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シナリオ詳細

<渦巻く因果>終焉招くパラサイト

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 この世界に存在する勇者……となる前のメンバー達と出会ったイレギュラーズ。
 彼らが語ったのは、プーレルジールが滅びに面しているという事実だった。
 跋扈する終焉獣。魔種もまた認知こそされてはいないものの存在している。
 人間のかずも混沌と比べて少なく、旧き民も数を減らしている。
 それは、この地を統べようとする魔王の配下によるところが大きい。
 減った人手を埋めるべく作られたのがゼロ・クールとのこと。
 ゼロ・クールの力を借り、世界を探索していたイレギュラーズの状況が魔王らに耳にも入ったらしい。
「我々はこの世界を滅ぼし、混沌世界へと渡航する事に決めた。
 選ばれた世界の住民達しか『混沌世界』に渡ることが出来ないのだ。滅びに抗えるお前達を捕え混沌に渡る手助けをして貰おうか」
 プーレルジールの人間でありながら、他世界……混沌やイレギュラーズについての知識を得ていた魔王の配下、四天王。
 それらは旧き民の虐殺を始め、イレギュラーズを誘き寄せようとしている……。


 プーレルジールに起こり始めた明らかな変化。
 滅びへと向かうこの世界で、彼らはイレギュラーズを狙う。混沌という世界へと渡る為に。
「混沌とは、皆さんの住まう世界で間違いないのでしょうか」
 ゼロ・クール『Guide05』……ギーコはイレギュラーズへと確認をとる。
 滅びの気配を宿す魔王の配下どもは、様々な策を講じてイレギュラーズを捕えようとしてる。
 彼らは滅びゆくこの世界を捨て、本気で混沌へと渡ろうとしているのだ。
「これ以上、来訪者様らのお手を煩わせるわけには……しかし……」
 とはいえ、自分の生まれた世界のことであっても、ギーコを含め、プリエの回廊に住まう魔法使いお呼びゼロ・クール達はイレギュラーズの力を借りねばならないという。

 徐々に勢力を伸ばす四天王らは、多数の寄生終焉獣を解き放ったとみられる。
 それらは各地で棄てられたゼロ・クールの体を取り込んで我が物とし、プーレルジールに住まう数少ない人々を襲撃しているのだ。
 プリエの回廊西に連なる山脈の麓にある小さな村。
 数十人がひっそりと暮らしているこの地に、寄生終焉獣の魔の手が伸びてきているという目撃証言があったとギーコは話す。
「魔王の手の者に対して、私達はあまりに無力です……」
 立ち向かうすべもなく虐殺されるか、その体を乗っ取られて利用されるか……。
 いずれにせよ、目覚めの悪い話だ。
 混沌を狙っていることも含め、勢力を広げる前に叩いておきたい。
「指揮官らしき姿は確認できませんが、これを叩くことで配下達を牽制できるはずです」
 どうか、彼らをお助けくださいと、ギーコは来訪者……イレギュラーズ達へと願うのだった。


 ズルズル、ズルズル……。
 身体を引きずるようにして進む黒い物体群。
 黒いスライム状の生物に紛れ、ゼロ・クール達の姿もあったが……。
 ピー、ガガガガガ……。
 キノウ、フゼン……、オーバーホールヲ、モトメ、メメ……。
 暴走するゼロ・クールを操るのもまた、その黒い物体らしい。
 それらの名は、寄生終焉獣というが、プーレルジールの住民にはほとんど認知されていない。
 ただ、その身に纏う滅びの気配は、人々に吐き気すらもよおす気持ち悪さを感じさせるようで。
「な、なんだあれは……」
 プリエの回廊西、山脈の麓にある小さな村。
 ミネラと呼ばれるその地の住人らは、それらの一隊の接近に震え、全力で逃げようとする。
 さほど歩みは早いとは言えないが、それはスライム状態での話。
 ゼロ・クールに寄生した寄生終焉獣はその体の性能以上の力を引き出し、素早く攻めてくる。
「「うわああああああああっ!!」」
 ミネラの住民達は確信する。
 魔王が本格的に世界を滅ぼすべく動き出したのだ、と。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 <渦巻く因果>のシナリオをお届けします。
 得体の知れぬ新手の終焉獣……。新たな被害が起こる前に対処願います。

