シナリオ詳細
<PantsPantyProject>もあ もすと ばりゅあぶる ぱんつ
オープニング
●More MVP
「なあ、お前」「……」「なんで村の入口でぼーーーっと突っ立ってるんだ?」
幻想、迫り来る冬の厳しさに対してまだまだ備えを続けていたとある夜。一つの村で村人がフードをかぶった観光客らしき男性に尋問をしていた。
田舎者がよそ者を警戒し、不必要の行動に出ることは珍しいことではない。本来年貢や税金を納めたり工業製品と物々交換をする以外では外に出ないこの村では、なおさら『たびびと』に対しては警戒心を抱いていた。……今回の場合は、彼の対応はある意味正しかったのだが。
「なんかお前、怪しいぞ……何しに来たんだ?」「……」
クワをもった村民は、フードの男に何度も、何度も問いかけるが……無言。苛立ったのか、村民はクワを持ち、つんつんと男のフードを鉤爪でこするのであった。そうして、クワの先端がフードの顔の部分にあたった次の瞬間。
「……サせてやる」「あ?」
突然フードの男がボソリとつぶやいた言葉に、村民は驚きと怒りがまざった声を挙げた、村民はクワを掲げながら怒りの声をあげる。
「何ボソボソ言ってるんだ! 目的を言わないと――」
「この汚らしい物を俺のフードにつけやがって! 後悔サせてやるって言ってるんだよおおおおおお!」
突然のフード男の絶叫。直後遥かに遥かに巨大な『何か』が空から舞い降り凄まじい轟音と共に着地した。直後激しい地響きと地震。それは二足歩行の金属でできた巨大なロボットであった。体のありとあらゆるところには排気パイプが存在し、その背には地球で言うコンテナの様な大きさの鉄の箱が設けられていた。あたかも巨大な宝箱を背負うような形になっていたロボットの、そこにわずかに空いていた穴からはなにやら白い布がはみ出してる。
農民の男は突如現れたそれに恐れおののき、クワを持って逃げ出していく。
「はははは! 後悔しても遅いぞ! もうこの村は……ハイ確定だああ!」
凄まじい跳躍力で飛び上がり、肩に乗るフードの男。操縦席に乗り込むと内部の機械を動かし。「ピー! エー! エヌ! ティー! エス!」
「パァアアアアアアアアアンツ!!!」
やかましい叫び声と共に赤いボタンを押す――直後、二足歩行の巨大ロボの全身の関節という関節から巨大な炎が燃え上がり、大爆発。
激しい閃光と灼熱、そして爆風により幻想の村が一気に焼き尽くされていく、何が起こっているかもわからず、村民達が一斉に飛び起き、巣を潰されたアリのように逃げ惑う。
こうして、幻想のある村は一夜にして消滅することとなった。
●Destroy P.A.N.T.S.
ここは所変わってギルド『ローレット』の一室、『とある事情』によって集まっていたイレギュラーズ達がたむろしていた所。『いねむりどらごん』カルア・キルシュテン(p3n000040) がいつものように眠たげに一枚の白い紙を持って現れた。
「やっと……みんなのぱんつを盗んだ人、特定できたよ」
そう、この一室に集まっているイレギュラーズ達、つまりあなた達は……クリスマスが迫っているこの時期に下着泥棒にあったのである。下腹部が寒いってもんじゃない。
誰なんだ!?前にも同じ事件があったがそいつなのか!?と問い詰めるイレギュラーズ達に対しカルアは首を振る。
「ううん、前のぱんつ泥棒さんとは違う人……今回は『ぱんつ強奪軍』、だって」
驚くイレギュラーズ達に対しカルアは手に持っていた紙……練達製の『コピー用紙』をおく。そこには依頼金と、情報を支払う旨が記されていた。
「練達の人から、お願いがあったの……自分達の発明が、悪いことに使われてるって……そしたら」
「私達のぱんつを盗んだ人達、ぱんつ強奪軍にたどり着いたの」
カルアが持ってきた情報によると、そのリーダーたる男は、善意の団体を装い練達に『混沌中のありとあらゆるぱんつに集まる感情をエネルギーに変え、発電する装置』の開発を頼んだのだという。開発された機械の名前は……『P.A.N.T.S.』。あまりのできの良さに、練達の開発者は喜んでオンボロのロボットもおまけでつけていったとか。
「……それで作っちゃう練達の人も、練達の人だけど」
「つまりなんだ、そのぱんつ発電機の為に、俺らの下着が狙われたのか?」
そう訪ねた一人のイレギュラーズに、頷くカルア。
「……それに……最近、ここの近くの何個かの村が、変な装置を積んだ大きな鉄の人形に壊されてるん、だよね……最後に見つかった村は、電気でバリバリ、炎でめらめら」
