PandoraPartyProject

シナリオ詳細

再現性アーカム20XX:延焼

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●魔女の家
 再現性アーカム――それは、とある旅人が故郷を、自らの棲んでいた世界を、懐かしんで創ったとされている、旧き良き街の再現と謂えた。様々な土地、様々な夢が混在する、グロテスクさを極めたこの景色は、ああ、刹那の内に、阿鼻叫喚の沙汰へと落ちて終ったのだ。再現性アーカムを襲ったのは空前絶後の、前代未聞な大火災である。人々は逃げ惑い、追われ、絶望し――救いの神の名を唱えた。嗚々、ナイアルラトホテップ。ヨグ=ソトース! この奈落のような状況から我等をお救いください。ごろごろと道を転がっていったのはオコサマの頭蓋骨だったか。それにしては、随分と、時間が経っているように見える。
 火の手がそっちにいったぞ! はやく消火するんだ!!! チクショウ、俺の大切なコレクションがまだあの中に! 落ち着け、いま戻ったらオマエも燃えちまうぞ! 嫌だ! 俺はあの像と心中する覚悟なんだ! あんなのインスマスに行きゃ腐るほど売ってるだろ! クソッタレ! 誰だ腐った魚を放置していた奴は!!! おい、鼠どもが壁の中から出ていきやがった。此処もお終いだ!!!
 ぎゃあぎゃあと、いあいあと、騒ぎは大きくなっていく。
 が――この混乱も今はなく、荒廃とした街はひどく静かだ。

●フォマルハウト
 星が――宙が――嗤っている。
 三つの炎が、暗黒が、残骸を、病的なまでに観察している。
 この場に居合わせたものは軽度のめまいにやられるかもしれない。
「……やってくれたね」
 ソレ――女性のカタチをしている混沌――はまったく、一般的ではない、ドス黑い貌を晒して炎を睨めた。怒りとも呆れとも思える、混濁とした思いを触肢から散らかす。
「幾等なんでもコレはやりすぎじゃないか? 聞いてるのかい? くとか」
 びくりと、怖気を、寒気を覚えたのか。名を呼ばれた少女は震えを止める事が出来なかった。いや、コイツの所為だ。何もかもは『ソレ』の所為だと謂うのに。まあ、うん、アタシも、燃やしすぎたとは思ってるけど。
「悪いねイレギュラーズ。再現性アーカムは今、最悪の危機に陥っている。違うな。最悪の危機は回避したけど創り直さなくちゃいけないんだ。つまり、ボクの『箱庭』を再構築してくれって依頼なんだよ。そうだね。創るのは『家』とか『森』とか『校舎』とか、再現性アーカムに在りそうなもの全般。勿論、無かったものを増やしても良い。あ、ボクはこの女を躾けなきゃいけないから手伝えないけど、頑張ってね」
 嘲笑し、這い寄る……。

NMコメント

 にゃあらです。
 地震雷火事カオス。
 このシナリオはラリーです。カジュアルなので自動的に成功となります。
 一章完結の予定。

●再現性アーカム
 とある神格の招来により崩壊しました。
 シナリオの目標としては『再現性アーカムの復興』になります。
 取り敢えず崩壊した建物などを直してください。

●崩壊した建物など
 大学の校舎。
 家屋。
 蒸発した河。
 焼却された森。
 展示物諸共に燃え尽きた博物館。
 その他、イレギュラーズがプレイングに書いたもの。

●登場人物
 一般人『N』
 全ての元凶かつ今回の被害者。
 自分の棲家を焼かれるのには慣れています。
 ただし、他のものまで巻き込んだので結構怒ってます。

 火々神・くとか
 這い寄る混沌絶対滅ぼすウーマン。
 今回の加害者。
 力が暴走してしまったらしいです。
 反省しています。
 イレギュラーズが声を掛けるとお手伝いしてくれるそうです。

●サンプルプレイング
「大惨事だな……俺はとりあえず家屋を直すとするか」
 材料などを持ち込んで造っていく。
 景観を壊さないようにそれっぽい建物にしていく。
 駒形切妻屋根とか、破風の窓とか。
「ところでくとかさんは如何してこんな事を……?」

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合『練達』における名声がマイナスされます。
 理由? 再現性アーカムは『邪悪な存在』にとっての楽園なのです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度は『N』です。
 情報精度は低めで、フレーバー的に発狂する可能性があります。

  • 再現性アーカム20XX:延焼完了
  • アーカム復興計画。
  • NM名にゃあら
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年11月19日 22時00分
  • 章数1章
  • 総採用数6人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

