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シナリオ詳細

闇組織、長耳愛好会からの刺客!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●闇の組織
 暗がりの室内に、八人の男達が集まっていた。
 着席するそのその姿、威風堂々、筋骨隆々。その振る舞いから歴戦の勇士であることが伺いしれる。
 暗がりゆえに、その表情は伺い知れない。何かを企んでいる。そう読み取れる雰囲気を纏っていた。
 太い腕をテーブルに乗せた男が静かに口を開いた。
「最近、我等が庭に”彼等”が足を踏み入れているそうではないか」
「噂に聞く救世主様ですな。
 どのように我等が女神に取り入ったのか……不純な者が森の平和を乱すことも考えられるでしょう」
「そうであれば、我等が聖地が穢されてしまうのも時間の問題だ!
 すぐに対応をするべきではないか!」
 激昂する男がテーブルを強く叩いた。
 男の怒りはこの場にいる一同の気持ちを反映したものだ。で、あれば対応に乗り出すのはこの場の総意と言えた。
「では、我等が手勢を送り込み、警戒と監視――そして”彼等”に対する当てつけ……ではなく反抗の意思を示すとしましょう」
「ふん、ならば一番手は俺が行かせてもらおうか!」
 勢いよく立ち上がった巨漢の男。その手には深緑の指導者たるリュミエ・フル・フォーレの隠し撮りブロマイドが一枚。
 ブロマイドを見つめて鼻息荒くした男は、大股で部屋から飛び出していった。
「ふん、紳士的ではない奴め。
 我等が事を荒立てては元も子もないというのに」
「まあ、ここは様子を見ましょう。
 聖地の出方も見守る必要があるでしょう」
 その言葉に一同は頷いた。
「我等長耳愛好会、これより表舞台へと出ようではないか――ククク、ハーッハッハッハッ!」
 ブレーカーが落ちる音がして、室内が完全なる闇に包まれた。


「不審者の噂……?」
 イレギュラーズが尋ね返すと『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)が頷いた。
「最近、深緑の方に行く事が多くなってきたと思うけれど、それに合わせるように深緑の国境沿いに屈強な戦士達が出現するようになったの。
 傭兵、というわけでもなさそうだし、深緑側を望遠レンズで観察しながら何やら興奮しているようで、結構怪しい連中だわ」
 なんとも奇怪な連中だが、国境沿いで何を考えているのだろうか。深緑の偵察? どこかの連中が軍事的な行動を起こそうとでも言うのだろうか。
「とにかく気味が悪すぎるってことで、深緑首都の警備部門よりローレットに偵察及び排除の依頼が来たわ。
 まー相当怪しい連中だし、何も考えず排除しちゃっても良いと思うけれど、結構強そうな連中が集まっているというのが、少し心配ね」
 怪しいが故に、その力は未知数だ。
 オーダーには国境沿いからの排除が含まれている以上、連中を動かす必要はあるが……話を聞いてくれるような連中だろうか?
「とにかく、準備は万端にね。
 ……実は色々情報を集めていたのだけれど、連中に近づこうとすると決まって変なおじさんが瞳を輝かせて走ってくるものだから、あまり有益な情報は集められなかったわ。
 もう、本当に怖かったもの……うぅ、気持ち悪い」
 クスンと鳴き真似をするリリィだが、あまり怖かったという感じが出ていない。きっとその変なおじさんは某か痛い目を見たに違いないのだ。
 依頼書を受け取ったイレギュラーズは、さて手探りながらどう動くか、思案を重ねていくのだった。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 何だか危なそうな組織が表舞台に出てきたようです。
 私はメンバーの一員ではありません。本当ですよ?

