シナリオ詳細
強欲のリユニオン
オープニング
●フォン・ルーベルグ
混沌世界で最も正しきを重視し、標榜する国である聖教国ネメシス。
その中でも全く――他に類を見ない程に純白に染め抜かれた首都フォン・ルーベルグは何時も整然とした秩序に満ちていた。
騒がしさとは無縁の大通り、ゴミ一つ散乱しない裏通り。
街を行く人々は厳しく己を律し、『フォン・ルーベルグの市民としてどうあるべきか』を常に念頭に置いて行動している。
ネメシスの正義と同様にこの街の姿は完璧であり、ある種酷く歪でもあった。
見る人間が見れば、それを人間の社会性の完璧な姿であると讃えるだろう。
また別の人間が見れば、これは唾棄すべき抑圧に過ぎないと断じるだろう。
評価何れにせよ、フォン・ルーベルグにおいて見える光景は一つである。
――潔癖なる白亜の都。
それ以上でも以下でもない現実はそこに住まう人間に幾ばくかの窮屈さと、それと同じだけの安寧を与えている。それは抑圧であると同時に大いなる救いであるのもまた確か。
白亜はレガド・イルシオンの如き見える形での不正を認めない。
白亜はゼシュテル鉄帝国のような過剰な弱肉強食を肯定しない。
唯、神に対して、標榜する正義に対して敬虔であれば、人間の持つ『間違い』を律し、否定し続ける事さえ出来れば――歪な在り様さえ、一つの正解であるとも呼べるのだろう。
正しきのみを肯定し、どんな悪をも許容しない。
総ゆる個の欲望を否定し、調和を何よりも重視する――
「まぁ、それが最も度し難い。人間が人間なる根源が『原罪』なれば。
欲望さえ否定する国は、街は人間の領域と言えるのかしら?」
――今日も何一つ間違いを侵さない白亜の街の姿を眺め、黒衣の女は冷笑する。
彼女は人間を嫌わない。むしろ人間が人間であるが故に抱き得る、複雑怪奇にして高等なる総ゆる『欲望』を肯定さえしている。
「その琴線を弾き、押し込めた欲望を解き放ち、大きな舞台を描きましょう。
『正しき形』を忘れた人形達に思い出させてあげましょう。
人は愛し、愛され、生きてやがて朽ちるのならば――演目はきっとこれがいい」
女の口角が三日月に持ち上がり、白亜の街に暗雲がたちこめる。
狂騒曲をあなたに。
人は元来多くを望むものだ。
聞こえぬ声、届かぬ声を拾うには――こんな荒療治も丁度いい。
●リユニオン
「神様、願わくば――ってな」
軽い調子で言った『蒼剣』レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)にイレギュラーズが視線を向けた。調子のいい彼が仕事の話を遠回しに持ちかけるのは何時もの事だが、その声色は平素に比べて若干の真剣さを帯びているようにも感じられた。
「今回の仕事は天義――聖教国ネメシスの首都フォン・ルーベルグで起きた『異変』の調査と対症療法だ」
「調査と対症療法?」
「やる事は概ね二つあるって事だ。
まず一つ目、調査。これは事件の概要の説明が必要だな。
フォン・ルーベルグで起きている異変は『黄泉帰り』の噂だ」
「黄泉帰り!? 死んだ奴が戻ってきたって言うのか?」
「……ま、そういう事だ。重要なのは『噂』って点なんだが。
ネメシスの聖騎士団も調査に当たってるようだがね、その辺りがハッキリしない。
死んだ誰かが生前の姿で目撃されたっていう噂はあるが、その当事者を問い詰めてもその辺りがハッキリしない訳だよ」
「……何故?」
「そりゃ、事実だとするなら『異端』に値するからさ」
イレギュラーズの問いにレオンは肩を竦める。
「例えばオマエの――例えだが――大好きな家族が戻ってきたとする。
まぁ、実際にどうかは分からねぇが、そいつは在りし日のままで――意思疎通が出来たり、真っ当に一緒に過ごせたりするとする。だが、確実にそいつは死んでるんだ」
「……」
「まぁ、常識で言うなら『有り得ない』が、人情で言うなら『嬉しい』よな。
そこでネメシスの性格を加味してみりゃ答えが分かる。
死者の黄泉帰りなんてのは禁忌中の禁忌だし、絶対に肯定出来ない内容だ。
『理想的なフォン・ルーベルグ市民』なら悪魔の所業を通報するべきだし、折角戻ってきた家族を聖騎士様の聖剣なりで浄化させる必要がある。
……ま、もう分かっただろ」
「よーく、ね」
苦笑したイレギュラーズは明敏に事情を察する。
「て、事は依頼人は峻厳の白獅子で、聖騎士団が任務に適さないのはそういう訳か」
