PandoraPartyProject

シナリオ詳細

膨らみ続けるたーる

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●うっかり錬金術師の不始末
 練達……探求都市国家アデプト。
 混沌南部の小島にあるこの国は、現代科学を越える技術すら有する小規模勢力だ。
 この国は政治事などには関心が薄く、各国からは中立の態度をとっていると認識されている。
 国民も学者肌の者が多く、日々研究に打ち込んでいる。
 今回、ローレットに依頼してきたうっかり錬金術師のその1人だ。
「えーっと、あれとそれとこれと、まぜまぜ……」
 その女性、フリーダ=シュレーゲルもまた、自らの工房に籠って研究を続けている。
 彼女はゴーレムなどの研究でそれなりの成果を上げている一方、普段から研究に一直線になりすぎるきらいがあり、周囲に迷惑をかけることもしばしばあった。
 フリーダは以前、物流、物品の用足しがしやすいと考え、別途幻想に工房を構えていた。
 だが、やはり設備の関係もあり、程なく練達へと戻ってしまう。
 その際、彼女は研究途中のスライムを放置してしまい、街路を塞ぐという珍事件を起こしたことも。
 フリーダはしっかりと賠償を要求されたのだが、それはそれとして……。
 彼女が研究にかける熱意は本物なのだが、それに集中するあまり自らの工房外で起こっている異変に気付いていなかった。
 フリーダの工房の裏手に積まれていた樽。
 それらが独りでに膨らみ、周囲を徐々に圧迫し始めていた。
 しばらくは何事もなかったのだが、樽が街路に飛び出してきたことで、近隣住民が異変に気づく。
 どうにかしてほしいと彼らはフリーダに苦情を寄せるのだが、彼女は研究に没頭して全くもって耳を貸そうとしない。
 ただ、樽は膨張を続けており、元々は1m程度の物だったのに、3m程度にまで膨らむものが4つもある。いずれも同じ液体を管理していた樽らしい。
 しかも、近づくと転がってその身を叩きつけてきたり、中に入った怪しげな液体を放出したりしてくるから厄介だ。
 練達の研究者達もこれには対処できず、最近この地まで勢力を伸ばしてきているローレットへと対処を願うことにしたのだった。

●樽退治依頼
「……と、言うことだそうです」
 練達の街中にて、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)がやってきたイレギュラーズ達へと話を始める。
 端的に言えば、現場での樽退治依頼。
 すでに、4つの樽が全長3m程度にまで膨張している状況であり、近隣住民も危険視している。
 近づくだけで体当たりしてくるなどして暴れてくる上、中に満たされている毒素を含む液体もあって、研究者達も迂闊に対処できないとのこと。
「この樽ですが、最初は工房のある建物脇に積まれてあったのですが、自力で動き出した後は街路を邪魔するように立っているようです」
 その話を聞いたイレギュラーズの中に、どこかで聞いたような事件と口にした者がいた。
 幻想のとある街で、巨大スライムが街路を塞ぐ事件があった。それに関与していたのがこの錬金術師フリーダらしい。
「樽内部の液体はそのスライムとは違うようですが、人体によっては毒になる物らしいですね」
 それを外の樽に入れて、放置もどうかと思うのだが……。
 ともあれ、この錬金術師には後でみっちりと説教するとして。まずは事態を収拾したい。
「破裂させたりして、撃破するのだけはくれぐれもご注意を。皆さんが中の液体を浴びると、猛毒に侵されてしまいますので」
 それを考えて立ち回れば、後は通常通り立ち回れるが、念の為通行人への対処を考えるとなおよいだろう。
 ――まさか、樽を相手にするとは。
 そんな呟きがイレギュラーズ達の中から出るのを聞きつつ、アクアベルは話を締める。
「ともあれ、近隣住民への被害を食い止めるのが最優先ですね」
 よろしくお願いしますと、彼女は参加を決めたメンバー達へと頭を下げるのだった。

