シナリオ詳細
銀閃の乙女と矜持無き兵士達
オープニング
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数えられるのもばかばかしい数の南下作戦の高揚と緊迫も抜けきらぬその日、ローレットにて依頼を受けた8人のイレギュラーズはとある町に訪れていた。
鉄帝国の南部、やや南下すれば戦火渦巻く幻想との国境線へ至る、小さな町である。
「戦争で道をはぐれた少数の兵士が近くで野盗と化しているという情報が入った。もし情報が正しければこの兵士達を討伐してほしい」
「少数なら鉄帝国が軍を派遣すればいいのでは?」
「それはできんよ。いや――正確にはしたくない、だが」
依頼人である20代に見える女性――自警団長は、翡翠色の瞳をうつむかせ、やや冷たく見える風貌に陰りを見せた。
「ほら、言っただろう? 戦争で道をはぐれたと。もしも彼らが我々の軍勢と渡りあい鎮圧されでもしてみろ。これから先、ようやっと落ち着けるかもしれなかった民衆の戦意はどうなる?」
沈静化しかけた火事にわざわざ火種をぶちこむに等しい。
そうなれば落ち着くかもしれなかった戦意は互いに燃え上がるだろう。
これから先、越冬をせねばならない鉄帝国にとって、泥沼の持久戦など、地獄以外の何物でもない。
幻想だって、南北を侵され、残党狩りなども起こりうるというのに、お互いが止まる時を失するのは、得策じゃない。
「そこで、君たちだ。これは野盗狩り、そういうことにしてどちらの国に対しても味方である君たちを頼るしかない」
そうやって表向きに国へ面目を保つ。そういうことらしい。
「我々がとりあえずは確かめに行く。君達は真実であれば向かってほしい」
団長が言って、8人の部下とともに屯所を後にした。
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自警団が森の中を走っている。勝手知ったる我が庭というべきか、その足取りに迷いはない。
「団長、本当にいるんですかね」
「いないのならいないで面倒ごとにならんですむさ」
一人の自警団兵が問えば、団長が落ち着いた調子で返す。
美しい銀の長髪が風に流れた。
「それはそうですが……団長にとっては難しいところなんでは?」
「別にどうでもいい。たとえ母上の祖国だとしても、無断で国境を渡れば賊に変わらん」
枯れ葉を踏みしめ、木々を裂いて進む中、やがて団長が機械化した腕を後ろに向けて伸ばして部下を制し、目を閉じて集中する。
「……大いに残念だが、どうやら情報は確かだったようだ。事前に通達していた通り、接敵することになれば私が殿を務めよう。お前たちはローレットの者達へ要請をしてくれ」
「了解しました。団長」
「あぁ、いや。待った……やはり変更だ。2人だけ向かえ。それ以外は私と共に来い」
シッと口元を抑えて部下を黙らせた女は、すぐに指示を改め、すぐに中でも足の速い者を2人を走らせた。
「――君達は、町のために死ねるか?」
「は……はい、そりゃあもちろん!」
「そうか。ならよかった。ではこれより我々はこの先にいる賊共を足止めする」
静かな面持ちに明確な敵意を宿して、団長が立ち上がる。
この数で? そういわんばかりの部下に向けて、団長はいっそ穏やかなまでの表情(かお)で、部下を見渡した。
「この先にいる輩は、帰る場所を見失ったばかりか、我々の故郷に略奪に向かうそうだ。いいか、家族を守れ」
そう言い切った女が走り出す。それにやや遅れて、部下たちも動いた。
女は草木を抜けて疾走し、やや開けた場所にいる15人ほどの集団を視認すると、抱えるように持つ槍の調子を整える。
集団の方も女の足音を感じたのか、各々の武器を構えて立ち上がる。
しかし、やや遅い。
女は自らの身体に魔術を行使すると、爆発するようにその速度を上げ――痛烈な一撃を以って一番近くにいた男を貫いた。
「な、何者だ!?」
「私の名はユリアーナ。君達が先ほど言っていた北にある町にて自警団を父より受け継いだ者だ。申し訳ないが、ここで死んでもらおう」
「なっ!? おいおい、たったその程度の数でか?」
「あぁ、栄光ある幻想貴族の家臣から、強盗に成り下がった程度の奴らよりはよほど腕があると思っているが?」
「――死にたいようだな、小娘」
「殺してみろ、雑魚ども」
