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シナリオ詳細

<神の門>招かれざる手紙

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<神の門>招かれざる手紙
 天義の巨大都市、テセラ・二バス。
 突如襲い掛かる帳に侵食されてしまい、『リンバスシティ』と称される事態を招く。
 だが、イレギュラーズの力によりて考え得る最悪の事態は避けられた。
 だがしかし……天義の国を狙う『遂行者』の影は、その様な事態であれど収まる事は無い。
 様々な国にその影を表し、騒動を起こし、加えてリンバスシティから繋がりし『神の国』は、各国に似た風景に悪夢の如き事態を引き起こしていた。
 しかしそれらの事態を冷静に、一つ一つ対処してきたイレギュラーズ。
 だが……そこに降るは、『預言者ツロ』の招待状。
 イレギュラーズを『神の国』の『聖女の薔薇庭園』に招こうという物である。
 無論、その招待状の裏に隠された真意は分からない。
 だが、招待状を受け取った数人のイレギュラーズ達は実際に招待に応じ、『聖女の薔薇庭園』を訪れる。
 ただそこより帰還した数人のイレギュラーズ達……その手に残る『招待状』を元に、ローレットは新たなる作戦へ、と舵を切る。
 薔薇庭園に滞在せしイレギュラーズの仲間達……その帰路を確保する為に、リンバスシティと神の国を繋ぐ地へと逆侵攻する事、であった。


「皆さん……大変です……!」
 焦りの表情を浮かべる『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)。
 ギルド・ローレットに集められた君達の下に届けられた報。
 『預言者ツロ』より一部イレギュラーズ達に渡された『招待状』は、リンバスシティから繋がる『神の国』の『聖女の薔薇庭園』へと招きしもの。
 離反を主題にして、この招待状を手に自分から赴いた者も居れば、半ば無理やりに連れてこられた者も居るとは聞く。
 ただ、その地から戻って来た者達からの情報を契機に、ローレットは神の国へと『逆侵攻』を進めようと、急ぎ準備を整えてる。
 だが……当然のことながら、その動きを彼らが想定していない訳も無いだろう。
「戻って来て頂いた方々の情報を元にすると、『リンバスシティ』から『聖女の薔薇庭園』へと向かう事が出来るようです。ですが……恐らく、そこへと向かう道程で、邪魔しようとする者達が現れるのはまず、間違い無いと思われます……」
「今回の目的は……薔薇庭園に居る仲間達を救出する為の道を切り開くこと、です……退路を切り拓く為に立ちはだかる脅威を……どうか、皆様の力で討滅してきていただきたい……と思います」
 そして、最後にルリアは。
「……危険であるのは、間違いありません。ですが……仲間達の為……そして、真意を確かめる為に、力を貸して下さい……宜しくお願いします……」
 と、深く頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 天義を巡る帳の事件も、その事態が大きく動き始めた様です。

 ●成功条件
  『リンバスシティ』から繋がる『神の国』の、『天なる審判』と呼ばれし通路の安全を確保する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はCです。
  情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

 ●周りの状況
  『天なる審判』の地は、荘厳な門とその置くに回廊が繋がる地です。
  先に皆様を苦しめたような『原罪の呼び声』の気配はないものの、『異言を話す者』達が多数わらわらと動き回っている状況です。
  更にこの回廊を警戒するかの様に赤き竜である『幻影竜』と、この地を守る為の四騎士が居るようです。
  特にこの四騎士は異言を話す者達を従えると共に、それぞれ得意とする戦法が違うようです。
  今回皆様の前に現れるのは『赤騎士』で、異言を話す者を『炎の獣』に変化させて嗾けるという行動を行います。
  当然ながら『異言を話す者』よりも『炎の獣』の方が戦闘能力が大幅に高くなる為、その数が増えればかなり不利な戦況になるのは間違いありませんので、ご注意下さい。

 ●討伐目標
 ・異言を話す者共
   普通の一般人達が狂気に陥り、異言を話すゼノグロシアンとなってしまった者達です。
   戦闘能力はそんなに高く無く、特殊能力もありません。
   数がとても多く、いわば数だけが多い『雑魚』敵です。
   とは言えこれが『炎の獣』へ変化すれば、数段戦闘能力が強化されますので、出来る限り早急に倒せるようにしないと不味い事になりますので、ご注意下さい。
 
