シナリオ詳細
<常夜の呪い>終わりのない鬼ごっこ
オープニング
●目覚めることのない眠りの中で
天義の一角にある広場。
そこは、別段珍しくない子供達の遊び場所。
子供達は楽しそうに駆け回り、鬼ごっこをして遊んでいる。
「まてまてー」
「ふふ、おにさんこちらー」
この混沌において、鬼……オーガというのがどういう存在に位置するかはわからない。
ただ、信仰の厚い天義では教えを叩き込まれている子供達だ。なんとなく、鬼を信仰に背く者として考えているのかもしれない。
そんな遊びに興じる子供達だったが、いつしか現れた夜色の霧が広場を包み込む。
駆け回っていた子供達はぱたり、ぱたりとその霧の中で倒れ、眠りについてしまった。
眠りの中、子供達は鬼ごっこを続けていた。
起きている間は、子供達同士で鬼とそれ以外に分かれていたのだが、その夢には本当の鬼がいた。
「ぐわははは……!」
その鬼は屈強な肉体を持ち、金棒を手にして本気で子供達を追い立てる。
ただ、鬼は1体だけではない。
夢の空間に設置された広場内を逃げ惑う子供達を、5体もの鬼が追い回す。
「逃げろ!!」
危険を察して逃げる子供達。
だが、広場は端でループし、どうやってもこの空間から出られない。
その為、子供達は空間内にある遊具やトンネルなどの物陰に隠れてやり過ごそうとするのだが、鬼達はゆっくりと子供達を追い、精神的に追い詰める。
「こわいよ……」
「きっと、聖騎士が助けに来てくれるさ」
隠れる子供達は助けが来ることを信じ、じっと神に祈りを捧げるのである……。
●怠惰と眠りの化身『スリーパー』
天義において、発生している<常夜の呪い>。
それは、建物、町といった単位で『夜色の霧に覆われてしまう』というもの。
発生した霧の中に天義の人々が飲み込まれてしまい、捕らわれたままとなってしまう状況が頻発している。
その中に入った人達は目覚めぬ眠りに堕ちてしまい、放置すれば餓死してしまうだろうとみられている。
この事態を重く見た天義の各教会も、事件解決へと動いている。
だが、その頻度が高い為に人手が足らず、ローレットにも依頼が回ってきている状況なのだ。
ローレットにて、頻発している『常世の呪い』による事件。
『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)もまた、一連の事件の一つを斡旋していた。
今回の事件も天義で起こり、国内某所の広場が現場となる。
「昼間、広場で遊んでいた6人の子供達がその霧に捕らわれ、帰ってこなくなってしまったようです」
事件が起こった夜、子供達が帰宅しないことを知った親が被害者の家族と連絡を取り、この事態が発覚した。
発生から1日程が経っている。子供達もお腹を空かせていることだろう。
「彼らを解放する為には、中にいるスリーパーの討伐が必須です」
残念ながら、外目からは敵の数、編成、さらに内部の環境などは分からない。
それもあって、万全の態勢を整えてから、内部へ突入したい。
なお、この常夜の呪いを発生させている者が周囲にまだいる可能性もある。
事件発生から丸1日が経過している為、すでに離れている可能性も高い。余力があれば、くらいの気持ちで構えておくとよいだろう。
「子供達を巻き込んでいるのは、許せないですね……!」
ただ、アクアベルには戦う力はない。
自分の分まで、スリーパーに怒りをぶつけてほしいと、彼女はこの1件をイレギュラーズ達へと託すのだった。
- <常夜の呪い>終わりのない鬼ごっこ完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年04月09日 00時50分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●子供達の為に鬼退治
天義で起きている<常夜の呪い>による事件。
その事件の一つの解決を、イレギュラーズ達は請け負うこととなる。
「くっ、常世の呪いは本当にどこにでも発生するし、入れ食いのようにタチが悪い」
数々起こるこの事件に、『天義の守護騎士』アマリリス(p3p004731)は辟易としてしまう。
「天義の『神様』は助けてくれねえのか」
その『アニキ!』サンディ・カルタ(p3p000438)の言葉は、アマリリスには聞き捨てならぬ言葉だったろうが、スラムの孤児だった彼に信仰を説くのはあまりにも難しい。
「しょうがねえ。天義の大怪盗サンディ様の出番ってワケだな」
今回、サンディが奪い取るのは少年達。もちろん、主犯のスリーパー達の手からだ。
「殺すのが目的じゃないとは言え、子供を虐めて楽しむ奴らってのは気分が悪いな」
アホ毛を揺らす『小さき盾』ユー・アレクシオ(p3p006118)は、無事に子供達が親元へ帰れるよう気合を入れてこの任務に当たる。
「子供に恐怖を与えて弄ぶなんざ、許される行為じゃない」
ジェイクもまた、子供達に被害が及ぶこの状況に憤りを隠さない。
「子供達は俺の命に代えても全員助ける。いいか、全員だ!」
「捕らわれた6人の子供達の為に、ですね!」