けらりと笑った兵士長らしき男を挑発し、団長――ユリアーナは駆け、槍を振るい激しい応酬に入っていく。
続くようにユリアーナの部下と、兵士達も激闘を開始した。
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イレギュラーズが森林部に突入し、兵士達の所在に辿り着いたころ、そこは既に血の臭いが充満していた。
それでもなお、こちらまで聞こえてくる剣戟と挑発の声。
君達はその舞台へと乗り込んでいく。
- 銀閃の乙女と矜持無き兵士達完了
- GM名春野紅葉
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年01月01日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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「――しねぃ!」
「いい加減、聞き飽きたぞその台詞」
森林を抜け、イレギュラーズが現場に辿り着いたところで、そんな声が聞こえてきた。
女一人を兵士たちで囲い、ユリアーナの動きを足止めしながら、振り下ろされた剣が女性に傷を刻む。
「えひひ、野盗狩りですか。わが国ながら恥ずかしいことです」
心にもないことを言う『こそどろ』エマ(p3p000257)の足並みは静かであった。努めて冷静に、努めて慎重に、エマはやがて木にもたれるようにして戦うユリアーナの近くを陣取った。
息をひそめ、狙うはユリアーナをたった今斬った男。一瞬――エマは一気に男へと走ると、そのまま手に持つペレグリンを男へと走らせた。
速力のままに抜かれたなだらかな曲線を持った剣身が、男の鎧と鎧に向けて差し込まれる。兵士長は致命傷を体裁きで避けながらも、傷を受けて少しばかり後退する。
「くはっ、なかなか堂に入った畜生ぶりではないか!」
それを見て木々の間から『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)が姿を現わし、笑いながら挑発する。
「いやはや、貴殿のような者達でも戦場で死ねば英雄となれたろうに! 無念であろうな、貴殿らの身内は」
「あぁ!?」
爛と輝く百合子の紺色の瞳と、兵士長の双眸が合う。
「どこの誰だか知らねえが、そこの死にぞこないの小娘諸共、貴様も殺してやろうか!!」
胡乱な瞳で激高した兵士長が向かってくるのに割るようにして百合子の前に出たのは『神無牡丹』サクラ(p3p005004)だ。
「ローレットよ! おとなしくお縄に付きなさい!」
振り下ろされた兵士長の剣を左手の手袋に込められた加護で防ぎ切り、対するように告げれば、兵士長の目が見開かれ――やがて笑みを刻む。
「ローレット! 幻想のみならず鉄帝に尻尾を振る奴らめ!!」
自分が何を言っているのか、最早彼には分かっていないのだろう。ぎらりとした瞳は哀れなほどに悍ましい。
「狼藉を働いてまで生き延びてたとて、罪を犯した貴様らが帰る場所などもうすでにあるまいに」
乱戦の始まろうとする戦場で『墨染鴉』黒星 一晃(p3p004679)はそう漏らすと、妖刀『血蛭』、その影打が一本を抜けば、戦場を見渡した。
「墨染烏、黒星一晃。一筋の光と成りて、矜持なき者共を斬り伏せる!」
口上とと共に、一晃は自らへ一番近い兵士へ向けて斬撃を飛翔させた。
「幻想の兵の質が知れるであります。再教育でありますな。高くついた代償は彼らの命で払って頂くであります」
イレギュラーズの登場に動揺した兵士達の間を抜けて『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)はユリアーナの前に立つ。
「しかし、やれやれ。何かあったときの後詰めとはいえ、自分がこんな配置とは些か不本意ではありますな」
エッダは向かってきた兵士の一人の攻撃が勢いをそのままに、その体勢を崩すと己が錬鉄の拳を叩き込んだ。
「フラウ・ユリアーナと申されたか。この憂さは晴らさでおくべきと思わんでありますか? 闘いそれ自体を楽しむことは悪ではないでありましょう」
「はは、あぁ、いや。同郷の香りがして好ましい。まさに、晴らしたいところだ」
振り返ることなく悠然と敵を向く小柄な騎士に答えれば、エッダはその諾に応じるがごとく次に近づいた者へ強烈な一撃を叩き込む。