安藤 優(p3p011313)
君よ強くあれ

 必要なものは鮮度だ、貌の無い知り合いが叫んでいた。
 勇気のバケツ――その内側――目隠しの奥のメカクレに、強烈な振盪を与えたのは狂気の類だった。思考が、脳味噌が、壁面に叩き付けられる。違う。安藤、オマエ自身が自分の記憶を殺そうと試みたのだ。こ、この人は……この、一般人を自称するこのヒトガタは。まさか、あの灰色のヒキガエルみたいなバケモノが言っていた……? ハッキリと視えてくる、視えてはいけない過去の書物。い、いやだ。槍が、血が……臓物が……! 人だ。人が息絶えている。拷問が大好きな月の民に攫われて、ガレー船に荷物として……ハッ!? 現実に引き戻された。帰る事が出来たのはきっと特異運命座標として選ばれた故だ。ぼくはいったいなにを……? 存在しない記憶に、アカシック・レコードに、ヨグ=ソトホートに接続し、溢れんばかりのカオス……。あ、えっと、街の復興でしたっけ。
 取り敢えず必要不可欠なところから直すのが宜しい。大学病院があったような気がしますので、まずはそこをなんとかしましょう。ふむ……ミスカトニック大学の聖メアリー・ティーチング病院というのですね。それにしても風邪だろうか、先程から悪寒がして止まる気配がない。まあ、でも、この街に住んでる人たちに罪はないですからね。彼ら彼女らのために頑張るとしましょう! ショウ・タイムに始まったのは問答か。
 患者さんが書き殴っている数式、紐解けたのか。

成否

成功


第1章 第2節

プロコル(p3p010277)
探索者

 神性――類する存在の力は凄惨な破壊を齎すものだ。再現性アーカムに降り注いだ太陽よりも太陽らしい混沌は鎮まっても尚、この世に地獄を残した。……おおう。これはすごい有り様ですね。私の力がどこまで役に立つのか分かりませんが、復興を手伝わせていただきます。荒んだ街を往くのは遺物調律をクラスとしたプロコルだ。ひとりでに、自然と足を運んだのは博物館である。しかし――旅人から聞いた話と違うではないか。如何してアーカムにロンドンの建築物が存在している? 気にしてはいけない。再現性アーカムとは本物の、旧き良きプロヴィデンスではないのだ。
 価値ある展示物や貴重な過去の遺物を失ってしまうのは非常に惜しい事だと私は思います。ええ、この厄災の原因は火炎に依るものと耳にしましたので、望みは薄いかもしれませんが。もしかしたら、希望を宿した、損傷がひどくない展示物もあるかもしれない。いっぱいに目の玉を、コアを開いて隅々まで探索するのだ。嗚呼、見つけた。一部欠けているようだが『こわれている』程度なら別の材で直せるかも……。
 ……可笑しい。この展示物動いているような気がします。まさか、レガシーゼロでもないのだから、微動だにしないのが現実的だ。もう一度意識を集中して展示物を見定める。……莫迦な。嗤っているのか。呼吸しているのか。偶像が触肢を伸ばす。
 再現性アーカムでは時々『このような』物品が出回ると『あと』で知った。

成否

成功


第1章 第3節

極楽院 ことほぎ(p3p002087)
悪しき魔女

 身包みを剥がされた、哀れな憐れな誰かさんみたいに、再現性アーカムは酷く禿げていた。剥き出しになったコンクリート・ブロックも原形を失くすサマで、成程、手招きされた怪物とやらは凄惨な破壊力を有していたらしい。はぁん、随分と派手にやったなァ。あっちもこっちも瓦礫の山じゃねーか! ことほぎのこぼした一言の通り、燻り狂った連中も現は大人しいと視える。あんまそっちにゃ近付きたくねーなァ。それこそ、物理的にも、精神的にも。……ってなると、森とか河とかの復興に手ェ出すか……? ミスカトニックと流れる囁きに耳を傾げたところで憤慨の緑だ。ンガイと鼾が聞こえる。
 イヤ……自然の復興ってどーやんだよ? 最初に脳裡へと這入り混んできたのは小さな小さな、故にこそ美しい苗木で在った。忌まわしい事に依頼主様は『なるはや』仰っている。植林とかってなると悠長だしなァ。面倒臭ェが、他の所からかっぱらってくるか。嗚々、悪人の思考は此処に極まれり。テキトウに鰓が特徴的な野郎どもを集めて強奪作戦だ。練達ならそれっぽい所もあるだろーよ。そんな事よりも問題点がひとつ、外来種を持ってきて大丈夫なのか……? 植生やら何やら問題があるかもしれねーケド、ここの土地なら勝手に汚染されんだろ。タブン。
 集めた人手をそのまま入植させりゃ醜悪な面も補填されるし、一石二鳥ってヤツだな!
 生めよ増やせよ地に満ちよ、地はオマケだ、潮の臭いを求めて。

