PandoraPartyProject

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茨棘領域

 深緑が謎の『茨』に覆われている――
 その驚愕せし一報がラサを経由しローレットへと駆け巡ってから暫く。
 深緑の調査と、巻き込まれた者達の救助などの依頼が次々と舞い込んでいた。
 謎の茨の効力が及んでいない箇所はないだろうか?
 茨に巻き込まれ、帰還出来ていない商人や幻想種を助けてほしい――などなど。
 そしてその一角に赴いた霞・美透(p3p010360)は茨の採取を試みんとしていた、が。

「ご覧の通り、しおれて枯れてしまった――まるで煤の様だ」
「……これでは内部分析も難しい、か。同胞を救う手がかりになればと思ったのだが」

 しかし。当の茨を採取せんと切り離せば、まるで生命が失われたかのように崩れて果てる。
 ――これははたしてそもそも『植物』なのか。
 疎通の試みをした仲間もいたが、しかし意志自体が交わらなかった。
 ……存在からして、そういった自然の類ではないのかもしれない。
 さすればルドラ・ヘス(p3n000085)は思わず吐息を微かに零してしまうものである――迷宮森林警備隊の隊長である彼女は、偶然にも『茨』の出現の際に森林外周部の警備に付いていた。故に難を逃れる事が出来たルドラは今、同盟国ラサの首都ネフェルストで深緑調査の為の手を模索しているのだが……なんとも、やはりあの茨は厄介だ。
 ファルカウに住まう多くの幻想種は一体どうなっているのか。
 長であるリュミエの身も無事だろうか――
 想えば想う程に焦燥の色もあるが、しかし。
「……現状では迷宮森林外周部、国境線に近い場所で行動する他ない、か」
「ああ――今の深緑は、空間そのものが危険な可能性もあるしね。
 下手に奥に進めば、その時点でなんらかの影響がある可能性も……」
 無理は出来ない。
 あの迷宮森林全土を覆う程の茨が、只の茨でない事だけは確実なのだ――
 一体何者の思惑によってあのような巨大な規模の異変が発生したのか。
 現時点では影も形も掴めぬが……美透の言う通り、強引に奥に進むのは悪手であると分かっているのだから。異質なる気配が立ち込める今の迷宮森林に足を踏み入れすぎて、己らも眠りの沼底に沈む様な事があらばただ犠牲者が増えるだけ。
 深緑を救うためには、もう少しばかり調査を続けて突破口を見つける必要がある。
 必ず。きっとどこかに希望に通じる道のりがある筈だ。
 ……それは何の確証もない、渇望する様な心より生まれた一端ではあるのだが。

「すまない。もう少しイレギュラーズ達の力を――貸してくれ」

 だが。諦めた果てに何が成せようか。
 ルドラは再度ローレットへと。数多の困難を乗り越えたイレギュラーズへと頼むものだ。
 同胞を救う、助力を――今少しと。


 <咎の鉄条>の報告書が一部届いています!!

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