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シナリオ詳細

らんだむきゃらばん ~東方海域を抜け~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●『てのひらツアーズ』ピピピ・ピクシー
「ハァイ! 私といっしょに旅に出ない? 船員商人戦闘員、なにからなにまで大歓迎よっ!」
 両手をいっぱいに広げた美女が、ビヤグラスの隣でくるくると回っていた。
 そう、隣。
 ビヤグラスと変わらないサイズの美女は、蝶のような黄色い羽根を畳んでぱっちんとウィンクしている。
「おっとっと、紹介が遅れたわねっ。私はピピピ・ピクシー。パサジール・ルメスの商人キャラバン『てのひらツアーズ』のリーダーよっ!」

 『てのひらツアーズ』はかわったキャラバンとして有名だ。
 国から国へと渡り歩き商品を売り買いするという点ではきわめて一般的だが、変わっているのはその人員構成。
 固定メンバーはピピピ・ピクシーただ一人。
 のこる『全ての』メンバーを国につくたびに総入れ替えするのが特徴なのだ。
「旅は道連れ世は情け。出会いは多ければ多いほどいいわっ。かわった人ならもっーっといいわね!」
 沢山の人と出会い沢山の人を理解したい。その手段と目的と職業のすべてが合致したのが、彼女のキャラバンなのである。
 そんな彼女が今回キャラバンメンバーに選んだのが、ローレットのイレギュラーズたちであった。
「今回は東の海を抜けて海洋王国の小島に行こうと思うの。
 やることはカンタン!
 パート1、幻想の港町で物資を買い付ける。
 パート2、別の土地から持ち込んだ商品を売りつける。
 パート3、船で海を渡って途中に現われるモンスターを追い払う。
 ね、分かりやすいでしょ?」
 ビアグラスによりかかって首を傾げてみせるピピピ・ピクシー。
「この通り、私ひとりじゃリンゴ一個すら運べないし、船だって動かせないの。
 だから皆が必要よ。協力して、楽しい旅にしましょ!」

GMコメント

【オーダー】
 今回限りのキャラバンメンバーとなって商売を成功させよう。

 このシナリオは『商売パート』と『船旅パート』の二つに分かれている。
 プレイングもそれぞれに対応して書くとよいだろう。
 では、よい船旅を!

【商売パート】
 このパートでは手分けして物資の仕入れと商品の売りつけをこなそう。
 一人でいくつもやろうとすると必ずリソース(文字数)不足になるので、品目ごとに一人ずつ分かれるのがベストだ!

 ものによっては商売の知識や交渉能力が必要になるが、むしろ力が合ったほうがいいものやコネクションが活きるもの、気合いでいけるもの、いっそ実践するのがよいものなどなど。品目によって向き不向きがある。
 商業知識と交渉術が得意なピピピ・ピクシーがオプションとしてついてくるので、交渉力をブーストしたいという方や単純にたわむれたいというは彼女を持ち運んでください。
 とはいえあっちこっちには行けないので、ピピピボーナスは最大3名様までとします。

●仕入れる物資
・食料:数日分の食料を一気に買い付ける。港町を駆使しよう。いいものを安く沢山手に入れるのが基本!
・船:東の島までいくための船を手配しよう。レンタル船がお勧めだ。どれだけ値切れるかが勝負!

●売りつける商品
 北方天義のネオラグという土地とその周辺から工芸品や食材などを買い付けてきました。これを港町で売りましょう。

・三条打刃物:色々な包丁類。よく切れてさび付かない。
・岩江七宝法衣:きめ細やかな織物によるエキゾチックドレス。とっても高いがセレブ女性は好き。
・金紅蒔絵箱:漆塗りの箱に美しい蒔絵装飾がなされた美術品。貴族にウケる。
・木彫堆朱箱:木製の箱だが堆朱という特殊な漆剤を使った上品な箱。こちらもかなりの高級品。
・ネオラグ米:美味しい米。みんなだいすき。
・カモメ錦:美味しい地酒。いわゆる米酒ですっきり素敵な味わい。

