シナリオ詳細
覇竜で流しそうめんがしたい
オープニング
●流しそうめん
そうめん。それは主に小麦粉、塩、水などを材料として作るシンプルながら技の光る麺である。
その始まりは練達に流れ着いた麺職人だという説もあるし、豊穣で作られたものが元祖だという説もある。
だが少なくとも現時点において名前は「そうめん」に統一され、おおよその味も各地ごとの特徴はあるものの同じであるということだ。
時折青色の麵や桃色の麺が混ざっていたりして食べる人の目を楽しませたりもする、そんな遊び心も入ったそうめん。
そんなそうめんは、基本的に乾麺の形で取引されている。
つまり、適切な保管さえなされていれば、かなり長い間もつということだ。
だからこそ、夏の風物詩としてラサを通って覇竜にそうめんが流れてくることもある。
流れてくる、のだが。このそうめん、食べ方の工夫が中々難しいものでもある。
基本的には冷たいつゆに入れて食べるやり方だろう。
薬味として刻んだ小ネギを加えるのもいい。
しかしそのくらいである。完成度が高すぎるがゆえか、拡張性があまりないのだ。
だから、だろうか?
そうめんを食べるシチュエーションに、とある必殺技が追加された。
それが流しそうめん。そうめんを竹などで作ったウォータースライダーに流すことによってアクション性を追加した、夏の遊びと食を同時に味わう究極系である。
そして、そういうものを楽しめる今一番アツい場所は……当然のように、覇竜である。
●流しそうめんしたい
「次は流し素麺かなぁ」
「なあ……カブトムシだけじゃなくてな……。流しそうめんやりたい」
『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)のところにそんなことを言いに行ったのは、『ライブキッチン』アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)と『メカモスカ』ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)の2人であった。
特に示し合わせたわけでもなく、普通に流しそうめんがしたいと思い立ち、普通に相賀のところに来たのだ。
流しそうめんとは、それほどまでに魅力的だということなのだろうか?
そしてこれまた、なんという運命であろうか?
相賀の下には、ラサから入ってきたそうめんがたっぷりあったのである。
「流しそうめんか……まあ、そんな時期じゃのう」
覇竜でも、そういう文化は存在する。
竹をスパッと割ってスライダーを作り、水を流して流しそうめんにするのだ。
幸いにもつゆは相賀が毎年仕込んでいるので、基本的な食べ方については問題ない。
では、何が足りないのか?
「スライダーを作らねばならんのう」
そう、流しそうめん用のスライダーは毎年作るものだ。
その為には竹を切り、スライダーを組み立てなければならないのだ。
「その辺りを任せてもええかの? せっかくじゃから、お主らが好きな感じにスライダーを作るとええじゃろ」
幸いにもこの時期、ランニングワカタケと呼ばれる流しそうめんに使うにはぴったりの竹型モンスターがフリアノン近くに現れるのだ。そいつらを倒せば好きなだけ竹が手に入る。
そうして好きなようにスライダーを作れば、まさに理想の流しそうめんが出来る。
つまりは、そういうことなのだ……!
- 覇竜で流しそうめんがしたい完了
- 夏だからね
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年09月10日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●流しそうめんのために
「流し素麺か、なるほど風流だね」
『海淵の騎士』フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)は、そう呟いた。
流しそうめん。確かにそれはフェルディンの言う通りに風流なものだろう。
「ふふ、こちらに来るまでは縁が無かったというのに、すっかり馴染んでしまったよ。それじゃあ、存分に楽しむとしようかビスコちゃん。クレマァダさんも、どうかご一緒に……」
「そうじゃな母上、義父上!」
「あの……もうツッコむ気も起きんのじゃが……親じゃないと何度言えば……おいフェルディン、何を普通に受け入れておるのじゃ。良いのか貴様、これで!」
『メカモスカ』ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)と『海淵の祭司』クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)にフェルディンがハハハと笑うが、問題は一切解決していない。さておいて今日は流しそうめんである。
とはいえ、流しそうめんには流すためのものが必要だ。これから、そのための材料集めをする……のだが。