●概要
 舞台は『プーレルジール』プリエの回廊の西の山脈麓にあるミネラ村です。
 鉱石や宝石の原石を堀り、魔法使いらに提供していることで糧を得ているようです。
 近場にある林が以前、依頼の舞台となりましたが、今回はこの村も狙われてしまうようです。
 村は数十人が済む小規模なものですが、そこに廃棄済みのドールが……と思いきや、スライム型の寄生終焉獣が紛れております。
 それら終焉獣の一部が廃棄済みドールの体を勝手に使っているようです。動きを止める為には、『コアを壊さねばなりません』。
 また、村人も乗っ取られる危険がある為(こちらは不殺で対処できます)、できるだけ避難させる必要があります。

●敵:終焉獣
〇寄生終焉獣×12体(うち、6体は下記廃棄済みドールに寄生済み)
 スライムのような姿をしており、人の形をしている者に取り憑く習性があります。
 個体差が様々で、強力なものも存在するようですが、今回現れるのは並みの個体ばかりのようです。
 ただ、寄生終焉獣同志で引っ付き合い、強化個体になることも。
 スライム状の姿で戦う際は、身体の一部を弾丸のように飛ばしたり、近づいて相手の動きを止め、精神に作用してその体を乗っ取ろうとしてきます。

〇廃棄済みドール×6体
 廃棄されたゼロ・クール達の体を寄生終焉獣が乗っ取った姿。
 終焉獣の力で滅茶苦茶に行動し、暴走しているようにも見えます。
 3体は四肢が黒く変色し、体術による近接攻撃を得意とします。
 もう3体は頭と胴が黒く変色し、銃砲を使った遠距離攻撃を得意とします。
 いずれも不得意な方の攻撃も行う為、気は抜けません。

●NPC:村人×3~40人ほど
 ミネラと呼ばれる村の住民です。
 戦闘能力はありませんが、寄生終焉獣に乗っ取られた場合は狂気に囚われ、人外の力をもって襲い掛かってきます。
 その場合の戦闘能力に関しては不明です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いします。

  • <渦巻く因果>終焉招くパラサイト完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年09月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
虹色
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
芍灼(p3p011289)
忍者人形

リプレイ


 依頼を受けたイレギュラーズは西に向かい、現地へと急行する。
「滅びは何故こうも酷く荒らしに来るのか」
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)の呟きに、銘々が思うことを語る。
「こちらにもいるのねぇ、終焉獣」
 『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)は、あるいはここに居る存在が先なのだろうかとも考えるが、どうやら推論の息を出ない様子。
「近くの林に魔王の配下が居たから危惧していたけれど、本当に襲撃されるとはねっ」
 『双葉の師匠』アルテミア・フィルティス(p3p001981)が懸念していたのは終焉獣である。
 今回はなんでも、スライム状の寄生終焉獣と呼ばれる種なのだとか。
「色々な姿の終焉獣がいるものねぇ」
 ヴァイスは種類の多いそれら終焉獣という存在がどうなっているのか気にかけるも、大抵話にもならぬ強さなのだと感じていたらしい。
 とはいえ、今回のはそう感じぬメンバーが多い。
「なんと、寄生する終焉獣とは」
「廃棄されたゼロ・クールを乗っ取って攻めてくるか……そういうのはかなり頂けないね?」
 驚く『忍者人形』芍灼(p3p011289)に、『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)は些か不快感を示す。
「寄生して無理矢理操る……洗脳の類とは別方向で腸が煮えくり返るな」
 廃棄、ある意味では死者として眠っていたものを叩き起こし身体を利用するそんな寄生終焉獣に、『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)は激しい怒りを露わにしていた。
「人間はもちろんですが、ゼロ・クールに取り憑いている様を見ると我が事のように思えて恐ろしさを感じてしまいまする」
 秘宝種の芍灼は寄生する終焉獣の存在に恐怖すら感じてしまう。
「ゼロ・クールのみなさま、もう……戻すことは、できないの……?」
 すでに廃棄されたゼロ・クール数体が寄生されているという情報に、『おいしいで満たされて』ニル(p3p009185)はコアの辺りに締め付けられるような感覚があったようだ。
「しかも、未寄生の終焉獣が人々に迫っているわ」
 また、アルテミアが懸念するように、新たな被害者が生まれかねない状況だ。
「この世界もまだ生きるんだ、魔王の思惑なんて跳ね返してやる」
 生きる人がいるなら、異世界だろうが変わらない。
 この手が届く限り助けるとイズマは宣言する。
「多くの人々が残されておりますし、救助を頑張りましょう!」
 芍灼もそれに続き、仲間達に決起を促す。
 次々にメンバーが同調する中、ニルは躊躇いながらも小さく拳を握る。
(……これ以上、かなしいことをふやさないためにも……止めなくちゃ)
 ――今ここで、ちゃんと。


