シナリオ詳細
カルネと鉄帝トロッコ問題
オープニング
●困ったときは筋肉だ!
年季の入ったパイン製の木造ドアを開くと、鈴のようなウェルカムベルが鳴った。
カウンターテーブルが一つと、四人がけのウッドテーブルが二つ。
棚には鋼鉄とか筋肉とか書かれた地酒の瓶が並び、空いた壁は闘技者その他のサイン色紙がびっちりと埋まっていた。
そこは小さな酒場であった。店名はスナック『ロケットババア』。
「ラッシェェェェエェアアア!!!!」
両目かっぴらいて超高速で水とおしぼりを出してくるこのババアが店主であり店名の由来である。
そんな店のカウンターテーブルでグラスを傾ける細身の美少年。名をカルネ(p3n000010)。最近鉄帝で情報屋めいたことを始めたという、イレギュラーズである。
「やあ、掲示した依頼書を見たんだね。来てくれて嬉しいよ。
どうぞ座って。あ、ロケットババアさん唐揚げ盛りひと――」
「へいお待ちィィエエア!」
注文を終えるより早く唐揚げ盛りをテーブルに叩き付けレモンを高所から激しくスプラッシュするロケットババア。
「唐揚げにレモンかけないでって前言ったよね!?」
テーブルを両手でバーンして、カルネは両目をかっぴらいた。
どうやらこの環境になじんでいるらしい。
●トロッコの先に人が? じゃあ筋肉だ!
唐揚げのレモンがかかってないとこだけ選んで取りつつ、カルネは話を続けた。
「ザクザク鉱山を知ってるかな。ここからもう少し西にいった所にある鉱山で、銅鉱石や鉄鉱石の採掘が行なわれてる場所なんだ」
あなたは知っていてもいいし、知らなくてもいい。
多少鉄帝の地理を知っているならすぐ思い浮かぶ程度に有名な鉱山である。
だが採掘できる鉱石が有名なわけではない。
毎年一定の時期になると起こるという『ある問題』が有名なのだ。
その名も。
「『鉄帝トロッコ問題』……だよ」
グラスを傾けながら口角を僅かに上げるカルネ。
「知らないかな?
4月から5月にかけて、この時期になると山の精霊がいたずらを起こすんだ。
トロッコに本来ついていた筈のブレーキが外れる。トロッコレールの切り替えレバーが動かない。それほど加速していないはずのトロッコが急加速を起こす……ってね。
昨年の話だよ……細い坑道には道いっぱいの線路。トロッコには大量の鉱石。精霊エンジンで走るトロッコは採掘から帰ってくる作業員たちめがけて正面から突っ込んでいった。
周囲が分厚い岩の壁に囲まれた坑道である。避ける隙なんてない。
トロッコは凄まじいスピードと重量を持って作業員たちへと突っ込み――」
からん、と氷が音を立てた。
カルネは目を瞑り、ロケットババアも目を瞑った。
「雇われていた鉱山マッスルが『破!』の一声で正拳突きを放ちトロッコと中身の鉱石は爆発四散。
後ろに隠れていた作業員たちもイエスマッスルナイスマッスルのかけ声で拍手喝采。
その年も鉱山は無事故無違反けが人ゼロで労災も下りずに済んだってわけさ」
目を開きにっこり笑うカルネ。
目を開きにっこり笑いながら山盛りポテトフライにレモンをスプラッシュするロケットババア。
「レモンだめって言ったよねえ!? ポテトにかける意味無いよねえええ!?」
カルネは机をバーンして目をかっぴらいた。
なじんでいる。
……さて、ここまでの説明でお察しはついたかもしれない。
「今回依頼されてるのは、この鉱山での『鉱山マッスル』だよ。
二人一組で鉱山作業員と一緒に坑道には行って、さっき言ったようにトロッコの暴走や突然の岩石ころりんが起きたときにそれを破壊して皆を守る仕事。
これが今回ローレットに依頼されたってわけ。どうかな、やってみない?」
カルネはフライドポテトのレモンかかってないとこだけ掘り出しながら、にっこりと笑った。
