PandoraPartyProject

シナリオ詳細

参加者は強制的にスケスケアオザイを着てもらいます

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●夏は筋肉
 筋肉! 筋肉はすべてを解決する。
 筋肉ほど頼れるものはない。筋肉は裏切らない、筋肉はあなたの最良の友だ。心を潤し、体を健康にさせ、寿命を伸ばし、メシを美味くする。筋肉さえあればモテるし、金風呂で美女に囲まれてウハウハも夢ではない。筋肉! 筋肉! 筋肉最高! 仕上がってるね! 僧帽筋! 6LDK! シックスパック! さあ、あなたも叫ぶのです。筋肉最高ーーーーーーーーーーーーーー!

●夏はシレンツィオ
「いえ、この格好の妨げになるので、私は筋肉はいいかなって思います」
 トール=アシェンプテル (p3p010816)が一刀両断した。
 TOPの右の方の子である。悲しいことに仕様で集中線をかぶってしまっている、ほんというとトールにも集中線をあてたい。一身上の都合により、敬称をつけることすら厳しいが、そんな子ほどかわいいですよね。へっへっへ。たまりませんな。なお、ついでだからこのシナリオをのぞいた人はトールのイラスト一覧を見に行ってぜひオマケ納品を見てほしい。だまされたとおもって。
「あー、そんな本当のこと言っちゃだめだろ。俺だってゴリゴリには、うーん、いや、ありかないかで聞かれたら、その、ないよりのありかなって……」
 優柔不断なことを言っているのは零・K・メルヴィル (p3p000277)。TOPの左の方の子である。みんなおなじみパン屋の零くんだ。混沌で流通しているフランスパンの大半は彼のギフトによるものだ。戦闘もがんばってるし、最近料理にも目覚めたらしい。注目度赤丸K点超えの期待の重鎮である。同じく集中線をかぶっている。悲しい。なんとかなりませんか運営さん。
「ぶはははっ! そんな些末なことで忙しい運営さんをわずらわせちゃだめだぜ? 俺とのお約束だ!」
 中央にでっかく立っているのは、ゴリョウ・クートン (p3p002081)。
「そもそも俺はどっちかというと固太りに入るんだが、それでもいいのか?」
 冷静になるゴリョウ。でもまちがいなく立ち絵のテンションはぶっちぎっている。混沌の良心、みんなのオトン。困ったらゴリョウ亭へ行け。大丈夫、なんかあるから。これが初心者の間の合言葉だ。しらんけど。でもゴリョウさんのパパみはどこいっても通じると思うんスよ。送った称号スキルも使ってもらえててうれしいです。
 そして。
「なんで僕だけ立ち絵がないんだよ! そもそもスケスケアオザイは僕発祥だろ!?」
 憤慨しているのは青いうさぎの獣種、カトルカール (p3p010944)。かの商人ギルド、サヨナキドリはシレンツィオ・リゾート支部支部長こと、アジアン・カフェ『漣』の看板店長だ。看板、とつくとおり、彼もスケスケアオザイである。店長自らの奥ゆかしいおもてなしは漣の名物になっている。なお、人間形態の彼はショタい。じつにショタい。うつくしい。どれくらいかというとほっそりした肢体の危ういラインが……。
「とにかぁく!」
 地の文を強制中断し、カトルカールは声を張り上げた。
「『漣』がつぶれそうなんだ!」
 えっ、そうなの?
 ゴリョウもトールも零も、そしてあなたも、そんなことある? って思った。
「経理がポカして、給与とボーナスと支払と納税がいっぺんに重なっちゃったんだよ!」
「ああ、資本はあるけどキャッシュが足りなくて、資金がショートする系」
 零がごくりと固唾をのんだ。彼、こう見えて社長なのである。現金の大切さは身にしみている。
「ということは、どういうことなんです?」
 いまいちわかってないトールに、カトルカールが深刻な顔を見せる。
「今日売上だしとかないと、不渡りが出る」
「綱渡りすぎる」
 おもわず真顔になってしまったゴリョウ。
「どうしてそんなことになったんですか?」
 トールがさらにツッコむ、こやつ、恐れを知らない。カトルカールはため息をついた。
「ほら、最近、天義からわらわら出てきたスイコーシャとやらが暗躍してるじゃん? おかげでリゾート気分の人が減って、売上がガタ落ちなんだよ」
 それで、どうしてローレットにお呼びの声が? あなたがそう問うと、ふう、とカトルカールはたそがれた。
「盆休みって、知ってる?」
 それで従業員が居ないのか。あなたは納得した。普段ならシフトの穴を埋めてくれる店員まで、最近の動向に不穏なものを感じ、せめて生きてるうちに家族に会いたいと休暇を申請してしまったのだ。
「そんなの有給だすしかないじゃんね!? そのうえ、人が減ったもんだから、ここぞとばかりに無番街からガラの悪いのが出てくるし、ほんとスイコーシャは害悪だよ!」
 見かけたら全力で殴っといてね! 蹴ってもいいよ! ブチギレカトルカールくんはキシャーってうさぎにあるまじき声を上げている。
「つまり動けるのが、いま、カトルカールさんしか居なくて困っている、ということですね?」
 さらに追い打ちをかけるトール。
「そういうこと! 妹のえくれあだって練達でがんばってるんだ! 兄貴の僕が店潰しましたなんてことになったら泣いちゃう! なんとか乗り切らないと来月の給与の支払いもヤバい! 上司(誰のことだろうね、ヒヒ)は怒らない人だから余計コワイ! 針のむしろ!」
 さっきから生々しいよなあと、あなたは思っていた。
 とにかく、ここへ来たからにはスケスケアオザイを着なくてはならないようだ。何故か? 制服だからだ。店長が着ているのだ。店員のあなたが着ないという選択肢はない。
「あー、もうちょっと露出の低いものはないか?」
 ゴリョウがねんのため聞く。
「あるわけないだろ。『漣』は僕が法律だぞ!」
 ふんぞりかえったカトルカール。あなたはしかたないなとおもいつつ自分のアオザイを選び始めた。そんなあなたが、うしろからちょいんとひっぱられる。振り返ってみれば、カトルカールがあなたの服の裾をつまんでいる。彼は頬を染めたままぼそっとつぶやいた。
「……き、来てくれたアンタには感謝してるからな。そこは勘違いするなよ?」

