シナリオ詳細
霧の塔への誘いー II ー
オープニング
●霧がかった塔
…………ブウゥゥ――ンン――ンンン………………。
どこからとも無く蜜蜂の唸るような音が幻想の空へと響き渡る。
霧の塔。
それが、幾許かの期間を開けて、再度姿を現した。
霧掛かった塔に眠るは、どのような神秘、宝物か。
冒険者達の新たな階層への挑戦、攻略が始まる――
●霧の塔への誘いII
霧の塔第二階層の攻略メンバー募集が始まった。
「果ての迷宮への誘いがあったところだけれど、霧の塔の方も進展があったわ。
およそ一ヶ月の期間をあけて、霧の塔が再度姿を現したみたいなの。
先行した冒険者の話によれば、一層は前回特異運命座標ちゃん達が見つけた二層への入口が出現したままになっていたようよ。
これによって二層の攻略が本格的に始まったと言っていいわね」
『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)がワクワクを隠しきれないように言葉にする。
霧の中に聳え立つ霧掛かった塔。
その一層では四つの部屋に仕掛けられた謎を解き明かした。
攻略中に手にした気になる情報といえば、
・霧の塔は『モチャフ・レイヤスク』という魔道士が研究の末に生み出したものということ。
・『霧の塔は四層からなる迷宮である。これを乗り越えた者にこそ”あれ”を手に入れる機会を与えられるというものだ』
・内部に閉じ込められた者が謎解きのギミックに使用されたこと
そして、”ミストジグラット”と呼ばれていることである。
「今回も不思議な物好きの領主、アテスト・モリガンさんがスポンサーとなって攻略に必要な資材が集められたわ。
代わりに攻略中になにかお宝になりそうな者を入手、もしくは次階層への道を発見をするのが成功要件となるわ」
第二階層は三本の通路とそれを示した石碑が置かれているようだ。
石碑にはこう書かれている。
『全ての道は頂上へと至る道筋に他ならん。
されど、上層へと至るは一握りである』
・剣の道に進む者よ、其の力を我に示せ。
・知の道に進む者よ、隠されし意味を解き明かせ。
・神の道に進む者よ、その信仰心を神に捧げたまへ。
「先行したトレジャーハンター達が入手した情報を依頼書へ書き込んで置いたわ。
事前に参考にして、攻略の手がかりとして頂戴」
リリィに依頼書を手渡され、イレギュラーズは準備を開始する。
霧の塔、その第二階層の攻略が始まるのだ。
- 霧の塔への誘いー II ー完了
- GM名澤見夜行
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年03月20日 21時25分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●霧の塔II ーinformationー
――霧の塔。
魔道士『モチャフ・レイヤスク』が設計し研究の末に作り上げたというこの塔を調べれば調べる程に謎が深まっていく。
『モチャフ・レイヤスク』――無銘にして、謎に包まれた魔道士と、彼が作り上げた塔。
霧の塔内部に残された日記には、塔に閉じ込められた者の怨嗟が深く刻まれていた。
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は霧の塔一層攻略後、『モチャフ・レイヤスク』、そして閉じ込められていた者について調査を行った。
『モチャフ・レイヤスク』については――その素性について一切の情報を得る事が出来なかった。
逆に、『霧の塔に挑んだ夫婦』については、確かな手がかりを得る事ができた。
霧の塔に挑んだ冒険者、アイラス・ゴードンとダルト・ゴードンだ。
掴んだ手がかりは、夫であるダルトの手記である。
夫婦で冒険者をしていたゴードン夫妻だが、ある日、妻アイラスが行方不明となった。ダルトは生涯を掛けて妻の行方を追い、六十年の歳月を経てついにその行方を掴む事となる。
不屈の日々が記された手記の最後に、こう記されていた。
『私はこれから霧の塔に赴く――これを見た者は、どうか霧の塔には気をつけて欲しい。
そして、もし霧の塔へと近づくのであれば、霧の塔の情報を売り歩く情報屋”モルディ・ベイ”と名乗る男に注意するべきだ。
