PandoraPartyProject

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<これで、おしまい>

 かくて、世界はひび割れた。
 伽藍洞の心に映る虚ろの世界は最後の瞬間まで皮肉気な夜を気取り。
『何一つすらをも残さないまま、人ならざる愉悦の求めた時間は過ぎ去った』。
「おかえり」
 飛び込んできた人影を器用に宙で受け止めて、ディルク・レイス・エッフェンベルグは言った。
 疲労にか、安堵にか、それともそれ自体が気のせいか――泣き笑いにも似た表情を浮かべたエルス・ティーネ(p3p007325)の小さな体は信じられない位の長くを生きてきたにしては余りにもか弱く細い。
 千年の妄執も過ぎ去ってしまえば刹那。
 成る程、彼女の様はそんな幻を強く意識させるものだった。
「……ディルク様、どうして……」
「あん」
 問いは殆ど反射的なものだったが、返答も繰り返してきた『何時も』に過ぎまい。
「こんな所、元から大した用はねぇんだよ。ラサに喧嘩を売った以上はぶっ殺すに違いないが……」
「……違いないが?」
「ま、俺としちゃ『こっち』の方が本命でね」
 小さく嘆息したディルクは些か人の悪い笑みを浮かべて尋ねる。
「上手く『姉妹喧嘩』は出来たかね?」
 ラサを大きくかき回し、ローレットのイレギュラーズの多くを巻き込んだ騒動はそんな生易しいものではない。
 故にディルクの物言いは実に彼らしい露悪主義に満ちていた。
 しかし、その言葉には恐らく嘘はないだろう。
『ディルク・レイス・エッフェンベルグは恐らくそれ以外に最初から興味を持っていなかったのだろうから』。
「……はい」
「そりゃ何よりだ」
「……………はい」
 エルスは二度、噛み締めるように頷いた。
 憎しみ、嫌い合って幾星霜。蟠りは解けるようなものではなく。
 妹(リリスティーネ)とエルスは永遠の平行線に過ぎなかったのだろうけど。
『姉妹喧嘩』は何れにせよ、結末をもたらしたのだ。
 呪縛は去り、祝福は解け、今、少女らしからぬ少女ばかりがここに在る――
「ディルク様」
「……はいはい」
 エルスの熱を帯びた声色にディルクは諦めたように頷いて天を仰いだ。
 首元に噛り付く熱(おままごと)に彼は付き合い、彼女はそうして――『大人』になる。



 ※<月だけが見ている>の決戦に勝利しました!
 ※烙印状態が解除されました。
 ※烙印の後遺症には個人差があり、現在ラサ上層部が調査中です――


 ※海洋王国方面にも『帳』が降り始めたようです! 神の国に渡り対抗しましょう――!
 ※天義騎士団が『黒衣』を纏い、神の代理人として活動を開始するようです――!
 (特設ページ内で騎士団制服が公開されました。イレギュラーズも『黒衣』を着用してみましょう!)

これまでの覇竜編ラサ(紅血晶)編シビュラの託宣(天義編)

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