PandoraPartyProject

シナリオ詳細

聖人(セイント)コレクション

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 古今東西、親たちの悩みは常に同じであろう。すなわち、「子供が言うことを聞いてくれないの!」。
 もっともそんな彼らとて、「じゃあ自分はどうだったんだ」と訊かれれば返答に窮し、争えぬ血を恨むばかりだ。しかしそれはそれとして、うちの子が言いつけを守ってくれないと、親としては世間の目とかがいろいろあるので必死である……そしてそのことは、いかに多くの聖人の名前と逸話を諳じられるかで人の教養は決まると信じているタイプの天義人もまた同じであった。
 伝統的には、彼らは聖人たちの逸話を夜伽し、子を叱る際に引用し、礼拝に連れてゆき司祭の話を聞かせようとする。けれどもそれらがどこまで効果的であるのかは、彼ら自身とて実感はない。……そこで。

 とある先進的な法学者が、子供たちは遊びに関しては驚異的な記憶力を発揮することに着目したのである。
「つまり、遊びを通じて聖人を覚えられるゲーム……これだ!!」
 法学者の彼には、天義じゅうの文献を漁って然るべき法解釈を探す経験が豊富にあった。ゆえに、どんなゲームがこの目的に相応しいのか探ることなど、彼にとっては上役の司祭の厳命に従い彼の不正を正当化するよりも容易い調査である。
 結果、ほどなく彼は、旅人が異世界から持ちこんだという、とあるゲームにたどり着いた。
 旅人のことは旅人に、ということで、道具は全て練達に発注した。
「……よし! あとは保守派がとやかく言ってきても大丈夫なように、テストは完璧にしておこう!」
 彼は子供たちを集めてテストプレイしようと思ったのではあるが……如何せん、発注先が発注先。何か妙な事故で子供たちが傷つくことがあってはならない! 助けて特異運命座標!!

 さて諸君には、この新しいゲーム、名づけて『聖人(セイント)コレクション』を遊んでいただきたい。聖人カードを50枚選び、君だけの列聖教会(デッキ)を作ったならば、腕につけた練達製の謎の円盾っぽいVR装置(ホーリーディスク)に挿入して準備完了! 「降臨(アドベント)!」の掛け声とともに教区(フィールド)に聖人を出現させたら、逸話を元にした能力で相手の信仰疑念(ディスビリーフ)を打ち負かせ!
 聖戦(デュエル)……スタンバイ!

GMコメント

 ……というわけで聖人TCGやろうぜ!
 皆様には、2つのチームに分かれて『聖人(セイント)コレクション』の対戦を行なっていただきます。チーム人数は同数ずつでも偏っていても構いませんが、片方が圧勝してしまうようでは依頼目的が十分に果たせないためシナリオ失敗となってしまいます。ご注意ください。

●聖戦(デュエル)……つまり対戦について
 対戦結果は、『Pandora Party Project』の戦闘ルールと皆様のデータに基づいて求まります。とはいえもちろん、皆様自身が戦うわけではありません……皆様は“偶然にも”自分のデータと似たようなデッキでTCG対戦を行なうので、聖コレのルールとか細かく説明するのも面倒だしPPPの戦闘システムを流用してしまえ、というだけの話です。
 ただし、1つだけ通常の戦闘とは異なることがあります……それは『演出が全てTCG風に置き換わること』です! 行動の際は必ずカード名(信仰力を貯める民衆カード、直接戦う聖人カード以外にも、聖人をパワーアップさせる聖具カードやら一時的な効果をもたらす奇跡カードみたいなのもあるらしいです)を宣言し、特に決め技はそのカードの能力がどんな逸話から来るものか解説してください。それらがない場合は行動放棄として扱う可能性がございます。

例)
A「『聖ロアンナ』を降臨! 能力『十一月の綱渡り』によりBにダイレクト説法(アタック)!」(攻撃)
B「ここで『聖ロリサイコウヤー』をオープン! 能力『真夏の夜のないない』により『聖ロアンナ』を殉教させる……その攻撃は無効だ!」(回避)

 具体的にどんなカードがあるのかは、皆様が勝手にそれっぽいのを定めてくだされば問題ありません。きっとどこかにそういうローカル聖人がいたんだよ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります……具体的にはこのホーリーディスク、練達の人が“気を利かせて”ゲームで受けたダメージが装着者にも入るように作りやがったので、負けた側のチームは気をつけてね。死にはしないけど。

