PandoraPartyProject

シナリオ詳細

燃えよ、ラーメン!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ラーメンとは人生である
 夏も過ぎ、肌寒さを感じる夜。
 遠くから増えの音が聞こえてくる。
 胃袋に直接響くようなあの音は……誰もが知っているあのメロディは……。
「ラーメン゛ッ!」
 豪速で走るラーメン屋台がコンクリートブロックの壁を突き破り、ドリフトをかけながら大通りを曲がる。
 屋台にしがみついた黒猫がニヒルにウィンクし、大きく傾いた手押し屋台のハンドルを、ラーメン屋のおやじは力強く握りしめた。
「夜が俺を呼んでいる! 皆が俺を待っている! 行くぞ! 今行くぞ! ラーメンを食わせに、今行くぞ!」
 鉄帝の男は馬より早いということわざがある。
 それは人力車や手押し屋台が馬車を追い越して走る豪快さをさした言葉だ。
 蕎麦屋の出前チャリも、ピザ屋の出前バイクも、道ばたのフランクフルト屋台も、走るラーメン屋のおやじに『グッジョブ』と親指を立て、吹きすさぶ嵐のごとき風圧をはねのける。
 そう、ここは鉄帝の町リクルガテン。肉体労働者あふれる夜が、ラーメン屋台を待っている。
 彼らの胃袋を、しょっぱいものを欲する舌を、美味いラーメンを待つ心を満たすのだ。
 走れ! ラーメンランナー、走れ!

●ラーメンランナー
「ドーモ、ローレット=サン。ラーメンランナーです」
 拳と手のひらを会わせオジギをする男。頭にラーメンどんぶりを被った姿は紛れもなくラーメン屋。それも屈強な脚と手押し屋台は、ラーメン界のソルジャーとも噂される屋台ラーメン。
 彼の地元において初対面の相手にオジギをすることは最低限のマナーであり生き方なのだ。
 ラーメンランナーはオジギを解いた姿勢のまま、彼の故郷独特の訛り口調で語り始めた。
「鉄帝が近く開催を予定している闘技大会に向けて多くの肉体労働者が動員されていることはご存じでしょうか。
 一日中働いたガテン・サラリマンにとってラーメンは最大の栄養源。臓腑のみならず脳と心を癒やし明日の活力へと変えるべく、我々ラーメンランナーは走ります。
 なぜ走るか? それは、彼らがラーメンを待っているから……いや、それだけではないのです」
 ラーメンランナーは数枚の写真をとりだした。映像が激しくブレているのは、対象が思い切り走っているからだが、それがラーメン屋台を引く人間であることだけは一目してわかった。
「ラーメンランナーも生き残りの時代。数多くのラーメンランナーたちがファーストラーメンタッチダウンを目指すべく走り、その速さを競います」
 ファーストラーメンタッチダウン。それは栄誉あるラーメンランナーの称号。
 つまり……ガテン・サラリマンたちの宿泊するドヤ・ホテルスポットへいち早く到着した者が、最初にその場でラーメンを振る舞うことができるというマナーが、この場所では常識となっているのだ。
「しかし自分はこの通り、足をやってしまいました」
 苦しげに見下ろすラーメンランナー。彼の膝にはぶっすりと矢が刺さっており、完治には五日はいつだろうとのことだ。
 自らの屋台を振り返る。
「しかしこの屋台でラーメンを届けたい。その想いとココロザシは、金よりも尊いもの……。
 ローレット。いや、一夜限りのラーメンランナーたちよ。
 私に代わって、この屋台を引いてくれ!」

GMコメント

 これはガテン系労働者たちにラーメンを届けるべく最速と至高を求めるラーメンランナーたちの熱き夜の物語である!