「なに……この、なに……? とりあえずエンジョイすればいいんだよな?」
「うむ。流したそうめん……其れを手に入れられる者は勝者として君臨し、手に入れられんかった者は『死、あるのみ』……の、おっそろしいバトルじゃ……そんな場を平和的に解決する作戦……其れは流しそうめんを更にエンタメとする事!!」
「そういう感じなの?」
『朝日が昇る』赤羽 旭日(p3p008879)と『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)がそんなことを言い合うが、まあ合ってるようなそうでもないような。
「流しそうめん……おいしそうで、とっても楽しみ! 流す為には竹が必要……ランニングワカタケ狩りだー!」
「まだまだ暑いですからね……残暑を乗り切るためにも、流しそうめん、楽しく美味しく頂きましょう♪」
『初めてのネコ探し』曉・銘恵(p3p010376)と『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)も、そう楽しそうに言い合っている。
そんなユーフォニーだが、事前に流しそうめんのスライダーの作り方を資料検索して臨んでいた。
「急カーブとかトルネードの入ったスライダー……いいですよね、その辺では楽しめないアグレッシブな流しそうめんに……! ということで、必要そうな工業機材も一式持ち込んじゃいました!」
「流石ね。これで準備は万端。あとは……」
『ライブキッチン』アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)の視線の先。爆走する竹の一段の姿が見える。
大丈夫、幻覚ではない。モンスター、ランニングワカタケたちである。
「わぁ、すごい……沢山走ってる、ゆらゆらしなってるー!」
その姿を見て銘恵も楽しそうに声をあげる。
「覇竜の外で見た竹は走ってなかったけど、覇竜の竹は走るんだね……覇竜は知らない事がまだまだ沢山で、しゃおみーもわくわくする……って捕まえないと、まてまてワカタケー! 竹キック……技名を叫びた、もとい食らったら絶対痛そうなキック……!」
練達のテレビヒーローみたいなキックをする銘恵がワカタケ集めの先陣を切って。
「倒すだけなら、纏めて焼き払ってしまえば手っ取り早いのだけれど、そういうわけにはいかないわよねぇ」
アルフィオーネも竹をできる限り傷つけずに手にするため徒手空拳で仕留めるべくワカタケの群れに殴り込んでいく。
そこに更にユーフォニーの課長アタックも叩き込まれていけば、ニャンタルもワカタケを確保するべく襲い掛かっていく。
「ちょんわーー!!」
「よし、なんとなく分かったぞ」
そんなちょんわーな様子を見て旭日も覚悟が決まったようだ。
「ひとまずランニング若竹だ。竹なエルフがついてたり、井なんかより速く走ったりしなければ何も問題ない……ないよな?」
旭日は速度だけは自信がある。だからこそ、今日の旭日は基本は飛んで走って相手を追い込む猟犬役だ。
足止めしつつ味方のほうへ追い込んでいくその姿は、まさに猟犬だ。
「というか竹はこのワケのわからん走る竹でなくてはならんのか? 普通の竹ではいかんのか? 問いたい。小一時間問い詰めたい。依頼を出した者に」
たぶん聞いても「そういうもんじゃよ」とか言いそうだが、さておきクレマァダも仕事はしっかりとこなす。
「めちゃめちゃ動きが速くないかの? アレ」
絶海拳『消波』を繰り出しながらクレマァダは言うが、格闘家の如きステップをしているのが絶妙にイラっとくる。
「さて、まずは土台となる材料の調達だけど……え、なんだって? ランニングワカタケ? ……ふっ、突っ込まないよ、ボクはギャグキャラじゃないからね」
フェルディンの言葉にクレマァダが一瞬絶妙な顔をしたのは気のせいだっただろうか?
「ローキックで攻めてきたら我もローで「反」してやるのじゃ。おらっ! モスカなめんな!」
「しかし今回は油断すると一瞬で引きずり込まれそうだ、気を付けな――な、なにッ!? あの敵、なんという足の速さだ! あんなにも重心が高く反り返っているというのに、あまりにも見事なフォアフット走法ッ! く、くそっ……! こ、これでは、いくら攻撃をしても避けられてしまう……!」
「母上ー!!義父上ーー!!我ごとひと思いにやれーーー!! いや我ごとやったらちょっと困るが。いや来い! それが愛ならば!!」
(父上なら頭のコアを避けて上手くやってくれると信じておるぞ!)
「ハッ、よすんだビスコちゃん! キミごと攻撃するなんて、できるはずがないじゃないか!! でも……でも、キミがそこまでして、あのワカタケで流し素麺がしたいと願うならば……ボクはその想いに、応えるしかない! 頭に生えてる彼女のコアさえ外せば多分……うおぉぉ、なんとかなれぇぇぇっ!!」
「はしゃぎまわっとるなあお主ら!」
フェルディンとビスコッティの寸劇にクレマァダがツッコミを入れるが……まあ、なんとかなったので流しそうめんの時間である。
●流しそうめんだ!