GMコメント

みどりです! ご指名ありがとうございます!
スケスケアオザイを着ろ(圧)。

やること
1)プレイングにスケスケアオザイの詳細、もしくはイラストのURLを書き込む
2)覚悟を完了する

これがメインです。メインだといったらメインだ。
そのうえで下記から選択肢を選んでください。実質ライトシナリオですね!

●シレンツィオ・リゾート
 かつて絶望の青と呼ばれた海域において、決戦の場となった島です。
 現在は豊穣・海洋の貿易拠点として急速に発展し、半ばリゾート地の姿を見せています。
 多くの海洋・豊穣の富裕層や商人がバカンスに利用しています。また、二国の貿易に強くかかわる鉄帝国人や、幻想の裕福な貴族なども、様々な思惑でこの地に姿を現すことがあります。
 住民同士のささやかなトラブルこそあれど、大きな事件は発生しておらず、平和なリゾート地として、今は多くの金を生み出す重要都市となっています。
 https://rev1.reversion.jp/page/sirenzio

●シレンツィオが舞台なので、専用携行品を使用することができます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。


行動の指針
アジアン・カフェ『漣』でのあなたの行動を選んでください。

【1】ホール
接客をします。幸いにも競合他社はお休み中。とはいえ、呼び込みもしたほうがいいかもしれませんね。お客さんは、お、やってんね! くらいの気軽さで入ってきてくれます。スケスケアオザイを着ろ。

【2】キッチン
今日の『漣』のコックはあなたです。どんなメニューにしますか? 軽食、前菜、ガッツリ、デザート、ドリンク、ファミリー向け、個人向け、どんな感じにしましょう? それはともかくスケスケアオザイを着ろ。

