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シナリオ詳細

<ジーニアス・ゲイム>渡河作戦

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●鉄帝の戦場
「おお、あんたらが依頼を受けてくれたイレギュラーズか。今回はよろしく頼む」
 そう言って、鉄帝の軍人は、イレギュラーズ達を歓迎した。
 新生・砂蠍による幻想襲撃事件により端を発した状況は、より混沌としていた。
 動きを見せたものの、ギリギリのところで均衡を保っていた北部戦線は、何者かによる鉄帝穀物倉庫への攻撃という凶行の影響を受け、ついに破断した。
 鉄帝による、本格的な南下作戦――幻想はこれに、イレギュラーズを加えることで対応しようとしたが、しかしそれは、鉄帝も同じであった。
 『ギルド条約』により政治的なしがらみから逃れる事の出来たローレットであったが、しかしそれは「あらゆる依頼を中立に受け続けなければならない」という制約でもある。
 イレギュラーズ同士の直接的な戦闘は、ローレットの手により避けられたものの、結局イレギュラーズ達は、対立する二つの陣営に分かれ、その作戦を遂行する事になったのである。
 もちろん、受けた依頼は完遂せねばならない。
 悪意ある何者かに演出された舞台の上で、今はまだ、踊らねばならないのだ。
「コイツを見てくれ。これはこの辺の地図なんだが、ここには巨大な川と、グランデ・ヴェルと呼ばれる巨大な橋があってな」
 鉄帝の軍人が指さす先には、なるほど、大きな川と、馬車が三台は横並びで走れるだろうか、それほどの大きさの橋がある。
「俺達は、この橋を渡って幻想軍を攻撃しなきゃならんのだが、その幻想側に、監視塔がある。本来は川の様子を確認するための物なんだが、今は対岸からくる敵――つまり、俺達を見張ってる、ってわけだ。おまけに屋上には、固定砲台やらが設置されていて、まともに橋を渡れば、相当の兵士がハチの巣にされるだろう。そこで」
 イレギュラーズ達には、この監視塔へと進入し、内部の兵士たちを無力化してほしいのだという。
「事前に、俺達が橋の中頃まで進行する。敵の注意は、ある程度俺達に引き付けられるだろうから、その隙に中に侵入してくれ」
 内部には、当然のことながら、多数の幻想兵が存在するだろう。実力的にはイレギュラーズに劣るだろうが、注意はしなければならない。
「俺達の作戦のかなめは、あんたらだ。あんたらが失敗したら、俺達は無駄死にする事になっちまう……責任は重大だぜ? まぁ、よろしく頼むよ」
 鉄帝兵士は、そう言って、イレギュラーズ達へと笑いかけたのであった。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 鉄帝軍の渡河作戦を成功させるため、幻想軍を攻撃しましょう。

●成功条件
 『監視塔』を制圧し、鉄帝の渡河作戦を成功させる

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●シチュエーション
 幻想北部、戦いの舞台となった巨大な橋『グランデ・ヴェル』と、そこにある『監視塔』が舞台です。時刻は昼、天候は晴れになります。
 シナリオスタート時点で、両軍は橋の上で戦っています。その隙に、橋の幻想側にある監視塔へと進入し、内部の敵兵士を全て無力化してください。監視塔へは、問題なく侵入できるものとします。
 監視塔を無力化した後は、鉄帝の部隊が橋を渡りきるまで、監視塔を守り続けてください。鉄帝の部隊が橋を渡りきるまでは、そう時間はかかりません。
 『監視塔の制圧』とは、『屋上にある固定砲台による攻撃を停止している状態』を言います。

●エネミーデータ
 幻想兵士 ×複数
 特徴
  一般的な幻想兵士。イレギュラーズよりははるかに格下の存在。
  剣で武装し、近距離物理攻撃を行う者、杖で武装し、中~遠距離神秘属性攻撃・および回復を行う者がいます。
  監視塔内部に、どれだけの兵士がいるかは不明です。また、増援が現れる可能性もあります。

●その他
 固定砲台 ×6
 屋上に設置された固定砲台です。弓を連射し、橋の上の敵を狙撃できます。
 できれば破壊せずに残しておいてほしい、というのがクライアントの希望ですが、最悪の場合は破壊するのも一つの手です。

