PandoraPartyProject

シナリオ詳細

スラム街より、力を求めて
スラム街より、力を求めて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●とある町のスラム街は
 鉄帝、と言えば筋骨隆々な男であったり、華麗に戦うスーパースターを誰だって思い浮かべるだろう。現にラド・バウに赴くイレギュラーズも少なくない。
 けれど、そうでない人間がいることも確かで。
 この町のスラム街には戦えなくなった老人や弱い女、子どもなんかが蹲っていた。
 正攻法(力)でどうにもできないのだから、それ以外の手段で生きていくしか方法はない。盗みなんて日常茶飯事にもなる。
 そんなスラム街から──ローレットへ、依頼が舞い込んだ。

●ローレット
「さて、どこからそんな金が出たのか不明だが……依頼報酬としてちゃんと賃金は用意されてる。だからこれから話す事はれっきとした『依頼』になるのさ」
 『黒猫の』ショウ(p3n000005)は肩を竦めながら、イレギュラーズへと依頼内容の書かれた羊皮紙を出した。
「鉄帝は武力を重んじ、愛する国だ。新しい皇帝も武力で決まるくらいの国民性であることは知ってるだろう?」
 基本的に殴れば全てが解決するのが鉄帝。しかし全員が全員納得できるかと言われれば──そうでもないようだ。
「この町のスラム街には戦えなくなったお年寄りや、女子供がいるらしくてね」
 日陰者ってところかな、と呟くショウ。鉄帝から別の国へ行けば或いは──とも思うが、そう簡単にはいかないのだろう。
 それでも生きていくためには食事にありつかねばならない。必然的に盗みが始まるわけで、今回の依頼主はそのスラム街に住む子どもたちからのようだった。
 なんでも武器が欲しいらしい。
「それこそ盗めばいいんじゃ」
「それがそうもいかないらしいんだよね。なにせ、武器屋の店主が手強い人物だ」
 店主は白髪の混じり始めた壮年の男。けれど老いた男と侮ることはできない。ラド・バウでもなかなかの戦績を見せ、今でも町で叶う者なしと言われる猛者である。
「その店主──『剛腕のティード』と従業員数名。自分たちが盗む間に注意を引きつけてくれる人間が必要らしいんだ」
 盗みの間に引きつける。それがオーダーというわけである。
 イレギュラーズは子どもたちに同行して、見つかった時点で引きつけても良い。或いは力試しと正面から相対し、その最中に子どもが武器を奪っても良いだろう。
「意見を纏めてくれるならどっちでも構わない。依頼人(子どもたち)とは現地で集合だ、よろしく頼むよ」

GMコメント

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『鉄帝』における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

●成功条件
 盗みの手伝い

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 場合によって不測の事態が考えられます。

●武器屋の店主『剛腕のティーダ』
 戦いの最前線は既に辞したが、それでも町では圧倒的な武力を誇る男。強いヤツと戦うのが好きです。攻撃力の高いイレギュラーズは注意する必要があります。
 図体の大きさからは見合わぬフットワークの軽さで、強力な攻撃を繰り出します。
 物理攻撃力、防御技術、特殊抵抗に優れます。

ぶん回し:物自域。自分以外を対象に、拳をぶん回して範囲攻撃。

●武器屋の従業員×4人
 従業員と侮るなかれ。鉄帝人ですから。
 いずれも剣を持ち、束になって襲い掛かります。
 特筆するほど優れた面は持ち合わせないようですが、言葉を返せば『全てそれなり』です。

●子どもたち
 今回の依頼人。3人組。いずれもぶっきらぼうな口調。
 イレギュラーズが武器屋の人間を抑えている間に武器屋へと入り、武器を盗んでいきます。
 もしイレギュラーズと別行動だったとしても、安全な場所まで引き上げたら狼煙を上げるなどして撤退の合図をしてくれます。

●ロケーション
 武器屋の店内です。入り口は1つきり。窓もあり広々とした空間で、その場で試し振りなどもできるようです。的なども用意してあります。
 店の奥へ向かうと廊下が続き、武器倉庫があります。廊下には窓が幾つかあるため、ここから侵入可能です。
 店から出ると広い通りに出ます。狼煙をすぐ見つけられるのは外ですが、通りで戦闘していると無関係な戦い好きの鉄帝人が乱入してくる可能性があります。
 敵の立ち位置として、店内に店主と従業員1人。倉庫の前に従業員が1人。外で作業をしている従業員が2人。いずれも異変を察知すればすっ飛んでくるでしょう。

