シナリオ詳細
Terroristy unichtozheny
オープニング
●貴族屋敷は今日も燃えている
「キャットお姉様ー! 大変ですキャットお姉様ぁー!」
見るからにお金もってそーな屋敷の廊下を、ミニスカメイド服を来た少年(非誤字)が頭を抱えて走っていた。
「キャットお姉様ああああああああああ!?」
両開きの扉を突き飛ばすように開き、たまたま足下に寝転んでいたネコに驚いてつまづく少年。
スローモーションで宙を舞う少年の顔が、ふくよかなふたつの膨らみに埋もれた。
「むぎゅう」
「あらあらワラキア。どうしたのですか、そんなに慌てて」
今少年漫画の主人公みたいなモーションをきめている少年がワラキア・D・バルドー。
それをペット感覚で胸に抱えている猛一人のメイド服少女が、さきほどから名前を連呼されていたキャット・C・バルドーである。はいここオネショタ。
スカートの下からタコめいた足がうねっているのを一度でも見れば、きっと印象に残ることだろう。
たこ足メイドと少年メイド。二人が、今回の依頼人である。はいここネタバレ。
ぷはあと顔を上げる少年ワラキア。
「大変なんです! ご主人様の館へ襲撃をしかける人が……!」
「あらあら。ベルドナントさんですか?」
「その人はお姉様が昨年縛り首にしましたよね?」
「じゃあミシェーラさん?」
「その人は半年前お姉様が重石つきで海に沈めましたよね?」
「ならケッペリンさんじゃありませんか?」
「その人なら三ヶ月前お姉様が馬にロープで繋いで東西南北にいっせーのせで引っ張りましたよね」
「ええとそれじゃあ……誰でしょう?」
頬に手を当てるキャット。
ワラキアは申し訳なさそうに目をそらしてから……。
「さっき言った人の、親族友人その他大勢です」
●島は燃えているか
状況を整理しよう。
「この島の領民は昔から反抗的な人が多くって、そういう人たちを大人しくさせるプランを数年かけて『いい子』にする計画を進めていたんです」
人口3千人の島、カッシャ島。長年直接的統治者のいなかったこの島では三人の金持ちが実質的な支配権を握り、横暴と贅沢の限りを尽くしていた。
それを正し統治するべく国より使わされたのが、キャットのご主人様でもある貴族スウェイディー氏。
彼への反発は当然ながら大きかったが長い努力のかいあって、今では大多数の住民がスウェイディー派となった。
しかしその統治をおもしろく思わない、元からこの土地で大きな発言力を持っていた三人の富豪ベルドナント、ミシェーラ、ケッペリンの政治攻撃は耐えなかった。
そこでスウェイディー氏の忠実なメイドであるキャットは三人の抹殺計画をたて、これをつつがなく完了したのだった。
ある者は法的にある者は隠密にこの世から消え、ようやく平穏が訪れたかと思いきや……。
「残党は声を潜めぬもの。ボクたちの命とご主人様の首を狙って今この館へ攻め込んできているのです。ご主人様を守るのもメイドのつとめ。命をとして戦うつもりですけれど、どうやら襲撃者の数はとても多い様子。なので――協力してくれますよね? クーアちゃん?」
「……………………」
世にもビミョーな顔をしたねこ。もといクーア・ミューゼル(p3p003529)。
「どうしてもっていうからめいどのしごとをひきうけたというのに、そのうえぼでぃーがーどまでさせるのですか」
チョコチップクッキー片手に呟くクーア。
「でも、家事よりは得意でしょう?」
「余計なお世話なのです」
あとそこはお互いデリケートなところなので触れてくれるな、なのです。
クーアはクッキーをテーブルに置くと、同じくテーブルについたイレギュラーズたちに振り返った。
クーア含め八人のイレギュラーズたちは、屋敷の大掃除にひとでがいるということで依頼を受けはるばるカッシャ島へやってきたところ、今こうして館襲撃事件にごっそり巻き込まれている次第である。
「その話、正式にローレットへ依頼するってことでいいのですか?」
「そうしてくれると助かると、ご主人様は仰っておられます」
横暴と戦い平和に島を納めた貴族をさっぱり見捨てて帰るというのも寝覚めの悪い話である。
「しかたないのです。ちょっとそいつら、燃やしてくるのです」
- Terroristy unichtozheny完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年02月21日 22時45分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ねこのおきもち