●依頼達成条件
 深緑国境沿いにたむろする戦士達の排除(撃破、撤退させるなど生死は不問)

●情報確度
 このシナリオの情報精度はBです。
 用意された情報が少ないです。何が必要か考える必要があるでしょう。

●屈強な戦士達について
 深緑国境沿いで何やら監視活動を行ってる連中です。数は十五人。
 一様に超特大の望遠レンズを持って大樹ファルカウの方を観察しています。時より「ウフォォォ!!」とか「ヒュゥー!! 最高だぜ!!」とかヤバイ奇声を上げています。
 しかし、そんなヤバさとは裏腹に、連中の装備はかなり強め。その肉体も鍛え上げられており生半可な相手ではないことを想像させます。
 戦士達の付近では幻想種や耳の長い人々がたびたび不審者に襲われる事案が発生しているようです。
 長耳の方はご注意ください。”その耳を守らないとパンドラが減ります。”
  
●戦闘地域
 深緑国境付近、森の中にある丘になります。
 時刻は昼。穏やかな風が吹き、過ごしやすい天候です。
 戦闘となれば小高い丘の上となりますが、障害物等なく、戦いやすい地形となるでしょう。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • 闇組織、長耳愛好会からの刺客!完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年03月30日 23時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンティール・リアン(p3p000050)
雲雀
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
白薊 小夜(p3p006668)
永夜
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
<不正義>を知る者

リプレイ

●接触してみたら思った以上に変態でした
 深緑国境沿いに現れたという不審な集団。
 あまりにも不審不安を煽る存在であるからして、深緑首都の警備部門もこれは対応しなくてはならぬと重い腰を上げ巡り巡ってお鉢はローレットに回ってきた。
 依頼を受けた八人は、揃って深緑国境沿いへとやってきた。
「――神よ罪深き彼女に贖罪の機会を与え給え」
 聖業人形を起動し身を守る準備を整える『黒鴉の花姫』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)。幻想種である彼女はこの依頼に望む前に、ある預言書を開いて見たと言う。
「長耳 ぺろぺろ 気をつけろ……。
 不吉を語るのはいつものことだけど、直接的すぎて困る、ね」
 一体何をされてしまうのか、思わず背筋を走る悪寒に身震いする。
「なに、心配することはない。
 私達が確りと守ってみせるさ。不埒な行動はすべてシャットアウトだ」
 長耳派に対し双璧を成すケモ耳派として、その力を見せてもらおうかと意気込む『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が猫耳をぴこぴこ揺らしながらそう言葉にする。
「あたしも、手伝うよ。
 ……でも耳の長い人が襲われるんだっけ……あたしも危ないのかな?」
 長いウサ耳を揺らす『孤兎』コゼット(p3p002755)が首を傾げる。幻想種をマークする集団ではあるが、獣耳までカバーするのかどうか。その守備範囲は杳として知れない。
「とにかく情報が足りないからな。
 少し危険かもしれないが、手分けして情報を集めてみよう」
 『優心の恩寵』ポテト チップ(p3p000294)の提案に一同は頷いて、長耳な三人を中心に二人一組(または三人一組)を作ると、国境沿いを占拠する不審者へと近づいていくのだった。