【3】用心棒
無番街からガラの悪いのが出てきているようです。強盗事件になる前になんとかしなくてはなりませんね。因縁をつけての無銭飲食や、お客さんを狙ったスリにも注意です。なぜかスケスケアオザイを着ます。制服だからだ。

  • 参加者は強制的にスケスケアオザイを着てもらいます完了
  • GM名赤白みどり
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年10月17日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
※参加確定済み※
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
※参加確定済み※
Lily Aileen Lane(p3p002187)
100点満点
紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
真打
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
トール=アシェンプテル(p3p010816)
ココロズ・プリンス
※参加確定済み※
カトルカール(p3p010944)
苦い
※参加確定済み※

リプレイ


「うわーーん不渡り怖い!! 経理・会計の馬鹿ーーー!!!」
「なんでこんなお仕事に推薦したんですか! よりにもよって僕を、こんなスケスケアオザイを着るお店に!!??!」
 シレンツィオの青空へ悲鳴が響き渡る。とつぜん窮地に陥った『苦い』カトルカール(p3p010944)。そして嫁さんにスケスケアオザイを着てこいと笑顔で送り出された『夜鏡』水月・鏡禍(p3p008354)。
「あのさあ、ほんとさあ、キャッシュマジ大事なとこだからやめてよね!? もっと計画的に支払いはしてくれよ!! 監査きて怒られるのは僕なんだぞ!? 次はポカするなよ!? ぜーったいポカするなよ!?!?」
 いいな! 絶対にだぞ! とカトルカールは、青いうささんから変化した。次の瞬間立っていたのは、眼を見張るような美少年だった。やわらかな水色の長い髪がしだれて風になびく。ほっそりとした肉体を彩る清廉な蓮の入ったアオザイが異国情緒あふれる色気を感じさせる。端的に言って、ヤバイ。
「カトルカールさんはまだいいですよ。僕なんか、僕なんか」
「いやあ、似合ってるぞ」
 嘆く鏡禍へ『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)がかけたフォローは不発に終わったかのように見えた。
「だって、こんな! こんなにスケスケで!」
 鏡禍はくるっとターンした。意外とノリノリだぞ、このウォーカー。紫で統一されたアオザイは、腰回り以外は見事にシースルー、鏡禍のやさしく、なまめかしい肢体を見せつけている。特筆すべきはやはりふとももの肉付きだろうか。禁断の領域からのびる充実した両脚は、女性的とすら言える。ところでアオザイの構造についてここで再確認しておこう。なんといっても、特徴的なのは、腰の上まで来るスリットだ。つまり、このシースルーを通り越して透明な綾のボトムを横から見ると、はい、犯罪。
「その点、私たちはしっかりガードしてますから、安心ですね」
 そうのたまうのは『女装バレは死活問題』トール=アシェンプテル(p3p010816)だ。大丈夫か? このリプレイが時空の狭間のちょっと面倒なところに落ちている間にAURORA再起動おめでとうございます、おいといて、女装バレもOKになったのか? そう錯覚してしまいそうなほど攻めたデザインのアオザイは、見事なスリットがわきまで続いている。動きのじゃまにならないよう編み上げられた隙間からはぜいたくなほどの生肌がチラリ。その下に見えるのは、黒のビキニ。レースのハイヒールと合わせた足元も色っぽいのは当然として、ガーターリングのうるわしさ。そして、ぱんつはTです。
