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シナリオ詳細

<英雄譚の始まり>カルネと境界ブレンダンソマー

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●受付じゃないカルネくん
「やあ、いらっしゃい。資料の確認……と思ったけど、ここはローレットじゃなかったね」
 あははと苦笑する青年、カルネ。彼とあなたは今、境界図書館から行くことの出来る世界プーレルジールへとやってきていた。

 プリエの回廊、特に『アトリエ・コンフィー』はローレットの雰囲気にとてもよく似ている。大量の資料が詰め込まれた棚もそのひとつだ。
 カルネはそこから資料を一つ取り出すと、テーブルへとやってきてあなたの前に広げた。
「この世界はプーレルジール。厳密には、混沌でいうレガド・イルシオンがあるあたりの平原を指してそう呼んでいるみたいだね」
 カルネが広げたのは地図だった。地図といってもきわめて大雑把に描かれたもので、プリエの回廊の周囲にプーレルジールが広がっているということしか分からない。
 が、その中に一箇所マーカーがつけられている場所があった。
「この場所の名前は『ブレンダンソマー』。小さな集落なんだけど、今モンスターの集団に襲われているらしいんだ」
 ならば! と立ち上がろうとする一部の中間にカルネはスッと手をかざして止めた。
「おちついて。僕たちは……うん、確かに善い行いをしたいとおもってこそいるけれど、正義の味方でもなければその義務も負ってない。
 僕たちがこの世界に干渉するには、相応の理由があるからなんだ」

 相応の理由。カルネはそう表現した。
 勿論カルネの性格であれば、困っている人を見かけただけで助けに行くのだろうが、わざわざそれを説明するということはよっぽどの意味があるということなのだろう。
「いい? 僕たちはこのプーレルジールへと渡航することができた。ただの境界世界じゃない、特別な世界だ。
 と言うことは、ここから危険な存在が逆に混沌世界へ沸いて出てくるということだってありえる。
 だから僕たちはこの世界を識らなきゃいけないし、危険があるなら排除しなきゃいけない。
 そのために役立ってくれるのが……」
 振り返ると、朴訥そうな眼鏡をかけた少女型人形がこくりと頷いた。
「Q-83テ号。テッラとでも、呼んで」
「彼女たちゼロ・クールって、わけ」

 説明することが少々多くなるが、もう少し聞いてほしい。
 ゼロ・クールというのは回廊にて作られているしもべ人形だ。戦闘用であることもあれば、ただの案内人であることもある。
 今回は案内だけをプログラムされた個体であるらしく、カルネはブレンダンソマーまでの道のりを案内してもらうつもりでいるらしい。
「それと、もう一つ問題がある。
 ブレンダンソマーを襲っているモンスターが、どうやら『終焉獣』であるらしいんだ」

●『終焉獣』
 ここからが本題、と思っていただいて良い。
 『終焉獣』とは終焉(ラストラスト)から現れたという滅びの獣にして、滅びのアークから生まれた存在。つまりは滅びそのものだ。
 そんなものがその辺の集落を襲っているというのは、滅びの進行速度としてかなりマズイ段階と言えるだろう。
「今回相手にする終焉獣は『ダストリーパー』という個体群だよ。
 闇が直接鎧を纏ったような外見をしていて、錆び付いた剣や盾といった装備をしている。
 一見してただ彷徨っているだけの鎧だけど、その力は闇によって守られ強化されているんだ。錆び付いた剣でも、相当な攻撃力を持てるように、ね。
 まずは僕と一緒に来て欲しい。そしてダストリーパーたちを倒して、集落を救おう。もしかしたら何か新しいことがわかるかもしれないしね」

GMコメント

●シチュエーション
 新たなる世界プーレルジールにカルネと一緒に冒険に出よう!
 お手伝いドールのテッラも一緒だよ!