「ご明察の通り。中立的で宗教色の薄いローレットならまだしも弾力的な対応が出来るし、事態の軟着陸も不可能じゃない。実際の所、ネメシスの首脳もこの事態に強権的な解決を望んじゃいないのさ」
正義は絶対に執行されなければならない。
それはネメシスの大前提だが、中央権力の基盤を支えるお膝元で余り派手で徹底的な対処を取れば国家の統制が崩れる恐れがある――政治の事情も絡む話だ。
事態は極力『有耶無耶』に解決する事が望ましいのだろう。
「調査と対症療法って言ったな。
『噂』はフォン・ルーベルグ中に広がってるが、オマエ達に今回対応して貰いたいのは情報収集と解決一件だ。それ以上は実際手が回らないだろうからね。
情報収集は可能な限りして貰うとして、直接相対するのはアロイス・バルイエ子爵というネメシス貴族の案件になる」
「嫌な予感がするなあ」
「子爵はネメシスの名門でね。聖騎士団でもおいそれと手が出しにくい存在でもある。
その彼の――幼くして亡くなった娘が『黄泉帰り』したって噂があるのさ。
子爵の屋敷に忍び込むなりしてその真偽を確認し、もし『黄泉帰り』が事実なら事態を『解決』し、立ち去る――そんなプランだ。
だが、オマエ、中々勘がいいね。嫌な予感は多分正解だぜ」
意地悪くレオンは言葉を付け足す。
「子爵はネメシスの名門だからよりによって彼が『黄泉帰り』を肯定、擁護しているなんて事態は絶対にあってはならない。だが、子爵は名門だからね。彼のような人物に聖騎士団が疑いを向け、手の者を放ったなんて構図に取られる事は絶対にまずい。つまり、オマエ達は『正体を隠して秘密裏に仕事をこなし、闇の中に消える必要がある』。
正体やネメシス中央の意図が明るみに出たら最悪だ。誰も守っちゃくれないから気をつけな」
相変わらず無茶なオーダーを気楽に告げるレオンにイレギュラーズは嘆息する。
難しい仕事を投げてくる辺り一定の信頼は感じるが、この不良マスターめと言ってやりたい気持ちもなくはない。
「受ける受けないは置いといて」
「あん?」
「一個だけ聞きたいが――『黄泉帰り』、死者蘇生ってのはこの混沌で有り得るのかい」
噂が事実ならネメシスにとっては異端だろうが、決して不幸な話ではないだろう。
問い掛けるイレギュラーズに今度はレオンが苦笑した。
「絶対に無いね。仮にそう見えてもそりゃあ――良く似た別の何かだよ。
魔女が七百年を費やしても、神がそれを願っても。死んだ奴は生き返らない。
そりゃあ、絶対のルールってヤツだ。たった一つ間違いのない、ね」
- 強欲のリユニオンLv:10以上完了
- GM名YAMIDEITEI
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2019年04月25日 00時00分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
リプレイ
●聖都にて
「例えその一時が仮初のものだとしても、それが救いとなるのなら私は……いえ、詮無き事ね。
もう、誰あろう私が此処まで来てしまったのですもの」
幾ばくかの憂いの色が『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)の碧眼に揺れていたのはきっと気のせいではないのだろう。
生ある者がやがて死ぬ、形あるものが滅びるという事実が必然なれば、定命の時こそ誰にでも平等である。
されど、人生が出会いと別れで出来ているというならば――恐らくは誰もが一度は考えた事があるだろう。
永遠ならぬ人の生を行く以上は、やがて際する別れにこう思った事もあるだろう。
――もし、この別れを無かった事に出来たなら――
大切な家族、或いは恋人、友人、ペット……
それを『欲望』と呼ぶのならば、確かにそれはそうなのだろう。
人間が人間である以上、避け得ない業は叶わないが故に胸を締め付ける強力な欲求になる。
繰り返すがそれは『叶わないからこそ』酷く魅力的で、酷く強烈な望みとなるのだ。
「黄泉返り――未来人と同じくらい突飛です。なんだか頭の奥がちりちりするお話ですよね」
何時か見た時と同様に静か過ぎる聖都フォン・ルーベルグの姿を見回して『自称未来人』ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)がそんな風に呟いた。
「いわゆるアンデッド騒動はこれまでもあったけど、『黄泉帰り』事件は明らかに違う。死者に、明確な誰かの人格があるって言うからね」
