PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<英雄譚の始まり>第一歩を共に

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<英雄譚の始まり>第一歩を共に
 果ての迷宮であった場所に辿り着いたイレギュラーズ、そこには美しい風景のプリエの回廊(ギャルリ・ド・プリエ)が拡がる。
 更にその回廊に並ぶのは、『ゼロ・クール』と名付けられし機械人形達。
 全く人の見た目と変わらないような者も居れば、明らかに機械生命体と分かるような外見の者も居り、その姿形は千差万別。
 ……その奇妙な光景に戸惑い、立ち止まっていると……イレギュラーズ達の前に姿を表すのは……赤い髪の少女。
「……ようこそ、ギャルリ・ド・プリエへ」
 と彼女は言うと共に、軽く頭を下げる。
 その振る舞いに、何処か高貴な感覚を覚えるものの、その腕・足を見ると……人には無い、明らかな接合部が見える。
 そして、彼女は顔を上げると、表情は殆ど変わる事無く。
「この世界は、滅びに面しています。異世界からの来訪者の世界よりも、もっと早く、ずっと早く」
「……ですが、この世界でも生きている者は居ります。廃棄された世界であれど、私達は存在しております--どうか、お助け下さい、来訪者様」
 丁寧な口調だが、感情をその言葉の中に見出す事は出来ない。
 最初は何となく……段々と確信に。
 恐らく彼女も又、この回廊に並ぶ『ゼロ・クール』と同じような存在なのだろう。
 そう言えば……。
「ちょっとした好奇心でもいい。世界を救う手伝いをしたっていい。それから私の故郷を見に行ったって良い」
 少し前に、境界図書館館長『クレカ』が発した言葉。
 世界を救う事が、彼女達を助ける事になるのだろう……。



「……という訳で、だ。すまないが、君達にはこの子を連れて、獰猛なる獣から『ささくれだった毛皮』を手に入れて来て欲しい訳だ」
 そして『ギーコ』と呼ばれた彼女に連れられた君達の前に現れたのは、長いローブを身につけた男。
 何処か胡散臭そうだが……ギーコに問うと、彼は魔法使いと呼ばれるこの『ゼロ・クール』に『命』を吹き込む者達の一人、との事。
 そして彼の前には、一目見ただけでは『人間』と見間違うような少女の姿の『ゼロ・クール』。
「彼女はまだ作られたばかりだ。私は『SA-31ロ号』と呼んでは居る。不便ならば君達が勝手に名前を付けるといい……彼女はまだ何も知らない。君達に同行することで、少しでもこの『プーレルジール』を理解させて欲しいのさ」
 彼の言葉に、少女の様な『ゼロ・クール』は……ぺこり、と頭を下げる。
『よろしく……おねがいします』
 純真無垢な瞳は、未だ何も知らない様で……そんな彼女に、ここ、『プーレルジール』を見せて、理解させる事が今回の仕事。
 ただ、プーレルジールには獰猛な獣も巣くっており、彼女を守りつつ、獣を倒す事。
 ……駆け出しの頃のことを少し思い出しつつも、君達は大平原のプーレルジールへと向かうのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 新たな『境界』世界にようこそ。

 ●成功条件
  『SA-31ロ号』と呼ばれし『ゼロ・クール』の少女と共にプーレルジールの地を探索し、襲い来る獣を退治する事です。。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   プーレルジールの地は平原地帯です。
   大平原の中に転々と、村が点在しているという状況です。
   今回はそんな平原の一角にある『ゴルドニー』の森の中で、獰猛な獣である『終焉獣』を倒し、その皮を剥いで持ち替える事です。
   森の中は薄暗いので、暗視等を持っておくといいかもしれません。
   尚、魔法使いの方からは今回のゼロ・クールの少女をどう呼んでもイイ、とありますので、少女にかわいい名前を付けてあげてください。(成否には特に影響しませんが)