●ご挨拶
 愁と申します。悪属性依頼です。
 武器を持てば変わるのか? それは分かりませんが──全てはオーダーのままに。
 ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • スラム街より、力を求めて完了
  • GM名
  • 種別通常(悪)
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年05月12日 21時55分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談8日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

キドー(p3p000244)
盗賊ゴブリン
レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)
特異運命座標
メリンダ・ビーチャム(p3p001496)
瞑目する修道女
極楽院 ことほぎ(p3p002087)
瓦礫の魔女
鬼桜 雪之丞(p3p002312)
守護天鬼
最上・C・狐耶(p3p004837)
狐狸霧中
ステラ(p3p005106)
トリコロール
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
戦神

リプレイ

●武器を求める子どもたち
 依頼人と合流したイレギュラーズ。3人組の子どもたちは鋭い刃のような目つきで、けれどもどこか不安も感じているらしい。
 『朱鬼』鬼桜 雪之丞(p3p002312)は子どもたちと目線を合わせ、どのような武器を奪ってくるのかと問うた。 子どもたちの返答は短剣に槍、銃。けれど最後に答えた少女へ短剣と答えた少年が咎める視線を向ける。
「銃は無理だって。弾がなくなったらなんにもできねぇし、俺らじゃまだ持ち上げ続けらんねぇって言っただろ」
 鉄帝の民と言えど、子ども。そしてイレギュラーズの目から見ても3人は細い。雪之丞は少年の言葉に頷いた。
「そうですね。拙も使いやすい武器が良いかと思います」
「もし他に思いつかなくて、迷うようなら槍にしよう?」
 雪之丞に続いて言葉をかけたのは『トリコロール』ステラ(p3p005106)だ。どうして? というような視線がステラへ向けられる。
「他の武器に比べたらリーチもあるし……何よりあたしが槍を使ってるから、他の武器よりきちんと教えてあげられるの」
 彼女の言葉に少女は目を丸くして、戸惑うように視線を彷徨わせた。まるで、そんな言葉をかけられるとは思っていなかったと言うように。
「……じゃあ、そうする」
 聞こえてきた小さな声。そこへ子どもたちを呼ぶ声がかかった。
「奪うものの確認は大丈夫っすか? それじゃ、作戦の打ち合わせっすよ」
 イレギュラーズと子どもたちは顔を合わせたばかり。共有が必要だと『特異運命座標』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)がイレギュラーズの輪の中へと集め、陽動班と侵入班へ分かれることを説明する。
「こっちは派手に暴れさせてもらうぜ」
 陽動班の1人、『瓦礫の魔女』極楽院 ことほぎ(p3p002087)はにっと彼らへ笑みを向けた。その瞳には好奇心の様な光が宿っているが──。
(まー詮索するだけ野暮ってモンだな)
 その好奇心は──気になる依頼金の出所については考えないでおこう。ヘタに探りを入れて報酬が入らないとなっては困るのだ。
 ことほぎの考えなど露知らず。少年は彼女の言葉に頷いてみせた。
「俺らは武器を盗むことだけに集中させてもらう。今のままじゃあいつらの足元も及ばねぇから、な」
 自嘲的な笑みを浮かべる少年に、しかし『盗賊ゴブリン』キドー(p3p000244)は対照的に楽しげな笑みを浮かべて見せた。
(将来有望なガキ共じゃねえの)
 己を過大評価せず、意地張らず。頼るべき場面と場所を心得ている。今からでも成長した姿が楽しみだ。
 などと考えているキドーの持つストーンナイフ。これも元々は彼が盗んだものであり、相手もやはり格上だった。今から盗みを働こうとする少年らに、過去を重ね合わせているという所もあるかもしれない。
 盗みかぁ、と呟く『戦神』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)は小首を傾げて。短い黙考のうち納得したように1人頷く。
「私ならガラクタ貯めてイイもの交換してもらうけど、そっちの方が手っ取り早くて良いわね」
 イイものと交換してもらうならば、ガラクタといえど十分な量が必要だ。けれど子どもたちもあまり悠長にはしていられまい。
「ええ。生きる上で色々あるでしょう。武器が必要だと判断したのならば。助けが必要なのならば、手助けするのもやぶさかではありません」
 『狐狸霧中』最上・C・狐耶(p3p004837)は秋奈の言葉に首肯した。
 武器を得てどうするのか、それは狐耶の与り知らぬところ。けれどスラムで生きていく以上、当然人には言えないことはある。顔向けできないことをすることもあるだろう。
 それでも──弱者の味方はいても構わないと、思うのだ。
(お店の人には気の毒だけれど、私たちがひと肌脱いであげましょう)
 不遇な子どもたちたっての願いをシスターが──『瞑目する修道女』メリンダ・ビーチャム(p3p001496)が聞かない理由はない。もちろん、盗んだ武器をどうするか知ったことではないけれど。
 作戦の共有を終えた一同は店近くの影へ移動し、メリンダがそっと店や周囲の様子を伺う。外で荷運びをする男が2人。おそらく前情報に間違いはないだろう。
「ま、手伝ってあげるからそっちはせいぜいがんばりなさい?」
 秋奈がひらりと手を振って背を向ける。道を行き交う人々に紛れ、片やは店の正面へ。片やは雑踏へ行方を晦ませながら、さりげなく裏手の方へ。キドーの手元から小さな動物が素早く走って行き、店の方へと消えていく。
 陽動班と侵入班。それぞれの作戦が動き始めた。