- カルネと鉄帝トロッコ問題完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年04月28日 22時25分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●鉄帝のやべー場所
「アァァァァァアアアラッシャエエエエア!!」
目ぇかっぴらいて手を振るロケットババアを背に店を出るイレギュラーズ。
「料理が美味しかったよね。唐揚げにレモンを搾るのさえやめればいい店なん――」
カルネめがけてレモンをスプラッシュするババア。
「シェエエエエエエア!」
「アアアアアアアアア!」
「これまでのあらすじじゃー!」
この状況をガン無視して紙芝居をドンする『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)。
「昔々あるところにグレートデストロイ暴走トロッコがおりました」
「待ってくださいそれあらすじじゃない」
『特異運命座標』オリーブ・ローレル(p3p004352)が顔を追ったかぶとごとギュンッて振り向いた。
「GDBトロッコの先には筋骨隆々のむさ苦しい鉱山マッスルが5人がいます。手前にある切り替えレバーを使えば助かりますが、切り替えた先にはいたいけなカルネくんが線路の上でうたた寝をしています」
「まってなんで僕」
「からの複線ドリフトじゃああああ!」
紙芝居のシートそのものを傾けてぎゃりぎゃりぎゃりーって効果音をつけるデイジー。
「『トロッコの自重を傾けることでうたた寝するカルネくんを避けているじゃと!?』
『地獄が震撼しておる……まさに、ヘルシェイク無限乃じゃ!』」
「あっ飛び火した」
「いまあたしの話した!?」
『恋の炎を散らす者』無限乃 恋(p3p006272)が目にハートを浮かべ頭にハートくっつけてギャギャッて振り向いた。
「『ヘールシェイク! ヘールシェイク!』」
紙芝居をぱたぱたやって万歳するモブたちを表現するデイジーと、それを持たされているオリーブ。
「暴走トロッコと複線ドリフト……なるほど、恋ね!」
「今の話聞いてました?」
「僕はなんで寝てることになっていたの?」
「恋に障害がつきものだからよ!」
「僕障害だったの……!?」
「淡い恋のイタズラ……フフッ、山の精霊おじさんもロマンチックねカルネ君?」
「最低でも会話だけはして?」
「かーらーのーぉ!?」
『(自称)可愛い小鳥』エナ・イル(p3p004585)が回転しながら着地すると、両手でカンペを振り上げた。
「「かわいい!」」
「「ぼくらの!」」
「「エナ様!」」
訓練された『濃紺に煌めく星』ラノール・メルカノワ(p3p000045)が『エナ様』って書かれた扇子を広げて五色の紙吹雪をぱたぱた飛ばしていた。
「ボクのかわいさについて話していましたね!?」
「一ミリも話してなかったよ?」
「仕方ありません。ボクのかわいさが三千世界にとどろいた以上……しかし安心して下さい。どんな障害もボクのかわいさで粉々に粉砕してあげますよぅ!」
「ここにいるひとは会話能力がないの!?」
「諦めろ。この三人に話を聞かせるのは無理だ」
ミラーボールを釣り竿でつるしてくるくる回すラノールがシリアス100%の顔で振り返った。
「自分の役目に徹しろ」
「今そのタイミングで言うと自分の首が絞まらないかい?」
「かーらーのー!?」
横からすすーってスライド移動してきた『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)。
「「きらめけ!」」
「「ぼくらの!」」
「「タント様!」」
「――が、転がる岩石もレモンをかけた唐揚げも見事解決してみせますわー!」
「すごいやここまで誰もまわりの話を聞いてない」
「わかるかカルネ。これがイレギュラーズだ」
『タント様』って書かれたウチワで金色の紙吹雪をぱたぱた飛ばすラノール。
