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シナリオ詳細

<グレート・カタストロフ>ハイペリオンランド危機一髪

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ここはハイペリオンランド。幻想王国の東、ウィツィロの地に建設された伝説のテーマパークである。
 はるか昔勇者アイオンと共に旅をしたという神鳥ハイペリオンが封印から目覚め、そんなハイペリオンを中心としたテーマパークを同じく勇者パーティーの子孫サニーサイド・ウィツィロが領地を改装したのが始まりと言われている。
 このハイペリオンランドの中心にはハイペリオンハウスがあり、もふもふのまあるい鳥さんであるハイペリオンがいつでも来場者を歓迎しているのだ。
 毎日のようにケルト音楽が奏でられ、甘いお菓子と楽しい踊りで平和な日々が続いていく――そう、誰もが思っていたその矢先。
 世界の崩壊は、起き始めたのだった。

「逃げてください! 皆さん、早く逃げて!」
 半透明な半球状の屋根が襲来する無数の隕石めいた物体に破壊され、砕け散る。
 人々は悲鳴を上げて逃げ始め、スタッフの誘導によって安全な建物内へと避難していく。
 ハイペリオンは翼を広げて飛び上がり、接近する隕石の一つを翼で叩くことによって撃墜した。
「おや、これは……?」
 隕石だと思っていたものは、どうやら違ったらしい。地面にめり込むように着地した球体はめきめきと姿を変え、多脚の甲殻類めいた外見となった。
 それらはガシャガシャと足音を立てて避難所へと突き進む。
「そうはさせません!」
 ハイペリオンは風をとらえると先周りし、銃を連射する警備スタッフたちと共に空から降ってきた怪物たちを迎撃する。
「これは……噂に聞いていた『星界獣』! ついにここまでやってきましたか……!」
 平和を破壊する、星よりの獣たち。
 避難シェルターの扉が閉まるのを確認しつつ、ハイペリオンは戦いの覚悟を決めるのだった。


「ハイペリオンさまー!」
 空を飛び駆けつけたのは、ハイペリオンを特に好み信仰心すら抱いているイレギュラーズ、カイト・シャルラハ(p3p000684)だ。
 優れた飛行機動によって星界獣たちをかき集めると、その一体に向けて三叉槍を投げつける。
 見事に星界獣を貫いたところで、ハイペリオンのそばへと着地した。
「情報屋が強力な星界獣の接近を感知したんだ。ハイペリオンさま、迎撃の準備をしてくれ!」

 カイトの話によれば、近くに出現した強力な星界獣がハイペリオンの残留エネルギーを喰らって進化。ハイペリオンをそのまま真っ黒にしたかのような姿をした『ハイペリオンノワール』となってここハイペリオンランドへと接近しつつあるのだという。
「ハイペリオンノワールは高度な飛行機動と光を操る魔術攻撃を仕掛けてくるはずだ。なんせそれによって……」
 カイトが僅かに暗い表情を浮かべる。
「どうしたのです?」
「村が、一つ滅ぼされたんだ。地元の冒険者が迎撃にあたったが、全滅したらしい……」
 となれば、格上の強敵ということになるだろう。カイトの自慢の戦法も通じきらない危険がある。
 が、だからといってこのハイペリオンランドを、そしてハイペリオンを守らないという話には決してならない。
「大丈夫だ。ハイペリオンさまは俺たちが守る! 例えこの世界が滅びるとしてもな!」

GMコメント

●シチュエーション
 ハイペリオンランドに星界獣の集団が襲来しました。
 これらを迎撃し、ハイペリオンランドの平和を護りましょう!

●前半戦
 飛来し、展開した星界獣たちを撃退します。

・星界獣×多数
 多脚の甲殻類めいた外見の怪物です。
 星界獣の中でも弱い方の個体ですが、数がとにかく沢山いるので引きつけて纏めて潰す作戦を活用していきましょう。
 引きつけ役が複数いるとかなりスムーズに倒せる筈です。

●後半戦
 離れた村から接近しつつあるハイペリオンノワールとその取り巻きを撃退します。

・飛行星界獣×少数
 前半戦で戦った星界獣に飛行能力が付与されたものです。
 若干回避能力が高いのが特徴のようです

・ハイペリオンノワール
 神翼獣ハイペリオンの残留エネルギーを喰らって進化した個体です。
 飛行能力を持ち、飛行ペナルティを大幅に軽減させています。
 また光の魔法を使い攻撃してくるようです。
 非常に強力な格上個体ですので、皆で力を合わせて戦いましょう。