 ●討伐目標
 ・狼形状の素早い獰猛な『終焉獣』達
   姿は『狼』、夜目が利き森の薄暗闇の中においても問題無く動けます。
   又四肢を跳躍させて左へ右へと飛び回る素早さと、鳴き声で他の仲間達と一緒に連携行動します。
   単体自体での戦闘能力はそこまで高くは無いものの、連携して一気に大ダメージを与える可能性があります。
   勿論、『ゼロ・クール』の少女を狙う可能性もありますので、そこは特にご注意下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <英雄譚の始まり>第一歩を共に完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年09月01日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
シルフォイデア・エリスタリス(p3p000886)
花に集う
武器商人(p3p001107)
闇之雲
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
ライ・ガネット(p3p008854)
カーバンクル(元人間)
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く
アリカ(p3p011038)
お菓子の魔法使い

リプレイ

●新たなる大地と
 果ての迷宮の先に拡がりし、プリエの回廊(ギャルリ・ド・プリエ)。
 そこに居りし『ゼロ・クール』を連れたイレギュラーズ達は、長閑な平原地帯を歩く。
『……』
 無言で、イレギュラーズの後方を歩く『SA-31ロ号』と呼称されし彼女は……ただ真っ直ぐに道の先を見るがのみ。
 そんな性別があるかは分らない『ゼロ・クール』に対し、『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)は。
「そうか……未知の世界の探索、か。それを俺達に任せるとは、冒険者の血が騒ぐな。色々とこの世界を見て回りたい所だな……」
 何処か嬉しそうなライに、『花に集う』シルフォイデア・エリスタリス(p3p000886)と『闇之雲』武器商人(p3p001107)は。
「そうですね。似て非なる世界というものは、確かに興味深いのです。きっかけというものは、どこにあるか分かりませんしね。こちらの住人の方々に協力しつつ、というのは確かに良い事かと」
「そうだねぇ……『魔法使い』とゼロ・クールかァ。『魔法使い』とあらば、我が『隣人』だ。この世界のことを探りつつ、仲良くやっていきたいところだね。ヒヒ」
 との二人の言葉に、ライが。
「足を引っ張る訳にはいかないし、とりあえずは依頼に集中しないとな」
 と言うと、『修羅の如く』三鬼 昴(p3p010722)も。
「ああ。今回の依頼は森で狼型の獣を狩り、その毛皮を納品すればいいんだな。であれば、私のサバイバルの知識が役に立つかもしれないな。であれば、私のサバイバルの知識が役に立つかもしれない。足跡や、食事の痕跡といったものから、身体の大きさ、群れでの規模、どの方向に向かったか、と。どれくらい前にそこを通ったかなどの情報を読み取る事で追跡が出来る筈だろう」
 昴の言う通り、『魔法使い』より命じられた依頼は二つ。
 彼女を連れて、この世の中を見せて回る事。
 それと共に、平原の一角にある『ゴルドニー』の森に棲まう獰猛な終焉獣から『皮を剥いで持って帰ってくる事』。
 しかし何も知らない、そして無垢たる『SA-31ロ号』はただ純粋に、そして……静かにイレギュラーズに付き従うがのみ。
 そんな仕草にライは。
「俺達は、お前にこの世界を理解させるのも目標の一つな訳だが、お前自身は知りたいって思ったりするのか?」
 それに彼女は。
『……? 良く、分りません。何を問い掛けられているのでしょうか?』
 と首を傾げる。
「そうか……あぁいや、特に深い意味は無い。俺は知らない場所を知って行くのが好きだから、お前もそうなら嬉しいって思っただけだ」
「そうですね、よろしく御願いしますね、SA-31ロ号さん!」
 更に元気良く『お菓子の魔法使い』アリカ(p3p011038)がぺこりと頭を下げると、それに彼女は。
『……ええ、宜しくお願いします』
 ぺこりと頭を下げる彼女……だが、やはりそこに感情のような物は感じられない。
 そんな無感情な彼女のコードネーム呼びに『おいしいで満たされて』ニル(p3p009185)が。
「SA-31ロ号様……ですか? この呼び方で良いのでしょうか?」
『私に……その名前の他にはありません。どうぞお呼び頂いて構いません』
 全く惑う事無く語るゼロ・クール。
 当然彼女にとって、それが自然な事であるのは間違い無い。
 とは言え無機質な呼び方である事には間違い無く、『優しき水竜を想う』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)が。
「そうね。SA-31ロ号って名前じゃ、確かにピンとこないわよね。そんな機械みたいなのじゃなくて、ちゃんとした名前みたいなのがいいわよね、ね?」
『……そうなのでしょうか?』
 首を傾げる彼女だが、それにライは。
「そうだな。SA-31ロ号とか、これじゃ呼びづらい。まぁ、俺じゃなくて誰かが良い名前を考えてくれるだろ?」
 と言うと、エリスタスが。
「そうですね……悩むのです。ネーミングセンスに自信が無いですし……そうですね。SA-31ロ号……笹色……エバーグリーン、とか……?」
 と言うと、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は。
「確かに。俺もちょっと似たようなのを考えてたんだよな。ささいろ、とか。こいつは笹の葉の様な青味のある薄緑色で、夏の色とされているんだぜ。最近生まれたってんなら、夏生まれと言ってもいいだろうし、夏の色との相性は良いんじゃねぇかな?」
 それに続いてニル、アリカ、オデットは口々に。
「ニルは、ロサ様……はどうでしょう、か? かわいいお花の名前、です」
「それじゃ、『サミィさん』とかはどうでしょうか?」
「どっちも良いとは思うけど……そうねぇ……『サティーロ』ってのはどうかしら? 数字とロ号って所から取ってみたのよ?」
 そんな仲間達の提案に、武器商人は苦笑して。
「それじゃァ、我(アタシ)からは『シャルロット』、ってねぇ。少し型番に寄せた雰囲気の方が覚えやすいかと思ってねェ。ま、誰でも良いさ。気に入った名前を選んでくれていいよ」
「そうですね、みなさまと考えた呼び方のうち、気に入った名前で呼びますね! ニルはニルです。よろしく御願いします!」
 元気いっぱいなニルの言葉に、周りをきょろきょろと見渡した後……。
『……良く分りませんが……短い方が効率的だと考えます。ロサ、とお呼び下さい』
「わかりました、ロサさん! おつかい、がんばりましょう!」
 嬉しそうに頷くアリカ、そしてニルも。
「わかりました! ゼロ・クールは非砲手に似てるって聞きました。ニルはゼロ・クールのみなさまともなかよくなれたらうれしいです!」
 ニルの言葉に、良く分らない……と言った感じではあるが、こくりと頷く彼女、いや、ロサなのであった。