GMコメント

イレギュラーズの皆様、こんにちは。
GMのなちゅいと申します。

●目的
膨れ上がる樽全ての撃破。

●敵……樽×4体
一見すると、普通の樽ですが、
放置すると少しずつ膨れ上がります。
どの程度まで膨れ上がるかは不明です。

初期状態では全長3mほど。
副行動で必ずその体を徐々に膨らませますが、
一定回数の行動で膨張を食い止めることができます。
また、撃破方法にもよりますが、
破裂させるなどして倒した場合、
範囲内にいる樽以外の対象全てに猛毒を与えます。

以下のスキルを使って攻撃してきます。
・体当たり(物近単・飛)
・転がり回る(物中範)
・液体射出(神超遠貫・猛毒)

●NPC
◯フリーダ=シュレーゲル
 20代女性。練達出身の錬金術師です。
 研究熱心であるがゆえに、回りが見えないことがしばしばあるようです。
 自身の研究に夢中で、外での異常事態に全く気付いていません。

 以前、幻想で起こった事件、『街路を塞ぐ巨大スライム』を引き起こした錬金術師です。
 また、『動き出す無念のチョコ達』の1件も直接関与はしていませんが、彼女の薬品が使われたものと考えられています。
 これらの事件は今回の1件とは無関係であり、読む必要はございません。

●状況
 練達某所、フリーダの工房の裏手に積まれた樽が膨張して邪魔になるだけでなく、近づく者に害をなしているようです。
 中には研究で使う液体が満たされており、それが原因となって樽を動かしているようです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

それでは、よろしくお願いいたします。

  • 膨らみ続けるたーる完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年04月15日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

キドー(p3p000244)
盗賊ゴブリン
ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
雨宮 利香(p3p001254)
雨宿りの
藤野 蛍(p3p003861)
二人でひとつ
桜咲 珠緒(p3p004426)
二人でひとつ
天之空・ミーナ(p3p005003)
傍らへ共に
ビーナス・プロテウス(p3p007066)
渇愛の邪王竜

リプレイ

●タルと錬金術師
 練達へとやってきたイレギュラーズ達。
 今回の依頼が樽討伐と聞いて、メンバー達には複雑な表情をし、あからさまに呆れを浮かべる者もいた。
「コロコロするアレを相手にした時も思ったけど……。本当、なんでもありだなこの世界」
 少女のようにも見える朱の翼を生やした『茜色の恐怖』天之空・ミーナ(p3p005003)は、樽の相手をするなどと……と考え、他世界でもそれらしきものと戦った覚えがあるらしい。
「また練達か……って、ここが練達でしたね。さて、どうしてくれましょうか」
 銀髪金瞳、豊満な体型の女性、『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)が今回の事態解決について考える。
「ったく、学者センセーって奴はよう。面倒なモン作ってくれたもんだぜ」
 他メンバーの腹から腰程度の身長の盗賊ゴブリン、『盗賊ゴブリン』キドー(p3p000244)が一度毒を吐いてから思い返す。
 相手は、怪しい液体をぶっかけてくる、転がり膨らむ棒……。
「……ん? 待てよ」
 これは視点を変えれば、眼福イベントが拝めるチャンスなのではとキドーは考える。
「つまりアレだ。濡れ透けだろ!!」
 確かに、中の物体がスライム風であれば、そうともとれるご褒美イベントかもしれない。
 だが、壁役を請け負う生真面目な黒髪眼鏡っ子『学級委員の方』藤野 蛍(p3p003861)は、膨らみ、自力で蠢き、かつ中身が猛毒のタルに不気味さすら覚えていて。
「産業廃棄物問題って、どこの世界でも変わらないのかな……。世知辛いわね」
 さて、そのタルを自身の工房の裏手に保管……というか、放置していた錬金術師だが。
「にしても、錬金術師のフリーダ……だったか? 原因は」
 そこで、『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)が今回の事件を引き起こした張本人に話題を移す。
「ゴーレム研究で成果、膨張やら巨大な何やら……。巨大化技術の研究とかをされているのでしょうか」
 実際の成果は何であれ、このままでは正解以前に居場所がなくなりましょうにと、色素の薄さを感じさせる『要救護者』桜咲 珠緒(p3p004426)は告げる。
「奇術師と研究者は、道を極めるという意味においては似ております」
 全身黒い衣装を纏う『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)は、未知を極めるのは己だけではなく、人と人との協力関係が何より大切だと語る。
「他の人が自分の道以外の道を進んでくれているからこそ、社会は廻り、研究も進むのです」
 奇術師であろうと、研究者であろうと、ただがむしゃらに1人で道を歩くだけでは三流以下と言わざるを得ないと、幻は切り捨てる。
 まして、何度となく失敗を繰り返すこのフリーダという女性は、道を振り返り、軌道修正することもない。
「これではいつまで経っても、己の道を極めることなどできないでしょう」
 そして、また今回もこの女性は同じ過ちを犯している。懲りない方だと幻は首を振った。
「間接的要因を含めて、依頼になったのが3回目かもしれないらしいな……」
 さすがに、ランドウェラもこれには同意せざるを得ない。
 そろそろ、迷惑な錬金術師をどうにかしてくれという依頼が来てもおかしくない状況。
「『どうにかする』が、『殺してくれ』じゃあないと良いねぇ」
 冗談だと笑うランドウェラだが、周囲の人間は心底迷惑しているからこそ、依頼を出しているのだろう。
「ご近所に迷惑をかけるわけには参りません」
 仕方ないと、幻はなんとかしようと動き出すことにする。
 改めて、自身の役割を確認する珠緒。
 周辺対応の他、樽の解析や回復に当たる彼女は、仲間達を一通り見回して。
「皆さん頼もしく、守られるだけにならぬよう、がんばるのです おー」
「全力で処理させてもらうわ。費用は排出者負担で!」
 友達である蛍も当事者に請求を誓い、拳を強く握りしめるのである。