●味方NPC
・ハイペリオン
 治癒の魔法を使って援護してくれるほか、飛行ペナルティを軽減する加護を与えてくれます。加護の範囲は戦場全体とします。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <グレート・カタストロフ>ハイペリオンランド危機一髪完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年02月02日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りの守護者
カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)
神殺し

サポートNPC一覧(1人)

ハイペリオン(p3n000211)
神翼獣

リプレイ


「ハイペリオンさまも世界も守るのがとりさんだぜ!」
 ばさっと翼を羽ばたかせ、ハイペリオンランドのコーヒーカップアトラクションの上へと降り立つ『空の王』カイト・シャルラハ(p3p000684)。
 見回す景色は、それは酷いものであった。
「しっかし、ここまでめちゃくちゃにするとは許せねえ……ハイペリオンさまのお家を壊す野蛮で不敬なやつはお仕置きだっ!」
 吠えるように叫ぶカイトに続き、『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)が握り拳を作ってハイペリオンハウスから外へと出てきた。
「ハイペリオンノワールに星界獣……ウィツィロにまで……!
 ウィツィロもハイペリオンランドも絶対守るよ!」
「ああ、そうだな」
 続いて出てきた『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は己の腰にはいた刀に手をかける。
「ハイペリオン様の姿で、平和でもふもふなランドを襲うとは……断じて許せん。
 可及的速やかに、この世から退場して貰うからな!」
 一方で、『約束の力』メイメイ・ルー(p3p004460)はボロボロになったハイペリオンランドを見て心を痛めていた。
「ハイペリオンランドが……それに村まで……。
 いくらハイペリオンさまを形取った相手でも、このままには、しておけません…!
まだ、全てが終わったわけではないのです、から。
 ね、ハイペリオンさま……!」
 振り返ってみれば、ハイペリオンハウスからもっふもっふとハイペリオンが姿を現した。
「その通りです。決してこのままにはさせません」
 眉をきりっとさせたハイペリオン。顔がシンプルで可愛いのだが、やる気は充分のようだ。
 その証拠にか翼を広げて臨戦態勢をとってみせている。
 そんな様子を眺めていた『雨夜の映し身』カイト(p3p007128)は、ぽりぽりと頬をかいた。
「ハイペリオンのエネルギーの残留エネルギーを使って……???
 なんかどっかで見たような流れなのは……気の所為だろーか。
 まぁ俺も依頼報告でしか知らないからだいぶ記憶あやふやなんだけど……」
「まあ、ハイペリオンの力は利用されやすいところがあるからな。そうでなくても、星界獣は残留エネルギーを喰らって進化するものらしい。油断は禁物だぞ」
 『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)がその後ろから声をかけてくる。
「かくいう私もレジャーランド領地を所有する身。
 同業者のピンチには救援に駆け付ける」
 その一方で『狐です』長月・イナリ(p3p008096)はなんだか関係ないことを考えていた。
(甲殻類、鳥型の星界獣ね。……甲殻類はバラバラに解体して蒸焼、鳥型は皮を剥いで焼き鳥かしらね……おっと、晩御飯のお話じゃなかったわね)
 コホンと咳払いをして、大太刀をずらりと抜くイナリ。
「ハイペリオンランドの平和は私達が守るわよ!」
「うん……!」
 その言葉に応えたのは『神殺し』リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)だった。
「ハイペリオンランドをねらうだけじゃなくハイペリオンそっくりの姿になるとかなんて卑劣な……おのれ星界獣! ゆるさないぞ!」
 と言いつつ、脳内ではこんな事を考えている。
(でも、黒いところ以外はそっくりだしハイペリオンは顔が天才だから黒いハイペリオンもかわいいんだよね……くやしいことに…やっぱりもふもふなのかな……)
 ハッとして首をぷるぷる横に振る。
「まどわされるな、ぼく!! 見た目にだまされてハイペリオンの前でだめだめなとこを見せるわけにはいかない」
 ガッツポーズをとって、いつでも戦えるように魔力を身体に循環させる。
 そうしている間に、遠くから星界獣の一団が姿を見せ始めた。
 これ以上好きにはさせまいと、走り出すイレギュラーズたち。
 さあ、ハイペリオンランドを守るのだ!