「何れにせよ、神の摂理に反するのであれば、捨て置けぬ事態です。早急に原因を突き止めるとしましょう」
「うむ、『黄泉返りの娘』の正体は何であれ今回も滞りなく任務を終わらせると致そうか」
マルク・シリング(p3p001309)の言葉に『信仰者』コーデリア・ハーグリーブス(p3p006255)、『黒曜の鴉』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)が応じる。
今日、この場所に十人のイレギュラーズが訪れたのは一同が口にした『黄泉返り』事件への対応を取る為である。フォン・ルーベルグを中心に水面下で起きているという明確な『異変』はその名の通り死者の帰還――本来ならば『模範的に生活する事が喜びである筈の聖都市民が酷くこの異常事態の告発に非協力的である』所為で全貌は掴めてはいないのだが、多くの噂や証言を鑑みるに何らかの異常が存在している事はほぼ間違いないと目されている。お膝元で起きたその『小さな反逆』に対してネメシス中央政府が取り得た最善の手段が宗教色と政治色が薄く、神託の存在から混沌世界で一定の信頼を勝ち得ているイレギュラーズ――つまりローレットを利用して状況の鎮静化を図るという対症療法だったという訳である。
「黄泉帰りか……いまいち信じられねぇが火の無いところにゃ何とやらだ。いっちょ調べてみますか」
『暇人』銀城 黒羽(p3p000505)の言葉に面々は頷いた。
状況に対するスタンスは様々だ。これがローレットの仕事だと割り切る者もいれば、天義名門の生まれとしても状況を看過しがたい信仰者――コーデリアのような者も居る。
共通するのは『黄泉返り』が決して誰かの善意、或いは世界の起こした優しい奇跡ではないという――ある種の確信めいた予感ばかりだろうか。
「『正しさ』のために家族を奪う……嘗て奪われた側の意趣返しとしては格好の形だけど、気分が悪い。
……ネメシスの上の依頼で動いてるんだから、当然なんだろうけど」
ネメシスという国家に対しての嫌悪感、状況への自嘲を隠さずに『応報の翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)が皮肉めいた笑みを浮かべた。
(まあ、良いよ。どうせ此処には来ないといけなかったんだから。
『黄泉返り』の真実を確かめる。それは個人的にも必要な事――何より、私自身が『諦める』為にも)
想いの後半は敢えて言葉に出さずミニュイは内心だけでそう呟いた。
整然とした聖都の佇まいは平素と変わらないそれを保っているようにも見えたが――それは恐らく見た目のもの。
信仰に従順であり、正しき事を何よりの美徳とする人々も、大切な誰かの首に匕首を突きつける現実と只々受け入れる事は難しいだろう。
(『見誤る』も親の愛、でしょうか。度し難いが、これ以上理屈で分かる事も無いのでしょうね――)
理想的な天義貴族の一角であり、その名声をコーデリアも聞き及ぶアロイス・バルイエ子爵が今回の『相手』になっている事実こそがその証左である。
「幼き命を二度も散らすのは外道の所業で御座るが汚れ仕事も忍びの役目、でござる故」
「……ま、きっと『悪役』よねェ。今日ばかりは」
何処まで本気か、咲耶に応じた美貌の女豹――『宵歩』リノ・ガルシア(p3p000675)は露悪的に笑っていた。今日、イレギュラーズが為さねばならぬ仕事が、事態の基本調査とかの子爵の溺愛する『娘(コレット)』の排除である以上――この仕事は後味の良いものにはなるまい。どうあっても子爵がそれを看過する事等無いだろう。
「では、手筈は予定通りに――そう時間的猶予がある訳ではありませんからね」
『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)の言葉に一同は頷いた。
定石通りバルイエ子爵邸を『襲撃』するのが夜になるならば、それまでの短い猶予にしなければならない事は多い。
「コーデリア様は貴族の知人や教会関係者を中心に情報収集。
黒羽様は主に市民への聞き込み、マルク様は件のコレット嬢の『寝室』の調査でしたかね。
私もこの辺りには幾らか使えるコネもあります。後は仕掛けを御覧じろ、といった所でしょうか――」
コーデリアや黒羽の調査はフォン・ルーベルグを覆う空気の質をより仔細に明らかにするだろう。
コレットの墓所を調査すれば子爵の元にある娘が『本当に娘の亡骸なのかどうか』はハッキリとする。
嬉々と搦め手を得手とする寛治の仕掛けが奏功すれば、最大の難関となる子爵邸襲撃に多少なりとも寄与はあろう。