●扉を開け放ち
「たのもーっす!!」
「噂に聞くこの街一番の力自慢ね! 勝負したくなったわ! 私と勝負しなさい!」
 店内へ入りざまそう声を上げるレッドと秋奈。視線が2人へ集まり、奥で座っていた男がゆらりと立ち上がる。
「へぇ……? あんたら、強い奴を捜してんのか」
「ええ、そうよ。私たち、腕試しができる強い人を捜しているの。街で噂の店主さんに是非お願いしたいのよ」
 男へ取引を持ち掛けるメリンダは、演技と思わせぬ演技で「ねえ、どうかしら?」と首を傾げてみせる。
「ただ戦うだけじゃつまらないかしら。……そうね、私たちが勝ったら……お店に並んでいる商品からひとつ、好きなものをいただくというのはどうかしら?」
「はっ! なら、俺が勝ったらあんたらの持ってる武器を差し出してもらおうか」
 ニヤリと笑みを浮かべた男──剛腕のティーダは「おまえらも武器持ちな!」と声を上げた。同時に店内を窺っていた従業員達が一斉に武器を取り出し、構える。ティーダの視線を受け止めた秋奈は挑戦的に笑みを浮かべ、店内へその声を響かせた。
「戦神が一騎、茶屋ヶ坂アキナ! 有象無象が赦しても、私の緋剣は赦しはしないわ!」
「威勢がいいな。だが……やがて赦しを請うのはあんたの方だ!」
 気功爆弾の爆発が秋奈もろともティーダを包む。その近くへ迫った雪之丞は刀を構え、敵の流れに合わせて攻めにかかる。しかしその名は伊達ではない、と言うべきか──剛腕はそれ自体が鎧のように固いようだ。
 振り回された拳を雪之丞は正確に受け、傍らの秋奈を見遣る。彼女はまだしっかりと地に足をつけているが、受けた1撃は決して軽くない。
「全員纏めてかかってこいやー! っす!」
 2人の背後でレッドが声を上げる。その挑発は加勢せんと向かってきていた従業員達へ。その挑発から零れ落ちた男たちは、しかし不意に視線が別の方向へと向く。
 ──嗚呼。追ってしまうのだ。不思議とただ1人を。
 挑発に引っかからなかった者は視線を交わし──レッドの方へ。集まってきた従業員たちへレッドはこれみよがしに武器を見せた。
「これを見るっす! ボクもこれで『蒼剣』になれるっすよ!」
 誇らしげに自慢しながら、レッドから華麗な得物捌きが繰り出される。次いで従業員の動きを阻害せんと投げられた小鬼の懐鎖はキドーのものだ。
(能力的に俺はティーダと相性が悪い。……が、今回はそれを逆手に取る)
 ここは闘技場ではない。正々堂々と戦う必要はないのである。しかし卑怯な手段を取るためには注意が来ては困るのだ。
 故に。キドーは従業員たちへの攻撃に加勢しつつも、注視されぬよう立ち回っていた。
「まずは数減らしね」
 メリンダは自らへリジェネートをかけ、キドーの狙った相手へ畳みかけるように強烈な一撃を叩きこむ。彼らも鉄帝人と言えど、ティーダに比べれば容易な相手。レッドも心得たと言わんばかりに同じ敵を攻撃し、さり気なく移動してティーダの範囲攻撃に従業員が巻き込まれないかと誘導する。
 一方、1人の従業員を引きつけたことほぎは相手へ呪詛を撃ちこみながら、攻撃を受けるたび自らの体を癒していた。
「いってぇなぁ。か弱い乙女だぜ?」
 へらりと笑いながらもその視線は状況把握に店内へ。ティーダの危険な範囲攻撃は可能な限り回避したいところだ。間違って受けてしまっては持ち直せるかわからない。
 やや離れた場所に立つティーダの眼前で、爆彩花を撃ち尽くした秋奈が刀を構えた。
「──戦神戦闘術壱の型」
 秋奈の言葉に刀が光を纏う。それはふわりと桜の花弁が舞い散るようで、繰り出された突きにティーダももはや力定めをする様子はない。
「は! なかなかいてぇじゃねぇか」
 力強い拳が秋奈を襲う。それを受けた秋奈は──自らの運命力を以って立ち上がった。
 力試しと銘打っている以上、殺すことはできない。しかし倒すまでは自らの全力でもって迎え撃つのみ。
「まだまだ頑張るっすよ!」
 秋奈の状況を見たレッドがすかさず彼女を庇いに入り、従業員への対応へ雪之丞が代わりに回る。従業員はいくらかの疲弊が見られるが、ティーダはまだまだと言ったところか。
(できるだけ長く踏みとどまらないとね)
 メリンダはレッドを追い攻撃する従業員へモーニングスターを向けながら──一瞬だけ、店の奥へと意識を向けた。


