PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<XEOIX>RETAERCOTSIRA

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●城内にて
 なんなのだこの城は。なんなのだ人間とかいう馬鹿共は。
「バースカラ、そう苛つくな。ジェームズが大分変えたろう?」
 あぁ理解しがたい理解しがたい。装飾に塗れた城内。金銀宝玉の限りを尽くした無駄無駄無駄。別に万事須らく効率のみを重視せよ、などとは言わないが……これだけの無駄を無駄に取りそろえる事にどんな意味があるのだ? 兄弟の一人が模様替えを行わねばあまりの嫌悪から諸共粉砕していた所だ。
「バースカラ。聞いているか?」
「あぁ聞いているとも。苛つくのは性分だ。許せ」
 ここは元々客間だろうか。そこにいるのは二つの人影。
 一つはバースカラと呼ばれた先程から苛ついている長身の男。そして彼に話しかける年配風の男――
「ソフス。他の面子は確か『食事』の時間だったな」
「ああ。ギュスターヴ達は外へ行ったがね……我々も行くか?」
「行ってもいいが、人間共が馬鹿ばかりでないのならばそろそろだろう」
 彼らはこの城を占拠した異形共だ。外見は大分人間に近いが……
 かつて散発的に表れていたレギオニーターなどと言った異形の進化系。もう一つ『上』の段階。
 貴族級――アリストクリエイターと呼ばれる個体達だ。
「俺の理解が間違っていなければ、来るのは馬鹿とは限らん。いつ来てもいいように備えろよ」
「ではその為に腹ごしらえだな。見ろ、フワーリズミーなんぞまるまる二人目だ」
「そこの馬鹿は相変わらずなだけだろう」
 部屋の片隅。バースカラとソフラの二人は一切気にしていなかったが、ここには先程から音が響いていた。それは、まぁ。一言で言うなら――咀嚼音。
 骨を砕いて肉を舐めて咀嚼し内臓を取り出して舌で転がす。よく叩いて柔らかくすれば最高と。
「ふぇ、へへへへへ。誰が馬鹿だって? お前らも食えよ喰え喰え。こいつら抵抗しねぇから最高だよ!」
 貪る――女らしき造形を持つ個体は、フワーリズミーというアリストクリエイター。
 肉が抵抗しないというのには些か以上に語弊がある。城の中に囚われていた使用人達を彼らは食っているのだが、そもそも身体能力に著しい差というモノが存在するのだ。一言で言うと叩いて殴れば彼らは死ぬ。簡単に死ぬ彼らを『抵抗しない』などとのたまっているのだ。
「馬鹿め。ああ、クソ。馬鹿め馬鹿め」
「ククク苛立つなよ」
 ソフスが宥めるかのように声を掛けて来る。苛立たしい苛立たしい。馬鹿は嫌いだ。
 ああ全く、どんな奴がここに来ようと構いはしないが。
「せめて――多少は知恵のある奴の脳髄を喰らいたいものだ」

●『貴族』を冠する者達
 レギオニーター、という魔物をご存知だろうか。
 彼らは食欲旺盛な魔物共だ。時折散発的に――確たる原因は不明だが、とにかく発生し己らが食欲を満たそうとする実に本能に忠実な反応を見せる。幾度かイレギュラーズの活躍により討伐・迎撃がなされていたのだが。
「場所は幻想のとある領主の城です……! レギオニーター達の上位種が城を乗っ取ったらしくて……!」
 リリファ・ローレンツ(p3n000042)は語る。かつて暴れていたレギオニーター達の上位種――アリストクリエイターが現れたと。奴らはレギオニーターを統率し、城を完全なる暴力によって制圧した。確認された限りでアリストクリエイターと見られるのは九体もいるとか。
「人間とすら会話が可能なレベルの知能が見られる個体達です! ですが、本質的にはレギオニーター達とそう変わりません……彼らは依然として人間を捕食し、城外に出て『食事』を行おうとしている個体も確認されています!」
 脅威も危険度もそのまま上昇した魔物共。
 放っておくわけにはいかない。ローレットに依頼が来る訳だ……合計九体もいるアリストクリエイター達だが、現在城外には三体出ており城内には六体しかいないらしい。この六体の内更に三体をここに集まった諸君には担当してほしいのだとリリファは熱弁。
「上位種達にはそれぞれ特異な能力を持っています。レギオニーターとは違う、更に強力になった者達です……ですが、こんな暴挙を許す訳にはいきませんし、勢力を拡大させるわけにもいきません! 皆さん、どうかよろしくお願いします!!」

