PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<ジーニアス・ゲイム>麦を守れ!

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●農村タリア
「どうしても避難せねば、なりませぬか?」
 村長が目の前の若き幻想貴族の慈悲にすがる様に問いかけた。
「儂ら、代々ここで暮らしてまいりました。ここを離れても行く当てのない者たちばかりでございます……」
「くどい! 爺さん、何度も言わすな。この地も早晩にも戦場となる。住人は全員、速やかに立ち去れとのお達しだ」
 命令書を携えた若き貴族――モーヴが尊大に応える。黙って命に従え、一切の反論は赦さぬと村長を見下した両目が語っていた。
 ここタリア村は鉄帝との国境戦から程近くに位置してこそいるが主要幹線からいささか離れすぎており、戦略的に重要な拠点となることもなく、過去幾何の紛争においても激しい戦火とは無縁な村落だった。
 住人も心得たもので国境線が新たに更新され、幻想、鉄帝とその時々の帰属先が変わっても無関係とばかりにこれまで過ごしてきた。
 そんな村民気質だからこそ、住み慣れた故郷を捨てろと云われても簡単に頷けるものではないのだが――。
「爺さん、まず住民の生命に責を持つのが村長の務めだ。それを放棄するわけにもいくまい?」
 幻想貴族にそんな都合が通じるはずもない。どこまでも、貴族の都合が優先するのが幻想という国なのだ。
「刻限は明晩まで。すみやかに住人一同の避難退去を命じる」
 有無を言わせぬ下知であった。

「やれやれ。任務とはいえ、こんなド田舎で……貧乏籤にも程がある」
 苛立ちを隠さずにモーブが不満を募らせる。
 予測される鉄帝の行軍ルートから外れているタリア村の為に、わざわざ軍を派遣する価値も余力もない。最前線――人手が必要な地は他にいくらでもあるのだ。
 しかし此度の北部戦線の鉄帝国軍――『塊鬼将』ザーバ・ザンザの動きは、帝都スチールグラード近郊に存在する穀物倉庫が焼かれたことによるものだと云う話もある。
 ならば戦略的価値は乏しいと云えど、みすみす無料で農村――穀物地帯を奪われるのも悪手である。鉄帝軍の糧食は決して豊潤とはいえないだろうから。
『田畑を燃やし、タリアを完全に放棄せよ』
 かくして、どこまでも貴族本位で民草のことを考えぬ領主や上役貴族の立案により、少数の手勢のみでモーブはタリアに赴いた。
 万が一に備え、田畑を燃やし、井戸に毒を入れるために。
 村民の避難も人道的見地からというより自国領を焼き払ったという醜聞を隠すためであり、僅かながらの猶予はあるものの、刻限がきたらモーブは命に従い残った村民ごと村を焼き払うことを躊躇しないだろう。その場合も村に焼き村民を殺した下手人は、あくまで鉄帝だと云うことにしなければならない。
「さっさと終わらせたいものだ」
 戦場の栄華、華やかな名誉とは無縁な任務に、モーブはなおも毒づくのだった。

●ギルドローレット
 対新生砂蠍の南部戦線、そして北部戦線と極めて混沌と化した状況の中、汲汲忙忙を極めるローレット。
「北部戦線、戦場への招待状だ」
 酒を飲む暇もないと、『酔っ払い』ジュリエット・ノックス(p3n000036)が依頼書を読み上げる。
「今回の戦争に関しちゃ幻想、鉄帝とどちらの依頼も受託するが、これは鉄帝側の依頼だな。主戦場とは離れるんだが――」
 農村タリアを幻想側が焼き払う可能性がある。鉄帝としても主力を出す余裕はないが穀倉エリアは魅力的であり、これを阻止してほしい。
「ゲリラ的っていうか搦め手っていうか、確かに鉄帝が得意とする作戦じゃなさそうだ。そんな訳で、お前らに依頼がきたと。
 レオンの旦那も言ってたが、ローレットは『この世界自体の破滅を食い止める為の組織』だ。
 ギルド条約がそれを後押しする最大の武器だって言うなら、時に綱渡りも必要だそうだ。
 お前らからすりゃ複雑かも知れんが、何でも屋の性。オーダーは『それぞれの仕事を完璧にやる事』。
 期待してるぜ。しっかりやんな」

GMコメント

 こんにちは。茜空秋人です。
 以下情報。

●戦果につきまして
 このシナリオは成功失敗の他に『戦果』を数字判定します。
 これは幻想側と鉄帝側の有利にイレギュラーズがどれだけ貢献したかを示す数値であり、各GMが判定を行います。
 全ての対応シナリオで積み上げられた数字によって北部戦線の最終戦闘結果に影響が出る場合があります。