【ラーメン・シフト】
 この依頼を受けた八人は二人組を作り4日分のラーメン屋台業務を一日ずつかわりばんこします。何日目かは指定しなくてOKです。
 困ったらプレイングに『お任せラーメン』と書いてくだされば、ラーメンランナーがぴったりのコンビをマッチングしてくれるでしょう。

【ラーメン・ラン】
 屋台駐車場と目的のドヤ・ホテルスポットはそこそこ離れており、そこまで屋台を引いていかなければなりません。
 そして並み居るライバル店よりも早く第一位で到着した屋台は『ファーストラーメンタッチダウン』と呼ばれその場で最初にラーメンを振る舞う権利を得ます。これはとても栄誉なことであり、勝利の証でもあります。
 勿論客たちも『最速のラーメン屋こそがいいラーメン』と考えているので売り上げもすごくよくなるでしょう。

 屋台は二人がかりで引いてもいいですし、片方をサポート役にしても構いません。少なくとも屋台を引くことだけは忘れないよにしてください。
 道中ではいくつかの障害がありますが、それを二人の力を合わせて突破していきましょう。
 実例を挙げると――
 ・ぐねぐねカーブ:異様にぐねったカーブ。ガードレールもぐねっている。
 ・暴れ牛:もう毎日のように牛丼屋とかから逃げ出す牛。屋台に突撃してくる。
 ・壁:あちこちにある壁。この辺のガテン系鉄帝マンにとって『壁は壊すもの』であり翌日には即直っているもの。深い意味なんてない。

【ラーメン・レシピ】
 美味いラーメンを届けたい。
 その心はレシピにだって現われる。
 使うダシ。盛り込む素材。麺の種類。スープの種類。
 それに拘ることでより至高のラーメンを目指し、振る舞うことができる。
 自分のラーメンレシピを見つけ出しガテン・サラリマンたちに振る舞おう!

  • 燃えよ、ラーメン!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年10月18日 21時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

春津見・小梢(p3p000084)
グローバルカレーメイド
アラン・アークライト(p3p000365)
太陽の勇者
主人=公(p3p000578)
ハム子
エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)
特異運命座標
ニーニア・リーカー(p3p002058)
辻ポストガール
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
ニミッツ・フォレスタル・ミッドウェー(p3p006564)
ウミウシメンタル
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽

リプレイ

●燃えよ! カレー!
「突然ですがこの屋台はカレー屋台になりました」
 寸胴鍋をカレーでいっぱいにする『グローバルカレーメイド』春津見・小梢(p3p000084)。
 開始二行でリプレイを終わらせに来た悪魔みたいなムーブだがご安心頂きたい。
「ちゃんと……作る、から」
 屋台の上にしがみついてぴちぴちしていた『ウミウシメンタル』ニミッツ・フォレスタル・ミッドウェー(p3p006564)が麺やら他の具材やらを屋台に詰め込んでいく。
 その様子を見て、小梢はぴっと親指を立てた。
「磯の香りがする……イイネッ」