ぬすまれたイレギュラーズのぱんつにぱんつで動く発電機、そして村を破壊する機械。正直関わり合いになりたくないが、ぱんつを取り戻すためにも世界の平和のためにも動かざるを得ないだろう。
「それに、このままほっとくと危険みたい……練達の人、こんな使い方してるの、考えてなかったから……このままだと」
「大爆発、しちゃうかも」
●難易度確認はお忘れなく。
「ふはははははは! これがイレギュラーズ達の実力か! PANTSがこれほどまでの力を発揮するとは驚いたぞ……あの『蒼剣』のぱんつよりも凄まじい出力だ! まさにイレギュラー!」
悲劇の翌日の朝、すっかり燃やし尽くされ荒地となった村の跡地の上でフードの男はロボットの上で大爆笑していた。その傍らには……村からかきあつめたぱんつを持った彼の仲間達。
「お前たち、次の村に行くぞ! ローレットに勘付かれる前にな!」
「おお!」「おー!」
――不幸が不幸を呼ぶ、もっともくだらなくもっとも恐ろしい幻想の悲劇はまだ始まったばかりである。
- <PantsPantyProject>もあ もすと ばりゅあぶる ぱんつLv:10以上完了
- GM名塩魔法使い
- 種別通常
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2018年12月26日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●混沌史上最低のHARD(当社比)
それは聖夜が目前に迫った、良く晴れた冬の朝だった。
平和な夜に向け人々が準備に急ぐこの時期、本来は心を弾ませる時期のはず。
それがどうして、こんな事をしなければならないのか――
「……股座がスースーする」
何でこんなことに。『暇人』銀城黒羽(p3p000505)は寒空の下、幻想の街の前で頭を抱えていた。彼だけではない、ここにいる9人のイレギュラーズは全員自分のぱんつを持っていないのだ。
『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)黒羽の肩にポンと触手を乗せ優しく声をかける。
「黒羽、そう気を落とすでない。妾にはギフトがある。故にぱんつの一つや二つ造作も無いのじゃ」
振り向き歓喜の表情を見せた黒羽に対し、デイジーが見せたものは飴玉が2つ。
「この通り、アメちゃんを貰ったのじゃ!」「おい!」
そんな彼らをじーっと眺めながら、『穢翼の黒騎士』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)が真顔で呟いた。
「……なんなんだろうね、この依頼」
怒りを押し殺した真顔の表情のティア。そんな彼女を心配するかの様に、彼女を操る神が声をかける。
『落ち着け、危険な相手なのだからしっかり注意しろよ?』「うん分ってるよ、ぶっ壊すから」
即答、そして昂ぶる殺気のオーラ。手に負えないと言うかのように彼女の神はだめだな、これはとため息をついた。
「全くだ、本当にこの依頼は何なんだ?」
『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)がティアに賛同するかのようにため息をつく。混沌へ舞い降りて最初の1年が終わろうと感慨に浸っていた彼に最後に襲い掛かったものは……ぱんつ泥棒。『ぱんつ強奪軍』と名乗る彼らは何をどうったのか、老若男女を問わずイレギュラーズ達のタンスというタンスからぱんつ『だけ』奪い、それを使用し大暴れしているというのだ。
自らのぱんつがスられ、そしてそれが混乱を招いている。「この事態に俺はどんな顔をすればいいのだろう」と威降が険しい顔をするのも無理はない。自分のトランクス(チェック柄)にそれだけの価値があるのだろうか、そもそもぱんつ風邪って何なんだと深く考えこもうにも股間が寒い。寒くて考えようがない。
理解が出来ず頭を振る威降に対し、『鳳凰』エリシア(p3p006057)もまた理解できないように思いを語る。
「ああ、本当。人間の考える事は我にはわからぬ」
元は鳥であり神でもあったエリシアにとって、人々が何故他人のぱんつにそこまでこだわりを持つのか彼女にとっては理解しがたいものである。だが、物を盗むという行為が『悪』であることは彼女にもわかっていた。ならばその罪を罰するのみ。
罰する――その心は、「一度ならずに、二度までも」と怒りを募らせる『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)も同じである。ましてや彼女は以前にも似た被害を被っている、ぱんつ泥棒達に対して彼女が考えている事はたった一つ。その命をもって償ってもらう事である。
