シナリオ詳細
<伝承の旅路>勇者進水GC:想いよ重なれ、力となりて
オープニング
●境界希望合体
魔法使いターニターヴェは言った。
「『願い』を集めるのだ! 『想い』を重ねるのだ! この世界では不可能とされた合体――境界希望合体を完成させるために!」
IFの異世界プーレルジール。
魔王をはじめ四天王は終焉獣が寄生した存在であった。それぞれの名は混沌でも耳にしたことのあるものだったが、大きく違った存在だったのだ。
それは勇者たちも然り。旅人の直接召喚されないこの世界においては、登場人物こそ同じでも出自や存在が大きく異なっているのである。
彼ら魔王たちの目的は混沌へと渡ること。
そして終焉獣である以上はこの世界を踏み台にして混沌へと至り更なる滅びを齎すことだろう。より率直に言えば、滅びのアーク大量流入、はたまた魔王軍の混沌侵攻という異常事態を招いてしまうのだ。
この世界の魔王軍を叩くと言うことは、それ即ちプーレルジールの平和を守るだけでなく、自分たちの住まう混沌世界をも救うことに繋がるというわけだ。
魔王たちが混沌側を知っているというのは、何らかのアプローチあってのことだろう。そうでなければ混沌を、ましてやローレットを知っているはずが無いのだから。
……そんな中で、カイト・シャルラハ(p3p000684)はこの世界に存在するペンドラゴン一族を、三鬼 昴(p3p010722)は黒いグッドクルーザーが出てきた遺跡を、そして鵜来巣 冥夜(p3p008218)は魔法使いターニターヴェへのコンタクトをとることに成功していた。
「つまり、この世界でもグッドクルーザーは作られていた……と?」
冥夜の発現に、魔法使いターニターヴェはムウと唸る。細くしなやかな刀を想わせる老人で、目尻の皺には深い歴史が刻み込まれているように見えた。
「厳密には、違う。古代遺跡の力を利用し、合体機能を搭載したゼロ・クールを完成させる……それが私の目標だった。今ここに立っているゼロ・クール『ヒェルノ』はその失敗作にすぎん」
自らを失敗作と言われつつも、ヒェルノは涼しい顔をしている。
「つまり、あの古代遺跡と『黒い人形』はそのプロトタイプだったというわけか」
昴は彼らがダーククルーザーと呼んだ人形のことを思い出す。
「ああ……この世界は滅びの気配に飲まれすぎていた。遺跡の力も、やはり滅びの力に汚染され、合体を試みたゼロ・クールはあのありさまだ。もはや動くこともないと思っていたが、もしあのとき止めてくれていなければ……悲しい破壊をくり返す兵器となってしまっていただろうな。
ペンドラゴン一族についても調べてくれていたのだろう?」
ターニターヴェの問いかけに、カイトがこくりと頷く。
「ああ、『船長』の馴染みの貴族さ。混沌に存在するな。けどこっちの世界じゃ……ずっと前に滅んでいた。遺跡が滅びの気配に汚染されてたってのも、わかる話だぜ」
「だが」
と、ターニターヴェは続けた。
「希望がないわけではない。いや、希望はかの星の少女ステラがもたらしてくれた」
「ステラさんが? それはまさか……!」
がたりと身を乗り出したのはグッドクルーザーだ。
海洋に存在した古代遺跡から目覚め、魔を払うという記憶(使命)のみを持ったレガシー・ゼロ。その境遇はどこかゼロ・クールたちにも通じ、実際、同じようなことが行われていたと知った。
そして今……グッドクルーザーは『死せる星のエイドス』を取り出した。
「希望の戦士イレギュラーズ――当機は彼らと共にこの世界を見つめ、そして知りたいと、そう言っていましたね。
当機は知りました。この世界を覆う闇を。美しい星空を。魔法使いや人形たちの想いを、そして……勇者や魔王たちの存在を」
ぎゅっとエイドスを握りしめる。
「ターニターヴェさん。その希望とは、『これ』のことですね?」
問いかけるグッドクルーザーに、ターニターヴェは頷きをもって返した。
「そうだ。その奇跡の可能性を引き上げるアイテム『死せる星のエイドス』を使うことで、本来不可能とされていた合体……境界希望合体が可能となるだろう」
目指すは『サハイェル砂漠』に存在する古代遺跡リバ。
勿論目的は魔王城を目指すための旅だが、その道中にその遺跡は存在している。