●戦果につきまして
 このシナリオは成功失敗の他に『戦果』を数字判定します。
 これは幻想側と鉄帝側の有利にイレギュラーズがどれだけ貢献したかを示す数値であり、各GMが判定を行います。
 全ての対応シナリオで積み上げられた数字によって北部戦線の最終戦闘結果に影響が出る場合があります。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加お待ちしております。

  • <ジーニアス・ゲイム>渡河作戦完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月14日 21時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シグ・ローデッド(p3p000483)
艦斬り
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
祈りの先
エスラ・イリエ(p3p002722)
牙付きの魔女
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
黒焰 怨寿(p3p006210)
名馳 悠(p3p006735)
中二病お嬢様

リプレイ

●雨
 その日、空は青く澄みわたり、あたたかな陽光が優しく地を照らしていた。
 吹く穏やかな風が運ぶのは、血の臭いと怒号。
 幻想北部に位置する巨大な橋『グランデ・ヴェル』は、その時、戦乱の真っただ中にあった。
 鉄帝、幻想、橋の両端でにらみ合っていた両軍は、太陽が頂点に達した時、ついに動き出した。橋の中央にて激突した両軍は、互いに犠牲を出しながらも、一進一退の攻防を続ける――いや、鉄帝の方がやや不利か。
「押せ! 押せ! 鉄帝の連中に、幻想の地を踏ませるな!」
 幻想軍指揮官の檄が飛び、幻想騎士達が応、と吠えた。騎士の群れが巨大な山のように・あるいは荒ぶる波濤のように鉄帝軍の前に立ちはだかる。
「怯むな! 叩け! 叩いて潰せ!」
 鉄帝軍の指揮官――イレギュラーズへと援護の依頼を出した男だ――は、前線にて吠えた。襲い掛かる幻想騎士を、一刀のもとに切り伏せ、
「死ぬな――とは言えん。だが一人で死ぬな! 幻想騎士を一人連れて死ね! 二人連れて死ね! 我らが鉄帝の武を見せつけ、叩きつけ、刻みつけろ!」
『応! 応! 応!』
 轟、轟、轟。鉄帝軍人達が吠える。軍人達の群は一つの獣となり、幻想騎士達に食らいつく。
(さて……ここが耐え時だ。ローレットのイレギュラーズ……頼んだぞ……!)
 指揮官が胸中で呟く……と、そこへ鉄帝軍人からの声が上がった。
「敵監視塔からの斉射、来ます!」
 その声と共に――陽光を切り裂いて、無数の雨が、戦場へと降り注いだ。

