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シナリオ詳細

聖義戦士ジャストレイサー

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●その命、神へ回帰せよ!
 教会のステンドガラスがふくらみ、ひかり、ゆがみゆく。
 映画のワンシーンめいたスローモーションの中で次におこることを、教会のシスターは予見した。
 翼を広げ降りかかる悪夢のごときシルエット。
 引き裂く爪が、悪しき右手が伸びるさま。
 されど予見されたのは、背後に庇う子供たちが引き裂かれることでも、自らを悪夢のごとき何者かが殺める未来でもない。
 予見していた。
 この一瞬後におこるのは。
 『彼』の到来であると。
「そこまでだ! デッドバタリオンの悪鬼兵よ!」
 ステンドガラスを突き破り、両腕を交差させた法衣の男が現われる。
 顔をフルフェイスヘルメットのように覆った聖殻は一瞬にして手足へと伸び、裾の長いコートのシルエットを残して肉体へとフィットする。
「ジャストレイガン!」
 法衣の内側から引き抜いた二丁の白銀拳銃。水平に構えて連射する彼の弾は悪夢のシルエットへと正確に突き刺さり。その場からはねのけた。
 ガラスの散った床を転がり、逆光に日の差すその姿。
 拳銃を上下逆さに組み合わせ、腕と銃身で十字をかたどるその姿こそ――天義ファング教会所属騎士ナンバー753!
「降臨、『ジャストレイサー』! その命を回帰せよ!」
「チッ、邪魔が入ったか……!」
 黒い翼のスカイウェザーは、悪鬼のごとき外骨格クローをがきがきと鳴らし、ふわりと空中へと飛翔する。彼は悪鬼兵と呼ばれていた。
「逃がさん! ジャストブースター!」
 背部の機械義翼から聖光エネルギーを一度だけ噴射すると、ジャストレイサーは高く跳躍。悪鬼のごときスカイウェザーを組み合ったまま教会の外へと飛び出した。
 引きずり下ろされ地面を転がる悪鬼。
 そこへ、同様の外骨格を装備した翼ある悪鬼たちが駆けつけ、ジャストレイサーを取り囲んだ。
「これだけの軍勢がなぜ……」
「クク、貴様は罠にかかったのだよ」
 先程組み付かれていた悪鬼兵がゆらりと起き上がり、身体についた砂を払い落とした。
「貴様は我らデッドバタリオンの天義虐殺計画の邪魔となる。ゆえに、我らの大教祖様より抹殺命令が下ったのだ」
「ギギ……!」
「ギギギ……!」
 外骨格をフル装備した悪鬼兵たちが浮かび上がり、強化爪を構える。
「この粗末な教会を、貴様の墓標にしてやろう! かかれェ!」
 悪鬼兵たちが一斉に襲いかかる。
 あわや、ジャストレイサー!
 彼の運命や、いかに――!

●トラップカウンター
 天義ファング教会より、悪しき邪教徒と戦うべくローレットへと戦闘依頼が舞い込んだ。
 ファング教会が極秘調査によって暴いた騎士抹殺計画。
 その計画は既にいくつもの成功を遂げており、ファング教会の騎士は次々と抹殺されてしまっていた。
 そんな中で舞い込んだのは襲撃された騎士の救出と邪教徒デッドバタリオンの撃退である。
「西のローレイ教会を襲撃すると見せかけ、おびき寄せた騎士ジャストレイサーを取り囲み抹殺するつもりです。この計画実行まで気づくことができなかった。しかし今ならまだ間に合うはず! ローレットの皆さん。あなたがたの自由意志は知っているが、今は、彼に力を貸してください!」

GMコメント

【デッドバタリオンの悪鬼兵】
 スカイウェザーで構成される兵隊たち。
 ひとりひとりが高い戦闘力をもっており、おそらくはPCと互角に戦うだけのパフォーマンスを発揮すると思われる。
 装備は強化外骨格。悪しき魔力を纏った悪鬼のごときフォルムから、彼らは悪鬼兵と呼ばれている。
 魔法による射撃や格闘を得意とするようだ。
 現場で確認されている個体数は10体ほどの様子。