「リバには今だ汚染されていない古代兵器が眠っているはずだ。その名もランドクルーザーこれを用いることで境界希望合体を成功させることが可能になるかもしれない」
「ですが――」
そこで口を挟んだのはヒェルノだった。
「その遺跡は今、星界獣によって占拠されています。
遺跡の力を喰らった星界獣たちがゴーレム型に進化し、斥候に行ったゼロ・クールも襲われたと」
「ああ、その通りだ。遺跡の力を使うにはまずは星界獣たちをある程度倒さねばならないだろう。ある程度まで倒せれば、あとはヒェルノが遺跡へ入り合体プロトコルを実行してくれる筈だ」
「要は敵を倒して時間を稼げばいいわけだな」
「分かりやすくていい」
カイトと昴が笑い、冥夜もそれにつられて笑みを浮かべた。眼鏡にスッと指をあてる。
魔法使いターニターヴェは言った。
「『願い』を集めるのだ! 『想い』を重ねるのだ! この世界では不可能とされた合体――境界希望合体を完成させるために!」
- <伝承の旅路>勇者進水GC:想いよ重なれ、力となりて完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年10月26日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●もうひとつの勇者伝説
古代遺跡リバの上空を旋回飛行する『鳥種勇者』カイト・シャルラハ(p3p000684)。
「どの世界でも遺跡ってのはワクワクするよな! いざ冒険!」
さて敵はどこかなと見回してみると、確かにゴーレム型星界獣うようよといるのが発見できた。
「これは、お宝探しは後回しだな。とにかく皆と合流だ」
そう行って、カイトは低空飛行状態へと移るべく高度を落としていくのだった。
「境界希望合体……よもやその様なシステムがあるとは。
これはエルフレームシリーズに転用できるだろうか。
エイドスの力を使えば、或いは。
今はとにかく、同胞を脅かす存在を破壊する方が先だな。
魔を払うという使命、俺も同じだ。ならば、使命を果たすとしよう」
ふむ、と口元に手を当てて何事かを考える『死神の足音』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)。
ヒェルノはそんなブランシュに苦笑した。
「リバの遺跡にあるシステムはグッドクルーザーに対応したもの。他のレガシーゼロには適用できないだろう。だが、ロマンをもつのはいいことだと思うぞ。エルフレームシリーズというのは知らないが……合体、できるといいよな!」
「ふむ、合体とな。搭載でも連結でもないと……」
物珍しいという感じで唸る大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)。
「武蔵には馴染みのない単語であった。遺跡の力によりそれが可能になり、脅威も排除できる、まさに一石二鳥だな」
「そういうことだ。とはいえ、奇跡頼りの一発勝負だからなあ。魔王軍に対抗する力って程にはならないんだが」
苦笑を深めるヒェルノに、なあにと武蔵は胸を張る。
「何事もやってみなければ分からぬもの」
「確かに。せいぜい今を楽しむとするかね」
境界希望合体。それは本来不可能だと思われていたはずの合体を可能とする神秘のシステム。
『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)は説明を一通り聞いて、フッと小さく笑った。
「境界希望合体ねぇ……古代遺跡を攻略することでグッドが更なる力を得られるってのなら良いんじゃない?
ボクも協力は惜しまないよ。
ふむ、成程……境界希望合体か……想いを束ねた力、滅びに抗い立ち向かう力か……うん、良いね♪ こういうのは嫌いじゃないよ」
響きも内容も、どうやら気に入ったらしい。
「確かに、滾りますね! こういうのは!」
『無限ライダー2号』鵜来巣 冥夜(p3p008218)がグッと拳を握る。
「グッドクルーザーさん、共に頑張りましょう!」
「はい、希望の戦士冥夜……いいえ、『無限ライダー2号』さん、でしたか!」
グッドクルーザーの言葉に、冥夜は深く頷いた。
そんな風景を眺めながら、ちょっぴり感動する『芽生え』アルム・カンフローレル(p3p007874)。
「わぁ〜! 格好いい! 大きなロボ!