(<●><●>)
こんな目をしていた。
架空のカメラをひいてみれば、ティーカップ片手にスカート丈の短いメイド服を纏い、どこでもない虚空を見つめる『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)。
貴族の依頼でご氏名があった時点でなんか怪しいと思ったが、流れるようにキャット・C・バルドーと対面しもつれ込むように襲撃者の撃退を依頼(引き受けない選択肢はほぼない)されるという一連の状況に、一旦思考を止めていた。
かつての同胞(?)キャットが主人の敵対者に対していかなる手段で何を成したか、クーアは割と想像できた。ここまでの流れだけでも、想像がつく。
「まあ……領内の平穏を保つためというなら、力を貸すのです。受けてしまった依頼でも、ありますし?」
受けたからには達成努力をせねばならない。ギルド条約のつらいところである。
そんなあれこれの外にある『Hi-ord Wavered』ルア=フォス=ニア(p3p004868)は、キャットとワラキアを観察して和みに和んでいた。
(タコ足美女メイドに美少年メイド。んむ、良い……)
空のティーカップを置き、窓際へと立つ。
遠くに見えるは襲撃者。政治的敵対者の親族友人のたぐいらしい。
「折角の鑑賞タイムを邪魔しおってからに。……良いじゃろう。盛大に歓迎してくれるわ!」
がしょんとガンウォンドを抜き、目を見開くニア。
同じく魔剣に手をかけてエンチャントロックを解除する『ひとりの吸血鬼』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)。
(クーア様の手伝いに来たら戦闘に巻き込まれるとは……)
窓から一通りの様子を眺めた所で、彼女たちは急ぎ足で屋敷防衛のために行動を始めた。
といってもホームアローンする余裕はない。今すぐできて即座に効果がある警戒網の展開と、各員の能力にあった戦闘待機位置の策定である。
フィリア・G・ユグドラル(p3p006965)は追って同じように行動を始めつつ、来ていたメイド服の胸元を叩いた。
「……次こそは平穏な依頼だと、そう思っていたのですが。また、戦いになるのですね」
最近余事に巻き込まれがちなフィリアである。
運命が彼女を離さないのか、それとも世界がそれほどまでに危険なだけなのか。少なくとも、今回は後者にあたる気がした。
(家族を、親族を処刑されたのなら、その恨みも然るべき、ではあるのですが……善悪とは、難しいものです)
ユグドラルの樹剣を手に、フィリアは突入されそうな窓周辺へと向かった。
「大掃除の依頼と聞いていたのでござるが……」
メイド服をひらひらとさせる『黒耀の鴉』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)。
ぴたりと動きを止め、胸元に手を当てる。
腕振りの一瞬だけで忍び装束に着替えると、懐の忍者刀に手をかけた。
「島全体の大掃除が追加されたというわけでござるな? なに、支払いさえ整うなら是非も無し……では、ござるが」
タイミング的にすごく謀られた気がする。
キャットとクーアの様子を見て、咲耶はそんな風に思った。
「ひじょーこしゅー! てきしゅー! てきしゅー!」
フライパンの底をお玉で叩きつつ、『圧倒的順応力』藤堂 夕(p3p006645)はメイド服のまま飛び出してきた。びっと敬礼する夕。
「火の元の点検おわりました! 迎撃準備にかかります!」
「ノリノリだなあ……」
それまで小さな妖精体格になって竈の修理をしていた『隠名の妖精鎌』サイズ(p3p000319)が、元の体格に戻って鎌を手に取った。
「人数と顔ぶれは確認したが……一人で二人ほど倒せばしのげそうかな?」
「玄関開けたら整列して突入したりしてくれませんかね」
「そこまで愚直(ばか)でもないでしょ」
「なにはともあれ……!」
大掃除のためにと支給されたメイド服の上から鎧を纏い、『正なる騎士を目指して』シャルティエ・F・クラリウス(p3p006902)は自前の盾をがっちりと腕に装備した。
「正当な統治への逆恨み。通すわけにはいかないよね。騎士として、非依頼者として……必ず依頼主を守りぬこう!」
「「おー!」」
夕と(手を掴まれた)サイズが、同時に拳を突き上げた。
●
「明確な殺意……ううん、違う。もっと欲深い……これね」