話は纏まり、イレギュラーズ達はそれぞれの目的を携えて動き出す。
「しかし、黄泉返るなど……」
一方で『自称・旅人』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)の薄い唇が灰色の空の下に寒々しく言葉を揺蕩わせた。
「単純に現象と致しましては興味深いのですが、それに縋るなど――端的に申しまして『終わっている』のです」
死者と同じように、一度打たれたピリオドと同じように。
余りに愚かだ。余りに詮無い。
その望みは行き止まりである。その望みはどうあれ叶わないと彼女は何より知っていた。
――元より取返しの付くものなどありませんのに――
●調査
――そして、夜。
日も落ち、元より少ない人通りも絶えた聖都に十個の影が踊る。
仮面とコート等でその正体を一時隠したイレギュラーズは、物々しく周囲を警戒し、刺々しい敵意を隠さないバルイエ子爵邸を遠目に各々が得た情報を総合的に共有していた。
「挨拶周りという体で色々な方にお話を伺いましたが――感想はかなり歯切れが悪い、といった所でしょうか」
コーデリアとしてはハーグリーブス家の長女として知己の相手からの聞き込みとなったが、バルイエ子爵を知る貴族や教会関係者の口は一様に『重い』という他は無かった。
『久方ぶりの故国の為、何も知らぬ』という体で世間話から話を進めた彼女だったが、バルイエ子爵及びコレットについては誰も語りたがらない、といった風である。
何人かの比較的饒舌な――悪く言えばお喋りだ――者が「気持ちは分かるが」等と漏らしかけた事もあったのだが、すぐに制止されていたのが印象に残っていた。
つまる所、本件が『どう転ぶか分からない』以上はどちらかに肩入れするのは間違いという事は他ならぬコーデリアだからこそ分かっている。
コンフィズリーの不正義然り、誰に、事態にどう関わるか、誰の味方をするべきなのかはよく見極める必要があるのがこの国なのだから。
「しかし、逆を言えばやはりこの事件自体の根深さほぼ確実に伝わりました。
あれだけ分かり易い反応をしてくれれば、実際の所、『事実を教えてくれる必要はない』のですから」
「成る程」
コーデリアの言葉に黒羽が頷いた。
貴族や教会関係者に当たったコーデリアに対して黒羽が問い掛けたのは市民層である。
イレギュラーズという比較的信頼されやすく――中央色の薄い者だからこそ問い易い事もある。
「何故噂が立つに至ったか、初めて噂が立ったのはいつ頃か。
最近この辺りで怪しい者を見なかったか――改めての確認も含むがな」
前置きした黒羽が続ける。
「比較的黄泉返り事件の中核に触れない話だったからか、幾らかの返答は取れた。
噂の始まりが厳密に何時かは言い切れないが、少なくとも最近――一か月以内程度の話であるのは間違いないようだ。
怪しい者は……これは正直、『こちらも余所者』だ。どこまであてになるかは知れないが、妖しげな黒衣の女を夜に見た、という話はあったな」
「黒衣、ね」
唇に指をあてたリノが視線を宙に遊ばせる。
これより暗殺者の真似事をしていたいけな『少女』を殺す自身等もとても怪しくないとは言えまいが――
「――確かにこの国のカラーじゃないわね」
冗句めいたその言葉は一方で或る種の正鵠を射抜いていると言えるのかも知れない。
「それで此方は余り芳しくなかった方だが――黄泉返りに強く関係する聞き込みだが。
ただ噂が真実か知りたいだけ。他言するつもりは一切ない、と告げた上でも反応はあくまで重かった。
但し、此方の感想も『重過ぎる事実』こそが真実だ。少なくとも黄泉返りは存在するし、庇われる以上は在りし日と比べて異常もないか少ないのだろう」
黒羽は「そして、市民も戸惑いながらも黄泉返り自体を肯定しているようにも感じられた」と言葉を結ぶ。
「……意外というか、潔癖以外にも価値観があったのね」
小さくミニュイが零す。
言質こそなくとも、やはり大切な誰かが戻ってくるというのは――得も言われぬ誘惑なのだと考えられた。
「コレットの墓所の調査だけど――この情報は良いとも悪いとも取れるかも知れない」
続いてマルクが口を開く。
「『墓所は荒らされた形跡も、何かが動いた形跡も無かった』んだ。
もう一つ言うなら、『コレット自身』にもコンタクトを試みたんだけど――」
霊魂疎通能力を持つマルクはこういった調査にうってつけの人物だった。
屋敷に居る『コレット』が何者かを問うのは、本人に確認するのが一番と考えた訳である。