「舞台を整えるのはみんなが張り切ってるみたいだから俺は裏方だ裏方。工具や資材の運搬は任せろ、バリバリ―!お嬢さんガタを待たせるわけにはいかないからな!あとカップルも! 馬にけられたくはぬぇ! いないなら流す係も任せろ! 実はおいしいポジションでもあるしな!」
旭日のそんな男らしい裏方宣言もあり、流しそうめん用の道具の準備は順調だ。
アルフィオーネのリクエストにより「キュィ~ンズドドド~ングリングリンズババババ~クルリンパッスゥ~ンって感じ」を目指しているが、ユーフォニーの事前の調査もバッチリだ。
「上空のリーちゃん視点からスライダーを設置するに相応しい場所を探します! 高低差がある場所だと勢いも出て良さげですよね……途中で亜竜が来ないよう安全な場所かも念のためチェックです♪」
それだけではない。集めた素材のチェックも怠らない。
「トルネードや急カーブにも耐えられるスライダーには素材の選定も大事。太さが均一なワカタケを選びましょう。そう、これは流しそうめんの戦場です。陣地構築で組み立てつつ、モーターなど持ち込んだ機材と工業技術、それと職人魂でああしてこうしてぐるぐるっとしてばっちり頑丈なのを作ります!」
遠心力で素麺が飛んでいかないようにカーブ部分には透明な覆いと、勢いが良すぎて誰もお箸で掴めなかった時のために下にはザルも設置していく。「食べ物を粗末にするのはだめなんです」というユーフォニーの真心が反映された形だ。
そして基本設計はニャンタルだ。
「さ〜て、いっちょ作るぞ流しそうめんスライダー! 腕が鳴るわ! ガハハ!」
なんともやる気バッチリだが、その手際も中々だ。
「先ず速度。速度が出ん事には話にならん。流しそうめん=速度じゃからな! そんでもって緩急! 緩やかな所もあれば速度が出る所もあり……人生と同じじゃな……此処はじっくりそうめんを味わうポイントじゃぞ!」
そういうことらしい。キュィ~ンズドドド~ンってことだろう。
「次にアグレッシブ! そうめんスライダーの土台を(魔)改造と、竹を曲げる知識で大回転トルネード(スピード3割増じゃがはみ出さん超計算済み設計)で皆の記憶に残る流しそうめんにしたいのう! そして1つもそうめんを取れなかった者への救済措置! 水が流れるでっかいビニールプールをゴール地点に設置じゃ。プールから溢れて掬えなかったそうめんはバキュームで吸ってスタート台に再セッティング! エコ……じゃな!!」
エコは大事だし衛生面でもバッチリな感じに仕上げていく。
「周りに薬味の入った小皿も幾つか設置すれば文句なし!序に玩具のアヒル、底にはキラキラのキューブを落として涼しい&楽しいを演出。我、天才では? 天使では?? そうめんゴールでピロピロ音鳴らすようにもしよう」
「月下に咲く花菖蒲ぅ~流し流され人の世のぉ~。 ♠あんた、今日は飲み過ぎでっせ♠」
即興流しそうめんソング(演歌)を歌いながら竹を組んだり炙ったりして巨大スパイラルな渦潮レーンを作っていくのはビスコッティだが、結果として素晴らしいものが出来上がる。
「さて、と。薬味のねぎは輪切りで刻み、みょうがは薄くそぎ切りに。しょうが,山葵はすりおろし、きゅうり、ハムはそうめんぐらいに繊切りに。鳥のささみは酒蒸ししてほぐす。あとは飲み物も用意ね。麦茶、ウーロン茶、アイスティー、アイスコーヒーも候補に挙がっけど、めんつゆと間違える懸念があるため、冷たい緑茶としたわ」
「というか薬味も具材も皆料理できて偉いの! アルフィオーネすごいのじゃ!」
「まあ、このくらいは必要に迫られて……というのもあるけど、嗜みかしらね」
「しゃおみー、料理も作れるよ。錦糸卵、上手にできたから美味しく食べてもらえたら嬉しいな。みょうがやわさびは…味に慣れてないけど頑張る!」
そんな感じでアルフィオーネや銘恵たちによって諸々の準備も出来上っていくが……そんなアルフィオーネ、実のところ、流しそうめんは初体験であるようだ。再現性東京で偶然『列島縦断!1200キロ・流しそうめんの旅』というテレビを見て、つい最近知ったのだ。村でやってみようと試みたが、プラーナ村周辺では竹が取れないことが分かった。代わりの石のスライダーで見積もりを立てたが、作成に三か月かかると試算が出て、計画はご破算となった。とまあ、そんな事情もあり初体験だ。
だから、というわけではないだろうがフェルディンが堂々と進み出る。