 前方にミネラ村を臨み、イレギュラーズ一行は状況を把握すべく策を講じる。
 ウェーるはファミリアーの鴉を2羽召喚し、村の状況把握と合わせ、今後のテレパスによる念話の手段を確保する。
 村へと到着すれば、ニルもまたファミリアー2羽で高空からの視点を確保しつつ、広域にオルド・クロニクルを展開して村の建物を守る。
 イズマもまたスキルを最大限に駆使して周囲を見渡し、人助けセンサーを働かせる。
「あちらだ!」
 敵の居場所を突き止め、イズマは仲間と急いでそちらへと駆けつける。
「「うわああああああああっ!!」」
 叫ぶ村人達に襲い掛かっていたのは、蠢く黒いスライム状の物体。
 そして……。
 ガガガ、ガガ……。
 機能不全に陥ったゼロ・クール……いや、すでに廃棄されたそれらを終焉獣が寄生したモノが村人へと迫る。
「助けに来たぞ、ここは俺達に任せてくれ!」
 村人らへ呼びかけるイズマを始め、一斉にメンバーが割り込んでいく中、終焉獣は明らかに敵だと察してか警戒の構えを見せる。
「手遅れになる前に住民達の避難を進めて、奴らを討伐するわよ!」
「ええ、行くわ」
 颯爽と敵に肉薄したアルテミアが敵の前に立つ。
 ヴァイスもまた終焉獣へと立ち向かう。
 眼前の寄生終焉獣どもは一切考えが読めず、流動して蠢くか、乗っ取った廃棄ドールを力尽くで動かすのみ。
 ちらりと後ろを振り返るヴァイスは、それらの脅威から村人を逃がすべく仲間が立ち回り始めたのを見る。
 村の中へと入ってきたドレイク・チャリオッツを操る『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)も村を見渡して呼びかける。
(やはり、不安の色が濃いか)
 突然現れた異形に加え、見慣れたゼロ・クールまでも襲ってきているのだ。仕方のないことだとアーマデルも考える。
 だが、不安は気持ちを、進もうとする足を竦ませやすい。
「大丈夫だ、終焉獣は味方が抑えている。安全な所へ送り届けよう」
 人々を励まし、アーマデルは1人ずつ馬車ならぬ亜竜車へと乗せていく。
「動けない人や様子がおかしい人がいたら呼んでくれ。すぐ駆け付ける!」
 統率力を活かしつつ、イズマはスピーカーボムも使い、大声で人々に呼び掛ける。
 その際、仲間と被らぬよう保護結界を張り、村を守ることもイズマは忘れない。
「早く中へ」
 ラムダも終焉獣の前で体を張り、村人に避難勧告する。
 敵はすでにこちらへと体を散弾のように放ち、あるいはドールの体で殴り掛かり、あるいは銃砲を放ってくる。
(寄生終焉獣が人間に取り憑いてしまうと大変なことになってしまいます)
 仲間達が敵を引き付けている間に、芍灼も動けぬ人を優先して自らの亜竜で引く軍用馬車で搬送するなど避難を手伝う。
(この世界の住民も廃棄するなら廃棄するで完全に機能を停止させればよいだろうに……)
 ラムダはそんな余計な思考を振り払いつつ、敵を睨みつける。
「……さて、終焉獣諸君今日のボクは少々機嫌が悪い……疾く斬滅してあげるよ!」
 傍のウェールも、終焉獣によって言いように動かされている廃棄ドール達を憐れんで。
「……これ以上犠牲を出さないために、ゼロ・クール達が今度こそ安らかに眠るために、コアを壊す……!」
 怒りを燃え上がらせ、ウェールもまた寄生終焉獣へと立ち向かうのである。