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)もまた全身から殺気のオーラと眼光が出ている。それでいて下半身もいろんな意味で視線を集めそうなオーラが出ている。
「……司書さん、怒ってる?」
『いねむりどらごん』カルア・キルシュテン(p3n000040)が声をかけると。イーリンは首を振る。
「いいえカルア……怒ってないわ。ただ奴らをミンチにしてから靴の中で煮込んでシチューにして豚の餌にしてやるだけ」
同時に強くなる負のオーラと眼光。ついでに露骨に現れるヒップライン……なんだこれ。「えぇ、ぱんつ泥棒はぱんつしてあげましょう。それでは黒羽さん、よろしくお願いしますね」
『ぱんつしてぱんつされる覚悟』江野 樹里(p3p000692)が殺意に目覚めるイーリンの背後より現れ、大きな麻袋を手に黒羽に手渡した。
「5日分、注意喚起をしながら全員で集めた分です。よろしくお願いします」
「……本当にやらないといけないのか?」「何ですか、ぱんつしますよ?」
しぶしぶと麻袋を受け取る黒羽。土下座をしてまで恥を忍んで『アレ』を集めたのは事実である。やらないわけにはいかない。
黒羽が麻袋を受け取ると同時に他のイレギュラーズ達は走り、敵襲に備える……皆、そいつがいつどう来るかはイーリンのギフトにより『知っていた』。
●闇市末期症状
そいつは行商人の乗った馬車を2つ、追いかける形で現れた。必死に馬に鞭打ち、全速力で走らせる行商人の後ろ、全身から煙を噴き上げ電気がバチバチと跳ねる、一見ポンコツな見た目の巨大ロボが、木々を軽々となぎ倒し、街道を削り地面を薙ぎ払い迫りくる。
これを放っておいておくわけにはいかない。黒羽は即座に麻袋を持って商人とロボの間へと飛び出すと、即座に砂嵐の巻き上がるロボの股の間を潜りぬける。麻袋から一つ『アレ』……ぱんつが零れ、地面に落ちたその時、ロボはガクンと跳ね停止。ゆっくりと黒羽の方へと振り向いた。
「お前らがぱんつ強奪軍か」
黒羽は停止するロボへと声をかける。実際に声が届いているかなどどうでもいい。ぱんつを見て停止した、それだけで十分だ。
「お前ら、自分達が何してるのかわかってんのか?」
黒羽は深呼吸をすると……目を見開いた。ロボの背中に積まれたコンテナを指さすと、大きな声で叫ぶ。
「ぱんつってのはな、マエストロ達の血と汗と涙と叡智の結晶! そんなぱんつは穿くもんだ、被るもんだ、ペロッペロして然るもんだ! そんな不っ細工な箱に押し込んで良いもんじゃねぇんだ! そんなとこに詰めるくらいなら全部俺に寄越しやがれ!」
演技とは言え、聞かれていたら社会的に死ぬ発言を続け、ロボの注意を引き続ける。その隙に、イーリンがロボの足元へと馬車を走らせる。愛馬ラムレイが引く高速の馬車は商人達の操る馬車とすれ違うと同時に、仲間達が次々と戦闘にベストな位置へと飛び降りる。
「ここは危険ぞ! 命が惜しくば早々に立ち去れい!」
一番後ろで降りたエリシアが止まった馬車へと一喝すれば、行商人達は再び馬車を走らせ、街へと向かって行く。これで戦闘の開始場所に問題は無い。
黒羽は注意を引き続ける為、麻袋からぱんつをつかみ取りすると、涙目で叫び続ける。
「てめぇらに好き勝手されるくらいなら、涙を飲んでぱんつを燃やそう!」
迫真の演技でぱんつに火をつけようと燃え盛る松明を取り出すと、麻袋へと近づけた、その瞬間……。
「やめろボケエエエエエ!」
天から突然、巨大なぱんつが次々とものすごい速度で降り注ぐ! 間一髪で避け、防御術を張る黒羽。
「なんて真似をするんだ!? それを焼くなんて!」
ハッチが勢いよく開くと、フードを被った男が顔を出す。
「それを燃やすくらいなら渡せ! 渡してくれ!」
「……出てきたな?」
男が手を伸ばした瞬間、黒羽は麻袋を持った腕を横へと伸ばす。
次の瞬間、ぱんつロボの両足を、巨大な魔弾が貫き黒羽の持っていた麻袋を吹き飛ばした。
機体への突然のダメージとぱんつの消失に狼狽えるフードの男、落ちぬよう慌て踏ん張ると。
「貴様ら……いつの間にいた!?」
「さっきからいましたよ、そして『P.A.N.T.S.』見抜きました!」
返事をしたのは、仕込み銃を構えていた樹里――再び銃を構えると、詠唱。
「ぱんつぱんつ申し上げます――」
「くそっ、くそぉ!」
フードの男は大慌てでロボに潜り込みハッチを勢い良く閉めると、ぱんつロボは再び煙を吹き出し動きだす、そしてそれと同時に胸元のハッチが開き構成員が次々と飛び降りてくる――戦闘再開だ!