「始まったのか……」
 『天理の魔剣』シグ・ローデッド(p3p000483)は、その光景を橋の幻想側から見ていた。『監視塔』屋上に備え付けられた固定砲台(バリスタ)は、短時間で無数の矢を発射する。六機からなる一斉射は、まさに矢の雨となり、敵軍へと降り注ぐ……。
「あの先……あの雨粒一つ一つが降り注いだ先に、無数の死が芽吹くというのですね……」
 『中二病お嬢様』名馳 悠(p3p006735)が言った。些か持って回った言い方ではあったが、その言葉に偽りはない。
 鉄帝の渡河作戦、その最大の障壁は、この固定砲台である事に間違いはない。少々の戦力差があったとしても、この兵器によりひっくり返されてしまうし、強行突破を狙うにしても、犠牲が多すぎる。
「……行こう。さっさとアレを止めなきゃならない」
 『特異運命座標』オリーブ・ローレル(p3p004352)が言った。言葉を染める、静かな怒り――戦である故に、犠牲は出る、お互い様だ。それを仕方ないと理性が囁きながらも、感情は否を吠える。
「そうですわね。……ゼシュテルがこの戦いに勝利し、肥沃な大地を手に入れられるなら、きっと弱き人々にも恩恵がある……だったら……」
 『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)が呟くように言った。意を決したような表情で、力強く頷く。
「戦場の盤面を返し、不利を有利に変える。僕たちの手で、奇跡を――起こしてみせましょう」
 『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)の言葉に、イレギュラーズ達は頷いた。
 監視塔へは、労せず到着する事は出来た。こちら側は幻想側領地であったこと、そして幻想側は戦力のほとんどすべてを橋の上へ向けていたため、内部への監視の目は緩かったのだ。とは言え、やはり監視塔そのものには、内部外部含め、それなりの兵力が割かれている。
 監視塔の入り口には、二名の兵士が、警備として立っている。他に入り口はない様だ。イレギュラーズ達は、一気に飛び出した。
「お前達……!?」
 兵士が声をあげるのへ、『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)がとびかかった。銃剣『狼爪』の刃が煌き、兵士を切り捨てる。
「悪いな」
 ジェイクが呟く。驚きの表情を見せるもう一人の兵士へ、黒焰 怨寿(p3p006210)の術式が叩きつけられた。吹き飛ばされ、壁へと叩きつけられた兵士が、その意識を手放す。
「おっけーだにゃ」
 怨寿がぴっ、とピースサイン。
(……幻想兵を相手に……)
 倒れ伏した幻想兵に視線をやりながら、『牙付きの魔女』エスラ・イリエ(p3p002722)が胸中で呟いた。
(……いいえ。今まで悪名を上げるような依頼だっていくつもこなして来たわ。気にしてる場合じゃない……!)
 頭を振り、気を取り直す。
 イレギュラーズ達はそのまま入口の扉の前へと集まる。
「さて……大雑把には把握できたとはいえ、ここから先の敵は未知数だ。準備はいいかね?」
 シグの言葉に、イレギュラーズ達は頷く。シグもまた、ふむ、と頷き、
「では行こう」
 言って、一気に扉を開け放った。
 扉の先には広い部屋があって、大きなテーブルや転がっている武具などが見えた。休憩所を兼ねたスペースなのだろう。そこには5名ほどの幻想兵士がおり、何事かという様子でこちらを見つめていた。
「油断大敵だぜ……!」
 ジェイクが出合い頭、制圧攻勢をぶっ放した。降り注ぐ砲弾が内部の兵士たちを強かに打ち据える。
「絶望の海に――沈みなさい」
 続いて悠の歌声が響く。呪いの歌声は兵士たちの鼓膜を揺るがし、その呪いを身体へと浸透させる。
「て、敵襲か! 敵襲! 敵襲!」
 頭を抑えながら、兵士が叫んだ。その兵士へ、シグはマジックロープを投てき。身体をからめとらせ、その自由を奪う。
