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シナリオ詳細

覇竜の夏、カブトムシの夏

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●夏はカブトムシ
 カブトムシが嫌いな人は、そんなにいない。
 カブトムシ。角のある虫であり、まるで兜を被っているかのように見える虫である。
 そんなカブトムシだが種類は多くいて、中にはキラキラと美しく輝く種もいる。
 クワガタムシと人気を二分する虫の王様であるカブトムシだが、覇竜にもそれに類するものはたくさんいる。
 たとえば、アトラスグレートカブト。
 縄張り意識が非常に強く、デザストルの巨木などを住み家にしているモンスターだ。
 主食は樹液であり、そういう意味では亜竜種にとっては比較的無害、なのだが。
 その縄張り意識の強さから近づく者には容赦のない性格でも知られている。
 幸いにも、果物や樹液ゼリーなどを捧げることで見逃して貰えるようだが……まあ、そういう意味では比較的対処法の確立されたモンスターではある。
 そしてこのアトラスグレートカブトだが、そういう性格なので他のカブトムシがその周囲に集まることもある。
 たとえばデザストルブルーベリーカブト。
 ブルーベリーが好きなカブトムシであり、ブルーベリー色をしていることで有名である。
 たとえばデザストルラズベリーカブト。
 ラズベリーが大好きなカブトムシであり、ラズベリー色をしていることで有名である。
 そう、この場所はまさにカブトムシの宝庫。
 世のカブトムシ好きが喜ぶカブトムシランドである。
 そんな場所がこの夏、見つかったとしたら……いったいどうするのが正解だろうか?

●カブトムシの楽園に行こう
「デザストルブルーベリーカブトにまた会える気がする」
「うむ、会えるぞ」
 フリアノンで呟く『海妖』エーギル・フレーセイ(p3p011030)に頷いたのは『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)だった。
 そう、丁度夏真っ盛りのこの季節。
 フリアノンから少し離れた小さな林が今まさにカブトムシランドと化しているのだ。
 中央の一番巨大な木にはアトラスグレートカブト。
 他の木々にもデザストルブルーベリーカブトを始めとする、様々なカブトムシがいるのだという。
 覇竜のあちこちからカブトムシが集まってきているカブトムシアイランド。
 その中にはもしかすると、未発見のカブトムシもいるかもしれないのだ。
「あまり無茶をするとアトラスグレートカブトも敵に回るじゃろうが……まあ、そこは大丈夫じゃろ?」
 アトラスグレートカブト。かのアダマンアントを巡る事件では共通の敵を前に共闘することもあった強力なカブトムシ型モンスターだ。
 敵に回してしまえば厄介だが、木を片っ端から切り倒すとかアトラスグレートカブトを攻撃する……といったようなことがなければ平気ではあるだろう。
 たとえば、そう。気に入ったカブトムシを捕まえるくらいは見逃してくれるし、アトラスグレートカブトに触れるくらいであれば怒りはしないだろう。
 もうお分かりだろうか。夏の思い出、カブトムシをゲットする大チャンスである……!

GMコメント

この夏、カブトムシランドで君は相棒(カブトムシ)に出会う……。
そんな感じです。よっぽど無茶をやらなきゃ戦闘にはならないです。
オープニングに出てきたカブトムシの他にも、新種のカブトムシもいるかもしれません。
貴方はどんなカブトムシに出会うのでしょうか?
え? アトラスグレートカブト? 見て触るだけで我慢しなさい。

●出てくるモンスター
・アトラスグレートカブト
全長4mの緑色のカブトムシ。
角で相手を掬い上げ天高くぶん投げる「覇竜投げ」。
角から稲妻を発射する「アトラスサンダー」。
上記の2種の攻撃を使用します。
余程のことがなければ戦闘にはならないでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 覇竜の夏、カブトムシの夏完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
曉・銘恵(p3p010376)
初めてのネコ探し
ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)
メカモスカ
エーギル・フレーセイ(p3p011030)
海妖