ジェイクに合わせ、ウェーブのかかった長髪をポニーテールにした『圧倒的順応力』藤堂 夕(p3p006645)も、彼らの安全を最優先に動こうと考えていたようだ。
「行きましょう。再びこの夜を終わらせる為に」
天義の騎士たるアマリリスは、身を乗り出す。
イレギュラーズの仲間達を信じて。
●いつまでも続く鬼ごっこ
現場は、天義内のとある広場。
その全体を覆い隠す霧の中で何が起こっているかは、外からでは分からない。
突入に当たり、イレギュラーズ達は万全の準備を整える。
「…………」
警戒していたサンディはその際に何か視線を感じるが、気に留めつつもそのまま仲間を追って突入していく。
空間内では、一行は固まって移動する。
ユーはエコーロケーションで周囲に子供や敵がいないかと確認しながら進む。
『死を呼ぶドクター』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)は八重歯を見せつつ、蝙蝠を使役して上空から敵と子供の位置の把握に努めていた。
「少年達が聖戦士の助けを待っているなら、祈っているはずだよな」
天義は子供ですらも信心深い者が多い。ジェットパックで空を飛ぶサンディは人助けセンサーでその祈りを拾う。
そうして、おおよその場所がわかれば、夕も子供達の感情を拾おうと動く。
『助けて、助けて……!』
『怖いよ、聖騎士様……!』
そんな子供達の恐怖、助けを求める感情を彼女は察知し、使い魔を飛ばす。
白髪の吸血鬼『繊麗たるホワイト・レド』クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)もまたやや可愛らしい鳥を使役して飛ばす。
「残念ながら、直接的な会話が出来ませんから……」
この為、クローネは小さい手紙を括りつけることで、味方だと示す。
人心掌握術も使い、少しでも混乱させぬようにとその手紙に記すことで、子供達を混乱させぬようにとクローネは配慮していたのだ。
さらに、ワイルドな獣種のガンマン、『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)が親から託された子供達の持ち物の匂いを嗅ぎ、それを元に超嗅覚を働かせる。
ジェイクはエネミーサーチも合わせ、敵と子供達を合わせて発見する
「いたぜ、あっちだ!」
そこは、大きな広場を思わせる空間。
あちらこちらの物陰に散らばって隠れる子供達。そして、それらを赤鬼の姿をとるスリーパーが文字通り鬼となって子供達を追い回し、じっと見つめて威圧している状態だ。
「鬼退治には犬はつきものってな。狼の俺が犬役って所かい」
彼が具体的な子供達の隠れ場所を察知することで、メンバー達も子供達が捕らわれたその空間へと飛び込んでいく。
「助けがっ、助けがくるよっ……!」
子供達が喜ぶ声。ヌタウナギの海種である『ラスト・スカベンジャー』ヴィマラ(p3p005079)はそれを直に聞き、目視で子供達の姿を確認する。
「遊びはいいけど、楽しいうちに終わんのが一番さ!」
ヴィマラの一言を聞きつけたのか、赤鬼数体がイレギュラーズ達へと駆けてくる。
金棒を振り回してやってくる屈強な赤鬼の姿は、子供からすれば恐怖の対象でしかないだろう。
「……命懸けの鬼ごっことは笑えねぇなァ。全く」
さて、ちょっくら鬼退治。
レイチェルはスリーパーを抑えメンバーに任せ、まずは子供達の対処へと動く。
「ルーメ、子供達を頼む」
ユーはギフトで呼び出した電子精霊ルーメに持参したチョコを渡し、空から華麗に着地してきたサンディと合流しつつ鬼の引き付けに当たる。
「子供は物陰だ。広い場所へ引き付けよう」
ユーの呼びかけもあり、サンディは周囲を見つつ、広場へと鬼どもを誘導して。
「来いよ。サンディ様が相手してやるぜ」
近づいてくる敵に名乗りを上げ、サンディはさらに引き付けようとする。
ユーもまた、ルーメへの伝達後に残る鬼を引き付けるべく、手乗りサイズの球型マシンを大量に召喚していく。
そんな中、他メンバー達は子供達と接触する。
現れた相手が聖騎士でないことに戸惑う子供達だが、それを察したクローネは人心掌握術を使いつつ語り掛ける。
「……一言で言うなら、聖騎士様の知り合い……そんなとこッスかね……」
「そーなんだ!」
目をきらきらと輝かせる子供達を、クローネがカバーする形でその場から移動させる。
(……私の貧弱さを考えればいっそ、子供の方がタフそうな気もしますがね……)
とはいえ、子供達に当たるメンバーはクローネだけではない。
「ここから離れろ! ここは戦場と化した!」
大声で呼びかけるジェイクは、敵に向けた銃に気を漲らせ、光柱を発射しつつ子供達に避難を促す。
物陰から飛び出す子供達に、アマリリスはしばし気を留めていたようだ。
夕は怒りの感情を抱くスリーパー達が仲間に引き寄せられるのを確認し、子供の保護に当たる。
子供しか入れなさそうな小さなトンネルへ、夕は匍匐前進しつつ入っていく。
(お胸とかお尻とか、引っかかりませんように!)