「――正直、死後時間が経っているし、あまり明瞭な確認は出来なかったんだけど。
コレットの残留思念って言うのか、残留霊魂って言うのか――雰囲気からして『彼女はそこを動いていない』」
「ややや、それはそれは……もう訳が分からない状態ですね!」
「面妖な。如何にも『みすてりぃ』でござるな」
「まったくだ。『屋敷に居るのは何なんだろう』ね?」
目を丸くしたヨハナと苦笑した咲耶の合いの手にマルクは肩を竦めた。
「やる事がハッキリした感じでせうか――まぁ、元から決まっている話ではあるのですが」
淡々と言ったヘイゼルの大きな瞳の中で警戒の篝火達が揺れている。
このプロセスは確認でしか無いが、ローレットのオーダーはその確認も含んでいたのだから上々だろう。
「如何にしてバルイエ子爵邸を攻略するか、後は――少し物騒な助っ人もいるようですし」
彼女は強く理解している。『ここまで』は難しい話ではない。問題はあくまで『この先』なのだと。
「まぁ、その辺りは私が」
ヘイゼルの言葉に頷いたのは言わずと知れた寛治である。
「結論から言えば子爵私兵の買収自体は上手くいかなかったのですが、情報収集自体は十分です。
買収の件にしても外に漏れるようなへまは打っていませんが」
「顧客が欲している」という口八丁で邸宅の造りの情報を得た寛治は蛇の道は蛇と言わんばかりの『ビジネスマン』である。
彼の得た情報を基に、
「今、調査中といった所ですわ」
「ですです。手も目も情報も多い方がいいですからねっ!」
邸宅内の偵察を進めるのがファミリアーを駆使するヴァレーリヤとヨハナの二人である。
空からはヴァレーリヤの梟が俯瞰し、地を――僅かな警戒の隙間をヨハナの鼠が縫って行く。
操作した使い魔と視覚情報を共有した二人は寛治の情報からコレットの居場所――恐らくは子爵の寝室ではないかとあたりをつけている――や警備の状況を探っていた。
「私兵の配置、少ない場所、見え難い場所、交代周期……
知るべきは多いけど、大分『掴めた』とは思いますわね」
ヴァレーリヤの言う通り、完璧とは言い難いが、準備は概ね済んでいるという事だ。
「かくて、賽は投げられた――」
後は警戒の甘い場所から、
「火をつけ、陽動する――あとは速度勝負でしょうか」
コーデリアの言葉に一同は頷いた。
真正面から事に当たるには余りにも過小な戦力だ。
大きなリスクは何れにせよ否めないが……
「……………あ!」
ふと、ヨハナがおかしな声を漏らした。
「どうかしたか」という顔をする仲間が何かを言うより先に彼女は言った。
「あの、今廊下で黒い服を来た男の人を見つけたんですが――」
――映像がそこで途切れました。
「さもありなん。そう生易しい相手ではありません」
「少なくともそう『聞いて』いるのです」
何故か満足そうな寛治にヘイゼルが温く頷いた。
大いなるリスクが否めないからこそ、兎に角速度と巧妙の両方は必須なのである!
●バルイエ邸襲撃
ファミリアーによる偵察はイレギュラーズの十八番である。
邸内を走る『鼠』を斬殺した彼がそれを偵察と見切ったかどうかは定かではないが、兎に角モタモタする時間は無い。
陽動班として配置したミニュイの火炎瓶、コーデリアの発火で襲撃の狼煙は上がる。
「それなりに生きた心地はしない仕事だよね」
「放火は正しくありませんが、仕事は神の御意志に沿うでしょう」
「……そういうものかな。じゃあ加護の一つも欲しいかも」
見つかれば、捕まれば無事に済まないのは強行戦力の無い陽動側こそ尚更である。
敵陣の警備の注意を自身等の方へ引きつけたミニュイとコーデリアはこの後、敵をやり過ごし、最終的には突入したメンバーの脱出を支援する手筈となっている。
突入側と同じくまずはあくまで潜み、突入側を攻め退き双方にアシストする事こそがこの場で任されたミッションなのだ。
「今ですわ!」
さて置き、陽動班の確実な仕事を受け、ヴァレーリヤの梟が敵側の動きを確認した時、突入班が素早い動きを見せる。
(さァ、仕事場よ。悪く思わないでね、子爵さんにお嬢さん――)
立ち上った炎の消化と警戒に意識を取られた警備の隙を突き、 宵闇の中、影に溶ける。音さえ無く先行するのは偵察役であり、ルートを先導するリノである。
(馬鹿正直こそぞっとするわよ)
極夜(ギフト)を有する彼女の眼は闇の中でこそ冴え、忍び足にステルス、耳をぴこぴこと動かす聞き耳も彼女の十八番だ。
潜む悪意こそ、この美女の持ち合わせる致死の毒。