(生きていくために、野盗にその身を窶す。……そうしなければ生きていけない現状を何とかすべきではあります。本来なら。彼らが正しく生きる道を指し示す時間も手段もない。ならば……)
「その罪を裁くために、参りましょう――人ではなく、罪を」
ザッ――と、足を踏みしめ、一人のシスターが真っすぐに目を向ける。
「ユリアーナさん、ですね。一度下がって体制を整えてください。治療が最優先です。できれば下がったままでいて欲しいのですが……」
イレギュラーズの介入により自分への包囲を止めた敵を見ながら、立ち眩みをしながら立ち上がるユリアーナ。彼女へと近づいた『ほのあかり』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)はそういうと近づいてきている他のイレギュラーズに目配りして。
「あぁ、お言葉に甘えさせてもらおう。死ぬのは苦ではないが、わざわざ拒んで死のうとも思わないさ」
軽口を言う割には、女性の顔色は芳しくない。その理由が身体中に刻まれる流血を伴う傷であることは明白であろう。
ユリアーナが下がっていくのを感じながら、クラリーチェは集中し兵士長を見る。サクラと百合子に抑え込まれた兵士長だが、まだ一応は元気よく戦っている。
そんな彼に向けて、クラリーチェは魔導書より呪文を唱えた。封印こそ上手く入り切らなかったが、その封印術式が兵士長をむしばんでいく。
「兵士である以前に、人であろうとする事を辞めてしまわれたのですね」
フィーネ・ヴィユノーク・シュネーブラウ(p3p006734)は隣まで下がってきたユリアーナに祝福を施しながら、仲間達と戦う兵士達を見る。
「大丈夫? けど死ぬところだったんだよ? 命を懸けて大切な人達を守る……その意思は尊いものだけどそれで死んで大切な人達を悲しませたら本末転倒だよ。それに」
『美少女系陰陽師(男)』衝羽根・朝姫(p3p006821)はユリアーナに治癒符の輝きを照らす
朝姫は赤色の双眸をやや緩ませて、ユリアーナを見る。一見すると美少女と美女の綺麗な構図だが、朝姫はこれで男である。
「それにユリアーナさんは美人さんだからね。美人が死んじゃうのは世界の損失だよ」
「はは、それは嬉しいことを言ったくれるな、ありがとう」
練達上位式で戦闘不能者を回収する片手間に口説かれれば、ユリアーナも軽くそれに笑って返しつつ、治療に専念していく。
サクラは兵士との戦いへと向かった百合子と兵士長との間に常に割り込むようにして戦っている。
「ええい! 猪口才わ小娘!!」
大きく振りかぶられた兵士長の剣にサクラは持ち前の高い技術を用いてそれを捌き、逆に踏み込むと、聖刀による居合抜きを彼の懐へ刺し込む。
「その小娘一人を倒せないボス相手なんて、私一人で十分だよ!」
「えひひっ、こっちにもいますよ!」
サクラに続くようにしてエマの放つ音速の一撃が兵士長を強かに打ち据え、その身体を大きく崩させた。
更に、続くように彼方より飛んできたクラリーチェの封印術式が兵士長を絡めとる。
「お二人とも!」
その声に反応するように、サクラとエマが再度の攻撃を打ち込んでいく。
重装備の兵士ということもあって、絡めとっていてもまだまだ堅い。それでも、防御、攻撃、補助の三人による抑え込みは、思いのほか上手く、一番厄介な男を封じ込めることに成功している。
「かははっ! 奪うのは楽しかったであろう? 家は燃やしたか? 火をつけるのは気が高ぶって良いぞ!」
兵士長より離れ、兵士達の集団へと乱入した百合子の瞳に宿る狂気ともいえる闘志に、兵士達がたじろぐ。
その中の一人、近くにいた兵士一人へ拳と蹴りによる連打を打ち込んでいく。
巧みな攻撃は兵士の身体的弱点に効率よく撃ち込まれ、たまらずそいつが体勢を崩し、一晃による飛翔斬の餌食となってすっぱりと斬り伏せられた。
そんな一晃に向かって、兵士達が近づいていく。少しおびえた様子を見せながら突っ込んできた兵士の攻撃を受け流し、お返しとばかりに踏み込み、一刀のもとに切り捨てる。
エッダは兵士達に集中的に攻撃を受けていた。
エッダはもちろん、その後ろ――イレギュラーズやユリアーナに向けて回復を施すフィーネ、朝姫が、ただでさえ明確に存在しているイレギュラーズと兵士達の力量差をより大きくしている。