つっかえたら、子供が出られなくなるだけでなく、自身が攻撃の標的にされかねない。
「大丈夫ですからね!」
なんとか、敵から狙われることなく子供達に接触した夕。
彼女は子供達に目線を合わせて安堵させつつ、外へと戻っていく。
アクセサリーを媒体に呼び出した式神を、夕は『大人のお姉さん』として子供達の纏めを任せ、夕も戦線へと加わっていった。
こちらへと向かってくる子供達を目にしつつ、年長の子供へと接していたのは、レイチェルだ。
『良く頑張った。今、格好良く鬼退治して助けに行くからな? もう少しの辛抱だ』
レイチェルは愛嬌のある蝙蝠越しにハイテレパスで話すことで、子供達の警戒心を解く。
それを受け取り、小さく頷く年長の子。
彼はこの場の子供達の手前、気丈な態度をとっていた。
『……皆の言う事を聞いて、落ち着いて行動する事。いいな? おねーさんとの約束だ』
レイチェルが蝙蝠を預けると、その年長の子は他の子と鬼から離れるよう移動していく。
そんな子供達が安心できるようにと、ヴィマラが大声で呼びかける。
「皆のロックな頑張りには感動したぜ! 感動のお礼にこっからは私たちのロックンロールを見せてやるぜ!」
祈りに応え、ヒーローが来たと主張するヴィマラ。
助けが来てくれたことに、希望を抱く子供達は、これ以上なくイレギュラーズ達の姿が頼もしく見えたことだろう。
子供達がうまく避難できたことで、アマリリスは赤鬼へと立ち向かって。
彼らは助けが来るよう祈った。だからこそ、天義の騎士としてアマリリスは黙ってはおけない。
「真摯に祈る子供たちの心を蝕むことは許さない」
子供達を守る為、彼女は術式を使って鬼の殲滅へと当たっていくのである。
●赤鬼を象るスリーパー達
この場にいるスリーパーの数は5体。
いずれも腰巻だけを纏った屈強な赤鬼を取っており、金棒を担いでいる。
サンディがそれらのうち3体を請け負い、子供達から徐々に離れていくが、見るからに直接攻撃が痛そうな敵だ。
彼は体力重視の装備、エスプリでこの戦いに臨み、自己再生能力とスキルで凌ぎきろうとする。防御を捨てたこの状況で、本人は耐えきるつもりだ。
ユーもまた、盾となりつつ2体を引き付ける。
彼は自らの体力を気がけながら、注意を引き付けた所で光の刃を生み出し、赤鬼どもの体力を奪っていく。
気力を必要としない為、ユーはしばらく防御態勢を取ったままチームの盾の役目を果たす。
そうしている間に、子供達を退避させたメンバー達が駆け付けてくる。
「今日はボルテージと音量マックスで! ワタシのロックを聞かせてやるぜ!」
ギターをかき鳴らすヴィマラは、半透明のジェル状の塊を呼び寄せて赤鬼を個別に足止めし始める。
「鬼さん此方、なんてな。2人は無理すんなよ?」
続き、盾役の2人を気遣ったレイチェルが赤鬼たちへと一言。
「吸血鬼が化けるのは蝙蝠とは限らねぇ」
一時的に金銀妖瞳を持つ銀狼へと姿を変えた彼女は、捉えた赤鬼達へと咆哮を発して敵の体を強く抑えつけていった。
声援を送り始める子供達を見ながら、夕も彼らを蝙蝠や電子精霊に託し、仲間達の回復にと向かう。
盾となる2人はそれぞれ、場を持たせるだけの対策は講じている。
しかしながら、スリーパー達が金棒を振り回し、叩きつけてくる姿は非常にパワフルであり、ダメージも決して小さくはない。
「……子供をしつける為にはもう十分でしょう」
そんな鬼達の姿に悪態をつくクローネは、相手から十分な距離を取って。
「……というか、誰も実際に出てこいとは言ってないッスよ……さっさと帰った帰った……」
クローネはその場の赤鬼達へと、呪いのようなものを振りまいていく。
体に痺れを走らせ、あるいはショックを覚えた敵へ、イレギュラーズ達はさらに攻勢を強める。
そんな中、アマリリスは距離を取って相手に簡易封印を施す合間に、この空間について出来る限り情報を集めようとアナザーアナライズを行使する。
スリーパーの存在によって、この空間が維持されているのは間違いない。
閉ざされた空間で彷徨う精霊達も、多くは情報を持ち合わせてはおらず、逆に助けを求めてすらいたようである。