「自分にできることをする、それだけだ」
「だからタイミング」
「みんな!!!!」
ボッ、と燃え上がる『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)。
『ヒヤリハット』と書かれた蛍光色のたすきと、『安全第一』と書かれた黄色いヘルメット。そして『注意一秒怪我一生』と書かれたタンクトップをきて皆へ振り返った。
「みんなが安全に採掘できるようにがんばらなきゃね!」
「ほら見ろ、八人居ると誰か一人はこうやって真面目に締めてくれるんだ」
「君はそれをやってはくれないんだね?」
「………………」
横にちょこんと立ってフルートを布で拭いていた『白綾の音色』Lumilia=Sherwood(p3p000381)が、ハッとしたように顔をあげた。
「あ、すみません。皆さんの勢いがすごくてつい、傍観者に徹していました」
「わかるよ。その気持ち」
Lumiliaはフルートをケースにしまうと、『安全第一』のヘルメットを被った。
「精霊のイタズラと片付けるにはこの状況は危険極まりないものです。しっかりと務めを果たすとしましょう」
「見ろ、真面目に締める人だもうひとりいたぞ。このチームはすさまじく真面目だな」
「割合が三割もないんだけど……」
「カルネさん」
Lumiliaはケースのとってを掴んで立ち上がり、カルネへとシャフ度で振り返った。
「今出てきた皆さんの担当エリアをお一人で駆け回る予定になっているらしいですが、大丈夫ですか?」
「えっ」
組み分け表
Aエリア:ラノール&恋 with カルネ
Bエリア:チャロロ&デイジー with カルネ
Cエリア:Lumilia&オリーブ with カルネ
Dエリア:エナ様&タント様 with カルネ
「全部僕が書いてある……ッ!!!!」
ヘイ、地獄が始まるぜ。
●ラノール&恋 with カルネ
「アアアアアアアアアアアアアアア!!」
暴走トロッコに頭から放り込まれたカルネが足をばったんばったんいわせていた。
多分この子はもっと大人しくてオシャレな依頼向きの子だったんだろうなあという視線が、トロッコを見送る人々から寄せられる。
「トロッコが来たぞー! 美少年入りだ!」
「頼むぞ鉱山マッスル」
「任せろ」
マトックを担ぎ誰よりも鉱山がマッチした男、ラノールが目を光らせて線路上へと歩み出た。
「自分にできることをする、それだけだ」
今言うと一番絵になることを言って、ラノールはバスター打法の構えでマトックを振り上げ、突っ込むトロッコの芯をとらえるように打ち込んだ。
がいーんという音と共に砕け散るトロッコ。回転しながらラノールの上を飛んでいくカルネ。
「う、うう……世界がぐるぐるしてる……」
「それはきっと恋ね!」
よくギャルゲーで見る倒れた人の目の前に膝を折ってかがみ込むあれのフォームで、恋がスリーピースサインを出した。
「ちがうと思う」
「そしてあれも恋よ!」
カッと振り向くと、坑道の襖をガラッとあけてタンクトップとトランクス姿のおっさんが現われた。
坑道に襖がある理由とか聞かれてもわからないし、わかりたくもないよ。
坑道におっさんが現われる理由くらいにな!
「俺は鉱山おじさんという者だが! 俺の精霊ラインを既読スルーしたのはなぜだ!」
「くっ、奴が鉱山の精霊鉱山おじさんか……なんて意味不明で面倒くさい理由のキレかただ……!」
マトックを握って冷や汗を流すラノール。
彼にかわり、恋が颯爽と前に出た。
「ラノール君が正義のヒーロー鉱山マッスルなら……私は恋する鉱山プリンセスになれる。そう思うでしょカルネ君!」
「僕に聞かれても」
「さあ来なさい鉱山おじさん! 恋に落としてあげる……!」
ばちーんとウィンクした恋の恋視線をうけたおっさんは恋に恋するおっさんにな――ややっこしいなこの名前!