 『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)とコゼットが森を歩き国境沿いへと近づいていく。
 すると、不意に草木を踏みしめる音がした。リースリット、そしてコゼットの耳が音を聞きつけぴくりと揺れる。
 人の気配。気を張って音がした方を見れば、木々の隙間を縫って四人組の男が現れた。
「いやぁ、どうもどうも」
 和やかに話しかけてくるが、その笑顔が妙に怖い。イヤらしい笑みと言うべきか、下心が見え透いていた。間違う事はないだろう、話に聞く不審者だ。
(武力的な襲撃を受けるという訳でも無さそうね。
 どちらかというと……その……)
 気持ちが悪い、とリースリットは思わず口に出しそうになる。情報屋も似たような感想を持っていたが、なるほどと納得してしまう。
「リースリット、下がって」
 コゼットがリースリットを下がらせて男達の前に立ちはだかる。だが、男達はそんなことをまるで気にする様子はなく、どんどんと近づいて二人を取り囲もうとした。
「えっと、その……なんですか?」
 リースリットが怯えたように尋ねると、男達は随ずいと顔を寄せる。近い。怖い。
「なあに、僕らはこの森を守る平和の使者さ。
 君のようなハーモニアが魔物に襲われてはことだからね、もう大丈夫さ。どこまで行くんだい? どこまででも付き添うよ。なあにナンパとかじゃないさ、大丈夫道案内するだけだよ気楽に話しながら一緒に行こうじゃないか、それにしても君とても素敵な耳だね細く横に伸びてあぁ見事なフォルムだきっとプニプニで柔らかいのだろうね、ね、物は相談だけど触ってみても良いかい? 大丈夫ちょっと触れるだけだから、はぁはぁ、ちょっとだけ、先っちょだけだかr――」
「ちょっと、離れて――」
 口を挟ませない勢いでベラベラと語りながらその欲望を吐いていく男達に悪寒を覚え、コゼットが思わず男達を突き飛ばした。そして、コゼットがリースリットの手を取って男達から離れるべく駆け出した。
「おっと、うさ耳の彼女はご機嫌斜めのようだ。でも心配しないで、僕らはこれくらいじゃなんともないからね」
 言いながら追いかける男達。
 彼等の出方、手口……そして大凡の目的は今の会話だけで見えてきた。きっとこうして幻想種の耳を好きなようにいじるのが目的なのだ。いや、この狂気性はエスカレートすれば長耳をコレクションするような猟奇的なものになるに違いない。そう思い込んでしまうほど、彼等の態度と行動はおぞましく、恐怖を感じるものだった。
 リースリットとコゼットは逃げるように走り去るのだった。

 アイリス、汰磨羈、そして『剣鬼』白薊 小夜(p3p006668)の三人も大凡似たような遭遇の仕方をしていた。
 偶然遭遇したかのように、どこからともなく現れる男達。「森を案内する」という言葉から始まって捲し立てるように言葉を続け、最後には「耳を触らせてくれ」に帰結する。驚くほどに話術の無い連中である。
「これは、見れなくてもわかるわね……。
 ……こう残念な感じの方々な気配がするわ……」
 呆れたように言う小夜。アイリスを庇いながら、男達を近づけさせまいと気を張る。
「おっとお嬢さん、邪魔しないでおくれよ? 俺達はただその後ろのハーモニアちゃんを安心、安全にしたいだけなのさ。……ついでにお近づきになってその長耳をぺろぺろしてあげたいなんてちっとも思ってないさ。きっと、言葉を無くすほどの美味に違いない!」
 思ってることがダダ漏れの男に目を細めて、汰磨羈が手を突き出しそれ以上寄るなと警告する。
「――御触り厳禁だ。愛好家であるなら、マナーは守るべきだろう?」
「……マナー。マナーね……」
 男達は顔を見合わせながら薄ら笑いを浮かべ言った。
「そういって多くの同志が指をくわえて見ていたがね。
 でもな、そうして見てるだけじゃ一生この溢れ出る思いは遂げられないって教わったのさ」
「教わった……? 誰に――」
 ニヤリと、男達が笑う。
「教えてやるよ”救世主(イレギュラーズ)”。
 俺達長耳愛好会武闘派筆頭、ナメール・サワミールの名をな!」
 瞬間、男達の気配が変わる。多くの死地を乗り越えてきた不屈の戦士としての姿を覗かせた。
 その恐るべき気配に、思わず汰磨羈と小夜が武器を構えた。自動戦闘人形の影に隠れるアイリスは集まった鴉に攻撃指令を出す直前だ。
 緊張の糸が張る中、アイリスが感じていた疑問を口にする。
「長い耳の、何がいいんだろ……?
 寝るときとか、つぶれちゃって痛いよ?」
「痛いのか!?」
 驚くように声をあげる男達。捲し立てるように「どの辺りが痛いんだ!?」とか「どんな感じに潰れるんだ!?」とか「寝るときはどっちに身体を向けるんだ!?」とかよく分からない質問を繰り返した。藪蛇だった。
「意味がわからないけど……圧力だけは本物ね……」
「まったく、強そうなのか弱そうなのかハッキリしてほしいものだが」
 小夜と汰磨羈は呆れたように言葉を零す。
 さりとて、状況は分が悪い。ひとまず撤退したいところだが――その考えを見抜いた男達が口を開いた。
「ここは退くか。それも良いだろうよ。
 だが、深緑の、幻想種の平和と維持は俺達の仕事だ。幻想に本拠を置くような部外者は引っ込んでいるんだな。
 それと――君!」
 ビシッとアイリスを指さす男。思わずアイリスの肩が跳ねた。
「君を始め長耳持ちが何人かこの場に来ていることは分かっている!!
 君らのその長耳! 絶対に舐め愛でてやるぞ!! 楽しみにしていてくれ!!!」
 ぞぞぞっと背筋に悪寒が走る。冷静沈着なれど、気持ち悪いものは気持ち悪いのだ。
「行って……」
 思わず鴉を嗾けるアイリス。ガァガァ鳴きながら鴉が男達に襲いかかった。
 三人はその隙に一時撤退を行った。男達は不気味に笑い続けているのだった。