  • 聖人(セイント)コレクション 完了
  • GM名るう
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月20日 21時35分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
自称・旅人
マグナ=レッドシザーズ(p3p000240)
緋色の鉄槌
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
愛の吸血鬼
クーア・ミューゼル(p3p003529)
こげねこ
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
ルア=フォス=ニア(p3p004868)
Hi-ord Wavered

リプレイ

●デュエル・スタート!
「聖戦(デュエル)、スタンバイ!」
 その号令とともに天義の聖紋が浮かぶ。次の瞬間、視界に広がるのは大平原。突如として目の前に現れた幻に、『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)の驚きの声が響く。
「ヴィアール……? これは新しい奇術に違いありません……僕も早く習得しなければ!」
 ……まあうん、“マジック”という意味では“マジック”なのだけど。だがこちらは正真正銘の“魔法科学”の賜物だ。
 が……困惑している暇など存在しなかった。すでに『緋色の鉄槌』マグナ=レッドシザーズ(p3p000240)の教区(フィールド)の中には、赤い衣の巫女が降臨(アドベント)済みだ。
「こいつは『灯火の巫女』……平時はその力を民の背活に役立て、戦時は異教徒をその炎で断罪した、炎を操る能力を持っていた女性だ!」
 その力は苛烈ではあるが、それゆえ自らをも傷つける。だが、マグナにとってはそれも上等だ。トレードマークの左手の鋏を敵チームに向けて、マグナの攻撃宣言がVR空間内にこだまする!
「能力『民照らし敵屠る炎』を起動……攻撃力を強化してアタックだ!」
 が……その宣言に重ねるかのように、『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)のカウンター宣言がとび出した。
「奇跡カード『聖パンテレイモンの祈り』! 斬首刑のためにオリーブの樹に括りつけられた彼は、その祈りを終えるまで刃が首に立たなかったというわ」
 攻撃宣言そのものを無効化した上で、さらに3ターンの間は攻撃不可。元の世界ではTCGのキャラクターだったレジーナにとっては、こういったコントロールなどはお手のものだ。少なくとも手元にカードが揃っているうちは。
 しかも彼女らのチームにはもう1人、TCGに明るいプレイヤーが加わっているのだった。
「皆々様、初手から派手に動かれるようですが……私の一手は、これです」
 カードの感触を懐かしむかのように、『自称・旅人』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)は1枚ドロー。そして民衆カードを出したら即座にターンエンド! はたして彼女の真意はどこに!?
 だが……不気味な予兆が辺りを支配するような感覚が、『Hi-ord Wavered』ルア=フォス=ニア(p3p004868)の脳裏につき刺さりつづけるのだった。自身も静かに民衆カードを出して、ターンエンド。ヘイゼルの『溜める』という動きは、後々大技が来るという証拠ではなかろうか?
 しかし『聖コレ』はバランスが悪かった。具体的には、炎属性に特化した『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)の聖火デッキであれば、溜めながらでもエグい技をお見舞いできるのである。
「何っ!? 手札の中から攻撃宣言じゃと!?」
 ニアが虎の子の聖具カードを装備させて攻撃不能にできる対象は、当然ながら教区にいる聖人に限られていた。相手の手札には使えない。当たり前のことだ。
 ところがクーアの奇跡カード『流星一条』には、あろうことか『手札の聖人カードに攻撃宣言させることができる』とかいうチート能力が備わっていた。彗星が聖人の誕生を祝福するという伝承はよくあるが、それをそのままカード化するならコストとか考えようね、という好例のひとつだ。
 だが……たとえ妨害不能なカードがあったとしても、ならば防御を固めればいい。
「その攻撃は、『愛の吸血鬼』でブロック! その際、『赤の護封壁』の効果でダメージ軽減効果が増加します!」
 『愛の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)の宣言と同時に、クーアの攻撃はほとんど効果を及ぼさずに散った。ところでこのカード、まさかユーリエ自身がモデルだったりしないよね? カード名と称号が同じなのは単なる偶然だよね?
 実のところ事情に詳しい関係者(=口には出さないが典型的な天義人の家庭生まれ)の『宵越しのパンドラは持たない』アーリア・スピリッツ(p3p004400)によれば、強大な魔物が聖人に調伏されるという説話類型は、天義には決して珍しいものではないらしかった。ユーリエが使ったカードのモデルも、きっとそういった魔物であったのだろう……自分が子供の頃にもこういった遊び心のあるものががあれば、学校の聖人暗唱テストも苦労しなかったのに、などと思ってみつつ、アーリアも手の中のカードに目を落とす。
(「私のところは厳しめだったけど、天義でも緩いところは緩いのよねぇ」)