「……ぶっ壊すよ」
樹里の魔法が足をずたずたに引き裂いたと同時にティアが飛び出し、飛び降りたぱんつ強奪団の構成員ごと神秘術で薙ぎ払っていく。ぱんつロボはよろめくも、取り付けられた排気口から一気に蒸気を噴き上げると……なんと、自らの欠けた脚部をみるみると修復していく!
続く反撃の炎と、錘の付けられた巨大ぱんつの雪崩。それは許さんとばかりに黒羽へと何度も、何度も降り注ぐ。黒羽は何度もよろめき膝をつくも、しぶとく、何度も立ち上がり、ぱんつロボの動きを封じ続ける。
「向こうはまず貴様を倒そうと必死だ、後は頑張って耐えてくれ」
エリシアが黒羽を労い、癒しの術を使い、更に黒羽の傷を治癒していく。その直後、火炎放射が黒羽を襲うも……次は膝をつく事すら無かった。
「自分や仲間を焼いても気にせず攻撃してくる……体力に相当の自信があるのね、こいつ」
魔書の頁の結界を身に纏い、依代の剣を構えるイーリンのインスピレーションは、ロボの『最終防衛プログラム』が発動するであろうタイミングを彼女へと伝えていた――しかし。
焦燥の表情と共に放たれる、イーリンの紫苑色の一撃。それはロボの足へと直撃し、大きくその形を抉っていき……が、まるで内側から被膜が生えるかのように現れ、傷を覆っていく。
「この耐久性は厄介ね、まるで巨人を相手しているみたいだわ」
「いくらあっても同じだ、このぽんこつの急所に一撃加えてやればいいんだ」
威降がイーリンとすれ違い様に振り被ると、両手に刀を1本ずつ強く握り、イーリンが傷つけた足を大きく切り裂かんと振り被る。
「ぶっ壊してやる!」
威降が放った斬撃は右足の関節を被膜ごと切り裂き、大きくよろめかせる。ちょうど飛び出そうとしていたぱんつ戦闘員が転げ落ち、その瞬間、ロボの背中に取り付けられた金属の箱と機体の間を数本のパイプがつながっている事にイレギュラーズ達は気付いた。
「あれは……送電線だろうか?」
威降の言葉にはっと気づいた顔をする皆。このぱんつロボは背中にある『ぱんつ発電機』で動いでいるという。ならば足を傷つけ続けてロボと発電機をつないでいる生命線、『ぱんつパイプ』さえ破壊すれば。
「なるほど、よろめかせて動力部を損耗させれば……大爆発の威力も下げられる……!」
「やれるか?」
エリシアの疑問に対し、鶫は巨大で無骨なプラズマジェットキャノン『天梔弓』を構える事で応える。
「人の関節に類する構造なら、横からの衝撃に弱いですよね?」
絶対に転ばせて見せます――鶫が引き金を引くと同時に、絶対命中の弾丸が足の動力部たる膝関節へと命中する。ぐらつき、慌てたような動作を取るぱんつロボ、こちらの考えが見抜かれ焦ったのだろうか……否、そうだとしても退くわけには行かない。すべてはぱんつの為に。
「撃ち続けます……!」
狙わなければならない場所は見えた。樹里は再び魔銃を構え、飛び降りた強奪軍と足を巻き込まんと魔砲を構えていた。
飛び交う斬撃と魔法、火炎と電撃。強奪軍のナイフが次々と魔法や斬撃で弾き飛ばされれば、まるでぱんつの布の様に強奪軍も軽く吹き飛んでいく。
幾分が経ったであろうか、威降が渦巻く風を纏った豪嵐牙を手に皆へ呼びかける。
「大分あのポンコツの右足もボロボロになったな……こっちの勝ちだ!」
仲間の覚悟を無駄にはしない、威降が再び刀を振り被ろうとしたとき、イーリンは咄嗟に手を出し其れを制止する。
「いいえ、構えて……あいつ何かしかけてくるわ!」
「敵意が強くなっている……何か来ます!」