【船旅パート】
 幻想の工芸品やなにかを沢山積んだ船を東へ出します。
 途中に『ウミヒャッハー』というモンスターが出没するエリアがあるため、戦闘をして切り抜けましょう。

・ウミヒャッハー
 海面を走る亜人系モンスター。
 モヒカンみたいなトサカがありヒャッハーと鳴く。
 主に船を見つけるとがしがしとよじ登ってきて船員を傷付けたり、船の荷物を奪って逃げることがある。
 荷物を守って追い払おう。
 何匹でるかはわからないが、道中でたびたび出てくるらしい。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • らんだむきゃらばん ~東方海域を抜け~完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月06日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
Lumilia=Sherwood(p3p000381)
渡鈴鳥
那木口・葵(p3p000514)
布合わせ
サブリナ・クィンシー(p3p002354)
仮面女皇
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
夜砕き
VeMP 49(p3p006711)
汎用殲滅型機械式戦闘人形

リプレイ

●らんだむキャラバン『てのひらツアーズ』
 潮の香りと海鳥の声。
 それを上から塗るかのように、客引きの声と路上演奏の音色が耳をつく。
 港市場の活気はほかとはひと味違うらしい。
 そんな活気にあてられたように、『寄り添う風』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)がスキップするように歩いて行く。
「こーいうキャラバンって楽しいよね! ワクワクしちゃうな!」
 確かに、と頷く『白き渡鳥』Lumilia=Sherwood(p3p000381)。
「素敵なキャラバンですよね。私自身、利害が一致するのであれば、知らぬ者をその時だけの旅の仲間とすることは度々ありました。その一人旅とはまた、少し違った雰囲気ですが、親近感も湧くものです」
 旅は道連れ世は情け。パサジール・ルメスの民は商人であると同時に旅人である。
 ゆえに各地で様々な人と出会うが、そんな出会いと別れをより深くしようというのが、ピピピ・ピクシー率いる『てのひらツアーズ』であった。
 そういう意味では、きわめて豪快な一人旅と言えなくも無い。
「在位中を思い出すみたいで楽しみね、本当に」
 キャラバンに参加した『仮面女皇』サブリナ・クィンシー(p3p002354)は動きやすそうな格好で船着き場へとやってきていた。
「それにしても商売ごととは……久しぶりですね。ここまで本格的なのは、むしろこちらへ来て初めてかしら」
「貴殿もそのクチでござるか。依頼に応募してみたはいいが、商いはとんと経験がござらん」
 『黒耀の鴉』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)がかりかりと頭をかく。
「拙者、しのび家業は長いでござるが……ここは一つ新しいことに挑戦してみるとしよう」
「その点では同感ね」
 ボディの軽い点検作業をしていた『汎用殲滅型機械式戦闘人形』VeMP 49(p3p006711)がカタカタと振り返った。
「護衛任務だけならまだしも、商売なんて初めてよ。けれどきっと、役立つ経験になるはずよね」
「……グルルル」
 『煌雷竜』アルペストゥス(p3p000029)も同じような気持ちなのか、鱗を寝かせて人混みをじっと観察している。
 このようにVeMP49や咲耶の例に漏れず、ピピピ・ピクシーはキャラバンのメンバーに経験の有無を求めなかった。
 商売や、旅や戦いにすらなじみない者ですら受け入れ、共に旅をすることで経験や発見を分かち合おうとしていた。
 そんなピピピ・ピクシーがなにをしているかというと、『布合わせ』那木口・葵(p3p000514)と買い出しの相談をしていた。
「お金には余裕があるから、最悪言い値で買っちゃっても大丈夫。けどできればそこそこに値切りたいかな。旅の楽しみも増えるし」
 貿易商売はあくまで旅の資金あつめ。その作業すら新たなメンバーに任せるのも、旅のサイクルに皆を巻き込む意図があってのことだ。
 失敗も成功も、新たな旅の仲間と分かち合いたいらしい。
「なるほど、そういうことなら……」
 葵は相手が気を悪くしない程度に食料や消耗品を買い付けることにした。
 運んできた物品の販売や船と水夫のレンタルは他のメンバーに丸投げするくらいが相応しいだろう。
「こっちは任せてください。それで、ピクシーさんはどなたと?」
 それならあの子と、と指をさされて『隠名の妖精鎌』サイズ(p3p000319)はぴくりと背筋を伸ばした。
(この世界に来て初めて俺の製作者と同じタイプの妖精を見た気がする………俺の魂の源である妖精の血……ゴクリ。い、いや! 落ち着け俺!)
 ピピピ・ピクシーと同じくらいの大きさになったサイズがひとりでなにかわたわたしていた。
 イレギュラーズの中にも割といるっちゃいるが、サイズ的には初めての出会いであったらしい。
 喜びというより割と捕食者目線でドキドキしているのだが、それは言わぬがよかろう。
「それじゃあ行こっか! 担当は包丁だったわねっ!」
 ドキドキするサイズの手をひいて、ピピピ・ピクシーは蝶のような羽根をはばたかせた。