●膨らみ続けるタルに……
 現場へと到着した一行。
 家の敷地を出て、街路にまではみ出す4つのタルがすぐに目につき、メンバー達もすぐ住民の訴えを理解して。
「うっわ。これがまだ大きくなるのはかなり困るな」
 ランドウェラはそれを一目見ただけで、往来の邪魔だと判断する。
 話によれば、近づくだけで襲ってくるというから迂闊に接近することもできない。
 珠緒が事態の収拾に当たる前に保護結界を利用する中、そんなタルに新鮮さを覚えていたのは、身長3mもある『渇愛の邪王竜』ビーナス・プロテウス(p3p007066)だ。
「……わあ、私と同じくらいの大きさの樽とか初めて見たのです。……しかも、さらに大きくなるのですか?」
 普段、自身よりも大きなモノを見ることが少ないそうで、こういったサイズのものを見るのがビーナスにとってはすごく新鮮なのだそうだ。
「……大きい事はいい事です……これを発明した人は凄い人なのでしょうね」
 唯一、樽の中身が猛毒であることだけ、ビーナスは残念がっていたようだ。
「……あぁん? 毒だあ? なんだよ、今回のメンバーの大半毒無効持ちだろ!」
 その言葉を、キドーは別の意味で捉えて叫ぶ。
 事前情報もあってか、今回は皆、毒対策を講じてきている。
「……中の液体は兎も角、外の樽はどんな原理で大きくなってるんですかね?」
「気にすんな、それより……」
 キドーに促され、利香はまず、この周辺から人々の避難警告へと当たり始める。
「はーい、今から猛毒の処理するから、逃げてくださーい!」
 イレギュラーズが訪れ、ようやく処理に当たると興味を持っていた近隣住民に対し、利香は色目を使って遠くに行くよう働きかける。
 また、珠緒は幼児くらいの見た目をした少女ロボットのすずきさん、こじまさんに『毒物処理中 迂回願います』と書かれた看板を、蛍も同じく少女ロボットゆりかさんに『毒物処理中 立入厳禁!』と看板を持たせ、それぞれ口頭での状況説明に注意喚起を行う。
「あの……、今から猛毒の処理をするので……危ないから避難してください」
 さらに、ビーナスも同様に呼びかけを行うのだが、何せ彼女の場合は生まれつき相手に畏怖を抱かせやすいギフトを持つ。
 その為か、彼女に気づいた住民は恐れをなして逃げてしまったようだ。
「準備整ったなら、先にいくぜ」
 ミーナは仲間達に確認し、先んじてそのタルへと近づいていく。
 すると、タルも敵意を察してか、ミーナ目掛けてゴロゴロと大きな音を立てて転がってきたのだった。