そんな中でも、メンバー達の攻撃は続く。
ジェイクが『アウローラ』から発した魔性の弾丸を受け、膝をついた赤鬼目掛け、ヴィマラは声を張り上げる。
「空気の読めねー奴らにゃ、反省の為のお仕置きをしてやるぜ、ロックンロール!」
発するデッド・シャウトは、彼女が一時的に解放した内に宿す死霊達と共に放つ。
叫びという形で呪詛をその身に浴びたスリーパーは耐えることができず、爆ぜ飛ぶように消えていったのだった。
「…………」
スリーパーどもは黙したまま、何も語らない。
場所ごとにそいつは顕現する形を変えるようだが、今回は子供達の夢を反映してか、赤鬼という姿を取っている。
強面な上、屈強な肉体を持つそいつらは喋らずとも、そこにいるだけで何とも言えぬ威圧感を抱かせる。子供でなくとも、大人ですらその存在は怯えさせるに十分だ。
サンディは依然として2体を引き付けたままだが、仲間達が駆け付けたこともあって時に攻撃にも打って出る。
彼が呼び出した嵐神がこの場で巻き起こす暴風は、スリーパー達の思考を奪っていく。
その間に、クローネはこの場に有毒ガスの霧を生み出し、スリーパー達を毒に侵してしまう。
恍惚としていた1体は衝撃に耐えられず崩れ落ち、霧散するように消えていった。
スリーパー達は、力攻めばかり行うわけではない。
時に、目の前のサンディやユーから気を反らし、敵は催眠波を発してイレギュラーズ達を眠らせようとしてくるが、メンバー達は完全に眠ることはなく、態勢を乱すといった程度の物。
もちろん、その状態で棍棒を受ければ一溜まりもない。
だが、近距離であれば、それを受ける確率は高くないこともあり、ユーはしっかりと相手を引き付け続ける。
戦闘の最中に金棒での一撃をまともに食らえば、ユーは回復を仲間に任せて全力で防御態勢を取っていく。
前線メンバーの疲弊は少なからずあり、夕は癒しの力を持った魔法の絆創膏を盾役の2人へと張り付けていった。
大きな絆創膏が現れる図は、見た目だけでも和ませてくれるが、効果は折り紙付き。
あと一踏ん張りとユーも身構え、赤鬼達の前に立ちはだかり続ける。
「「がんばれ、まけるなー!」」
遠くから聞こえてくる子供達の声援。
それを耳にすれば、イレギュラーズ達も負けてはいられないと感じていたようだ。
半数を失ったスリーパーは徐々に劣勢となっていたが、イレギュラーズ達はそいつらを逃がすことなく確実に叩く。
態勢を崩してグラつく赤鬼目掛け、ジェイクは再度気を集中させた銃『アウローラ』から光の柱を撃ち放つ。
それに胸部を穿たれた赤鬼が前のめりに倒れ、地面に激突する前に全身を霧のように変えて消え去ってしまう。
程なくして、一行が別の1体を攻め立てていく中、アマリリスが術式を展開して。
「その目に焼き付け――地獄で詫びろ!!」
大きく燃え上がる炎が赤鬼の体を包み込む。
そいつはしばらく身悶えしていたが、やがて抵抗すらできなくなり、溶けるように全身を崩していく。
「さぁ、後一息だ! だから、諦めずに行きな! 今日はゆっくり寝られるぜ!」
残る敵が1体となったところで、ヴィマラが叫ぶ。
追い込みとなる状況で、スリーパーはやや戸惑いの素振りを見せるが、自身が倒れることはこの空間がなくなることも同義。
詰まるところ、この場から離れられぬ以上、そいつは空間と命を共にせねばならないらしい。
ヴィマラはエレキギターをかき鳴らし、内に宿す魂を敵に向けて解き放つ。
呪いに捉われて見る見るうちに弱っていくそいつへ、レイチェルは言い放つ。
「Die Rache der Hölle」
それは、『地獄の復讐』を意味する言葉。
憎悪に染まった血で描かれた陣から灼熱の炎が噴き出し、赤鬼の体を包み込む。
「憤怒、そして復讐の焔こそ我が刃。復讐の果てに燃え尽きるのが我が生なり」
レイチェルの詠唱の間も、炎は敵の体を燃やし尽くす。
もがき苦しむ敵は煌々と燃え盛る炎に生命力を奪われ、完全に消滅していったのだった。
●眠りの霧は晴れて
スリーパー達が消えたことで霧は晴れ、空間は元の広場へと戻っていく。