「麺を茹でるにも、流すにも、沢山必要だからね。水はたくさん用意してあるよ。さて、と……皆、準備はいいかな。それじゃあ流していくよー」
そうしてフェルディンは思い思いに素麵をキャッチする面々を見て微笑みながら苦戦している者にはこっそりアポートで手伝ってあげるつもりだった。
(少しは流れが緩やかになるだろうからね)
「むう、チョップスティック……これは難しい。上手く取れぬが、これも味じゃろ。お、少し取れた! 取れたぞフェルディン」
「ああ、見てたよ」
「うわぉ大人の味」
クレマァダが成功体験をしているそんな中、ビスコッティが子供舌にミョウガとかわさびが入って痺れたりしていた。
「我、我メカじゃから……! できることとできんことあるから……!!」
そんなビスコッティにクレマァダは溜息。
「こちらに寄越すが良い。それはそんなに取るものではない」
言いながら、クレマァダは思い出す。
「……姉も。カタラァナも、わさびが嫌いだったのう。この世の何物も、怖いものなど無いという顔をしていたくせにわさびだけは嫌いじゃった。ふっ、面白いものじゃ……あ!べ、別にお主を認知したわけではないからな! そこのところ勘違いするでないぞ!」
「母上ー!!」
「いい話だなあ」
「お主らー!」
さておいて。
「薬味は……なんかみんながあっと驚くようなのを用意できないだろうから別ジャンルで行くことにした。海苔と生姜が好き。ということででん!かき氷機(&氷にシロップ、練乳などなど)!! もちろん自分で回すタイプ!!! アクティビティ&デザートの追加だ! 自分で回すのもよし! 誰かに任せるもよし! よければおいしく召し上がってくれ!」
旭日もそんな楽しいイベントを1つ追加していく。
「レッツ流しそうめんです♪ 流す方も食べる方も両方楽しみたいですね」
ユーフォニーもそう言うが、皆で交代で楽しい流しそうめんである。今はちょうどユーフォニーの番だ。
「そうめんと一緒にうどんも流しちゃいましょう。そうめんより太い分、お箸で掴むのも少し大変。このスペシャルトルネードスライダーで流れてくるうどんを掴めるイレギュラーズはいるでしょうか!」
「しゃおみー、お箸で頑張ってキャッチするよ!」
銘恵もそう言って頑張るが、勢いの良いうどんは中々にズシリとくる。
「そうめん、うどんも冷たくてつるってしてておいしいね。ドラネコ達も食べる?」
「ニャッ」
「ニャー」
「見た目にも涼しげね。この竹、保存はどのくらい効くのかしら……」
アルフィオーネもそう呟いてしまう程度には、流しそうめんは楽しい。そんな光景を見て、ニャンタルは本当に楽しそうだ。
「箸と箸がぶつかり合い、宙を舞うそうめん……美しい……なんと美しいんじゃ! 動画で取っておけば良かった!!」
そう叫びながらもニャンタルはこれをなんとしてでも表現しなければと気持ちが高まっていく。
「それでは聞いて下さい…《Love…そう、メン》」
ニャンタルの口から流れ出すのは即興のメロディだ。
「夏……嫋やかな君〜uuum〜君の全てを包みたいのに〜hmm〜この気持ちどうしたらいい……Love……そう、メン……」
「わあ、流しそうめんの歌……!」
「これが、そうめんの歌……! しゃおみーも歌えるなら歌いたいな」
「ふふ、楽しいですねっ。一緒に歌いましょうか♪」
そうしてユーフォニーと銘恵も歌い出して。そんな2人を見ながら、ニャンタルもそうめんをすする。
「うまぁ!!」
そう、今日の流しそうめん……成功である!
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
そうめん美味しいですよね
GMコメント
流しそうめんのAAが2つきたので。
というわけで流しそうめんです。
・フリアノン近くを爆走する「ランニングワカタケ」を倒す
・流しそうめん用の舞台を整える
・レッツ流しそうめん
こんな感じです。基本のつゆとそうめんは相賀が用意してくれます。
そこに何か一味、いやそうめんなら俺に任せろという場合はプレイングにて。
さあ、レッツ流しそうめん! 思いっきり楽しんでくださいませ!
●ランニングワカタケ×たくさん
走る竹。まだ若いようで、よくしなります。
攻撃方法は竹キックです。痛い!
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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