●商売は人の熱で回る
 ものを売り買いする時の熱を、知っているだろうか。
 人から人へ、物と金が交差する際に生まれる経済の熱。
 それは物々交換よりも厳密な、価値観の共有と交差である。
 社会に金銭という概念が生まれた時から、その熱は世界を回り続けている。いわば、神でさえ押さえつけられない経済力という世界法則だ。
「さぁさぁ、よってらっしゃい、見てらっしゃい! 今日の夕飯に困るそこの奥様や旦那様!」
 咲耶は売り物のネオラグ米を料理してトレーに並べると、道行く人々へ大胆に振る舞った。
「混ぜる、炒める何でもござれ! 夕飯に困る主婦の味方、ネオラグ米をどうぞでござる!」
 知るということは価値が生まれるということ。更に咲耶が付け加えた試食料理のレシピメモは価値を高める幅として充分な効果をもたらした。
 ただ価値があるだけでは商売は成り立たない。
 たとえば金や銀を通貨材料としてしか見ていない文明ではチタンやニッケルはただ銀色をしただけの石。しかし利用技術を知っていたなら、その発展した先を教えられていたなら、莫大な価値がそこに生まれてくる。
 よって、咲耶が売りさばく米はただの穀物から価値ある食品へと変わっていった。
 その横ではアルペストゥスが『たくさん うり って、ます』と看板をさげて清酒カモメ錦を販売している。
「……グ」
 アルペストゥスはラベルに書いてる内容を板に彫り込んでは看板のように立てていく。商品の内容を大きく掲示することもまた、価値の伝達範囲を拡大するという意味で重要な工夫だ。
 古代から現代にかけて鉄板の商業テクニックである。