GMコメント

 ちのおおみそか よろしくおねがいします。

■戦場:城内
 城内の客間。戦闘するには問題の無い広さが存在している。

■アリストクリエイター
 ・レギオニーターの上位種。
 ・それぞれが兄弟姉妹であるかのように振舞い、一部を除き会話が可能である。

■バースカラ:理解面で羽化
 長髪で長身の男性個体。自身の理解が及ばぬ事に対して非常に苛立つ傾向がある。
 どれかが突出しているというよりも満遍なく高いステータス・低FBが特徴。近遠どちらも出来る。
 アリストクリエイター(貴族級)の一人。以下の能力を持つ。

 相手の使用した・しているスキルを観察。
 【クラス】を見破った時点で『その人物に対して』戦闘行動時、全能力が永続上昇する。
 ただしクラスを誤認した状態で対象に攻撃してしまうと能力上昇は働かず、自身の理解が間違っていたのかと混乱を来たし、最大で3ターン『自身の』全能力が低下する。特にFB値が極端に上昇する。これらは特殊なパッシヴとして取り扱う。

 Aスキルは非戦スキルを含め戦闘中使用されるまで理解される事は無い。
 Pスキルは非戦スキルを含め『種類による』が時間経過と共に把握されていく。
 特殊化されているスキルはAもPも理解に若干の時間が増える。

 バースカラは全てのクラスや前提を知っている訳ではない。

■ソフス:安寧面で羽化
 落ち着いた年配風の男性個体。
 攻撃力の高い魔法らしきモノを操り、神秘遠距離攻撃を得手とする。
 アリストクリエイター(貴族級)の一人。以下の能力を持つ。

 周囲のR2範囲内の味方の防御技術・抵抗・命中・回避をある程度上昇させる。
 また、自身のR1範囲内にいる者の『付与効果』を全て参照し自身に『上乗せ』する事が出来る。ただし参照対象の付与効果が消失・もしくはR1範囲外へ離れた場合、その瞬間からその分の効果は消え失せる。この効果は特殊な付与効果として取り扱う。

■フワーリズミー:貪婪面で羽化
 粗野な風の女性個体。食欲が高く、時折見境がなくなる事も。
 素早く、機動力も高い事が特徴。二回行動する事も。
 アリストクリエイター(貴族級)の一人。以下の能力を持つ。

 【飢餓感】の頻度が高く【捕食】の範囲が通常よりも広い。
 【捕食】時、捕食されたモノにBS・付与効果が存在していた場合全て対象から剥ぎ取り、自らのモノとして効果時間を引き継いで『上乗せ』する。ただしフワーリズミーは武器を食べる事は出来ない。この効果は特殊な付与効果として取り扱う。

■飢餓感
・レギオニーター及びアリストクリエイターが戦闘開始からある程度のターン経過、ないしダメージを負うことで陥る特殊ステータス。
・主行動に追加で【捕食】を行います。
・一定回数の【捕食】を行うことでのみ解除されます。

■捕食
・周辺の木々、石、肉、その他口に入れば何でも食べようとします。
・HPが回復します。
・アリストクリエイターがこれを行った場合、追加でHP最大値、物理攻撃力、防御技術、命中が上昇します。
・肉を食べた場合、この上昇値が増加します。

  • <XEOIX>RETAERCOTSIRA 完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2019年01月19日 21時40分
  • 参加人数 10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ロザリエル・インヘルト(p3p000015)
クリムゾンティアラー
エマ(p3p000257)
こそどろ
シグ・ローデッド(p3p000483)
『知識』の魔剣
八田 悠(p3p000687)
祖なる現身
メートヒェン・メヒャーニク(p3p000917)
メイドロボ騎士
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
天翔る彗星
佐山・勇司(p3p001514)
赤の憧憬
ティミ・リリナール(p3p002042)
フェアリーミード
メルナ(p3p002292)
青の十六夜
アオイ=アークライト(p3p005658)
機工技師