【ジャストレイサー】
 ファング教会に所属する騎士。代々受け継いだ聖殻ジャストレイサーを纏い悪しき邪教と戦う。本名は明かされていない。
 二丁拳銃のジャストレイガンや一時的な簡易飛行装置ジャストブースターなどを装備し、隙の無い戦闘スタイルをもつ。
 しかし民が脅かされれば万難を排して駆けつけてしまう性格をつかれ、今回の襲撃作戦にはまってしまった。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 聖義戦士ジャストレイサー完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年10月18日 21時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルプス・ローダー(p3p000034)
特異運命座標
ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)
キミと、手を繋ぐ
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
不動・醒鳴(p3p005513)
特異運命座標
美城・誠二(p3p006136)
元。
アナスタシア(p3p006427)
コールドティア
ケイド・ルーガル(p3p006483)

リプレイ

●駆けつける戦士たち
 ――これまでのジャストレイサーは!
『貴様は我らデッドバタリオンの天義虐殺計画の邪魔となる。ゆえに、我らの大教祖様より抹殺命令が下ったのだ』
『この計画実行まで気づくことができなかった。しかし今ならまだ間に合うはず!』
 デッドバタリオンの卑劣な罠にかかり絶体絶命の教会騎士ジャストレイサー。
 ファング教会の依頼を受け現地へと走るは、かの魔種を打ち倒した聖なる戦士と名高いローレットのイレギュラーズたちであった!
「みんなのヒーローさんなのです! 悪を等しく挫く気概がある人は応援したいのです」
 走る速度をあげる『くれなゐにそらくくるねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)。握った火炎放射器のセーフティーを解除する。
「上に悪い人が居て、自分ではどうにもできない苦しみは、前の世界でよく知っているのです。だから、応援したいのです! 私の焔を以て全力援護なのです!」
 その左右を走るのは『鉄帝軍人』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)と『闇市芸人(他称)』天之空・ミーナ(p3p005003)。
「正義のヒーロー、ねぇ。まあ確かにこの国ならいてもおかしくはねーわな。じゃ、柄じゃねーけど。ヒーローを助けるダークヒーローといきますか!」
 銀の盾についたホルダーから赤き剣を引き抜くミーナ。ハイデマリーもまた頷いて武器を握り込む。
「じゃあ俺はBGMを頑張るかね。楽器は持ってく余裕ねーし、こう、ボイパで。あれ、違ったか?」
 軽くおどけてみせてから、『特異運命座標』不動・醒鳴(p3p005513)は背負っていた巨大剣の固定具を解き、いつでも振り込めるように握る。
 ケイド・ルーガル(p3p006483)はその雰囲気に片眉をあげ、口の中で蜜柑味のキャンディをころがした。
(うわぁ、天義でもめっちゃ特撮してる。これもテレビで見たかったなぁ、練達の外は本当に過酷だ)
「その命を回帰せよ、か……。自分も決め台詞の一つくらいありゃ、箔が付くかなぁ」
 ヒーローはどこにでもいる。ここにも、『元。』美城・誠二(p3p006136)というヒーローがいた。
「元の世界で一応ヒーローを名乗らせてもらっていたからな 今回の件は見逃せない。手助けをしよう。しかしデッドバタリオンの情報が少ないが大丈夫か? まぁ悪意を持って協会を攻撃しているのは事実、とにかく障害を排除しよう」
「デッドパタリオンの悪鬼兵はとても怖いですが、皆様を守らないといけませんよね」
 同じく横を走る『コールドティア』アナスタシア(p3p006427)は感情封印で自分の恐怖を押さえ込み、聖なる氷から作られたというガントレットをがっしりと装着した。
 エンジン音をうならせて追い抜いていく『二輪』アルプス・ローダー(p3p000034)。
「天義に巣食う悪性腫瘍、その名をデッドバタリオンと言うのですね。それに立ち向かう騎士。ジャストレイサーもまた勇者。奴らを……心火を燃やしてぶっ潰しましょう!」