アイツは知りすぎている。きっと何か隠しているはずだ――』
手記は謎を深めさせる。
「司書、そろそろ時間だ」
準備を終えた『観光客』アト・サイン(p3p001394)がイーリンに声を掛ける。
精査した情報を”知識の砦”へと書き込み閉じると、イーリンは立ち上がった。
視線の先、前回の探索を共にしたものや、初顔のものもいる。
出発するイレギュラーズ。
今、第二の謎が、濃霧のように立ちこめるのだった。
…………ブウゥゥ――ンン――ンンン………………。
●霧の塔II ーAll Threeー
霧の塔へと侵入したイレギュラーズの八人は、前回参加したメンバーの先導で止まる事無く二層へと辿り着く。
制限時間が決まっている以上、余計な時間の浪費は避けるべき判断だ。
「えひひ、見えましたよ。三つの道です」
先行した女三賊同盟第一の刺客』エマ(p3p000257)が指さし告げる。広いホール、先に見える三つの通路への扉。聞いていた通り石碑が一つ置かれていた。
「なるほど、左から剣の道、知の道、神の道……という並びのようで御座いますね」
扉の上に記されたマークを確認し、『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)が言う。それは事前に決めていた振り分けを促す合図となった。
「時間が惜しい。サクっと行くとするか。
――通路の先で会おうぜ」
相方である幻に微笑みながらそう告げて、『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)が剣の道の前へと進む。
「ヒヒ、行くのだろう? ローグのコ」
「ああ、僕らは知の道だ」
『闇之雲』武器商人(p3p001107)とアトは連れだって中央知の道へと進む。
「それじゃ私は神の道へ!」
「藤堂様、よろしくお願い致しますね」
『圧倒的順応力』藤堂 夕(p3p006645)が手を上げ移動すれば、同じく神の道を選んだ幻が丁寧に頭を下げた。
「それじゃ俺はこっちを手伝うとするかな」
「剣の道は私達四人ですね。
えひひっ、大変そうですがよろしくお願いしますよ」
最後に残った『俺の冒険はこれからだ』クリストファー・J・バートランド(p3p006801)が剣の道の前に移動すると、集まった四人を数えてエマが独特の笑いを浮かべた。
全員の準備が出来るとイーリンがアトへと人差し指を向けて、
「じゃ、出口で会いましょ」
と、強気に笑った。
扉が開かれる。中へと向かった八人が扉を閉める、閉めないに関わらずに扉は霧の如く霧散した。
知恵と力、そして心が試される試練めいた謎解きが始まった。
――剣の道。
気配を消失させたエマが、霧に満たされた広い通路を隈無く探索する。
(通路の先は行き止まり。次々に魔物となる霧……それにこの鼻を突く臭い)
揮発性の爆発物……ガソリンやそれに類する何かである可能性は極めて高いと感じた。通路内の温度はやや高く、なるほど沸点が低い物質なら気化していてもおかしくなさそうだ。
エマが通路の情報を持ち帰ると、同じようにジェイクが臭いの危険性を訴えた。
「かなりヤバイ臭いがするぜ……これは命を奪いかねないものだ」
それは発現すればこの通路のみに留まらないレベルのものだ。
エマが言うように「延々と戦っているだけでは出口が現れずに疲弊して死ぬのではないか」という仮説も考えられるが、かといって易々と引火爆発させるわけにはいくまい。
それは最後の手段となるだろう。
クリストファーが襲い来る霧の魔物を叩き伏せ戻ってくる。
「一匹一匹はそう強くないが、数が多すぎるな。これを相手し続けるのはかなりキツいそうだ」
各人の持ち帰った情報、感じたものを聞いていたイーリンは一人思索に耽る。思いつく調査手順をまとめ上げながら行動の指針を決めた。
「とにかく霧……それに混ざってる”何か”についてもっと知りたいわね。
襲ってくる敵は迎撃しつつ、調査を進めましょう」
時間はまだある。何もかも台無しにする前に、出来る事をするべきだろう。
――知の道。
「さて、武器商人。
リドルだね、パッとみてなにかわかる?」
「ふうん?
