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シナリオ詳細

<ラケシスの紡ぎ糸>再び来る声

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<ラケシスの紡ぎ糸>再び来る声
「明日、世界が滅亡しますです。
 あ、嘘です。明日じゃないかも知れませんが、近い将来、世界は滅亡するでごぜーます」

 混沌世界に生きるイレギュラーズ達が、幾度となく耳にした言葉。
 その言葉を具現化するかの様に、混沌世界各国において様々な事件が多発している昨今。
 『晶竜封殺』火野・彩陽(p3p010663)が訪れるのは、先日終焉獣と、大樹の憤怒が暴れた深緑に拡がる迷宮森林西部メーデイア地区。
 焔を伴う獣等が現れ、この地区を訪れし人々に次々と被害を及ぼした恐怖の存在。
 イレギュラーズ達のおかげでその被害は最小限に抑えられたとは言うものの……未だにその原因は不明。
「……さて、と。今の所は……と」
 周りを見渡し、状況を確認している限りは……平穏を取り戻している様に見える。
 でも……何かは良く解らないが、何か……ココロはざわめく。
 ……そして調査を進めて行く中で、大樹に手を当てて……何故かないている少女を発見。
「……ん、どうしたんや?」
 と、そんな少女に向けて声を掛ける彩陽に、少女は。
『ファルカウが……怒ってるの。怖い、の……助けて、って……』
 苦しそうに零すその言葉は……まるで森の言葉を代弁するかの如く。
 そんな彼女の頭を……そっと撫でる彩陽。
「……大丈夫。俺達イレギュラーズが、必ず解決してやるから、な」
 と、その瞬間。
 遠くの方から響きわたるのは、怒り、苦しみが含まれた苦しみの咆哮なのであった。


「という訳や。どうやら未だに大樹の憤怒達は、収まっていない様でな……皆の力を貸して欲しいって事や」
 深緑首都に戻り、急ぎ皆に声を掛ける彩陽。
 彼の話によれば、再び深緑の迷宮森林西部メーデイア地区に、大樹の憤怒と思しき咆哮が鳴り響いたとの事。
 彼により周囲の人々は避難させては居るものの……避難させている最中も、怒りの咆哮は様々な所から響きわたっていたと言う話。
 更にその怒りは……森と心を通わせた少女からすれば、ファルカウが怒っているという話。
 それが真実かどうかは解らないけれど……あの少女の涙は、嘘ではない……そう直感で感じた訳で。
「ファルカウが何故に怒ってるのかはわからんけど……でも、収めない訳には行かんやろ?」
 口調は軽いものの、その言葉は真摯そのもの。
 深緑の森が怒っている……その真実を探る為にも、再来せし『大樹の憤怒』を収める為に、イレギュラーズ達は三度迷宮森林西部へと赴くのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 どうやら『大樹の憤怒』は、『ファルカウ』の憤りが具現化した姿、の様です。
 何故にファルカウは憤っているのでしょうか……。

 ●成功条件
  深緑迷宮森林西部の『メーデイア地区』にて暴れる脅威を収める事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  迷宮森林西部メーデイア地区の傍らが舞台となります。
  人通りは少し多いエリアですが、既に避難済みなので、一般人はおりません。
  ただ、一般人が居ないのを良い事に、大樹の憤怒だけでなく、様々な獣達が姿を表し我が物顔で暴れている様です。
  出来る限りその地の被害を収めた上で、脅威を収めて頂けるよう尽力頂ければと思います。

 ●討伐目標
 ・終焉獣の様な、獰猛な終焉獣の群れ
    『三つ首の狼』の様な獣達です。
    獰猛、仲間との連携を咆哮を通じて行い、相互に連携して行動します。
    又三つ首からそれぞれ攻撃を行う為、常に3回行動が可能です。
    幸か不幸か、その数は少ない様ですが……獣故にとても素早いので、回避率も高く先手を取られる可能性が高いでyそう。

 ・怒りを孕んだ『大樹の憤怒』
    姿は熊です。
    炎をその爪に顰めており、攻撃時にその炎を使用し、魔法剣の様な形を取ります。
    更に体力はとても高くしぶとい相手です。
    逆に行動順は遅く遅いので、最後に攻撃する……という方針を採ります。
    一体のみではありますが、強力な相手なのは間違いありません。