●エネミー
・ダストリーパー
 闇が直接鎧を纏ったような外見の終焉獣です。
 複数体存在しており、こちらを見つけると積極的に攻撃してくるでしょう。

●味方
・カルネ
 オールレンジに対応した攻撃と連鎖行動をもったオールラウンダー。
 母の束縛を断ち切り自由な世界を旅するために今日も新たな世界へと足を踏み入れている。

・テッラ
 今回案内役となっているゼロ・クール。
 道案内だけを目的としているらしく戦闘には参加しない。戦闘中は勝手に逃げるので心配はご無用。


●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <英雄譚の始まり>カルネと境界ブレンダンソマー完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月25日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
アルム・カンフローレル(p3p007874)
昴星
チェレンチィ(p3p008318)
暗殺流儀
ヴェルグリーズ(p3p008566)
約束の瓊剣
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
芍灼(p3p011289)
忍者人形

サポートNPC一覧(1人)

カルネ(p3n000010)
自由な冒険

リプレイ


「新世界、かー!」
 『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)が両手をぐいっとのばして背伸びをした。
「知らない空ってのもいいもんだな。制覇したくなるぜ! ま、それももーちょっと平和になってからだな」
 な! と目を光らせて振り返るカイトに、『約束の瓊剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)は確かになと頷いた。
「そも――例え俺達に義務が無くても、困っている人達がいるなら助けたい、俺はそう思うしね」
「そりゃあ俺もだ。だから集落を救おうって話なんだろ?」
「勿論それもある。そのうえで、『終焉獣』……だな」
 終焉獣とはラスト・ラストから出現したという滅びの獣である。滅びのアークの化身であり、滅びそのものといっていい存在だ。
 そんなものがこのプーレルジールにもいるというのが、気になるのである。
 それはさておきとして――。
「それがし、秘宝種の一体としてこの世界にとっても興味がありまする。
 あ、カルネ殿もテッラ殿もよろしくお願いいたします。握手しましょう握手!」
 『忍者人形』芍灼(p3p011289)がテッラとカルネへ交互に握手を求めていた。
 それにこたえるカルネたち。
「初めて見る顔だよね。レガシーゼロかな」
 カルネが問いかけると芍灼は己の胸をとんと叩いてみせた。コアのある谷間の部分を叩いたのである。
「『商人ギルド・サヨナキドリ』アーカーシュ支部長でござる! アーカーシュにて発掘されたのが切欠で――」
 身の上話をする芍灼にたいしてうんうんと聞いている様は、受付のカルネくんそのものであった。
 その隣でテッラがくるりと振り返り、『覚悟の行方』イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)に向く。
 にっこりとイーハトーヴは笑い、そして優しく手を差し出した。
「テッラ、はじめまして!
 俺、魔法使いさんとゼロ・クールの皆のことを聞いてから、ずっとお話してみたかったんだ!」
「初めまして。イーハトーヴ」
 出されたてを握って握手を交わす二人。人形作りと聞いて思い出すのは『コウ』のことだ。イーハトーヴ自身も自分で作ったぬいぐるみと会話ができる能力があるだけに、プーレルジールの『魔法使い』には興味が湧いて仕方ないと言った様子である。
 二人はしばし、道中の雑談に花を咲かせるのだった。

「最近何処に行ってもいるわねえ、こいつら。
 仕事に随分とお熱なお陰でこっちも忙しいったらないわ?」
 槍を肩に担いでそう呟くのは『猛き者の意志』ゼファー(p3p007625)。道中の馬車に揺られながら、長い髪をさっとかきあげるようにする仕草はどこか逞しい。
 彼女がいう『こいつら』とは、先刻も話題に出た終焉獣のことである。
「カルネ君の言うとおり、この世界から混沌世界に逆流する可能性もあるし……この世界が滅びに瀕してるってことだと思うし……
 何より、俺は目の前に困ってる人がいるのを放ってはいられないよ」
 そう語りぐっと拳を握って見せるのは『漂流者』アルム・カンフローレル(p3p007874)。こちらはうってかわって真面目そうな仕草だ。いつもはふわふわしたものが好きでへらへらしている彼なのだが、集落が襲われていたり世界が滅びに貧していたりすればやる気を出すということらしい。それでも道中、馬車からの風景を見てぼーっとしていたりもしたので部分的なやる気なのかもしれないが。
「ふ~ん……この世界にも終焉獣がねぇ?」
 一方の『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)は顎肘をついて少しばかりけだるげだ。
「プーレルジールから攻め込んでくる可能性があったり? まあ、こっちから『普通に』行けるんだから向こうから来れるって理屈は納得かな。こういう事例が他にもいくつもあったりしたら、どうするんだろ」
「そもそも、終焉獣はなぜそう蔓延っているのでしょうか。この世界がそれだけ滅びに近いという証左なのでしょうか」
 『暗殺流儀』チェレンチィ(p3p008318)の呟きに、残る三人がちらりと視線を向ける。
 確かに、という視線だ。
 これは特別調べなくても推測できることである。終焉獣なんてものがあふれ出るほどこの世界に滅びのアークが溜まっているという状態だ。
「何にせよ……カルネさんの言うように混沌への逆流を許すわけにはいきません。きっちり倒し、そして情報を集めねば」