リプレイ

●カブトムシと遊ぼう(前編)
「外の世界では夏休み、っていうんだっけ。夏の休みにカブトムシを捕まえに行く……っていうのを練達の本で読んだの。どんなカブトムシがいるのかな、楽しみ……!」
 『初めてのネコ探し』曉・銘恵(p3p010376)のそんな声が覇竜の空に響く。
「カブトムシか……思えばカブトムシを追いかけるような年頃の少女らしい(?)経験は、殆どしてこなかった。こういう経験もまた悪くないだろう……穏やかになったものだねボクも、最近これ色んな依頼で何度も言ってるな」
「平和を楽しんでる証拠なの」
「平和か……そうかもな」
 『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)は『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)にそう頷く。世界にしろ地域にしろ、あるいは心であったとしても……平穏や平和といったものは人を穏やかにする。あるいはシャルロッテにも、そういうものがあるのかもしれない。そして胡桃もまた、今日はそんな平和な心でこの場所にやってきていたのだ。
「コャー、夏休みの宿題はギリギリまで消化しないタイプ、わたしなの。このようなカブトムシスポットがあるとは、ぜひともお邪魔したいところなの。たとえ火の中水の中、カブトムシゲットなの」
「カブトムシを捕まえて夏の思い出を作るチャンス......!  新種見つけたいよね」
「色々観察するの」
「うんうん、楽しみだねえ……!」
 『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)もすっかり童心に返っている。
 そう、此処はまさにカブトムシの楽園だ。
「ここがカブトムシランド! すごいや……カブトムシランドは本当にあったんだ」
「わぁ……! 本当にカブトムシランドですね。色々なカブトムシがたくさん……! どんなカブトムシに出会えるでしょうか。ふふ、楽しみです♪」
 『海妖』エーギル・フレーセイ(p3p011030)と『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)もそう声をあげるほどに様々なカブトムシがいる。
「まるでカブトムシの博覧会だな」
「はい、見てるだけで一日が過ぎていっちゃいそうです♪」
 『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)の何気ない感想にユーフォニーも全力で頷いていた。
 そしてエーレンも、巨大な木にとまっているアトラスグレートカブトを見るとフッと微笑む。
「アトラスグレートカブトか……アダマンアントの一件以来だな。元気そうで何よりだ」
 アダマンアント。あの覇竜侵食の事件もようやく過去になりつつあるが……利害の一致とはいえ共闘できたことをエーレンは忘れてはいない。まあ、向こうは忘れているかもしれないが、それで結んだ絆がなかったことになるわけでもない。
「彼は覇竜の民の平穏にも一役買ってくれている。改めて感謝だな」
 そんなアトラスグレートカブトの近くでは、『メカモスカ』ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)もテンションを上げに上げている。アゲアゲだ。無表情で。
「うぇ~~~い!!」
「うぇ~~~い?」
 棒読み無表情大音量なビスコッティと棒読み無表情小音量なシャルロッテの声もまた、そのテンションを表現している気がする。
「やっべぇ、カブトムシ新種発見したら我の名前つけていいのか? 「モスカブト」とかつけるぞ? いやつける、母上のために是非つけてやらねばならぬ!!」
 ぜひ頑張ってほしいものだが、そんなビスコッティの視線はアトラスグレートカブトへと向く。
「おっそうじゃ」
 どうやらビスコッティは何かやるべきことを思い出したようだが……。
「森の守護者たるアトラスグレートカブトよ。我らは小さきものなれど、この森とカブトを愛する者。ゆえ違えれば咎め、違わねば守り給え。かしこみもす……か」
 なるほど、どうやらお祈りをしていたらしい。もしかするとモデルになった人物の影響もあるかもしれないが、良いことだ。
「うし、お参り終了。バーベキューできるかどうかはアトラスグレートカブトのお伺いを立てつつ、我は好きなカブトを探すぞ! こう、海っぽいカラーリングで! カッチカチでもよいがやっぱり柔軟な動きをするやつがいい。シャチのように凶悪で、イルカのように陰湿で、そのクセキュートな海の化身みたいなのが良い!」
 どうやらビスコッティはすでに見つけたいカブトムシに目星をつけているらしいが。そんなこんなでカブトムシ取り、始まりである……!