エッダは向かってきた一人に向けて拳を貫く。螺旋を描く律動が兵士の肉体を捉えれば、大きく弾かれて飛んでいく。
「そろそろ、いけそうだ」
フィーネの治療を受けていたユリアーナが立ち上がる。ぶんと軽く槍を振り回す彼女の姿を見れば、なるほど確かにもう一度戦える程度には再起しつつあるように見える。
「……くれぐれも、無理しないでくださいね」
仲間達はもちろん、依頼人のユリアーナは自分達による治療があるとはいえ、元々、かなりの被害を受けていた。
「もちろん、君のおかげだ。君の忠告であれば、従うとしよう」
走り抜けた彼女へ頷くと、フィーネは兵士長と戦うサクラの傷が増えているのを見て止め、ハイヒールを飛ばす。
朝姫はその様子を見ながら、自分は兵士の集中攻撃により若干、傷の増えてきたように見える百合子へとハイヒールを飛ばす。
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エッダは復帰してきたユリアーナを庇うような立ち位置のままで戦闘を続けている。
「……なぜ治ったのに庇い続けるのかと? 自分は騎士でありますから。あれほどの血を流していた同胞の、それでも戦おうという意志に感じ入ったからであります。まして、その目的は守る為と。素晴らしい」
背中越しに問われた言葉に拳を構えなおす。
「翻って貴様らは美しくない。お覚悟なさいませ。自分は、貴様らの怠惰を叩き潰す者であります」
静かに告げれば、もはや残り少なくなってきた兵士達に明確な焦りが見え――小さな悲鳴が聞こえた。
「す、すまねえ、兵士長! おらぁ無理だぁ!」
一人の兵士が踵を返し、森の外へ向けて走り出そうとする。
「逃げられると思うてか。ここは戦場ではなく狩場ぞ」
その兵士の前方へ回り込んだ百合子は既にその構えを取っていた。慌てて兵士が動きを止めるが、もう遅い。コンビネーション良く撃ち込まれる拳が、兵士の鳩尾を、膝を、顎を砕き、その身体を地に沈めた。
「これで終わりだ」
更には一晃が一人の兵士に向かって一歩深く踏み込み、斬り上げ、目を見開く兵士を一刀の下に斬り伏せた。
焦燥感に震える声で雄叫びを上げた兵士が、エッダに向かって駆け込み、反撃の一撃を心臓の真上に受けて、身体を捻じらせながら吹っ飛び、崩れ落ちる。
「うわぁぁああ!!」
狂乱しながら攻め寄せる兵士達を、的確に打ち据えていく。
「く、くそがっ! やってられっか!」
兵士長が舌打ちと共に声を発する。サクラは兵士長を抑え込み続けていた。
防御を務めるサクラは高い防御技術によって強烈な兵士長の一撃の多くを捌き、或いはその高い抵抗力で彼の放つ流血を伴う斬撃に対抗している。
サクラを蹴って間合いを無理やりに開けた兵士長が後退を試みる。
「格好悪いよ貴方達! 逃げて、弱い者いじめをして、満足して! そうやって世界の果てまで逃げるつもり!?」
すぐに体勢を立て直したサクラが追うよりも前に、エマが動く。
「えひひっ、昔の私みたいな人です」
怖がりな盗賊は、その哀れな背中に何かを想い、真っすぐに走る。
兵士長の前へと割り込むと、影穿と呼ばれる急所への一突きを見舞う。
「逃げるぐらいならば、投降してください」
クラリーチェが放つ封印術式が再度、兵士長の動きを絡めとる。
「なぜ、なぜ俺がこんな目に合わねばならぬ!!」
「戦場から逃れたより今までが余計な寿命よ。足掻くは此処までにするがよい」
兵士を倒し終えた百合子が冷ややかに兵士長を見据え、鉄法を打ち込んだ。
「罪を償う気概も持ち合わせておらんのだろう? 安心しろ、規模は違えど貴様が散る場所は戦場に変わりない」
崩れ落ちながら血を吐く兵士長に向け、するりと剣を抜いた一晃が近づき、掌に込めた気功爆弾を打ち込めば、白目になった兵士長が膝をつく。
「おやすみなさい!」
サクラが石突部分で兵士長の鳩尾を打ち据えれば、やがて彼の身体から力が抜けて倒れこんだ。
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戦いを終えたイレギュラーズは戦闘不能者を回収してユリアーナ達の故郷に戻ってきていた。
「それにしても、あの数で半数倒しちゃったんだね」
「君達のやり方と同じさ。私が兵士長を抑えて、仲間に一人ずつ殴ってもらった。まぁ、元