 飲兵衛お姉さんが親近感を感じるほうは、当然ながら緩い側だ。だから降臨させる聖人も……。
「いらっしゃい『聖チャンポォン』! 能力『時間無制限飲み放題』で、教区をお花見モードに変えるわぁ」
「花見……だと?」
 一瞬身構えたマグナだったが、よく見ればVR空間に桜の木が生えて、辺りが花吹雪アニメーションに覆われるだけだ。
「虚仮脅し……ということはないのだろうが、何をしてくるのか想像がつかん」
 悩みこむマグナ。だが、解らずとてできることをするまでだ――『聖パンテレイモンの祈り』の効果は、通常アタックにしか効果がない!
「強そうなカードを集めたら、天義だからのせいか物騒なカードばっかになったからな。
 来い、『雨乞いの巫女』! 民を救い異教徒を断罪した『恵みの雨、怒りの雷』の能力でその信仰を示せ!」
 だがその瞬間……アーリアの指先がマグナへと向く!
「来たわねぇ……でもここで、お花見モードでしか使えない信仰の陥穽カード『ツマミなしの末路』をオープンよぉ」
 成る程、花見はその布石だったのかと感心するマグナ。だが、安心だ……何故なら。
「よく見ろ、そのカードの『悪酔い』効果は、聖具カード『真紅の具足』持ちのオレを対象には取れない」
「ぇー……」
 マグナを差していたアーリアの指が、静かに横の幻へと反れた。突然、視界が暗闇に覆われて、あたふたと最初は慌てる幻。
「……ですが、カードゲームは奇術師の十八番で御座います」
 たとえ視界を奪われたところで、指先の感覚の鋭さまでは変わらない。むしろ余計な感覚に惑わされぬようになったぶん、より鋭敏になったかのようだ!
「『聖ファントム』を降臨いたします」
 選びしは奇術の守護聖人。天義に奇術をもたらした聖ファントムは、何もないところから武器をとり出し投擲し、異端者を排除したと伝えられている。能力『ホールドアウト』による攻撃は、変幻自在にして防御不能!
「なんてこと……私の聖人たちがみんな殉教しちゃったわぁ」
 お手上げのポーズをしようとしたアーリアだったが……それをレジーナが制止した。
「ここで奇跡カード『予言者ダニエルの急難』よ――ダニエルは陰謀によりライオンの洞窟に放りこまれた。しかし獅子は彼を襲わず、逆に陥れようとした者たちがその餌となった」
 対戦相手が味方を殉教させようとした瞬間、殉教効果を対戦相手に移しかえる。対象は――誰でもいいが、防御体勢を整えつつあるユーリエにしよう。いかに相手が防御を整え、磐石の教区を作っていたとしても、たった1枚のカードで逆転できるのがコントロールデッキだと知らしめてみせん!
「そんな……! 私の『愛の吸血鬼』のカードが!?」
 いかにユーリエが『赤の護封壁』という防御カードを持ち、『吸血鬼の使い魔』による強化をしていたところで、ダメージを与えることなく『殉教する』という結果だけを生む効果には全くの無意味だ。
 だが……その時ユーリエは、脳裏に囁く声を聞いたような気がした。
(次のカードを引け……)
 それはきっと、大事なカードを失ったユーリエの失意が生んだ、ただの幻聴だったに違いない。首を振り、残響を払って山札へと遣る手。けれどもそこにあるカードを引いたとき……ユーリエの瞳は驚愕で見開く!
「これは……2枚目の『愛の吸血鬼』!?」
 それはカードの聖人たちによる、ある種の導きだったのかもしれない。再び場に出る『愛の吸血鬼』……そして彼女は意志ある言葉を放つ。
「『朱の痛みの吸血鬼』の効果を発動! アタック対象は……もちろんレジーナさん!」
(愛の吸血鬼は慈悲深く優しかれども、然しそれを怒らせてはならん。怒らせればたちまち体から血が奪われ不吉なことが起きるじゃろう)
 また直接脳内に響く声。だがユーリエはもう恐れない……今やその声が彼女を応援し、力を貸してくれていることが明らかなのだから!(※ただのホーリーディスクのフレーバーテキスト読み上げ機能です)
 けれどもそれを見透かしたかのように、ヘイゼルの口許に薄く微笑みが浮かんだ。
「今までの私の動きを見ていて気づきませんか? ええ、『聖人(セイント)コレクション』……懐かしい限りです。幼少のみぎりには、私もだいぶやったことが……」
 語りつつ降臨させたまま動かせていなかった『聖ヤイミ』に手を伸ばし、『アズマイヤの返礼』能力を発動! 異教徒に経典を穢されたおり、経典を清め、あえて再度差し出すことにより信仰を広めたという逸話を持つ『聖ヤイミ』の力は、『愛の吸血鬼』の不吉な力を(確率的に)寄せつけない!
 ……はずが、その後のコイントス時に彼女は失敗。
「……ないのです><。ちょ、ちょっと似たものをやったことがあるだけなのですよ出身世界で!」
 慌てて言い訳じみた言葉をつけ加えたヘイゼルの災難はさらに続いて、ようやくカードの揃ったニアの『嫉妬と憤怒のシャイネン・ナハトデッキ』の真価が彼女を襲う!
「今の『返礼』の使用コストで、汝のカウンターカードはこのターン使えのうなった! 今こそ聖夜のボッチを救う聖人の強さを思い知るがいい。『聖ホーリィ・スノウ』降臨……能力『雪ダルマたちの合戦』を発動! 場にいる敵聖人たちに対し、極低温の雪玉を一斉発射じゃ!」
「実質初めてなんですから優しくお願い致します……!?」
 ヘイゼルが堪らず悲鳴を上げたが……実のところ最も被害に逢ったのは、大量の聖人カードを出していたアーリアだったかもしれない。『聖コオリエダマメ』やら『聖カラミ・ザーケ』やらで半ば酒場と化していた教区が一掃されて、いつでもダイレクトアタックOKな状態だ。
「――聖夜に、嫉妬と憤怒ありき」
 呪文のごときニアの語りが、VR空間内に大きく響いた。
「これは、被リア充なボッチたちの嘆きを“当然のもの”として認め、ともに怒ることで慰めた聖人の叫び――」