●依頼成功条件
 モーブ率いる部隊を殲滅し、農村タリアの穀物をある程度守る。
 農村民の安否は問わない。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●農村タリア
 100人程が暮らしていた農村。
 国境ラインに近いも、主要都市間の幹線から外れ戦略的価値は低く放置され気味だった。
 戦闘に関して地形による影響はありません。
 イレギュラーズは、退去刻限前の夕刻に到着します。
 何人か、避難を拒否した村民が残っています。

●敵
 モーブ率いる部隊15人。田畑を焼き払いタリアを壊滅する任務を帯びている。
 戦闘に突入するとかなりの確率で、刻限を待たずに田畑や家屋に火をつける可能性があります。
 消火対策が必須です。

・モーブ
 そこそこ強い。名誉と無縁の任務を与えられ、苛ついています。
 貴族らしく剣を構えた至近型。火傷と毒のBS攻撃を使います。

・副官
 モーブに仕える執事。
 回復などの支援を行います。

・部隊員×13
 イレギュラーズと同程度の強さ。モーブの周囲にいるか、2~3人単位で行動します。
 近接型、中遠距離型とそれぞれおり、たまにを火傷を伴った攻撃をしてくる。

●アドリブ
 アドリブ描写が用いられる場合があります。
 プレイングやステータスシートにアドリブ度合、『アドリブNG』等記入くだされば対応いたします。

 有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつくことがあります。
 ご縁ありましたら、どうぞよろしくお願いします。

  • <ジーニアス・ゲイム>麦を守れ!完了
  • GM名茜空秋人
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月15日 22時45分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
善性のタンドレス
フェスタ・カーニバル(p3p000545)
エブリデイ・フェスティバル
ラデリ・マグノリア(p3p001706)
再び描き出す物語
クレメンティーナ=ニキートヴナ=スィビーリヴァ(p3p001800)
お気に召すまま
クーア・ミューゼル(p3p003529)
めいど・あ・ふぁいあ
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
魔風の主
リヴィエラ・アーシェ・キングストン(p3p006628)
水晶角の龍
リプル=サンクトゥス(p3p006772)

リプレイ

●結構、怒ってる
「村人様方に慈しまれるように、すくすくと育った植物が焼かれるのは……許せませんね……。焼かれるモノ達の悲鳴と嘆きが聞こえてくるようです……」
 目的の村の様子を窺いながら、相貌を仮面で隠したリプル=サンクトゥス(p3p006772)が言葉の下に静かに怒りを湛える。
 辺鄙と云えど北部戦線に列なる農村タリア。そのタリアを焼き払わんとする幻想軍を阻止せよとの鉄帝からの依頼を受けた我らがイレギュラーズであったが、心情的にも今回の依頼は是が非にでも成功させたいところであった。
「焦土作戦なんて、暮らしている人を燃やすなんて……そんなこと、絶対にだめよ!
 おいしい穀物を作るために、村人さんたちは雨の日も風の日も一生懸命働いているのだもの。それを台無しにしていい権利は、貴族でも……ううん、例え神様にだってありはしないわ!」
「実りというのは尊いものだ。自然が育もうと人が育もうとそれは変わらない。
 ここまで育つのにどれだけの努力があった事か。それを燃やそうだなんて許さないよ」
 とても許容できるものではないと、普段は温厚な『シルク・ド・ノネット』リヴィエラ・アーシェ・キングストン(p3p006628)と自然と共に生きるハーモニアの『特異運命座標』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)の二人も心情を吐露する。
「火で皆を悲しませようとするなんて許せない。そんな人達はお仕置きだよ!」
「普段だったら火消しなんて絶対にやらないのですが。それが焦土作戦とあらば話は別なのです」
 炎と共に生きてきた『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)の怒りの言に『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)が呼応する。
「暖かで赤黒い末路でなく、醜き飢えを招く焔。全く美しくないのです。これは、放火犯としての意地なのです。全力で止めるのです」
 深い紅蓮を欲するあまり常日頃から放火の機会を伺っている傍迷惑なクーアであったが、此度ばかりは矜持にかけて立場を異にしている。
「誰だって、住み慣れた土地を燃やされたくないよね……。
 それにどっちかに肩入れするわけでもないけど鉄帝の食料が焼かれたらしいし、冬の飢えをしのぐためにも蓄えはいるよね……」
 人間形態の『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)も色々と思うところがあるのだろう。故郷の冬の厳しさを思い出しているのかもしれない。
「わたしには残ってる人の気持ちがわかりません。このままじゃ危ないし、作物はまた育てればいい。
 なぜ、この場所にこだわるの? 海で生まれ育ったわたしにはそれがわからないから、村人たちを助けて、是非それを聞いてみたいわね」
 生来の性格なのか、あるいは種族的価値観によるものなのか、帆立貝の海種『蒼海守護』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)の疑問に、
「故郷があるとなしでは大違いやよ。船乗りでも、帰る港は大事やしね。そういえば船の乗り方、忘れたけど……。
 と、とにかく! 火をつけられる前に吹っ飛ばすことができれば一番やけど、対策と戦闘に奔走するんやよ!」
 同じく海に生きる船乗りとして『お気に召すまま』クレメンティーナ=ニキートヴナ=スィビーリヴァ(p3p001800)が応える。大丈夫、提督とかには操船技術なんて部下に任せて必要ないよ!
「ギルド条約とか難しい事は、正直そんなに良くわからないけど、畑や村、村人さん達まで燃やそうってゆーのが許せない!」
 想いを言葉に乗せると『エブリデイ・フェスティバル』フェスタ・カーニバル(p3p000545)はイレギュラーズたちの手を順にとり、それぞれに祝福のキスを。
「幸運が皆の力になります様に!」
「ちょっと照れるね……」
「うふふ、なんだか胸がぽかぽかしてくすぐったいわね」
「ふふ、なんだか頼もしいですね」
 戦闘前のふと舞い降りた心休まる大事な一時。チャロロとリヴィエラが照れ隠しに笑い、リプルが手の甲をそっと撫でる。
「ありがとう、あなたの温かい心、大好きです」
 ココロがお返しですと、フェスタの手にキスを返す。
 頭上のアホ毛を左右に揺らしながら、フェスタはにっこり微笑んだ。