「祖国の為です、倒れてもらいます……!」
 オリーブが声をあげ、『クレイモア』を手に斬りかかった。強烈な斬撃を受けて、兵士が倒れ伏す。
「鉄帝の……いや、イレギュラーズか!」
「正解なのにゃな」
 怨寿がそう言って、放つ青い衝撃波が、さらに兵士を打ち付ける。ガシャン、と音をたて、ひしゃげた鎧ごと、兵士が壁に叩きつけられる。
「どっせえーーい!!!」
 一方、ヴァレーリヤは『天の王に捧ぐ凱歌』を手に突撃した。炎を纏ったメイスを振るいながらの突撃。単純な技ながら、それ故に威力は低くはない。猛牛のスタンピードの如きそれが、三人目の兵士を沈黙させる。
「くそ、黙ってやられる物か……!」
 残る兵士は応戦。ヴァレーリヤに魔術の衝撃波が迫る。着弾。床の石材が破片を飛ばし、土煙が舞った。
「くぅっ……!」
 呻くヴァレーリヤ。
「させないわ……!」
 エスラが放つ衝撃波が兵士を打ち、地に叩きつけた。
「ちいっ、コイツらは……!」
 舌打ちし、エスラへと向き直ろうとした兵士は、しかしその身体を無数の見えぬ糸に縛られ、一気に切り裂かれる。がっ、と短い悲鳴をあげ、地に倒れ伏した。
「制圧しました! 上へ!」
 その糸の主、幻が声をあげる。イレギュラーズ達は、室内を一気に駆け抜けた。部屋の奥には、登り階段があり、そこを一気に駆け上がった。
「塔の構造は、どのような形でしたか?」
 幻が尋ねるのへ、シグが答えた。
「部屋らしい部屋は、一階だけのようだな。二階から四階にかけては、踊り場のような小部屋があるだけのようだ」
 元々は、川の様子を確認するための建物だったという事もあり、内部構造はシンプルな物のようだ。イレギュラーズ達は内部に残る兵士たちを相手取り、次々と進んで行く。
「さぁさぁ、走るのにゃ走るのにゃ!」
 怨寿が声をあげる。やがて階段を登り切り、屋上へと通じるドアを抜けたイレギュラーズ達を待ち受けていたものは、青い空と、9名の兵士達だ。
「……おっと」
 不意打ちのように放たれた魔術弾を、シグは手にした籠手、『L・L『ブラッドゲイザー』』にて受け止めた。
「固定砲台での攻撃を続けろ! 残りでこいつらを押しとどめる!」
 兵士が声をあげ、イレギュラーズへと襲い掛かる。シグは、兵士の剣の一撃を、手にした籠手にて受け止めると、そのまま、トン、兵士の体に触れた。同時に、放たれる『幻想理論「斥力極大化」』の一撃が巨大な力を産み、兵士を吹き飛ばした。兵士はそのまま屋上の端まで吹き飛ばされ、転落していく。
「ストレートでロープ無しバンジー。中々刺激的だと思わんか?」
 と、シグ。続く仲間達が一気に躍り出て、残る兵士と戦いを繰り広げる。
「どけぇっ! 加減は出来ませんよ!」
 オリーブが叫ぶ。フルフェイスの兜からの、くぐもった声。振るわれるクレイモアが、また敵を打ち据えた。
「くそ、イレギュラーズ……敵にすればこれほどか……!?」
 悔しげに呻く兵士を、
「くうっ、内なる私を抑えきれない……! くらいなさい、『蒼穹波動超弩級衝撃波』――ッ!」
 放つ悠の青い衝撃波が、兵士を打ち据え、階下へと転落させた。
「くそ! 固定砲台を停止して援護を……!」
「判断がおせぇんだよ!」
 ジェイクの『狼牙』より放たれた銃弾が、兵士を撃ち貫いた。がふ、と声をあげ、兵士が倒れる。一方、固定砲台での射撃を担当していた兵士たちが、イレギュラーズ達を迎え撃つため、大慌てで射撃を停止。こちらへと向かってくる。
 ひとまず、砲撃を止める事には成功した。鉄帝側には、これが有利に働くだろう。だが、同時に幻想側も異変には気づくはずだ。増援は免れない。
「さて、ここからが正念場ね……」
 エスラの呟きに、ヴァレーリヤが頷いた。
「ええ、ええ。ですが私は、ここから一歩も引くつもりはありませんわ……!」
 ヴァレーリヤの言葉に、仲間達が同意の頷きを返した。
 太陽が少し動き、戦局もまた動く――。