「この粗末な教会を、貴様の墓標にしてやろう! かかれェ!」
 ジャストレイサーを取り囲み、2メートル高度を飛行しぐるぐるとまわるデッドバタリオンの悪鬼兵たち。彼らの鬼めいた強化外骨格から繰り出される斬撃がジャストレイサーを八つ裂きにせんとした――その時!
「とうっ!」
 アルプスローダーによるジャンピングアタックが悪鬼兵の一人に直撃した。
 要するにジャンプ台を用いたバイク突撃である。
 ジャストレイサーに集中していた悪鬼兵はこの奇襲に対応できず、背中をもろに打ち付けられる結果となった。
「ギャッ!」
 バウンドして転がる悪鬼兵。
「焼かれなさい、私の焔!」
 クーアの火炎放射とハイデマリーの援護射撃が加わり、起き上がろうとする悪鬼兵は更にはねまわり、転がるはめとなる。
 なんとか起き上がった悪鬼兵に、ミーナが素早く詰め寄り魔力を込めた剣を振るった。
「加勢するぜ、正義のヒーローさんよ!」
 炎のごとく真っ赤に輝く剣が、悪鬼兵の腕を切り落とす。
 さらにはアナスタシアが氷のガントレットを振って聖なる氷塊を空気中に生み出すと、それを悪鬼兵へと次々に発射していく。
 それだけではない。
 ケイドが対戦車ライフルを素早く組み立て、悪鬼兵めがけて発射した。
「ギャギャ!?」
 なすすべも無く身体を貫かれ、ばちばちと漏電する外骨格の暴走により大爆発を起こす悪鬼兵。
 その様子に、他の悪鬼兵たちは慌てて陣形を開いた。
「何やつ!?」
「私は名乗るほどのもんじゃねぇよ。ただの、闇市芸人さ」
 盾を突き出すように構えて眉をあげるミーナ。
 無傷で助けられた形となったジャストレイサーは、ターンするアルプスローダーへと振り返る。
「君たちは一体……!?」
「”牙”から貴方に手を貸すよう依頼されました、共同戦線といきましょう! まだ立ち上がれますよね、ヒーロー?」
 醒鳴がかけより、ジャストレイサーに手をさしのべる。
「ジャストレイサー、教会の依頼で援軍のデリバリーだ。一人じゃないんだ、うまくカバーしあおうぜ」
 手を握り合った醒鳴はジャストレイサーを立ち上がらせ、勇壮のマーチを始める。
 一方で誠二は残る八体の悪鬼兵たちに歩み出て、名乗り口上を放った。
「ジャストレイサー。遊び心はあるか? なければ持っておいたほうがかっこいいぞ」
 拳を固め、不屈の姿勢で悪鬼兵へと身構える。
 対する悪鬼兵たちはぎりぎりと歯を鳴らし、強化外骨格の爪を振り上げた。
「八人増えたところでまだ勝機はある。ジャストレイサーともども、地獄へと送ってくれる! かかれェ!」
 陣形を組み直した悪鬼兵たちが、ジャストレイサーとイレギュラーズたちに襲いかかる!