 ・この地を漂う森の精霊の『ノーム』達。
    本来ならば穏やかで敵対する筈の無い森の精霊ですが……何故か狂暴化しています。
    森の精霊故に木葉を回して視界を奪ったり、仲間達を森の力で癒したり、と後方支援系の行動を取ります。
    大きさはとても小さく、攻撃が当たりづらい様です。
    ただ、彼らは憤怒と終焉獣を倒せば、その場から逃げる様なので、無理に倒す必要はなさそうです。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <ラケシスの紡ぎ糸>再び来る声完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年11月13日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
八重 慧(p3p008813)
歪角ノ夜叉
マリカ・ハウ(p3p009233)
冥府への導き手
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
変わる切欠
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女
火野・彩陽(p3p010663)
晶竜封殺

リプレイ

●再来の声は
 世界滅亡の言霊を聞いた、イレギュラーズ達。
 長い年月を経た今に突如として起こり始めたのは、正しく世界の終わりの如き数多の事件。
 ……そしてここ、深緑の地においては、暴れ回る大樹の憤怒が人々を苦しめているという話……警戒に当たる『晶竜封殺』火野・彩陽(p3p010663)が仲間達の元に持ち込んだのは、終焉獣と大樹の憤怒……更には森を護るべく存在である精霊の『ノーム』が暴れているという惨状で。
「三つ首の狼と大樹の憤怒……それに加えて、ノーム達もか……」
「ええ。また、なのね……ルシェたちは、ファルカウの怒りを……」
 『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)に、唇を噛みしめるのは『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)。
 大樹の怒り、という事は、ファルカウの怒りでもある訳で……この深緑に棲まう者達にとって、色々と思う所はある。
 ……とは言えども、怒りの儘に暴れし大樹の憤怒を放置すれば、この迷宮森林地域だけの被害では収まる筈が無い。
「ほんまやね……何に対して怒っているんやろうか。何に対して悲しんでいるのだろうか。その気持ちを汲み上げて理解する事が出来ない自分に歯がゆさを感じて仕方が無いわ」
「そうだな。今回の件には大樹の憤怒が関わっている上に、終焉獣も現れたと来ているのか?」
「ああ。そろそろ原因狼の飼い主である魔種を見つけて、首を掻っ切りたい所だが……その尻尾も掴めていない。更に結局大樹の憤怒の事も解らずじまいだからな……くそっ……」
 彩陽に『滅刃の死神』クロバ・フユツキ(p3p000145)は天を仰ぎ、サイズは舌打ちをしてしまう。
 それ程に今、世界を取り巻く状況は急峻であり、様々な国で立て続けに起きている状態である。
 ……だが。
「ま、裏に隠れている理由が何であれ、だ……目の前に助けを求める人が居るのならば、迷わず手を伸ばす。その先に何が待って居ようとも、奇跡ってやつが全てを丸く収めると信じて、今迄だってそうしてきたんだ。憤怒上等、満足いくまでファルカウに付き合ってやろうじゃねぇか」
「そうっすね。俺は庭師なんで、植物ってのはなじみ深いっすし、好きなんすよ。そんな植物が、怖いとか助けてってのを言ってきたんでしょう? そりゃ、ほっとけませんよ」
「ええ……彩陽様からの救援要請……僕がお力添え出来るのならば、と……馳せ参じさせていただきました。ファルカウの怒りは収まらず、深緑の人々の生活は脅かされ続けていますし、更にノームまで……ファルカウの怒りに感化されてしまったのでしょうか? 早く原因を突き止めて、対処出来るといいのですが……」
「ん……感謝や。ま……ノームも終焉獣も、大樹の憤怒にもまずは落ちついて貰わんと……その為にも、やる事やるしかないよな」
 『鳥籠の画家』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)、『歪角の庭師』八重 慧(p3p008813)、『その毒は守るために』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)の言葉に、背中を押された彩陽はぐっと拳を握りしめる。
 そしてそれにクロバが。
「……そうだな。未だ根源を特定出来て居ない。だが、目の前で起こされている事象に目を瞑る気はさらさらない」
 と言うと、それにキルシェも。
「……そうね。弱気なことを言っちゃダメなのよ! ファルカウが怒ってる理由と、怒りを収めて貰うためにはどうすれば良いか、必ず見つけ出すんだから! 今はファルカウが怒っている事をちゃんと受け止めるのよ!」
「ああ……降りかかる火の粉は払わせて貰おう。文字通りにな」
 深緑に棲まう者として、ファルカウに纏わる者として……それぞれの立場は様々ながらも、この事態を解決したいという意思は間違い無い。
 そして……そんな仲間達の言葉を、静かに聞き続けていた『ネクロマンサー』マリカ・ハウ(p3p009233)は。
「……道化役の私にはお似合い、ね……」
 たった一言、誰へという訳でもなく……その言葉だけを紡ぎながら、仲間達と共に先へと急ぐのであった。

