PandoraPartyProject

シナリオ詳細

欲しければ欲を見せろ奪い取れ!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●『雪』の舞う『風』吹きすさぶそ『の日』
 この世には光と闇が存在している。
 一日目は世を光が照らし、その開催が祝福される。
 二日目は世を闇が満たし、その開催が待ち望まれる。
 そして三日目は――
「闇と光が交わるセイなる日なんだってさ。至上最高に意味が分からないね」
 ギルオス・ホリス(p3n000016)は心が折れそうだった。そろそろギフトを使わない日が来て欲しい。さて絶望はともかく簡単に状況を説明しよう――本日は大晦日、にして『三日目』である。
 そう。闇と光が交わいし運命の日。
 この時を逃せば次なる機会は灼熱の日まで待たねばならぬ、審判の時である。

 つまりコミッショナーマーケット――略してコミケ最終日です!! やったね皆!!

「クソッ、本当に意味が分からない……! 意味が分からない、が。ええとだね、これは一応依頼だ……依頼主の名は伏せるが君達には幻想闇即売会・コミケ最終日に参加して、ある本達を手に入れて欲しい。それこそ全力で」
 闇と光が交わいし三日目はこの世を象徴するかの如く『混沌』としている。未成年が入手し辛いセクシィ……! な本からBL本、全年齢全ての種類が揃っているのだ。そしてなにより『他国』の本も入って来るという特徴がある。
「えっと……なに? 『フェネスト六世×レオパル』本とか『夜のラド・バウ』とか『オークに侵略された深緑』本とか色々入ってきてるらしいよ。他国もカオスだなこれ。天義の本とか大丈夫なの? 断罪されない? 大丈夫?」
 多分大丈夫じゃないからこっちに流れてきてるんじゃないかな。
 ともあれ最終日。諸君らに入手してほしい必須本は以下の通りである……!

・くっ殺せ! 敗北したウォーカーに迫る魔の手・女子制服本
・盗賊王×赤犬 蠍の毒は重く深く・本
・佐伯操の受難 第四研究室反乱・本
・海洋の夜 鳥と海の密会・本

 なんだよこのタイトル!! 全部エロ同人方面じゃん! 何が闇と光だ闇ばっかだわ!!
「いや、まぁ……その……言われてる闇と光ってつまり他国本が主である事の比喩らしいし……そうでなくとも光側の本なら別に依頼として出さなくても、ねぇ?」
 ねぇ? とか言って視線をこっちに寄こすな!!
 だがともあれ依頼は依頼だ……幻想闇即売会といえば時折死人が出るとか出ないとかいう噂もあるイベントの一つ。気合を入れねばなるまい。熱気が凄まじく、時としては売りに出す側に回る者もいるとかいう程だ。でもアーベントロート本は止めとけよ。『捕らえられた暗殺令嬢』とかいうタイトルで出した本の作者が行方不明になったらしいから。
「…………ま、色んな本があるらしいからね。依頼のついでに自分の欲しい本があれば購入してもいいんじゃないかな――勿論それには周囲を埋め尽くすばかりにいるYUKIKAZE達……もといライバル達をぶん殴……ぶちのめ……押しのけて入手する必要があるだろうけどね」
 三日目。最終日。これより先に、後は無し。
 熱気極まる会場へ――いざ往かん! 勇者達よ!!

 あ。会場ではコスプレ自由です。

GMコメント

 山田ァッ!!(挨拶)

 年の瀬ですね。よろしくお願いします!!

■依頼達成条件
 OPで提示された四つの本を手に入れる。

■会場
 ちょっと、かなり、広めな室内。
 あまり高くは飛べませんが飛行する事が出来る程度には天井も高いです。

■備考
・四つの本がどこにあるかはおおまかに分かっています。
・情報網やコネクション他、有用そうなスキル等があればより正確な位置が分かるかも。
・周りには色んな意味で敵しかいません。
・敵と言うか味方ではないというか。
・会場で飛行しても構いませんが目立ちます。お気をつけて。
・攻撃スキルが割と普通にあちこち飛んでます。こっちも使っても構いません。