 寄生終焉獣は姿こそ2種いるが、大元は同じスライム状の個体。
 数で攻めてきているのが面倒であり、何より新たに人や廃棄ドールなどへと寄生してくることがあるのが実に嫌らしい相手だ。
(既に寄生済みが6体……寄生してないのが6体……)
 すでに敵と対する仲間も多いが、ウェールは落ち着いて敵全ての位置を把握するよう努める。
 合わせて、ウェールは襲われている住民がいないか。情報にない寄生終焉獣が潜んでいないか、それらを全てハイテレパスの念話で仲間達へと伝える。
(今のところ視認できる個体で全てだ。全力で叩こう)
「俺達で誘導するから落ち着いて、廃棄ドールから離れて一緒に避難するんだ!」
 それを聞いてか、イズマがなおも大声で呼びかけ、戦場となる村から人々を退避させる。
「それがし達、お助けに参りました! 村の皆様、どうかご協力を! 老人や子供、動くのが大変な方を優先して運びとうございまする」
 芍灼が所有するドレイク・チェリオッツに運び入れるが、その際、怪我人など動けぬ人は折りたたみ歯車兵に命令して介助する。
 彼女は人助けセンサーをフルに働かせ、家に取り残されたりしないよう気を遣う。
 一足早く、長老や原石掘りの責任者など、人を取りまとめるのに慣れた者達を第一陣として、村の外へと運んできたアーマデル。
 今度は後光を発し、アーマデルは人々をうまく誘導して自身の亜竜車へと乗せていく。
 その際、寄生終焉獣1体が仲間の囲いを突破し、飛び込んでくる。
 アーマデルはすかさず蛇銃剣に仕込まれた銃身から放った散弾を叩き込んで牽制し、足止めすることで避難の時間を稼ぐ。
 そいつを含め、アルテミアは戦いの鼓動を高めることで攻撃を誘う。
 ゆらりとドールやスライムが近寄ってくれば、アルテミアは1体ずつ双炎の蒼と紅でもやし、凍てつかせていく。
 徐々に仲間の乗り物で避難する村人を横目に、ヴァイスは他にも村人が残っていないか呼びかけを続けながらも能力を限界突破させ、戦いに最適化した態勢にしてから終焉獣へと攻撃を開始する。
「向こうだ。馬車があるぞ」
 ウェールも逃げ遅れた住民への呼びかけを続けつつ、人々の搬送を続けていた。
 とはいえ、規模のかなり小さな村だ。
 この地点で避難はほぼ完了に近い状況となっていた。
 ラムダはそれを確認し、終焉獣と対する。
「廃棄されていたドールか……」
 ラムダは倒すべき敵をしばし観察することに。
 寄生された廃棄ドールは、四肢が黒く変色した個体と頭と胴が黒く変色した個体に分かれる。
 前者は近接攻撃を得手とし、後者は射撃を得意としており、効果的にこちらへとダメージを与えられる手段で攻めてきていた。
 ラムダもまた秘宝種であり、自我を得た時に廃棄……いや、封印されていたような状態だったらしく、少し同情する気持ちはあった。
「……せめて、苦しむこともなく終わらせてあげよう」
 ラムダはまだ敵が多く時残っている状況もあって、魔導兵器より魔力の弾丸をばら撒く。
 相手の動きを制しているのはいいのだが、ラムダはどこか浮かない顔。
(……やれやれ、理解も納得もしているけど感情が追い付かないなぁ)
 難儀なものだと嘆息し、ラムダは次なる攻撃に出る。
 寄生済みの廃棄ドールに向かうメンバーが多い中、ニルは敢えて寄生していないスライム状の個体を狙う。
(他のひとが寄生されるのは防ぎたいです)
 村人を避難させても、ここから終焉獣を取り逃せば危険は非常に高くなる。
「できるだけたくさん、まとめて……えい」
 それもあって、ニルは根源たる力を泥に変えて敵陣へと浴びせかける。
 やはり、混沌と似て非なる世界とあって、揺蕩う力は同じということだろうとニルは感じていたようだ。
 続々と戦いへと加わるメンバー達。
 イズマは携帯品を使ってから名乗りを上げ、やや仲間の囲いから漏れかけたスライム状の敵なども含め、纏めて引き寄せようとする。
「白薔薇……」
 村の人に取りつかれる心配は幾分減ったこともあり、ヴァイスも術式を発動させ、白一色の儀礼短剣で斬りかかる。
 抵抗力を削いだところへ、ヴァイスはなおも刃を繰り出して敵の動きを止めていくのだった。