鶫もまた異変を察知し天梔弓を構え、他のイレギュラーズも総員防御の体勢を取り身構えた直後。ぱんつロボから激しい蒸気が吹き出し、強い電撃を纏いだし……ジャコンと指から何かを露出。それを打ち出した。
それは追尾する『黒のぱんつ』の弾丸。知る人ぞ知る令嬢のぱんつの弾丸が、鶫へと次々に襲い掛かってくる。鶫は即座にぱんつを撃ち落とさんと引き金を引くが弾丸は発射されず。ぱんつはそのままとっさに身構えた鶫へと直撃。その瞬間、鶫は自らに起きた不運の原因を察した。
「呪われしぱんつの不運を……直接ぶつけるとは!」
鶫は受け身を取り、再び天梔弓を構え、反撃の一撃をぶちかます。辛うじて放たれたそれをぱんつロボは一切避けることなく、もろに膝へ命中する。
ぱんつロボは手下を放ちながら狂ったように次々と呪いぱんつの弾丸を発射する。滅茶苦茶に放たれるそれはイレギュラーズ達の運気を、体力を荒く激しく削っていく。
だがフードの男は気付いていなかった、先ほど受けた膝の弾丸や足の傷が修復が追い付かないほど深くなっていることに、仲間達がすべて倒され地面に転がっていることに。そして、イレギュラーズ達がその事に気付いていることに!
「後少しだ……!」
飛び交うぱんつの弾丸を受け血まみれになろうとも更に踏ん張り、黒羽が荒い息を吐く。
「使いたくないと温存していた貴重なぱんつを武器にし始めたぞ、今こそ終焉の時よ!」
エリシアが魔杖を構え、自らの魔力をデイジーへと注ぐ。
「良い良い、貢ぎ物は大歓迎なのじゃ♪」
注がれた精力をすべて集中し、大壺蛸天の口より、黒き妖精を召喚する。黒き疾風はロボの膝へと向かうと……直撃し、それを破壊。
「そろそろいいじゃろか……お主、気付いておらんのかの?足がボロボロじゃぞ」
そこでようやく気付いたのか、ぱんつロボがデイジーの声に驚き、自らの足元を覗き込んだ瞬間――その隙を逃さなかったティアの虚無の力が機械の頭部へと炸裂。踏ん張ろうと足を動かすも、既にそれは巨大な鉄の棒に過ぎなかった。
煙を噴き上げながら、大きく身をひねり少しでも動こうとするぱんつロボ……だが。
『そのボロボロの軸足では無理に決まっているだろう』
軸足の故障と頭部への故障。そしてそれを修復するエネルギーの枯渇……流石のぱんつロボの体力といえど、もはや戦闘を続行することは不可能であった。
ぐらり、そう大きく幻影が出るようによろめいたぱんつロボは、今度はうつぶせになる形で、ど派手にぶっ倒れ、地面の街道を、大地を、抉るようにめり込んだ。
「ノーパンの怒り、その力を思い知りなさい!」
咄嗟に構えた鶫の一撃が箱……『ぱんつ発電機』の一部を破壊する。欠けた動力部からパイプが顔を覗かせ、激しい漏電がイレギュラーズ達へと襲い掛かる。
「これで、トドメよ!」
だが既に勝敗は決した。振り被ったイーリンの突撃は、激しい魔力の燐光と共に、エネルギータンクとそれをつなぐパイプを切断した――。
●ぱんつ風邪よ永遠なれ
「二度と来ないでね」
呆れたようにつぶやく、ティアの別れの声。ハッチを開け、脱出しようとドンドンと叩き焦るフードの男、無慈悲にもそれは叶うことなく、ぱんつロボは横たわったまま光り輝き――。
「ぱんつばんざぁぁぁい!!」
大爆発。武器を構え、その激しい爆風と衝撃波を必死に防ぐイレギュラーズ達。辛うじて耐えきったイレギュラーズ達が膝をつき見たものは……影も形もなくなったぱんつロボが遺した爆発の跡であるクレーターと、その上をひらひらと舞う数千の布であった。
「これ全部、みんなのぱんつ……?」