●迷惑なタルの破壊を
 転がってくるタルへ接敵していくミーナ。
 彼女はタルの対処に集中すべく一足早く動き出し、両手に持つ蟲惑の短刃『胡蝶の夢』に暗黒を纏わせて切りかかっていく。
 続き、遠距離攻撃の出来るメンバーが先に仕掛ける。
 気にかけるのは、『タルを倒した際に破裂する可能性がある』ということ。
「要因は幾らでも思い付くな……」
 キドーは仲間達と共に、破裂せず倒せる手段を探りながら攻撃を行うことを考える。
 まずは相手の体力を削ろうとキドーは小鬼の手投弾を投げつけ、タルを傷つけていく。
 タルの態勢が崩れるというのは実にシュールだが、動きが鈍ればそれだけ攻撃の機会は増える。
「さっさと終わらせるぞー」
 皆が散開する前にと、ランドウェラがメンバー達へと赤き彩りと共に、高鳴る鼓動によって力を与えていく。
 仲間の支援を受けつつ、向かい来るタルと蛍や利香が抑えへと当たっていく。
「さあ、ボクに釘づけにしてあげるよ」
 委員長特有の生真面目を生かし、蛍はオーラを放って相手を引き付けつつ壁役となる。
 同じく、利香もまた積極的に前に出て盾を構え、比較的体力の高いタルに近づく。
 エスプリの効力もあって、利香は手が体当たりを繰り出してくるだけで即座に反撃を返すことができる。
 それだけでも相手の膨張を止められると分かり、彼女も安心して身を張っていた。
 放っておくと、タルは膨張し続ける。だからこそ、適度に相手に攻撃し、衝撃を与える必要があるのだ。
 盾役が抑え続けている間、他メンバーは攻撃を続けていく。
 信念の鎖を纏い、祝福のささやきで自らに活力を与えた珠緒はしばらく、移動しながら相手の飛ばす液体を警戒する。
 その上で、珠緒は前線メンバーの回復に当たる傍ら、最初に宣言した通りにスキルによるタルの解析も試みていたようだ。
 回復役として立ち回る幻も皆のダメージが少ない状態であれば、一時的に形をなす疑似生命を想像して、相手へと特攻させていく。
 幻の一撃によってタルは混乱して転がり回り、同じタルへとぶつかっていたようだった。
 そして、ビーナスは膨張を食い止める為にと接近戦を仕掛けていく。
 3m同士あるビーナスと暴れるタルの戦いは、圧倒させられるものがある。
 ビーナス本人はさながら怪獣映画の気分でビンタを叩き込み、さらにドロップキックを見舞って衝撃によって爆発を見舞っていく。
 タルどもはそんな至近攻撃を仕掛けるメンバーを囲うようにゴロゴロと転がって接近し、その身を直接叩きつけようとしてくる。
「囲んだくらいで私を止められると思うんじゃねぇよ!」
 ミーナはそんな相手に叫びかけ、死骸盾を使って防ぎつつ2本の短刃を旋回させて暴風域を作り出し、タルを纏めて切り裂いていく。
 時折、敵はタルの中に満たされた怪しげな液体を放出してくる。
 赤黒い液体はいかにも毒素を思わせるが、この場の全員が毒対策を講じており、その身を侵すことはない。
 キドーはその瞬間を狙いすまし、直接中身の液体のみを攻撃しようとするが、かなり難しい。
「中身がタルを取り込んで一体化しているようですね」
 それを聞き、キドーは式符を使う。
 呼び出した黒鴉は素早く戦場を飛び、タルの貫通を試みる。
 その瞬間、タルの体には穴が穿たれたが、すぐ元通りに塞がってしまう。
「そのようだな」
 やはり当初のままのプランでと、彼はタルに対して状態異常を狙うべく、スキルを行使していくのである。