 321――masquerade!
 謎の電子音と共にびぎゅんと走り出すラーメン屋台。走者は小梢。手袋ごしにバーを掴んで一目散に走って行く。
「ドーモ。ソバランナーです」
「ドーモ、ソバランナー=サン。グローバルカレーメイドです」
 素早く追いつく蕎麦屋台。電光石火の高速オジギを交わす二人。
 眼前に見えるは魔のぐねぐねカーブだ。イヤーッとかいいながら斜めにドリフトをかける蕎麦屋台を見て、小梢は眼鏡をちゃきってやった。
「え、と……大丈夫?」
 屋台の上にテンプル・シャチホコめいてしがみつくニミッツに、小梢は再び眼鏡をちゃきちゃきやって振り返った。
「ガードレールにはカレーが入っています」
「えっ……」
「カと、レーが入っています」
「ええ……」
「だからまっすぐ走っても大丈夫です」
 ニミッツの脳内でちっちゃいニミッツが『むりぃー!』て叫んだ。高○花林の声で。
 そんなわけで屋根の端っこにえいやってしがみついて強制カーブ。
 カレーは全てを解決すると信じて止まない小梢の直進ダッシュがぐにーっとカーブを描いていく。
「何ッ、あれは感性ドリフト!」
 『蕎』『麦』と書かれたメンポの下でソバランナーが目を見開いた。
 説明しよう。感性ドリフトとは豊かな感性を全開にしてとりま突っ込んでいったら察した第三者がハンドルをきってくれるというアニメでよくみる主人公ムーブである。
「ブモー!」
 焼き肉屋から逃げ出した暴れ牛がガードレールを突き破って飛び出してくる。
 横を併走する暴れ牛。このままではカーチェイスでよく見るがんがんって押し当ててコースアウトするやつになる。
「……これ、は?」
「ビーフカレーって美味しいですよね」
「えっ……」
「だから大丈夫です」
「ええ……」
 脳内ミニッツが『むーりぃー!』って叫んだ。
「ご、ごめん……ね」
 屋根の上からナマコみたいなやつを投げつけるミニッツ。
 暴れ牛の顔面にびたってくっついたナマコが突如毒ガス霧をまき散らし、暴れ牛が派手に転倒。ガードレールを再び突き破ってどこかへとコースアウトしていった。
 だが苦難は再びやってくる。
 目の前には頑丈そうなブロック塀がそびえたっているではないか!
「壁がある、よ……?」
「ありますね」
「うん……」
「カレールーも、近くで見てると壁みたいに見えるときってありませんか」
「え……ない、けど」
「だから大丈夫です」
 脳内ミニッツ5が『むりむりむりー!』と大合唱した。
 このままではぶつかる。ぺしゃんこになる。小梢は屋台に押しつぶされるしミニッツは慣性の法則で壁にべしゃってなる。鉄帝の世に散見するシャチホコめいたサツバツ・オブジェクトの一つと化すだろう。
 せまる壁めがけてヒトデ的な物体をひたっすら投げまくるミニッツ。べしべしとぶつかるヒトデが次々と小爆発をおこし、ついには壁を崩壊させた。
 崩れた壁を爽やかに突き抜けていく小梢。
 斜めにブレーキとかけてずざーっと横滑りする屋台。
「どうです、大丈夫だったでしょう?」
「むり……」
 ミニッツは屋根の上でぺたーんとのびた。

「というわけで、一晩煮込んだカレーがこちらになります」
 本当にカレーのことしか考えてなかった小梢は寸胴鍋のカレーを全力の顔で取り出した。
 カレーにしか使われない料理スキルと家事全般スキルである。名前変えたほうがいいのでは。カレー事全般とかに。
「麺とかないんで……今日はカレー屋台ってことにしませんか」
「……」
 ミニッツの脳内審査委員会が全員『むり』のプレートを掲げた。
「じゃあ、私が……作る、ね」
 ぺちぺち歩いて材料を準備しはじめるミニッツ。
 用意したのはちぢれ麺と味噌。
 そしてコンソメスープ粉末。
 補充した水をコンロで煮込み、コンソメスープをまず作る。
 そこに小梢カレーと味噌を入れ、ケチャップ、はちみつ、ニンニクといった隠し味を仕込んでいく。
 オリーブオイルをひとたらししたどんぶりにこのスープを入れ、ゆでたちぢれ麺とチャーシュー、長ネギをトッピング。更に粉チーズを振りかけて……。
「チーズカレーラーメン」
「うん、それもカレーですね」
 ほとんど全部ミニッツに任せ、小梢は最低限のラーメン屋要素である腕組みして立ってる役をひたすらにこなすことにした。