 ニアが指先で取るのは1枚のカード。彼女はそれをホーリーディスクに叩きつけるように降臨せしめ、もはや能力使用宣言でもフレーバーテキストの朗読でも何でもない言葉で吼え猛る!
「ボッチたちの憤怒を集めた精神波動を受けるがいい。能力『聖夜の憤怒』発動! ターゲットは……汝じゃ!」
 ニアの人差し指がアーリアを指したが、今アーリアを狙われるのはマズい! クーアはその宣言に合わせるように、『流星一条』のために手札に取っておいたカードを次々に降臨させた。
 実のところここはアーリアを見殺しにしたほうが、クーアにとっては有利な戦いになっていたかもしれなかった。まあでも、このカードがヤバいってのはとっくに判った話だからね。これ以上同じ手で攻撃しつづけるよりは、別の手も試してみたほうがテストプレイとしては価値が高くなるからね。
「……というわけで『聖ミッツ・コレトー』にダメージが適用される直前に、能力『リベリオン・オブ・ホンノージ』を使用! 今ダメージを受けた聖人カードを全て殉教させて、一気にニアさんに反撃します!」
「ぬわっ!? その能力は『嫉妬のリボン』を使っても防げぬ……しかし汝もそれで万事休すじゃ」
 かろうじて残り信仰疑念(ディスビリーフ)1で耐えながら返したニアではあったが……次の瞬間、クーアは驚くべきカードを使ってくる。
「奇跡カード『パンドラ復活』……今殉教したカードを手札に戻します」
 そう……聖人の復活とTCGの逆転劇はお約束なのです!
 あっはい死んだ。そのまま攻撃され敗北したニアに、幻の『聖イーヤシ』(でもフレーバーテキストではイヤーシになってるんだよね、どっちが正しいんだろうこの誤植?)の回復能力は間に合わなかった。
 が……ふくよかな母親のような優しさで飢えた人に食事を分け与え、人々の命を守った聖人の力は、そろそろ幻自身も必要としているものだ。その力は確かに彼女を助け、僅かずつながらも彼女を敗北から遠ざけてくれる!
「でも……そこまでね」
 そんな幻の希望を踏みにじるかのように、レジーナの宣告が下された。
 その手の中には『聖大致命女カタリナ』の姿。王の送りこんだ異教の賢者50人との宗教論争に望み、一歩も怯むことないまま全てを論破したという聖女のカードは、レジーナにとってはトドメの切り札。
 全ての手札、全ての信仰力を使いはたしての、正真正銘の最後の一撃が幻を襲う。
 だが見よ、かの聖イーヤシだかイヤーシだかの『おっかさんのご飯』能力に守られて、幻はいまだ立っているではないか!
「どうやら、先にトドメを差すのはオレたちみたいだな!」
 マグナは『聖騎士ブラッド』を降臨。カードに描かれる肖像は、赤い鎧に身を包み、槍にて多数の邪教徒を串刺しにした騎士だ。血塗れた彼の槍先は、コントロール能力を失ったコントローラーに止められるわけもなく……。
「『おっかさんのご飯』が常在型能力だったなら、攻撃の際に無効化できて我(わたし)が勝っていたのだけどね」
 それだけ言いのこして敗北するレジーナの仇を討てるのは、おそらくはクーアのみだった。何故ならマグナの聖具カード『真紅の具足』を装着した聖人たちが、通常の方法では奇跡や攻撃の対象にできないのは知ってのとおり……だが、その効果文面をよくよく解釈すると、実は『流星一条』による特殊攻撃は条件外! 『流星一条』マジチート。
「星の輝きが私に無限大の敏捷力を与える――この『流星一条』を破らない限り、貴方たちに勝利はないのです!」
「そのようだ。どれほど巫女たちの献身を受け、どれだけ異教徒を倒したところで、星を見ることを忘れれば神を忘れたも同然ということか――」
 だが、その攻撃の瞬間がクーアにとっても最大の隙になったことも、また確かではあった。
(それの前で「悪」や「吸血鬼を蔑ろにする発言」を言ってはいけない。なぜならそいつはそれを絶対に許さないからだ)
 フレーバーテキストの朗読とともに、ユーリエの『愛の吸血鬼』は2つめの能力、『吸血鬼の血の鎖』にて攻撃を行なう……対して、さしものクーアも今ので『流星一条』は品切れだ。
 けれども、そこでヘイゼルの『アズマイヤの返礼』が、今度こそコイントスチェックに成功した。クーアはまだまだ倒れない……そしてさらに、お返しの聖具カード『神の子の血』をユーリエへ!
「吸血鬼に血など……と思われるかもしれませんが、それは最後の晩餐において、麺麭とともに与えられるもの」
 つまりワインだ。血ではなく酒だ。……ところで観戦モニター越しの皆様は、『酒』といえばこの人、というのを覚えておいでだろうか?
「はいはぁ~い、『聖カブキチョオ』の『シャンパンコール』でアタックよぉ!」
 たとえ1枚のカードでは倒せぬ時でも、コンボを決めれば倒せるようになる――それがTCGの醍醐味であろう。そしてそのコンボは今炸裂し、ユーリエを敗北へと導いてゆく……が、逆にたまに手札が事故ったりするのもまたTCG!
「クーアさんがまだ『流星一条』を引きなおしていないようでしたら、『聖マリオネット』の能力で『聖ヤイミ』のコントロールを一時的に奪取。攻撃して……これで終わりです」
 まるで奇術のようにカードの切れ目を縫って、幻がクーアにトドメを刺した。これで両チームの残りプレイヤー数は2:1、幻のチームは、追いこまれた状態からの奇跡の逆転劇は成るか!?
「残念ながら私の手札には、奇跡カード『三日後の奇跡』があるのですよ」
 まるで降参を促すかのように、ヘイゼルは幻にそう語ってみせた。
 だが……奇術師がカードで負けるわけにはゆかない。果敢に攻めていった幻。が……2人の酒飲兵衛コンボの前には、いかな奇術とていろんな意味で無意味!