・ただし重要点として【本依頼は戦闘を主眼にした依頼ではありません】

・他人をどかす事を主として適度に使いましょう。周囲も大体そんな感じです。
・でもパンドラ減るかも。気を付けて。

  • 欲しければ欲を見せろ奪い取れ!!完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月17日 21時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
主人=公(p3p000578)
ハム子
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
黒武護
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
ライラ・ベリアル・サタナエル(p3p006909)
「虚飾」なる者

リプレイ


 今――戦が始まる。

「いや、そんな大げさにいう程のモノなのかね? この? コミケ? って言うの? 如何わしい本を買ってくれば良いワケだろ? それで終わりだろ?」
『盗賊ゴブリン』キドー(p3p000244)! 駄目だそんな軽はずみな事を言っては!! 幻想即売会は熱気と熱気のぶつかり合い。時として命の取り合いになるのだ。そんなに油断していては――死ぬぞ!! え、今勢いで書いたけど死ぬのこの依頼!!?
「……人の欲望がおりなすここは、正に幻想のソドムと言った所でしょうか?」
「幻想闇即売会……通称コミケ、か。フッ、懐かしい。前の組織での恒常任務の一つが今回と同じ様な薄い本の入手だったな……入手出来なかったら地獄の折檻が待っていたものだった……」
 この凄まじい熱気をソドムというか『ロリ宇宙警察忍者巡査下忍』夢見 ルル家(p3p000016)よ。うむ、あながち間違ってはおらぬぞ。『「虚飾」なる者』ライラ・ベリアル・サタナエル(p3p006909)に至っては過去の記憶を追想し、涙が流れんとしている。辛い……事があったんだね……これが恒常任務とか上層部腐敗してない?

 しかしいかなる流れがあろうとも幻想闇即売会は始まる。
 多くの欲望を蓄えて、今――ッ!

「始まった、行こうクーアちゃん!!」
 開始のアナウンスが鳴ると共に真っ先に駆けだしたのは『髭の人』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)と『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)だ。双方ともに機動力に優れた編成。狙い目指すは――『蠍の毒』!!
「凄まじい熱気……これはまさしく煽情……もとい、戦場なのです」
 情欲を煽り立てる場であると……数々の宣伝ポスターらしきモノを横目に見ながら彼女らは往く。いやほんと酷い場だねここ。煽情の戦場だよ。
 ともあれ事前に取り揃えたコミケカタログや聞き込みの結果によってある程度の位置を更に狭めて。ここにあるであろうと予測を踏んだ場所へと駆けて往く。二人の機動に追いつける者などそうは多くはない。で、あるが故にこそあちこちから飛んでくる攻撃スキルの標的となるのだが。
「させるかぁ! 手に入れる、必ず僕は愛の本を手に入れるんだ!!」
 ムスティスラーフがクーアのサポートとなるべく。己が宝玉たる角の光を収束させ――塊となっている個所へ放つ。輝かしき宝石の色は幾つかの敵、もとい参加者たちの目を眩ませて。
「うえぇ……ナニココナニこの雰囲気……世界の命運を分けた戦いより空気が重い……」
 そんな光を遠目に。『戦神』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)は駆けながら周囲の熱に若干ドン引く。だがそれも仕方あるまい……ここにいる連中は、世界の命運なんぞ知ったこっちゃねぇ。俺達が本を手に入れなければ世界なんぞ滅びても構わないと言う連中ばかりだからだ。君達魔種かよ。
「…………ともあれやるしかない、か」
 気乗りしない感じもあるのだが依頼ならばしょうがない。しょうがないので秋奈は。
「――戦神が一騎、茶屋ヶ坂アキナ! 有象無象が赦しても、私の秘剣が許しはしないわッ!」
 高らかに宣言す。敵のド真中で……いや違う。敵じゃなくて他参加者……めんどくさいからもう全部敵と称するが。奴らはエネミーなので名乗り口上を用いて己に集中を。周囲全部が味方でない名乗り口上は非常に効果が高い反面危険でもあるが、行け、今の内に行くんだルル家ちゃん!! 走りぬけろ――!!
「……こういう、その。アレな本を選ぶのはどうかと思って、無作為に目標選んだんですけど……なんか気付いたら一番恥ずかしいやつじゃないですこれ!? ねぇ主人公さんっ!!」
「ヨハン君! 進行ルートは見えたよ……急いで移動しよう! 聖戦は始まった!!」
「主人公さん!!?」
『百合烏賊キラー』ヨハン=レーム(p3p001117)は語る。『くっ殺せ! 敗北したウォーカーに迫る魔の手・女子制服本』を『ハム子』主人=公(p3p000578)と共に目標にしたが、なんかホント一番ヤバイ気がすると。これ鬼畜系でしょ? タイトルから判断するに。
 しかし主人公はもはや準備万端だ。ルートを確認した主人公は目に闘志を抱いて。
「まさか異世界でも聖戦に参加することに成るなんて……気を付けよう、甘く見てると死ぬよヨハン君! そうでなくとも腕の一本や二本は覚悟しないとね!!」
「主人公さん!? 主人公さん!!? え、只の即売会ですよねこれ!!?」
 なんと、お主は聖戦経験者であったか……! 見ろ、面構えが違うぜ。