●ラーメンの勇者様
「オラァ! クソが! なんだこの仕ご――オラァ!」
 『太陽の勇者様』アラン・アークライト(p3p000365)が屋台を前に荒ぶる柔軟体操をしていた。
 その様子に震える『絆の手紙』ニーニア・リーカー(p3p002058)。
「うわあ、荒れてる。きっとエンジェルいわしの里親捜しに絶好の作戦を考えつつもうっかりプレを送りそびれたんだ。そのリソースが全部こっちに回ってきてるんだ……」
 ていうかついさっきの話だけど。
「でもって書きたくても書けなかったアラン成分をここぞとばかりに書く気だ」
 ニーニアは粛々とロープで屋台と自分の腰を接続すると、アランが屋台のバーを握るのを見守った。
「どうなってんだこの世の中はよお! 息あわせて行くぞニーニア!」
「うん、がんばろうね! GOGOGO!」
 拳を突き出し飛行を始めるニーニア。
 アランはねじりはちまきを引き締めると、火花を散らして走り出した。
 まずは鉄帝ドヤ・ホテルスポットへ続く曲がりくねったカーブゾーン。
 しかしアランは歯を食いしばったまま思い切り直進をかけた。
 なぜなら。
「てやー!」
 ロープで結んだニーニアがカーブ方向に思い切り飛行して屋台を引っ張ったからだ。
 ハンドリングを任せて自らをエンジンとするアランの作戦である。
「うわー!?」
 結果ニーニアはすんごいいきおいで屋台の重量に引っ張られて空中をぐわんぐわんしたが、こいつはいいウェイトだぜといってアランは無理矢理ガードレールをこすりながら直進。頑丈さで知られる鉄帝屋台に火花を散らして突破した。
 そんななか真横に併走しはじめる暴れ牛。こちらを餌と見なしたのかそれとも闘争本能に火が付いたのか、屋台にタックルを仕掛けてくる。
「牛野郎が、上等だ死ねオラァ!」
 屋台のバーをはなし、牛に飛び乗るアラン。
 運転手不在とならぬためニーニアがはんば目を回しながらもロープをたぐり寄せて運転を交代。
「だ、大丈夫!?」
「問題ね――オラァ! オラァ! 暴れんな牛、死ねやァ!」
 拳を固めたアランは獣のように吠えながら暴れ牛を殴りまくった。
 強い動物は頭の肉が硬い。ゆえに額では無く目や喉を狙うべし。
 アランのやり過ぎとも言えるパンチ連打が暴れ牛をよろめかせ、ついには転倒させる。
「シャアアッ!」
 倒れた牛から跳び、はしる屋台にしがみつくアラン。
「ミンチにしてやったぜ!」
「それより前に壁、壁! どうするかわる!?」
「いらねぇ、爆弾抱えて突っ込め!」
「えー……」
 ニーニアは鞄から郵便小包を取り出した。なんかチクタク鳴ってる小包を胸に抱えたまま、屋台のスピードをあえて上げる。
 爆発。
 粉砕。
 屋台にしがみついたアランはそれでも割れない頑丈な壁に頭から突っ込んだ。
「オラ死ねェ!」
 アランミサイルがひび割れたブロック塀を貫通。
 ごろごろと転がったアランが血を流してぴくぴくしている横を、ニーニアが急ブレーキをかけて屋台をとめた。
 ガテン・サラリマンたちが心配そうに集まってくる。
「お、おい兄ちゃん」
「ラ……」
「ラ?」
「ラーメン、お待たせしましたァ!」
 血まみれの顔で起き上がり、アランはねじりはちまきを叩いた。

「魚だしラーメンだオラァ! 文句言う奴は麺割るぞ! 喰え!」
 血まみれのまま、シャラァとかいいながら阿修羅のごとく両手でダブル湯切りするアラン。
 こんなに元気になって……という顔でスープとどんぶりを用意するニーニア。
「今日のラーメンはあっさり魚介ベースだよ。魚の切り身を沢山入れて、カニカマと昆布をつけちゃうよ。ミネラルたっぷり!」
 ワーイといって長机でがつがつ食べ始めるガテン・サラリマンの群れを見て、ニーニアはうんうんと頷いた。
 振り返ると、アランがダブルラリアットの動きで湯ぎりをしている。
 たまに興味本位で近づいた客がアイエーとかいって吹き飛ばされてるのを、ニーニアは『平和だなー』と呟いて見守った。

●ハムタラーメン
「ドーモ、ウドンランナ=サン。メインキャラクターです」
 規則正しいオジギ。ラーメンネームを名乗ったシュジン=コウは『ハ』『ム』と刻まれたメンポの下でぎらりと目を光らせた。
「……まってボクこんなキャラだっけ」
 『ハム子』主人=公(p3p000578)は軽く自問自答をしながらも、ラーメン屋台のバーを握り込んだ。
 このひとキャラ強いなあと屋台の後ろからのぞき見る『特異運命座標』藤堂 夕(p3p006645)。
「メインキャラクター=サン、頑張りましょう! 目指せファーストラーメンタッチダウン!」
「ヤタイ引くべし!」
 ガッツポーズをとる夕に、公はワッショイと叫びながら走り出した。
 生命の躍動を示す古来よりのかけ声だ。古事記にも書いてある。
 キャラが定まらないのがキャラ、みたいなテンションで今日の公は突き進む。
「ガンバルゾー!」
「おー!」