 敵……暴走するそのタルの殺傷力は毒あってのもの。
 それを削がれたタルは、ただ暴れるだけの物体に過ぎない。
 手前のタルを相手にしていたミーナはさらに、暗黒の剣を振るう。
 タルの周囲に闇が覆い、相手が暗闇に囚われたことを確認したミーナは華麗に立ち回り、そのタルを切り刻んでいく。
 次の瞬間、タルは内部から大きく爆発四散する。
 周囲へと撒き散らされる赤黒い液体。
 毒素を含みはするが、すでに力を失ったのか、先ほどのタルのように侵食することはなさそうだ。
 一方で、残るタルどもは、己の身の安全などまるで考えることなく特攻し、本体とも言える中身の液体を放出してくる。
「無警戒な樽ですね! 心があるのか知りませんが!」
 利香は仲間達の体力を見つつ、敵の抑えを続ける。膨張を食い止めるべく体力を多く残す者から切りかかっていく。
 ランドウェラがタル2体が盾に並ぶタイミングを見て、迸る一条の雷撃で撃ち抜いた。
 距離を置いて攻撃できるのは、前線の仲間達が抑えてくれるからこそ。ランドウェラはほとんど防御を考えず、術を行使してタルの無力化をはかる。
 そして、ビーナスは巨体を生かし、猛然と体術を叩き込む。
 拳と蹴りを打ち込む彼女は、相手が耐性を崩した隙をつき、傲慢なる左の拳を振り上げて。
「いきます。ご覚悟を」
 力のままに殴りつけ、ビーナスは目の前のタルを叩き壊す。
 同時に噴射される中の液体。ビーナスもそれを一心に浴びてしまうが、もちろん彼女も毒は『ディープ・グリーン』で対策済みだ。
「飛び散る……にしては、飛散はいまいちな気がするわね」
 その身に纏う委員長特有の圧迫感で蛍は手前のタルを抑えつつ、気になることを口にした。
 敵の破裂のトリガーは皆、ある程度察してきてはいる。
 状態異常なのは間違いないが、暗闇状態なだけだと大きく破裂してしまうのは変わらない。ただ、今の2体目はその飛散はやや抑えめだと蛍は見ていた。
「なら、俺の方針は間違ってなさそうだ」
 目の前のタル目掛け、キドーは呪術を行使していく。
 そのタルはその身を苛む異常が増幅されるのを感じながらも、破裂する。
 だが、やはりその破裂は大きなものではない。
 そこで、相手を見つめていた珠緒が気づく。
「麻痺などの状態異常のまま倒すと、破裂せずに行けそうですね」
「封印があれば、完璧だったかもな」
 周囲にはもうあちらこちらへと、赤黒い液体が飛び散っている。
 珠緒は自らに状態付与できる手段がないこともあり、前線メンバーの回復に注力することにしていたようだ。
「……掃除が面倒だなぁ」
 飛び散ったその液体は若干ぶよぶよした感もあり、お世辞にも触り心地がいいとは言えない。
 破裂するのは、皆が攻撃してトドメとなった直後だと、ランドウェラは確認していた。
 ともあれ、残りは1体。
 幻は距離を取ったまま、再度疑似生命体を飛ばし、残るタルを攻め立てる。
 タルは自衛の為に暴れているに過ぎない。
 ただ、この場の敵対するイレギュラーズ全てを倒してでも、生き残ろうという生存本能のようなものすら生まれているのだろう。
「おっと、ここは通せねぇなぁ!」
 転がり回る敵の行く手を遮るミーナ。
 利香、蛍が挟み込むよう位置取り、サイドからタルの足止めを行う。
 それでも、そのタルが飛ばす液体をミーナは仲間を守るべく受け止め、暗殺闘技でそのタルを解体する。
 メンバー達の抑えもあり、そのタルはこれまでの中で最も大人しく崩れ落ちていったのだった。