リプレイ

●貴族級
 ――こいつらが貴族だとするのならば王たる存在がどこかにいるのだろうか。

 衝撃。破砕音。重なる打撃と魔法の発動。
 城の客間にて闘争が繰り広げられていた。襲撃するイレギュラーズ。対するはアリストクリエイターが三体。
「勇司さん――お願いします!」
「分かった、任せろ」
 ソフスの腹に『儚き雫』ティミ・リリナール(p3p002042)の掌底が。放たれる衝術。浮く体。そこへ『赤の憧憬』佐山・勇司(p3p001514)が瞬時に。ソフスを壁際へと叩きつける。
「はっは――成程抑えですか」
 ソフスの手中で込められる魔力は遥か遠くへ。バースカラの近くに展開している者らを薙がんと、範囲纏めて雷撃を叩きつける。
 されどこの程度で臆する者らか。雷撃の圧などなんのその『女三賊同盟第一の刺客』エマ(p3p000257)に『兄の影を纏う者』メルナ(p3p002292)が飛び出す。狙うはバースカラ。理解の意思を担う者。
「ひひっ、前から芋虫の化け物だとは思っていましたが……まさか本当に『羽化』するとは」
「進化を続ける個体……前に視たのも、今ここにいるのも。でもまさかここまで進化するなんて……!」
 エマは壁を蹴り死角から。メルナは真正面から奴へと格闘戦を仕掛ける。
 レギオニーターと呼ばれる個体がいたのはメルナも直に見た事がある故知っていた。しかしそこからまたもう一段階、ここまで知性を持って変容するとは……放置すればどこまで往くのだろうか? 恐ろしい事だ滅さなければならない。
「でもまぁ――要は虫みたいなもんでしょこいつら。野菜を食い荒らす、害虫」
 虫って嫌いなのよねぇ……と言葉を紡ぐは『暴食麗花』ロザリエル・インヘルト(p3p000015)だ。勝手に葉っぱを喰うは穴を開けるわ……ましてやこいつらは人間を喰うと? 本当にやめて欲しい。
 突き穿つ荊槍。やはり彼女も狙うはバースカラだ。集中的に――
「俺を討とうという訳か」
 小賢しい事だ食料共めが。多少腕に覚えがあるぐらいで討てると思ったか?
 凌ぐ攻撃。放つ拳撃。そうしながら観察を続ける。さぁお前らは『何』だと。
「……知識を求める、か。果たしてお前さんの知識は、私のそれを上回れるのかね?」
 しかし、知に探求するは己もだと『タクティシャン』シグ・ローデッド(p3p000483)はバースカラへと語る。幾億に溜められた『ローデッド』の知識。今でこそその大半は失われている、が。
「それでもお前さんよりは――遥かに先達であると自負しているがね」
「ほざけ下等生物が」
 互いに放つ遠撃。シグの雷球がバースカラの背後にて炸裂。
 さぁ己を見るがいい。看破してみるがいい――特性を。
「やれ……普段の戦いが出来ないのは窮屈だけど、仕方がないか」
「ああ、全く。面倒極まりない上、本当に虫みたいな生態しやがって……」
 スロースターターになりそうだと『祖なる現身』八田 悠(p3p000687)は語り、次いで『天翔る彗星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)はファミリアーを展開しながら思考する。言葉も喋り、会話も出来る――されど悪意と狂気に満ちた奴らは。
「魔種と何も変わりゃしない」
 人に害成すならば駆除してくれよう。今度もまた、己が魔道で。
「あ、あはははは! 肉が来たじゃないか! 向こうから、嬉しいなァ!!」
「――生憎と、好みの肉じゃないかもしれないけどね」
 接近しようとするフワーリズミーを『メイドロボ騎士』メートヒェン・メヒャーニク(p3p000917)が抑えにかかる。突き立てて来ようとしてくる口を押え、後方へは行かせぬとブロックを。
「……これより更にまだ先があるのか分からないけど、ここで止めておかないと取り返しのつかない事になりそうだ」
「ああ、実際そんなに生易しくない化物だ、気を引き締めて出来る事をやっていこう……!」
 ただでさえ城盗りまで果たせている。どこまで進化するか分からないが、都度潰しておかねば後に響こうと。『機工技師』アオイ=アークライト(p3p005658)も同意する。見た目が幾ら人に近いと言っても。
「こいつらはレギオニーターの上位種……アリストクリエイター……!」
 人ならざる者。人に仇名す只の怪物。
 抑えるメートヒェンへと治癒術式を紡ぎながら、警戒を続ける。

●攻防
 イレギュラーズの戦術はまずもって『バースカラ』の撃破を主としていた。
 妥当な判断である。バースカラの特性上、長引かせる程それぞれの特性が看破される恐れがあるのだから。全員看破されてしまえば手の付けようがなくなるかもしれない。だが。