「霧が晴れましたか」
クローネが周囲を見渡せば、そこは天義の青空の下。
見慣れた場所に戻ったことで子供達は安心したのか、泣き出してしまう。
「凄い怖かったな? 遅くなっちまって悪ぃ」
レイチェルは怒ったっていいと謝罪の言葉を口にするが、子供達はただただ泣くばかり。
そんな彼らの頭をジェイクは1人ずつ撫で、優しく抱きしめる。
「よく頑張ったな。家に帰ってゆっくり眠るといい」
夕もまた先ほどと同様に目線を合わせて優しく接し、ユーは追加でチョコを差し出すと、お腹ぺこぺこの子供達は涙を流したままそれらを口にしていく。
(嗚呼、なんか前のご家族を思い出すな……)
前に、同じく常世の呪いに囚われた家族を思い出しながら、アマリリスは水やフルーツヨーグルトを差しだして。
「何か不穏なことや不思議なことがなかったかい?」
とはいえ、子供達も今は言葉を返すどころではなく、泣いたり食べたりと忙しい。
なお、後で改めてアマリリスは子供達へと尋ねに向かったのだが、子供達もあの場では逃げることが手一杯で、他の事に気を割く余裕はなかったようである。
そこで、ヴィマラが景気づけにと愛用のエレキギターを手にして、歌のリクエストを聞く。
「ワタシはねー、デスなメタルも好きだけど、皆で歌う歌ってのも一番好きなんだよね」
泣き止む子供達が天義の歌をと告げると、彼女はそれを奏でて一緒になって楽しく歌い始める。
安堵した子供達はやがて、疲れからか眠り始めてしまう。
無事に霧が晴れたことで、心配していた保護者達がこちらへと駆け付けてくる。
全員無事に帰れそうな子供達を目にしつつ、一息つくサンディ。子供が怒られるような事態にはならず、免罪符は必要なさそうだ。
「俺の帰りを待ってくれる人もどっかにいねーかな」
空を見上げ、彼は優しい女性の存在を求めて嘆息してしまうのである。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ公開です。
MVPはサンディさんへ。
子供達の発見と抑え、仲間達の火力アップと幅広い活躍と判断しました。
今回は参加していただき、本当にありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
常夜の呪いに捕らわれた天義の子供達の救出を願います。
●状況
天義内の広場で遊んでいた6人の少年が広場ごと霧に覆われてしまいます。
彼らを助け出すことが今回の目的です。
事件発生から1日経っており、彼らの救出は急務です。
もしかしたら、黒幕がこの近くに潜んでいるかもしれませんが、経過時間を考えればその可能性は低いでしょう。
●敵
◎スリーパー
怠惰と眠りの化身。犠牲者から現実を奪い永遠に眠らせることを使命とする怪物です。
彼らを討伐することで呪いは解け、広場を覆う霧は晴れるようです。
●NPC
子供6人。3~8歳の子供達です。
広場で遊んでいる際、スリーパーに狙われてしまったようです。
====以下、プレイヤー情報です===========
●敵
◎スリーパー×5体
姿形は状況によって異なるようですが、この世界においては身長2m程度の赤鬼……オーガといった印象を抱かせます。
・催眠波(神遠扇・乱れ・物無)
・金棒でぶっ叩く(物近単・弱点)
・金棒をぶん回す(物中範・ブレイク)
●状況
閉じられた空間の中、200m四方の広さをした広場です。
赤鬼の姿をしたスリーパーが子供達を追い回しております。
ただ、その夢の中の広場は木、遊具、土管やトンネルなど、逃げることのできる場所が設置されています。
スリーパー達は子供達が捕まらないようしながら、精神的に追い詰めているようです。
====以上、プレイヤー情報です===========
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それでは、よろしくお願いいたします。
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