●抜き足差し足狐足
「はいこれ、念のため被ってね」
 辺りに人気がないことを確認したステラは子どもたちへ覆面を渡し、自らも被る。息を殺して、周囲の警戒を怠らず。ステラと狐耶は窓際まで子どもたちを導いた。
 室内から死角になる場所へ潜み、耳を澄ませる。まだ見張りはいるだろうか。それとも、仲間が引きつけたか。
 静かな店内からやがて聞こえてくる怒号。窓の向こう側も騒がしくなり、やがて音は小さくなっていく。そうして少し経った頃、ステラはそぅっと窓の向こうを見た。
「……どうですか?」
「うん、今は誰も居なさそう」
 壁に付けたステラの手がするりと沈んで、向こう側へと届いていく。目を丸くする少年少女らの前で壁を通り抜けたステラは、内側から窓の鍵を外した。
 さあ、と狐耶に促されるまま子どもたちは侵入を果たし、武器倉庫の前へ。廊下と店は繋がっており、躁悠長にもしていられない。ステラが試しに扉へ手をかけると──解錠用のハリガネも用意していたのだが──あっさりと開いた。
「普段は見張りがいるからでしょうね。何はともあれ……商品まるっと頂きです」
 御代(おあし)はありませんけど、と狐耶は悪戯っぽく笑ってみせる。
 短剣と、槍を2本。無駄に多くを持ち出すことはしない。只々静かに、迅速に。武器倉庫を出たら中の確認が遅れるよう、敢えて鍵をかけてステラは扉を通り抜けた。
 盗みは順調。あとは脱出を──。
「──気づかれましたね」
 狐耶のいくらか硬い声が小さく零れ落ちる。次いで店側から聞こえてくる、侵入者の単語。
 向かってくる従業員にすぐさま2つの拍手が鳴らされる。片やは鈴のように。片やはぽんと打ち鳴らして。重なり合ったそれらが集中力を乱し、イレギュラーズへ引きつけんと挑発する。
「今のうちに逃げて」
 早く、と子どもたちを促すステラ。この状況に一瞬の戸惑いを見せた子どもたちは、しかしすぐに切り替えて窓へ足をかけた。まずは1人。
 雪之丞の挑発に乗せられた従業員はそちらへと方向転換。狐耶は万が一廊下の方へ来られないようにと立ちはだかり、その死角から影を操る。
「こっちはもうおっけーだよ」
 3人を誘導し、自らもその後を追わんとしたステラの言葉が狐耶の背中へと向けられる。首肯した狐耶はそのまま店内の方へ駆けていき、仲間へすれ違いざま「撤退です」と告げた。
 全員を倒せるなら上々だが、今の状態ではすぐとはいくまい。それにオーダーは『盗みの手伝い』である。そのオーダークリアと依頼人の安全確保を最優先とすべきだろう。
 ──何より、血の気の多い国民性になど付き合っていられないのだ。
 キドーもファミリアーから廊下の様子を確認していたらしい。「トンズラするぜ」と仲間に声をかけながら、狐耶がすれ違うのと同時に踵を返す。そこへ仲間が続いていき──。
「ほらよっ、大事な武器だぜ!」
 しんがりのことほぎは近くに飾られていた武器をおもむろに掴むと背後へ投げつけた。追ってこようとした従業員は、その不意打ちに体勢を崩す。
 その隙にいくつかの武器を掻っ攫って行きたくもなるが、そこまでの余裕はなさそうだ。金は欲しいがそれ以上に自分の命が大事である、とことほぎは速度を緩めない。
 入口の近くに居た別の従業員がキドーへ飛びかかるが──それを躱したキドーは懐から何かを取り出した。それを従業員の1人へ被せ、店外へ出て大声で叫ぶ。