●暗躍
 長耳愛好会武闘派。
 組織として動き出したと言うのであれば、直接的な交渉も可能ではないだろうか。
 そう思案した『雲雀』サンティール・リアン(p3p000050)はポテト、そして『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)と共に交渉の場へと付こうとしていた。
「そういえばさっきは何してたんだい?」
 サンティールの問いかけに寛治はメガネを直す。
「いえ、大した事ではありませんよ。
 少々ビジネスの気配を感じたので手を打って置いただけです」
「ふーん」
 きっとまた誰かのアルバムでも作るのだろう。いつもの事だと思って深くは追求しなかった。
「いたな。あいつがリーダーだろう」
 ポテトの視線の先、一際屈強そうに見える男がこちらを見定めるように見つめていた。
「長耳愛好会武闘派リーダーのナメール・サワミールだな!
 深緑のみなさんからの苦情をおとどけにあがりました!」
 フードを被って耳を隠したサンティールがそう言うと、巨漢の男は「ぬぅ!?」と唸って見下ろしてくる。
「聖地より苦情だとう? 何を馬鹿な事を。我等は聖地を脅かす脅威の排除を担っているのだ。
 感謝されこそ苦情などもらう理由は毛頭無いわっ!」
 くわっ! と目を見開きながら寄ってくるナメールを前に、サンティールを庇うように立ちはだかるポテト。この押し戻されるような圧力から大好きな耳長の友人を守るのだと気を張った。
「そうはいうけれど、きみたちがこっそり覗き見してるの、みんな知ってるんだ。
 『怖くて夜も眠れません、助けてください』
 僕たちはそんな幻想種のみんなの悲鳴を聞いてやってきたの」
「それは尊き民達を守る為のものである! 我等の本懐を知れば、皆が挙ってその長耳に触れさせようと差し出すに決まっておるわ!!」
 妄想もそこまでいけば大した物だと、イレギュラーズは呆れかえる。いや、たぶん本当にそう信じて行動してるのかもしれないが、だとすれば周りが見えていないにもほどがある――長耳ばかり見てるから当然か。
「ふん、救世主などと褒め称えられ調子に乗って我等が庭にまで足を運びおって。
 大方汚い手を使って我等が女神(リュミエ・フル・フォーレ)に取り入ったのであろう。
 世界中を騙せても、この俺は騙せんぞ!!」
 裂帛たる気合いを解き放ち、戦意を見せるナメール。尋常ではない気迫に気圧されるが、交渉はまだ終わっていない。
「でも僕たちも戦いたいわけじゃないんだ。
 ね、そのちからを深緑のためにふるう気はない?
 そうしたらいつでも幻想種のひとたちに会えるし、かれらのちからになれるんだよ」
 様々な仕事を斡旋する用意があるというサンティール。その言葉にナメールは「ほう」とイヤらしい笑みを浮かべる。
「いいのか? 俺達武闘派は過激派でもある。
 尊き民達の接触機会が訪れるならば、どのような手段を持ってしても、行動するぞ。
 そう、舐め回すようにその耳を愛で、チャンスと同時に壁ドンからのお触り、耳たぶを愛撫しながら耳の穴を擽り、息を吹きかけ、その長い耳を下から上まで一直線に舐めて噛むぞ!! フウォォオオ――! たまんねぇな、おい!! いいのか!!?」
「いや、ダメだろう。お触り禁止」
 思わずポテトが突っ込む。目が本当に危ない人の瞳をしてる。こいつは危険過ぎる(色々な意味で)。
「ふん、ならば交渉は決裂だ。大人しく尻尾を巻いて逃げ帰るか、力尽くで俺達をどうにかしてみせるのだな」
 言い捨てるナメールに、それまで黙っていた寛治が口を開いた。
「そちらの希望は承知致しました。
 ”国境の丘”でお待ちしています。一度頭を冷やし、そこで互いの意思確認を行いましょう」
 寛治は何を言い含めるようにそう言って、交渉の続きを行うことを約束した。寛治に促されたイレギュラーズ達は疑問符を浮かべながらその場を後にする。
 後に残されたナメールは――まるで何かを理解したかのように――ジッとその背を見つめているのだった。