少なくない数を極力遭遇戦を減らすように動かすには彼女のような優れた水先案内人の存在が不可欠である。
(――急ぎましょう)
ヴァレーリヤやヨハナの先行偵察、寛治の事前情報も効いている。
ハンドサインを「来い」としゃくるリノに応じてパーティは邸外の警戒をやり過ごす。
ヘイゼルの開錠能力が厳重な鍵さえ瞬時に開けば、一行はその身を邸内に侵入をせしめた。
ヘイゼルは正面、直通経路以外の施錠も次々と外している。これは彼女の慎重さの表れであり、この場から逃れるまでも計算に入れた保険の一つだ。
一先ず邸外での遭遇戦を避けた事で『異変』が伝わる速度は幾分か遅れた筈である。
外に引きつけられた戦力が邸内に戻るまでにも相当の時間が稼げた事だろう。
広い玄関ホールの先に伸びた大きな階段は二階に通じるもの。一同が一先ず目指す先は二階奥の寝室であると考えられている。
そしてその情報は感情探査で強い不安を示す『誰か』の存在を知ればより強固なものと考えられるだろう。
とは言え、邸内にまで至ればそれ以上、完璧に警戒の目を潜る事は不可能である。
「侵入者!」
鋭い声が上がり、邸内を警戒していた子爵の私兵達がイレギュラーズに相対する。
「――やはり、最後はこうなりますわね!」
「うむ、では暴れるとするでござる!」
聖職とはいえ鉄帝人らしい眼の色を見せたヴァレーリヤに咲耶が応じた。
邸内侵入後に敵側に絡まれるのは想定の内である。
パーティは戦力をまず陽動班と突入班に分けているのは先述の通り。
更に突入班は足止め班とコレット対応班の二つに分離するという事だ。
前者は黒羽、マルク、寛治、コレットを狙うのが残る五人だが、状況はかなり流動的になるだろう。
黒羽が敵を引きつけ、
「御免、でござる!」
咲耶の蹴撃が的確に私兵の顔面を撃ち抜いた。
悲鳴と怒号が交錯する邸内での戦闘は、果たして早晩乱戦めいた状況となっていた。
「神父対策の戦力は温存して。ここは僕が時間を稼ぐ!」
防御に集中したマルクが殿を買って出た。
個々の実力ではイレギュラーズの多くが勝ったが、酷いアウェーである事実、時間的制約は決して侮れるものではない。
騒ぎが起きている以上、子爵がこの異変に気付いている事は明確であり、彼が庇い立てるコレットを逃がせば仕事は失敗なのだから状況は常に分水嶺の上にある。
ホールでの一次遭遇戦を機敏さと実力で何とか突破したパーティだったが、万全な進撃も当然の事ながら長くは続かない。
――これも、因縁、というものなのでしょうね――
朗々と通るバリトンがイレギュラーズの頭上に降れば、突入戦は別のステージに突入する。
「あら、ハンサムな殿方」
からかう調子のリノの首筋に冷たい汗が流れ落ちた。
色濃く魔性と死の香りを携えた聖職者は、金に輝く十字剣を抜き放ち、容赦も退く心算もなさそうであった。
●バルイエ邸襲撃II
パスクァーレ・アレアドルフィ。
ローレットに浅からぬ因縁を持つ彼は、とある事件を起こし幻想を出奔した元聖職である。
この依頼について最も危険なのがこの私兵――黒神父である事は最初から知れていた。
彼を抑える事こそ、襲撃を成功させる為の必要不可欠であり、最大難関――それを知るパーティはこの状況に十分な想定を重ねていた。
「ここは俺が」
「私達が、ですね」
黒羽と寛治が黒神父という暴風の矢面に躍り出た。
如何な彼等とて少数で彼に相対し、長い時間を稼ぐのは難しいかも知れない。
少なくとも死を回避し、この場を逃れる事までを計算に含むのであれば、コレット対応班のスピードが命になる。
それは階下で敵を食い止めるマルクの命運にしても同じであり、ともあれ仕留める為の戦力は神父を二人に任せ、残る私兵の壁の突破にかかった。
「随分、荒っぽい真似をする。どうやら、覚悟の上――のようですが」
「この件は貴方は敵同士、という事になるでしょうね」
正対した黒神父に不敵に応じた寛治が言う。正体等『個人的には』隠していないにも等しいが、神父とて脛に傷を持つ身である。
その辺りを良く察した上で『お互いの状況』を天秤にかける辺り、新田寛治という男の食えなさ、性質の悪さは知れていた。
十字剣が閃く。
「だが――倒れん!」
殺傷の一撃に黒羽は持ち前の粘りを見せ、倒されない。
「生憎と道を塞ぐのは得意中の得意でな」
「厄介な」と纏わりつく敵の性質に気付いた神父が苦笑する。
「ビジネスは時には競業。時には協業。『黄泉帰り事件そのもの』の情報、という点については?」
