シナリオ詳細
<悠久残夢>無限階段を突破せよ
オープニング
●魔王城にて
魔王城。あるいはサハイェル城。魔王イルドゼキアと四天王の待ち受ける場所。
伝説に謳われるそれとは似て非なる場所なれど、この世界における魔王城に思うところのある者も多いだろう。
このプーレルジールにおける状況も、最終局面へと移行した。
遂に対面した魔王イルドゼギア、そして彼等が鍵として認識している破滅を見守る少女・ステラ。
魔王イルドゼギアは『本来は存在し得ない魔王を作りだし世界が滅びを迎えるまでがこの世界の運命だ』と、そう語った。
混沌世界が直面する滅びも、避けきれぬ確定的滅亡として神託が下されている。
それらが目に見えぬ神の意志だとしても、納得など出来るわけもない。イルドゼギアとて『彼本人の意志』ではなく、世界のあるべき形に改変された存在なのだという。
彼等は混沌世界の来るべき滅亡のために、このプーレルジールが滅びた後にステラの異能力を駆使して混沌へと渡らんとしている。
そうして滅びの徒として改めて世界に滅びを齎すのだ。混沌世界に存在する原罪達と共に、来るべき終焉を待ち受けて。
そしてサハイェル城へ至らんとした者達の前には、どこから湧き出たか大量の終焉獣もまた立ち塞がらんとしていた。
率いる者はプーレルジールの『管理人』『魔法使い』……いや。
その者は、未だ正体不明である『終焉』の勢力に属する存在だった。
彼は大量の終焉獣を引き連れていた。
そもそもイレギュラーズを外から来たと認識している終焉獣達は何処から来たのか――
その真相はなんと、サハイェル城の地下に『終焉』の地に繋がる扉があったのである。
『迷宮の果て』から至るのが本来の――例えるならば正規の入り口たる『表口』ならば、その扉は『裏口』とも言うべき場所。
かの扉を破壊せねば無尽蔵の滅びがプーレルジールに蔓延り、いつかは滅びで覆い尽くされるだろう……。
だがその問題はプーレルジールだけに留まらない。
混沌世界は万象の上に座す上位世界だ。下位の世界を飲み喰らう程に強い――
つまり混沌世界に限りなく近いプーレルジールはいつか混沌世界に呑み込まれるのだ。それがプーレルジールの避けられぬ滅びの一つ。
その時にもしも『滅びのアーク』が可能な限り凝縮されていたら?
――夥しい滅びの結晶が、混沌世界を内側から侵食していく。
それこそが終焉に属する者達の狙い。混沌世界を支えるシステムそのものを攻撃せんとする計画。
プーレルジールの行く末は混沌世界にも確実な影響を齎すだろう。
見過ごせぬ。七罪達を撃滅し、滅びから遠ざけてきたというのに、一気に盤面をひっくり返されぬ事態など。
抗えるのは希望の可能性を持つイレギュラーズのみ。
その魔王城での戦いが今、始まろうとしていた……!
●無限階段へ
「ようこそ、ギャルリ・ド・プリエへ」
ゼロ・クール『Guide05』はそう集まった面々に告げた。
どうやらGuide05……通称をギーコと呼ばれるアトリエ・コンフィーの案内嬢が今回は説明を請け負うことになったようだ。
「皆様、今回の話については聞いておられると思います」
そう、魔王城……すなわち サハィエル城。魔王イルドゼキアと『終焉』の勢力に属する存在の待ち受けるその場所には、混沌世界を一気に滅ぼしかねない、最悪の企みが隠されていた。
だからこそ、サハィエル城へと挑まなければならない。そこに待ち受ける敵を倒し、滅びのアークの力を減少させなければならないのだ。
「皆様に攻略をお願いしたいのはサハィエル城1階と2階を繋ぐ『無限階段』です。
2階に行くために必要なその大きな階段は、普通に登っても永遠に2階には辿り着けず、また1階に降りることも出来ない。
それは階段を「無限階段」という領域に変えている守護者がいるからだ。これを倒さなければ2階に進むことはできない……後続のためにも、此処は手早く突破しなければならないのだ。
「皆さまであれば問題ない。そう考えております。ですから……どうか」
お願いします、と。ギーコはそう言って頭を下げるのだった。
- <悠久残夢>無限階段を突破せよ完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年12月04日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●無限階段へ向かえ
この戦いの結果が魔王城サハィエルでの戦いの結果……そしてプーレルジールの未来へと影響する。
それが分かるからこそ、誰もが各自の戦場へと飛び込んでいく。
そう……魔王城サハィエルでの戦いは、すでにあちこちで始まっている。
魔王の元へ辿り着くのを妨害するための領域も各所にあり、2階へ向かうための階段もまた、そういうもので塞がれていた。
無限階段。永遠に続く階段のようなこれもまた、そういうものの一種だった。
これを突破して後続へと道を拓くべく、集った者たちがいる。
「こうして魔王城へ挑むわたしたちでありましたの」