あ、ちがう、えっと……よろしくね、グッドクルーザー君」
「はは。ロボで間違いありませんよ。希望の戦士アルム。こちらこそよろしくお願いします」
さしだした手は大きく、それをアルムは握り握手を交わした。
「状況は理解した」
『修羅の如く』三鬼 昴(p3p010722)が腕組みをして隣に立つ。
「魔王の混沌侵攻を阻止するためにも。
共に戦おう、グッドクルーザー!」
「はい、希望の戦士昴! 私もこの世界に降り立ち、暮らす人々を見ました。
この世界にも生活があり、人生がある。生きている人たちがいる。ならば……当機はこの世界をも守りたい。そう思えるのです」
「どこであろうと、たとえ世界が変わっても、想いと願いは変わらない……か」
『よをつむぐもの』新道 風牙(p3p005012)がニカッと笑う。
「『人の世に仇為す『魔』を討ち、平穏な世を拓く』――!
それはお前も同じだよな、グッディ。お前の想いと願いは。
さあいこうか。『勇者』をはじめようぜ!」
「そうですね……私達もまた『勇者』の名を与えられたもの。共に戦いましょう!」
●ヒェルノの確信
古代遺跡リバのシステムをヒェルノが起動し境界希望合体を実現させる。
そのためにはヒェルノのための時間が必要であった。
無論遺跡に踏み込んできた彼らを、占拠している星界獣たちが許すはずはない。
戦いが、始まろうとしている。
空に打ち出される無数の生体ミサイル。空中で爆発をくり返すその群れを、カイトは凄まじい飛行テクニックでかわしながら突き抜けて行く。
「ミサイルだろうがビームサーベルだろうがファンネルだろうが味方の攻撃だろうがひらりひらりと避けきってやるぜ!」
有言実行。カイトは星界獣の繰り出すビームサーベルを凄まじい空中制動で回避すると『熱血の赤翼』を拡散。周囲の星界獣に【怒り】の付与を試みるとそのまま更に回避を続けた。
低空飛行状態のまま敵の攻撃を華麗に回避し続けるカイト。そこへ突撃していくのは風牙だ。
彼は隕石の鉱物から作り出されたといわれる槍『烙地彗天』をぐるりと回転させると、星界獣の一体めがけて『鳳凰飛天』の技を繰り出した。
突き刺した槍から解放される気の力が爆発し、星界獣を吹き飛ばしその後方にいた星界獣たちまでもを吹き飛ばしていく。
「ヒェルノが遺跡の力を目覚めさせるまでの間、遺跡を敵から守ればいいんだよな。任せろ、一体たりとも近づけさせるかよ!」
至近距離までもどってきた星界獣が風牙を切断しようとビームサーベルを展開。大上段から斬り付ける――が、風牙は素早い身のこなしによってそれを回避。反撃にくりだした槍によって星界獣を切り裂いた。
そこへ更なる攻撃を加えるアイリス。
――剣禅一如『千紫万紅』。無念無想、無我の境地に至りし刃より繰り出される極技が一つ。
放たれた閃きは星界獣たちだけを真っ二つに切裂き、爆発を起こさせる。
そんなアイリスを脅威とみてか、星界獣が肩のミサイルポットを開いて砲撃を開始。
大量の眼球がぎょろりと開くと、アイリスを見据えて飛び出した。接触と同時に爆発をおこす生体ミサイル郡。しかしアイリスはそれを次々に刀で切り落とし、駆け抜けることで回避していく。
そして繰り出すは、剣禅一如『落椿』。スパンと相手の首を切り落とし、爆発する星界獣を背に刀を納めた。
「グッドクルーザーさん、私の後ろに!」
冥夜は眼鏡にスッと指を当てると、片手でスマートホンを操作。アプリケーションの画面にスワイプ操作でコマンドを打ち込むと呪術を高速起動した。
広い範囲に対して【怒り】を付与する呪術である。
彼に注意を向けざるを得なくなった星界獣たちがビームサーベルを腕から出現させ、斬りかかってくる。
それらをくらいつつも無事でいるのは、アルムが後方から治癒の魔法をかけ続けているためだ。
「集中攻撃に気をつけて! ……ってうわ! またきた!」
冥夜を狙って生体ミサイルが殺到。