 爆風。衝撃。設営個所には被害の無い様にマナー正しく放たれる攻撃スキルの数々。

 幻想即売会三日目――無事スタートなのです!


 当然だが始まる前から戦は始まっているのだ。故に。
「こんなこともあろうかと準備していた資料の出番です……!!」
 秋奈の援護を受けながらルル家は言う。コミケとはすなわち――情報戦であると!
 超聴力を用いて周辺の声を捉える。人気のあるサークルの名を、スペースを大まかにチェック。さすればその周辺の混雑状況がある程度察せられるので――その道を避けるべく思考を巡らせるのだ。
 後は実際に確認。超視力で目視。敵という名の壁が多ければその背を蹴ってよじ登る。一瞬見れればそれで十分。後は可能な限りにおける最短ルートを突き走るのみ!! ん? 押しのけて横入りしようとしてくる者?
「死、あるのみですね」
 服の裾から取り出す一撃、否――霧状の『何か』
 纏わりつき、動きを留めて。削るは命……いや精神的なそれもナニカか。ルールやマナーを守らぬ者に容赦はないのだ。いくら攻撃スキル飛び交う地であろうと最低限は存在する。
「あ――!! 多い! 多いわ出来るなら普通に戦いたいわこんなの!!」
 一方で周囲を引き付けている秋奈は数の多さにいろんな意味で苦戦していた。全員殴り倒そうかな。本までの道は技能たる捜索で把握して居る為、どんだけの邪魔がいようが分かってはいる、が。
「そういえばおぜうさまの薄い本とか無い? 無い? ねぇ秘蔵品ぐらい無い?」
 ある程度の所で自分の目当ての本も探したいところだ。なぁに贅沢は言わない。おぜうさまかざんげ様かパルス様でもいいのだ。うへへへへ。欲望に塗れてやがるぜそういう精神好き!!
「何が何でも手に入れてやる……!!」
 委託で妥協? そんなことはしない。現地に居るのだから、絶対だ。絶対にだ!!
「というわけで一部お願いします」
「……あの。すみませんこの本は」
 ちょっと年齢が、とルル家へと売り子は言葉を繋ぐ――筈が。
 顔を挙げれば、そこにはルル家が確かにいた。ただし、姿が一瞬前と異なっている。
 スタイルのいい、褐色肌の大人の女性。ルル家のギフトだ。
「……ふふ、ねぇ。なにそれ年齢確認? なぁに、ボウヤ……」
 這わせる指。顎から耳へとゆっくり移動させて、その耳に。
「私と遊びたいの?」
 息を吹きかけ、心を弄ぶ――

 海洋の夜 鳥と海の密会・本――無事入手!