呆然としたように座り込んだカルアが、空を見上げながらつぶやいた。そう、それはすべてぱんつ……爆風により収納していた鉄の箱が派手に爆破され、舞い上がったイレギュラーズ達の数千のぱんつが空へと飛び上がり、ひらひらと戦士達の周りを舞い始めていたのであった。
「うむ!これで皆にぱんつが帰ってくるの!」
様々な色の下着が舞い踊る光景に喜び、はしゃぐデイジー。
「終わりましたか……」
鶫は爆風を受け止めていた天梔弓を地に倒すと、深くため息を吐き、手を伸ばし、自分のものを一つ掴みどる。
イーリンもまた、よく見慣れた1枚を手のひらで優しく受け止めると、まるで親しい人間であるかの様にぎゅっと胸に抱きしめる。ぱんつを。
「……良かった」
「ああ、良かった……パンツ風邪とか二度と会いたくない」
へなへなと身体の力が抜け、ぐったりと座り込む威降。無理もない。確かにぱんつ強奪軍とやらは見た目や行動こそ意味不明な敵だが、その体力や攻撃力は確かに魔種のそれと相違なかったからだ。
「全くだ、この布きれ1枚が何故あそこまで力を発揮できたのかさっぱり解せなかったぞ」
「それがぱんつなのですよ、エリシアさん」
小首をかしげるエリシアに樹里が黒いぱんつを片手にぱんつの重要性を語り、続いて疲労し座っていたカルアへと。
「カルアさん、友諠の証として――互いのぱんつを交換し合いたいと思いますがいかがでしょうか」
その発言に珍しく目を見開き、完全に思考停止したカルアの様子を見て「なるほど、それほどうれしいのですね?」と自らのぱんつを手渡す(?)樹里の姿がそこにあった。
以降もお祭り騒ぎのまま、自らや仲間のぱんつを拾い集め、喜び合うイレギュラーズ達。その言葉から次々とぱんつのワードが飛び出すのを見て、ティアの胸元に宿る神だけは冷静に。
『こいつらもぱんつ風邪に感染していないよな?』
そう、呟くのであった――。
一方、そのころ。
「なんで……なんで俺がこんな事を……」
人に決して手を上げず、決して殺めぬという信念こそ守れたが、その為に何か大切な物を失った気がしてならない。というか絶対に失っている。
攻撃を勇敢に受け止め続け、疲れ果てていた黒羽は急ぎぱんつを拾い集めるイレギュラーズ達の見えないところで、自らのぱんつを手に一人隅っこで涙を流し続けるのであった――。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
私は二つ過ちを犯しました。
一つ目はまさか本当にぱんつ連携が出ると思っていなかったこと。(夏あかね様pipi様申し訳ございません)
二つ目はカルアがミニスカートである事を忘れて依頼に同行させたこと――(棘ナツIL様申し訳ございません)
と言うわけでいろんな人に土下座をしないといけない依頼のリプレイは以上となります。お気に召していただけたら幸いです。
アドリブ多めのギャグ依頼故に戦闘描写こそは少ないものの、判定そのものは普通のHARDと変わりません、この勝利は皆様の賜物です。
イレギュラーズ達(とカルア)のスース―は救われ、悪党も爆発の勢いで一人残らずどこかへと吹っ飛んで行ってしまいました。
彼等の行く末は誰も知りませんが知らない方が幸せな気がします、多分死んではいないですがきっとろくでもないでしょう。……だってカースドぱんつの中には……。
称号はぱんつぱんつなあなたへ。
MVPは己を殺し恥を喜んで受けた貴方に。
また、依頼主の練達の科学者達へイレギュラーズの名がちょっぴり知られたようです。
それでは、お疲れさまでしたぱんつ!