 うどん屋台が前方をリードする中、公はぐねぐねカーブ地帯へと飛び込んだ。
 頑丈かつヘビーな鉄帝ラーメン屋台は速度がでるかわりに小回りはきかない。
 ならばと公はエネルギーシールドを展開。あえてガードレールにぶつかることで無理矢理にカーブしていこうという作戦だ。
 もちろんまっすぐぶつかればコースアウト必至。しかし斜めに受け流すようにぶつかれば、ミニ四駆の原理でうまくカーブがきれるのだ。
 それでも曲がりきれないとき。もしくは曲がった直後の姿勢が整わない時。夕のサポートがものをいう。
「飛べっ、天嬢不知! あいきゃんふらーい!」
 菱形に変形した盾にサーフボードよろしく飛び乗った夕は、極彩色のエネルギーラインをひきながら屋台の横を華麗に滑空飛行し始めた。
 サーフボードやスケートボードのように空中をすべっていく夕。
 重量ののった屋台のスピードを追い越すのは難しいが、ジェットスキーに引っ張られるサーフィンみたいな要領で右へ左へ引っ張っていく。
 すると真正面から暴れ牛が突っ込んできた。
 前方のうどん屋台を一発で撥ね飛ばし崖下へと転落させる暴れ牛。
 ニノマイはゴメンとばかりに屋台をかばう公。
 一方で夕は速度をあげて暴れ牛の前へと飛び出した。
「夕ちゃん気をつけて! 媒体飛行時に攻撃を受けたら終わりだよ!」
「がってん承知!」
 夕は暴れ牛と衝突する寸前、くいっと腰をひねってボードをカットバック。
 サーファーが波の頂点あたりでぐいっと180度ターンして波に乗っていく時の動きである。その際バランスをとるべく片手で水面を触るがそのかわりに暴れ牛の頭を触った。
 突撃をかわされた暴れ牛がターンをかけて再びおいかけてくる。ボードから下りて今度は屋台の屋根へととびのった夕は、飛んできたボードを腕に装着。マギシュートを追いかける暴れ牛へと乱射した。
「このまま突っ込むよ、気をつけて!」
 公がシールドをパンチモードに切り替えた。
 ハッとして振り返る夕。頑丈な壁が迫っている。
 前には壁。後ろには牛。
 挟み撃ち? そうではない。
「こわれろー!」
 公の屋台もろともの重量をのせたダッシュパンチが壁を粉砕。飛んできたコンクリートブロックが夕の後頭部をめぎょっとやったが、勢い余って飛ばした魔術弾が暴れ牛に直撃。暴れ牛は倒れ、屋台は無事ドヤ・ホテルスポットへと滑り込んだのであった。

「はい、今日のメニューは担々麺!」
「インストラクション・ワン! 100杯の唐辛子で足りなければ1000杯の唐辛子で持て成すのだ!」
 唐辛子粉末の瓶を両手に持って構える公と、赤いどんぶりを翳す夕。
 作り方は簡単。濃厚な鶏ガラスープに縮れ麺。
「お野菜どーん! 肉味噌ばーん! 赤いのどばー! へいおまち!」
 ほとんど暴力みたいな担々麺を、しかしガテン・サラリマンの群れはヒャッホーといってがっついた。
 肉体労働のあとはしょっぱいものが欲しくなる。そう古事記にも書いてある。

●ロボとオークの華麗なるラーメン屋台
「ゴリョウ様の馬力にわたくしの制御技術があわされば――」
 高速で回転する『魔砲使い』エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)。
「ム!」
 のけぞりポーズで決め顔をするエリザベス。
「テ!」
 逆立ち姿勢で回転するエリザベス。
「キッ!」
 座ったついでのシャ○ンストーンポーズで振り向くエリザベス。
 その様子を一通り見ていた『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は漫○画太郎の画風でふるえていた。
「みせつけてやがる。以前にイルカに乗って暴れ放題できなかった分ここで暴れまくるつもりだぜ……」
 しかし自由闊達な美人って絵として強いな。
 横に慎重なオークがいるから累乗して強いな。
 ゴリョウはびしっと親指を立てた。
「屋台を引くのは俺に任せな!」
「ではわたくしは屋台を後ろから押す係を……屋台様ぁー、かーゆりところございませんかー?」
 指をうねうねっとさせながら屋台をまさぐるエリザベス。
「ぶははっ! 自由だなこのねーちゃん。いくぜ!」
「イエス、フォーリンラブ!」
「いまどき!?」
 屋台は走り出した。猛烈に。