『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)がそう声をあげるが、まさにそんな感じである。
無限階段。なんとも薄暗く、そして1度入ると始まりの場所も終わりの場所も分からない。
不可思議な場所だ。しかし、胡桃は大分気楽な様子ではあった。まあ、こんなもの程度で怯むほど経験は浅くもない。
むしろ、おかしみを感じる程度には胡桃たちは経験を積んできていた。むしろ、逃がさないというのであれば……突破する気概もわいてくるというものだ。
「しかして無限階段とは、なんとも面倒そうな場所なの。中の敵を全滅させれば先へ進めるそうなのだけれども、搦め手を使ってくる割には解決法は正面突破みたいな感じなのどちらかと言えば、自分に有利なフィールドを作るみたいな方針なのかしら~。飛んで火にいる夏の虫、という感じだけれども今回飛んでいるのはあちら様かしら。がんばって突破するのよ」
「階段ですか……訓練はしましたが、そもそも階段などの不安定な場所での戦闘は避けろと教わりましたねえ。戦闘そのものを回避しろというタイプの方でしたが。他の足場を用意できないならやむをえません。重心を低くおさえて転倒には十分気を付けましょう。授業のときに見たあの映画は、まあまあ痛そうでしたから」
「コャー」
『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)がそんなことを言うが、階段落ちは確かに痛そうである。
だからこそ、即座に無限階段へと突入したわけだが……その名に相応しい無限のように続く階段は、明らかにただ事ではない。
此処は何者かによる妨害のための領域であることは、疑いようもないように見えた。
もっとも、それが如何なる力によるものなのか……までは瑠璃にも胡桃にも分からないのだが。
「幻覚のようなものだと知っていても、これだけ階段が続いているのを見ると嫌になってしまうわね。早いところ何とかしましょ」
『高貴な責務』ルチア・アフラニア(p3p006865)もそう呟くが、確か此処の守護者は幻惑将軍ヴァキュラと蝙蝠軍団という情報だっただろうか? それを倒さなければ先に進むことは出来そうにはない。
ルチアは幻覚のようなものと言ったが、実際そうであるのかもしれない。しかし階段を登ることによる疲労だけは本物で……使い方によっては、恐ろしいものではあるのだろう。実際、踊り場があればそこを……と思っていたが、無限階段にはそれがない。転倒の危険性を考えなければならないのは、それだけで1つのリスクではあるだろう。
「プーレルジールを滅びに向かわせる訳にはいかない。この世界でも旅をして、色々な出来事も経験してきた……それなのになくなってしまうのは悲しいから。もちろん混沌世界の滅びを防ぐ為でもあるけど、それ以上にこの世界に住まう人達を救いたいって思うかな」
『聖女頌歌』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)もそう言うが、実際この世界がいつか滅びるとしても、こんな滅び方はあまりにも酷いというものだろう。
「今まで頑張ってきたことをなかったことにしない為、そして新たに築いた繋がりをなくしてしまわないように全力で頑張るよ。それにまだ前哨戦って感じだしね。こんな所で負けてられないよ!」
「ああ、そのためにも此処を突破しなければならないな」
『狂言回し』回言 世界(p3p007315)もそう言いながら周囲を見回す。
「無限階段とは随分御大層な名前が付けられているな」
そう、先程から上も下も終わりのない場所に閉じ込められてしまっている。ただそれだけの場所だが……見方によっては恐ろしくもあり、そうでないこともあるだろう。
「しかしまあ、特別な仕掛けがあるわけでも無く守護者の力によるものらしい。そいつを倒せばそれで終わり、何ともシンプルだな。まあ変な仕掛けを解いたりする必要がないのは助かるが。後は守護者とやらが弱ければ万々歳なんだが……そんなわけないよなぁ」
「そうであったらいいとは思うがな」
『蛇巫女』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)も世界にそう頷く。まあ、その力のみで立ち塞がる敵よりは弱いだろうが……それのみを頼りにするわけにもいかない。『忍者人形』芍灼(p3p011289)と『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)もそう思うからこそ、ぐっと拳を握る。
「それがしこの光景、練達のゲームで見たことあるでござる! 赤い帽子の主人公が悪いボスの待つ上の階へ行こうとして階段を登っても何故か辿り着けないやつでござるな! 今回はわかりやすく敵の守護者が居りまするゆえ、張り切って倒してしまいましょうぞ!」
「無限階段編……ううん、何でもない。敵達を全部倒して、ただの階段に戻すよ……!」
そう、それさえできれば此処の領域は突破できるのだ。
そして……聞こえてくる。バサバサという、何かが飛んでくる音が……!