「──強盗だ! 早く捕まえてくれ!」

 通りがかっていた鉄帝人たちの動きが止まり、一斉にキドーを──そして覆面を被った従業員を見る。そこへメリンダが走り出ると、近くに居たオールドワンの男へ縋りついた。
「あの人が武器で脅してきたの! 私は何の関係もないのに……お願い! 誰か助けて……!」
 その恐怖に彩られた表情は人々へ『それが真実なのだ』と思い込ませるよう。早速正義感にかられた──戦いたいだけかもしれないが──鉄帝人が殴り込みにかかり、それを切っ掛けに他の鉄帝人も覆面の従業員へ殺到していく。
 何やらティーダの怒号も聞こえるが、それは人々の声にかき消されて正しくは届かない。そんな乱闘騒ぎの間を縫って進み、イレギュラーズは退散したのだった。


 依頼を終え、解散した後。ステラと雪之丞は子どもたちと暫しの時を共にした。2人ともその理由は同じもの。武器を手にした彼らを鍛えるため。そしてその扱いを見るためだ。
(死にやすいのは、武器を持って強くなったと──そう勘違いする頃合いですから)
 自らが得た力に酔いしれ、油断することの無いように。正しく扱い、常に慢心の無いように。
 ある程度の形に武器を振れるようになった3人は、しかし常と異なる筋肉を使うこともあって疲労の色が見える。ステラは手をぎゅっと握り締めて──開けば、そこにあるのはコーヒー飴。それを2粒ずつ子どもたちへ渡すと、ステラは3人をぎゅっと抱きしめた。
(この子たちは──おじいさんに拾われなかった、あたしかもしれない)
 ステラもまた、この国のスラム街をふらついていた。人生が変わったのは『おじいさん』が拾ってくれたからこそ。けれど未だ生きていくのに精いっぱいで、ステラはあの時のおじいさんのようにはなれない。
 ならば示せる道は1つ。この国は武力が全てだ。鍛えてラド・バウにも名が知れる戦士となれば生きていけるだろう。
 だから。
「……頑張って生きてね」
 ステラの腕から解放された3人へ、雪之丞が静かに声をかける。
「力をつける気があるなら、いつでも。ローレットを訪れるとよいでしょう」
 生へしがみつき、力を求める愚直な精神。それがあるならば実力をつけるのみだ。
(……けれども)
 ふと、思わずにはいられない。
 生きるために強くならねばならない。強く在らねばならない。そうでなければ生きられない。
 鉄帝の武は単純明快、好ましくもあるが──同時に好かぬ部分でもあるのだと。

成否

成功

MVP

メリンダ・ビーチャム(p3p001496)
瞑目する修道女

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。

 シスターの貴女へ。鉄帝人同士を争わせて味方の逃げる隙を作る、という方法は当方も盲点でした。貴女の演技に、今回のMVPをお贈りします。

 またのご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

PAGETOP