 イレギュラーズ達が去ったその場所で、ナメールは懐から一枚のブロマイドと小さなアルバムを取り出した。
 ブロマイドにはリュミエが映っている。その長耳を愛でると、手にしたアルバムを開いた。
 中には――深緑出身のイレギュラーズ、ラーシアと、依頼に参加しているリースリットのあられもない姿の絵、そして手紙が添えられていた。これはイレギュラーズがやってくる前に、”救世主のダチ”と名乗る者が持ってきたものだった。
 鼻息荒く絵を見ながら、手紙の文面へと目を落とす。
『おそらく私は貴方方と同じ価値観を持つ者です。
 彼女らに暴力的に接するので無ければ、長耳達へ合法的・平和的に接触する機会をご提供します。
 私の《プロデュース》でね』
 そして最後に戦う意思を感じさせる文面と共に『――”国境の丘”でお待ちしています』と記されていた。
 あの男にどのような企みがあるのか――それを知る必要がある。
 長耳愛好会武闘派に大きな転機が訪れようとしていた。

●ハーモニアを巡る光と闇がそこにある
 国境の丘に集った者達が、互いに譲れぬ意思をぶつけ合う。
「私にとってこの森は母の故郷でもあります。
 ――……どうしても、やめてはいただけませんか?」
 リースリットの言葉に頭を振る男達。「我々も多くの我慢をしてきたのだ。もう、我慢出来ない! ちょっとくらい触ってもいいだろ!!」と我が儘な子供のような事を言い始める。
「リュミエ様に森の警備を任されし自警団から依頼です。これ以上の狼藉はさせません」
 自身の長耳を囮に、リースリットが多くの男達を引きつける。だがそれはあまりにも危険な手段だ。屈強な男達の野獣のような手が指が舌が、リースリットの長耳を撫で回す! パンドラが削られていく!
「それ以上は許さないわ――!」
 長耳の仲間を守るように小夜が庇い、気迫の乗った構えで敵の気勢を削いでいく。峰打ちによる痛打が容赦なく男達の意識を奪い取っていた。
「ごきげんよう! 新進気鋭、ミミナガアイドルのサティだよ!
 いうこと聞いてくれないわるいこはおしおきしちゃうぞ!」
「貴様――! いや、君も耳長だったのか!?」
 ローブを脱ぎ捨てその尖った耳を見せるサンティール。ミミナガアイドルとして踊るように立ち回り説得を続けるサンティールに、ナメール達の戦う意思が削がれていく。だが、同時に耳長への高ぶりを呼び起こし、リースリットと同じように男達に囲まれ愛でられてしまう!
「ほら、長い耳はこっちにもあるよ」
「長くはないが猫耳もあるぞ」
 男達に囲まれ大変な目にあっている二人を救出するべく、コゼットと汰磨羈も業を振るい男達を薙ぎ倒しながら、耳をぴょこぴょこ動かした。なんだか一部の男から熱い視線を感じる。隠れケモミミニアンが発見された瞬間だ。
「ごめん、あの人たち怖いから、本当に助けて」
 ガチで怖がっているアイリスは、周囲の霊魂にまで呼びかけて、鴉に動物に霊魂のトリプルコンボで男達を追い詰める。
「私から見て素直に怖い」この言葉に幾人かの男は心臓を貫かれ、勢いままにもんどり打って倒れた。
「うーん、リリィもあんな目に遭ったのだろうか……。
 じゃなくて、しっかり援護しないとな」
 男達に追いかけ回されている長耳の仲間に同情しつつ、回復メインに立ち回るポテト。しかし、想定と異なってあんまり怪我人がいない戦いである。回復すべきは長耳な三人の心の傷か。