 ショバ代的なものをろくにとらないことで経済の自由化を図るこの港では、あちこちから訪れた商人が好き放題に商売をしている。
 とはいってもペットショップの横で精肉店が牛をさばいてたらどん引きなので、互いの利益のために自然とジャンルの棲み分けがなされていた。
 米や酒などの穀物、発酵食品のエリアからほど近く、調理道具のエリアにサイズとピピピはいた。
「三条打刃物つって、要するによく切れる包丁だ。見てくれ」
 サイズが試し切りした大根を再び接合させると、まるで切断などされなかったかのようにくっついた。
「研ぎの鋭さと表面加工のなめらかさがこれを実現してる。野菜も刺身も、切れば必ず口当たりに違いが出るだろ? いい加減な刃物で雑に切るとざらざらするが、こいつを使えば舌に溶け込むような食感になるはずだぜ」
 サイズは鍛冶業に詳しかったため、ネオラグの刀鍛冶技術によって作られた包丁の良さを理解していた。それを引き出し伝えることは、金型プレス式の量産包丁との違いを理解させるに充分だった。
「詳しい人がいてホント助かっちゃった! この調子でお願いねっ!」
 一本単価が驚くほど高い包丁である。ピピピは値切り交渉を上手にはねのけたりしてサイズのサポートにあたっていた。
 商売の基本が価値のトレードであるならば、両者の感じている価値を均等に保つことは重要だ。相手が不当に低く見ていたならその価値を伝え、こちらにとって価値が余るなら説明して不要な価値を取り除く交渉ができる。いたずらに下げたり上げたりすることが商売ではないのだ。
 ……それを、葵も充分に理解していた。
「船への運び込みは結構です。お手伝いも居ますし!」
 大きなぬいぐるみを式神化した葵は、店から船までにかかる荷物の持ち運びを自力でこなすことで価格を抑えた。
 まとめて買い付けることで倉庫から直接出して店頭に並べ直す部分をカットさせるという直接的な交渉も交えてである。
 そして肝心の船はといえば。
「私はキャラバン『てのひらツアーズ』のメンバー、ヴェムよ。東の島までの船をレンタルしたいのだけれど……出来れば操る人材も雇えないかしら?」
「勿論だ。水夫に応募してる奴はこれだけいるが……何人欲しい?」
 と、VeMP49が船のレンタル交渉をしていた。
 対象としているのは各国間の港にチェーン展開しているシップリース企業で、『元の港に戻す必要が無い』という利点から多くの場面で利用されていた。
 港近くの酒場にはフリーランスの水夫が多くおり、こうした企業とフリー契約を結んでいることも多い。地球で言えば、船が海外交通のメインであった大航海時代の文化である。
 リースした船に水夫たちが乗り込み、葵が買い付けた物資が運び込まれていく。
「商船とはいっても、案外コンパクトにまとまるんですね」
「混沌ならではの世界ルールね……」
 8人のメンバーが分担して各船仕事を受け持てば、あとは1~2人の水夫を雇えば事足りる。もし元メンバーの中に専門家が居れば水夫分を浮かせることもできたが、そういう部分を素直に受け入れていくのも『てのひらツアーズ』のスタイルであった。

 あちこちの商人が自由に商売をする港町。
 清濁併せ持ったこの土地ならではの商売法が名物化することもある。
『旅芸人してた頃ってこーいう手伝いもよくしてて……懐かしいナァ。また呼んでネ? 次はもっともっと面白くしちゃうんだから!』
 そんな風に話していたミルヴィは広場で情熱的なダンスを披露していた。
 その横ではLumiliaが白銀のフルートで望郷や親愛を想起させる音楽を演奏している。
 芸術とは不思議なもので、人間の錯覚や想像を刺激し世界に無限の色を与えてくれる。
 が、それだけではなく、注目を集めたり特定のイメージを持たせたりと商売と密接に関わってきた分野でもあった。
 世界で初めて芸術を商売に持ち込んだのが誰であったのかはさておき、価値の拡大と拡散という点において非常に優秀であったことは間違いないだろう。
 特にダンスはちゃんとした技術を習得すると人の注目を集め時間感覚を自在に引き延ばしたり短縮したりできるようになる。試しに鏡に向かって手を高速で振った後急にスローにしてみよう。なんだか時間感覚がぼやーっとなるはずだ。脳の錯覚を利用したテクニックの一つで、ダンスの他には奇術や露店販売なんかでよく使われた。
 彼女たちが販売していたのは木彫堆朱箱と岩江七宝法衣。
 どちらも高級な芸術品で、漆と織物の繊細な技術がみてとれる。ぱっと見ただの箱と服だが、じっくり見ればその技の細かさがわかるだろう。
 Lumiliaたちは人をあつめ意識を高め、箱や法衣を順調に販売していった。
 そんな芸術エリアを通り抜けるサブリナ。
 彼女の狙いは露天を回る一般客ではなく、内地(ここでは王都やアーベントロート領など海から離れた土地をさす)の貴族への訪問販売を主とする商人たちである。
 商人が商人に物を売るのは不思議に見えるかもしれないが、市場の魚を魚屋が仕入れるようなものである。よりよいものを目利きして見つけ、それを貴族の屋敷まで持って行って目利き料をつけて売るというシステムなのだ。
 商売知識や礼儀作法に詳しくそもそも高貴な出であるサブリナは、そういう商人を見つけることに少しだけ長けていた。
「こちらは金紅蒔絵箱。漆技術と蒔絵芸術が融合した大変美しい入れ物です。お値段はこのくらいでいかがでしょう?」
 商人はサブリナの提示価格から大きく引き下げて自分の取り分を増やそうと試みたが、どうもサブリナの風格には強引な手口は使えないだろうと踏み、さらには商売のちゃんとした知識をもっていたことからかすめ取ることも難しいと判断したらしく、適切に交渉して提示価格より妥当に引き下げた額で交渉を成立させたのだった。