●戦闘準備中
「なんでだろう? あまり警戒されてないのかな? とても警備がザルだよ」
 ファミリアーで鳥を飛ばし上空から監視を行うウィリアムが、疑問を口にする。
 イレギュラーズは知る由もないが、最低限の巡回こそ行っているものの最前線から離れた地での名誉とは無縁の任務に、幻想の兵士たちの士気は非常に低く油断しきっていたのだ。そもそも軍服を着ていないイレギュラーズたちである。仮に見つかったとしても、村人で押し通すことも可能だったかもしれない。
「……火は嫌いなんだ。どうしても、昔のことを思い出してしまう」
 それでも田畑の作物に植物疎通を使って周囲を警戒しながら『ポイズンキラー』ラデリ・マグノリア(p3p001706)が農業用水路などの確認を行う。
 口数の少ないラデリの淡々とした口調の下に隠された想い。失ってしまった故郷に思いを馳せているのだろうか。
「いざ火がついた時のために、水の確保は大事だしね」
 フェスタがバケツなどに水を汲み、要所要所に配置していく。兵士たちに見つからぬよう、布を被せての偽装も忘れない。
「精霊さんたちにも協力してもらうのです」
 いざ火の手があがったら少しでも延焼を抑えるべく風を弱めてくれと、クーアは風の精霊にお願いしていた。

「このままやと完全にここを、この土地そのものを、使えんくされてしまうんよ。村を、田畑を守りたいっていうお願いがあってきたんよ」
 見つけた村人を通して呼び出した村長を前に、クレメンティーナが協力を求める。
「手伝ってくれんかな?」
 未だ20人程の村人が残っていたが、幻想兵士と戦う戦力としては数に入らないだろう。それでも、消化作業には人手が足りないなどということはない。
「兵士たちは、時間がきたら村に火をつけるつもりだよ。そしてもう、あまり猶予もないよ」
 焔の説明に、寝耳に水とばかりに村長に動揺が走る。
「本当は全部守ってあげたいけど、ボク達だけじゃ完全に止めるのは難しいから。せめて村にとって重要な場所も教えて欲しいんだ」
「そ……それは……」
 焔の真摯な問いかけに、おずおずと村長が村の食糧倉庫の場所を告げる。決して広いとは言えない村の中心部に位置する倉庫は、とりもなおさず幻想兵主力も傍に駐留しており、想定される一番の激戦区にあるといえた。
「一応、付近でオイラが保護結界をはるよ。だけども、直接火をつけられたらダメだけどね……」
 倉庫が燃やされたら、たとえ村人が生き残ったとしても、この村での越冬は厳しくなるだろう。それは避けたいとチャロロが言う。
「危ないことはしないで結構です。こんな世の中です、命あってこそですから。
 でも、ここへ来る者達が燃やそうと、殺そうとしてるのは、田畑だけじゃない……それらを生活の糧にしている、貴方達をも結果的に殺そうとしている……」
 知らずのうちに語彙を強めるリプルの必死な言葉が――。
「あなたたちも、あなたたちの大切な居場所も、私たちが必ず守るわ。だからお願い、少しだけ力を貸してほしいの……!」
 火をつけられたら消火活動にあたってほしい、危なくなったらすぐに逃げてほしいけどそうならないように私たちが戦うと云ったリヴィエラの熱弁が届いたのか、村長が首を縦に振り、協力を取り付けるのに成功する。
 勿論、水汲みなどの危険を伴わない範囲での消火活動のみだ。
「奴らはオイラたちが追っ払うから、兵士には極力近づかないでね。見かけたら逃げてね!」
 それが当然だとばかりに、チャロロが告げた。