「くっ……さすがは救世主というところか。やりおる……!」
 イレギュラーズの力に押されナメールが歯噛みする。そこに寛治が近づいて怪しく囁いた。
「さて、改めて私からご提案があるのですが――」
 寛治の口から恐るべき計画が出される。
「私がご提案するのは、ハーモニアの女性たちと共に食事や飲酒を楽しめるクラブ……そう、ハーモニアキャバクラです」
 その提案にナメールは想像からの衝撃を受け、鼻血を出して膝をついた。目くるめく魅惑の世界キャバクラ。まさか、そんなことが可能なのか!?
「可能です。私のマネージメント力があれば、ね」
 オープニングスタッフには彼女も在籍する予定です、と側で逃げ回るリースリットへと話を振った。
「初耳なのですが!?
 まぁ……はい、やります、けど……」
 迷っている状況でもないことを察して空気を読むリースリットは健気だ。
 ナメールが全てを観念した表情を見せながら、しかし身体はガッツポーズを見せ、敗北を口にした。
「ちっ、まいったぜ。そんな計画を出されちゃぁな。
 アンタの計画……長耳愛好会武闘派筆頭として乗らせてもらうぜ……!」
「良い判断です。これからは我慢することなく、私の店で吐き出していってください」
 ニコリと微笑んだ寛治は、交渉締結の握手を繰り交わすのだった。
 こうして長耳愛好会武闘派はその宗旨を変える事となる。

 そして、密かにその店が開店する。
 ハーモニアの従業員で構成された娯楽の伝道、ハーモニアキャバクラ。
 限定的なお触りを許すその店は、長耳を愛好する者達の憩いの場となった。長耳愛好会武闘派達も、昼は深緑の為に働き、夜はキャバクラで豪遊するという生活にご満悦だった。コゼットが提案した文通を実践した男もいたとか。
 だが、大金が動き不純な接客がある経営に、深緑首都の鋭い視線が向く事になるのは言うまでもない。……閉店にはならなかったけど、たっぷり怒られました。
「まったく、人騒がせなものね……そんなに長耳がいいのかしら?」
 小首を傾げた小夜の横で、汰磨羈とコゼットが言った。
「次はケモ耳キャバクラだな」「お触りは、厳禁で」
 はてさて、そんな店が出来る時はくるのでしょうかね――?

成否

成功

MVP

サンティール・リアン(p3p000050)
雲雀

状態異常

なし

あとがき

 澤見夜行です。

 えーなんか文中に私のような名前が出てきましたが、本当に人違いです。
 それはさておき、想定の斜め上が来たのでリプレイのようになりました。ちょっと長耳をお触りするような話だったはずですが、舐め回したり、キャバクラができたりおかしな話ですね。
 若干イージーよりな話になりましたが、皆さんきちんと戦闘プレも仕込んでいたからこその結果です。
 その上でパンドラは変則的ながら減らさせて頂きました。

 MVPは表にでれる仕事を提案したサンティールさんへ贈ります。
 そしてとんでもない提案をしてキャバクラなんて作っちゃった新田さんは裏MVPとして悪名がプラスされます。いいぞ、もっとやれ……ではなく、反省してください。

 依頼お疲れ様でした! 素敵なプレイングをありがとうございました!

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