●暗さの中の
 そしてイレギュラーズ達は、大平原地帯『プーレルジール』を歩く。
 混沌の中で見た事の無い植物やら動物……全てがとても興味深い。
 でもそれは、イレギュラーズ達に取っては正ではあるものの、傍らに付き従うロサは。
『……』
 と感情を表に出す事は無く、ただイレギュラーズ達に付き従うがのみ。
 そんなロサに振り返り、首を傾げるアリカ。
『……どうかされましたか?』
 反して問い掛けるロサに、アリカは。
「あ、な、何でも無いのです! 頑張っておつかい、こなしましょうです!」
 ニコリ笑みを浮かべ、その手を引く。
 そして『プーレルジール』の地を進んで行くと……鬱蒼と生い茂る『ゴルドニー』の森を発見。
「あれが、『魔法使い』の言う森かしらね? 取りあえずかなり暗そうだから……」
 そう言うとオデットは自分の翼を光らせる事で、最低限の光源を確保。
 彼女だけでなく、エリスタリスやライも様々な部分を発光させる事で視界確保には十分程度の光源を確保。
 それに加えて暗視を備えた仲間達がその先陣に立つ事で皆の誘導を行うと共に前方警戒。
「うん、これでばっちりですね!」
 と、嬉しそうなアリカの一方で、イレギュラーズ達の様々な手段を、じっと観察し続けるロサ……言葉は発さずとも、その方法を学んでいる様にも見える。
 そして、最後にオデットの凍狼の子犬『オディール』が森の中の『獣』の匂いを鋭く感知しながら森の奥深くに向けて進行開始。
 ……一層に薄暗い暗闇が拡がり、自然と不安感が増大してくる。
 更に、遠くの方からは獰猛な獣のものと思しき咆哮も鳴り響いて……それも更なる恐怖心を煽る。
「何だか、心がざわめく声なのです……」
 とニルは顔を伏せて言う一方、昴は。
「この程度の鳴き声で躊躇する訳にはいかん……行くぞ」
 と全く恐れる様子はない。
 人によって全く違う反応をしている……と、ロサはそんなイレギュラーズ達の間のやりとりもまじまじと観察し続ける。
 彼女には恐怖も、驚きも、喜びも……全ての感情が表立つ事は無い様である。
 ともあれそんなイレギュラーズ達の先導の元、その暗闇の森の中を咆哮を辿って進んで行く……。
 そうすると……。
『……グルゥゥ……!!』
 突如、左サイドから鳴り響く咆哮。
 その咆哮に振り返れば、森の中を割開く様に突撃せし『狼の形状』をした『終焉獣』。
 目を血走らせ、更に群れで以て一斉に攻勢を仕掛けてくるのは、まるで羊を追い詰める猟犬の群れの如く……包囲網も展開する。
 しかしそれに、全く動じる事無く昴が。
「現れたか……早速だが始めさせて貰うぞ」
 と短い一言を紡ぎ、彼らに接近。
 しかし終焉獣達は昴との間合いを取り直す様な動きを取り、また姿を隠す。
 ……その動き方は、何と言うか……イレギュラーズ達の出方をうかがいつつ、自分の得意なフィールドに持ち込もうとしている様にも見える。
 勿論それに乗れば彼らの思うつぼであるのは間違い無いだろう……故にゴリョウは。
「ぶははッ! 豚相手に囓りに来ねぇたぁ、腑抜けた牙揃いだねぇ!」
 と、彼らを敢えて挑発。
 一度だけでなく、何度も何度も繰り返し……彼らに十分聞こえるよう、大きな声で。
 ……暫しの間はその挑発に乗るかとばかりに、敵陣は隠れ続け、油断を誘ったタイミングで特攻。