「高鳴るハート、もしかしてこれが恋!?」
「そうよ!」
「さっきから鼻血と膝の震えがとまらないのも」
「それも恋よ!」
「足の裏から徐々に溶けていっているのも」
「それも恋よ!」
「恐」
うつ伏せ姿勢のままつぶやくカルネ。
気づけば恋が片目からビビャーって出してた恋レーザーによって精霊おっさんはどろぉっと溶けて死んでいた。
「……それも、恋よ」
「恐」
一方でラノールはホームシックにかかった鉱山マンの肩を叩いてなぐさめていた。
「沢山稼いで帰れば、家に待つ者も喜ぶぞ」
「ハイッ」
かと思えば恋が唐揚げレモン問題でもめてる連中にケチャップぶっかけることでうやむやにしていた。
「見なさいこれがケチャップでハートマークを書くアレよ! つまり恋よ!」
「アッハイ」
「そしてカルネ君次行ってきなさい!」
「えっちょっと待」
恋にトロッコへスローイングされ、カルネは猛スピードで別エリアへ運ばれていった。
●チャロロ&デイジー with カルネ
「アアアアアアアアアアアアアアア!!」
暴走トロッコに頭から放り込まれたカルネが足をばったんばったんいわせていた。
さっきも見たなこれという視線で見送る鉱山マンたちをよそに、チャロロはぬっと線路の上に仁王立ちした。
「オイラはこれでもけっこう丈夫なんだよ……止まれぇ!」
ショルダータックルの姿勢でトロッコにぶつかっていくと、両足と炎の噴射によって無理矢理トロッコにブレーキをかけた。
「ふう、やっと止まった」
「おい見ろ! 岩石が急に転がってくるぞ!」
「映画で見たことあるやつじゃ!」
進○ゼミでやったとこだ! と同じテンションで身を乗り出すデイジー。
「今こそ真技を見せるとき――受けよ!」
デイジーがツボをガッと振り上げると。
「デイジーフォースツボクラッシュ!」
説明しよう。デイジーフォースツボクラッシュとはデイジーのプライオリティ高めのアレをこのなんかアレしてうまいことやったあのアレである!
「ホラァ!」
どぐしゃあを音をたてて粉砕する岩石。
「どうじゃ! これこそが妾のツボ――ひいては妾の力じゃ!」
「「ハハーッ!」」
全土下座してチョコとかキャンディとか昔のプリクラ写真とか貢いでくる鉱山マンたち。
「よいかお前たち。これから唐揚げには必ずレモンをかけるのじゃ」
「ハハーッ!」
「たけのこよりきのこを選ぶのじゃ」
「ハハーッ!」
「タレより塩じゃ!」
「ハハーッ!」
「僕がいない間に何があったの?」
「うん、えっと……」
チャロロは困ったように腕組みをした。
「デイジーさんのキャラがなんかウケたみたいで」
「『なんかウケた』……」
「あらゆる問題を洗脳で解決しだしたんだよね」
「それって解決になってるのかな」
「なっとるじゃろがい!」
ぎゅおーんと腰に手を当てた姿勢のままひねるように振り返るデイジー。
「貴様も塩派にしてやろうか!」
「なあにその斬新な脅し文句」
一方でチャロロは。
「チャロ子さま!」
「チャロ子さまですよね!」
「チャロ子さまも学費の出稼ぎに!?」
よそで出来た謎の人脈に急に群がられていた。
こっちもこっちで『なんかウケた』くちである。
「聞いてくださいなチャロ子さまこの子ったら唐揚げにレモンかけますのよ」
「う、うん……」
たすけてって目でこっちを見てくるチャロロに、カルネはふいっと顔をそらした。わりかし同じ道をたどる顔してるんだこの子。
「ええいもうよい! カルネはさっさと次のエリアに行くのじゃ!」
「えっちょっと待っ」
デイジーフォースカルネスローによってトロッコに放りこまれ高速で運ばれていくカルネ。
●Lumilia&オリーブ with カルネ
「アアアアアアアアアアアアアアア!!」
暴走トロッコに頭から放り込まれたカルネが足をばったんばったんいわせていた。
二度あることは三度あるんだなって目で見送る鉱山マンをよそに、両腕を力図よく振りかざした姿勢で線路上に現われるオリーブ。
「はじめに言っておきますが……自分のフィジカルは29です!」
トロッコをこう両サイドからがしっと掴むじゃん?