●突破せよ、無限階段
「うわはははは! 俺は幻惑将軍ヴァキュラ! 此処に足を踏み入れたが貴様等の不運よ! さあ、死ぬが良い!」
「なるほど、お前がそうか」
アーマデルはアレがこの領域の首魁である、と。そう正しく理解して戦術を組み立てていく。
明るさ的な意味で視界確保に難があれば星晦ましの目隠し布の暗視効果で明るさを補いまた、温度視覚を視界補助としているが……相手は如何にも蝙蝠だ。
(蝙蝠ならばエコーロケーションのようなもので視覚を補っているかもしれない。英霊残響のような音波の類はそれを掻き乱し、撹乱出来るかもしれない)
近づいてくるならば撃ち込んでやろうと思いつつも、まずはジャミル・タクティールを発動させていく。
そして芍灼もまた、この状況での不利をある程度感じていた。
(今回は戦闘するにあたって階段で戦わねばならぬでござる。敵の攻撃で「前後不覚」状態に陥ってしまった場合、下手をすると階段から転がり落ちてしまうでござるな……。味方や自分が転がり落ちていってしまう可能性に留意しつつ、もしそうなりそうであれば反応が高めのそれがしが転がり落ちるのを止めに行くのが最善でござるか)
そう考えながら、芍灼じゃヴァキュラへ享楽のボルジアを発動させていく。
「部下は皆鎧なのになぜ貴殿1人スーツなのか! めちゃくちゃ浮いてるでござる!」
「ふはは! 目立つだろう! 俺1人に許された格好だ! 将軍だからな!」
「皮肉も通じないでござる!」
確かにヴァキュラは1人だけ立派なスーツで目立っている。目立っているが……なるほど、
その会話の隙を狙い、スティアはヴァキュラへと天穹を放つ。
「その隙……逃さないよ!」
「ぬっ……! 貴様、やってくれる!」
狙いは上手くいったようだと。そんなことを考えながらスティアは位置取りを調整していく。
敵の範囲攻撃に味方を巻き込まないような位置取りを意識し、可能ならヴァキュラの背後に仲間がいる状態を保つ。この場所では中々難しい条件にも思えるが、ヴァキュラが飛んでいて、この無限階段という状況であるからこそ、それは充分に可能であると思えたのだ。
「まずは……こうよ!」
そしてルチアも蝙蝠軍団相手にDies Iraeによる引き寄せを試みていく。
立ち位置の調整をしながら、蝙蝠軍団も引き寄せる。中々に難しい仕事ではあるが、ルチアはしっかりとこなせるつもりだった。何故ならば……ルチアは1人ではないからだ。
「呑み込め、泥よ……蝙蝠全部落としちゃえ! みゃー!」
そして祝音もケイオスタイドで蝙蝠軍団を攻撃していく。飛び回る蝙蝠軍団はなんともこの環境ではイキイキとしているが、相手の得意なフィールドだからと臆しているわけにもいかないのだ。
「飛び回るのが鬱陶しいけど、全部倒すよ……!」
(本当は皆を僕の射程内に入れてエスプリ効果で抵抗高めたいけど……階段……)
何しろ、この場は階段だ。巻き込み事故は防がなければならないし、しかし「その程度」でもあった。
だからこそ全員がガンガン攻め込んでいく。胡桃もまたそうであった。
「今のところ作戦通りなの」
胡桃は自分をSSSガジェット3.0bとあふた〜ば〜な〜で強化し、こやんふぁいあ〜にぶれいじんぐぶらすた~を織り交ぜて蝙蝠軍団を攻撃していく。
そう。方針としては、蝙蝠軍団を先に倒してからヴァキュラに仕掛ける感じであった。要はうっとうしい連中を先に片づけてから……ということではあるのだが。
(相手は飛んでるし射程のある攻撃も使うの。こちらも遠距離攻撃を中心に組み立てるのよ。加えて、ヴァキュラさんを抑えてもらっている間に蝙蝠軍団を斃す想定なのでできるだけヴァキュラさんの攻撃範囲には入らないように気を付けて立ち回るようにするの)
そう、だからこそ階段というこの状況下であっても位置取りは重要であった。
(注意すべきは前後不覚状態にならないようにということかしら。例えば広域俯瞰で三半規管へのダメージを緩和したりとかできぬのかしら。後はアクロバットで転ばぬように気を付けるとか)
たとえばアーマデルも基本、地面に足をつけて地上戦を行っているが高所から降りてこない等、射程に難がある場合などは護身霊装:夜告鳥の効果で低空飛行を行うつもりだった。
(三半規管に影響するようなものなら乗り物酔いみたいな感じだろうか……? こちらは一人ではない、故に体勢の立て直しを優先し、万全の次撃を図ろう)