 そうして一日の商売を終えたイレギュラーズもとい『てのひらツアーズ』一行は軍資金をしっかりもって、次なる土地へと船を出したのだった。

●ウミヒャッハーの海
「船旅というのはあまり経験ありませんね。次面が揺れる感じがして楽しいです!」
 葵はどこまでも続くかのような海原を眺めつつ、手すりに腰掛けるピピピと語らっていた。
「幻想ではどんな商品を仕入れたんですか?」
「そうねー。貴族国家はパトロン貴族とそれをアテにする芸術家があふれてるからか、視覚芸術が発展してるわねっ。絵画に彫刻、服飾なんかもそうかしら。けどデザイン分野が国柄に依存してるからアクセサリー類はよそでは売りづらいかも? 後は国柄丸出しのお土産品かな。まんじゅうひよことか?」
「まんじゅうひよこ……」
 そんな会話をしていると、物見台から周囲の観察をしていたVeMP49が警鐘を鳴らした。
「敵接近! 9時方向! 総員戦闘準備!」
 ハイセンスとエネミーサーチをもつVeMP49は海上索敵に関して今メンバー内で右に出るものはない。
 言われたとおりに船の外を見ると、海面を走ってくるトサカのついた集団があった。
 船の積み荷を奪って意向とする亜人系モンスター『ウミヒャッハー』である。
 VeMP49は早速腕から肩にかけて接続した大型プラズマライフルを乱射。更に葵が蛇紐を備えて接近するウミヒャッハーを迎え撃つ。
「こちとら定員オーバーだっつーの!」
「ガァァァウッ!!!」
 更に船の上を飛行したアルペストゥスが魔弾を放ち、ウミヒャッハーを迎撃する。
 数匹のウミヒャッハーを犠牲にしながらも、一部のウミヒャッハーがヒャッハーいいながら船体をよじのぼり甲板へと到達。
「奇妙な亜人種ですね。ともあれ……」
 Lumiliaは早速『神の剣の英雄のバラッド』の演奏をはじめ、ミルヴィが『結界剣舞』を踊り始めた。
「強盗退治は旅の華だけどもうアンタらみたいのはお呼びじゃあないの! 痛い目遭わないうちにお帰り!」
 曲の切れ目を出さぬよう『暁の響宴』にフェードイン交代しつつ、サイズとサブリナが荷物を守って迎撃する。
 サイズの魔力を伴った斬撃がウミヒャッハーを吹き飛ばし、ギリギリまで接敵したサブリナが『トワイライトグローリア』の魔法を放った。
「折角船旅を楽しんでいる所に水を差す様な無粋な輩は――」
 絡繰暗器を分けてヌンチャクモードにした咲耶がギリギリのこったウミヒャッハーに接近。しこたま殴りつけると、鎖を解いてトンファーモードに持ち替えさらなる連打。
 最後は蹴りで船の外へ突き飛ばした。
「――成敗」

 こんな具合に、船は荷物を失うこと無く順調に次の港へとたどり着いた。
「皆のおかげで楽しい旅ができたわっ。また縁があったら一緒に旅をしましょうねっ!」
 出会いもあれば別れもある。ピピピ・ピクシーは港で分かれたイレギュラーズたちに手を振った。次なる仲間を揃えて、『てのひらツアーズ』は旅を続けるのだろう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!
 ――Good Job!

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