振り上げるじゃん?
海老反りになるじゃん?
トロッコが飛んでいくじゃん?
当然カルネも飛んでいくじゃん?
「わーっ!?」
「皆見ろ! 鉱山おじさんが岩石サッカーを始めたぞ!」
「岩石は友達!」
岩石をドリブルしながら突っ込んでくる精霊鉱山おじさんが線路の反対側からやってくる。
うつ伏せ姿勢のカルネがあわあわしていると、Lumiliaがサッと線路に立ち塞がった。
「旅人にも体力は必要なもの。そして物事を力図よく受け流す技術もまた……大切な、もの」
鉱山おじさんへシャフ度で振り返ると、翼をバッと広げて謎の突風を引き起こした。
シュートした岩石が砕け散り、自分の顔面に直撃した鉱山おじさんが『ヴァナップ!』とか言いながら吹き飛んだ。
おー、と歓声を上げて拍手する鉱山マンたち。
「では、ここで一曲」
Lumiliaが流れるようにハーモニカ演奏(いつから持ってたんだろう)を始めると、心地よく聞き入る鉱山マンたち。
そんな中で起こる、ホームシック問題。おうちかえりたいって言い出すおっさんの肩を、オリーブがぽんと叩いた。
「もう一度言っておきますが……自分のフィジカルは29です!」
おっさんの腰を後ろからホールドするじゃん?
海老反りになるじゃん?
おっさんの頭部が地面に激突するじゃん?
「見ろ、唐揚げレモン派のゲンタローさんと塩派のジャッカルさんが決闘を始めたぞ!」
「なぜ別々にかけないのですか」
Lumiliaがすごくもっともなことを言うが、ゲンタローさんとジャッカルさんが『万人はレモンをかけるべし』とか宗教めいたことを言い始めた。
「なんて勝手な人たちなんだ。一体どうすれば……」
困惑するカルネ。
そんな時。二人の肩をぽんとたたくオリーブ。
優しげに振り返ると、カルネへと頷いた。
「最後に言っておきますが……自分のフィジカルは29です!」
二人の腰を同時に抱くじゃん?
海老反りになるじゃん?
二人同時に側頭部が地面に激突するじゃん?
「こうみえて誰も殺していないんですよ」
「殺してたら問題だよ」
「では……」
Lumiliaは困惑するカルネをドンッと両手で押すと、トロッコの中に放り込んだ。
「えっもしかしてまた」
「いってらっしゃい」
●Lumilia&オリーブ with カルネ
「アアアアアアアアアアアアアアア!!」
暴走トロッコに頭から放り込まれたカルネが足をばったんばったんいわせていた。
この子もしかしたら鉱石の一種なのかもしれないという目で見られ始めたトロッコインカルネ。
「ついに!」
「ボクたちの!」
「「出番!」」
線路上へ同時に飛び出してきたエナ&タント。
エナは可愛いポーズのまま歩み出ると……。
「いいですか。ボクの宇宙的かわいさでトロッコを止めてみせまソォイッ!」
かわいい喧嘩キックがトロッコに炸裂。衝撃によって爆発四散したトロッコからカルネが吹っ飛んだ。
「今日こんなのばっかりだ僕……」
「え、なんですって『エナちゃんが可愛い』?」
「聞き間違えってレベルじゃないよねそれ」
「皆様気をつけて、鉱山おじさまですわ!」
バッと両腕を広げる構えで呼びかけるタント様。
地面からタケノコニョッキの姿勢で螺旋回転しながら飛び出してきたツナギ姿のおっさんが、こちらを見てぎらりと目を光らせた。
「俺のプリン食ったのは誰だ!」
「なんという怒りと憎しみ……誰にも癒やせない怒りが、精霊鉱山おじさまを荒ぶる存在へと変えてしまったのですわね」
「今プリンって言ったけど」
「ですが!」
広げた腕を逆向きに交差させるタント。
「ご安心!」
交差させた腕を時計回りに90度回転させるタント。
「くださいな!」