 ブレンダンソマー集落は今まさに終焉獣ダストリーパーの襲撃を受けていた。
 闇が直接鎧を纏ったようなその姿は、民間人を見つけると剣を抜き走り出す。
 民家を飛び出し逃げ惑う民間人そんな中に割り込んだのは、黒い閃光――いやアイリスだった。
 子供を抱え走る女性とすれ違うように豪速で駆け抜けたアイリスは、ダストリーパーが反応するよりも早く剣を抜く。魔力収斂圧縮加速機構が組み込まれた鞘からは高速で刀身が放たれ、超高速の刃がダストリーパーの剣すらも破壊し、そのまま鎧を切断してしまったのだ。
「思ったよりも脆い? なら――」
 さくんと再び刀を鞘に収めると、アイリスは周囲のダストリーパー相手に姿をかき消した。
 否。高速で駆け回ることで全員の死角から死角へと渡り次々にダストリーパーを斬り付けていったのだ。
 流石に倒しきれなかったらしいが、ダストリーパーたちは次々に膝をつき体勢を崩している。
「ナイス、アイリス! 一気に仕留めよう!」
 カルネが広範囲に銃撃を浴びせることで立ち上がろうとするダストリーパーを牽制、その間にイーハトーヴへとアイコンタクトを送る。もはや言葉にしなくても伝わるようで――。
「うん、いくよ! メアリ、オフィーリア!」
 今回は特別製。オフィーリアはパワーアーマー代わりの巨大ぬいぐるみを纏い、その外装を操作することで走り出した。
 オフィーリアのパンチがダストリーパーを思い切り殴りつけたと同時に、イーハトーヴは手にしていた指輪から魔法の光を解き放った。
 えいっ、と回転斬りの要領でぐるりとまわって光を全方位に放射すると、それは味方だけをよけるようにしてダストリーパーたちを貫いていく。
 体勢を崩していたダストリーパーたちが纏めて壊れ、鎧のパーツだけがその場にガラガラと崩れていく。そこにもう闇は無かった。
「闇だけが消えた?」
「鎧は殻みたいなものだったのかな?」
 イーハトーヴとカルネが顔を見合わせ、そして走り出すアイリスに続いて自分達もまた走り出した。