●カブトムシと遊ぼう(後編)
「森を荒らしたりもしない方が良いかな」
 エーギルは、カブトムシをびっくりさせないように慎重に林の中を歩いていた。
 足元が腐葉土で柔らかいところとか下草の芽のあるところは避けたり飛行したりと、そんな配慮をしているのだ。
 しかし、まずはアトラスグレートカブトに挨拶しておこうと考え近づいていた。
 お土産は果物だが、たまたまフリアノンで譲ってもらった覇竜産のスイカを買ってきていた。
 それをそっと備えれば準備OKだが……アトラスグレートカブトは此方に敵意の類は一切見えない。どうやら安全そうだ。
「アトラスグレートカブトさん……初めまして。これ、お土産の果物やゼリーです。気に入ってくれると良いな……」
 銘恵もエーギルと同じように果物や樹液ゼリーなどを捧げてみる。
「……気に入ってくれるといいな」
 気にしていない風だが、チラリと捧げものを見てはいる。こちらも大丈夫そうだ。
「少し触ってもいいかな?」
 そうしてそっと触れば、なんとも力強さが伝わってくる。
「すごいなぁ……さすがアトラスグレートカブト……!」
 まさにカブトムシの王者。そんな風格だ。
「あ、これって……もしかして」
 そしてエーギルが見つけたのは、デザストルブルーベリーカブトだ。
 紫色の綺麗な外見をしているが、美しくもカッコイイ……高貴な姿をしている。
「かっこいいなー」
 じっと観察しながらも、エーギルは観察するだけに留めていた。
「あちこち放浪してるから会いたくなったらまた会いにくるよ。縁は大事にしたいからね」
 それもまた良いだろう。そういう関係だって素晴らしい。だからこそエーギルは早々にビスコッティのカブトムシ探しを手伝いに行っていた。
「やっべ、捕まえ方どうすればいいんじゃ、名乗ってから近づけばいいのか。皆の捕まえ方とかそういうのを見ながら、我学習するぞ」
「そうなんだね」
「うん? なぜ知らんのかって。そりゃ、我戦うために生まれたからの。他のことなんぞ全くわからん。しかし、楽しいことが良いことというのはわかっておる。コレも勉強の一環よ」
 そんなことを言うビスコッティにエーギルも頷く。なんとなくだが。エーギルにも理解できたからだ。
「ゆえ、我にとってどんなに小さかろうが既に見つかっておる種類であろうが。我のために来てくれるカブトがおれば、それを愛おしく思おう。我は愛を受けるにはまだ未熟な器よ」
「そっか。じゃあそれを探さないとね」
「うむ」
 そうしてビスコッティとエーギルはカブトムシを探して。なんか海のように青くもちょっとメカメカしいカブトムシを見つけたのである。
「う”あぁあーー!! とれた! 一匹取れたーーー!!!」
 そう、今日からこのカブトムシはモスカブトである。
「皆終わったらみせあいっこやお喋りをしたい。たんのしい」
「確かに楽しそうだ。とは言ってもね、言え車椅子の身だ…飛んだり跳ねたりは難しい」
 シャルロッテはそう言うが、別にあきらめたわけではない。
「カブトムシが引き寄せられるような餌を置いておいて、近くに寄って来たものをご縁ありとして捕まえよう。ご縁ありと感じられた方が愛着も沸くだろう、多分」
 確かにエーレンもそうした。ならばシャルロッテもそうして何の問題もない。
「ボクの探偵としての【コネクション】から得た情報によると、カブトムシは樹液に引き寄せられるらしい。コネクションによると昆虫ゼリーだとかスイカの皮だとかでも良いらしい、その辺を事前に用意しよう。あとはコネクションによるとおがくずとか朽ち木とか登り木とか用意しておくと飼えるらしい……探偵のコネクションかと思ったらカブトムシ博士が居るようだな」
 しかし役に立つので問題はないし、エーレンの手元には一匹のカブトムシがとまっていた。
「よし、ご縁があったのは君という事だね……今後ともよろしくお願いするよ。えっ、名前? え、名前を付けるのか? え……えと、あ、シャル介?」
 命名、シャル介である。
 銘恵もまた、楽しんでいるうちの1人だ。
「ブルーベリー色に、ラズベリー色……!」
 ブルーベリーカブトにラズベリーカブト。外では中々見ないようなカブトムシが一杯だ。