 そして、そして黒ビキニはここにも居た。にっこり笑っているのは『甘夢インテンディトーレ』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)。清楚かつ正統派の白アオザイの下から、むっちりとしたバストときゅっとあがった小尻を強調するかのような黒ビキニを惜しげもなく晒している。ガーリーボブを飾る蓮の花飾りがまた愛らしい。くりんとした大きな瞳を際立たせる花飾りが、見た目相応のあどけなさとあやしいまでの大人の香りをただよわせていた。まっしろなハイヒールがまた、小さなつま先を強調して踏んでほしいくらいかわいい。
「ビキニ着てるから怖くないもん☆ 見た目も大好きだし、上手に着こなせるようがんばってみたよ、どうかな?」
「うん、似合ってる。いいと思う」
「そういう零君もすてきだね」
「……ありがとう」
『恋揺れる天華』零・K・メルヴィル(p3p000277)のテンションが低いのは、まあご想像のとおりだ。零は男である。男なのだが、どうしてこんなに黒ビキニ、似合っちゃってるの? ブーメランの黒をひっしに隠す手元が、黙っていれば貧乳の女性だと言っても通りそうな容姿を最大限光らせている。そのうえから着込んだ緑に染まっていくシースルーアオザイもまた、情緒が乱れる美しさ。アースカラーでまとめた衣装は、どこへだしても恥ずかしくない漣店員。
「……只のスケスケアオザイならギリ許容できたんだ。……なぜ、下に水着を」
 まあ仕方ない、仕事に羞恥を挟むもんか、と気合を入れた零だったが、やっぱり股間がきになるのか、そこだけは鉄壁ガード。
「ッスウー……」
 歯と歯の隙間から息を吸っているのは死ぬほど後悔している『真打』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)。むちんむちんの、わきちち。ぷりんぷりんの、おけつ。ふっさふさの、しっぽ。そして黒ニーハイ。その上からこれ見よがしに重ねた薄い薄いアオザイが、歩く度に揺れる胸やおしりやしっぽや、ポニーテールを、隠すどころか輝かせている。ああ、ありがたや、ありがたや、ちちしりふとももちちしりふともも。そこにばかり目が行ってしまうが、それは華奢な手足が織りなす女らしさがあるからこそ。心の底から称賛したい美少女(年齢・性別UNKNOWN)だ。なお、本体はパンドラ収集器にもなっている刀である。
「はあー、なんつーか、集まっちまったなあ。まあやるしかないんだけどな」
 あらためて紹介しよう、かつては母似の美少年、いまや押しも押されもせぬ混沌界のファッションならぬフードリーダー、ゴリョウ・クートン。
「俺、まちがっても二枚目じゃないはずなんだが。なんで看板はってるんだ?」
 あなたがいちばんえろいからです。
 見事な流線を描く筋肉、どっしりとしたシルエット、つきでた太鼓腹もどこか安心感があり、それらを体型のごまかしようがないスケスケアオザイに包む姿。スクショとっておきました。黒い肌にふわりと巻き付く青の清涼さはまるで本人の心根を表すかのよう。大きなごつい手や、しっかりとした両足。男らしさあふれるこの色気に、ハイビスカスの赤のアクセントがすばらしい。でも本人は不服そうである。
「なんでみんなしょっぱい顔、です? これ制服、ちがうです?」
 そのままでいてくれ、『ささやかな祈り』Lily Aileen Lane(p3p002187)。いや、ちょっとあぶなっかしいかもな? 白に白を組み合わせるハイセンスは、それゆえにごまかしがきかない。そう、彼女はまっしろなチャイナシューズ、まっしろなストッキング、まっしろなガーター、まっしろなビキニ、まっしろなスケアオザイ。まっさきに目が行くのは、やはりふっくらやわらかそうな大きな胸。もちもちした理想的な大きさと質感を持つ直球ストレートのエロス。相反するうぶな笑みにくらりとこない者がいようか。自分の容姿へ自覚がない感じのLilyは、小さく拳を振った。
「閑古鳥が鳴かないようにがんばるぞ、えいえい、おー」