 さあ早速やってまいりましたぐねぐねカーブゾーン。
「俺はまっすぐ突っ込むぜ。重心を移動させるんだ!」
「お任せを」
 ゴリョウはさっきの画風になって猛烈に叫んだ。
「エリザベ――ぬおおおおお今だッ!」
「アイエエエエエエエエ!!(かけ声)」
 屋台の端っこを足で挟んで激しくのけぞるポーズをとるエリザベス。
 すげー勢いでがくーんと傾く屋台。
「すげえウェイトだぜ。やっぱロボは重いのか!?」
「いいえ、こんなこともあろうかとその辺の岩を持っておりました」
 エリザベスが両手に岩をもったまま、足だけで屋台にしがみついてのけぞったまま、ぷるぷるしていた。オイルの涙がだばだばこぼれる。
「モドシテ……」
「無茶いうな! 次のカーブきてんぞ!」
「アイエエエエエエエエエ!(悲鳴)」
 ガードレールにすげーごりごり削られていくエリザベス。
 とかなんとかやってたら、傷だらけの暴れ牛が後方から猛烈な勢いで追いかけてきていた。
「おい牛来てるぞ牛! ……しかたねえ俺がやる!」
 ゴリョウは屋台からエルフ鋼の棍棒と盾を取り出すと、屋台のバーを蹴って跳躍。空中をくるりとまわると、追いかけてくる暴れ牛へと殴りかかった。
「美味しい牛丼になってこ――どふう!?」
 腹に暴れ牛タックルを食らうゴリョウ。
 そのまま屋台を押す形となったが、それで潰れるゴリョウではない。
 保護結界でちゃっかり屋台をガードしつつ、暴れ牛を棍棒で殴り倒した。
 いつのまにか引き手をチェンジしていたエリザベスが指を鳴らす。
「ゴリョウ様。壁でございます」
「よっしゃあ、ぶち抜くぜ!」
 屋台をよじ登って屋根に飛び乗るゴリョウ。
 エリザベスは腕を突き出すと、手首やら腕やらをこうなんかがちゃがちゃやって大砲に変えた。
「ネオアームストロングサイクロンジェットエリザベス砲(~完成度すげーなオイ~)発射!」
 壁にビームを打ち込み、ゴリョウをカバー(?)にした屋台をつっこませる二人。
 屋台は無事に滑り込み、ファーストラーメンタッチダウンをきめたのであった。

「ラーメンライスは定番」
 といって高速でおにぎりを握り続けるエリザベス。
 一方でゴリョウは只管に豚骨ラーメンを作り続けていた。
 チャーシューののった豚骨ラーメン。(固めのストレート麺)を出してくるオーク。
 そこに『私たちが作りました』とサインを入れたゴリョウとエリザベスのセクシーブロマイド(雑コラ)を添えるエリザベス。
「エリザベスぅ! 遊んでねぇで作るの手伝ってくれや!」
「はーいお客様ぁー、かーゆりところございませんかー?」
「そっちじゃねえ!」
 とこんな具合に、今日もガテン・サラリマンの胃袋はラーメンランナーたちによって守られているのである。
 ラーメンよ、永遠なれ!

成否

成功

MVP

エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)
特異運命座標

状態異常

なし

あとがき

 気づいたら調子にのって色々書きまくっていたラーメンランナーでございました。
 こういうときはMVPをつけるのが景気がよくっていいんでございますが、甲乙つけがたいもんでしてひとつ一番自由に遊んだ方につけようってえはなしになったんでございます。
 そんなわけで一番自由に遊んだエリザベス様に、今回はMVPを差し上げます。
 MVPを差し上げるか雑コラブロマイドを差し上げるかで迷ったんですが、前者にしました。

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