そんな思考もアーマデルは巡らせていたが、その通り。1人で戦っているわけではないのだ。
「皆は階段を上り切るんだ。階段の途中で、誰も倒れさせないよ……!」
祝音もそんな中で、仲間をサポートできるように、そしていつでも前後不覚の転倒で階段から落下した味方がいる場合は適切な処置ができるようにしている。芍灼も、そのときは仲間が転がり落ちるのを止めに行こうと考えていた。こんな不安定な場所で戦う以上、各自対策はしているというわけだ。だからこそ状況は祝音たちに有利に進んでいく。
(無限階段という事で、上り下りに果てがないそうですが、もしかしたらループ構造になっているかもしれません。一度回避したからといって、注意を切らすこともできなさそうです。ですが……)
瑠璃は全滅した蝙蝠軍団を見ながら軽く息を吐く。なんとか蝙蝠軍団を全滅させることはできた。ならばあとは、ヴァキュラだけだ。
「ぬ、ぬぬ……! おのれ不甲斐ない連中め! こうなれば俺が貴様等をどうにかするしかなさそうだな!」
「出来ますか? ソニック・インベイジョンでそっ首落として差し上げましょう」
そうして瑠璃のソニック・インベイジョンが放たれ、ルチアがコーパス・C・キャロルを発動させていく。
「あとは、あなた1人……覚悟しなさい」
「ぐ、ぬ……」
「ところでヴァキュラ君には一つ質問があるんだ」
世界はそこで、答えてくれるかどうかは分からないとは知りつつも質問を投げかけてみる。
「無限階段は1階にも2階にも行けなくなるらしいが、どういう仕組みになってるんだ? 一定の距離をループするのか、それとも果てなく階段の続く空間が拡張されていくのか。どうでもいいと言われればそれまでだが、ちょっと気になるじゃないか。冥土への置き土産に教えてくれよ」
「ふはは、馬鹿め! 此処はそもそも『そういうルールの場所』だ! ループとランダム、拡張の組み合わせに決まっとろうが!」
「そうか、それで色々納得がいった」
「ぐわあー!?」
世界のネイリング・ディザスターが放たれ、胡桃もぶれいじんぐぶらすた~を放っていく。
「蝙蝠と言いつつ全滅まで戦うとは忠義はあったの」
「お、おのれええええ!」
「これで……終わり!」
スティアの天穹がヴァキュラにトドメの一撃を与えて。瞬間、無限階段の空間がひび割れて元の普通の階段へと戻っていく。
「よし、行こう皆!」
階段が解放されたことを察した他のチームの面々が駆け抜けていき、スティアたちもさらに奥へと進んでいく。
魔王城サハィエルでの戦いは……まだ、これからが本番だ。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ご参加ありがとうございました!
今回のMVPはチームの中心となる活躍をされたスティアさんです!
GMコメント
サハィエル城へと攻め込むときが来ました!
後続の仲間たちのため、皆さんが先陣を切るのです!
『無限階段』はサハィエル城に突入して正面の場所にあり、奥に進もうとする者を妨害しています。
中に居る敵を殲滅すれば消滅するので、早くやっつけてしまいましょう!
●出てくる敵
・幻惑将軍ヴァキュラ
『獣王』ル=アディン配下の蝙蝠男。飛行能力を持つスーツ姿の蝙蝠男で、無限階段を自由自在に飛び回り攻撃を仕掛けてきます。攻撃方法は中~遠距離の超音波攻撃(単体or広範囲)です。この攻撃が命中すると、一定確率で「前後不覚」状態になり、行動時に転んでダメージ&行動に失敗してしまいます。
この効果は転んだ時点で消失します。
・蝙蝠軍団×20
鎧を着た蝙蝠男の軍団。飛行能力を持ち、無限階段を自在に飛び回ります。攻撃方法は槍による攻撃と、電撃攻撃です。
●サハイェル城攻略度
フィールドが『サハイェル城』のシナリオにおいては城内の攻略度が全体成功度に寄与します。
シナリオが『成功』時にこの攻略度が上昇し、全体勝利となり、プーレルジールにおける『滅びのアーク』が減少します。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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