 ・赤き竜の幻影竜:3匹
    回廊周辺を飛び回り、炎を戦場に吹き散らします。
    基本的に彼らは降りてくる事が無いので、空を飛ぶ能力が無い限り彼らを倒す事は出来ません。
    つまり、常に戦場には炎のバッドステータス効果が及ぼされている状況となります。
    ただ、赤騎士がいなくなれば彼らは撤退するようです。

 ・赤騎士
    赤い装備に身を包んだ『赤騎士』です。
    滅びのアークを操る事が可能で、これにより異言を話す者を『炎の獣』に変えさせてしまう能力を持ちます。
    又、彼自身も皆様と相対出来る位の戦闘能力を持ちます。
    油断せずに、力を合わせて油断を誘い、確実にダメージを与えていく事が重要となるでしょう。

 ・変化せし『炎の獣』
    炎に包まれた獣です。
    炎のバッドステータスを無効化、さらに自分の体力に変えるという特殊な力を持ちます。
    その爪、牙による攻撃は毒の効果を持ち、ジリジリと皆様の体力を削る効果も有るようです。
    尚、こちらについては解除は可能です。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <神の門>招かれざる手紙完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年10月26日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
真打
岩倉・鈴音(p3p006119)
バアルぺオルの魔人
シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)
天下無双の貴族騎士
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星
火野・彩陽(p3p010663)
晶竜封殺
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標

リプレイ

●咆哮激る
 天義に位置する巨大都市、テセラ・二バス。
 リンバス・シティとも呼ばれし地に開いた『天なる審判』を超えた先にありし、『聖女の薔薇庭園』へと招かれた仲間達……彼ら彼女らを救出するが為に、イレギュラーズ達はこの回廊へと急ぎ向かう。
 ……だが、そんなイレギュラーズ達の進路を塞ぐかの如く、姿を表したるは多くの敵の群れ。
『ウウウ……グゥゥゥ……』
『ガァァ……ウグゥアオオアオオア!!』
 言葉で表せない位に意味不明な言語の羅列の呻き声が、様々な方向から響きわたり……苦しそうな声に、少しばかり胸が締め付けられる。
「敵、多いなぁ……」
 そんな呻き声を耳にして、先ずは深く息を吐く『晶竜封殺』火野・彩陽(p3p010663)。
 異言を話す者達、ゼノグロシアンを始めとして、赤騎士によって蝕まれた炎の獣や、宙を舞いし赤き竜『幻影竜』。
 多種多様な敵の群れは全てがイレギュラーズ達を先へと通さぬ様、と命令を受けたかの如く、咆哮を上げて威嚇し、苦しみ、呻く。
 雑踏の如き多いゼノグロシアンの数は、今迄に相手した事のある一団の中では一番多いと言えるだろう。
「あの無数にいるゼノグロシアン達は、拉致されていた一般人の様だけど……でも、赤騎士がいるこの状況は本当に不味いわね……」
「そうですね。神の国、神の門、其処へ進む回廊……赤騎士に、狂気に染まりし一般人と幻影竜ですか……」
 『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)に頷く『夜を裂く星』橋場・ステラ(p3p008617)、それに『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)も。
「オレが知る限りは、異言に汚染された一般人が元に戻るには、異言の異空間を切除した時しかない。だが……今回の目的は、庭園に残った者達の退路と、退却時の安全の確保。よって退却完了までは、この空間の切除をする事は出来ない。そして、安全を確保するのならば、退却時に足止めになる存在も残せないだろう」
 一嘉の言う通り、ゼノグロシアン達をこの空間に押しとどめる為に、この空間への転移を閉じるという方法はある。
 ただそうすれば、『聖女の薔薇庭園』への招待を受けた仲間達の退路を塞ぐ事と鳴り、さすれば見殺しにする事にも通じてしまう。
 勿論希望して招かれた仲間達も居れば、強制的に連れ去られてしまいし仲間達もその中には居る。
 そしてその逃げ道を塞ぐが如く、大量に投入されたゼノグロシアン達……。
「……何が神だ、馬鹿馬鹿しい。狂気で洗脳して嗾け、魔物に変化させて襲わせる。そしてその魔物は時間を掛けると此方を圧殺する……と言う事か?」
 『真打』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)が眉を顰めながら、不快感をあらわにする一方で。
「いやいや、なんか手紙が来て行方不明になっとるよーだが、わたしにゃ薔薇庭園の手紙なんて届いてないゾ! 再配達を要求しマス!!」
 と、やんややんやと『タコ助の母』岩倉・鈴音(p3p006119)が拳を振り上げ騒ぐ……まぁ、それが真意かどうかはちょっと分からないけれども。
 ただ……例え招待されていないとしても、助けたいという気持ちには変わりは無い。
「聖女の薔薇庭園へ戻る為にも、頑張らなきゃ! ルルと話したい事もあるし、残った人達も心配だから! その為にも、こんなところで負ける訳にはいかないね。全力で道を切り開くよ!!」
「そうだな……神の国へ向かう為にも、この回廊の攻略は大事になる訳だ。この貴族騎士、勢いよく道を切り拓いてみせる!」
 『聖女頌歌』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)に『先導者たらん』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)が気合いを入れる。
 そして……。
「……彼らが『討伐目標』とされているのは、つまり、そう言う事なのだろうな。正気に戻るのならば、戻したいのが本音なのだが……やるしかないだろう」
「そう言う事か……なるほど。放置すればロクな結果を生まないタイプ、という事か。ならば……放置しなければいいだろう」
 唇を噛みしめる一嘉、静かに戦意を研ぎ澄ませるアレンツァー、そしてそれに呼応する様に。
「何であれ、関係ありません。拙の邪魔をするのならば、叩き潰すだけです」
「ええ。時間を掛ければ掛けるほどに、彼らは変異させられて助けられなくなってしまうし、此方も戦力的に不利になる……可能な限り早急に奴を仕留めるわよっ!!」
「そやね。……肉壁作った所で無駄だってこと、奴等に教えたろうや。ほな皆、行くで!」
 ステラ、アルテミア、そして彩陽も呼応するかの如く、拳をぐっと握りしめる。
 そしてイレギュラーズ達は、幻影竜の咆哮と、ゼノグロシアン達の呻き声が響きわたる『天なる審判』の地に辿り着くのであった。