 先行してきた敵部隊は星界獣の群れであった。どこか甲殻類めいた、多脚の怪物たち。
「引きつけ役なら任せとけ!」
 その中へと低空飛行で突っ込んでいくのは勿論カイト・シャルラハだ。『熱血の赤翼』を発動させて激しい高揚感を星界獣たちに与え始める。
「カニ? エビ? 何にせよ漁師の俺にとっては獲物だな!」
 見事にひっかかった星界獣たちはシャルラハを目の敵にしたかのようにとびかかり、鋭利な鋏状の腕で斬りかかってくる。
 常人を容易く切り裂く刃はしかし、シャルラハの羽根ひとつさえ切ることができない。
 束になってかかって隙を作ろうとしたとて、シャルラハのずば抜けた回避能力に追いつくことができないのだ。
 とはいえ星界獣たちもかなりの個体スペック。シャルラハが早すぎるだけで、並のイレギュラーズでは回避は難しいだろう。
 実際、ヨゾラが襲われた場合そうそうよけることはできない。
 なのでシャルラハが引きつけている星界獣を遠くから狙うという作戦に出た。
「楽園追放……この地から消え去れ、星界獣!」
 幻想で高めた名声をそのままぶつけるかのように『パラダイスロスト』を放つヨゾラ。
 無数の星の瞬きが流星となって飛んで行き、星界獣たちに大量のBSをばらまき始める。
 中には狂ったように鋏を振り回し仲間を傷つける者や、自傷行為に走る者まで現れる始末だ。
 そんなヨゾラを脅威とみたのか、シャルラハに引きつけられていない星界獣の一部が攻撃を仕掛けようと突進してくる。
 そこへ割り込んだのは汰磨羈だった。
 妖刀を水平に翳すことで鋏による一撃を抑え込み、なびく髪をそのままに反撃の一手を繰り出す。
「下劣な連中の素っ首は、纏めて叩き落とすのが一番だな」
 星界獣を振り払うと、剣に纏わせた妖力を斬撃に乗せて飛ばす。
 巨大な斬撃と化したそれは星界獣たちを纏めて切裂き、首を切り落としてしまった。
 斬首を免れた星界獣も、激しい衝撃によって吹き飛ばされ転がっていく。
「それにしても数が多い。持久戦を意識しなければな」
 言いつつ、『験禳・搶魂汞手』を放つ汰磨羈。水行のマナを凝縮・縮退させ、手の形にした『汞手』を放つという技である。
 これによって相手から力を奪い、霊力へと変換し吸収するのだ。
 一方、『全覚ノ奏者』で能力を拡充させたメイメイは小さな杖をぎゅっと握りしめて星界獣たちをむむっとにらみ付けた。
「――『神翼の加護』!」
 杖を翳して召喚したのはミニペリオンの群れ。ハイペリオンランドへやってきたこともあってか全員がバニラコスチュームでの登場である。
「「ぺりー!」」
 その代わり、どうやら全員元気いっぱいのようだ。
「行ってください……!」
 メイメイが号令を出すと次々にミニペリオンたちが飛び出し、星界獣へと襲いかかっていく。
 頭からずどんと突っ込む者。ドロップキックを叩き込む者。謎のトンカチを取り出して叩く者、巨大な棒付きキャンディで殴りつける者など様々だ。
 そんな賑やかな光景を目の当たりにしたカイトはふと戦いの中で思いだしたことを口にした。