GMコメント
『本当にぱんつ全体が出たらハードでもEXでもやってやる』といったら真が嘘から出てきました。
どうも、塩魔法使いです。ぱんつ依頼です、みんなで楽死苦やりましょう。
●状況
OPの経緯でぱんつ強奪軍なるヤンキー集団を追い求めたイレギュラーズ達は、彼らの進軍経路から推理し、一つの中規模程度の街を襲うであろうと予測を立てます。
その街で5日ほど相談しながら警戒し、ついに予想があたった所からシナリオは始まります。
●戦場
幻想のとある街郊外、街につながる街道をまたぐようにノシノシと歩いてきたぱんつ強奪軍達を迎え撃ちます。
時間は朝一、開けた場で視界も良好ですしこの時間の人通りは少ないですが、馬車を引き連れた商人や旅行客が数人ほど巻き込まれてしまう可能性もあります。
(その場合、名声がちょっとだけ低下します)
●成功条件
・『ぱんつ強奪軍』の鎮圧。
・最終決戦ロボ『P.A.N.T.S.』の撃破
勝利・敗北にかかわらず最終的に自爆します……が、敗北の場合はイレギュラーズ達のぱんつは炭と化してしまうだけでなく、近くの街へ甚大な被害が推測されます。
●エネミー
◆最終決戦ロボ『P.A.N.T.S.』
盗んだイレギュラーズ達のパンツを売り飛ばしたゴールドで作り上げた超巨大な(10メートル以上)練達製の『ぱんつ強奪軍』最終決戦兵器。おまえらのPantsで混沌がやばい。
通称『ぱんつロボ』。
背中に背負ったイレギュラーズ達のぱんつが大量に入った宝箱を動力源として動き、大暴れする事が予測される。
近くの敵を積極的に狙うが、ぱんつが動力故に稀にぱんつに関わる『劣情』『強欲』『怒り』等の感情に引かれてしまう『バグ』があるらしい。
巨大さが最大の武器、最大の脅威。だが、その巨大さが逆に弱点になるかもしれない。
HP、物理攻撃、命中が脅威。EXAも決して低くはない。
<能力>
・[P]巨大……全ての攻撃が特殊レンジ『射程40m、範、命中・威力補正無し』になる。
・[P]巨大Ⅱ……ブロック・マークは2人必要。(ハイ・ウォール有効)
・[P]ぱんつパワー……HP+?????
・[A]漏電……どこかの一点の半径10メートルに【無】【痺れ】【副】+高命中
・[A]火炎放射……【火炎】【業炎】 ぱんつを燃やした炎を発射します。
・[A]めがとんぱんつ……【乱れ】【崩れ】 おもりを付けた巨大ぱんつを召喚します。
・[A]発狂……正体不明の攻撃、体力一定割合以下で使用する。 高威力CT,FB+【??】
◆ぱんつ強奪兵
2ターン目以降、毎ターンの最初にロボから次々と飛び降り奇襲を仕掛ける。
高反応、高攻撃力、低HP。数は不明。
●追記
相談および依頼攻略にはほぼ関係のない情報ではありますがぱんつ強奪軍リーダー(フードの男)及びぱんつ強奪兵について。
彼らは『ぱんつ風邪』の末期症状を発症しており、ただぱんつの力に溺れ暴れまわるだけの存在となっています。特にロボを操縦するフードの男に至っては『お前らのぱんつの力をお前ら自身で味わってみるといい』と降参に応じる事は無いでしょう。
●同行者について
「……許さない」
今回はぱんつを取り返すべく同じく被害にあった『いねむりどらごん』カルア・キルシュテン(p3n000040)も同行します。眠そうなのは何時ものことですが、なぜかいつもより早口(従来比)で心なしか殺意のオーラが全身から噴き出している気がします。
レンジ1の防御型。イレギュラーズ達の平均レベルに準じた能力とステシ通りの装備で指示がなければ無難に動いて適当に殴ります。特にプレイングでの記載が無ければ描写もないです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
●備考
このシナリオに参加したメンバーは『ぱんつを盗まれている』という設定で進みます。ご了承ください。描写はいらない!という人はプレイングに『ぱんつ不要』と記載をお願いします。アドリブや絡みもいつものようにプレイングかステータスシートの何処かにどうぞ。
このシナリオはもすと ばりゅあぶる ぱんつ(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1153)に続く物語ではありますが関連性はほとんどないので読まなくても問題ないです。
難易度こそ表記相応ではありますが、楽しくぱんつ奪還に燃えていただければ幸いです。
それでは、皆様のぱんつ全開なプレイングをお待ちしております。
Tweet