 アイリス、ゼファー、チェレンチィの三人が展開した広域俯瞰によって、ダストリーパーや民間人の位置はおおよそ把握することができた。
 となると密集ポイントを三つにわけ、手分けして民間人を救出しようという流れに自然となる。
 勇ましくも木で出来た農具を槍のように構える少女。彼女を見つけたダストリーパーは無言で歩み寄り、その剣を振り上げ――た瞬間、その胸部に槍がぶっささり吹き飛んでいった。
 まるで自分の攻撃で吹き飛んだかのような錯覚にきょとんとする少女の隣に、すたんとゼファーが着地する。どうやら屋根の上から狙っていたようだ。
「お見事」
 ぱちんとウィンクするゼファー。頬を赤く染めて見上げる少女。
「なあに。此処でこいつらをとっちめておけば私達も得するみたいですしね。気持ちよく助けられて頂戴な?」
 壁に縫い付けられてジタバタするダストリーパーを蹴りつけて黙らせると、そこへアルムとカイトが駆けつけてきた。
「皆はこっちへ! 家の中へ逃げて!」
 アルムが杖を振って避難誘導をすると、追いかけようと襲ってくるダストリーパーを杖で押さえ込んだ。
 両手で両先端部を持ち押しつけることで相手の動きを押さえ込む姿勢だ。
 そこからアルムは魔術を展開。
 神気閃光を零距離で放つことでダストリーパーをひっくりかえらせた。
「カイト、引きつけはお願いね!」
「任せとけ!」
 アルムは杖を今度はライフルのように握りこみ、全方位に向けて光の魔法を撃ちまくる。
 カイトはといえば、大空に翼を広げて自らの姿を強烈にアピールすると、ダストリーパーたちの視線を釘付けにした。
 わざと彼らの中心に着地し拳と片膝をつく姿勢をとってみせ、群がるダストリーパーに槍を突き出す。
「カイト・シャルラハ、ここに見参! 闇の獣共、俺を喰えるもんなら喰ってみな!」
 次々に繰り出されるダストリーパーの剣を、しかしカイトはすべて紙一重で回避してしまう。その見事の体捌きにアルムも思わず拍手を送りたくなるほどだ。
「すごいねカイト。そのまま引きつけていられる?」
「余裕だな!」
 さすが、と呟いてからアルムは杖を構え、その先端を眩く光らせた。ドンッと衝撃を伴って発射されたそれはカイトを中心に爆発。ダストリーパーたちを一網打尽にするのだった。

 民間人を民家の中へと避難させ、その扉の前を守るようにコンバットナイフを抜くチェレンチィ。
「貴方達の相手は此方ですよ!」
 右手にナイフ、左手には逆手持ちしたダガーという組み合わせで、遅いかかるダストリーパーの剣を次々に受け流した。
 通常なら致命打になりそうな首への斬撃をかがんでかわし、連続で繰り出される複数の剣を両手の剣で無理矢理軌道をそらすようにして回避していく。
 その美しい舞いの如き剣さばきに、芍灼はおおと声をあげた。
「これは負けていられぬでござる。終焉獣、覚悟!」
 剣をずばっとぬいて斬りかかる芍灼。
 それに気付いたダストリーパーと剣がぶつかり一度は相殺。激しい金属音と火花が散るが、芍灼は引かずに更に斬撃を叩き込んだ。
 幾度ものぶつかり合いの末、ダストリーパーの鎧へと叩き込まれる芍灼の剣。
 取った――と思えたその瞬間、別のダストリーパーが芍灼の背後から剣を繰り出してきた。
 首をはねるような横一文字のスイング。しかしそれを瞬時に察知したチェレンチィは翼を羽ばたかせ地を蹴ることで超高速で移動――かつ、反転、かつ、回転をかけダストリーパーの首部分をスパンとナイフで切断してしまった。
 かなり距離が離れていたはずだが、チェレンチィにはその程度の距離はどうやら関係ないようだ。
 そこへ更なるダストリーパーの援軍が駆け寄ってくる。
「あちらを任せても?」
 チェレンチィの声は、そこへ駆けつけたヴェルグリーズへ向けたものだ。
「ああ、全て受け持つよ」
 三体ものダストリーパー。全員が走りながら一斉に剣を抜いてヴェルグリーズへと殺意を向ける。
 対するヴェルグリーズは自らに『流星光底』の状態を付与。
 『夢弦静鞘』から『神々廻剱・写し』を抜刀すると、ヴェルグリーズは光となった。
 厳密には、光のように駆け抜け続けた。
 彼の放つ剣は光をもち、ダストリーパーの一体を袈裟斬りに破壊したかと思うとすぐさま隣のダストリーパーの首をはね、更には三体目のダストリーパーの胴体に剣を突き刺していた。
 瞬きをする程度の時間で、である。
 剣を引き抜き、動かなくなったダストリーパーを蹴倒すヴェルグリーズ。
 どうやら闇だけが消えてしまったようで、鎧が残りその場にがらがらと崩れ落ちた。