「オレンジ色のカブトムシとかもいるのかな。しゃおみー、ライム色のカブトムシ探してみたい……!」
 ならばどうするのか? 銘恵には考えてきた手段があった。
「カブトムシ、樹に甘いの塗ったら来るんだっけ? とりあえずライムとか果物類とか持ってきたけど……カブトムシの好みだと良いな」
 カブトムシを捕まえられたら見せあいっことかするのもいいな……と銘恵は考えていた。
「カブトムシ……しゃおみーの故郷(覇竜の集落)にも一緒に来てくれるかな」
 勿論ここは覇竜なので来てくれるだろう。
「しゃおみーの家でお世話するなら大丈夫なはず! 何食べるのかな、やっぱり果物かな?」
 言いながら、銘恵はハッとしたように連れてきたドラネコたちを見る。
「ドラネコ達、カブトムシにねこぱんちしちゃだめだよ。カブトムシが本気出したら痛い痛いだからね……!」
「にゃー」
 そんなドラネコの視線の先を追ってみて……銘恵は「あっ」と声をあげる。そこには探していたライム色の新種カブトムシがいたのだ……!
「『シャオライムカブトムシ』って名付けるよ。『しゃおらい』って呼ぶね!」
 己が苗字の曉+果物のライムからつけた名前だ。
 ちなみに、その頃エーレンは何をしていたのか? 勿論カブトムシ取りだが、ちょっと皆とは違う心意気であったりした。
「人生で鍛錬にならないことはあまり存在しない。虫取りもまた、よい修練になるだろう。俺のスピードが彼らに通用するのか、胸を貸してもらおうじゃないか」
「コャー……」
 真顔で言っているあたり、どうにも本気らしいとたまたま見ていた胡桃は思ったが、さておいて。
「俺は鳴神抜刀流の霧江詠蓮。さあ、追いかけっこをしよう」
 まずあえてカブトムシには逃げてもらう。逃げる木々の間を跳躍とアクロバット、それに持ち前の機動力を駆使して木々を足場にカブトムシとガチンコ鬼ごっこをしようというのだ。
 勿論カブトムシは小さいし言葉は通じていないしで、行動は一切予測できない。だがエーレンは本気だ。
(当然足場として避けなければならない朽木を瞬時に見分ける眼力の修練にもなる。そうした朽木は虫たちの良い住処だ。そこを荒らしては申し訳ないしな。さらにカブトムシのような小さな標的を傷つけずに捕まえる器用さの鍛錬も兼ねられるという寸法だ)
 エーレンは本気だ。ともかくエーレンがカブトムシを追いかける中で、突然横合いから飛んできたカブトムシがエーレンの顔に張り付く。
「むっ!?」
 中々に良い動きだ。そう思いながらエーレンはカブトムシをそっと引き離し……気付く。
「……こいつは鮮やかな藍色とオレンジのコントラストだな。未発見種かな。であればデザストルタソガレカブトと名付けようか」
「む、捕まえたのじゃな」
「ああ、これだ」
 ビスコッティと見せ合いしていたエーレンは、そのままあアトラスグレートカブトの下へと向かう。そう、BBQの許可を取りに行こうというのだ。
「あ、許可取りに行くの?」
「ああ」
「ご一緒します……!」
 フォルトゥナリア、そしてユーフォニーをも伴いアトラスグレートカブトのところにエーレンが行くと、そこにあった果物はもう全部なくなっていた。
 ならば機嫌も良いかもしれないと、フォルトゥナリアは動物会話、タフネゴシエイトを使いアトラスグレートカブトにお伺いを立てていく。
「火事には十分気をつけるのでBBQを行っても問題ないでしょうか」
「ものを燃やしてもなるべく虫たちに迷惑がかからない森の開けた場所を探してBBQを設営する。構わないか?」
「初めまして! カブトムシのみなさんと遊びに来ました。バーベキューもしたいのですが大丈夫でしょうか?」
 ユーフォニーも動物疎通でゼリーとか果物とかをお近づきのご挨拶にと献上していく。
 そうすると、フォルトゥナリアが代表してエーレンへと振り向く。
「好きにしろってさ」
「BBQやるならしゃおみーも食べるし手伝う!」
「ああ、それなら【A・メイド】【A・バトラー】の手も借りて、設営や片付けを手伝うとしようか。自分も動いた方が美味しく感じられる……と、これも【コネクション】で教わったしね」
