PandoraPartyProject

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未来の伯爵

 4月1日18時――伯爵家男児ガブリエル・ロウ・バルツァーレク救出される。
 その報は伯爵家の内々にだけ伝わった。
 迅速なる救助の結果、他家には漏れなかったようである……そして。
「くそー! 離しなさい!! 私を誰だと思ってるの!!
 こんな事をして、まだまだいる私の部下が黙ってるとでも……!!」
「煩い! キリキリ歩けッ!!」
 賊陣営は駆けつけた憲兵に連れていかれる――その中には何故かきゐこの姿もあった。
 他の賊達も捕縛され続け……やれやれ、ひとまずは一件落着と言った所か。
 まぁきゐこは交渉術やら腹芸やら袖の下やらで出てきそうな気もするが――ともかく。

「あ、あの……皆さんありがとうございました!」

 少年は告げる。己を救ってくれた『初めて出逢った』者達に。
「ふふ。いいのよ――ええ。
 私は神の御使いとして、或いは只のシスターとして、責務を果たしただけだから」
「悪い人は『めっ』ってしたからね! もう安心だよ!」
 彼らがいなくば己はどうなっていた事か――なんか派手に登場した前垂れが特徴的なシスターや、こっちをペロペロしてこようとするお姉ちゃんやら、やたら(色んな意味で)記憶に残る面々も多かったが。
「しっしっ! 離れなさいエセシスター! 駄目よ、こういう人の言う事を信じちゃ!」
「ふふっ。何はともあれよかったですね――無事で」
「うんうん。これでレガド・イルシオンの芸術と美食の未来は守られたよ!」
 同時に『ミカエラ』と名乗った自身を護る様に抱きしめる女性や、己を見つけてくれた黒髪の女性獣種の人物らにも感謝している。それこそ感謝してもしきれぬ程に。故にこそ……
「ぜ、是非、当家にお越しいただけませんか? お礼をしたいと思っていますので……!」
「はわわ。この前もおじゃましましたが、また行ってもよいのですか?」
「まぁそういう事なら是非とも――お邪魔させてもらおうかな」
 ニルヨゾラ――否。『エア』と名乗った者らも含め、屋敷へと招待する。
 彼らと今一時語り合いたいと。
 幼き伯爵は、そう紡ぐのであった。

 誘拐されていた伯爵家の男児が救出された様です!
 4月1日のお話です!

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