「んしょ、んしょ」
 鏡の前で顔をこねくり回しているLilyに、鏡禍がふしぎそうな顔をする。
「なにをしてるんですか?」
「笑顔の練習、です」
「それは大事ですね」
 表情筋を揉むと笑顔も自然になるらしい。本当かどうかは知らないが、鏡禍もLilyを真似してほっぺをむにむにした。
「それではいきましょうかLilyさん!」
「はい、です」
「「漣、開店、です!」」
 カーテンをひるがえし、入口のドアを開ける。アジアンカフェの始まりだ。日光がさっと部屋の中へ入ってきて、濃い影を落とす。その影からLilyはおずおずと、鏡禍は堂々と出撃した。たしかに普段ほど人がいない気がする。これも天義の混乱の影響だろうか。これはがんばって呼び込まねば、とLilyと鏡禍は思った。
 さっそくクーポン付きのビラを手に取り、Lilyは通りへ出る。向かいからやってくる家族連れに、いっしょうけんめいビラを見せてアピール。
「漣やっています、です。お越しくださると、嬉しい、です」
 興味深そうな奥様、興味なさそうな旦那さんとお子さん。ここはもっとアピールしなくては、と、Lilyは両手をわたわた動かす。
「えと、今日は、ゴリョウさんが、お料理を出す、です」
 なんと! 旦那さんが目を光らせる。きょとんとしてる子供に、Lilyはしゃがんで視線の高さを合わせる。
「おいしいごはん、たくさん、です。わかります、です?」
 なにがあるのと聞かれたLilyは言葉に詰まった。そういえばどんなメニューだったっけ? わああ! とってかえって聞こうかと思ったそこへ影が差す。鏡禍だ。
「今日のキッチンは総勢4名。言わずと知ればゴリョウさんとパンなら任せろの零さん、この二人は有名ですね。さらに、再現性東京産の点心の腕を振る舞ってくれるミルキィさん、そして烏龍茶の目利きで知られる店長、カトルカールさんです。ね、Lilyさん?」
「そう、です。行かないと損、です。とってもおいしいし、くつろげる、です」
 ここぞとばかりに両手をブンブンさせるLilyを微笑ましく思ったのか、家族連れはビラを受け取った。
「鏡禍さん、ナイスアシスト、です」
「いえいえ、礼にはおよびませんよ。Lilyさんがお客さんを引き付けてくださっていたからです」
 家族連れをかわぎりに、徐々に徐々に人が集まってきた。鏡禍はうやうやしく頭を下げながら、入ってきた客をさばいていく。席は半分ほど埋まっている。もう一声ほしいところだ。
(はー、ここにお嫁さんが居たらなあ~。いっしょに接客したんだけど。スカートを合わせたかわいらしい桃色のアオザイとか、ぜったい似合いますね。ポーズつけてふたりで立ってるだけで絵になりますよ、僕のお嫁さんはとにかくかわいいから)
 などと鏡禍が夢見ていると、広域俯瞰のはしっこに物騒な人影が見えた。片足で半円を描き、つまさきで床をとんと叩く。ほのかな紺色の光が店を包んでいく。輝きにお客は喜んでいる、が。
(鏡禍さんの保護結界)
(出番か)
 トールと紫電が目くばせしあう。間に合せの剣を帯びて、きりりと立つ少女(?)の横顔はうつくしい。
「しかしあれだな」
「なんですか、紫電さん」
「どっちのトールもいいな」
「しっ! それ以上はいけない! というか、いまから用心棒として動き回りますから、紫電さんはぼく……ちが、私が、危険な時は助けてくださいね」
「トールが危険ってよっぽどじゃないか?」
「そういう意味じゃなくて」
「ああ」
 ぽんと手のひらを打った紫電は、トールの股間に目をやったのち……手でメガホンを作って叫んだ。
「ポロリもあるよ!」
「そうならないようにしてくださいって、言 っ て る ん で す」
「まて、落ち着け。今のは冗談だ。わかったから剣を人の首に突きつけるのはやめろ。おい、見るからにガラの悪いのが入ってきたぞ」
「私が対応します」
 無番街から来たと思しき男たちは、どっかりと窓際の席へ腰を下ろした。正直言って早く出ていっていただきたいが、今のところ、横柄なだけのただの客だ。トールは笑顔で注文を取り、両腕に珍味を載せた皿を並べ、モデルウォークを披露した。
「おまたせしました」
 笑顔で料理をサーブするトールの背後から、とつぜん悲鳴が上がった。