両手の親指と小指と人差し指を立てた状態で前に突き出すタント。
今君はタント様と同じ動きをしたくなったね? 肩こりにいいよこのこの動き。
「タント様ウィンク!」
その姿勢のままバチーンとウィンクするタント。
「ぎゃああああああああああああ!!」
身体をくの字に曲げて吹き飛んでいく鉱山おじさま。
どういう理屈で吹っ飛んでるのか誰にも分からないしたぶんタント様にも分かってないと思う。
すると……。
「もうお家帰りたい」
ヘルメットかぶったおっさんが体育座りで泣き出した。
「そんな時はボクに任せてください! ボクがかわいさで解決してあげま――ソォラ!」
おっさんを立ち上がらせて両肩握った状態でかわいい膝蹴りをいれるエナ。
「アリガトゴザイマァス!」
そこへタントがおっさんの口に酒瓶を突っ込んだ。
「そういう問題は肉と酒が解決しますわ!」
とかやってたら肝心の肉にレモンを全がけするおっさんが出現。
レモン派とゆずこしょう派の対立が巻き起ころうとした――その時。
「その決闘、このかわいいボクが立ち会いましょう。誰だってかわいいボクを交えて話し合えばわかり合え――ソォリャア!」
両者の髪の毛を掴んでかわいい逆ダブルジャイアントスイングをかけるエナ。
「「アリガトゴザイマァス!」」
かくして!
鉱山では無事故無違反労災ナシのニコニコワークが送られたのであった!
めでたしめでたし!
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――カルネの鉄帝みが上がった!
――カルネに『人間トロッコ』の異名がついた!
GMコメント
カルネくん……こんなに鉄帝になじんで……。
今回は鉱山作業員を精霊の悪戯から守るスタッフ、通称『鉱山マッスル』を行ないます。
カルネくんは情報説明スタッフなので同行する予定はありませんが、メンバーの誰かが『来て』って言ったら割と来ます。増員して有利なこととか特にないので、彼の美少年ぷりと鉄帝へのなじみっぷりに興味がわいたら呼んでみてください。複数のチームから同時に呼ばれた場合はじゃんけんね(もしくは相談時に予め決めておこう)。
【鉱山マッスルってなんだよ】
鉱山は危険がいっぱい。
トロッコは時折急に突っ込んでくるし、なんかの映画や探検隊みたいに巨大な岩がごろんごろん転がってきたりします。
皆さんは2~3人組のチームを作って、それぞれバラバラにツルハシがんがんやる作業員のガードについてください。
要するにボディガードですね。
【鉱山は危険がいっぱいなんだよ!】
ボディガードをしている間はこんなことが起こります。
・トロッコが急に突っ込んでくる(筋肉で解決しよう!)
・大岩が転がってくる(筋肉で解決しよう!)
・鉱山に住まう精霊『鉱山おじさん』がキレて襲いかかってくる(筋肉で解決しよう!)
・採掘スタッフがホームシックにかかる(筋肉で解決しよう!)
・採掘スタッフがお弁当の唐揚げにレモンをかけるかいなかでモメる(筋肉で解決しよう!)
こうしたトラブルをどれだけ(筋肉で)解決できるが腕の見せ所です!
いや本当に筋肉だけで解決しなくてもいいんだよ!?
しかしもし解決できなかったりトロッコに『ぷち』ってされたら、パンドラが減ったり最悪重傷になったりします。
根性で作業を続けたいなって思ったらパンドラを使用した復活をコールしてください。文字通り使用して復活します。
【アドリブ度】
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。
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