大爆発が起こる――が、冥夜は呪力の結界を展開したまま無事。これもまた、アルムがカウンターヒールによって治癒したためである。
「しばらくはカウンターできるけど、ずっとは無理だからね!」
「充分です!」
冥夜は密集する星界獣たちの間を抜けて走ると、アプリにスワイプ操作で別の呪術を展開させた。
ぐわん、と星界獣たちの足元に方陣が出現し、穢れた泥が湧き上がる。
それをあび動きを鈍らせた星界獣たちにくらわせるのは、勿論――。
「三式弾――用意!」
地面にアンカーを打ち込んで体勢を固定した武蔵が背負った砲を動かす。九四式四六糎三連装砲改。その砲身が星界獣へと向けられ、砲撃が……放たれる。
と同時にグッドクルーザーもまた肩に背負ったビームキャノンを用いて砲撃。
密集していた星界獣たちが砲撃をくらって派手に吹き飛んでいく。
爆発の向こうから更に星界獣の群れがあふれ出すが、武蔵は既に次の装填を終えている。
「数で攻めても無駄だ。こちらは不沈艦。武蔵であるぞ!」
高角砲や機銃を用い対空近接防御を開始。迫る星界獣たちが次々に爆発を起こして倒れていく。
「ビームもミサイルも、俺の速さの前では置き去りに出来る。遅いんだよ。そんな物ではな」
一方のブランシュは、凄まじい速さで衝撃波を放ったと思ったら星界獣たちが反撃のミサイルをうつ暇すら無く爆発させていた。
『アイコノクラズム』という、スピードに任せて衝撃波をまき散らす必殺の一撃だ。
後手に回った星界獣がブランシュを落とそうとビームサーベルで斬りかかるが、展開する四つのソードビットがそれを防御。
振り返ると同時に腕を振り抜き、衝撃波を再び放った。
ドッという衝撃と共に星界獣の身体がひしゃげ、そして爆発していく。
「頑強なボディらしいが――」
昴はその拳でもって星界獣のボディを貫いた。
「鍛え上げた筋肉の前では意味を成さない。むしろ、己を縛る重い箱となったな」
防御や回復を仲間に任せ、次々と拳を繰り出していく昴。
その拳は見事に相手の装甲を貫き、爆破させていく。
そんな昴を倒そうと囲み始めた星界獣たち――だが、ボクシングスタイルをとって素早くステップを踏んだ昴は全方位に向けて次々と拳を繰り出していく。
頑強なゴーレム型星界獣たちでさえも、昴の筋肉の破壊力を前にしては紙装甲と言わざるを得ないようだ。
と、そこへ。
より強大な星界獣が姿を見せ始めた。
巨大な竜を摸したような星界獣や、巨人を思わせる星界獣。更には巨大な獣を思わせるものまで様々だが……。
「準備ができたぞ! 合体だ!」
ヒェルノの叫びが、こだました。
●境界希望合体
「この世界は俺らの世界と似てるんだけど、やっぱ別物なんだよな。
だから、この世界のやつらは俺らの世界と同じぐらい懸命に生きてる。なら俺も全力で戦わないとな。
それに、そんな世界を守れば新しい空と海を冒険できるじゃねえか! それを逃すだなんてとんでもないぜ!」
いくぜ船長! そう叫び飛び上がったカイトとグッドクルーザーは、紅い光に包まれた。
分解されたグッドクルーザーと遺跡から飛び上がる強化合体パーツたち。
それらが集合したとき、カイトは紅き翼状のエネルギーを噴射する鷹を思わせるフォルムのロボへと合体していた。
「この未知なる海と空を守るために! 『ビッグクルーザー・XZ・カイト』!」
竜型星界獣の放つ大量の生体ミサイルを回避すると、飛行形態へと変形し強烈な突進攻撃を放つ。派手に破壊される星界獣。
「ランドクルーザーか。異世界のグッディに連なる者なのか、あるいはグッディの出自そのものに関わるものなのか……気になるとこだよな。
こいつらを片付けた後、ゆっくり調べようぜ」
風牙はカイトとグッドクルーザー、そしてランドクルーザーが分離するのを見上げると、自らも合体すべく跳躍した。
「いくぜグッディ! この世界でも、勇気と希望の力は健在だって教えてやろう!」
――『ビッグクルーザー・XZ・風牙』!