 ……こいつら。

 理解した。『意図的に絞って』いる、使っている技能を。
「俺を誤認させようという訳か。或いは、優位を取らせない為か……」
 バースカラは愚かではない。幾何かの時を経れば相手の戦術が如何であるか察しもする。
「あ、流石に気付く? まぁ気付こうが気付かまいが――私は小細工抜きでぶん殴るんだけど」
 言うはロザリエルだ。彼女は只管に荊槍で奴を攻め続ける。
 彼女の特性の一端を担う感情封印は『任意』で使用の可否を決められるモノ。使わなければバースカラは特定できず、ひたすらに力で殴る彼女の戦術はバースカラに優位を取らせない為の策として大いに有効だった。同様の戦術を取っているのはメルナで。
「これ以上の被害も、進化も許す訳にはいかないよ……! ここで、必ず倒してみせる……!」
 至近のまま、逃がすまいと踏み込む一撃。通す斬撃。
 双方共にこれは誤認ではなく優位阻害の為。一方で誤認を誘おうとしている者もいる。
 例えばシグだ。知の挑発を行い、己に向けさせようとする挑発の方向性はバースカラに響く。目は主に彼に向いており、そこへ銀刃――己が液体金属を収束させて。
「如何かな? まだお前は理解に到達しえていないのかな?」
 放つ。インヤンマスターにでも誤認すれば幸いと、嘲笑も交えながら。
 バースカラも誤認の意図を警戒している故、一つスキルの合致があったからと言って即断するような事は現状していないが――逆に言うと奴がこの状況で誤認する可能性があるとすれば全ての条件を満たした動きを見せる事であった。その観点で言うと。
「――メートヒェン、飢餓感が来るぞ気を付けろ!」
 特にウィリアムが上手かったと言えるだろう。ファミリアーによる戦場の俯瞰。瞬間記憶を常に使って敵の様子を記憶に留め、賢者たる神攻の高さ。距離の戦闘に優れる様を見せる等――完全にソーサラーの様に振舞っていた。このまま上手く立ち回れば奴を誤認させる見込みは高いだろう。

 しかし。

「ひ、は、ふぇへへへ! オニク、お肉ぅ!」
 バースカラ以外の問題は存在する。他の二体だ。
 ソフスは勇司が抑え、フワーリズミーはメートヒェンが抑えていたが――メートヒェン側が厳しい。奴は二回行動を度々行い、その上で飢餓感の発生から捕食を度重ねる。
「はいはい――お肉ですよこちらをどうぞ」
 無論、ただ捕食されるがままではない。メートヒェンは近場にあった椅子などをフワーリズミーへ。口に入りやすいように叩き込んでやる。なぁにこれもメイドとして給仕をしているだけ。お代わりは如何か。
 とはいえ奴の捕食の範囲は通常より『広い』一度に椅子を飲み込んで、そのままメートヒェンも喰らわんとする勢いだ。防御に優れる彼女であり、そうそう落ちはしないし――
「チッ――だけどそう簡単にはいかせない……!」
 アオイの回復術式もある。継戦するはまだまだ出来て。
 しかしフワーリズミーは早めに落としたい所だ。捕食を行えば彼らは個々に能力が増大していく。バースカラ同様に、残しておくと危険な者なのには間違いなく。
「なんという……食欲でしょうか……」
 肉も家具も見境なく貪る様子にティミは言う。
 これは生きる為なのだろうと。食欲が根源……嗜虐心で他者を害する――ある者とは違い、生物としてはまだ正しい在り方だ。彼らにとって人を喰うのは悪でもなく罪でもないのだろう。
「それでも、犠牲になった人々の為に」
 そして私達も生きていくために剣を取らねばならないのだから。
 この戦いには勝たねばならない。ティミもまたメートヒェンの支援として癒しの力を紡いで。

「バースカラ。そろそろその辺りの連中を振り切れんか?」
「無茶を言うな俺一人で何人相手にしていると思っている。そっちこそ早くしろ」

 苛立つバースカラだが流石に六人近く――別に全員が前衛という訳ではないが、相手にすれば振り切れず押し切れず。イレギュラーズは奴の『理解』を警戒している為の攻撃を行っている為優位も取れず。だからこそ誤認しては一気に不利になるとバースカラ自身慎重となっている訳だが……
「やれやれ食料如きにここまでされるとは、なんとも面倒な」
「……人様の家に土足で踏み入っておきながら随分な言い様だな?」
 ソフスの呆れ口調に勇司が言う。此処をお前らの家か何かと勘違いしていないか?
「舐めるなよ。俺達はな、いつだって手の届く先に手を伸ばす事をしているんだ」
 そうして、伸ばした先で全力を尽くすのみ。
「――お前達には理解出来ないヒトの力ってのを魅せてやる」
 倒れず、屈せず、挑み続けるヒトの力。
 勇司は決意する。どこまでも、どこまでも。己が役割を続ける事が、出来る限り。