●分かつ炎雷
 そしてイレギュラーズ達は、迷宮森林西部メーデイア地区へと辿り着く。
「こっちや!」
 と、彩陽が仲間達を先導し、木々を乗り越え先を急げば……既に避難も済んでおり、周囲の一般人は既に居ない。
 だが、そこでは。
『グゥゥゥ……オオオオオゥゥゥ……!!』
 と、獰猛な獣共の咆哮が、恐怖心を煽るかの如く、ずっと、ずっと響きわたり続ける。
「……怒っている……のでしょうか……?」
「うん……怒ってる。私達を……拒否しているみたい……」
 そんな鳴き声を聞いたジョシュアとキルシェ……その声に、胸が締め付けられるような、そんな感覚を覚える。
 だが、そんな声を出すという事は、自分からその場所を知らしめている事と同義。
「……こっちか」
「ああ……」
 クロバに頷くサイズ……悲壮なる声に負ける事無く、道を進む。
 ……そして、また再び。
『グゥ……ウウウウアアアア……!!』
 と、先程よりも一層強く、大きな声が響きわたり、イレギュラーズ達を威嚇。
 イレギュラーズ達の来訪を拒否するかの様に、離れろ……と言う様にも聞こえる。
 ……でも、その声に怯む事無く、更に進んで行くと。
『……サレ! クルナ!』
 とても小柄で、可愛らしい声を上げる者達。
 それは明らかにノームであり……その後方には、熊と三つ首の狼達が、涎を垂らしながらイレギュラーズ達をギロリと睨み付け、足元を掻く。
 いつでも飛びかかれるかのような、そんな体制を取る敵陣容……それに。
「なんで怒って……いや、あなた方は、『何を恐れて』いるんすか?」
 と、敢えて慧は、ノーム達にシンプルな問いを問う。
 だが、ノームは。
『ウルサイ! クルナ!!』
 と、怒りの声を上げて、その手を掲げて精霊の力を発動。
 周りの木葉を、まるで竜巻の如く巻き上げて、イレギュラーズ達の視界を奪う。
 ただ、そんなノーム達の反応に慧は。
「対話拒否、と言うよりは、何かに突き動かされていて、言わされている様な感じっすね……恐らく、終焉獣と大樹の憤怒が居るから、それに突き動かされている様っす」
 と言うと、それにジョシュアが。
「やはり……何処かから、森を燃やした事を怒っている、とは少し聞き及んではいますが……助けを求めてもいるのですよね? 話して貰えないのは、彼らが人を信用出来ないから、なのでしょうか……?」
 と小首を傾げる。
 勿論その言葉にも、目立った反応はない狼と熊。
 更にそこにキルシェも。
「ファルカウもみんなも……怒って森に棲まう人達を傷付けるのなら、その怒りはルシェたちにぶつけて! 怖いのなら、何が怖いのか教えて! その先に何が待って居ようとも、ルシェたちは受け止めるから! だからお願い、返事をして……!」
 精一杯の気持ちを込めて、訴えかける。
 しかし。
『……グガア!!』
 狼の群れと熊は、躊躇する事無く、一気に攻勢を開始。
 左から、右から……イレギュラーズ達に向けて一斉に攻め込んでくる。
「来るぞ」
「仕方ないな……!」
 状況を伺っていたクロバの声に、咄嗟にベルナルドがその場に保護結界を張り巡らせる。
 更に、二人よりも一歩先に踏み出したのは……マリカ。
 熊と狼両者からの攻撃を、その身に引き受け……かなりの傷が抉られる。
「っ……」
 くぐもった声が漏れるマリカ……だが、決して引き下がる事は無い。
「マリカさん!?」
 とキルシェの言葉に返さず、マリカは。
「来い。私を殺して、怒りを沈めろ」
 と、静かに告げる。
 単なる挑発の言葉……ではなく、心底から自分へのヘイトを集めようとする、その言霊。
 当然、両獣はマリカに、明らかに狙いを定め始める。
「流石にこの数を一人じゃ無理だ……俺達で狼を引き付けるぞ!」
「了解っす!」
 ベルナルドの言葉に頷いた慧は、マリカのサイドから前線を引き上げて狼達に対峙。
 己に聖なる鎧を降臨させると共に、その内から噴き上がる焔を噴出させて一撃を食らわせる。
『グルゥゥゥ!!』
 攻撃された狼の一部が咆哮を上げ、更にその周りのノーム達も。
『ハムカウナ!』
『ファルカウ、キズツケルヤツ、ユルサナイ!!』
 明らかに慧の焔へ過剰反応を示して反撃を開始する。
「……ノームさん……」
 そんなノーム達に、悲しそうな表情を向けるキルシェ……それにサイズが。
「キルシェ。今は覚悟を決めるんだ! 良き隣人であっても、彼らからすれば俺達は敵なんだ!」