●苦戒
『ウウ……アアア……』『グギャウウ……』
 暗い空間に響きわたる咆哮と唸り声。
 その声を聞けば聞くほど、心の奥底から呼び覚まされるかのような……恐怖心。
「取りあえず、あの大量のゼノグロシアン達を相手するとなると、かなり骨が折れる羽目になりそうだな……」
「そうだねぇ……赤騎士は……と」
 一嘉の言葉に頷きつつ、敵陣をぐるりと見渡す鈴音。
 ……すこし薄暗い故に、己の夜目でぐるり、注意深く見渡して行くと……暗闇の中に炎の揺らめく影を発見。
「あ、あそこか。赤騎士発見~」
 ……ゼノグロシアンの群れの少し後方の方に、紅蓮の装備に身を包みし赤騎士を発見。
 ……既にその周りには、炎を身に纏い完全に獣化した者達……恐らくは『炎の獣』が虚空に咆哮を劈き威嚇する。
「普通に行けば、かなり厳しい戦いになるでしょう……ですが、だからといって立ち止まっている訳には行きません。皆さん……薔薇庭園に招かれた仲間達を助ける為に参りましょう」
「ああ……解った。取りあえず先行させて貰う」
 とスティアの言葉に頷いた一嘉は飛行状態をとり、3m程上空へと飛び上がり、ゼノグロシアンの頭上を飛び越えようとする。
 勿論、頭上を飛び越えようとする一嘉を視界に納めたゼノグロシアン達は、どうにかして引き摺り落とそうと足掻くのだが……距離が高すぎる故に、攻撃は届かない。
 しかしながら、それを補完するかの如く……回廊周辺を飛び回りし『幻影竜』達が、空は我が物と言わんばかりに一嘉に向けて距離を詰め、炎のブレスを吐き付ける。
「っ……」
 その攻撃を、移動方向を逸らして炎のブレスを回避。
 そのまま炎のブレスは回廊に向けて放たれ、ゼノグロシアン達に被害が及ぶも。
 だが……赤騎士も、その周りに居るゼノグロシアン達、更には炎の獣達も、それで怯むような事は無く、目前にやって来たイレギュラーズ達を『敵』と認識し、それを葬り去るべく戦線を引き上げる。
「いやはや、物量で押しきろうってな作戦なのかな?」
「その様だ。だが……だからと言ってそれに怯む僕達ではない……!」
「ええ。さぁ、一嘉さんに続きましょう!」
 鈴音、シューヴェルトの言葉にアルテミアが剣を掲げて皆を鼓舞すると共に前進。
 ……両者、回廊にて相対すると、空から紅蓮の咆哮を注ぎ、戦域を炎へと包む。
『ウグウウ……!!』
 と、ゼノグロシアン達は、その熱量に苦悶の呻き声を上げるのだが……その一方で赤騎士と炎の獣達は苦しむ事無く攻撃を開始する。
 特に炎の獣の群れは、周囲の炎を己が身に取り込みて、自己再生をしながらイレギュラーズ達に鋭い牙を剥く。
 仲間である筈のゼノグロシアンを足蹴にし、踏み越えイレギュラーズ達の下へ……流れる様な動きで以て、イレギュラーズに炎の爪を研ぐ。
「っ……!」
 傷痕が、焼けるように痛みを生む。
 だが。
「邪魔スンナ、我等は赤騎士を倒さねばならんのでなっ!」
 炎の獣へ接近すると、流れる様な動きで鈴音が熱砂の嵐をその場に展開。
 熱さに熱さで対抗し、熱量で彼らを上回ろうと勢い付く。
 そして鈴音の一閃を軸にして、宙から一嘉がその空間諸共を死の空間を作り出して強力な斬砕で打ち砕き、更には彩陽は。
「……これが上手く効くかどうかはわからへんけど、まあないよりはやってみる方がましやしな」
 と零しながらも、鉛をゼノグロシアン諸共に叩きつける。
 流石に炎の獣へ変化していないゼノグロシアン達は、大した抵抗をする事も出来ずに、次々と回廊に臥していく。
 だが、その上を己が好きなままに闊歩する炎の獣……上空から幻影流が吹き散らす炎を其の身に吸収為て己が体力に変えつつ積極的な攻勢を嗾ける。