綺麗に左から順に並ぶAからZの鍵と鍵穴……そして台座に刻まれた数字だね。
ヒヒ、確かになぞなぞだ」
「……いやあ、わかんないよね、僕にもさっぱりだ……だが、リドルを解かなきゃ司書に蹴っ飛ばされる。
――じゃあやろうか」
二十六の鍵と鍵穴。鍵は平坦でどの鍵穴にも挿さりそうだ。鍵穴を覗いて見ると、どうも鍵を挿すだけで回したりは出来なさそうである。吸排気口のようにも見える。
「鍵の並びは鍵穴に対応するようにAからZ綺麗に並んでいる。
単純に考えれば左から順に差し込むだけだが……当然それで解となるわけではない、か」
アトは思案する。
「単純な推理だけどね。
答えの形――最終的に英字の鍵を使わせるという事は、英単語になるのでは?」
武器商人のシンプルな考察に、アトは一つ頷く。
「難しく考えすぎているのかもね。
武器商人の言うように、これは単純明快な答えな気もするよ」
『32 24 43 44』
数字、そこに隠された意味。
知の道で、二人は自らの知識と閃きをフル動員し、思考の海へと潜り続けるのだった。
――神の道。
通路の先、行き止まりとなった壁の前に三つの霧で出来た像が置かれていた。
「はてさて、信仰心とやらをどのように捧げれば良いのでしょうね?」
幻が像を動かそうと試みるが、像を形作る霧と、床の霧とがしっかりと固定されていて、動かす事は叶わない。
「周囲にもおかしなところはなさそうですね……。となれば――」
ランタンを掲げながら幻は像に無機疎通を試みる。尋ねる内容は「貴方様は神ですか」或いは「貴方様の右(左)にいる方は神ですか」だ。
問いに対する明確な答えがあればあとは論理パズルを解くのみだが……。
「……これは困りましたね」
像は反応するが、それが肯定なのか否定なのかは不明だ。ただ短く明確に二つの反応を返した。
それは獣の像と人の像が違う反応を見せる事から間違いないと思えるのだが、問題は何だかよくわからない形の像だ。
「同じ問いに対して答えが毎回変わるようですね……」
「それって聞いた事あるかも! 世界一凶悪なパズルとかなんとか!」
三人の神様――ランダム要素を含む或る世界で世界一凶悪なパズルと呼ばれた論理パズルだ。
「その問題通り、この像も三体とも神様であるということでしょうか?」
「うーん、やっぱりそうなんだと思います!」
三位一体という考え方を肯定する夕が続ける。
「私の国の考え方に”神は宿るもの”、”神は作られるもの”という考え方があります!
どこにも”正しき神を信仰せよ”とは書かれていないのですから、神様は私達が決めちゃえば良いんじゃないでしょうか!」
思い切りの良さは夕の美徳か。どこか説得力も感じる言葉を肯定するように、周囲の壁には朧気ながら各像を祀る人々の壁画があった。
信仰を捧げる対象がないのなら、全てを信仰対象とすればいい。その考えに幻も乗っかる事にした。
神の道。
その道への臨んだ者の信仰はどのように形作られるのだろうか――
●霧の塔二層 ーInspirationー
霧の塔二層の攻略は刻々とタイムリミットに迫っていた。
中でも特に激戦となったのは、やはり剣の道だろう。
延々と現れる魔物を相手取りながら、解へと至る道を探し続けていた。
「……床側に暖かい空気が滞留している……違う、”混ざり物”が空気より重いから沈下していっているのですね」
エマの言葉に傷を舐めながらイーリンが確認するように言葉を零す。
「臭いは下に沈んでいってるのね……発生源は不明だけど天井からかしら」
霧の構成物質は、ガソリンに近しいものだ。ただし、そこに魔術的な要素も含まれているようにも思えた。
「引火はダメだ……危険過ぎる。最後の手段としても……考えたくはないな」
かなりの危険性を本能(ギフト)で感じ取るジェイク。ジェイクがこれほどまでに言うのだ、引火という手段は用いらない方がよいだろう。
不意に魔物を抑え続けていたクリストファーが声をあげる。
「さっきから気になっていたんだが、魔物の中にまるでこっちを意識しない魔物がいる。一体だけじゃない通路内にたびたび出てきているんだ」
「――なにか手がかりかもね。全員其奴を探し出しましょう!」
イーリンは閃くままに行動を促す。
「こっちだ、先導する」
クリストファーが先導した先に一体の魔物が足を止めて立っていた。
「なんですか、こいつ。体内温度が凄い低いですよ!」
温度視覚を持つエマが声を上げる。
イーリンは考える。これまでに得られた情報から判断できる閃きにも似た天啓を得ようと思索する。
そうして、一つ――『霧の性質』への答えを導きだした。
「霧……温度……もしかして?