●戦闘序盤
 田畑も大事だが、まず一番に守るべきは食糧倉庫だと判断を下すと、
(もう燃えてるって勘違いしてくれればいいんだけど)
 焔がギフト『神炎』で燃えない火を付けながら、村中央部に向かうイレギュラーズ一行。
「ああ、何だ? 誰か先走ってもう火を付けたのか?」
 炎に気が付き、副官、兵士を伴って幻想貴族が宿から通りに出てきた。モーブだ。彼は向かい来る剣呑な一団――イレギュラーズを目にするやすぐに察する。
「敵か? 面白い。退屈な任務で飽き飽きしてたところだ!」
 水を得た魚とばかりにモーブの号令一下、兵士たちが集まり陣を整えた。
 今、戦闘の幕が切って落とされようとしている。

「補助と守りは任せて」
 バッファー兼ヒーラーのリプルが左手のスティグマを翳すとイレギュラーズを魔力が包み込む。神子饗宴、リプルの生命力と引き換えに仲間たちの身体能力が大きく強化される。
「えいっ! 炎神の子、炎の巫女、炎堂焔ここに推参! だよ。放火なんて許さない!」
 焔が炎でできた爆弾を副官目指して投げつける。
 ちゅどーん。
「放火魔なんて、燃えちゃえばいいんだよ!」
「火……今回ばかりは邪魔させてもらうぞ」
 ラデリが堕天の杖を頭上に掲げると、火に対する想い――ラデリが抱えこんでいた闇が形をとって霧となり副官たちを包み込む。
「副官から速攻やんね!」
 続けとばかりに走りこんだクレメンティーナの魔力撃が副官に叩き込まれる。正確無比な魔力の一撃が迷い違わず副官を穿ち、大きなダメージを与えた。

「あなたがいつも食べているご飯にだって、ここの村の人たちが愛情をこめて育てた穀物が入っているはずでしょう? どうしてそれを平気で燃やせるの?」
 どうしてもこれだけは言わないと気が済まないと、リヴィエラがモーブ目がけて走り寄る。異常耐性を強化して、火炎も毒も気にしないと前にうって出る。彼女は心底、怒っているのだ。
「オイラはチャロロ! いざ勝負だ!」
 武装形態をとったサイボーグ、大盾を構えて防御力を誇るチャロロも前に出ると名乗りをあげる。高い防御力に加え火炎耐性もある彼はイレギュラーズの盾だ。率先して前衛に出て、幻想兵士を釘づけにしようとする。
「毎日を必死に生きる人達の生活を、私は守る!」
 フェスタもまた兵士たちの真中に走り込むと、双盾の片割れ――氷砲蒼盾を掲げBコールを発動する。蒼い盾から氷の様に冷たい視線と鋭い殺気が放たれ、兵士たちを挑発し刺激を与え怒らせる。
「まずは数を減らすことからだね」
 フェスタの周りに群がった兵士を狙い、ウィリアムが魔杖を掲げる。細心の注意をもって放たれたライトニングが綺麗にフェスタを避け、一閃の雷撃となり兵士たちを襲うと、彼らの呻き声が漏れた。

(食糧倉庫の偽の火を、気付かれるわけにはいかないからね)
 決して偽の火に近づかせない! と近づく敵あらば直ちにフォロー出来るよう軍馬での騎乗戦闘を行っていたココロが、巡回から慌て駆け戻ってきた三人の兵士に気付く。
 嘶く軍馬の馬上で、ユゴニオのカルト――強い魔力でコーティングされた銀色の金属片、ココロの武具を翳すと青い衝撃波が援軍に放たれ、兵士の一人が吹き飛ばされる。
 彼等の注意は惹きつけられた。これでもう、偽の火を確認する余裕などないだろう。新たな兵士たちは真っ直ぐ戦場にと走ることとなる。