「くそ、なんなんだよこの人数は! こんなん読むより実物買う方が……いや偶には悪くないとは思うけどよ。けどよ、なんで会場全面禁煙なんだよ!! せめて一本だけでも吸わせろや!!」
「やむをえまい。会場内で喫煙が許可されればたばこの臭いが充満してしまうからな……!」
 実物、と書いて手ごろなねーちゃんと読むキドー。これも一種の祭りかと思えば熱気も理解できるが、喫煙出来ないのだけは不満なようだ。駄目よ、マナーよ……! ともあれキドーはライラと共に『佐伯操の受難』の本を狙う。
 互いに放つはファミリアーだ。ただ、些か用途が違う。ライラの側は人の動きを俯瞰し、適切なルートを探るため。独自のコネクションから手に入れたサークルの出店場所が明記された地図を併用して最短になるルートを探っていく。
 一方のキドーは全体としての情報収集だ。どこに何があるのか。全体を見て情報を探り――と、していたその瞬間。
「な、なにぃ!? 鳥がやられたぞ! マジかよこいつらファミリアーにも本気だすか普通!?」
 小鳥程度のサイズで召喚していたファミリアーが撃墜されたようだ。他者の情報収集の邪魔すら行ってくると言うのか……! 天を見上げれば攻撃スキルがホントに飛び交っている。空中ならば地上ほど気を遣わなくていいのか、ある意味地上より激しく。
「だが大まかには目標を達成できた! キドー! 後は素早く移動を……この、控えろ、屑共! その薄い本は私のだ! 汚らわしい手で新刊を触るな地獄に落とすぞ!!」
「どけおらぁ! このメカ子ロリバアア様が目に入らねぇか!? 肉喰わせるぞオラァ!!」
 思わず放つ雷撃。ライラは本気だ。これぐらいしなければ新刊を手に入れられぬと彼女は知っている。必要であれば魔力弾でも打ち込んでやろう。だからどけ! ごり押しでも手に入れてやるぞ!!
 キドーもだ。式神やらなんやらを全力で投入。とにかく一瞬。一瞬だけでも道が作れればそれでいいのだと進撃していく。体をねじ込み突き進んで。股を潜って前へ進む。いて、蹴るな! あとでぶちのめすぞ! うぉぉぉぉ依頼の報酬の為ならこの程度おぉぉ!! あ、勿論小銭は用意してるぜ!!
「…………こーいうのってどーいう層が買うんでしょうかね。うぅ……」
 ヨハンは心が泣きそうだった。よりにもよってどうして一番危なそうな本を選んでしまったか。ごめんね。ある貴族さんが買いそうなショタ本も選択肢に入れておけばよかったね。え、違う?
「……でもこれも依頼ですね。ヤバイ趣味の人たちが殺到する前になんとか……気を引き締めなければ……!!」
 ともあれ。なんとか主人公と共に目標の本まであと一歩の所にまで辿り着けた――のだが。
「すみませんそのメイドコスプレもっと見せてもらっても……!」
「ポージングお願いしてもいいですか!」
 なんだか纏わりつかれ始めた! くそ、このショタコン共め! これは普段着だぞ!! メイド萌えのレイヤー特権的な物を利用して色々ここまで突き進んできたが、その弊害がついに出てきたか。あ、やめろスカートを触るなマナー違反だしこの下はドロワーズだぞ! 何それがいい?
 本当に伸びてくる魔の手。ヤバイ。このままでは自分がまた薄い本になってしまうと身の危険を感じ始めてきたヨハンだが――その瞬間。
「お触りは厳禁となっておりまーす」
 放たれるは高圧水流。取り除かれるショタコンエネミー達。
 主人公だ。奥の手のハイドロプレッシャーは強力に薙ぎ払っていく。サークルの設営テーブルに被害が無いように方向は注意を払って。迷惑はかけない。流石聖戦経験者だぜ気遣いが違う。
「くッ! な、なんだこの水は……! だがウォーカー本を諦める訳には……!」
「――お願いお兄ちゃん! ボク、ボクどうしてもこの本が欲しいの……」
 敵と本の奪い合い。だがそれを想定していた主人公は、妹力を利用して更に己がウォーカー女子制服であることを利用して――放つねだりは上目遣いと共に。あ、やばい。鬼畜本とは違うがこれはこれで……! と男に隙が出来れば。
「こんにちは! 一部、一部お願いします!!」
 そこへ自分を掴んでこようとする男の頬を不殺の拳で打ち抜いて。ヨハンがスペースへと到達するのだった。お兄さん達じゃま! どいて!! 用事がすんだらジェットパックで逃げるべきか!!

