドラで繋ぎとめた汰磨羈。
 そのダメージが深いことを確認したLumiliaは攻撃の手を止め、すぐさま自身の調和を賦活の力へと変換し、回復支援へと当たっていく。
「回復が遅れれば、パーティーの壊滅に繋がります」
 そう考えるからこそ、Lumiliaは回復を最優先に動いていく。
 ミルヴィもまた宣言した通りに自らの舞いで、アマートを引きつけようとしていた。
 比較的広範囲に及ぶ為、それで幻影が消え去ること多かった。
「邪魔な幻影はどんどん消しちゃうよ!」
「……厄介だね」
 アマートはそんな彼女へと、体術を叩きつけてくる。
 殴打を浴びたミルヴィは体が破裂するほどの衝撃を受けてしまうが、運命の力を砕いて踏みとどまった。
 こちらには、ティアがすかさず癒やしの光で回復に当たる横で、暁蕾が時間稼ぎも兼ねて、問いかけた。
「魔種の感染元って、一体何なのかしら」
「さあね。上だとは思うけれど、それ以上はボクにも」
 できるなら、その感染を防ぎたいところだが……。知らないのか、すっとぼけているのか、アマートは語らない。
 ところで、アマートは怒りを覚える様子がほとんど見られない。
 彼は涼しい顔で拳銃からオーラの弾丸を飛ばし、夕もろともミルヴィを撃ち抜く。
 巨大裁ち鋏を飛ばして切りかかる夕はなんとかパンドラに頼って持ちこたえたが、ミルヴィはそうもいかない。
「あとは……頼んだよ……!」
 崩れ落ちる彼女にティアは申し訳なさを感じながらも、夕の回復支援に尽力する。
 その間も、他メンバー達がアマートを攻め立てていく。
 攻撃を命中さえさせれば、幻影は消える。
 それさえ分かれば、ジェイクは銃弾を発してアマートへの攻撃を阻害する敵を消し飛ばしてしまう。
 ジェイクと組んで攻撃に当たるのは、サンディだ。
 すでに倒れたミルヴィや、ぎりぎりで堪える夕のカバーにも当たっていたこともあり、サンディも疲弊が強まってきてはいる。
「幻影を無視して、本体殴りてぇところだな」
 ただ、幻影もそうだが、アマート自身も素早く、イレギュラーズの攻撃を高頻度で避けてくる。
 それでも、仲間達が幻影を消し去ってくれているのであれば、サンディが呼び出した嵐神が戦場を暴風で覆いつくす。
「くっ……」
 それに巻き込まれたアマートは、態勢を崩してしまう。
 回避に優れ、幻影というデコイを展開させる相手だ。持ち前の体力はほとんどないのだろう。
 再び、幻影を展開させるアマート。
 だが、その数にもブレがあり、2体しか現れないタイミングがあった
 絶好のチャンスと、本体を捉えた暁蕾が放出した魔力を命中させ、アマートの傷を深めていく。
 Lumiliaが仲間の傷を塞ぐ為に、再度、「ミリアドハーモニクス」を響かせる。
 攻撃のチャンスではあるが、この場は仲間を支えねば、さらなる犠牲者が出てしまう。
 だからこそ、Lumiliaは回復の手を止めない。
 そんな仲間達の援護を受ける汰磨羈は、ジェイクやサンディが幻影を消し去る中で相手に言い放つ。
「さて。逝く前に、去勢でもしてみるか?」
 それは、戦闘前にミルヴィが行った奇襲を思い返しての一言。
 追い詰められて表情を歪めるアマートへ、再度炎翼を発した汰磨羈が掌の先に霊的エネルギーを高めた白光球を作り出して。
「厄狩闘流秘奥『三絶』が一つ……絶掌・勦界儀!」
 それを一気に、正面からアマートの腰へと打ち込んでいく。
「うあああああああっ!!」
 股間を砕かれたアマートはそのまま地面へと崩れ去り、跡形もなく消え失せていった。
「三度目の正直にしてくれよ。いや、街のせいじゃないんだろうが」
 それを確認したサンディは大きく息をつく。
 これ以上、この街を魔種が襲ってこないことを彼は願わずにはいられないのだった。

●安らかに眠るあの人へ
 築いたバリケードの後片付けをするメンバー達の傍ら、傷が深いメンバーをティアが癒やしに当たる。
 そうした事後作業が終わったのは、夜も更けた頃。
 数人のメンバーがライラの墓へと足を運ぶ。
 その墓は、街の住人によって丁寧に管理されていた。
 ジェイクや暁蕾はその墓へと彼女が好きだったライラックの花を手向け、黙祷を捧げる。
「暁蕾がきっちりと、今回の件にカタをつけたぜ。安心して眠るといい」
 そして、暁蕾が墓へと語り掛ける。
 彼女にとって、ライラは記憶を失って混沌へやってきた自身を助け、いろいろ教えてくれた恩人だった。
「何も恩を返せないまま、死なせてしまった。本当にごめんなさい……」
 陳謝する暁蕾は、生前のライラを思い出す。
 彼女は本当に人が大好きで。楽しそうに占いをし、暁蕾も優しく接してくれていた。
「私はずっと忘れない」
 まだ、本当の意味で事件は解決していない。
 これ以上、魔種が魔種を生み出す連鎖によって混沌の住人が悲劇に遭わぬ為にも、暁蕾はさらなる戦いに身を置こうと考えるのである。

成否

成功

MVP

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
流麗花月

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは幻影のパターンをあれこれと考え、
攻撃に立ち回っていたあなたへ。

これにて、シリーズは完結です。
魔種は魔種を呼ぶ恐ろしい連鎖。
その大本を断ち切りたいところですね……。

ご参加いただき、
本当にありがとうございました!

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