アリシアは接近する襲撃者たちを二階の窓から観察しつつ、手探りするように感情探知を試行していた。感覚としてはラジオチューナーの電波ダイヤルをひねるのに近い。
そうしているうちに分かったのは、彼ら遺族友人の襲撃目的がどうやら仇討ちばかりではないらしいことだった。
恐らく大義名分としてはそうなのだろうが、貴族スウェイディー氏の統治によって不当に独占していた財産を没収・再分配されたことへの恨みや、スウェイディー氏を抹殺すれば元の贅沢な暮らしに戻れると盲信した、いわば自棄のような感情で動いているらしかった。
「あんまり、褒められたものじゃないわね」
感想は別として、敵対存在のマーキングは済ませた。
アリシアはその報告をするためにスウェイディー氏やキャットの待機している部屋へと向かった。
「クーアちゃん、折角だからこのままここで働きませんか?」
「なにが折角だからですか心からごめんなのです。これが終わったら即帰るのです」
「ワラキアちゃんのスカートめくってもいいですから」
「いらないのですたくしあげなくていいのです」
クーアはキシャーという目をしてキャットたちを見た後、顔を背けて燃える暖炉に集中した。
僅かながら火の精霊が集まっている。精霊の力と知能が低いせいで人語を理解するギリギリみたいなカンジだが、部屋に誰か近づいたら騒げ、くらいのお願いは聞いてくれそうだ。精霊ナリコトラップである。
実際に騒ぎ出して暖炉がぱちぱちと鳴ったが……敵ではない。ノックが重なった。
「アリシアよ。配置が完了したわ」
「同じくニアじゃ。暫く透視とハイテレパスに集中するぞ」
ケータイいじりながらの自動車運転は物理的に可能だがとても危険、くらいの意味で透視とハイテレパスと戦闘を全て十全にこなすのは楽なことじゃあない。
「マチェーテましましヒットマンの変態に、ガトリングファンキー爺さんに……いやこれ、レパートリーが豊富過ぎんかのぅ?」
が、敵の位置と様子を逐一味方に報告できるメリットの方がずっと大きいと、ニアたちは判断した。
「屋内に侵入されたら儂も戦うが……まあ、すぐにそのタイミングは来ないじゃろ。あ、壁に爆弾くっつけとるやつがおる。9時方向」
「はいはーい! 今行きまーす!」
夕は指定された壁の先で待ち構えるべく廊下をダッシュ。
召喚術のスタンバイ体勢に入り、全く同時に駆けつけた咲耶が忍者刀を抜いた。青白い妖気が刃をつたう。
ほどなく、爆発音。
本来なら壊れるはずの壁が、しかし破壊されなかった。
「…………」
ちらりと顔を見合わせる咲耶と夕。
「保護結界様様でござるな」
と言っている間に隣の窓が打ち割られた。
狭い窓から苦労して身体をねじ込んでくる軍人風の男――に、咲耶の忍者刀が突き刺さる。
更に夕が呼び出した樹木の精霊が斜め四十五度から頭部にチョップを加えた。
うぐうといって窓枠にひっかかったまま気絶する男。
実質的に窓からの侵入口を塞いだことにはなったが、そこは流石に豪邸。ガトリングジジイや魔術大砲の男よってあちこちに窓が破壊され、大きな犬が飛び込んできた。
飛び込むエリアに先回りしていたシャルティエが構えた盾でタックル。
突進をかけようとした犬と衝突し、お互いに反発。転倒した。
「僕達の場所で必ず食い止めなくちゃ……皆さん、頑張りましょう!」
急いで起き上がり、再び構える盾。
飛び込んできたオールドワンの男が目からビームを発射。
盾でなんとか防ぐシャルティエを壁にして、後ろから飛び出したサイズが呪いの血法陣を放った。
壁や床から次々と飛び出した鎌が男や犬に突き刺さり、周囲をより血まみれにしていく。
しなばもろともの勢いで突っ込んでくる二人だが、逆方向から挟み撃ちにかかったフィリアが背後からオーラキャノンを打ち込んだ。
背中を撃たれ、転がる男。
大きな木剣を構え、霊力のオーラを刃のように纏わせるフィリア。
「平和を恐そうとするならば……!」
上段から重く打ち込んだ剣は、離れた犬の身体を霊力の刃で切り裂いた。
「死にな!」
火炎放射器を使って廊下を炎だらけにしていく謎のおばさん。
屋内への突入において有効な戦術ではあるが……。
「相手が悪かったな」
火炎の中を強引に突き進むサイズ。
鍛冶の妖精としての力が彼を熱から保護し、それでもカットできなかったダメージは気合いで振り払った。腕を小さく切って血法陣を展開する。
「どうやら燃やすのが好きらしいな」
「せめて焔の中で安らかに逝くのです……いやマジで今のうちに」
同じく炎の中をかいくぐってきたクーアが、窓枠に足をつけ火炎瓶を投擲。
