PandoraPartyProject
亜竜集落アスタと星の少女
「ねえ、準備はできているの?」
宙にふわりと浮かび上がり、見えない椅子に腰掛けるように足を曲げる少女があった。
黒き衣に身を包み、星の冠を頭上に回すその姿。彼女の名は――ステラ。
イレギュラーズから『混沌のステラ』と呼ばれる存在である。
『大いなるもの』の端末にして、星界獣。滅びを見守る少女だ。
「できているかいないかでいえば、『できていない』」
肩をすくめ応えたのは星界獣のひとりだった。彼は全身が常人の倍ほどに肥大化し、そのパワーは圧倒的である。実際巨大な岩を持ち上げては放り投げるという暇つぶしをしていた。
「降り注いだ星界獣の数はまだ予定の数に達していないし、ネームドもそれほど集まってない。君の情報が正しければ、ローレットのイレギュラーズを一チーム潰せるかどうかの数だ」
「既に連中がアスタに到達していたというのが、厄介だな」
円形の盾を腕に生やした星界獣が腕組みをする。
「あの集落を制圧して拠点にするつもりではなかったのか?」
「なあに、予定という奴が思い通りに進んだことなんてないだろ。真面目だなあ、アンタは」
殻で作られた弓を肩から提げた身軽そうな星界獣がニヤリと笑う。その様子に盾の星界獣が不快そうににらみ付けるが、すぐに両手をあげて降参のポーズをとってみせた。
「まあ心配ないさ。見ろよ」
そのまま上を指さす星界獣。ヘスペリデスの空が、そこにはあった。
空には無数の流星が流れ――いや、流星の如く降り注ぐ星界獣の群れが存在していた。
それまで押し黙っていた、片腕をハンマーのようにした星界獣が口を開く。
「コンシレラに封じられていた怪物が目覚めたのだ。これだけのことは起こる。それに、多少数が足りなくても俺たちがいる。そうだろう?」
自信ありげに振り返ると、ステラははあとため息をついた。
「そうね。あなたたちは特別製だもの」
そう言ってから、手を天にかざす。
星界獣たちの降り注ぐ、天に。
「なぜ、あがこうとするのかしら。
もがいて、あがいて、頑張っても、星が滅びれば何も残らないのに。
いずれ滅びるこの世界で、ただ熱のたかまりを素晴らしいものだと勘違いしているだけ……」
この世界は滅びかけている。世界中に星界獣が降り注ぎ終焉獣が跋扈するそれこそが証明だ。
ステラは空中で足を組むと、何もない場所に頬杖をついて、翳していた手を下ろす。
「さあ、始めましょうか。大侵攻を」
まずは、ヘスペリデスにひっそりと存在していたという亜竜集落、アスタから。
※覇竜領域の奥地ヘスペリデスにて動きがあるようです
※『煉獄篇第七冠色欲』ルクレツィア及びその麾下がメフ・メフィートに侵攻しました……
※『バグ・ホール』の発生と共に混沌中で魔種による事件と甚大な被害が蔓延しつつあるようです……
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