「悪を貫く光の槍と化せ!!」
巨大な槍を装備したパワードスーツを纏った風牙は、竜型星界獣の翼をとてつもない速さで破壊する。
槍の突きから繰り出される衝撃が頑強な装甲をも貫いて切り裂くのだ。
「俺は幻想の勇者の話も、この世界が幻想と似てることもよく知らなかった。
けど、どんな世界でも滅びに向かうのは黙って見ていられないし、魔王たちや終焉獣が混沌に向かうのも止めたい。
――世界の終焉……今まで、何度も見てきた。
混沌に来る前……何度も、滅びを見て、止められなかった無力を嘆いた……。
……って、俺はなんで急にこんな……はっきり思い出せない……頭が痛い――。
ステラ君のいう「希望」、俺たちがそれを持っているなら……
この世界が消えてなくなるのを止める力が欲しいんだ」
呟き、そして顔をあげるアルム。
「グッドクルーザー君、俺は皆を治す力で、この世界を救いたい!」
「はい、行きましょう! 希望の戦士アルム!」
「「ビッグクルーザー・XZ・アルム!」」
光に包まれ合体した姿は白銀の天使を思わせるロボットだった。
輝く光の翼が広がり、傷付いた仲間たちを一瞬にして治癒していく。その一方で、翼から放たれる閃光が竜型星界獣を貫き崩壊させる。
「私は知りたい。この世界に隠された秘宝種の秘密を。
何故、鵜来巣家は正義であれと宿命づけられたのか。
グッドクルーザーさんやイグニスさんの様な、同じ正義の志を持つ仲間と、輝ける明日を掴みたい!」
遺跡を走り、コアを輝かせる冥夜。
「「ビッグクルーザー・XZ・無限ライダー」」
あえて無限ライダーの力を表出させ合体した冥夜。その姿はまさに無限ライダーのロボット版であった。夜空も嫉妬するネイビーの機体だ。
「加速しろ、俺たちの未来!」
砂時計があしらわれた大剣が、殴りかかってくる巨人型星界獣の腕を切り飛ばす。
「迫りくる滅びを前に人が未来を望むのならボクはその想いに、意思に、立ちふさがる障害を斬り開く刃となるとしよう……征くよグッド。ShowTimeだ」
アイリスは可変式魔導装甲「応龍」を呼び出すと、グッドクルーザー、ランドクルーザーと共に変形合体。
――ビッグクルーザー・XZ・アイリス!
高機動竜人型ロボット。翼を思わせる加速用ブースター翼によって巨人型星界獣へと距離を詰めると、姿勢制御用テイルスラスターで器用に滑走。機械刀による連続攻撃が巨人型星界獣を切り刻む。
トドメに飛び出すブランシュ。
「行くぞグッドルーザー。俺の全てをお前に託す!
この世界を、同胞達が壊れていくのはもう見たくない。
そんな運命は……この俺が、俺たちが破壊する!