「お客様困ります、ストップ無銭飲食」
 振り返ると、紫電が目立たない男の腕をひねりあげているところだった。
「くそぁ!」
 男が胸元から銃を引き抜いたそのとき、トールが跳んだ。めり。男の背へ蹴りが突き刺さる。紫電は阿吽の呼吸で愉快玉を光らせ、トールの肝心な部分を隠してのけた。
「おうおう、どこの組のもんじゃワレェ言うてみい」
「ひいい!」
 しゃがみこむ男の後ろへ、トールがマークしていた男たちが並ぶ。
(もしや、ぐるか?)
(それならおもいっきり戦うだけです。お店の外で!)
 緊張した雰囲気。が、あっさりとほどける。紫電が捕まえたのは、男たちのシマでケチな盗みを働く小悪党なのだそうだ。そいつが店へ入っていくので監視がてら自分たちも入ってきたのだという。そのまま小悪党はお持ち帰りいただいた。長々と悲鳴が聞こえたが、自業自得なのでほうっておくことにした。
 鏡禍が笑顔を浮かべて拍手する。
「捕物ショーはいかがでしたか皆様! 見ての通り警備は万全です。安心して楽しい時間をお過ごしください!」
 鏡禍の声に、割れんばかりの拍手が続いて、トールと紫電を包んだ。
 そうやってみんなして忙しく働いて約半日。ランチの時間も終わり、お店は小休憩。CLOSEDの看板を出したカトルカールが、ホールの仲間を呼び集める。
「おつかれさん。前半戦終わりだ。まかないを食べて一休みだ」
「おうおう、慣れない仕事で疲れたろう、俺の料理で精をつけてくれや!」
 ゴリョウが大皿をどんとテーブルへ置く。歓声が上がった。色とりどりの軽食の数々。おいしそうな香りに、思わず腹がなる。
「俺の知ってるアオザイの本場は、米大国。米といえば俺、俺といえば米、個人的にも挑戦してみたかったところよ」
「デザートもあるからね♪ こっちはチャイナ風、えへへ、再現性東京で楽しんだことがあるよ☆」
 ミルキィが蒸し上げたばかりのせいろをうれしげにテーブルへ乗せた。蓋を取れば広がる湯気とわくわくする香り。
「ドリンクはうちの売りの烏龍茶をよろしく。各自の見比べてトークの種にしてくれ」
 今度はカトルカールが茶盤を置く。茶壺に茶海に茶杯。手際よく、そして優雅に茶をいれる手付きは熟練の職人のようだ。
「うちのボスからGOサインが出たから、今日はとびっきりの茶葉を使うぞ。せっかくこうして集まってくれたみんなのためにも、その、なんだ、お礼、みたいなもんだ」
 あわよくば烏龍茶にはまってほしいとの心の声は隠し、カトルカールは咳払いをすると、皆へお茶を振る舞っていく。
「ふわ、これが、漣名物のお茶ですか? えと、どうやって飲むんだろ、零」
 赤いスケアオザイ着込んだまま不安そうな顔のエル。となりで、零がカリカリに揚げたバインゴイをパンに挟んでいる。零はいったん手を休めると、エルの前に出された器の説明からはじめた。
「えーと、まずこの細長いのがあるだろ、これが聞香杯。これをとって香りを楽しむ」
「うんうん」
「ふむふむ」
 メモを取っているのは、ヤマダ。黄色いスケスケアオザイをしっかり着込んで、レジ打ちをしていたのだ。
「ボクの世界の隣国の茶器にそっくりだ。淹れ方もよく似てるね」
 これに手順をまとめといたよ、とヤマダはメモ帳をかかげる。有能、とカトルカールはうなずいた。みんなして回し読みして、手順を覚えていく。
「午後の部のホールは、お客さんの前でお茶を入れるところからやってもらうからな! 返事!」
「「さー、いえっさー!」」
 びしっと敬礼をするLilyと鏡禍、そしてトール、へいへいわかりんしたって感じの紫電。
 そのわきで、零が目をキラキラさせていた。
「これが! ゴリョウ専極・一茎秘訣書!」
「おう、見ていいぜ、零」
「いいのか!?」
「代わりに、仕込みを手伝ってくれよな」
「もちろん!」
 零が興奮するのも無理はない。手の中にあるのはゴリョウ料理の集大成なのだ。皆が満腹し、店の清掃が始まるまで、零はじっくり読みふけった。ゴリョウがさて、と腰を上げると、零はあわててそれを返した。
「ありがとな、ゴリョウ。今日学んだことは、必ず活かしてみせる」
「そう気負わずにまた見に来ていいんだぜ」
「行く!」