●清掃と説教のお時間
 タル退治を完了したイレギュラーズ達。
「ひどい目に遭ったわねぇ」
 抑え役になっていた蛍などは噴射する赤黒い液体を直接浴びており、ぬめぬめになっていた。
「あんだけ樽が暴れ回りゃあ……汚れてるね。はい汚れたー!」
 キドーは自身の体を見回し、赤黒い液体にまみれていることを確認して叫ぶ。
「これはさ、コトの発端のフリーダ=シュレーゲル先生に後始末に参加してもらうべきじゃねえかな! なあ!」
「キドーさん……。これ毒ですよ? それに今の私はそう言うのはお断りでして……」
 利香は彼をなだめつつ、この場を仲間に任せることにしたようである。
 すると、バケツや布巾にモップ、箒にちりとり。掃除道具を持ったミーナが、工房からフリーダを引っ張り出してくる。
「いたいいたいいたいいたい……」
「お前の撒いた種だ。片付けくらい手伝えよ?」
 線の細そうなその女錬金術師は表の惨状と、状況を聞いて平謝りしながらモップを手にごしごしと街路の掃除を始めた。
「……一体何をどういう研究してたら、こうなるのやら」
 タルの残骸を拾い集めるミーナは、その木の欠片を見つつ嘆息する。
「高い所の汚れは任せて!」
 建物の屋根や高い垣根などはビーナスが巨体を生かして一生懸命掃除していくのだが、悲しいかな近隣住民達に敬遠されてしまう邪王竜である。
「そういえば、フリーダさんの研究テーマって何なのかしら」
 蛍は掃除しつつ、『膨張』がキーワードとなっていることを指摘して本人に尋ねた。
 実際に、フリーダは小さいものを増殖する研究を、スライムやゴーレムを使って行っている。
 有機物、無機物問わずに個体を増やせるそれは、飲食物を増やすこともできる。実際、チョコレートゴーレムが大量に発生した事件は彼女の作った薬によるものだろう。
 土砂など無機物も増やすこともできるのだが、同時に産業廃棄物を生み出したり、増殖できる物の種類が限定されたりと問題も多いらしい。
「膨張と成長は異なると理解はしていますが……」
 それを聞いた珠緒は残念がりながらも、戻ってくる少女ロボットを見つめて。
「安全に実用化され、ロボさんたちが大人モードになれたりしたら、素敵ですねぇ」
 果たして、ロボット達が成長できるような研究を行う者はいるのだろうか。
 そこで、アナザーアナライズを使ったランドウェラが口を開く。
「んー、ベーキングパウダーとか、安易に入れちゃうのはどうだろう」
「何で分かったんですか……!?」
 迷惑行ど……研究に役立つことができればと彼は指摘すると、やや驚いた様子でフリーダはあれこれと研究について再び考え始めていたようだ。
「もっといろんな食品とか、貴金属が増やせれば世の為になりそうなのに」
 蛍の主張はごもっともで、フリーダが頭を痛めているところらしい。さすがに、廃棄物を入れたタルごと膨らむなども、想定外だったらしい。
 とはいえ、そんな研究にビーナスは目を輝かせて感動を伝える。
「私以上の大きさになるなんて……、凄い発明でした!」
 ただ、それを彼女は過度のスキンシップで示す物だから、フリーダも苦しそうにしていたようだ。
 そこに、幻が入り、立て続けに問いかける。
「貴方は粘り強く研究するだけでは、ダメだと知るべきです」
 ――第1に貴女の手にする研究の道具は誰が作っているのですか。
 ――第2に貴女が健康で研究できているのは誰のおかげですか。
 ――第3に研究を誰の何の為にしているのですか。
「貴女は他人をもっと尊重すべきです」
「ううっ……」
 幻の言葉がその体に深く突き刺さり、猛省を強いられる女錬金術師なのだった。

成否

成功

MVP

キドー(p3p000244)
盗賊ゴブリン

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは戦術もあって、状態異常の数に言及したあなたへ。

依頼の解決、お疲れさまでした。
ゆっくりお休みくださいませ。

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