●雨のやんだ時
「砲撃が止んだ……!」
 グランデ・ヴェル上、最前線……鉄帝軍指揮官は、敵固定砲台からの攻撃がぱたりと止んだことに気付き、笑みを浮かべた。
「やってくれたのか、イレギュラーズさん達は……!」
 指揮官は呟き、今度は声を張り上げた。
「いいか! チャンスだ! 彼らはその働きを以て俺達に報いてくれた! 俺達の命は今、彼らに拾われた! だから今度は、俺達の番だ! 進め進め進め! 橋を渡れ! 一秒でも早く、一歩でも多く進め! 彼らは俺達を、無駄死ににはさせなかった! だから彼らを無駄死にさせるな!」
『応! 応! 応!』
 鉄帝軍人立ちが吠える。轟く。進む。少しずつ、しかし確実に――勢いの乗った鉄帝軍人達が、幻想軍を押しやって、橋を進んで行く――。

「ったくもう、往生際が悪いにゃ!」
 叫び、怨寿がはしごを蹴り上げた。監視塔外壁にかけられていたはしごはひっくり返り、登っていた兵士がそのまま転落していく。しかし、兵士たちは再びはしごをかけると、また屋上目がけて登り始めた。
「クソ……幻、壁は出せるか」
 屋上入り口、殺到する兵士の一人を撃ち抜いたジェイクが、幻へと声をかけた。幻は頭を振ると、
「いや……流石に戦闘中では複製に集中する時間がとれないね……」
 答える。壁を出す、とは、幻のギフト能力を用いて、壁の複製品を作る、という事だ。とは言え、戦闘中ではその隙も取れないだろうし、ギフトで生み出した複製品は、非常に軽く、脆い。時間をかけて生み出しても、即座に破壊されてしまっては、こちらが息切れしてしまう、という事を幻は理解していた。屋上制圧後、増援がやってくるまでのタイミングに設置した壁は、確かに効果を発揮していた。
「敵も絶え間ないわね……」
 エスラがぼやく。度重なる攻撃により、その身体や衣服には傷跡が残る。それはもちろん、エスラに限った事ではない。
「くっ……外壁、また登ってきました!」
 オリーブが叫び、いくつかのはしごから、兵士たちがその姿を現した。
「私達で抑えるぞ、オリーブ、怨寿。ヴァレーリヤ、悠、お前さん方は傷の手当てを頼む」
 シグが答えた。階下の敵をかく乱していたシグではあったが、増援の数が増えるにつれ、それもまた難しくなっていった。よって程々で見切りをつけ、屋上のメンバーと合流している。
「了解ですわ……! 流石に、敵の攻撃も激しいですわね……」
 仲間達の傷の手当てをしつつ、ヴァレーリヤがぼやいた。それだけ監視塔が、重要な拠点であるという事なのだろう。幻想軍も相当数の戦力を、こちらの奪還に当てているようだ。
「死をもたらす禁忌の塔……力を求め群がるのは必然と言う事ですね……!」
 と、悠。ヒールオーダーによる召喚支援を行いつつ、空を見上げた。
 頂点にあった太陽は、また少し、傾いていた。どれだけの時間がたって、どれだけの敵を退けたのか……。
 敵の勢いは衰えない。次々と襲い来る敵を、イレギュラーズ達は撃退していく。すこしづつ、しかし確実に、疲労とダメージは蓄積していった。時間の感覚すら麻痺していくような気すらした。
 ふと、敵の攻撃が止んだ。敵が動きを変えるための隙間だろうか。イレギュラーズ達はほんのわずかに訪れた小休止に、可能な限り傷と体力を回復させた。
 階下は騒がしい。敵はまだ、そこにいるのだろう。イレギュラーズ達はゆっくりと立ち上がり、階下へと通じるドアを前に、構えた。
 暖かい陽光と、穏やかな風が、頬を撫でた。なんて場違いで、優しい天気なのだろう。今日は素敵な日だ。戦場の真っただ中でなければ。
「……くるぜ。行けるか」
 ジェイクが言った。その言葉通りに、無数の足音が近づいてい来るのが聞こえた。
「ええ、貴方となら、最後まで」
 幻が答えた。
 足音が、近づいてくる。昇ってくる。少しずつ、確実に。死刑宣告のカウントダウンのように。そしてその足音がついに屋上へと到達し、ドアに人影が見えた瞬間、イレギュラーズ達は最後の力を振り絞って武器を構え――。
「待て、待て! 武器を下ろせ! 俺だ、イレギュラーズさん達!」
 現れた人物は、両手をあげて、大慌てでそう言った。見れば、それはイレギュラーズ達へ監視塔制圧の依頼を行った、鉄帝軍の指揮官だ。
 その背後には、部下であろう鉄帝軍人たちの姿があった。
「……終わった、のか」
 オリーブが呆然と言って、座り込んだ。その様子を見た鉄帝の軍人達が、慌ててオリーブの下へと駆け寄り、その身体を支えた。
「ああ、作戦は、成功だ」
「そうか。それは何より」
 鉄帝指揮官の言葉に、流石のシグも胸をなでおろしたい気分だった。
「ふー……流石に骨が折れるにゃ」
 怨寿も思わず座り込む。それほどに、疲労は蓄積していた。長い戦いだったのだ。
「……鉄帝側の被害は、どうなんですの?」
 ヴァレーリヤの問いに、指揮官は頷いた。
「ああ、そりゃあ無傷ってわけにはいかねぇ。だが、イレギュラーズさん達のおかげで、死ななくていい奴まで死ななくて済んだ……それだけは確かだ」
 その言葉に、ヴァレーリヤは少しだけ、安堵の息を漏らした。自分達の働きで、誰かを救えたのなら。それに勝る事はない。
「それと……お疲れのところすまんが、ちょっと下を見てもらっていいか」
 指揮官の言葉に、イレギュラーズ達は屋上の縁から、外を見下ろした。
「これは――」
 エスラが息をのんだ。
 無数の兵達が、こちらを見上げていた。上がるは歓声。功労者たるイレギュラーズ達をたたえる、兵達の言葉だった。
「皆、感謝してる……俺からも、言わせてもらうぜ。本当に、有難う」
 指揮官がイレギュラーズ達へ、頭を下げた。歓声がまた、大きく上がる。
「――ふふ。これは私達、鉄帝の歴史書に、名を残してしまいますね」
 悠の言葉は、きっと、大げさなものではないだろう。
 その日、イレギュラーズ達の活躍により、鉄帝はその作戦を成功させたのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 皆様のご活躍により、鉄帝は無事に渡河作戦を成功させることが出来ました。
 現場の兵士たちの絶え間ない感謝の言葉が、皆さんに送られています。

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