 激しい戦闘の後、住民たちはおそるおそるという様子で顔を見せた。
「もう大丈夫でござるよ!」
 駆け寄り、一人一人をなだめにかかる芍灼。
「こんにちは! それがし、芍灼と申しまする」
 彼女の素朴な人心掌握術が役に立ったようで、住民たちの警戒は早々に解けていった。
「怪我をしてる人はこっちに。手当をするからね」
 アルムが手招きをする。
 カイトが引きつけ役をしまくった結果回復を使うのタイミングが殆ど無かったアルムである。ここでヒーラーらしいことをしておきたくなったというのも、もしかしたらあるのかもしれない。
「もうモンスターは追い払ったから、大丈夫だよ。安心してね」
 そう語りかけながら、アルムは住民たちとの会話を始めた。
 アルムや芍灼のねらいは彼らの心を開き、この世界のことを訪ねるというものだった。
 その試みは成功し、どうやら彼らは集落で細々と生活しているらしいことがわかった。
 ブレンダンソマーという名前はなんだかずっとむかしからあった円形の舞台からとられていて、毎年そこで収穫祭めいたことをするというのがならわしらしい。
 まあ、小規模集落によくあるやつである。
「終焉獣自体はいつ頃から?」
 そうゼファーが問いかけてみると、顔を赤くした少女が身振り手振りで説明してくれた。
 どうやら終焉獣はゼファーたちがくるずっと前から出ていて、集落を襲ったりしていたらしい。それによって滅びた集落はいくつもあるという話だ。
「なるほど……」
 チェレンチィが納得したように頷いた。
「元々この世界には終焉獣が蔓延っていた、ということですか」
「どうも私達がトリガーってわけじゃなさそうね。そこはハッキリしたわ」

 一方、テッラは戦闘ができないらしく今になって住民たちの手当を手伝ったりしていた。
 その様子をアイリスがぼうっと眺めている。
(主が存在しない故の自立稼働と自我の獲得に至った自分自身ではあるけれど……かつての自分はこんな感じだったのだろなぁ)
 なんて思って見ると、感慨深い。もしかしたらこうしたゼロ・クールたちが魂をもつことでレガシーゼロになるというケースだってあるのかもしれない。というか、クレカという少女がその実例なわけだし。
 そして魂の実在というのは……人類の証明というものは、神のさじ加減にすぎないのだとも。
 ふとみると、カイトがハイペリオン教(?)を広めようとしていた。
「白くて暖かくてすべてを包み込むかみさまなんだぜ。とりをあがめよー」
 ブレンダンソマー集落の人々はハイペリオンを知らなかったようだが、そんな話をする人を見たことがある、という人物がちらほらいた。
 彼らの話によれば、カイトみたいに赤いスカイウェザーがそんな話をしにやってきたことがあるという話だ。

 そしてこちらはヴェルグリーズたち。
 イーハトーヴやカルネと一緒になって、倒したダストリーパーの残骸を調べていた。
「どう? 何か分かった?」
 ヴェルグリーズが尋ねると、それまで観察していたイーハトーヴがうーんと唸りながらこたえた。
「どうも、この鎧……単体でひとつのモンスターだった、っぽい?」
「ん、どういうこと?」
 カルネが尋ねると、『確証はないけどね』と前置きしつつイーハトーヴは説明を始めた。
「ダストリーパーはもともと、『ひとりでに動く鎧のモンスター』だった可能性があるってこと。そこに闇がとりついて、主導権を奪ったんじゃないかな」
「そんなことがありえるのか?」
 ありえないこともないか……と考えを巡らせるヴェルグリーズ。
「とりあえず、この鎧の残骸は一部持ち帰ってもう少し詳しく調べてみよう。もっと何かわかるかもしれない」
「うん、かもしれないね」
 カルネも頷き、鎧を回収して麻袋へと入れた。

 調査も一段落したところで、テッラの待つ馬車へと向かう仲間たち。
 一度振り返ると、ブレンダンソマー集落の人々が感謝を述べながら大きく手を振っている。
 どうやらこの世界の平和を、少し守れたらしい。そんなことを思いながら、彼らは帰路につくのだった。

成否

成功

MVP

イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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