 日が暮れてからは昼間が嘘のような混み具合だった。
「鳳凰単叢、2つ、春巻き盛り合わせ1つ、です!」
 Lilyが喧騒に負けじと声を上げる。厨房は戦争のような忙しさだ。鏡禍も駆けつけて注文を唱える。
「サラダ4人前、フォーひとつ、お粥ひとつ、それから炒飯ふたつお願いします!」
 両手にお盆を持って片付けをしていた紫電が、すれちがいざまにトールへ声をかけた。
「三番テーブル、文山包種茶まだ?」
「いってきます!」
 急いで注文の品を出すトール。ミルキィがデザートをせっせと作っている。
「烏龍茶といえば、飲茶だもんね! でもココナッツミルクのぜんざいが一番人気だなんて、ちょっとびっくりだよ☆」
「今日は珍しいものがそろってるから、お客も好奇心につられてバンバン注文してくれてるんだ」
 カトルカールが後方マネージャー面をしている。顔がそうなだけで、手は止まっていない。
(……不渡り回避確定だ。兄ちゃんはやったぞ、えくれあ!)
 心のなか、ひそかにガッツポーズをとるカトルカール。そのうしろではわりと深刻な人手不足が起こっていた。
「手が足りないですよ。零さんも手伝ってください!」
「ええっ!? いま蒸しパンしかけたばっかりなんだけど! 誰がめんどうみるんだ、トール!?」
「いってあげなよー☆ ボクが見とくよ♪」
「わかった、頼んだぞミルキィ!」
 ホールへ飛び出ていく零を見送ると、ミルキィはキッチンの奥まで移動した。そこでは獅子奮迅の活躍をするゴリョウの姿があった。
「それ、お菓子、です?」
 休憩がてら水分補給をしていたLilyがたずねる。ゴリョウは楽しげにうなずいた。
「こっちが揚げバナナ、こっちがソイ・ヴィ」
「ソイ・ヴィ?」
 ミルキィといっしょに鏡禍もくびをかしげる。ゴリョウはぶははと笑いながら続けた。
「パンダンリーフで色付けした、味付きもち米ってところだ。試食していくか?」
「お願いできますか? 商品を知っていたほうがトークもできるので」
 鏡禍の返事に心得たとばかりに、ゴリョウが一切れずつホールスタッフへ配る。みんなして口へ運び、あまりのおいしさに目を合わせた。
「んーおいひー☆ そっちは? そっちは?」
「バイン・ヤ・ロン」
「ばいん☆やろん?」
「豚の皮ケーキだ」
「えっ、です」
 ミルキィといっしょに、Lilyがぎょっとしている。ゴリョウはいつもどおり豪快に笑い飛ばした。
「安心してくれ、見た目が豚肉っぽいだけで、ちゃーんとうまいぜ!」
「ミルフィーユみたいですね」
 感心したのか、鏡禍は神妙な顔で試食している。
「あ、火!」
 ミルキィがあわてて零の蒸しパンの様子を見に行った。ギリギリセーフ。照れながら帰ってきたミルキィが、ゴリョウへ声をかける。
「ボクにも料理教えてほしいな~♪」
「おう、いいぜ。来る者拒まずだ」
「やったー☆」
「あっ、みんなだけ試食してずるい! 俺も俺も!」
 戻ってきた零に、はっと自分の仕事を思い出すスタッフたちだった。

 外には月がポッカリと。常夏のシレンツィオへも、秋の気配が、もうそこまでやってきていた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

おまたせしましたー!!!

遅れまして申し訳ない。

烏龍茶、気がつくと飲んでます。

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