――倒しましょう、きっとそれが正解よ」
温度の低い魔物。それがもし意図的にやや高い室温と合わさって行動しているとするならば――確信にも似た考えがイーリンを行動させる。
四人の攻撃を前に温度の低い魔物が霧散する。同時、室内の濃霧が少し晴れた感じがした。この魔物が霧を生み出していた原因なのだろうか。
「臭いが僅かだが薄まった……?
ならコイツと同じ奴を倒していけば――」
「ええ、この部屋の霧が晴れて道が示されるはずよ。シンプルね」
明確な目標ができた四人は疲労を感じさせないように、力を籠めて動き出した。
「数字……1より上と5より下が存在しない理由……」
アトが様々な角度で考察、メモを取りながら思案する。残り時間は十五分を切っていた。
「確証はないけれど、やはり答えはシンプルにM・I・S・Tの鍵を使うんじゃないかな」
「だが、どこに挿す? 組み合わせは膨大な数になるし試している時間はもうないが――」「おや、それは……」
悩むアトの手元を覗き込んだ武器商人が、何事か深く考え出した。
「どうした? なにかわかったのかい?」
「その数字の置き方……なにか暗号表のようにも見えるね」
数字が並ぶアトのメモを見て閃いたものだった。
5×5のマス目。1~5までの数字が上と左に並ぶ。マス目の合計は25。
「暗号表……こういう感じかな?」
思いつくままにアルファベットを記入していく。
「これは唯の直感だけどね。IとJ。ここを二つにすれば――二十六文字収まらないかい」
左上から11に対応するA、そこから左にアルファベットを進ませる。この解法を持って『32 24 43 44』を読み解けば――
「M・I・S・T……ヒヒ! ほら、やっぱり単純な答えだった」
「とすれば、他の穴はフェイクなのかな? 文字列にそって鍵を挿すだけ……?」
「危険はなさそうだよ。試してみるかい?」
武器商人が台座の鍵を手に取り、鍵穴の数える。
アトは目を細め考える。
何か嫌な予感がする。大きな宝を前に釣られた冒険者が罠に飲み込まれるような……そんな嫌な予感だ。
「――此処だけには霧が無いのだもの。隠れられるとしたら、謎の答えの中くらいじゃない?」
(……霧が……ない?)