 己の性癖がマイナーであることのショックは如何程のモノであったろうか。
 ムスティスラーフは想う。ここには全てがあるのだと。少ないながらも生き残った同志がいて。
「――今こそこの愛を共有したいんだ。僕は、この場で!!」
 全力移動。足腰を痛めぬ為の低空飛行を用いて、彼は進む。
 滑るように。滑らかに。オーダーをこなすべく確固たる意志を持って。あ、ついでにお目当て本の天義本も探しておく。どこ? 偽らざる愛の本どこ? 筆者はDANZAIされたっていう本どこー?
 ただまぁとりあえず優先は一応依頼されている蠍本だ。はるか向こう。機動に最も優れるクーアは、他よりも比較的矛を他者と交える事無く辿り着けて。
「……いやまあ、私に人様の情事を覗き見る趣味はないのですが」
 興味が無い訳でもないと彼女は紡ぐ。さりとてこれでなんとかオーダーはこなした。
 ではこれより他の者のサポートに回るとしようか。しかしなんという人の数だ。彼女は機動力に優れていたために比較的動きやすかったが、振り返ってみれば人の団子虫状態。戻るのは困難そうだ前に進むべきか放火してやろうか。
 と、その時だった。己を巻き込んで、注目を浴びる何者かの『声』があった。
 秋奈ではない。また別の者の声だ。そうか、引き付ける為か他の参加者を。周囲が味方ではないものが多い中でそうするとは大したものだ――つまり。
「覚悟がある方、ということなのですよね?」
 クーアは放つ。己が持てる、最大の一撃を使用者へと。
 覚悟があるのならば問題あるまい。ぶっ飛ばして――生きてみるがいい!
 それはそうと放火教本とかないだろうか。放火専門の本というか……世の中広いから一つぐらいないだろうか!
「あるよ」
 その時、横から声をかけられた。怪しき、フードを被った何者か。
「お譲ちゃん……ほしいか、放火教本が……!」
「ふむ――試し読みのサンプルはありますか?」
 それもあるよ。何せここは幻想即売会だからね……!

 激しく飛び交う攻撃スキル。いない運営スタッフ。迸る汗。

「ふむ……陵辱まわされちゃう系か……これも中々いいものだな」
 その中でライラは任務を達成できた喜び……? 達成感……? に震えていた。なんかお肌艶々してない?
「ふ、ふふふふふ。やはりここに来ただけの甲斐はあったな……! 何せ私はソーサラー! 魔道の深淵をより深く、太く進む者(意味深)だぞ? こういう新しき薄い本は求めるべく者……!!」
 意味深な言動が多すぎてやばいぜライラさん!! ソーサラーの定義が乱れる!
「そーいや佐伯操って……たしか練達のお偉いさんの一人だっけ? 『実践』の佐伯操? あの眼鏡の、それなりの乳の」
 そうだよそれなりの乳を持つあの人だよキドーさん。乙女な人だよ。
「ふーん『実践』しちゃうんだ。ふーん。ふーーーーーーん」
 煙草をふかしながら意味深に語るキドー。だめだよ本人に本を教えちゃだめだよ。乙女だからね!!
「しぬ! しぬ――!! ここやばい! みんな強い!! あとなんか雲できてる!!」
 秋奈は言う。天を見上げれば雲が出来てると。
 この異様な熱気から出来た雲……雨が降れば地獄と化すだろう。想像したくない。
「アルエット殿にお土産の本を買っていきますか! えーと、どんな本がいいんでしょうか。子供が喜ぶ本ってないですかね? お勧めとかないですか?」
「うん? 子供が悦ぶ本でいい?」
「うん? はい! よくわかりませんがそれでも大丈夫です!」
 なんかすごい誤解のまま本を買っているルル家。逃げてアルエットちゃん!!
「やった!! ギルオスさん本手に入れたよ! ギルオスさん人気あるんですね!」
 やめろよ主人公そういうの探すの!! 流通してる事になるでしょ!!
「ようやく手に入れたよ……タイトルは『偽らざる愛』か」
 成程。ムスティスラーフは想う。かの聖騎士は嘘が分かる。故に、真なる愛を。本物の愛を理解することができるのだろうと……愛と不正義の間で揺れるかの聖騎士……全てを抱擁する六世……
「……尊い」
 ムスティスラーフはいつのまにか拝んでいた。自覚なき、本能からの祈り。
 もっと欲しい、嵌る、ああこれが、沼……

 ――かくして。

 幻想即売会は終わった。三日間に渡る熱気の渦は、引いたのだ。
 しかしこれで終わりではあるまい。場合よっては夏に、あるいは一年後にまた。
 人の欲望が終わらぬ限り、この催しは続いていくのだろう――

 たぶんね!!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れさまでした!!

欲望の渦巻く依頼だったぜ!!! いえーい!!!!!

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