 でもその攻撃は昴とゴリョウ二人の強靱な体で受け止めて、仲間達、特にロサに通さぬように奮闘。
 更にそこに『喝』を飛ばして敵を遠くに飛ばしつつ、自分達が怒りを買うように仕向け続ける。
 そんな前衛の動きに、明らかに終焉獣らは怒りを露わにし……群れを成して。
『ガルゥゥ!!』
 と怒り攻撃。
 盾となりし前衛陣に少しずつ傷が深く刻まれはじめるものの、それに対しライ、ニルの二人が回復を絶え間なく飛ばして、その傷が遺恨にならぬ様に行動。
 そして、敵の動きが大体一巡したところで、今度はイレギュラーズ達の反撃開始。
「貴方達はここにどういった流れで来たのかしらね? 元の世界とは全く違うのに、何かに寄って誘われたのかしら?」
 とオデットは問い掛けながらも、先ず敵の纏まって居る空間に混沌たる汚泥を流し込むと、更にエリスタリスの黒き星が差し掛かり、加えて武器商人は自分の身を構わずの覚悟でゴリョウと手分けして全敵に行き渡るように破滅へと導く呼び声を震わせる。
 更には。
「えいやーー!!」
 と自分に出来る限りの全力で以て魔の砲撃を降り注がせるアリカ。
 それぞれ多種多様な攻撃を、ロサに学習させるかの様に見せながら、確実に敵の体力を削り続ける。
 当然、終焉獣たちは己が傷つこうとも、明らかに撤退する様な素振りは見せる事は無く……イレギュラーズ達にヒットアンドアウェイの攻撃を繰り返していく。
 又、身をくるりと翻す事で敵の攻撃を躱す事も有り、中々攻撃が当たらない……という事もあり。
「むむ、動きが速いのは厄介ですね。連携攻撃も困りものなのですが……とにかくやるしかありません!」
 覚悟を口にし、精一杯の意思で張り切るアリカ、そしてそれに武器商人が。
「兎に角連携が厄介だしねぇ……先ずは数減らしを優先するとしようか?」
「ああ、そうだな! 連携するんなら、そいつを数を減らして断ち切っちまえばいいしなぁ、グハハッ!」
 声高らかに笑うゴリョウ、頷く武器商人。
 まだまだ数が多い故に、イレギュラーズ達はその攻撃の狙いを一匹に集中させて数を減らすと共に、怒りの効果でゴリョウと昴が逃がさぬ様立ち回る。
 そんなイレギュラーズ達の戦略を理解しているかは分からないものの……最初の一体を集中砲火で即時殲滅すれば、終焉獣達も……僅かに怯む。
『ウグルゥゥウ……』
「ほらほらどうした? その牙を私に剥けろ。出来ぬようなら、その牙を打ち砕くまでだ」
『グゥゥ……グガァアア!!』
 辛辣な昴の宣告に、自尊心を挫かれて反撃の狼煙を上げる。
 ……だが、強靱な盾のゴリョウと昴に少しの傷しか与える事は出来ず……時の経過と共にその数は一匹ずつ、確実に殲滅されていく。
 そして……。
「……後一匹の様ですね」
 少し息を切らせつつも、呟くエリスタリス。
『……ええ、確かにその様です』
 敵の数が減り……それがイレギュラーズ達に取って有利である、と学習するロサ。
 完全に何も知らぬ、無垢なる『ゼロ・クール』は、イレギュラーズ達の戦い方を目の当たりにし……『戦略』を体現。
「学習出来たようですね? ……取りあえずは私達の方法は間違いでは無かった、と……さあ、あともう一息です。気を抜かずに参りましょう」
 とエリスタリスは仲間達に呼びかけると共に、イレギュラーズ達は全ての終焉獣を一匹ずつ確実に仕留めて行くのであった。