「……そいやここ、一応テーマパークなんだよな?
 そっちの物損被害とかは実際のトコ、大丈夫だったりすんの?」
「大丈夫ではないだろうが……それより人命優先といったところなんだろうな」
 答えたのはモカだった。同じくレジャー系の土地を管理する者として色々と思うところがあるのだろう。
「なるほどな……」
 と一応は納得しつつ、カイトはシャルラハの援護へと移る。
「大丈夫か、俺? さすがにそれだけの群れを相手にするとキツいだろ。援護するぜ」
 カイトは『葬送舞台・冷え切った雨帳』で封殺能力を拡充すると、氷戒凍葬『黒顎逆雨』を発動させた。
 地面から雨が降るという反転現象が一帯に存在する星界獣たちの運命をねじ曲げていく。
 充分に不吉系のBSがついたところで、氷戒凍葬『破軍星雨』を発動させた。
 一帯に光の五月雨を降り注がせ対象を浄化するというその術は大量のBSによって星界獣たちの動きを阻害するのみならず、込められた高い封殺の力によって星界獣たちの動きを封じていく。
 ここぞとばかりにそうして集まった星界獣に狙いをつけるモカ。
 『狂イ梅、毒泉』と『デスティーノ・コイントス』で力を高めると、『黒豹疾駆撃』を繰り出した。
 気功で生み出した誘導弾が星界獣たちの中で炸裂し、激しい爆発となって広がっていく。
 そこへ、もう一人の引きつけ役として飛び込んでいったのがリュコスであった。
「ただの星界獣なんかに負けない……!」
 『名乗り口上』によって意識を自分へと引きつけたリュコスは、叩きつけられるような大量の殺意を受けて尚平然とそれを受け流す。
 鋭利な鋏による斬撃がリュコスを襲うも、紙一重のところでそれを回避した。
 すぐに星界獣たちを引き剥がすように駆け出すと、くるりと反転して『ケイオスタイド』の魔術を発動。ホーミングした魔術弾が星界獣の一体へと命中し、それが黒い暴発となって広がっていく。
(単体火力重視だからこう数が多い敵だと範囲が出来ない構成だから苦手なのよね)
 そうして集めてくれた星界獣を倒すべく襲いかかったのはイナリたちであった。
 イナリは大太刀を構え、『狐火・改』を発動。イナリの周囲に術式によって構成された火の玉が無数に出現し、大太刀を突きつけた先へ向けて次々に飛んで行く。
 炎に包まれた星界獣は派手に暴れながらも絶命する。
 そこから抜けてきた星界獣が現れるも、イナリは大太刀を構え真っ向から叩き切った。
 ばすんと切断された星界獣が真っ二つになって地面に転がる。
「皆さん、大丈夫ですか!?」
 ハイペリオンはそんなイナリたちのAPが尽きないようにと治癒の魔法を唱え回復をしてくれていた。
 そんなハイペリオンを、光の弾丸がかする。
「――!?」
「ハイペリオンさま!」
 カイトやメイメイたちが声を上げたのは当然だろう。
 キッと弾丸の放たれた先を睨むと、そこには黒いハイペリオンとでも言うべき存在が浮遊していた。
 おそらく噂のハイペリオンノワールだろう。その周囲には飛行能力が付与された星界獣たちが飛び回っている。
 戦いは、第二段階へと進んだようだ。