●悪鬼の兵団
「死ねィ!」
 悪鬼兵は巨大な爪をがしがしと鳴らし、魔力を胸の中心へと集中させる。
 魔力は無数のビームとなり、ジャストレイサーたちへと襲いかかった。
 ジグザグに走りながらビームをかわそうとするアルプスローダー。
 交流用アバターの少女が上向き、飛翔する悪鬼兵へと狙いを定める。
 ハンドルの中央部分を操作。タイヤからスパイクを発生させると、高軌道バーニアを用いて再び悪鬼兵めがけてジャンプした。
「私達は縁あってこいつに助太刀する者だ! こいつを倒したければ私を倒してからにするんだな!」
 ミーナは剣を悪鬼兵へ突きつけると、足踏みをして周囲に肉盾アンデッドを発生させた。先程破壊した悪鬼兵が早速起き上がり、盾となってミーナを守る。
「フン、小癪な……!」
 悪鬼兵の一体が魔力を込めた爪をうならせ、ミーナめがけて突っ込んでくる。
 攻撃を盾とアンデッドによって受け流しにかかるが、相手の実力もかなりのもの。
 いつまで耐えられるかどうか……。
「おい、なにをやっている! 統率を乱すな!」
「黙れ、この小娘を先に始末してやる!」
 怒りに身を任せた悪鬼兵がミーナを集中的に狙おうとすることで、残る悪鬼兵たちが渋々ながら攻撃に加わることになった。
 ダメージ先を分散させるより効率的だと判断したのだろうか。
 一方で、誠二は名乗り口上の効果があまり出ていないようだった。
「これは……」
 かつての世界ほどの力が出せていないのだろうか。自らの拳を見やる誠二。
 ミーナが敵の猛攻をしのぎながら振り返る。
「命中力の低さが原因だ。まあよしんば当たっても、相手もある程度分散してやがるからそう沢山巻き込めない。マークされちゃ余計にな。今回の引きつけ役は私に任せておけ、フォローを頼む」
 クリーンヒットしない(=【怒り】付与が発生しない)名乗り口上は空振りに等しくなってしまう。誠二は状況を素早く察し、多くが空振りに前に自らの戦闘スタイルをパンチ主体に変更した。
 ミーナに群がる悪鬼兵のひとりを捕まえ、思い切り殴りつけていく。
 その対象を確認して、アナスタシアもまたライトヒールによるミーナの回復にあたった。
 清らかな氷のつぶを生み出しては風にのせて飛ばし、ミーナの傷口に塗布する形で癒やしていく。
「はじめの奇襲で二人倒せればもっと楽だったのですけど……」
「仕方ない。こういうのは調子の良し悪しがある」
 ケイドは口の中でキャンディをぐっと噛みながら、悪鬼兵へ対戦車ライフルを撃ちまくった。
「出来るだけ複数……三体は巻き込める位置から……」
 ケイドはライフルを担いで走り、ミーナのそばへと駆け寄った。
 相手が近接格闘専門だった場合貫通攻撃で敵だけを三体まとめて打ち抜くのはとても難しい。しかし遠距離攻撃も使う悪鬼兵ならば、前衛に混ざる形で前へ出ればなんとか2体、運が良ければ3体ほどまとめて打ち抜くことができるだろう。勿論そのためには動き回る必要があり、敵の攻撃に晒されやすくなるリスクも発生するが……。
「その血を飴玉に変えてやる」
 見事にラインを見つけたケイドはハイロングピアサーを発射。
 悪鬼兵たちをまとめて打ち抜いた。
「ぐぬう、この乱戦の中で絶妙なラインを見つけ出すとは、貴様ただ者では無いな……」
「ただ者じゃねえのはこいつだけじゃ――」
 醒鳴が素早く飛びかかり、悪鬼兵に剣を叩き付ける。
「ねえってな!」
「ジャストレイナックル!」
 真っ白なナックルを握ったジャストレイサーが、醒鳴とのコンビプレーで悪鬼兵を殴り飛ばした。
 飛ばされた悪鬼兵はすぐさま飛行能力によって体勢をたてなおし、魔力ビームで反撃を仕掛けてくる。
「くっ……やはりデッドバタリオンの悪鬼兵。強い! この人数で勝てるだろうか……?」
「なあに、やることは簡単、こいつら全部抑え込んじまう。それだけで良いんだよ……!!」
「力強い精神だ。君の正義を信じよう!」
「おう!」
 ジャストレイサーと醒鳴は拳をぶつけあい、再び悪鬼兵へと走って行く。
「トドメなのです! さあ一緒に!」
 クーアはハイデマリーに協力を呼びかけると、火炎放射器のめもりをいっぱいにして悪鬼兵へ放射。
 火だるまにしてから直接攻撃範囲外へと急いで離脱した。
「おのれ。にがさんぞ!」
 離脱するクーアを追いかける悪鬼兵。素早さをあげるメイド服のなせるわざか、悪鬼兵よりもクーアのほうがずっと早い。
「おのれ、なんという逃げ足。奴もまたただならぬ戦士というわけか……」
「焦るな。奴が打ち込んできたところで捕まえればよいだけのこと」
「それよりも……」
 手の届く範囲までは追いつけないと察した悪鬼兵はクーアを後回しにして、悪鬼兵は別の標的を狙い始めた。