「存じ上げませんね。見ての通りが現実だ。見ての通りが全てです。隠し立てする意味は無いのでしょう?」
「死者について思う所がある神父なら、何かご存知ではと思いまして」
「状況を調べていないと言えば嘘になりますがね。
黄泉返りは現実だが、その正体は知れない。これは神の描いた摂理に反し、邪悪なる姦計でないとは言い切れない。しかし――」
コレット対応班の猛攻を受ける私兵達の姿を見た黒神父の纏う威圧が強くなる。
「――誰あろうこの私は、その正体がなんであれ。それが胡蝶の夢であれ。『父親から娘を奪い去る理不尽』を許す事は有り得ない!」
死戦が激しさを増していく。
寛治も射撃を以って応じるが元より攻め手のほぼ無い黒羽も含め、今回は神父を倒せる、倒すだけの意志をパーティは用意してはいない。
たっぷりと時間を稼いだ黒羽が遂に放たれた必殺の一撃に倒されるが、パーティ側はその一方で遂に壁を突破し、チェックの一手を進めていた。
「――ちぃッ!」
歯と目を剥いて舌を打つ神父が行手を塞ぐ寛治に肉薄し、彼は剣魔の双撃を以ってこれを迎撃した。
「何かあればこちらにご連絡を!」
「あなたに次はありませんよ」
笑えない冗句が交錯する。実際の所、寛治の首筋には死神の鎌が突きつけられているに等しかったが――それを感じさせないのが彼でもあった。
黒羽、寛治等の死力を尽くした『時間稼ぎ』を受けたコレット対応班は執拗に行手を塞ぐ私兵の壁に果敢に挑んだ。
「ここは拙者が――!」
名乗り口上から咲耶が敵の多数を引きつけ道を開く。
「多勢に無勢なれど、これも本望。我が忍術の冴え、お見せするでござるよ!」
咲耶の奮戦、彼女を支えたヴァレーリヤの支援もあり、何とか戦線を押し込んだパーティは遂に二階に子爵とコレットを追い詰めていた。
「貴女に縁も恨みもありませんが、土に返って頂けますでせうか?」
「……貴様等、何者だ。いや、中央の手の者か!?」
ヘイゼルの言葉に敵の意図を確信したのだろう。
金髪碧眼に口髭を蓄えた押し出しの強いバルイエ子爵は背後に少女を庇うように立ち、その手の黄金の剣を抜いていた。
言葉から察せられるのは彼がある程度の事情を知っている事と、己が行為への自覚を持っているという事実に他ならない。
「運命とは往々にして残酷なものなのです」
子爵の問いに答えとも言えないような答えを返したヘイゼルは彼の背後で震える少女を醒めた目で眺めていた。
一見して普通の少女のように見える。着飾った人形のようなコレットはどこか子爵に似た――整った顔立ちをしていた。
無論というべきかそこには彼女が患ったという病の影は無い。死の影は無い。
一同はマルクの言葉を思い出す。
――正直、死後時間が経っているし、あまり明瞭な確認は出来なかったんだけど。
コレットの残留思念って言うのか、残留霊魂って言うのか――雰囲気からして『彼女はそこを動いていない』――
嗚呼、『何者か知れない、健常なるコレットがそこに居た』。
「納得してくれ、と言って納得して貰える話ではないですよね」
似合わない苦笑いを交えたヨハナはそれを十分に自覚していた。ただ……
「申し訳ありません。これも未来の為なので」
或いは破滅の未来を司る『己』の姿を脳裏に描いて、冷然とそう告げる。
「痴れ者共め。させんぞ、絶対に!」
「――ねェ、あなた死んでたっていう自覚はおあり?」
虚勢を張る子爵の怒りをかわすようにリノがその背後に問い掛けた。
「分からないよ、そんなの。私は気付いたら、いや、知らない。そんなの、知らないから……!」
「そう」とリノは一瞬だけ瞑目する。
「ごめんなさいね、でも自分の居場所はきちんと弁えなきゃダメよ」
長く話をしている時間が無いのは明白である。
ネメシス中央の真の意向はどうあれ、イレギュラーズは唯の『賊』である。そう扱われる事は決まっている。
故に問答は不要であり、より大きな危険に晒される仲間達の事を思えば一秒を惜しむ必要があるのは確実だった。
だが。
「……せめて、お別れの挨拶をしておく事を御薦めいたしますわ」
「……っ……」
甘いと言う勿れ、ヴァレーリヤの言葉を望んでいたのは咲耶もまた同じであった。
息を呑んだ子爵は小さく――と呟き、裂帛の気合をもちてイレギュラーズ達に斬りかかる。
(――すまない、か)
黄泉返りとは何と罪深く、何とやるせない事件なのだろう。
余りに稚拙な子爵の打ち込みを軽くいなしたヴァレーリヤはふと考えた。
己が言葉は彼を少しでも救ったのだろうか。子爵の「すまない」は別れの言葉だったのだろうか?