成否

成功


第1章 第4節

ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)
極夜

 人間とは害毒を撒き散らし、世を地獄へと変えてしまう『病』なのだと紳士は嗤笑した。死傷した人間を数えている暇などなく、伽藍洞の方が遥かにマシではないか、と、凄惨な街並みは嘆いている。やぁ、そこにいるのは今回の主役火々神・くとか様じゃないか。悪魔は、ペッカートは、ニヤニヤと、ニマニマと女子高生サマに近寄って肩を軽く叩いてやった。暴走とは言え何の制限も無しに力を行使した気分はどうだった? 嗚呼、本当に、脳天から爪先まで悪魔ではないか。アタシはわかっている。悪魔が思っている通り、アタシは気分が良かったのだ。後からの筋肉痛とかヤバそうだけどな……俺か? 散歩だよ散歩……じゃない。街の復興に行くところだけど手伝う気ある? 渋柿でも口にしたのかお友達サマは顔をくしゃくしゃにしていた。なんかさぁ、何をコレクションしてたのか知らないけどあっちこっち愉快な邪気が溢れてるわけ。根源まで壊せなかったのが最大の誤算じゃねえのか? 下手したら呪われそうだし人手はいくらあっても困らないからな。ちゃっちゃと片付けようぜ。……浮かない表情だが反省中か? さっきの魚面どもの方が元気そうだったぜ。楽しく生きなけりゃ損じゃねえか。
 綺麗な街並みは壊されるってのが定番だろ? 今ちょうどどっかの大怪獣も練達で大暴れしてっからあんま気にすんなよ。君が『正義の味方』って事は俺が保証してやるぜ。アイスクリームみたいに甘いお言葉。

成否

成功


第1章 第5節

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

 林檎のような頬。健康的な赤いのではなく、ストレスに刺された蒼さと謂えよう。崖から落っこちた山羊のように、木から落っこちた猿のように、女子高生はグッタリとしていた。こんにちは、くとかさん。お顔の色が優れませんね。どうされました? まだヤンマのグルグルが治らないのですか。いいえ、違うのよ、アンタほど眼球が脆いわけじゃないわ。まあまあそれはそれは。何も謂っていないのにこの人は、睦月は納得してくれたご様子だ。一番正気が危ういのはアンタだって謂うのにね。やってしまったことはいまさらどうにもなりません。その通りだ。そもそも、この始末の引き金となったのはアイツじゃないか。アタシはまったく悪くない。この状況さあ、僕らが再現性アーカムに行ったからじゃないよね? そんな事はない、どっちかと謂えばアンタ等が被害者よ。……だったらくとかさんが思いつめなくてもいいよ。何割かはヤマンソのせいかもしれないし……。そうね、そうよね……って待ちなさい。なんでアンタ、史之、その名前を知ってんのよ。それでは僕たちもお手伝いをいたしましょう。くとかさんは何をお好みで……? 好みの話より重大よこれ。ちょっと、勝手に行かないでくれない? マジでアンタ等この街離れた方が……。この街について色々と調べてみたけれど、なんでもありすぎて頭がパンクしたよ。実際パンクしてんのよ、あーもう、いい感じも何も『ダメ』じゃないの!
 立て直すなら道路とか引いてさ、ついでに水道とか機関車とか、どぶ川とかも必要だよね。イレギュラーズだからなんでも出来るって謂うんじゃないでしょうね? ちょっとは自分の精神の事も労わってあげなさいよ。何を直すにしろ、港、港を忘れてはなりませんね。キングスポートです、大事なところです。あ、それと動線も大事だよカンちゃん。そう、インフラもね。お、落ち着きなさい。だいぶ混乱してきたわよ、熱くなってきたわ。それなら港でくとかさんがざぶんとして、頭を冷やすためにも必要ですよね。そう思いませんか? アンタ等先に飛び込んできなさい、ほら、ヨットハーバーにサンドウィッチなんか添えてる場合じゃねーのよ。お手隙ならいっしょに散歩はいかが……? ……頭痛くなってきたわ。
 行けるところまで行けた。途中、何度も何度も静止する声が聞こえたが、気の所為だろう。そうだ、家を作ろう。切妻屋根の異様な傾斜を持つ屋根裏部屋を備えた、そんな宿屋をさ。ほら、なんか俺らのせいで燃えたっぽいし罪滅ぼしも兼ねてさ……。それこそ褒めるべき所業ではなかったか。この世からひとつ、諸悪の根源の棲家が、焼き払われた……。でも新築ピカピカってなんか違うって言われそう。ねえカンちゃん、このまま愛の巣にしちゃおうか? 魔女の家は、しーちゃん、ねえ、愛の巣って感じじゃなかったよ?
 ほんの僅かに正気を残しているらしい。
 妻さん、ちょっと俺の人差し指見て。
 えっ?

成否

成功


第1章 第6節

 神意によって破壊された再現性アーカムも、君達、特異運命座標のおかげで元の姿を取り戻しつつあった。数週間、数か月掛かるかはわからないが、きっと、古き良き街は昔よりも良い物になるだろう。尤も――誰にとって、何にとっての『良い物』かはその時になってからしか知れないが。

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