 そして、当然のことながら後方にいる赤騎士は……周りのゼノグロシアン達を、まるで『モノ』の様に捕まえ、滅びのアークを注入し、一匹、また一匹と炎の獣を増やしていく。
 その対象は、気絶させたゼノグロシアンでも同様な様で……注入され、炎により体力を回復為、戦線へと復帰。
「これは倒しても、奴等の養分になるだけ……ってことの様だな」
「その様ですね……兎に角赤騎士に近づかない事には不味い事になりますね」
 シューヴェルトに、ステラは唇を噛みしめる……だが。
「ならば……それよりも速攻でケリを付ければ良い。それだけの事だ……押し通らせてもらうぞ、『レッドライダー』」
 そうアレンツァーは言うと共に、己が素早さを活かして、一気に敵陣へと加速、突撃。
 速度に特化したその動きはゼノグロシアンはおろか、炎の獣を僅かに上回り……赤騎士の元へと急接近する。
『……』
 接近為てきたアレンツァーに対し、冷酷な視線を向けて一瞥する赤騎士……その脇からすらりと長い剣を抜いて、抜き身の迎撃一閃を放つ。
 だが、アレンツァーもさるもの……その動きを見越したように、返す刀の一閃で剣戟を併せ、そのまま接近位置を保ち対峙。
「全く……愉快な『遠足』だ。帰りの道筋は、さっさとつけさせて貰うぞ!」
 と己の前にアンデッドの『なりそこない』を召喚し盾にし、二者一体の陣容で赤騎士への攻勢を強める。
 そして他の仲間達も、アレンツァーの動きに追従し、その周りのゼノグロシアン達を無視し、炎の獣をはね除けるように行動。
 容易に……という訳には行かないが、確実にその距離を詰めていき、その道程に剥かれる牙と爪は、後方位置よりスティアが。
「大丈夫……私が、絶対に皆さんを送り届けます!」
 そんな強い想いと共に回復を常に飛ばし、引き揚げる戦線が瓦解しない様に強くバックアップ。
 炎の獣が追い立てるように、赤騎士に近づいた仲間達に包囲。
 背中合わせに赤騎士と炎の獣の両者に対峙する体勢を取ると、声高らかにシューヴェルトは。
「神の国を護る赤き騎士よ、この貴族騎士が相手しよう!」
 声高らかに宣言し、迷い無き襲撃の一蹴を喰らわせ、その傍らで鈴音も。
「赤騎士。だが我等の前ではキミはただのポストや! イレギュラーズが薔薇庭園を蹂躙するという福音をもたらすポストマンや!!」
 彼らには伝わらないだろうが、そんな言葉でこき下ろしながらの熱砂の一閃。
 そんな次々と繰り出されるイレギュラーズ達の猛攻撃に、赤騎士の動きに僅かながらも同様が見え隠れ。
 ただ赤い兜に包まれた表情は窺い知る事は出来ない。
『……ウォォォオ!!』
 彼も又、獣の様な咆哮を上げて、立ちはだかるイレギュラーズに剣閃を振りかざしていく。
 前の赤騎士、後ろの炎の獣……数刻間の内に、イレギュラーズの体力は確実に削られる。
 でも……。
「負ける訳には行かないのです。滅びのアークを利用して、仲間を増やすような行為……これ以上、悲しむ人を増やさせはしません……!」
 真っ直ぐ、睨み据えるアルテミアの三つの急所を的確に突き抜く一閃。
 電光石火の如くその一閃が決まると、赤騎士の動きが大幅に鈍る。
 それをチャンスとばかりに、ステラはその力を最大限破壊に変えた、魔力の砲撃を撃ち抜く。
 ステラの消耗も激しい決死の一撃は、赤騎士の身を眩い光で覆い隠し、呑み込んでいく。
 そして光の収束の痕に残るは、地面に吹き飛ばされた赤騎士。
 再び立ち上がろうとするが……その身体は思うようには動かない様子。
「さぁ赤騎士よ! ここは退いて貰うぞ! こっちは薔薇庭園に行って文句を言わねばならんのでな!!」
 との鈴音の絡みつきし蛇の如き一閃は赤騎士の身体を縛り上げて……その身を打ち砕いていくのであった。