 その言葉は理解出来るものの、心の何処かで拒否したい、と思うキルシェ。
 彩陽が、その肩を軽く叩き。
「……大丈夫やて。終焉獣だけを……叩けばいいんや」
 ニカッ、と笑みを浮かべると共に、ノーム達を殺すのではなく、動きを止めるための攻撃で介入する。
 ノーム達は怒り、こちらは彩陽に向けてターゲットを集中。
 一撃はそこまで痛いものではないけれども、数が数故、みるみる内に体力が削られて行く。
「いや、うん。攻撃喰らったらしんどいね」
 でも、その苦しみを表情には出さない様に耐える彩陽。
 そんな仲間達の傷に……キルシェは。
「……うん。負けないわ! ルシェが立っている限り、誰も倒れさせないんだから!」
 迷いは覚悟へ、その強い意志と共に、仲間達の回復に全力を尽くすキルシェ。
 ノームは彩陽、狼は慧、そして……熊にはマリカが対峙し、足止めに全力を尽くし、削られた体力はキルシェが回復。
 そして。
「兎に角、先ずは終焉獣を狙う……奴の後に怒りを収めるぞ」
「了解だ。さぁ、素早さ勝負なら負けねぇぜワンコロども!!」
 クロバに頷きながら、ベルナルドが素早い動きで先陣を切り拓く。
 加速された動きで以て、混沌たる汚泥を唸らせ、狼達を飲み込ませて、その動きを鈍らせた所にジョシュアが。
「素早いのならば、狙い済ました一撃を……放ちます」
 と追撃する一閃で、威力は弱いものの確実に体力を削る。
 更にクロバは。
「蜂の巣になって貰うぞ」
 と、冷酷な言葉を吐き捨てつつ、多段攻撃で以て動きの速い狼の移動する先を狙い撃ち、そしてサイズも。
「もう何度も闘っているんだ。お前達に苦戦している訳には行かない!!」
 今迄の数多の終焉獣との闘いの経験を活かし、魔刀のビーム砲で一刀両断の一閃を貫く。
 そんな終焉獣を相手にする仲間達の猛攻の一報で、彩陽とマリカはノームと大樹の憤怒を足止めし続ける。
 ノームはどうにかできるものであろうとも……流石に大樹の憤怒の怒りは留まる事は無い。
 キルシェが完全に回復に傾注したとしても……全てを埋めるには足りない。
 ……でも、マリカは一人で憤怒の攻撃を引き受け続け、他者に渡す事は無い。
「さぁ……憂さ晴らしをしたいのなら、私でその欲を満たすがいい。それが……私にとっての『贖罪』なのだから」
 仲間達には聞こえないように、憤怒に向けて言い放つ。
 それが憤怒の更なる怒りを買ったとしても……まるでマリカを嬲り殺しにするかの様な敵の勢いに、膝を突きそうになったとしても、決して挫けることはない。
「余り時間は掛けられないっすね……急ぐっすよ!」
 その状況を横目にした慧が、仲間達を急かし……狼討伐に全力を挙げる。
 そして……それから十数刻。
 素早い三つ首の狼達の、最後の一匹に……トドメを刺すと共に。
「こっちは完了っすね! さぁ皆さん、マリカさんの所に急ぐっす!」
 とすぐに踵を返し、マリカの元へ。
 ボロボロになっているマリカの間に割り込むと同時に、クロバが。
「お前らの怒りには、ある程度の見当は付いている。過ちは俺等にあるのだろう。だが、それで俺達が譲歩出来ることもする事も存在しない。受け入れた上でお前等を向き合う。闘うのならそうするのみだ」
 と、努めて冷静に言い放ち、烙印の力を己に流入させて力を増幅させ……渾身の斬撃を叩きつける。
 その一閃こそ、憤怒の身にざっくりとした傷痕を遺すが……それでも未だに焔の爪を、苦しみと悲しみの声を含みながら振るい続ける。
「……苦しいのでしょう、悲しいのでしょう……ですが、僕達も、ここで負けられない理由があるのです」
「そうだ。すまないが……倒させて貰うぞ!」
 ジョシュアとベルナルドの贖罪の言葉が投げかけられると共に……二人の息のあった連続攻撃。
 巨躯たる熊の身にベルナルドが深い深い傷痕を刻み込み、更にそこからジョシュアが猛毒を注ぎ込む。
『グガァ……!! グルゥ、ゥウゥアアアア……!』
 苦悶に呻く大樹の憤怒……その一閃が、マリカに強く命中。
 刻まれた傷を抑えながらも、やはり道を開く事は無い……そして。
「罪状をゆるせとは言わない。ただ、その行いは逆に己の傷を深くするだけだ。森の隣人としてそれを許せる程、俺もお人好しではない」
 最後通牒のクロバの声が咆哮の中に響きわたり……憤怒は森を震わす絶叫と共に、その場から崩れ去って逝くのであった。