●戦いを終えて
 その後、リアル奇跡は起こらず幻は敗北し、そしてチームの雌雄が決した。しかし皆、決して忘れてはならない……たとえゲームの中では敵同士でも、TCGプレイヤーたちは皆、同じ趣味を愛する同志たちであることを!
「楽しかったわぁ、さぁて、依頼成功を祝して飲みに行きましょ~!」
 そんなアーリアの声が現実世界――神殿の談話室に響き、テストデータの取れた依頼人も満足げな表情だったが……そんな依頼人に対して一言、何故か凄まじく傷ついていたニアはつけ加えなければならないのだった。
「んむ、中々に面白かった。が……ダメージ機能は余計じゃのぅ」
 HAHAHA、ホント練達は期待を裏切らないぜ。特異運命座標にテストを依頼して正解だったね!

成否

成功

MVP

クーア・ミューゼル(p3p003529)
こげねこ

状態異常

なし

あとがき

 そんなわけでホーリーディスクは、無事に練達に返品、と相成りました。カードは互いを傷つけるための道具でも、世界を支配するための道具でもないんだ!
 今後『聖コレ』は今回のテストプレイ結果を元にバランス調整されて世に出るとは思われますが、総じれば保守的な天義の中で、どこまで広まるかは不明です。万が一爆発的ヒットになったら、その時は(そういえばこんなことがあったな)と思いだしていただければ幸いです。

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