●正義を受け継ぐ者
 アナスタシア、誠二、ハイデマリーが協力して悪鬼兵を追い詰めていく。
 アナスタシアの打ち込む氷の魔弾が悪鬼兵の胸を貫き、誠二のパンチが悪鬼兵の顔面を潰す。
「ぐ、ぐふ……強い。だが負けはせんぞ!」
 悪鬼兵たちも負けてはいない。強化外骨格による斬撃を繰り出し、ハイデマリーやアナスタシアたちを切り裂こうと襲いかかる。
 あわや彼女たちの肉体に爪が突き刺さろうかというその時。誠二が間に割り込んだ腕を広げた。
 ずぶりと貫く悪鬼兵の爪。
「なぜ……」
 誠二は唇の端だけをあげ、悪鬼兵の腕をがっしりと掴んだ。
「仲間が傷つくのは、見たくないからな」
 そこまで言うと、誠二は最後の力を振り絞って悪鬼兵の腕を殴りつけた。
 強化外骨格が破壊され、ぐああと叫んでよろめく悪鬼兵。
 苦し紛れに乱射した魔力ビームが無数の爆発を起こし、誠二たちを包み込んだ。
「……」
 倒れた誠二を抱え、アナスタシアたちが反撃の魔術弾を乱射した。
 よたよたと押されていく悪鬼兵。
「よく踏ん張ったな、誠二」
 醒鳴は高らかな咆哮のように雄鶏の朝鳴き声を放つと、剣を握って悪鬼兵へと突撃する。
 悪鬼兵へと張り付き、剣を叩き込む。強化外骨格の爪に剣を押さえられるも、相手野原を蹴りつけて引きはがし、邪魔になった剣を手放して悪鬼兵の顔面に連続パンチを叩き込んでいく。
「ぐおおっ……貴様、一体どこにこんな力を……」
「さあて、どこだろうな?」
 醒鳴はこきりと首を鳴らし、もう一発悪鬼兵の顔面を殴りつけた。
 その様子に、ジャストレイサーは深く頷いた。
「あれはまさしく、聖なる正義。彼らなら、あるいは……」