及ばずと分かっていても挑まずにいられないそれは親の愛。
『理想的天義貴族』等という一般には褒め言葉にもならないその評価を覆しかねない彼の狼狽を、彼の執念を。
例えば外で成就の時を待つあのミニュイ辺りが目の当たりにしたならば、何と言っただろうか――
●顛末
フォン・ルーベルグ郊外。
執拗なる追手も暫く前に姿を消した。
潜んで暫し、遂に振り切ったと言えるのだろう。
「……これにて解決、でござるな?」
人心地ついた咲耶が大きく息を吐き出した。
「世は全て事もなし……となれば良いのですが。
一先ず、欠員鳴く仕事を終えられた事は大変良かった」
混乱の中、パーティがバルイエ邸を脱出せしめたのはそう言ったコーデリアとミニュイの活躍もあっての事だっただろう。
計画通り、火元に殺到した私兵を上手くやり過ごした二人はパーティの脱出のサポートに動き出したのだ。
予めヘイゼルが各所の開錠を済ませていたのもスムーズな動きに貢献していた。
危険な状況に追い込まれていたマルク、黒羽、寛治の三人は戦場に飛び込んだ二人の新手の攪乱により救われたようなものだった。
「危なかったね、正直。ギリギリだったかも」
特にそう言ったミニュイがクローンボイスにより誤情報をばら撒いたのが奏功した。
黒神父こそ異常を的確に見切っていたが、彼にとっては混乱する『味方』がかえって邪魔になった感さえある。
「……でも、これで終わりとは思えないのよねぇ」
しみじみと言ったリノは手にかけたコレットが黒い泥のように爆ぜて地面に吸い込まれたその瞬間を思い出して陰鬱に呟いた。
イメージでモノを言うのは憚られるが、その瞬間の『嫌な気配』をどうしても拭い去る事は出来なかった。
『唯の子供のように碌な抵抗を出来なかったコレットが邪悪であったかは分からない』。
だが、コレットそのものは唯の子供でも、それを形作る何かは――
「分からないね。本当に」
「分からない事ばかりだ」と呟いたマルクが傷の痛みに眉を顰めた。
「……複雑」
短く、端的な言葉にミニュイの想いが縺れていた。
救いの無い国で、救われない聖都で、救わない仕事が幕を閉じただけ。
本当に全ての幕が閉じたなら、それは僥倖で、それは救いになってしまうのか、と。
悪趣味な冗談のような皮肉を宙に浮かべて彼女は苦笑するばかり。
「ハッピーエンドが、ありますように」
「ええ」
ヨハナの言葉にコーデリアは頷いた。
「ええ、本当に――」
――そんなこと、だれにもわからないけれど。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
YAMIDEITEIっす。
プレイング良く頑張っていたと思います。
それなりに死亡判定とかもなくはない感じなのですが、陽動班のフォロー転身がとても良かったです。
リプレイ本文中で『コネがある』とか『貴族の知己が』とかありますが、これは所謂言ったもの勝ちではなく(貴族ルール適用されるので設定が有利にはなりません)、非戦スキルのコネクション等を有しているのでそれを表した文章表現となります。
戦闘ではなくスニーキング活劇がメインとなりましたが、如何だったでしょうか?
相応に心情描写にもふっておりますので、毛色としては珍しいと思います。
特にHardとしては、です。
シナリオ、お疲れ様でした。
GMコメント
YAMIDEITEIっす。
所謂一つの新章ってやつなのです。
以下詳細。
●任務達成条件
・フォン・ルーベルグの『噂』について調査を行う。
・アロイス・バルイエ子爵の『娘』について『適切な対応』を行う。
・正体や目的が露見しない事。
●『噂』
フォン・ルーベルグでは何時の頃からか死んだ親しい人間が自身の元に戻ってくるという『噂』が囁かれるようになりました。
死とは厳かなものであり、絶対の終わりです。
『敬虔にして理想的なフォン・ルーベルグ市民が規律に違反する事等有り得ません』が、中央首脳はこの非常にネメシス的でない噂を非常に良くない兆候と捉えています。
●アロイス・バルイエ子爵
ネメシスの名門、バルイエ子爵家の現当主。
教会勢力とも繋がりの深い彼は聖騎士団であっても簡単には手を出しにくい存在です。
また、彼のような『理想的天義貴族』に醜聞が存在すると露見する事、或いは強権的な手段で対処を行う事はネメシス中央政府にとって非常に由々しき事態ともなるのです。
過去にあった『コンフィズリーの不正義』でコンフィズリーが失脚した当時も政府中央の体制基盤に少なからぬ傷が生じたのは事実なので、似た状況は避けたいようです。
●コレット
コレット・バルイエ。幼くして亡くなったという伯爵の娘。
今回の事件で黄泉帰りが囁かれています。
●バルイエ邸
フォン・ルーベルグの郊外に位置する立派なお屋敷。
『何故かは分かりませんが』邸宅は子爵の私兵により厳重に警備されており、まるで攻め込んでくる敵を追い返すかのような刺々しい警戒感に満ちています。
子爵の私兵の全てを真っ当に相手にするのはイレギュラーズでも荷が重いでしょう。
邸宅の周辺は警備兵が警邏し、正門は兵士に守られています。
内部の情報は不明ですが、恐らく複数の兵士等が詰めているものと思われます。
又、子爵の雇った傭兵に黒衣の神父が存在するという情報もあります。誰か知りませんが。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
以上、宜しくご参加下さいませませ。
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