 そしてフォルトゥナリアも、今の時間を利用してカブトムシ探しをしていた。
 一般的にはカブトムシが活動するのはたぶん夜から明け方なのだが、此処は覇竜のせいかそういうのがないようだからだ。
 樹液が出そうな良い感じの木も自然知識で探して、フォルトゥナリアはその木をじっくりと見ていく。
「カブトムシを捕まえて夏の思い出を作るチャンス......!  新種見つけたいよね。ヴェルーリアカブトとか名付けたい。星空のような青色の角、金か黄色みがかった羽。そうそうこの子みたいな.......! 」
 いる。まさに、そんな感じのカブトムシがそこにいる。
「ええと、私と一緒に来ない?  ちゃんとお世話はするし良い感じの生活を約束するよ」
 傷つけないように慎重に捕まえ……思わずフォルトゥナリアは「おお……」と声をあげる。なんとも美しいカブトムシだ。
「あ、そうだ。ハリュウライチカブトも探してみようかな。ライチみたいな色をしたカブトムシ。ブルーベリーカブトが居るならライチカブトも居ておかしくないよね」
 そんなフォルトゥナリアの横を、胡桃がスタスタと歩いていく。
「はるばる来たの覇竜まで。カブトムシのエサを持ってくるといいと聞いたので」
 そんな胡桃は、色々と持ってきている。
「まずはこの前花火になって手に入れたハナビメロン。更にその前に火事から守った紅き宝玉。両方とも覇竜産だし、カブトムシの好物っぽいので持ってきたの。ブルーベリーカブトやラズベリーカブトがいるなら好みそうなカブトムシもいるかもなので」
 胡桃としては当然のことだが、カブトムシ捕獲作戦を開始する前に、アトラスグレートカブトにこれらの果物を切り分けておすそ分けしておいてもいた。「ご機嫌を取っておくの、重要」とのことである。
「さて、ついにカブトムシ捕獲の準備をするの。今回は、罠設置を持ってきたので、トラップを作成するの」
 そうして取り出したのは、練達から持ってきたペットボトルだ。
「ペットボトルの上の方を切断して取り外し、中にエサを入れます。更に切り取った上部をひっくり返して接続、この時入口はカブトムシの大きさに調整。これで完成、夏休みの自由研究の資料を参考にしたの。中に入れるエサによって種類が違ったり調べ甲斐があるの」
 そうしてやってきたのは、なんか胡桃っぽい色をしたカブトムシであり……思わず胡桃は「コャー」と鳴く。
「素敵なカブトムシですね♪」
「覇竜の奥深さは底知れないの」
 そんなことを言い合いながら、ユーフォニーもカブトムシ探しをする。
「個人的にはミントなカブトムシやチョコミントなカブトムシがいないか気になります。きっと仲良くなれる気がするんです」
 きっとそんなのがいる気がする。ユーフォニーは他のカブトムシも観察しながら探していく。
「ミントが好物なカブトムシなのか、ミントを生やしているカブトムシなのか……探してみましょう♪」
 そうして観察していくと、本当に色々な種類のカブトムシがいることにユーフォニーは気付く。
 だからこそどんな種類の子がいて、何が好物でどういった習性があるかとかをささっとまとめていくのだ。
「こういうの、自由研究って言うんでしたっけ。これも夏休みですね!」
 そう、まるで夏休みだ。エーレンが準備中のBBQもそうだ。
「BBQ用品をはじめ、ブタウシ鳥のモモ肉やタンを始め、エビやホタテに果物も妖精の木馬でたくさん持ち込んできている。俺の料理スキルが唸るぞ……!」
 そんな唸る料理スキルで、エーレンはアトラスグレートカブトに渡すお土産も作っていた。
 皆のデザートにもなる宝石めいて輝く果物のコンポート盛り合わせだ。
「アトラスグレートカブトよ、ご無沙汰をしている。今日は見守ってくれてありがとう。これからも見守ってくれれば幸いだ」
 アトラスグレートカブトに見守られた森の中。楽しいカブトムシ取りとBBQ。それは覇竜での最高の夏休みであっただろう。

成否

成功

MVP

エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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