●年月を経て
 そして……。
『ニゲロ! ニゲロ!!』
 大樹の憤怒を倒すとすぐに、その場から蜘蛛の子を散らすかの様に逃げ去っていくノーム達。
 ……全て居なくなった後には、ただただの静寂だけが残る。
「……取りあえず終わった様やね……ああ、マリカ、大丈夫か?」
 息を吐くと共に、マリカに駆け寄る彩陽。
 それにマリカは、と言うと。
「……心配しなくていい。後は……任せる」
 とぶっきらぼうに答えると共に……その場からそそくさと去って行ってしまう。
 キルシェが心配そうに視線を配すも、彼女は振り返る事も無い。
 ……そして。
「……取りあえず、怪しい物が無いかを調べるとしよう。そろそろ未知の物を見つけられると良いんだがな」
 とサイズは仲間達にその場を任せ、飛行すると共に怪しい物、所がないかを上空から広く探す。
 その一方で、ベルナルドは。
「……良し。ならこっちは壊れた物の補修でもするとするか。不安で苦しんでいる人の心を、一人でも多く救いたいしな。幸せを分けて上げたいんだ」
 と言うと、それにクロバも。
「そうだな……この辺りの住人が安心して元の生活を送れるように、壊れた物品を修理するとしよう」
 と頷き、二人は壊れた物品の修理に駆け巡り始めると、それを手伝うジョシュア。
 そして……残りし慧は、大樹ファルカウを構成する幹の根の下へと赴き、手を当てる。
「どや? 何か解ったんか?」
 と彩陽が問い掛ける。
 ただ……慧は暫し耳を傾けるも、ファルカウの方からの言葉は……聞こえない。
「……聞こえないっすね。少なくとも話す意思は感じられないっす」
 首を振る慧に、そか……と肩を落としながら彩陽が。
「ファルカウは、何に怒ってるんやろ。それが解らんのがなー……その辺教えてほしいな、とは思うんやけど……」
 話す意思のない、ファルカウの大樹。
 ただ……暫し意思疎通を試み続けていると、怒り、悲しみ、寂しさ……そんな、様々な感情を、うっすらと感じた慧。
「……」
 幾つもの感情がごちゃ混ぜになった、そんな大樹の心の欠片に……言葉が上手く出て来なかった。

成否

成功

MVP

八重 慧(p3p008813)
歪角ノ夜叉

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂きありがとうございました。
大樹の憤怒の心の一片は、少しではありますが見せてくれたようです。
その真意に近づく為の切っ掛けは……皆様がどう考えるかによるでしょう。

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