「次はあなたです!」
 アルプスローダーの車体は傷つき、負荷に耐えきれなかった交流用アバターも消えてしまっている。
 だが力を振り絞って悪鬼兵へと突撃をしかけた。
 誰の操作もなく自力でタイヤにスパイクを発生させ、操作盤を内側から操作していくアルプスローダー。
「アルプスストライク!」
 アルプスの車体が特殊なエネルギーに包まれ、悪鬼兵へ巨大な弾丸となって叩き込まれる。
「ぐ、ぐあああああああああああ!」
 断末魔の叫びをあげて爆発四散する悪鬼兵。
「さあ、次は――」
 ターンして再びのアタックを仕掛けようとしたアルプスローダーが、横から地面ギリギリの低空飛行で突っ込んできた悪鬼兵の爪に直撃を受けた。
「ひゃあ……!?」
 人間でいう横っ腹をえぐられたようなダメージに、アルプスローダーは転倒し、火花を散らして滑っていく。
「くっ、アルプスローダー!」
「バイクさんのかたきなのです!」
 クーアが火炎放射器を思い切りぶっ放し、悪鬼兵を焼いていく。
 火だるまになった悪鬼兵が教会の壁に激突し、地面をバウンドして転がった。
 すぐさま起き上がり、ビームの姿勢をとる悪鬼兵。
「危ねえ! 下がってろ!」
 ミーナが割り込み、地面に剣を突き立てた。
「焼け石に水だが、ないよりはマシってな」
 幾度目かの死骸盾。更に銀の盾を翳し、魔力を表面に流してビームの直撃を受け流す。
 無理矢理拡散されたビームが教会の鐘を打ってごぅんという激しい音を鳴らした。
「ククク、白銀の盾をもつ者よ。恐ろしい敵だったが……ここまでだ!」
 悪鬼兵たちが集まり、ビームをミーナに集中させていく。
「くそっ、力押しかよ……! これだから悪党ってのは……!」
 盾でビームを受け流していたミーナだが、まるで濁流に呑まれる壁のごとく押し流され、巨大な魔力ビームの中に消えてしまった。
「ミーナっ」
 ケイドがかけより、ミーナを抱え起こす。
「よくやった後は任せてくれ」
 ミーナを抱え、銃に手をかけるケイド。
 だがそんな彼を、ジャストレイサーが止めた。
 前に出て手を翳し、ゆっくりと首を振る。
「これ以上はいい。ここは私に任せて、彼女たちを安全なところへ運ぶのだ」
「何を言ってるのです!」
 クーアが食い下がるが、ケイドがはたと気づいて教会の方を、そして仲間たちの様子を見た。
 ミーナをはじめ、仲間たちは半数以上倒されてしまった。
 しかしジャストレイサーが言っている『彼女たち』のはミーナたちだけのことではない。教会に取り残されているであろうシスターや子供たちも含まれているのだ。
「ファング教会がさらなる援軍を送っている頃だろうが、デッドバタリオンとてそれは同じ。ここで悪鬼兵と差し違えればあとでどうなるか分からない。君たちだけでも、民間人を連れて逃げるのだ!」
「…………」
 クーアはぎゅっと拳を握りしめた。
「けれど、クーアたちはジャストレイサーを助けるために……」
「心配はいらない。私の聖なる正義は必ずや受け継がれ、悪を討つため立ち上がるだろう。その一人となってくれ。我が正義を、篝火のように受け継ぐのだ……ローレットの戦士たちよ! そして、必ずやデッドバタリオンから無辜の民を救ってくれ!」
「……わかった」
 ケイドは頷き、倒れたアルプスローダーを起き上がらせる。
「あとは、任せた」

 光を背に、走るイレギュラーズ。
 この戦いで救われた民がいる。
 倒された悪がいる。
 そして一人の戦士が、この世から消えた。

 ジャストレイサーは戦いの中に倒れたが、その正義を受け継ぐ者は現われる。
 イレギュラーズたちが、その最初の継承者となった。

成否

失敗

MVP

なし

状態異常

ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)[重傷]
キミと、手を繋ぐ
アナスタシア(p3p006427)[重傷]
コールドティア

あとがき

 皆様とても素敵で丁寧なロールプレイをなさっていたのに大変心苦しいのですが、判定を行なった結果最終的に失敗判定となってしまいました。
 有効なプレイング密度(≠文字数)の不足や、逆に状況に対して有効でない選択でのマイナス点があり、それらのフォローに当てられそうなプレイングも残念ながら足りては居なかったことから、誠に残念ながら失敗判定を出さざるを得ない結果となってしまいました。
 とはいえ皆様とても素敵なロールプレイをなさっておりましたし、今回にへこまずぜひまたリベンジをはかってくださいませ。
 またのお越しを心からお待ちしております。

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