「ひひひっ、まだ私のクラスは分かっていないみたいですね……!」
 ワイズキーとソニックエッジの使用を控え続けるエマの特性を理解するのは困難を極めているようだ。一つ隠しているだけならばバースカラも推察出来よう。しかし二つとなればそう容易くはない。
「理解しても、感情を抑えて動けなければ知的とは言えない。その辺りを『理解』しているのかな?」
 同時。悠は敵の生命を奪い取る術を展開。バースカラへと放ち、己が血肉を回復して。
 増える傷。理解に至れず、更に苛立つバースカラ。
 互いに決め手に掛けていた。癒し手に努めている者が複数いる為、継戦能力は高いが一方で攻撃力が些か落ちている感は否めず――ならばソフスの遠距離攻撃やフワーリズミーの複数回に渡る行動の重みも増えて来る。されどそこは数の差がある。ブロックの人員を割いた上でバースカラに攻撃を集中させる事は十分可能であり。
「埒が明かん……!」
 ついにバースカラが断定をもって動いた。数の差があり過ぎる。
 ならば多少賭けでも一角から潰さして埒を開けねば――故に。

 狙ったのは。常に『ソーサラー』として動いていたウィリアムで――

●決着
 ウィリアムは自身の激しい衝撃が伝わってきたのを自覚した。
 で、あると同時『達成した』とも。彼の特性はソーサラーではない。
 より深い、より魔導を極めんとする高位術者――

 ザーヴェラーの領域であったのだから。

「かかったな――ッ今だ、堕とせッ!」
 胃の奥からこみあげて来る血を強引に飲み込んで。
 指差す先はバースカラ。星の巡りよ、永劫の繋がりは今ぞここに乱れて断たれよ。数多の星々が汝の万物を乱す――森羅万象、星天断絶。
「ぬ、ごっ!?」
「ひひ、ひっ――逃がしませんよこのチャンス!!」
 誰も彼もが見逃さぬ。地を踏みしめるエマの一閃。速力を武器に、身を穿つ。
 この機会しかない。これは永遠に続く訳ではなく、精々数十秒。だからこそ一気呵成に。
「がああああッ! この下等共がッ!!」
 血みどろに微睡むバースカラ。及ぶ飢餓感に口を開けて。
「見えた……! こーなると、思っていたから!」
 されどそこへ直感にて観察してたメルナが飢餓感の発動を察知する。
 故に机を。全力で掴み上げ、バースカラへと真横から振るう。角が頬に、直後毟る様に机が食されるが――こちら側に噛みつかれるより遥かにマシだ。
「――あんた達みたいなの野放しにはできないわよねぇ」
 そこへ往く。ロザリエルが。
 人を喰らう? ああその気持ちはわかる。なぜなら己も『そう』なのだから。
 人間はね――美味しいのよ
「だけどね、お腹減ってそのへんの石ころかじるような野蛮な生物に食べさせるにはもったいないわ。あんなに美味しいんだからこそ――」
 守らねばならない。私のなのだから!
「守らせてもらうわ!!」
 瓦礫を片手に。飛び掛かって来るバースカラの動きに合わせて。叩き込む。顔面に、その口に押し込んで。そのまま壁へと一直線。喉の奥へ奥へと身体諸元突き動かして――トマトになるまで叩きつけてやった。
 引き抜く。齧られたのか、腕からは出血していたがそう深くはなく……