俺とのシンクロ率を上げろ!限界まで俺とお前の力を引き出せ!」
分離したグッドクルーザーへと超高速で飛びつき合体したその姿は――。
「「白き騎士、ビッグクルーザー・XZ・ブランシュ!」」
無数のビットが巨人型星界獣へと突き刺さりその動きを封殺する。
「これがタナトスジャマーシステム。俺が辿り着いた破壊の一つ。お前はもう動けない。
さあ、クライマックスと行こうか。
全リミットパージ。ハーデスシステム・アウェイキング。
これが俺の、俺たちの白い一撃(ブランシュ・フレイム)だ!」
全てのビットを集合させて鎌へと変化。ブランシュは豪速で突っ込むと巨人型星界獣をぶった切った。
残る巨大な獣型星界獣を前に、昴が立ちはだかる。
「これまでプーレルジールで様々な依頼を受けてきた。
その原因は滅びの気配を纏い。
件の魔王が元凶であることは間違いなく。
魔王配下も暗躍を続けている。
無法も暴虐も決して許しはしない。
これ以上。
無辜の民が傷つき涙を流さぬように……」
翳した拳に光が宿り、集合したパーツによってその姿が顕現する。
「「ビッグクルーザー・XZ・スバル!!」」
装甲・追加パーツの大部分を右腕に集中させ、全長とほぼ同じくらいまでに巨大化させた右腕を持つその異様な形態。
そこから繰り出されるのは――。
「必殺! プレイアデス・スマッシャーパンチ!!」
巨大化させた右腕から無数のドリルをはやし、ロケットのように発射。縦横無尽に飛び回り巨大獣型終焉獣を穿ち粉砕する。
「今だ!! グッドクルーザーよ!!
この世界が滅びに瀕して尚、抗おうとする者達がいる。
心なしと呼ばれるゼロ・クールもそうだ、そして、彼らに希望を見せんとするならば、必要なのは象徴であり、そして、それは沈んではならない!!」
とどめとばかりにズンと立ちはだかった武蔵。集まったパーツが巨大な戦艦型ロボットを作り上げる。
「「ビッグクルーザー・XZ・武蔵!!」」
主砲が、九四式四六糎三連装砲改が、巨大獣型終焉獣へと砲撃――!
その砲弾が炸裂し、相手を木っ端みじんに吹き飛ばした。
「願いを、誰かに託す者たちがいる。
きっと、弱さ故ではない。
だから、託された願いを、使命を捨てるわけにはいかないと、そう思うのだ」
こうして、遺跡に巣くっていた星界獣たちを撃破することに成功したグッドクルーザーたち。
この世界に残る謎は解かれるのか。暮らす人々の安寧は守られるのか。
それは、皆、彼らの戦いにかかっている。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete
GMコメント
●シチュエーション
古代遺跡リバの攻略にイレギュラーズたちは挑みます。
この古代遺跡は既に星界獣が占拠してしまっており、ある程度のゴーレム型星界獣を倒さなければならないでしょう。
そして時が来たら、皆の想いをグッドクルーザーへと集め、不可能とされていた境界希望合体を完成させましょう!
●パート前半
ゴーレム型星界獣との戦闘になります。
星界獣たちは遺跡の力を喰らい進化した個体で、ビームやミサイル、光の剣といった武装を用いてくるでしょう。
●パート後半
より強大な星界獣が出現しますが、それに対抗して境界希望合体を発動させ戦いに挑みます。
『死せる星のエイドス』を使ったグッドクルーザーに対して『この世界で感じた想いや願い』を込めることで合体が発動します。
皆で次々に合体し、そのパワーでもって星界獣を撃破しましょう!
【境界希望合体】
グッドクルーザーが『死せる星のエイドス』を使用し、希望の戦士イレギュラーズと使命の勇者グッドクルーザーが心を深く通わせることで発動する奇跡の力です。
このシナリオ中、PCは大型ロボットビッグクルーザーRの核として合体することができます。
その際名称が『ビッグクルーザー・XZ(クロスゼット)・〇〇(PC名)』となり、戦闘スタイルも核としたPCを反映したものになります。
どのようなデザインや戦闘スタイルになりたいか、プレイングに書いておくと良いでしょう。
●グッドクルーザー
このシナリオにはNPCグッドクルーザーが同行します
専用のクルーザーを相棒とする正義のスーパー秘宝種ロボットです
今回は一人でプーレルジールの地へと降り立ちました。
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●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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