「なーに、黒いハイペリオンさまなんて……いやかっこいいな? 黒い太陽?
 いやいや、本物のハイペリオンさまのふわふわ太陽の方が……! すぅうううううう!」
 咄嗟にハイペリオンを吸ったシャルラハはハッと正気に戻り、再びハイペリオンノワールたちをにらみ付けた。
「そっちが飛行するならこっちもだ!」
 仲間達の中心へと降り立ったシャルラハは『風天神星』を発動。白き翼の加護を与える表・占星術は、ハイペリオンのように暖かな光の翼を仲間達に齎した。
 そして自らが真っ先に飛び込んでいく。
「いいか、ちょっとかっこいいからってハイペリオンさまには敵わないんだからな!
 ハイペリオンさまは強くて優しくて、何よりも世界が好きなかみさまなんだ。
 だから俺は世界を救うために突き進むぜ! たとえ無理無茶と言われようとな!」
 突き出した三叉槍が光の障壁を貫いてハイペリオンノワールへと突き刺さる。
 それを嫌がって上昇したハイペリオンノワールを、リュコスとヨゾラは飛行して追いかけた。
「君たちが空を飛ぶ力を手に入れてもぼくらには本物のハイペリオンがついている
 太陽の翼をせおってる以上、負けるわけにはいかないんだー!」
 リュコスは周囲で飛び回る飛行星界獣たちを引きつけると、『ケイオスタイド』の魔術を発動。
 星界獣たちを撃墜すると、次はお前だとばかりにハイペリオンノワールめがけ『鮮血乙女』の魔術を解き放った。
 突如として現れた魔空間がハイペリオンノワールを呑み込み、その全身を押さえ込み串刺しにしようと槍が放たれる。
 咄嗟に魔空間を破り払ったハイペリオンノワールだが、リュコスの放った闇の槍が突き刺さりピギイと声をあげた。
「うっ、敵とはいえハイペリオンさまに似てるのを攻撃するの、心がいたむ……」
「けど、敵だよ。ハイペリオンさんに似た姿でも…この地を脅かすならぶちのめす!」
 ヨゾラは撃墜した星界獣たちにとどめの『星空の泥』を放つと、くるりと反転してハイペリオンノワールへ突っ込んでいった。
 拳に『星の破撃』の力を込める。別名『夜の星の破撃(ナハトスターブラスター)』。
 神秘的破壊力を一点に集約したその拳は、ハイペリオンノワールの光の障壁に阻まれた――かに見えたが、至近距離で爆発した魔力は障壁を破ってハイペリオンノワールを吹き飛ばした。
 反撃とばかりにハイペリオンノワールが光の弾丸を乱射する。
 魔術結界を展開して防御するヨゾラ。
 イナリはここぞとばかりに『ネタ技:最後なのでふざけた攻撃』を発動させた。
 空から落下して来た冷蔵庫から 合衆国の大統領が出現 パンを尻にはさんで右手の指を鼻の穴に入れて左手でボクシングをしながら『いのちをだいじに』と叫ぶ儀式を行うという謎の技である。
「倉庫に放り込まれて放置されていた術式だけど使ってみたら案外効果あるわね、発生する現象に関してはトンチキだけど……」
 その光景を見たハイペリオンノワールがびくりと身体をふるわせる中、空を滑るように飛ぶモカがハイペリオンノワールめがけ強烈な跳び蹴りを繰り出した。
 光の障壁でなんとかガードしたハイペリオンノワールだが、モカの攻撃はそれで終わりではなかった。
「来場チケットは持っていないようだな。では、お帰り願おう」
 くるりと身体を回転させたモカの連続キックが光の障壁をばきばきと砕き、最後には放った強烈な蹴りがハイペリオンノワールを打つ。
 と同時に、カイトは『ハーフ・アムリタ』でAPを大回復。
(しっかし……まっくろくて丸くてふわふわそうなのは……。
 確かに……『滅び』……っぽそう、だ、なぁ?)
 などと思いつつ、ハイペリオンノワールめがけ『冥王公演』を解き放った。
 連続で放たれる高位の舞台演出。渦巻く黒い雨がハイペリオンノワールを包み込み、その力を奪っていく。
 【重圧】【魔凶】【雷陣】【懊悩】【魅了】といった凶悪なBSがハイペリオンノワールを襲う。
 そんなハイペリオンノワールめがけ、メイメイの召喚したミニペリオンたちがミサイルのように突撃していった。
「メイメイさん、皆さん。私の加護を……!」
 翼を広げ暖かな光の加護を振りまくハイペリオン。それをうけて、メイメイは光の翼を羽ばたかせた。
「ハイペリオンさまが、わたしに力を与えてくれる、から……!
 ノワール、あなたには負けません!」
 ハイペリオンノワールが迎撃のために光の弾丸を乱射するが、メイメイはそのなかを駆け抜けて行く。
 そして小さな杖に力を込め、ハイペリオンノワールの至近距離で解き放った。
 直撃を受けたハイペリオンノワールがついに墜落。
 それを追うように急降下突撃をしかけたのは汰磨羈だった。
「ハイペリオン様の姿で狼藉を働くとは、言語道断。今すぐに散るがいい!」
 落下速度よりも早く繰り出した蹴りには大量の妖力が乗り、流星の如くハイペリオンランドの中央広場へと激突した。
 ついに肉体を破壊され、動かなくなるハイペリオンノワール。
 汰磨羈は宙返りをかけて飛び降りると、地面にすたんと着地したのだった。

 その後。
 イレギュラーズたちは荒らされたハイペリオンランドの片付けを手伝い、避難していた人々をいたわり、そしてハイペリオンに抱きついてもふもふの限りを味わったという。
 例え世界が穴だらけになったとしても、平和はここにあるのだと、証明するかのように。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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