武器商人の口からついと出た言葉にアトはハッとする。――確かに此処には霧がない。
閃きと直感がアトを突き動かした。鍵穴へと鍵を挿そうとする武器商人の手を止めた。
「答えは、”霧が無い”だ」
アトは確信と共に、鍵を鍵穴に挿入していく。
M・I・S・T。この四文字”以外”の鍵を順番に鍵穴に挿していった。するとどうだろう、残されたM・I・S・Tの鍵穴から蒸気のように霧が噴き出して、通路を霧で包み込んだ。
「……正解だったみたいだね。
見なよローグのコ。正解者にご褒美を用意していたようだよ」
「霧で形作られた書物か。中は……だめだまるで読めない象形文字の羅列だ」
こんなものでもスポンサーは喜ぶ筈だろう。確かな戦利品を手に取ると、通路に入った時に閉じられた扉が開いていることに気づいた。
どうやらここは”正解”の道ではなかったらしい。二人は頷き合うと、戦利品を手に来た道を戻った。
神の道では夕と幻が力の限りのスキルを像へと向けて放っていた。
「すごい、力が吸われていく感じがします……! それになんかこの像どんどん大きくなってません!?」
夕の少し慌てた声に、幻が周囲の様子を窺う。
「危険がないものと思いたいですが……通路に置かれていただけの像が、いまや通路を塞ぎそうな大きさで御座いますね……」
「爆発とかしませんよね!?」
悲鳴にも似た声を上げながら夕は攻撃の手を緩めない。
「体力的な限界も近づいて参りましたが……未だこれが正解とは判断できないのが難しいところで御座いますね」
本当にこれが正解だったのか、その保証や確証はどこにもない。
当てもなく、ただ疲弊するままに自らの力を振るい続けていたのだが――
「あっ!」
夕が声を上げると同時、力を注いでいた獣の像が身震いしたかと思うと破裂した。衝撃に二人揃って腰を付いた。
続いて人の像が身震いする。咄嗟に幻が夕に覆い被さり伏せる。もう一度破裂すると同時に衝撃が通路を揺らした。衝撃は続く、恐らく不定形な像が破裂したのだろう。
同時に破裂した衝撃が収まると身体を起こす。
「像……なくなっちゃいましたね」
「通路にも変化が御座いません……これは――」
失敗してしまったのだろうか? 衝撃によってボロボロになった身体を起こしながら二人が呆然と行き止まりの部屋を眺めていると、不意に人の気配がした。
「二人とも無事かい?」
戦利品を手にしたアトと武器商人が進入口より扉を開けて入ってきたのだった。
「お二人が来られたということは、扉が開いたのですね」
「あとは剣の道だけだけど……噂をすればだね」
ホールの方から快気に満ちた声が聞こえた。どうやら剣の道も終わったようだった。声の感じから剣の道に三層への扉があったように思われた。
同時、ホール、そして通路に音声が響いた。
――記録。ミストジグラット三層への扉が固定されました。
現象化時間に変更はありません。記録終了――
そしてホールで互いに状況を伝え合おうと顔を揃えた瞬間、耳障りな羽音が響いた。
…………ブウゥゥ――ンン――ンンン………………。
ああ、今回も終わりの時だ。
霧が霧散し、フッと浮遊感に支配されたかと思えば、霧の塔があった幻想東部の大地にでる。
こうして霧の塔第二層の探索は終わりを告げるのだった。
●霧の塔二層 ーanswerー
霧の塔が消え、残されたイレギュラーズが立ち去ろうというのを、その魔道士めいた老人は気づかれないように楽しげに眺めていた。
「剣の道――霧を生み出す魔物を看破し、其れのみならず有象無象の霧を多く倒す必要があったが……タイムはギリギリといったところかのう。まあまあじゃな。
知の道――ここはノーヒントであったが……、偶然……かもしれないが散逸する情報から上手く閃いたようじゃのう。
MISTを挿しておれば、残された二十二の穴が霧を吸引し、塔の現象化時間を奪ってしまうものじゃったが。見事と言った所か。
そして神の道――無茶をするものじゃ。信仰心を示す手段に枠組みはないが、よもや信仰対象の神を壊すほどに攻撃するとはのう。かぎりなく乱暴な正解じゃったな。
神は行いに対して報いを与えるのが当然じゃ。治癒の力を与えていれば相応の安らぎをもたらしてくれただろうに。まあ不定形なアイツは何をしても反撃してくるがの」
まるで訳知り顔で独り言を呟く老人は肩を揺らして立ち去るイレギュラーズに人知れず言葉を投げかけた。
「さて、レイヤスクの秘宝を手にする挑戦権を彼等は得られるかの? くくく、最後まで儂を飽きさせんでくれよ……!」