●脅威
『……ギャウゥゥォオオオン!!』
 赤騎士に放つ、止めの一撃。
 地面へと臥す彼の姿を確認したのかはハッキリと解らない……けれども、それと時を同じくして響きわたるのは、空高く飛翔した幻影竜の咆哮。
 そして……彼らはイレギュラーズ達への攻撃を途端に辞めて、その翼を大きく翻して体制転換……そのまま薔薇の聖女庭園へと繋がる回廊の奥の方へと飛翔し、逃走を図る。
「こらー、待てー!」
 と、咄嗟に追いかけようとする鈴音ではあるが……足元に死屍累々に転がり去るゼノグロシアンの大量の骸に、思ったように先へと進むことは出来ない。
 そしてみるみる内に距離は開き……幻影竜の影は、闇の中に消失。
「……取りあえずこの場は収まった様だな」
 と息を吐き、汗を拭う一嘉。
 死屍累々の言葉が最適と言えるかの様な惨状である。
 だが……これで一安心という訳では無い。
 少なくとも仲間達の退路をこのまま繋ぎ止めるためには、更なる敵が出てきたとしても道を閉じることは出来ない。
 いや……耳を澄ますと、未だに回廊の奥の方角より『グゥゥウ』と言うゼノグロシアンの群れの苦しみの咆哮は奏でられ続けており、目を凝らせば漆黒の闇の中にまだまだ多数のゼノグロシアン達がいるのが解る。
 ……ただ、その歩みは遅い為に、ここに来る迄には少し時間は掛るであろう。
「取りあえずは、倒したゼノグロシアン達の状況を確認するとしよう」
「そうですね。このままにはしておけないし……命を助けられるのならば、応急処置くらいはしないと!」
 一嘉に強く頷き、献身的にゼノグロシアンの倒れた戦場を駆け回るスティア。
 しかし……息がある者は一つも居らず、全てが死を迎えている。
 いや……ほんの一握りのゼノグロシアン達は、微かな息を残して排他ものの、スティアが回復すると、有無を言わさずに立ち上がり、攻撃してくる。
「危ない!」
 と、咄嗟にアルテミアが間に割り込み、確実な一撃を叩き込めば虫の息たる彼らが生き延びる術は無い。
 そして……その多数の骸を前に、一嘉は……静かに目を閉じ、黙祷。
 ……暫しの後、再び目を開き。
「……許せとは言わない。飽きるまで恨んでくれ。そして、貴方達を犠牲とした以上、奴等はこの手で必ず滅すると誓おう」
 その言葉に、小さく頷くステラ、彩陽。
 そして。
「さて、まだまだ別の輩共がたーくさんいる様だし、道を切り拓く為にも頑張らないとな! 駆け抜けて行くぜ、いざ死地へ!!」
 と鈴音の言葉に、シューヴェルトとアレンツァーも。
「ああ……そうだな。貴族騎士としてこの闘い、負ける訳には行かん」
「無論だ。向こうに行った仲間達が、家に帰れるようになるまでが遠足だからな……さぁ、行こう」
 死地へと赴く覚悟と共に、漆黒の回廊を駆け抜けて行くのであった。

成否

成功

MVP

岩倉・鈴音(p3p006119)
バアルぺオルの魔人

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂きましてありがとうございました。
敵数がかなり多く、更に回廊に炎という特殊な立地条件ではありましたが、皆様の力を合わせたおかげで無事に路を確保出来た様です!

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