 終焉獣は寄り処となる存在を見失い、邪魔なイレギュラーズに狙いを定めたようだ。
 無論、イレギュラーズの体に寄生することも考えていたのだろう。
 変わらず、未寄生の終焉獣を注意し、プロメテウスの恋焔を放つアルテミア。
 ただ、そこはやはり他依頼でも存在感を発揮している終焉獣だ。
 思った以上に耐久力を持つそいつらはしつこく抵抗していた。
 そこに、避難を終えたアーマデルや芍灼も参戦する。
 鉛の弾丸をばら撒いて終焉獣を制しようとするアーマデル。
 芍灼も終焉獣討伐の為、片刃剣で乱撃を見舞う。
 なかなか倒れぬ寄生終焉獣だったが、スライム状の体は確実に削れている。
 まして、廃棄ドールはすでに壊れた体。いくら終焉獣がタフだろうが、必ず限界は訪れる。
 ラムダの放つ鉛が近接型廃棄ドールのコアを撃ち抜いて動きを止めると、それに近づこうとするスライム状の敵にニルが四象の力で襲い掛かる。
 他の敵からも多少絡まれていたニルだったが、その程度の怪我など気にも留めない。
(きっと……ゼロ・クールのみなさまのほうが、くるしくてかなしいですよね)
 ――まもりたかったはずの集落にひどいことをさせられて。
 ニルは壊れたゼロ・クール達の気持ちを慮りながらも、それらを利用する終焉獣を神秘の極撃で打ち倒してみせた。
 それでもまだ数は多く、イズマがアルテミアと共に多くを抑える形となっていた。
(怒りを切らすわけには……)
 イズマは合間に福音で傷を塞いて応戦を続け、鋼の細剣で一気に敵陣を刺し貫く。
(廃棄されて操られているとはいえ、ゼロ・クール達も人を襲う事は望んではいないはずだから……)
 それによって態勢の崩れた近接型に、アルテミアが仕掛ける。
(一思いに断ち斬ってあげるのが救いとなるはずよ)
 アルテミアは念入りに頭、喉、鳩尾を貫いた後、残像を伴うスピードで一気に切り払い、その全身を崩す。
 寄生していた終焉獣も同時に力尽きてしまったようだ。
 続き、ウェールもまた動きの鈍った近距離型廃棄ドールを中心に周囲の終焉獣も捕捉して。
「ゼロ・クールには無意味だろうが……」
 せめて痛みなく終わらせようと、ウェールは狼札から弓や銃を実体化させ、銀の矢の弾丸を戦場へと降らせていく。
 ウェールの降らす雨が止んだ時、最後の近接型から煙が上がり、どろりと地面に落ちた黒いスライムに続いて廃棄ドールが崩れ落ちていった。