の人数差もあって普通に惨敗したがね。君達が来てくれて本当に助かったよ」
そういう彼女は実は折れていたらしい腕を固定している。幸いか腕の折れているのは利き腕ではない方だが。
「回収を手伝ってくれて感謝するよ。さて、少し失礼」
そう言うユリアーナの視線をたどれば、倒れている兵士達がいる。
「倒れた部下にまで癒しの力を用いてくれてありがとう。……おかげで、部下達は傷を癒した後は」
「……救える方は、出来る限り救いたいですから」
フィーネはユリアーナからの問いに答えながら、自らに祝福を与えてから兵士へハイヒールをかけている。
「そう言ってくれると嬉しいな」
「彼らはどうなるのでしょう」
「どうだろうな……うちの町は国境線に近いが、前線から迷いこんでくるまでには絶対に補給がいる。彼らがどれぐらいの物資を持ってたのかは知らんが……余罪もあるだろう。とくれば、その罪は深くなる……まぁ、軽くはないだろうな」
クラリーチェが問いかけるとユリアーナが少し考えて告げる。
「そう、ですか」
「すまない」
申し訳なさそうに視線をそらしたユリアーナは、少しだけ話をすると、その場を後にして屯所へと足を向ける。
「僕、ユリアーナさんの事気に入っちゃったかも……どうかな? 個人的なお付き合いとかしてみません?」
その最中、ユリアーナへ近づいた朝姫が近づいて問いかけた。
「うん? そう言ってもらえるのは嬉しいが……私はこの町があるからな。何かしらお願いすることはこれからもあるかもしれない」
そう言ってユリアーナは微笑みを浮かべた。
冬の風が、戦闘の興奮を、穏やかに吹き消していく。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
こんばんは、年始早々に荒々しい物をお返しします春野紅葉です。
ドンパチの純戦依頼、いかがでしたでしょうか。
GMコメント
パンツが行ったかと思ったら清らかに純粋で戦闘な鉄帝をお送りします。春野紅葉です。
というわけで野盗堕ちした兵士をぶちのめしましょう。
以下に詳細をば
●オーダー
兵士達の討伐。
●戦場
森林の中にある何らかの理由で開けた場所。とはいえ、森林のために遮蔽物などはそこら中にあります。上手く使えば奇襲も可能でしょう。
時間帯は昼間です。
●敵戦力
何やかんやで迷子になった兵士達です。
とはいえ、侵入した敵国領内で乱暴狼藉を働き、野盗になりかけています。
自警団との戦いでは敵の戦力が少なかったこともあって有利に戦いを進めました。
ここからイレギュラーズの加勢があれば、どこかへ逃げようとする可能性もあります。
・兵士長
皆さんよりやや格上になります。
片手剣と盾を持っています。
タンク型。反応、防技、命中がやや高め。
防戦体勢:自付与 最大HP、防技、抵抗
刺突:物近貫 威力中 【弱点】
振り下ろし:物至単 威力中 【流血】
薙ぎ払い:物至単 威力中 【出血】
・兵士×8
雑魚です。まず負けることはないでしょう。全員が剣兵です。
防衛戦:自付与 防技、抵抗
押し返し:物至単 威力小 【足止め】
●味方戦力
皆さんが到着した頃には自警団兵は全員戦闘不能、ユリアーナだけは頑張ってますが囲われてタコ殴りにされてます。
生存に関しては依頼の達成条件に含みません。
・ユリアーナ
母親が幻想貴族の末娘、父親は先代の自警団長でした。母親の教育の賜物か、多少は柔軟な思考の持ち主ですが、如何せん鉄帝生まれ鉄帝育ち。多少の脳筋である感じは否めません。
皆さんの到着時点でBS【流血】になった状態で木を背に戦っています。
まだ一応はもっていますが、なにもしなければ依頼達成までには普通に死にます。
皆さんと同等からやや格上になります。
ハイウォールを持っています。
タンク型です。防技がかなり高め。
《注意》一応、使用できるスキルを明記しますが、到着時点でAPが尽きているものとお考え下さい。
臨戦防衛:自付与 防技、抵抗
刺突:物至単 【痺れ】
横殴り:物至列 【溜め1】【痺れ】【必殺】
立て直し:物自単 BS回復、HP回復【治癒】
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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