火炎放射器に引火したのかそれとも彼らの実力か、火炎放射器おばさんはたちまち火だるまになり悲鳴をあげながら転げ回った。
「ババア! よくもやりやがったなこの野郎! たかし、あの野郎どもを吹き飛ばせ」
「死ね! そして金を出せ!」
魔術大砲を乱射する小太りな男たかし。同じくガトリングガンを担いだジジイが制圧射撃を加えてくる。
クーアたちは素早く窓から飛び退き、廊下に身を伏せた。
壁にかかった絵画や観葉植物が派手に砕け散っていく。
「建物自体が保護されてて助かったな」
「いいや、まだ助かってない」
マチェーテが回転しながら窓から放り込まれた。
直後、両手にマチェーテを握った男が飛び込み、素早く鎌を振りかざしたサイズと打ち合いになった。
が、力量の差によってはじき飛ばされるサイズ。そのまま扉をくぐって別の部屋へと転がり込む。
「うお、やべっ!」
マチェーテおじさんはジャケットを開くと、内側にびっしり装備された大量のマチェーテの中から巨大なものをチョイス。扉を破る……が。
「ようこそ儂のスイートルームへ」
サイズを脇に寄せ、ソファに足を組んでいたニアがガンウォンドをフルチャージ状態で構えていた。
来ることが分かっていたなら、撃つタイミングもわかっている。
かわす暇などあたえない。
相手が飛び退くよりも早く、ニアは全力のマナ射撃を打ち込んだ。
激しく吹き飛ばされ、廊下の端まで転がっていくマチェーテおじさん。
一方で、ニアはキッと上をにらんだ。
「いかん、二階だ! 翼持ちが侵入したぞ!」
「わかってるわ」
階段を素早く駆け上がるアリシア。
あがった先の壁を蹴って三角飛びをかけると、物質透過によって壁をスルー。窓を突き破って侵入した翼の魔術師に、出会い頭の紫焔を放った。
相手に暗闇を纏わせにかかるアリシア。
一方で魔術を乱射する魔術師。
木製の椅子やぬいぐるみが破壊される中、アリシアは部屋の中を走るようにして攻撃をかわしていく。
そこへ、扉を開いて乱入していく咲耶。
「ベルドナントとやらの親戚でござるか? あのごうつくばりがいなくなって島の住民も生成したことでござろう。自業自得の末路だ」
「――ッ」
怒りからか標的をかえる魔術師。
手のひらを翳され、自分に狙いが向いた瞬間、咲耶は変形させた武器で相手の腕に鎖を巻き付けた。ひっぱる力と飛びかかる動きの両方をあわせ、相手が立ったまま腕ひしぎの体勢にかかる。
その隙をうつように、アリシアの剣が魔術師を切り裂いた。
突き飛ばされるように窓から放り出され、花咲く庭へと落ちていく魔術師。
窓枠につかまって落下を逃れた咲耶はその様子に目を細めた。
「これも人の命を守る為なれば……」
一方で、アリシアは支給されたメイド服の裾にかかった煤をたたいた。
(それにしても、こっちの世でもメイド服で戦う事になるとはね)
「キョエエエエエ!」
竹槍で武装した男が玄関のドアをこじあけ、正面から突入をしかけてくる。
見るからにおかしな人間だが、どうやらただ者ではないらしい。夕の放つ樹木の精霊をことごとくはねのけ、正常とは思えない目で竹槍突撃をしかけてくる。
「ひい! こわい! こわい人ですこのひと!」
「ヒヒヒ……当然さね」
柳刃包丁をぺろりと舐めながらゆっくりと歩いてくる謎のババア。
曲がった腰と枯れ枝のような腕。まるで戦力にならなそうだというのに、あまりにも迫力があった。
「こいつはもう意志なんでないのさ。スウェイディーを殺すことだけがすべてなんだよ。ほれ、あんたもそうしな!」
「あうっ!?」
ババアが目を見開いてにらんだその途端、夕の意識がババアに浸食された。
「魅了攻撃……? いけません!」
ふりかえって味方に掴みかかる夕を、シャルティエは急いで羽交い締めにした。
「そちらは任せます!」
「……」
フィリアは竹槍男とにらみ合う。
「キエエ!」
竹槍で捨て身の突撃を仕掛けてくる男。
対してフィリアは、冷静に木剣でそれを打ち払った。
が、痛みを感じていないのか男は更なる突撃をやめない。
「真剣でなしと、侮らないで下さいね」
フィリアはあえて相手に肉薄。至近距離で相手の身体に爆彩花の爆発を打ち込むと、男を無理矢理に吹き飛ばした。
美しい石像に衝突して気絶する男。
「……ハッ、私は一体なにを!」
正気に戻った夕は、ババアへと振り返った。
「ヒヒヒ、今度は誰を手駒にしてやろうかねえ」
「そうはいきません」
ババアへ突撃をかけるシャルティエ。