●その瞳たるは
 そして……。
「ふぅ……どうにか終わったようですね。ロサさん、お怪我は無いでしょうか?」
 とアリカが振り返り、ロサの全身を確認。
 全く傷もなく、更に彼女は。
『ええ、問題ありません』
 と告げる。
 そんな彼女の言葉にニルは。
「取りあえず、良かったですね……さて、と。後は終焉獣の毛皮を剥ぐ、でしたっけ?」
「ああ、そうだな。そこんところは俺に任せろってなァ! 終焉獣も獣だ、どこをバラせばいいかなんてのはそうそう違わないだろうしよ!」
「私も力を貸そう。サバイバルで慣れているからな」
 と笑いながら、ゴリョウと昴が終焉獣の死体から、皮を剥ぎに取り掛かる。
 ……勿論その剥ぐ方法すらも、ロサは視線を外す事無く、ただただ純粋に観察し続ける。
 感情の無い彼女は、頷く事もしない……そんな彼女の観察している光景を見ると、アリカは。
「それにしても……こんなに可愛らしい女の子が、今度はひとりで終焉獣を倒すようになってしまうんでしょうか?」
 と不安気に呟く。
 それにニルが。
「そうですね……ニルもよくわからないけど、恐らくそうなのでしょう。ゼロ・クールは戦士として作られているのが多い、という話ですから」
「そうですよね……でも、戦士が必要なら、どうして屈強な男性を作らないのでしょう……? 魔法使いさんの好みなんでしょうか? ……いえ、イレギュラーズにも、女の子はたくさんいますし、あたしより小さい子がいるのも知って居ます。ゼロ・クールはあたしのような秘宝種と同じ人形ですから、外見が成長するという事も無いでしょう。でもやっぱり……少しだけ、胸が痛みます。この痛みはなんなんでしょう……?」
 自然とその胸に手を当てるアリカ、それにニルも。
「ええ……何だかニルも、こころがいたみます。ですが、この『ギャルリ・ド・プリエ』では、それが日常である、のも……」
 小さい、可愛らしい外見の娘達が戦う姿に感じる、違和感。
 勿論、それが正しいとも正しくないともどちらとも言えない。
 ただ……彼らが学習した事を集合知とすれば、かなり強力な部隊になる……というのは間違い無い。
 最終的にそれに進めたいのか……それとも、自治のためなのか。
 未だに不明な所は多くあるけれども……取りあえず、今は。
「……これで良し、っと。では剥いだ皮を持って変えるとしよう。帰り道も何か出てくるとも限らないし、注意して行くぞ」
 そう昴の言葉に従いて、イレギュラーズ達はギャルリ・ド・プリエと向かうのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ご参加いただき、ありがとうございました!
ゼロ・クールSA-31ロ号改め、ロサは皆様の動きを見て、しっかりと学習出来たでしょう。
当然まだまだ未熟ですし、この先ももしかしたら……学習に連れて行ってイタダ買うケースがあるかもしれませんが、その時は宜しくお願い致します。

PAGETOPPAGEBOTTOM