 瞬間、バースカラと対峙していた者らの所へと魔力の渦が襲い掛かる。ソフスだ。

「バースカラを殺るとは、中々」
「へ、ははは! 面白いねぇ!!」
 バースカラは撃破した。しかしそれで終わりではない。まだ二体、残っている。
「おや、どこにいこうとするんだ――私の味は好みじゃなかったかな? すまないね、肉がほとんどなくて」
 オールドワンたるメートヒェンの肉はもう喰い飽きたとでも言わんばかりか、フワーリズミーの興味は他に移っているようだった。流石に一人で留めるはそろそろ限界か、メートヒェンの負傷はそれなりに激しくなっており。
「……とりあえず回復を止めねば如何様にもし難い所であるな」
 ソフスの魔力から抜け出したシグが次なる目標にするは、そのフワーリズミーだ。
 バースカラを相手にしている間もソフスの遠距離攻撃は何度か飛んできており、イレギュラーズ側の被害も決して少ないモノではない。勇司が徹底して抑えていてくれた上、発動時の魔法の傾向などを逐一教えてくれていた為、自由自在に放たせていた訳ではないが。
 牽制のマジックロープを放ちながらシグは思考を止めない。後数手、如何に詰めるか――と。
 戦いは最後の激しさに移ろうとしていた。フワーリズミーの範囲の広い捕食による咀嚼恩。対抗する剣撃。魔法と魔法の衝突――
 ティミは思わず目を閉じてしまいそうになる。今回はいつもより敵が近い。
 血の匂いも、刃が弾かれる音も耳の傍で。怖いモノだと実感する。心が外に晒されているようだ。
 それでも。
 胸に仕舞ってある紅玉の花を服の上から握りしめる。強く、強く。
「――大丈夫」
 私は前を向いていられる。込められる意思と魔力を抱いて、彼女は敵へと立ち向かうのだ。
 待ってくれている人が――いるのだから。
「人にどんだけ近くても……お前たちはやっぱりこっちとは違うんだよな……!」
 アオイは実感する。あらゆるモノを貪っている、特にフワーリズミーを見て人とは違うと。
 人も多彩な物を口にする種族ではあるがあそこまでではない。だからこそ不気味にも思う。人と似通った姿をしながら――どこかが致命的に違うその『ちぐはぐ』に。
 湧き出す神秘の本能。強化されしその力を、外套のどこぞから取り出したレンチに乗せて。
「ここまでだよアリストクリエイター。お前達はもう、終わりだ」
 放つ。フワーリズミーの額に甲高く命中すれば、そこへと続く歯車の魔力。
 対象を砕かんとする一対の歯車が――人に仇なす魔物の命を削らんとして。
「ふへははは! お前らうざいなぁお肉如きがお肉お肉お肉ぅ!!」
「ひっ――!! 恐ろしい、したらばお肉代わりにこれは如何でしょーか……!」
 フワーリズミーの叫びに応える形でエマが放ったのは――
「劇薬です! えーともうこれ毒って奴ですね――そう、硫酸って奴です!!」
 美味い、まずいではなく危険なものであった。敵も人ではない故、エマも死ぬことまでは期待していないが、一瞬でも面食らう時間があれば幸いとして。
「全く、前に戦った時よりも明らかに強くなって知能も増しているみたいだけど……」
 品性と性根の奥底は全く変わっていないようだ。
 叩き込んでやろうメイドとして。負傷激しく、血すら流す身なれども。
「ここで打ち倒せれば――取り返しのつかない事態、にはならなそうだしね」
 劇薬に悶え、大きく開けた口。飛び込んでくるフワーリズミー。
 顎と頭を瞬時に掴んで、強制的に閉じればその顔面に――膝を叩き込む。
 こちらに向かってきていた力をカウンター気味になる形で、撃ち抜く。その頭蓋を砕く為に。
「なんと――ここまでやられますか」
「どうだ? 見たか、ヒトの輝きをよ」
 その様を見てソフスが呟く。これは駄目だな、あの方に面目が立たぬと。
 されば勇司も、もはや抑えにのみ徹する必要は無しと攻勢に移る。この時点で勝敗は決したといえよう。ソフスの遠距離攻撃はイレギュラーズの多くの者に傷を残していたが、もはや遠距離主体の者一人では挽回できぬ。
「……さて、お前さんが最後だが……何か最期に言う事はあるかね?」
 シグは眼の紋様たる魔法陣を展開しつつ言葉を紡ぐ。言葉が無ければ、もはや圧殺すると。
 ソフスは何も言わず、ただ笑顔のままで魔法術を放ち続けている。さすれば。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」
 何かを行えば、何かの結末を必ず得る。因果応報。紡ぐ言葉は、悠の声で。
「――君達が人型を取るにはまだ足りなかったんじゃないかな」
 実力はともかく、思想も行動も何もかも。
 生命を穿つ、吸収の術が――最後のアリストクリエイターを捉えていた。
 姿の、その命を。

成否

成功

MVP

ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
天翔る彗星

状態異常

ロザリエル・インヘルト(p3p000015) [重傷]
クリムゾンティアラー
メートヒェン・メヒャーニク(p3p000917) [重傷]
メイドロボ騎士

あとがき

アリストクリエイター、バースカラ・フワーリズミー・ソフス――討伐完了

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