にらみ付けようとしたババアを押し倒し、腕と頭を床に押しつける。
「ええい離せ! すろおろすよ!」
「語彙がいちいち恐い!」
夕は樹木の精霊を呼び出すと、大きなハンマーでババアの頭をガンッとやらせた。
●謎のババアとは一体
そらから。
暫くの間周辺の警備をしたあと、イレギュラーズたちは貴族の待機していた部屋へと戻った。
「もう危険はありませんよ」
「残党狩り……になったのでござろうか」
「数は少なかったですが、手強い敵でしたね」
「それにしても不思議ね。金持ちの家で何不自由なく暮らしていた人たちがこんな風になるなんて」
「金があったから武器が高級で高威力、ってところは分かるんだが、ここまでバーサーカーになるもんか?」
「それなら、怪しそうなおばあさんを捕まえています。話を聞いてみましょうか?」
「それもそうじゃな。生かしてとらえたのは正解じゃった」
そう言って、部屋のひとつへと向かうイレギュラーズたち。
見張りをしていたワラキアがどうぞと言って扉をあけると、そこには。
……ほどけた縄と、椅子だけがぽつんと置かれていた。
「あのワラキアという子(?)は確かに見張りをしていたのですね? 部屋に窓もなく、破壊のあともなかったと」
めちゃくちゃになった焦げ後だらけの庭に立ち、じっとものを考えるクーア。
「クーアちゃん、今連絡があったのですけど」
伝書鳩を手にしたキャットが、そこへやってきた。
「連絡船が客を一人だけ乗せて勝手に出てしまったそうなのです。特徴を聞いたら、妙に迫力のあるおばあさんだったと。生かしてとらえたのは悪かったのかしら?」
「いいや、判断は間違ってないのです。むしろ『生かして捕らえるように暗示をかけられた』と見るべき、かもしれないのです。あのババア、もしかしたら……」
この事件。どうやらこれでおしまいとは行かなそうだ。
クーアは考えをまとめながら、仲間たちのもとへと向かった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
おかえりなさいませ、イレギュラーズの皆様。
大掃除のお手伝いと聞いておりましたが、どうやらそれだけでは終わらなかったようですね。噂に聞くキャットさん、どうも抜け目ない方のようです。
しかし、それにしても。あのババア、一体何者なのでしょうか……。
GMコメント
【これまでのあらすじ】
大掃除のお手伝いを依頼され貴族の館を訪れていたイレギュラーズたち。
そんなさなかに貴族を狙う襲撃者の集団が現われた。
貴族を守るため、合法的に村人を焼くため、そして依頼料金を上乗せしてもらうためイレギュラーズたちは立ち上がった。
領主の館を守り、襲撃者たちをZAPするのだ!
【襲撃者たち】
処刑され財産を没収された元富豪の親族たち。
合計で10人ほど。
窓から観察した程度の情報は以下の通り。
・ライフルを持った軍人風の男
・火炎放射器を持ったおばさん
・ガトリングガンをかついだファンキーなジジイ
・魔術大砲をかついだ小太りな男
・怪物めいた大きな犬(多分ブルーブラッド)
・目からビームを放つオールドワンの男
・青白い翼のついた魔術師
・マチェーテを大量に装備した殺し屋風の男
・どう見ても戦力にならなそうだが変に迫力のあるババア
・竹槍で武装した目のイッてる男
【フィールドデータ】
屋敷の中で迎え撃つ形になります。
襲撃者は表玄関、窓、裏口、二階の窓、どっかの壁……といった様々な場所から侵入を果たし、貴族の命を狙って動きます。
皆さんは屋敷のあちこちに散って防衛網を広げ、潜入してきた敵を撃退してください。
誰が来るかはお楽しみです。
キャットとワラキアは安全な場所で主人のそばについているため、皆さんが負けまくったりしない限りは戦闘に加わりません。戦力としてはアテにしないでおきましょう。
●状況:夜の屋内
夜間。よい子は寝ている時間です。
二階の窓から襲撃者が観察できるくらいの状況なので、罠や陣地構築といった事前準備はしない方向でいきましょう。
また、基本的に屋内戦闘になるのでレンジ1以下での攻撃が可能なスキル構成を心がけてください。各レンジと補正については戦闘マニュアルをご参照ください。
でなければ、あえて野外に出て窓を撃つ係になります。
【アドリブ度】
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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