それだけ言うと老人の身体が――まさに霧の塔と同じように――霧散して消えた。
後には水に濡れた大地が残るだけだった――
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
澤見夜行です。
オープニング段階での手がかりが少々足りなかったかな、とアンフェアになってしまったことにまずはお詫びを。難易度設定が中々難しいですね。
明確な答えは一つ用意してあり、それを終章で伝えさせて頂きましたが、オープニング作成時にはいくつか答えに幅を持たせられるようにしています。
脳内当て回避になるようにそうしているのですが、その為思いついた行動や気づきをプレイングに書けば、思っても見ない(大凡良い)結果に繋がるかと思います。
(ちなみに知の道で使われた暗号表はポリュビオスの暗号表と言う物でした。色々な思惑がありあえてその名前は出しませんでしたが、ちょっとアンフェアでしたね)
それらをふまえた上で、今回は1から5までの数字しか使われていないことに気づき、閃きと言う名のクリティカルを出したアトさんにMVPを贈ります。
MISTが使われてると気づいた武器商人さんには称号が贈られます。
次回は難易度は上げずに、もう少し遊びが入れられるようにできればなと考えています。霧の塔はもう少しだけ続きますので良かったら次回も挑戦してみてください。
依頼お疲れ様でした! 素敵なプレイングをありがとうございました!
GMコメント
こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
突如現れた塔型ダンジョン。
全四層のこのダンジョンを攻略しましょう。第二回です。
全五回くらいの連作です。
●依頼達成条件
三層層への通路を見つける。
■オプション
お宝を見つける。
●情報確度
情報確度はCです。
詳細は不明。罠や謎解きもあります。
想定外の事態も考慮にいれましょう。
●二層について
一層から階段を上って二層へ至ると、広いホールに出ます。
ホールの先には三つの通路。
剣の道、知の道、神の道。
そして通路の前には石碑が一つ。
石碑には各通路こそ三層への道となっていることが示されています。
皆さんの攻略はここから始まります。
とはいえ、これだけでは攻略しようがないので、先行したトレジャーハンター達が入手した情報、そして皆さんがその場に至った時に感じた情報をメタ情報として示します。
攻略の手がかりとしてください。
■『剣の道』
通路に侵入すると同時、入口が霧によって封鎖された。戻る事は出来ないようだ。
広い通路には多くの霧掛かった魔物が生み出される。強敵、ではないが数が多い。それどころか、どんどんと増えていく。
貴方は即座に戦闘の態勢を取る。生き残るにはそれしか道がないからだ。
ふと、気づく。
部屋に満たされる霧。何処かおかしい。鼻につく臭い。これはアルコール? 否、もっと危険な香りがする。
戦い方を誤れば、それは即攻略の失敗に繋がる気配がした。
■『知の道』
通路に侵入すると同時、入口は閉鎖された。
通路の先、広いホールに出る。
中央には台座が一つ。AからZのアルファベット二十六文字が一つずつ鍵として置かれている。
台座には他に、こう刻まれている。
『32 24 43 44』
鍵穴は二十六箇所。
さて何処にどのように鍵を差し入れるべきだろうか。
刻々と時間が過ぎていく。
■『神の道』
ここでもやはり通路に入れば、入口が閉じられる。
通路の先には三つの霧で出来た像。
獣、人、そしてなんとも形容しがたい形の物。
像は静かに此方を見つめている。
像は硬く大きい。どのような攻撃、スキルであっても受け付けない――どころか吸収しそうな様子だ。
信仰心が試されるというこの道。神への信仰心を見せるには何をすれば良いだろうか。
ふと、身体の異変に気づく。
スタミナ(AP)が徐々に減っている――そんな気がした。
●戦闘地域
幻想東部に出現した、霧の塔内部になります。
かなり広大な塔です。障害物はなく戦闘に支障はありませんが、濃霧によって視界は不明瞭と言えるでしょう。
そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。
皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
宜しくお願いいたします。
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