 その後も、イレギュラーズの快進撃は続く。
 ラムダの放つ幾度目かのジャミル・タクティールが2体の遠距離型廃棄ドールを崩した後、残る1体をヴァイスが追い込んで。
 急を要するという状況でもないと判断、しっかりと敵の戦法を見定めたヴァイスは遠距離を得手とする相手に接近戦で挑む。
「さてと、眠ってもらいましょうか」
 刃を振り払い、コアを切り裂いたヴァイスは宣言通りに眠りへとつかせていく。
 残るはスライムのような寄生終焉獣5体。
 1体を倒したヴァイスへとそれらが忍び寄り、彼女の体を乗っ取ろうとしてくる。
 その力は思った以上に強い。
「……もう、だめじゃない」
 意志を強く持つヴァイスだが、パンドラを使って堪えるほどにまで強力だ。
 一般人はそれに耐えられようもないのは明らかである。
 ただ、相手も手負いであり、疲弊しているのは確か。
(下手に間合いへと迫られると危険だな)
 そう判断したアーマデルは蛇銃剣、蛇鞭剣を操り、いくつかの音色を奏でて寄生終焉獣に不調をきたす。
 そこで、暖かな陽光、風光を浴びて自らの傷を癒すニルが神秘の極撃を短杖で叩き込み、そいつを破裂させてしまう。
「私自身が寄生されたら、本末転倒だからねっ」
 アルテミアも捕まらぬよう留意し、蒼と紅を迸らせる。
 芍灼は残る終焉獣を纏めて捉え、万一にも市民、廃棄ドールが紛れてないかを確かめ、刃を激しく薙ぎ払って纏めて敵を捉え、弱った1体を葬り去る。
 その乱撃に硬直した1体にウェールが雷の如き速さで銃撃を叩き込み、すかさず空中へと跳ね上げたアーマデルが頭上でそいつを爆ぜ飛ばす。
 あれだけいた寄生終焉獣も、気づけば残り2体。
 それらは危機を察してか、寄り添うように引っ付き合って強化個体へと昇華する。
 ただ、実質的に残る敵は1体となり、イレギュラーズもそいつへと攻撃を集中させることに。
 芍灼はやや大きめの塊となったスライムの接近を避けつつ、逆に気配を消して接近する。
 寄生終焉獣は勢いよく体の一部を球状にして発射してくるが、芍灼は風の如くさらりと回避し、奇襲をかけて一撃を打ち込む。
 なお、その一撃は盾役となっていたイズマが受け止めていた。
「人々も廃棄個体もお前達の餌ではない。ここで確実に倒す!」
 ここぞの己の体に魔神の一部を降ろすイズマ。
 更なる攻撃に出るべく身構えていた寄生終焉獣に、イズマは高まる魔力を収束させて撃ち出す。
 一瞬、空中を駆け抜けた光が周囲を照らす。
 その光が止んだ直後、一行は強化個体に風穴が穿たれたのを注視する。
 終焉獣は分裂することなく、そのままどろりと溶けるように潰れていく。
 ひとまず、視認できる範囲で終焉獣を殲滅できたのを確認し、メンバー達は一息ついたのだった。


 全ての寄生終焉獣を滅したイレギュラーズだったが、村の中に残った敵がいないか入念にチェックする。
 頭上からの視点に加え、アーマデルは霊魂疎通も使い、物陰まで隈なくチェックする。
 完全に危険がなくなったと判断してから、メンバー達は避難させた村人を迎えに行く。
 アーマデルと芍灼の亜竜車から降りた人々は無事だったことを喜び合う。
「怪我した人はいないか?」
 イズマは戻った人々に確認を取り、避難中に躓くなどして擦り傷を負った村人に仲間と協力して手当てを行っていた。
 そして……。
 一行は寄生されていた廃棄ドール達の残骸を一か所に纏める。
 残念ながら、襲われた村人達もそれらを遠巻きに見ていたのを、ニルは気にかけてしまって。
(人となかよくするゼロ・クールだって、いるのです)
 それが、ニルにとってはとても悲しい。
 同行するゼロ・クールがいれば、多少なりとも誤解は解けただろうか。
「……壊して悪いな」
 そんな中、イズマはそれらをあるべき場所へと運ぶことに。
 コアがなくなったことで、もう二度と動かぬそれらを村から運び去る一行は、人々の目につかぬ場所で供養することにしたのだった。

成否

成功

MVP

イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは終盤に合体した強化個体を討伐した貴方へお送りします。
 この村の人々に、ゼロ・クールへの誤解が解けることをねがってやみません。
 今回もご参加、ありがとうございました。

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