●戦闘中盤
「ぬるい炎ではダメなのです。放火犯として教育してやるのです」
 混戦の中、幻想兵士の火炎攻撃をこんなもの効かぬと受け流したクーアが、フェスタに引きつけられている副官を狙って黄金灯火――焦げ目が刻まれた木剣を打ち下ろす。メイドの嗜み『放火』だ。
『ヴォァァ……』
 燃えながら発せられた聞くに堪えない断末魔の呻き声が響く。
「くっ……」
 副官の死亡を機に任務遂行、田畑に火を付けるのを思い出したのだろう。モーブが指示を出し、二人の兵士が戦闘からの離脱を試みる。
「させないのです」
 放火被害を防ぐべく、クーアも離脱する兵士を追いかけた。

 馬上のココロが自身を取り囲む兵士たちから重い連撃を受ける。一瞬身体がぐらついたが、危なげなく持ち直し落馬までは至らない。
「わたしは農作物も残ってる村民も、両方守る! 守ってみせる!」
 気合いを入れ直し、ココロの反撃の焔式――魔力で燃え上がる炎が兵士に向かって放たれた。

「炎を使えるのはそっちだけじゃないよ」
 前衛にて踏ん張るチャロロが右手に集中すると、爆裂する一撃――バーンアウトライトが周囲の兵士たちに放たれる。炎で焼かれた兵士が一人、息絶えた。
「麦の神様と、そして作ってくれた人に謝って! 感謝の気持ちが足りないのよ!」
 龍の尾でピシピシ、手足に生えた水晶でガツンガツンとモーブに格闘を挑むのはリヴィエラだ。彼女はチャロロ、フェスタと連携しつつ、モーブの抑え役に徹していた。
「何よりも仲間の体力回復を優先だな」
 戦闘も佳境に入ると、ラデリがチャロロにメガ・ヒール、リプルがフェスタにヒールオーダーと云った具合にヒーラー陣も絶え間なく支援に務めることになる。
「ありがとー!」
 HP回復を受けたフェスタが水鉄砲もとい氷砲蒼盾を目前の兵士に叩きつける。終の蒼氷――防御を貫く必殺の一撃が、また一人、兵士の命を奪った。

●決着
「これで、残るはキミだけやよ」
 最後まで残った兵士を打ち倒したクレメンティーナが、モーブに振り返り不敵に笑う。
「う……バカな!」
 取るに足らない雑用だと吐き捨てていた任務でのまさかの展開に、モーブが吠える。
「炎神に代わってお仕置きだよ!」
 カグツチ――炎神から授かった業物の槍を両手で構え、炎神の巫女装束を身に纏った炎風巫女の焔が動揺を隠せずにいるモーブに吹き荒れる風の如く襲いかかる。
 それを皮切りに始まったイレギュラーズたちの猛撃が、止まることなくモーブを攻める。
「これで、終わりなのです!」
 最後にクーアの蹴りが大きく決まり、目を見開いてモーブは崩れ落ちた。
 決着である。

 田畑で二箇所ほど火の手が上がったが、予め用意しておいた水もあり、イレギュラーズたちの迅速な消火活動ならびに村人の協力により大規模延焼といった大事には至らなかった。
「やれやれ、村人に大きな怪我人はいないようだな」
 ラデリが残った住人を見回し、怪我を負っていても小さな火傷や擦り傷程度なのを確認すると、ようやく安堵の声をあげる。
「畑の被害が少なくて良かったよ……」
 ウィリアムも心底ほっとしている。
 それでも全てが無事だったわけではない。焼けてしまった畑もある。
「焼けてしまった麦は、残った麦の肥料に出来ればいいんだが」
 ラデリが淡々と呟いた。
「私は守れたのでしょうか? 明日に繋がる命を……」
 リプルの発した問いかけには、イレギュラーズ全員が自信を持って答えるだろう。守れたのだと。
 最後まで火がつくことなく食糧倉庫が無事だったのもまた、大きな成果だ。
 やがて、鉄帝軍から駐留軍が来て、タリア村は鉄帝に組み込まれることになるだろう。今回の一幕も喧伝されるに違いない。
 村人たちからの感謝を受けて、イレギュラーズたちは穀倉地帯を守った誇りを胸に抱くのだった。

 Congratulations!
 イレギュラーズの活躍により依頼は達成された!

成否

成功

MVP

炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子

状態異常

なし

あとがき

依頼、お疲れ様でした。
村の被害も少なく何よりです。
真っ先に倉庫に火を放つ予定が、作戦のお陰で崩されましたのでMVPは貴方に。
よろしければ、またご縁がありますように。

PAGETOPPAGEBOTTOM